ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2018年04月20日

書評891 今野敏「棲月 隠蔽捜査7」

こんにちは、曹源寺です。

モリカケから日報、そして今度はセクハラです。マスゴミの倒閣運動は印象操作で引っ張るだけ引っ張って安倍内閣の支持率低下につなげることに成功しています。だからといって、今後待ち受けるのは解散総選挙でしょうから、野党の支持率からみて政権交代はありえないでしょうに。岸田内閣や石破内閣ができあがればそれで良いのかもしれませんが。

そしてそのセクハラ騒動ですが、まあ、財務省が叩かれる分にはやれやれもっとやれ!と思うのですが、マスゴミのやり口がどうにも汚すぎて辟易としますね。女性記者(進優子?)を1年半専属にさせておいて夜討ち朝駆けで取材させ、記者のほうがセクハラまがいのエロトークに嫌気がさしてきたので相手の許可を得ずに録音を開始し、直属の上司(経済部長の松原文枝?)に訴えたは良いけれど、その上司(女だぜ)は記事にするでも担当を外すわけでもなくそのまま放置したから記者が激怒して新潮社にタレこんだ、というのが一連の経緯であるわけです。なので、事務次官は1年半もの間担当についていた(事務次官の就任は2017年7月ですから主計課長時代からということになります)女性記者になれなれしくエロトークを炸裂させただけですね(これはこれでダメですが、女性記者の反応が分からないとセクハラと断定するには難しいと思います)。むしろ、断罪されるべきは女性記者の上司であり、記者会見に臨んだ報道局長であり、テレ朝の社長であり、ハニトラまがいのことをしてまで情報を得なければいけないマスゴミの体質であり、特権的に記事を占領している記者クラブ制度でありましょう。テレ朝は被害者ぶっていますが、実際には加害者ですね。セクハラを放置する女性上司ってすごいなあ。
テレ朝の自爆ということで結論づけられますが、今回の悪行は以下にまとめておきましょう。
・テレ朝経済部は専任の女性記者を使って長期にわたり高級官僚から情報を得ようとし、時にはパジャマ姿で出勤させている
・テレ朝の女性記者は時に取材相手の了承を得ることなく無断で録音を行っている
・テレ朝の女性記者は業務で取得した情報を同業他社に譲渡する(あるいは売り渡す)ことがある
・テレ朝の女性記者はセクハラで相手を訴える時、自分の声を抹消して異なる場面での声を寄せ集めて編集する
・テレ朝経済部はセクハラの被害を訴える部下を何ら配慮することなく、担当を継続させる
・テレ朝報道局は事務次官の唐突な辞任であせり、自分たちが加害者呼ばわりされることを恐れて急遽記者会見を開催する
・テレ朝報道局は記者会見を開く時、一部の記者クラブだけ参加を認め、週刊誌やフリー記者を締め出す(新潮社の立場がねえな)
・テレ朝の記者は勝手に録音してそれをテレビに流すことがあるとホリエモンから指摘される


こうやって書き連ねるとテレビ朝日って極悪企業ですね笑
さすが椿事件の当事者だけあるわ。

マスゴミにしてみれば、財務省の事務次官と国税庁の長官という2大トップを更迭に追い込んだわけですから、勝ち誇っても良いのかもしれません。しかし、今後のことを考えると官僚からは警戒されて碌な取材ができないでしょうし、もしかしたら毎年のように税務調査が入って追徴課税取られまくるのかもしれませんね。ご愁傷様でした。

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内容(新潮社HPより)
私鉄と銀行のシステムが次々にダウン。不審に思った大森署署長・竜崎は、いち早く署員を向かわせるが、警視庁の生安部長から横槍が入る。さらに、管内で殺人事件が発生。電話で話した同期の伊丹から「異動の噂が出ている」と告げられた竜崎は、これまでになく動揺する自分に戸惑っていた――。大人気警察小説シリーズ、待望の第9作!


曹源寺評価★★★★★
「隠蔽捜査7」だけど9作目です。今野ファンなら理由は知っていますが、これはスピンアウト作品が2作あるからですね。今野センセーのシリーズものの中でも断トツに人気シリーズになっているわけですが、これはやはりキャリア警察官を主人公に据えた数ある作品の中でも「信念を曲げない人」「悪しき慣習など合理性追求の前には何の価値もないこと」という行動理念を100%体現する、何ともユニークなキャラクターを創造したことが理由でしょう。自分も大好きなシリーズです。
本編7作目はついに竜崎署長が人事異動を発表されてしまいます。そうです、

みんなこれを知りたくて読んでいます。

前作で人事異動を匂わせておいて、結局は何もなかったというオチがありましたが、引っ張って引っ張ってようやく本作で異動発表ですからね。焦らしすぎー。
さて、事件のほうですがこれは今野作品にありがちな展開でして、一言で示すと「私鉄や銀行のシステムがハッキングされたら殺人事件が解決された」というものです。
なんだか良く分かりませんが、つまりはそういうことです。
相変わらず、原理原則慣習よりも合理性を徹底的に追求する竜崎署長の姿勢が捜査員の士気向上に役立っていることが良く分かるストーリーでした。そして、意外にも大森署に対する思い入れが熱いという自分の感情に戸惑っていたりするところがおちゃめだったりします。
それにしても、ルナリアン(以下、ややネタバレ)についてはこいつのストーリーを詳細に描いても面白かったのではないかと思います。いじめられてからルナリアンとなって君臨するところまでをルナリアン目線で読ませてくれたなら、彼に対する読者の意識もだいぶ違うのではないかと思うのです。

それにしても、新たな赴任先での活躍がとっても気になる本書シリーズ、ますます楽しみです。






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2018年04月17日

書評890 深町秋生「地獄の犬たち」

こんにちは、曹源寺です。

放送法第4条の改定に関しては、やはりというか案の定というか、テレビジョンでは報道がされないようですね。報道はしないけれども業界団体は声明を発表しています。

せっかくなので全文載せておこうと思います。
規制改革推進会議「通信と放送の融合の下での放送のあり方について」に関する民放連コメント(2018/04/16)

 本日、規制改革推進会議が公表した「通信と放送の融合の下での放送のあり方について」では、これまで新聞報道などで伝えられた、民間放送の公共的役割やビジネスモデルを否定するような文言はありませんが、改革の基本的方向は変わっていないように受け止められます。具体的な検討課題として「通信・放送の融合が進展する下でのビジネスモデル」などを指摘していますが、その方向性によっては民放事業者の経営に重大な影響が及びかねません。民放連は国民・視聴者の視点に立って、引き続き同会議の議論を注視していきます。

 フェイクニュースへの対応が各国共通の課題となるなかで、放送の意義はますます高まっています。産業振興の一面だけで放送のあり方や放送制度の見直しを議論し、国民の知る権利に応える放送の公共的役割をないがしろにするような政策は、決して国民・視聴者の利益になりません。今後の規制改革推進会議における検討では、国民各層、専門家や関係事業者の意見を十分に聴取して精緻な議論を行うよう要望します。

 民間放送事業者はこれまでも、インターネットを活用したビジネスモデルの開発、放送コンテンツの海外展開に精力的に取り組んできました。民間放送事業者は自ら放送の未来像を描き、信頼されるメディアとして、これからも国民視聴者の期待に応えたいと考えています。



読めばわかりますが、要するに「規制緩和されるとビジネスモデルが崩れるからやめてくれ」「現状維持しないと国民のためにならない」と言っているわけです。
規制緩和は獣医学部新設の時に議論をすり替えられましたので、もっとみんな怒っていいはずですね。本来であれば、50年もの間ただのひとつも学部新設が認められなかった獣医学部という根深い闇に、光を当てた「首相案件」は評価されても良いはずです。ガチガチの岩盤規制を突破しようとしているののが政権で、強固に反対しているのが官僚と業界団体という構図は、これまでにはなかったものです。
放送も然りということでしょう。規制緩和が国民のためにならないなどとほざく業界団体はいい加減にしろという感じでしょう。国民のためにならないとか言っているのですが、国民のためになるかどうかは国民が決めることですから、こんな戯言を真に受ける必要はありません。そもそも、放送法第4条は報道の自由を阻害しているとして国連(の方から来た人)が撤廃を要求しているものです。電波行政はもう後戻りできないところに来ているはずですから、ネットとの融合とかオークション導入とかいろいろやればいいと思います。
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内容(KADOKAWA HPより)
切なすぎる外道たちの慟哭
警察官の俺に、人が殺せるのか!?
東京のやくざ組織・東鞘会に所属する兼高昭吾は、弟分の室岡と沖縄に飛び、ターゲットの喜納修三を殺害した。その夜、一人になった兼高は激しく嘔吐する。実は兼高は警視庁組対部に所属する潜入捜査官だったのだ。後継者問題をめぐり、東鞘会では血で血を洗う抗争が続いており、喜納殺害はその一環だった。兼高の最終任務は東鞘会会長である十朱の殺害。十朱は警視庁を揺るがす、ある“秘密”を握っていた。ボディガード役に抜擢された兼高は、身分が明かされた瞬間に死が迫る中、十朱への接近を図るが……。
『果てしなき渇き』『アウトバーン』の著者が挑む、ノンストップ・エンターテインメント!


曹源寺評価★★★★★
深町センセーはデビュー当時からバイオレンス感ありましたけれど、最近の著作は以前にも増して殺戮だの拷問だの決闘だのと血飛沫が飛びまくっておりますなぁ。
本書は警視庁の潜入捜査官が任侠の世界で成り上がっていくお話ですが、ばれたら終わりの緊張感と圧倒的な暴力シーンの連発で息もつかせぬ展開が読む人を疲弊させてくれるという代物です。
冒頭から内部抗争の生き残りを抹殺するシーンです。主人公の兼高昭吾は格闘技ではなくケンカのプロ。その場にあるモノで相手を制圧するのが得意です。相棒の室岡は若くて童顔ですが、悲惨な生い立ちが影響して人殺しを何とも思わなくなっているちょっぴりサイコなやつです。東鞘会は十朱会長をトップに据え、三羽ガラスと呼ばれる直参をバックにして東京で一大勢力を築いています。その十朱の命を狙うのが兼高です。十朱を殺す理由にはある秘密がありました。。。
任侠の世界を緻密に書き上げていて、なんだかとても臨場感があります。そして、兼高もその挙動に細心の注意を払います。バレたら終わりですから。その緊張感が読者にも伝わりますので、読むほうは非常に疲れます。
最初から最後まで緊張感の連続ですから、一気読みできる人は相当タフな人ではないかと思います。最後もちょっと救われない展開ですので、胸糞悪いと思う人も多いかと思いますが、個人的にはこれしかないだろうというラストだと思っています。
よくもまあこんな小説を書き上げたものです。バイオレンス警察小説、アウトロー警察小説、任侠小説警察版、、、まあいろんな呼び名をつけることができそうですが、本書を読んで

暴力団組織って警察よりも人情が厚いのではないかと思う

のは自分一人ではないはずです。







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2018年04月13日

書評889 薬丸岳「刑事の怒り」

こんにちは、曹源寺です。

最近は官僚の不祥事で国会が騒いでおりますが、その行為が作為的であろうと不作為であろうと国民の財産や生命、あるいは幸福を奪うものであれば結果責任は免れないだろうと思います。逆に言うと、国民の財産や生命を侵害するものでなければ結果責任は軽くてもいいような気がします。
誰と誰がいつ面会したとかしていないとか、どうでもいい話ですよね。むしろ、旧社会保険庁の年金記録ミスみたいなやつは大いに問題にすべきです。

こういうニュースが立て続けに出ると怖さを通り越して哀しいですね、というニュース。
隠された「順天堂」新生児取り違え 父母は“生まれるはずのない血液型”めぐり離婚(デーリー新潮2018/4/12)
家族から引き剥がされ、見知らぬ国での生存を強いられた拉致被害者の苦悩は想像を絶するが、それと本質的に同じだろう。被害者は血縁のない家族に育てられ、冷遇され、だが、その原因が自らの新生児取り違えだと認めた名門病院は、過誤をカネで隠蔽していた。(以下はリンク先で)

合格していたのに…内申書入力ミスで4人が大阪府立高不合格に 茨木市立中学校、132人分(2018/4/13産経WEST)
大阪府教育庁は13日、今年3月に行われた大阪府立高校の入試で、大阪府茨木市立中学校から提出された132人の生徒の調査書(内申書)に誤りがあり、本来は合格となるはずの生徒4人が不合格になっていたと発表した。
府教育庁によると、同市立中学校の教員が専用のソフトを使って調査書を作成する際、平成30年2月現在の成績ではなく、誤って29年12月時点の成績データを入力していたという。
(以上)

この2つはいずれも学校や病院によってその後の人生を狂わされた被害者がおられるわけで、もう本当にやりきれない話ですね。
おそらくは事故だと思いますが、これが作為的であったら重い犯罪です。
事故だとしたら、再発防止をしっかりと考えなければいけないのですが、この2つの事故は残念ながらいずれも全国で多発しています。いまだに。
同じ過ちを繰り返すのはバカのやることです。人がやることですからミスはあるのですが、人のやりがちなミスをカバーするのが(広義の意味で)マシンです。人とマシンをうまく使い分ければ愚かなミスは激減する、あるいは撲滅できるのです。
人生を左右させるような過ちは撲滅させなければいけないのですから、こういうところにきちんとリスクヘッジする、そのための投資をする、ということを社会全体で進めていくべきだと痛感します。

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内容(講談社HPより)
――こんなに怒りに打ち震えても、まだ、人の心を取り戻して欲しいと望まずにはいられない。
第70回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞作「黄昏」を収録
現代社会の希望なき闇に切り込んだ珠玉の4篇。
これぞ乱歩賞作家・薬丸岳だから描けるミステリー!
被害者と加害者、その家族たちのやむにやまれぬ“想い”をみつめてきた刑事・夏目信人が出会った4つの事件。
年金不正受給、性犯罪、外国人労働、介護。
社会の歪みが生み出す不平等や、やり場のない虚しさを抱えつつも懸命に前を向く人々。彼らを理不尽に踏みにじる凶悪な犯人を前に、常に温かみに満ちていた彼のまなざしが悲しき“怒り”に燃えたとき、胸をこみ上げる激情に我々は思わず言葉を失う――。
“涙が溢れる”だけでは終わらない。
刑事・夏目信人シリーズ最新作!


曹源寺評価★★★★
薬丸センセーの作品のなかで最もヒューマンなストーリーを見せてくれる「刑事・夏目信人シリーズ」も本書で4作目を迎えました。少年鑑別所に勤める法務技官から警察官に転身した夏目信人を主人公にして、いじめや少年犯罪などの社会問題に切り込んだ作品で読者に訴える内容が多いのがシリーズの特徴でありますが、本書は外国人労働問題や性犯罪、看護・介護問題などにも踏み込んでいます。夏目自身も娘が犯罪被害により植物状態になっているという厳しい設定ですが、常に温和で理論的、被害者に寄り添う一方で加害者の言い分もしっかりと聞くという刑事の鑑のような人物であります。

その夏目をもって「刑事の怒り」とは何事だ

と思うのはシリーズ読者なら無理からぬことでしょう。連作短編4作で構成されている本書の表題作は書き下ろしです。あの夏目刑事が怒る。熱いハートで怒鳴りつける。それは多分に夏目自身のおかれた環境にも依るのですが、子を持つ親なら誰もが思う怒りでありましょう。
本書シリーズは事件に特別からくりとかトリッキーな展開などが用意されているわけではないので、横関大センセーや中山七里センセーのようにどんでん返しをするようなことはありません。多少はありますが、ベテラン読者なら想定の範囲内であることのほうが多いかもしれないです。それでも自分はこのシリーズ好きです。安定感があるのと、直近の社会問題であるがゆえに答えが出にくく考えさせられるというのが理由です。
夏目の所属は本書から池袋署ではなくて錦糸町のある錦糸署に変わります。そこで得た新たな相棒とともに、事件の真相に迫る夏目刑事の奮闘が今後も続きそうです。





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