ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2018年02月16日

書評873 笹本稜平「孤軍 越境捜査」

こんにちは、曹源寺です。

受験シーズンもそろそろピークですが、大学受験関連ではこんなニュースが。

奨学金「延滞者数」が多い大学 ワースト10(2018/2/14週刊ポスト)
受験シーズンいよいよ本番。受験生は、春からの学生生活への希望に胸を膨らませ、入試に臨む。だが、その試練を乗り越えて入学した新入生の約半数が、卒業時におよそ300万円もの“借金”を背負うという現実はあまり知られていない。奨学金の負債である。
事態を憂慮した日本学生支援機構は、昨年4月、初めて大学別の奨学金延滞率(※奨学金貸与終了者のうち、3か月以上返済が滞っている人の割合)を発表した。全国751大学の奨学金貸与者数、卒業生(貸与終了者)のうち3か月以上返済が滞っている人の割合などのデータだ。
これまで大学の序列は「合格偏差値」や「就職率」などで決められてきた。ところが、この奨学金延滞率データは、大学別の「卒業生の収入など生活力」(奨学金返済能力)を示す新たな指標であり、学生がこのデータを重視して大学を選択するようになれば従来の“大学序列”が大きく変わる可能性があるからだ。そこで、私大、国立大を含めた奨学金「延滞者数」の全国ランキングを見ていこう。
表のように、ワースト10には日大、東海、近大、早稲田、専修などマンモス私大が並ぶ。学生数が多く、奨学金受給率が高いほど延滞者数は増える。しかし、学生数が多くても、慶應、立教、同志社のようにランク外のマンモス私大もある。ここに「返済力」の違いが浮かび上がる。
(以上)

表は貼りませんが、ランキングとしては以下の通りです。
1.日本大学
2.東海大学
3.近畿大学
4.大阪産業大学
5.帝京大学
6.九州産業大学
7.早稲田大学
8.福岡大学
9.専修大学
10.立命館大学

こういう記事もありました。
高騰する学費で破産?大学授業料が払えない(2018/1/16東洋経済だけど記事はAERA)
奨学金なしには大学に行けない世帯は半数を超えた。15年後には、国立大学の授業料が年100万円近くになるとの試算も。誰が払えるのか。
夕食は5分で終わる。おにぎりを頬張るだけだ。午後5時15分に金融機関の事務を定時で終えた女性(48)は電車に飛び乗り、午後6時にコールセンターに着席する。金融機関派遣社員の年収270万円に、週3日は午後10時まで働くことで50万円を生活費の足しにし、大学2年の長男(19)を一人で育てている。
ダブルワークを始めたのは、息子が高校3年の1月だった。ひとり親家庭の児童扶養手当は18歳の年度末で打ち切られる。
「ひとり親家庭の子どもは大学に行かず、働くのが当然だ」
と制度に突き放されたように感じた。元夫からの養育費はなく、かけていた学資保険は勝手に解約された。両親も高齢になり、援助を期待できなくなった。
高校で学年トップの成績を修めていた息子が将来、この貧困状態から抜け出すためにも、何としても大学には行かせてやりたかった。
(以下はリンク先で)

無理して大学まで通わせようとする世帯が増えているのが原因なのか、あるいはデフレが続いて世帯収入が伸び悩む中で学費だけが高騰しているのが原因なのか。あるいはその両方か。
子供2人を私立大学に通わせようとしたら、世帯収入として1,000万円あっても楽ではないだろうと思います。上記のランキングを見ても、東海大学や近畿大学は学費が高めらしいですね。早稲田も理系の学部はえらい高いです。
低所得者世帯でも、頑張って勉強して大学に行けばいい会社に入れる。だから多少無理をしてでも大学に入れることが大事−−こういう構図があることは否定しません。しかし、奨学金を借りてFラン大学に入って三流の企業に就職したら、昇給が遅かったり福利厚生の手当が薄い企業で働きながら奨学金返済という重荷を背負うことになるわけで、それが果たして幸せなのかという疑問がどうしてもつきまといますね。
警察官や保育士など一定の分野に強い大学はともかく、それ以外のFラン大学はすでに定員割れで赤字経営の法人も多く、外国人留学生をバカスカ引き受けて無理やり経営しているところもあります。こんなFランを乱立させた三流官庁の文部科学省は罪は重いなあと思います。
こうした重い教育費負担の問題をどうしたら解決できるのか。試案ですがこんなイメージで。
・赤字の学校法人は解体
・解体して浮いた私学助成金を健全経営の学校法人に投入
・助成金が増えた国立大、私立大はいずれも学費負担を減らす
・民間企業が奨学金を基金にしてばんばん投入
・奨学金を受けた学生は学業優秀なら返済免除
・奨学金を受けた学生は基金元の企業に就職すれば返済免除
・基金を設立した企業へは税金を優遇する措置
思いつきレベルでもこれくらい出てきますね。まあ、霞が関の役人やマスゴミあたりは大学教授枠を減らされると天下り先が減るので反対するでしょうが。。。
あ、個人的には大学無償化は無意味だと思っています。

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内容(双葉社HPより)
警視庁特命捜査係の鷺沼と神奈川県警の一匹狼・宮野が難事件に挑む『越境捜査』シリーズ最新刊! 六年前、東京都大田区で老人が殺された。億単位の金を遺していたらしいが、見当たらない。その後、連絡の取れない老人の一人娘が、警視庁の首席監察官と結婚していたことが判明。すると、監察から鷺沼らに呼び出しがかかり、捜査に関して探りを入れられる。権力側のキナ臭い動きに鷺沼らは……。


曹源寺評価★★★★
越境捜査シリーズはもう第6弾だそうです。こんなに続くとは思いませんでした(失礼!)。でも面白いかと言われればそれほどでもない(失礼!)んですが、刊行のたびに必ず読んでしまっている自分がいるわけです。そう考えるとやっぱり面白いんですよ、たぶん。
このシリーズは巨悪に立ち向かう警視庁と神奈川県警のタスクフォースという触れ込みですが、実態は警視庁のはみ出し刑事と神奈川県警のろくでなし刑事、それに横浜にレストランを構える元ヤクザ、碑文谷署の女刑事といった面々でありまして、その戦い方もかなりゲリラ的ですので、長ったらしい説明書きが多少余分な気がしないでもないですが、それなりに痛快なところがあるのがいいですね。
本シリーズの大きな特徴として挙げられるのは、この「巨悪」こそが実は警察内部に根を張っている、権力をかさにやりたい放題の上層部という構図でありまして、本作もまたこのパターンであります。
今回の相手方はかなりの大物ですので、(ネタバレあり)タスクフォースに対して公安を使った妨害工作や犯罪行為にまで及んでくる始末です。執拗な妨害工作という名の嫌がらせに心が折れそうになるタスクフォースの面々ですが、こちらも国税庁を巻き込んだりするなど知恵を絞って対抗していきます。消えた8億円のうち、5億円の行方を追うために彼らが繰り出した手は、、、
ギリギリまで追い詰められた鷺沼が最後の秘策として繰り出した勝負手は、なかなかの妙手だったと思います。
ラストがイマイチ煮え切らない作品が多い本シリーズのなかでも、

本書はかなりスカッとジャパン状態

ですので、どうぞ安心してお読みください(笑





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2018年02月13日

書評872 太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」

こんにちは、曹源寺です。

マスゴミの劣化が激しいことが如実に現れているニュースを。
“平壌”五輪? 朝日新聞がツイッターで誤記 羽生結弦の韓国入り伝えるツイートで(2/13産経新聞)
朝日新聞の平昌五輪・パラリンピックのニュースを伝える公式ツイッターで、ツイッター内の関連投稿を抽出できる「ハッシュタグ」が、北朝鮮の首都である「Pyongyang(ピョンヤン、平壌)」になっていたことが12日、分かった。
誤記は、フィギュアスケート男子の羽生結弦(ANA)が韓国入りしたことを伝えるツイートであり、平昌五輪のハッシュタグが「#Pyeongchang2018」ではなく、「#Pyongyang2018」となっていた。
朝日新聞はツイッター上での指摘を受け、「ハッシュタグの表記は単純な打ち間違えでした。今後はしっかり確認してツイートします」とツイッター上で釈明しているが、12日午後8時50分現在、修正されていない。
朝日新聞社広報部は、ツイートは11日午後5時に投稿したといい、「本日午後4時半に指摘をいただいた後、ただちに誤りであったことを説明するツイートをした」と説明した。(五輪速報班)


そんでもって、この誤報を伝えたフジテレビが恥を上塗りする事態になったのがこちら。
フジ、「朝日の誤字」報道で誤テロップ 「新日新聞」表記で「ジョークか?」(2/13 J-CASTニュース)
朝日新聞と書くべきところを「新日新聞」――。情報番組「めざましテレビ」(フジテレビ系)のテロップ表記に、そんなミスが生じた。
これは、朝日新聞の公式ツイッターで「誤字」があったことを伝えるニュースの中で起きたものだ。「何がどうなったらこうなるんやろ」「でかいブーメラン刺さってる」といった皮肉が、インターネット掲示板などで飛び交っている。
■平昌五輪のハッシュタグでミス発覚
朝日新聞の平昌五輪・パラリンピックのニュースを伝える公式ツイッターは2018年2月11日、フィギュアスケート男子の羽生結弦選手が韓国入りしたと伝えるツイートを投稿。平昌五輪のハッシュタグで「#Pyeongchang2018」と付けるべきところを、誤って「#Pyongyang2018」とした。
「Pyongyang」は北朝鮮の首都・平壌にあたるとして、ツイッター上には間違いを指摘する声が続出。同アカウントは12日夕、
「ご指摘ありがとうございました。ハッシュタグの表記は単純な打ち間違いでした。今後は、しっかり確認してツイートします」
と釈明するツイートを投稿した。
この件について、13日放送の「めざましテレビ」はナレーションで「朝日新聞などの公式ツイッターで、平昌五輪のハッシュタグが『Pyongyang2018』になっていたことが分かりました」と伝えた。その上で「朝日新聞は『単純な打ち間違いでした』とツイートしています」と紹介した。
だが、画面下のテロップではこの時、新たな「誤植」が発生していた。
「新日新聞『単純な打ち間違い』」――。
こんな文字が「朝日新聞『単純な打ち間違い』」とあるべき箇所に...。番組は「朝日」と書くべきところを、「新日」と間違えたのだ。(以下、略)


朝日新聞は電子メディアに対する意識が低いのだろうと思います。校閲部のような機能が備わっていないんじゃないかと疑ってしまいますね。
フジテレビはテロップでやらかすことが多いので、「あぁまたか」としか思いません。先日も、あの偉大なスキーヤーにして登山家の三浦雄一郎先生を故人扱いして炎上したばかりだというのに、同じようなミスを繰り返しています。つまり、組織として機能していないということです。系列局のことですが「怪しいお米セシウムさん事件」は何年前のことだったか。世間の批判を浴びまくっても改善がなされないというのは末期的です。余程の人材不足なのか、あるいは日本語ができないスタッフが大量にいるのか、あるいはわざとなのか。マスメディアの質的劣化は影響力の大きさを考えればまったく笑えませんので、経営層はこういうところからきちんと立て直しを考えるべきだと思います。すごくまじめにそう思います。

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内容(ポプラ社HPより)
史上最恐の親バカ探偵登場! 「鬼の万屋」の異名を誇った万屋大悟が、愛する娘に近づく有象無象と謎を蹴散らすべく立ち上がる。
<内容紹介>
市後市のローカルアイドルグループ「marshmallow15」に脅迫状が送られた。
警護を引き受けたのは、万屋大悟。市内で警備会社を営む社長であり、「marshmallow15」のメンバー・知織の父親でもある。
親バカを発揮して職権を乱用しまくりつつ、様々なトラブルと事件を解決する大悟。年頃の娘とは、ちょっと微妙な距離感を保ちつつ、謎に立ちむかう。
それぞれの事件を通して見えてくる少女達の強い想いと、父娘の絆。そして脅迫状の犯人と驚きの真相とは――!?
ミステリの名手・太田忠司による珠玉の連作ミステリ!


曹源寺評価★★★★
太田忠司センセーの作品は初めてでした。なぜ本書に目が向いたかと言いますと、書店に並んでいる姿が異質だったからにほかなりません。

表紙があの遠藤憲一ですよ。エンケン。

もうドラマ化するのか?と思ったら、どうやらそうではないみたいです。
遠藤憲一は個人事務所を運営していて、下積み時代が長かった経緯からオファーがあれば基本的に断らないという、売れっ子とは思えない営業活動で有名ですが、まさかベテラン作家センセーの本とはいえいきなり小説の表紙を飾るかぁ?と大いに驚いたものです。
本書は警備会社社長の万屋大悟を主人公にして、アイドルグループに所属する娘を脅迫状の主から守るという連作短編であります。ですから、万屋大悟がもうエンケンのイメージでしか読めないわけですよ。
しかし、そんな先入観も本書に限って言えばいい意味でプラスに作用しているように思います。

主人公がエンケンのイメージそのまま、鮮やかに脳内で映像化される

という体験ができました。
映像化されていないのに映像化されるという貴重な体験です。
非常にテンポよく、読みやすい内容ですので、より鮮やかに脳内変換されたのかもしれません。
これで逆に映像化されたら、脳内変換の映像と違う!とかいうクレームが多発しそうです。





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2018年02月09日

書評871 長岡弘樹「教場0」

こんにちは、曹源寺です。

相変わらず吠え続けている新聞記者の望月IS子ですが、産経新聞では記者会見の場でこんなやり取りがあったと暴露されています。

名護市長選 菅官房長官「選挙は結果がすべて」結果を疑問視する東京新聞・望月記者に反論(2/8(木)産経新聞)
菅義偉官房長官は8日午前の記者会見で、東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者が、沖縄県名護市長選で米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を進める安倍晋三政権が支援した新人が当選した結果を疑問視したことに対し「選挙は結果がすべてではないか。相手候補は必死に(辺野古沖の)埋め立て阻止を訴えたのではないか。住民が選ぶのが民主主義の原点だ」と述べた。
望月記者は「(移設)反対の市民や県民の意向が全く政府には顧みられなかった。どうせ埋め立て工事が進むならどのみちしようがない、結果として消極的ではあるが、目の前の生活を豊かにしてほしいという思いで投票したという声が、報道でも出ていた」と述べた。その上で「これまで県民や市民に寄り添った判断が行われていなかったのでは、というのが選挙結果をみても感じられる」と主張した。
(以下、略)

選挙結果に疑問を呈する時点で民主主義を否定することになるのだが、コイツ(もうコイツ呼ばわりでいいよね)は何を考えているのだろうかと思います。コイツを応援している人たちは大丈夫ですか?新聞記者として失格だと思いますよ。
民主主義というのは、多数決が前提です。前提ですが、少数意見を無視して良いわけではないんですね。ですから、意見が真っ二つに分かれている事案などは時間をかけてじっくりと進めていく必要があると思います。しかし、大多数の民意は無視してはいけないのです。そこは否定してはいけないところだと思います。
そもそも名護市は稲嶺市政で政府補助金をカットされてしまい、さしたる経済実績もなく、プロ野球キャンプ誘致に至っては失敗続きで日本ハムからは見放されてしまったような負の実績しかありませんでしたから、市民から見放されて当然だったのだろうと思います。

ニュースをもういっちょ。
甲賀市選挙不正 総務課長「投票用紙、自宅焼却炉で処分」(2月7日毎日新聞)
滋賀県甲賀市選管が昨年10月の衆院選・滋賀4区の開票で白票を不正に水増しした問題で、水増し後に見つかった未開票の投票用紙について、市総務課長が「自宅の焼却炉で処分した」と県警の任意聴取に説明していることが捜査関係者などへの取材で分かった。処分は上司の総務部長らと協議して決めており、県警は市幹部が組織的に不正の隠蔽(いんぺい)を図ったとみて公職選挙法違反(投票増減)容疑で捜査を進めている。(以下、略)

民主主義の根幹を為す直接投票制度に対する大いなる冒涜だというのに、ニュースバリューはあまり高くないですね。選挙結果に影響しないのは、当選者と2位の間に2万票近い開きがあるからですが、民意の反映が正確になされなかったという事実だけをもっても、市幹部連中の罪は重いと思います。こういう犯罪行為に対する処罰はもっと厳しくても良いと思いますが、いかがでしょう。

なんだかね、この日本という国は民主主義国家のはずなんですが、あまり民主主義に対する危機感がないというか、民主主義をないがしろにしてはいないかと思うことが結構あるのですよ。ちょっと怖ろしいなあと思うのは自分だけでしょうか。

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内容(小学館HPより)
あの鬼教官が、殺人現場に臨場!
第一話 仮面の軌跡
日中弓は、借金の肩代わりに芦沢健太郎と交際を続けてきた。大企業の御曹司から見初められ別れを告げるが、芦沢に二人の秘密を暴露すると言われる。
第二話 三枚の画廊の絵
画廊を営む向坂善紀は四年前に離婚し、息子匠吾の親権を手放した。高校二年生の匠吾には、抜群の芸術的センスがある。本人も芸大進学を希望しているが、その夢を阻む者が現れた。
第三話 ブロンズの墓穴
佐柄亜津佐の息子である小学三年生の研人は、学校でいじめに遭い、登校拒否になってしまった。だが担任の諸田伸枝は、いじめの存在を認めない。面会を拒否する諸田に、佐柄は業を煮やしていた。
第四話 第四の終章
派遣社員の佐久田肇は、隣室に住む女優筧麻由佳の美しさに惹かれていた。その佐久田のもとへ、麻由佳が助けを求めてやってくる。彼女の部屋にで俳優の元木伊知朗が、自殺しようとしているというのだ。
第五話 指輪のレクイエム
自宅でデザイン事務所を営む仁谷継秀は、認知症の症状が進む妻・清香の介護に疲れ果てていた。仁谷は五十歳、清香は七十歳。こんな日が来ることを覚悟はしていたが、予想よりも早かった。
第六話 毒のある骸
国立S大学の法医学教授である椎垣久仁臣は、服毒自殺した遺体を司法解剖する際、事故を起こし、助教の宇部祥宏に大けがを負わせてしまった。事が公になれば、自らの昇進が流れてしまう。


曹源寺評価★★★★
長岡センセーの出世作である「教場」シリーズですが「教場」「教場2」ときて「教場0」と来ましたわ。なんやねん0ってと思ったら、シリーズに欠かせない登場人物である鬼教官の風間公親が刑事時代のOJT担当として部下の育成に当たっているという設定の、連作短編でありました。
刑事になって3か月が経過した新人刑事のうち、見込みがありそうな若手には「風間道場」への入門が認められるという独自のシステムを導入している県警がありました、という骨格です。したがって、基本的には若手刑事の視線が中心です。しかし事件は倒叙形式になっていますので、もちろん犯人側の視線も交錯しています。このへんは「古畑任三郎」とか「刑事コロンボ」のような展開です。かなりコロンボ意識しているのが良く分かります。
また、柳広司センセーの「ジョーカー・ゲーム」を彷彿とさせるという意見も依然として多いですね。自分も同感であります。

風間と結城がますますダブるなあ

というのが率直な感想です。
短編5話が収録されていますが、最終話は現在の風間に通じるエピソードが加わっています。風間がなぜ警察学校の教官になったのか、というところにつながっていくのだとすれば、たとえ本作が後付けであったとしてもすんなり腑に落ちるストーリーであります。このへんが本当によくできているところが、短編の帝王(勝手に呼んでいるだけですが)の帝王たるところかもしれません。





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