ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2021年05月11日

書評1147 佐々木譲「雪に撃つ 道警大通警察署」(2021/5/11)

こんにちは、曹源寺です。

東京五輪を中止させたい勢力がいて、今の東京のコロナ情勢を鑑みて不安になっている人々がそれに同調したものだから、中止させたい勢力がやたらとイキっているというのが現状の分析です(個人の感想です)。
水泳の池江璃花子選手に五輪をあきらめろとツイッターに書き込みまくったのはそういう勢力だと思います。

その分析記事がこちら。
池江璃花子選手への五輪出場辞退要請は誰が行っているのか(2021/5/10Yahoo!個人ニュース)
5月7日に,池江選手がSNS上で様々な声を受けていることをツイッター上で表明しました.
以前ツイッター上ではあまり批判の声はなかったという記事を書きましたが,直接心無い声が寄せられていた事実を見逃していた点を反省しています.
そこで,今度は直接池江選手のツイッターアカウントに向けて送られたリプライを分析してみました.4月1日から5月9日10時までの池江選手に向けたリプライが含まれていて,かつ公開状態になっていて誰にでも確認可能な10,738ツイートを収集しました.なお,こちらにはダイレクトメッセージは含まれていませんし,既に削除済みのツイートも含まれておらず,Twitter社の規約により使用可能となっているツイートとなります.

(以下はリンク先で)

要約するとこんな感じでしょうか。
・DMを除く10,738のツイートを確認した(!)
・リプライには応援の方が批判より多かった
・辞退を求めているリプライの8割がリベラルの人
・辞退を求めているリプライの方が複数回投稿されている

こういう分析記事は良いですね。
この記事から分かることは、リベラルの中にごく一部の暴走機関車がいて、ヒステリックに正義を叫ぶ人がいる、ということなのかもしれませんが、自分が主張したいのはそういうことではないので。。

自分が言いたいのは
SNSの使い方として最低最悪の事例ですので、ぜひ反面教師としてこのリプライを残していただきたい
ということです。

どんだけ間違っているかと言うと、
・IOCに言うべき主張を(開催に関して何の権限もない)選手個人に言っている
・中止を求めるだけでなく、出場を辞退しろとまで主張する(辞退しても五輪開催したらどうなるんですかね)
・人命を人質にして主張している(五輪を開催すると多くの人が死ぬ!という主張ですからね)
・五輪だけを狙い撃ちにしている(他のプロスポーツは絶賛開催中ですが)
・アスリート失格だ!と誹謗中傷している(こうなると訳分からんです)
・電通ガー!(陰謀論になっている)

よりによって、大病を克服してリハビリ中の選手にこういう攻撃ですよ。人として間違っていますし、木村花さんの事件をお忘れなんでしょうか。こういう人って普段、いじめ事件が報道されたら正義感あふれるリプライとか送っているんじゃないですかね。そういう人が今回のリプライでは逆にいじめに加担しているかたちになっているんですが、彼らはどう思っているのでしょうか。

SNSを使うときはもうちょっと冷静になれ、と言いたいです。

そして、このニュースを政争の具にしている野党はもっと気に入らないですし、それを嬉々として報じるマスゴミもどうかと思います。

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内容(角川春樹事務所HPより)
さっぽろ雪まつり開幕前日に起こった、自動車窃盗事件、少女の家出、そして発砲事件。無関係に見える事件が、一年で一番賑わう札幌でひとつに収束していく。虐待、不正、外国人労働者――刑事たちの執念は届くか?圧巻のタイムリミット・サスペンス。大ベストセラー道警シリーズ、待望の最新刊!


曹源寺評価★★★★
佐々木譲センセーの北海道警シリーズ、最新刊です。このシリーズ大好きです。登場人物は相変わらずですが、主人公佐伯宏一のほかにも脇役たちが非常に良い味を出していて、時には主人公を食ってしまうくらいの大活躍を見せてくれるのが良いですね。
今回は雪まつりを控えた札幌で、発砲事件が発生します。佐伯は所轄の盗難係という冷や飯食いです(これはシリーズ第一作「笑う警官」を読んでいただくしかありませんが、組織に逆らった懲罰みたいなものです)が、自動車の盗難事件を部下の新宮と追う。
一方、小島百合は釧路で家出した少女がいるとの連絡を受け、札幌のNPO法人などに網を張る。
そんな矢先、札幌市内で盗難車によるカーチェイスと発砲事件が発生。機動捜査隊の長正寺と津久井が現場に入る。
この自動車盗難事件、家出事件、発砲事件がひとつに収束していくのですが、このストーリーの背景にあるのが技能研修生という制度であります。外国からの技能研修生は現代の女工哀史、あゝ野麦峠そのものであります。それが国会議員の利権にまでなっているという話になっているのですが、真偽はさておき、その実態はやくざのシノギではないかと。そんな技能研修生制度から逃げ出す外国人の数も相当数いるのも事実でしょう。パスポートを取り上げられているので、入管に駆け込めば強制送還でしょうが、そうなると残るのは借金だけという悪夢のような現実に研修生たちの嘆きは如何ばかりのものか。
事件はそんな制度を背景に、逃げる研修生外国人、かくまうNPO法人、追うやくざ、そして真相をつかもうと奔走する警察。こういう構図で展開していくのです。

あちこち切り替わる場面、これはもう映像の世界のようです。

登場人物を知っておかないと、この目まぐるしい展開にはついていけないのではないかと思います。登場人物の相関関係はKADOKAWAさんがWebに掲載してくれていますので、そちらを参考にしていただければと思います。
道警シリーズが面白いのはこうした様々な立場の登場人物が入れ替わりで活躍してくれるところなのですが、どの作品もラストにヤマ場があって、そのクライマックスでは必ずグッとくるシーンがあるからだと思っています。この見せ場の描写がうまいんですよ、佐々木センセーは。

#北海道警シリーズ
#佐々木譲
#雪に撃つ
#警察小説

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2021年05月07日

書評1146 呉勝浩「おれたちの歌をうたえ」(2021/5/7)

こんにちは、曹源寺です。

国民投票法がようやく改正にこぎつけそうだというニュースから。

国民投票法改正案、11日に衆院可決へ(2021/5/6日経新聞)
衆院議院運営委員会は7日の理事会で、憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案を11日の本会議で採決すると決めた。与党や立憲民主党などの賛成多数で可決し、参院に送る見通し。自民、立民両党は6日、今国会で改正案を成立させると合意した。
改正案は地域をまたぐ「共通投票所」の設置や洋上投票の対象拡大によって投票しやすくする内容で、6日の衆院憲法審査会で可決した。立民が修正案として提出した施行後3年をめどに投票勧誘のCM規制の強化を検討する規定も盛り込んだ。

(以上)

これまで野党は憲法改正に反対するだけでなく、憲法改正の手続きとなる国民投票法の改正にも反対してきました。つまり、国民の間で憲法改正の議論そのものをさせまいとしてきたということになります。いわゆる憲法学者と言われる人たちも、憲法は一字一句たりとも変えさせないという強い意志を持っている人ばっかりです。

憲法は為政者の行動を縛るものだから、為政者が憲法改正を叫ぶのはおかしい!と言っている野党政治家の方もいらっしゃいますが、憲法の中に改正の手続きを明記していることについてはどう考えたらよいのか、誰も指摘していません。

また、憲法第89条(私学への公費支出を禁止している条項)のように堂々と違反行為がなされている条文があることについて、「ただちに私学への補助金を止めろ!」と叫ぶ護憲派の人を見たことがないのですが、どういうことでしょうか。

つまり、もう憲法は実態に即していない部分が目立ってしまっているわけですよ。だったら国民の総意をもってきちんと改正しようじゃないかということで国民投票法の改正から着手しているのが現政府なわけです。

立憲民主党が条件付きで賛成に回ったことが今回は大きな要素だったと思います。

国民が国民の総意で法律を変えていく。良いことじゃないですか。これこそ民主主義です。逆に、国民の総意が改正しないということであれば、それはそれでやはり民主主義なわけです。

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内容(文藝春秋HPより)

「あんた、ゴミサトシって知ってるか?」
元刑事の河辺のもとに、ある日かかってきた電話。その瞬間、封印していた記憶があふれ出す。真っ白な雪と、死体――。あの日、本当は何があったのか? 
友が遺した暗号に導かれ、40年前の事件を洗いはじめた河辺とチンピラの茂田はやがて、隠されてきた真実へとたどり着く。
『スワン』で日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞を受賞。圧倒的実力を誇る著者が、迸る想いで書き上げた大人のための大河ミステリー。


曹源寺評価★★★★★
呉勝浩センセーの最新刊は608ページの大作でした。
東京で一人暮らす河辺久則。彼の元に電話がかかってきた。ゴミサトシが死んだのだった。サトシは松本市のアパートの一室で確かに死んでいた。20年間音信不通だったサトシが死ぬ間際に河辺を呼ぶようにしていた訳は何か。彼を監視していた茂田斗夢はサトシが金塊を隠していたのではないかと主張する。河辺はサトシが暗号を残していたことを知り、茂田に協力することにした。
だが、その暗号は40年前の真田町で起こった出来事を知っている人物でないと解けないものだった。40年前、河辺とサトシは他の3人と合わせてこう呼ばれていた「栄光の五人組」と。
40年前と20年前、そして現在を巡る壮大なストーリー。2つの殺人事件。そして、永井荷風や太宰治の作品になぞらえた暗号。正義感が強いが故に落ちぶれた元捜査一課刑事の河辺。40年前の社会情勢=「山岳ベース事件」そして「あさま山荘事件」のつながり。

これらが混然一体となって読者に謎を突きつけるのです。

ストーリーはそれほど複雑ではないのですが、細かい仕掛けがいくつかあってラストに事件の真相がひっくり返されるところはお見事です。
呉センセーのストーリー展開は前作「スワン」でも披露されたように、素晴らしいものがあると思います。それは「巧み」とか「緻密」というより「熱量がある」といった方が適切ではないかというその文体にあります。以前、自分は呉センセーの作品について「過剰サービス」と表現したことがあります。読者を楽しませようとするその姿勢がすごすぎて、あれもこれも盛ってしまっているのではないかと書きました。
その文体が、徐々に洗練されてきているように思いますが、それは決して悪い方向には進んでいなくて、むしろグイグイと読者を引っ張っていく力になっているように感じます。
ですから、さらっと読むには重いのです。重いから疲れるのです。読後の疲労感があります。ですが、しかしそれは心地よい疲労でもあります。

#おれたちの歌をうたえ
#呉勝浩
#大河ミステリ
#このミス候補

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2021年04月27日

書評1145 東野圭吾「クスノキの番人」(2021/4/27)

こんにちは、曹源寺です。

ちょっと前のニュースですが、こんな記事がありました。
JAXA攻撃「背景に中国軍」 警察庁長官が初めて言及(2021/4/22朝日新聞)※リンク先はLIVEDOORニュース
宇宙航空研究開発機構(JAXA)へのサイバー攻撃に関与したとして警視庁が中国籍の男を書類送検した事件について、警察庁の松本光弘長官は22日の定例記者会見で、攻撃に中国人民解放軍の部隊が関与した可能性が高いとした上で、「攻撃の背景組織の特定に至ったのは非常に意義深いと考える」と述べた。
日本に対するサイバー攻撃について、中国が国家レベルでかかわった疑いが強いとする見解を日本の捜査当局が示したのは、今回が初めてとみられる。
警視庁などによると、男は2016〜17年に5回にわたり、名前などを偽って日本企業とレンタルサーバーの使用契約を結んだ私電磁的記録不正作出・同供用の疑いがある。男は中国共産党員で、国営の情報通信企業でシステムエンジニアをしていたという。
松本長官は会見で、男や関係者の供述など多くの証拠から、国内約200の企業などへの一連のサイバー攻撃が「Tick(ティック)」と呼ばれる集団によって実行されたと指摘。背景にある組織として、青島市を拠点とする軍の戦略支援部隊「61419部隊」が関与した可能性が高い、と説明した。
松本長官は、サイバー攻撃への対応は国の安全保障上も重要な課題と指摘。官民の情報共有や、政府内や外国の治安機関との連携を図り、被害防止や攻撃の実態解明、取り締まりを進める考えを示した。

(以上)

日本はスパイ天国であることを証明した事件と言えるでしょう。
早くスパイ防止法でも制定すれば良いのに、企業もサイバー攻撃で受けるダメージが大きくなる前に法整備から要求した方が良いと思うのですが、産業界から政府に働きかけているという話はとんと聞きません。

Chinaという国には「国家動員法」とか「国家情報法」といった法律がありまして、China人民は世界のどこにいても本国の指令があれば国家のために活動しなければならないと定められています。この法律のことはあまり話題にされていないのですが、もっともっと話題にした方が良くないですかね。
ものすごくぶっちゃけて言うと、日中間に有事が発生したら彼らはたちどころに便衣兵となるということですからね。民間人のふりをした兵隊さんですよ。ほんでもって、日常的には産業スパイみたいなことを本国の指令でやっている。やりたくない人も家族を人質に取られてやらされている。普通に考えたらものすごくヤバイ状況だと思うのですが。
日本は平和ボケなんでしょうね。

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内容(実業之日本社HPより)

不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに罪を犯し逮捕されてしまった玲斗。
同情を買おうと取調官に訴えるが、その甲斐もなく送検、起訴を待つ身となってしまった。そこへ突然弁護士が現れる。依頼人の命令を聞くなら釈放してくれるというのだ。依頼人に心当たりはないが、このままでは間違いなく刑務所だ。そこで賭けに出た玲斗は従うことに。
依頼人の待つ場所へ向かうと、年配の女性が待っていた。千舟と名乗るその女性は驚くことに伯母でもあるというのだ。あまり褒められた生き方をせず、将来の展望もないと言う玲斗に彼女が命令をする。「あなたにしてもらいたいこと――それはクスノキの番人です」と。
『秘密』『時生』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に続く新たなエンターテインメント作品。長編書き下ろし。

曹源寺評価★★★★
東野圭吾作品のなかで、いわゆるファンタジー系の作品群がありますが、代表作といえば「ナミヤ雑貨店の奇蹟」や「時生」などがあります。ちょっと不思議な出来事を題材にしてほっこりと、そして泣ける作品として描かれます。
本書もまた不思議なストーリーとして読者を新たな世界に導いてくれます。
主人公の直井玲斗は早くに父と母を亡くして一人で生きてきた若者。事件を起こして起訴される寸前で伯母とされる人物によって救い出されるが、その交換条件となったのがクスノキの番人になることだった。
クスノキのある神社に泊まり込み、クスノキに祈念する人々のお世話をすることが彼に与えられた使命だったが、なぜ人々がクスノキに祈るのかは教えてくれない。玲斗は何も教えてくれない伯母にイラつきながらも従うことに。
祈念に訪れた人から少しずつヒントを得る玲斗。どうやら新月と満月の晩にやってくる人がほとんどなので、月の満ち欠けと関係がありそうだ。父親の祈念に疑いを抱く娘や、亡父の遺言でしぶしぶやってきた息子など、さまざまな人との交流で成長する玲斗だが、ある日、伯母に呼び出されて行くと、、、
この玲斗を主人公にして、不思議なクスノキとその恩恵にあやかろうとする人々との交流を描きます。クスノキのパワーとはどんなものなのか。そしてその番人の役割とは何か。クスノキを代々守り続けてきた柳澤家の事業も絡んで、心温まるストーリーが展開されます。
不幸な生い立ちの玲斗は、理不尽な解雇もあって事件を起こしてしまいますが、伯母である柳澤千舟に引き取られてこのクスノキの番人に指名されます。ストーリーの半分は玲斗の成長物語ですが、もう半分はクスノキに訪れた佐治親子などのストーリーです。親子のコミュニケーションとか家族の絆とか人生の目的とか介護問題とか事業承継とかいろいろなテーマが絡んできますが、これらについては

時折覗かせるドキッとするセリフがグッときます。

このクスノキのパワーと関係してくるのでネタバレになりますから書きませんが、もしも自分の近所にもこんなクスノキがあったら祈念したいものです。

#東野圭吾
#クスノキの番人
#長編ミステリ
#東野ファンタジー

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