ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

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2015年07月31日

書評635 藤井太洋「ビッグデータ・コネクト」

こんにちは、曹源寺です。

連日、死にそうなほど暑いですね。暑いうえに義実家の犬を預かっているものですから、寝不足気味でしょっちゅう眠いです。

昨日はたまたまテレビ東京の「カンブリア宮殿」を観たのですが、番組に登場されていた福島屋の会長がなかなかの傑物でいらっしゃいました。

年商は46億円ですからスーパーとしては中堅下位レベルです。しかし、会長がみずから全国各地に足を運んで取り寄せた素晴らしい食材を店舗にズラリと並べているというのは、大手では決してまねのできない差別化戦略であります。
お客さんがみな笑顔で、ここに来ると楽しいと言う。幸せな時間とまで言う。素晴らしいことですね。高級路線では成○石井とかザ・ガー○ンとか○浦屋とか明○屋とかうちの近所にもズラリとありますが、その商品に対する思い入れとか深い愛情とかはあまり感じられないですもんね。福島屋は実にうまいことやっているなあと思いました。
それに、自分のノウハウを他社に惜しげもなく公開するなんて、なかなかできることではありません。「福島塾」のおかげで黒字化した会社もあるとか、中小のネットワーク化によって大手に対抗する(対抗とは言っていませんでしたね。次世代のかたちだと言ってました)とか、なんだか久しぶりに面白いビジネスと面白い経営者に出会ったような気がしました。

それと、ひとつ再認識させられたことがありますが、それは「日本の中小企業ってスゲエなぁ」というやつです。それは福島屋だけではなく、地場で真摯に真面目に真剣においしいものを作っておられるメーカーさんがいっぱいいらっしゃることであります。いわしの削り節を作っている水谷商店さんが紹介されていましたが、手作業でいわしの内臓を取って天日で干して30年以上使い込んだ機械で削って、、、あぁなんておいしそうなんでしょう!日本の食卓を支える多くの中小企業さんが福島屋さんとともに愛され続けていくというのは、どこの国で作ったのか分からんようなものばかり取り揃えて安けりゃいいんだとばかりにやたら巨大化してしまったあの企業の対極を行っていて、ちょっと感動的ですらありました。どちらが日本のためになっているかといえば、そりゃもうね、言うまでもないですわぃ。






内容(文藝春秋HPより)
いま、そこにある個人情報の危機を描く警察小説
行政サービスの民間委託プロジェクトを進めるエンジニアが誘拐された。サイバー犯罪捜査官とはぐれ者ハッカーのコンビが個人情報の闇に挑む。


曹源寺評価★★★★★
「オービタル・クラウド」でブレイクした藤井センセーが、今度は警察小説に挑んだというのですから、それは読まないわけにいかないですわ。
京都府警のサイバー犯罪捜査官である万田警部は、個人情報を巧みに操作した振り込め詐欺の「サンマル名簿」を追いながら、官民複合施設「コンポジタ」でシステム開発の指揮を取っていた月岡が誘拐されたという事件が発生したことからこの事件に狩り出されます。その前に世間をにぎわせたサイバー犯罪「XPウイルス事件」で疑惑の渦中に一躍時の人となった武岱が、この誘拐事件を万田とともに追うようになります。
正直、ある程度のIT知識がないと分かる内容も分からなくなるくらい、専門的な会話がちらほらと出てきますので、碌にインターネットにも触れていないジイサンバアサンにはお勧めできない本です。
しかし、近未来を舞台にして、取り調べの可視化、IT土方の実態や果てしなく下へ広がる下請け構造、官のデータと民のデータが融合することによる技術的な弊害、戸籍上の外字問題、個人情報の取り扱いと認証制度とのインテグレーションで発生しうる可能性(というか問題)、などなど、ほぼほぼ現在の業界が抱える問題とリンクするような書きっぷりに多くのIT技術者は「その通り」と頷かざるを得ないでしょう。

エンジニアもSIerも必読

の小説ではないかと思います。
実際のところ、自分も外字の問題には頭を悩ませている一人です。人の名前は一番の難関ではないかと思っていたら、その通りの展開でしたのでちょっと溜飲が下がる思いです。渡辺さんの辺という字は、邊とか邉とかいっぱいあって36種類あると何かで読んだ記憶がありますが、それ以外にも龍の字の立というところの点が横に長いのが「ヨコリュウ」とか、静という字の月のところが円になっているとか、それこそ数えきれないくらいの外字があるわけでして、大日本印刷みたいな超巨大な印刷会社なら持っているようなフォントも、ITの世界ではIMEはもちろんのこと、ジャストシステムでさえもカバー率はそう高くはないでしょう。あの「超漢字」くらいしか対応できないような外字の世界を、フォント体系から手作りしようとしたら

そりゃ死にますわ。

そんなIT業界の闇の部分をフォーカスした小説が、警察小説のかたちで世に問うてきたのはやはりそうした時代が来たのだろうということだと思います。
いろいろとためになった小説でありました。

感想とは関係ありませんが。
よく警視庁が財務捜査官やサイバー捜査官を募集しています。待遇はたいてい警部補ですのでそれなりに高い階級ではありますが、警部に昇進する際には武道などの実績(なのか教科なのか)が必要になりますので、そのほとんどがこれ以上の昇進を望めないという、悲しい現実が横たわっているそうです。これは知らなかったゎ。





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2015年07月28日

書評634 米澤穂信「満願」

こんにちは、曹源寺です。

先々週あたりは岩手県矢巾町で中学2年生が自殺した事件があり、さらに栃木県佐野市のママ友2人が相次いで自殺したという事件が話題になりましたが、なんだかあっという間に沈静化しましたね。
この2つの事件は本当に胸糞悪いので、鬼女さんがネット上で追跡をかましてくれた記事などを流し読みして多少溜飲を下げたところであります。加害者を大筋で特定していてさすが鬼女〜と思いましたが、文春の記事などを読みますと、矢巾町のA君はみんなの前で泣きながら「いじめじゃなかった」と主張したとか、被害者の父がDV野郎だったとか、被害者は煽り耐性に欠けていたとか、中立を気取ったというより事実のみを淡々と記述しただけの記事に、あぁいかにも東北地方だなあと変な感想しか浮かびませんでしたよ。
加害者はたいていの場合において脳内変換して「あいつにも悪いところがあったんだからしょうがないよね」と自己正当化しようとします。これも度を過ぎれば「自己愛性人格障害」という立派な心の病気と診断されます。謝ることができない人、なんでもかんでも言い訳する人などはそうしていないと自己が崩壊してしまうので本能的にそうしているんですね。いやぁ、崩壊してほしいわ。
岩手日報の記事にはこんなものがありました。
中総体でやじ、生徒へ影響懸念 矢巾・中2自殺問題(2015年7月24日版)
21日の県教育委員会議で、八重樫勝教育委員長が矢巾町の中学2年の男子生徒がいじめを苦にして自殺したとみられる問題で「県中学校総体で(男子生徒が通っていた)学校の生徒に『お前ら出る資格があるのか』などとやじを言った大人がいると聞いた」と指摘する一幕があった。同問題の影響は学校の内外に大きく広がり、生徒は学習や部活動などで不自由な学校生活を強いられている。保護者からは子どもの状況を案じる声が聞かれ、学校への一層の支援が必要だ。(以下、略)

さっそく始まりました。まあ、加害者はこうして一生おびえて暮らせばいいんじゃね?と思ってしまいますわ。矢巾町の件よりも佐野市の件のほうがあまり記事になっていないので、なんだか消化不良です。こっちの方もガンガンいってほしいです。





内容(新潮社HPより)
人生を賭けた激しい願いが、6つの謎を呼び起こす。期待の若手が放つミステリの至芸!
人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは――。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、フリーライターなど、切実に生きる人々が遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジック。「日常の謎」の名手が描く、王道的ミステリの新たな傑作誕生!


曹源寺評価★★★★★
昨年の「このミス」「文春ミステリ」でいずれも第1位を獲得したのが本書であります。短編6作品を収録しており、そのいずれもがハイレベルで心にグッと残るような、米澤センセーらしい後味悪い、いやちょっと表現が違うな、

最後にブルッっとくる作品

といったほうが的確な、そんなラインナップです。
交番勤務の警察官が主人公、でも「警察官になってはいけない人」というのは確かにいます。そういう人の末路を描いたのが「夜警」。自殺願望の人が好んで宿泊する温泉宿で、遺書が発見された。誰が書いた遺書なのかを突き止める「死人宿」。ダメな夫と離縁したものの娘二人の親権で揉める「石榴」。総合商社に勤務する主人公がバングラディシュで犯した罪とは何か、そしてなぜ主人公は追い詰められたのかを描いた「万灯」。伊豆半島の狭い峠道で謎の転落事故が相次ぎ、都市伝説として取材を始めた主人公に降りかかる災難を描いた「関守」。そして、弁護士志望の苦学生を主人公に、以前世話になった女性がなぜ殺人を犯したのかを探る、表題の「満願」。
いずれも完成度が高く、さらっと読みやすいけれどもグッとくるものがあります。それは単に「後味悪いわ」というレベルではなく、あとになってジワジワくるというか、もうこうなるしか道はないわなぁというか、なんだか良い表現が見当たらないのですがどうしましょう。
非常に運命論的ではありますが、どこかで一線を越えてしまったというものではなく、最初からこうなる運命にあったのではないかという、ある種の諦念が漂っていて、そのうえで何ともやりきれない感情が芽生えてしまうのであります。
そう、この感覚はかなり独特です。米澤センセーのファンはおそらく、

こうした不条理な諦念感に浸りたい

がために彼の作品を読むのではないかと。はまってしまった人はご愁傷様です。自分は、と聞かれたら、そりゃもうね、はまっていますよ。オワタ、オワタ。。





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2015年07月24日

書評633 横関大「スマイルメイカー」

こんにちは、曹源寺です。

日経新聞が英フィナンシャルタイムズ社を1,620億円で買収するというニュースを、日経自ら大きく発信していました(笑
これって、「オイラ、高い買い物しちまったぜテヘペロ」っていうことですね。
FT社にしてみれば、非英語圏の企業に買収されるなどとは夢にも思わなかったでしょう。まあ、欧米のマスメディアはどいつもこいつも経営がズタボロで、一番キャッシュ持っているのは日本のメディアですから、こればかりはしょうがないと思いますが。
それに、FT社の新聞発行部数は35万部程度で、日経は273万部ですから、知名度とは逆で日経のほうが大きな魚であります。というか、日本の新聞発行部数が世界的に異常なわけでして、英国全体でも新聞発行部数はせいぜい1,000万部です。日本は読朝毎だけで1,500万部くらいいきますから、いかに日本人が新聞買っているのか良くわかりますね。
新聞協会は「この高い購読率が日本社会の高い知性を維持しているのだ」と自慢していますが、日本の発行部数はいわゆる「押し紙」(新聞社によっては「予備紙」と呼んでいるらしいです)が混ざっていますから直ちに信用できないのも事実です。実際には3割り増しくらいと思って良いかと。
日経の記事を読むと、電子版の話をやたら強調しているのが分かります。そりゃ紙媒体だけで見たら国内の地方紙レベルですから「この買い物高すぎるでしょ」となってしまうわけで、電子版を日英で強化していくという方向性は理解できますが本当に高い買い物になりはしないか、ちょっとだけ心配です(いや、心配であないな。生暖かく見守っていきましょう)。





内容(講談社HPより)
家出少年が、濡れ衣を着せられた犯罪者が、バツイチの女性弁護士が、右手を上げてタクシーを止める。少年はなぜ失踪し、タクシーが消え、思わぬ真実が待ち受ける。感動と興奮の書き下ろし長編ミステリー!
――子供だろうが老人だろうが、テロリストだろうがロマンチストだろうが、金さえ払ってくれれば誰でも乗せる。そしてどんな人間でも、このタクシーから降りるときには必ず笑顔になる。それがスマイル・タクシーだ。(本文より)


曹源寺評価★★★★★
横関センセーの新刊(2015年5月)は、例によって読みやすい軽めのお話でありました。が、今回はちょっと凝った作りこみになっていましたので評価は高めです。正直、面白かったです。著者の最高傑作ではないかと思います。
ストーリーは主人公の五味省平が操る黄色いプリウスがある日、一人の少年をタクシーに乗せることから始まります。そして、袴田博史、香川景子のそれぞれが運転するタクシーと合わせてつごう3台のタクシーがお客を乗せつつも、事件とともに交錯していくことになります。
なぜ五味のタクシーは姿を消したのか、なぜ景子のタクシーは成岡弁護士を乗せることになったのか、なぜ袴田のタクシーは手塚マリを乗せて走っているのか。すべての謎が明らかになる時、その計画(と言ってよいかと)が見えてくるのですが、中盤から後半にかけてようやく少しずつ見えてくる真相も、

読者を2回もミスリードしながら

最後の最後はすべて納まるところに納まるという見事な筆捌きです。伏線も回収してラストはハッピーエンドという、読んで楽しい作品に仕上がっています。
最後の最後、読者を騙していた内容が明かされた時には思わず二度読みしてしまいました。

くっそ、やられたwww

(以下、ネタバレしそう)そうだよな、心臓移植に必要な脳死患者の心臓をタクシーが運んだというエピソードはバリバリの伏線だよなぁ。
読者にしてみれば、この騙されっぷりがかえって清々しいくらいです。





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2015年07月21日

書評632 建倉圭介「ブラックナイト」

こんにちは、曹源寺です。

梅雨が明けて本格的な夏の到来となりましたが、一気に暑くなって身体が追いつかない状態ですわぃ。エアコンも一個壊れたみたいですので、寝苦しい夜が続いています。
このところ、冷蔵庫が壊れ、洗面台のシャワーヘッドが壊れ、オーディオもだいぶヤバくなってきて、あちこちで故障が続いています。ムムム、なんとかしなければ。

ところで、新国立競技場は白紙になりましたね。首相のリーダーシップに拍手ですが、安保法案最優先だったからか、対応はやや遅めでした。それに、本来リーダーシップを発揮すべきは文科相だと思います。文科省には利権の臭いがプンプンしますね。それと、あとになって文句ばっかり垂れているのが東京都知事であります。自分のところで金を出せば多少はやりたいこともできたでしょうに、それをグチグチとアヤをつけては何もやろうとしなかったわけですから、「お前が主催者だろう」といわれてもしょうがないと思います。
あまりにも近未来的なデザインはあの地区に似合わないので、変更になって本当に良かったです。





内容(光文社HPより)
財政危機にあえぐ大手住宅メーカー・カナエホーム。メインバンクが出した融資の条件は、現社長・岡林重雄の影響下にない人間を新社長にすることだった。苦渋の決断で選ばれたのは、寒地研究所に飛ばされていた元執行役員の堂島充。人を食った態度の堂島は、周囲の反発をものともせず、かつて人事考課でダメ出しされた社員ばかりを登用するなど、奇抜な改革案を進めていく。
そんななか続々と社内の不祥事が明るみになり、極秘プロジェクトの情報もリークされてしまう。堂島は、元運転手の社長秘書・新藤茂人に、真相を探るよう指示を出す。一方、人事部の河埜梓は、1か月前に自殺した社員の周辺を調べるうち、不審な点が多くあることに気づき――。


曹源寺評価★★★★★
建倉センセーは年に何冊も書き上げる御仁ではありませんが、その代わり、綿密な取材を積み重ねたことがよく分かるほどかっちりとした内容、良く練りこまれたストーリー、ディテールにこだわった伏線、ハートを直撃するラスト、そして難解な単語を使いながらも読みやすい文体、などなど、面白い要素が満載ですので必ず読むようにしています。
本書は大手ハウスメーカーを舞台としたミステリであります。ビジネスモノでしっかりとしたストーリーを組み立てるセンセーのうちでは真保裕一、楡周平、真山仁、池井戸潤の各センセーあたりが個人的には好きですが、本書はこうしたセンセー方の名作にもまったく引けを取らない素晴らしい作品ではないかと思います。
建倉センセーは冒険小説「デッドライン」が素晴らしかったのであっという間にファンになりましたが、その後の「マッカーサーの刺客」や「東京コンフィデンス・ゲーム」も良作でありました。そして本書です。ハウスメーカー、カナエホームに降りかかる災難の数々は、実は仕組まれていたものだった。背水の陣で建て直しを命じられた新社長と社長秘書、社員の自殺の真相を探っていくうちに数々の疑問が生じてくる人事部、取引の見直しを主導する資材部にはなぜか仕入先からの一方的な値上げ申請が。執行役員が痴漢容疑で捕まり、偽装建築の疑いもかけられ、広報宣伝部を含む若手・中堅社員のそれぞれが事件に巻き込まれていく(というか事件の真相に近づいていく)過程は、それぞれがバラバラでありながら、後半になって一気に収斂していきます。そして見えてくる巨大な敵の姿。大掛かりな仕掛け。新社長、堂島の手腕。

いやぁ、組み立てが素晴らしいなあ。

しかも、これだけ多くの登場人物がありながら決して読みにくくない。むしろ一気読み。
(以下、ネタバレ気味)ハウスメーカーの業界があまりにもリアルすぎて、ジョーワ自動車の住宅子会社なんて、まんまト○タホームじゃねえか、と思わせる記述で建倉センセー大丈夫かい?とちょっと心配になるレベルです。
でも、このリアルさが建倉センセーのウリなのかもしれません。つまり、センセーの著作はそれなりに専門知識のある中高年向きと言えるでしょう。コアな世代をガッチリつかめば建倉センセーはもっともっとビッグになるかもしれないですね。
本作は実に2年半ぶりということで、遅筆なのか綿密すぎる取材のせいなのかわかりませんが、もうちっとペースを上げてほしいと思います。





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2015年07月17日

書評631 馳星周「アンタッチャブル」

こんにちは、曹源寺です。

7月1日の報道にありましたのが、日本弁護士連合会(日弁連)が弁護士から提訴されたというニュースでした。
いわく、日弁連が発表している政治的な声明は弁護士自治とはまったく関係がなく、正規の手続きを踏んで出されたものでもないため違法である、として、南出喜久治弁護士が個人として提訴したものです。

日弁連って強制加入なんですね。日教組だってユニオンではありませんので、そりゃ権力持っているわけですわ。その日弁連が、もし提訴内容の通りであったとするならば、意見書や会長声明などはすべて正当な手続きを踏んでいない違法行為となるというわけです。提訴されてから中の人は相当あせっているのではないかと思います。
そんなに意見を言いたいならば、別の任意団体でも作ってから言えばいいのでは?という主張は至極正論でありましょう。
たとえば、弁護士法が改正されるとか、弁護士の権限が変更されるとか、そういった自身の利益に関する業界団体的なロビー活動については、他の業界でも普通に行われているわけですから別に問題視されることはないと思いますが、そうではなくて、エネルギー需給に関する意見書だったり、教科書検定に関する意見書だったり、リニア新幹線の見直しを求める意見書だったりと、本当に弁護活動と関係あるの?と首を傾げたくなるような内容の意見書がやたらと出されているわけであります。

日弁連ってそんなにヒマなのか

と言っているそばから、NHKで「日弁連「採決強行に抗議」と決議」と報じられました。

ヒマだったwww

強行採決に抗議するのは弁護士活動とどう関係するのでしょうか。本当に理解できません。強行採決なら民主党政権時代の悪行の数々にも抗議するべきではないかと思いまっせ。






内容(毎日新聞出版HPより)
警視庁公安部の「アンタッチャブル」と捜査一課の「落ちこぼれ」コンビが巨大テロ脅威に挑む。馳星周の新骨頂、ファン待望の公安エンターテインメン ト!
容疑者追跡中に人身事故を起こした捜査一課の宮澤に、異例の辞令が下った。異動先は警視庁公安部外事三課。上司は公安の「アンタッチャブル」―― かつては将来の警察庁長官と有望視され、妻の浮気・離婚を機に、「頭がおかしくなった」とうわさされている椿警視。宮澤に命じられたのは、椿の行動を監視・報告すること。椿とともに、北朝鮮のスパイと目される女の追跡をはじめるが......
疾走するストーリーに、一筋縄ではいかない人物たちが次々登場。
数多のトラップ、ラストの大どんでん返しまで一気読み必至のコメディ・ノワール!


曹源寺評価★★★★★
今年度の直木賞候補作にして馳センセーの警察小説ともなれば読まずにはいられません。馳センセー、久しぶりでした(直木賞は受賞ならず残念)。センセーの作品はノワールの極みみたいなところがあって時に何とも重苦しい作品があったりするのですが、本書はなんというコメディタッチでしょうか。
いや、全体に漂う雰囲気は間違いなくノワールなのですが、ストーリーといいキャラクターといい、会話の妙といい、ドタバタ活劇なのであります。このコメディとノワールの融合というのはかなり新鮮です。しかも警察小説ですから。
この舞台となっているのがいわゆる公安で、刑事と公安の仲みたいなものはまあ鉄板ネタではありますが、従来の警察小説を覆すあまりにもシニカルな内容に

これ以上は望めないアイロニーを感じました。

いわゆる大草原不可避というやつですな。
ストーリーの途中、ところどころに嘘と本当が混ざっていて、果たしてどちらの言うことが本当なのだろう?と考えさせられながらも、ストーリーはとことんハイスピードで疾走していくので、本当に一気読みです。
馳センセーといえば、破天荒なストーリーだったり、ややアングラな世界をディープに書いたり、救われないような悲惨さを折り込んだ悲喜劇だったりすることが多いという印象ですが、本書はかなりコメディ寄りです。この疾走感はたまりません。読んで正解でした。





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2015年07月14日

書評630 永瀬隼介「ダークシティ」

こんにちは、曹源寺です。

新国立競技場の見積もりが積もり積もって2,500億円を超えて、さらに積みあがるというニュースが駆け巡っています。
6年前に完成した広島のマツダZOOM-ZOOMスタジアムだって110億円で完成したというのに、どうしてこうなるのでしょうか。イラク人のデザイナーの問題ではなく、また、これを承認した安藤忠雄(見事に晩節を汚しましたな)の責任でもなく、JOCでもJSCでも文部科学省でも東京都でもないとなれば、だれが責任を取るのでしょうか。
まあ、責任はさておいて、自分が気になるのは「総工費の内訳」であります。
屋根部分だけで950億円かかるという分析は分かりますが、逆に基礎部分に1,550億円以上かかるのはなぜなのか?資材の調達費やら人件費やらだけでこんなに高くなるものなのか?疑問に応えてくれる調査報道は皆無であります。
これ、基礎部分高すぎるでしょう。斬新な屋根部分だけに論点が絞られている報道が多いのですが、基本設計が高すぎると思います。基礎部分は大成建設が請け負うそうですが、ここに関して報道各社は切り込んでいますか?

最近はこういったミスリードが目についてしょうがないんです。
同じような事例としては、安保法案に関する「憲法違反」の意見表明にもあります。憲法学者は法案のどの文案を指して憲法違反としているのか、具体的に「この条文の○○の部分が憲法○条に違反している」といった指摘とその報道が見当たりません。

こうした具体性に欠ける報道は、国民の感情に訴えるだけのアジテーションであるといわれても仕方がないのではないかと思います。もっと調査報道しろよ、と声高に言いたい今日この頃です。






内容(PHP研究所HPより)
犯罪史上最高額6億円強奪事件発生!!
しかし報道もされず、警察も動かず、襲撃された警備会社は翌日も通常営業――。
東京の郊外で、警備会社からの現金6億円強奪に成功した翔太だったが、逃走中に何者かによって襲撃を受け、仲間が射殺され、現金も奪われてしまう。一夜明け、からくも逃げ切った翔太が目にしたニュースは、仲間の射殺事件だけで、現金強奪事件の報道はされないまま。ジャーナリストの級友の力を借り、真相を究明しようとする翔太たちの前に、FBI帰りの謎の男が現れる。そんな中、また新たな刺殺体が発見され……。
翔太が手を出した「6億円」に隠された真実とは。
闇社会と癒着した刑事、暗躍する新興犯罪集団、すべてを見届けると覚悟を決めた男と女。
欲望と狂気が交錯する街で繰り広げられる超弩級のサスペンス長篇。
――明日の太陽を拝めるのは誰だ!?――


曹源寺評価★★★★★
永瀬センセーの最新刊ですが、いつものようにいつもの配役で、いつものような展開でありました。何というか、定番もここに極まれりといった感がありますな。
すなわち、
小心者の主人公(今回はチンピラというかそれ以下)
シャキシャキの女性(今回はバツイチの元通信記者)
ガタイが良く押しの強いキャラ(今回は主人公の幼馴染だが警視庁警部)
本書ではこれに、主人公と似たような立ち位置の若手刑事が加わります。
永瀬センセーのこの定番路線は近年で言うと「12月の向日葵」「三日間の相棒」「私が殺した男」あたりがまさにそれです。
東京郊外の合併都市、絆市でその日暮らしを続けるダメ男の玉山翔太は幼馴染のチンピラ・金光直樹から警備会社に忍び込むプランを提示され、二人で実行する。金額は想定外の6億円。まんまと成功するが謎の二人組に襲われ、6億円を奪われ直樹は射殺される。翔太は逃げたが、手許にちょろまかした200万円で借金を返済する。しかし、カネの出所を闇金に疑われ、その闇金ルートで翔太の正体がばれ、、、というストーリーです。
翔太は主人公ではあるのですが、もう一人、所轄刑事の沢木祐二が似たようなキャラクターで途中から主人公っぽい立ち位置に収まります。このへんはなんだか新しい手法にも思えますが、キャラがかぶるだけならあまり意味がないのかなとも思います。
そしていつものように、派手なドンパチをやらかします。地元のヤクザ、新興暴力集団、ヤクザと結託した警察、本部から派遣された敏腕警部、それぞれが異なる立ち位置にいますが、最後のほうは混沌としていて

どうやって収束させるのだろう

とワクワクさせてくれます。このへんはまるで大沢在昌センセーのようであります。
この手の作品は落としどころが難しいと思うのですが、最近の永瀬センセーは登場人物をうまく捌いて落とすところに落としていってくれますので、安心して読むことができます。
ただ、逆に初期の作品(デッドウオーターなど)のように、心を抉られるようなラストにはなりにくいですね。たまにはあのような作品で読者にぶつかってほしいなんて思ったりもします。





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2015年07月10日

書評629 若杉冽「東京ブラックアウト」

こんにちは、曹源寺です。

東芝の「不適切な会計」問題は一向に終息しないですね。なんだかんだとやっているうちにいつの間にか2,000億円規模の「不適切な会計」になっています。2,000億円もの企業会計、売上高ではなくて最終損益としてそれだけのぶれ幅があったら、本当は「不適切な会計」なんて言っていられないものですが、今でもマスゴミは「不適切な会計」としか言わないですね。不思議ですね。おかしいですね。
不適切な会計<<<<<超えられない壁<<<<<粉飾決算
なんで粉飾決算という単語を使わないのでしょうか。どの記事にも粉飾のふの字も出てこないですね。
これと同じなのが、
所得隠し<<<<<越えられない壁<<<<<脱税
というやつですね。この扱いの差はいったいなんだろうと思ってしまいます。
これ、「粉飾」だったら絶対社長と会長逮捕ですよ。ライブドア事件では53億円の「粉飾」で堀江社長は逮捕されました。東芝は桁が違います。2つも。堀江社長がちょうどツイッターで文句垂れていましたが、彼には文句を言う権利がありそうですね。

ところで、今週は中国の株式市場が一気に暴落しました。国内の株式市場にも波及していますが、昨日は逆に盛り返したりしてなんとか持ちこたえているようですね。
でも、たぶんダメだと思います。中国政府は禁じ手を使ってしまいましたから。半分以上の銘柄について売買を禁じるなんて、さすが一党独裁、人治主義の国。
もしかしたら、上げすぎた株価を是正する、いわゆる調整局面だったのかもしれないのですが、こんな禁じ手を使ってしまったらもう信用は完全に失われたでしょう。国内の個人投資家はともかく、外国人機関投資家などは中国市場に投資できなくなったことでしょう。欧米や日本のコンプライアンス意識とは真逆にあるような市場にお金を落とすことは、リスクヘッジできない市場にカネを垂れ流す所業とみなされますので、株主が黙っちゃいないですよ。
あぁ、なんだか世界の終わりの始まりを見ているような気がしてなりません。






内容(講談社HPより)
大ベストセラー『原発ホワイトアウト』を凌ぐディテールと迫力!! キャリア官僚が書いたリアル告発ノベル、最新作!
「原発再稼働」が既定路線のように進む日本……しかし、その裏には真っ黒な陰謀が渦巻いていた!
いったん「原発再稼働」を認めれば、「発送電分離」は不可能となる……そのカラクリを暴いていくと驚愕の真実にぶち当たった……そう、「原発再稼働」で殺されるのは、大都市の住民だったのだ!!
自分の家族の命と財産を守るため、全日本人必読の書!
第1章 避難計画の罠
第2章  洗脳作業
第3章  電力迎賓館
第4章  発送電分離の闇
第5章  天皇と首相夫人と原発と
第6章  再稼働に隠された裏取引
第7章  メルトダウン再び
第8章  五〇人の決死隊
第9章  黒い雪
第10章 政治家と官僚のエクソダス
第11章 無法平野
第12章 裏切りの国政選挙
終 章  東京ブラックアウト


曹源寺評価★★★★★
原発ホワイトアウト」に続く現役官僚・若杉冽センセーの告発本であります。
第1弾がかなりセンセーショナルだっただけに、本書もまた話題を集めました。しかし、原発再稼働への動きは止められそうにないですね。現実は本書の通りに動いています。
前半は例によって、霞ヶ関で暗躍する資源エネルギー庁の役人、日本電力連盟という謎の任意団体常務理事の癒着構造などをリアル(なのかどうか分かりませんが)に描き出しています。
そして後半はまたしても送電線破壊→電力供給ストップ→冷却できず→あぼん、という事故の様子からの日本崩壊を予感させるような描写が続きます。
送電塔一本を倒壊させただけで原発はメルトダウンさせることができる、という前作からの内容は踏襲されていて、政治家−電力会社−霞ヶ関のトライアングル構造という「業界の闇」についてもより赤裸々に描かれています。
つまり、本書は「原発ホワイトアウト」の焼き直しです。単なる焼き直しだったら

刊行する意味ないじゃん

、と思うのですがどうなんでしょう。
あ、つまりこういうことですね。
本書はストーリーを読むのではなく、個別の「電力モンスター・システム」につながる個々の事例を読み解け、ということであります。発送電分離を骨抜きにする法案への段取りだったり、脱原発はいいけど共産党はNGだから「即時ゼロと言わなければ支援する」と懐柔案を展開させたり、原発再稼働に反対する知事はスキャンダルで追い落としたり、と、こうした裏工作はすべて電力モンスター・システムという名のドロドロとした業界の仕業でありました、ということです。
それにしても、本書のツッコミどころは大変なものです。ここまで天皇陛下にいろいろなことを発言させておいて(まあ小説だからいいかと思いながらも、あそこまで陛下の心情を語らせることに何か意味があるのかね)、最後は「請願しる」といわんばかりの宛先表示だったり、新潟刈羽崎原発(本書では新崎原発)があぼんして関東平野全滅→京都へ遷都という荒唐無稽(冬だったら日本海の雪雲は関東に来ないでしょうに)だったり、作者は東大卒の現役官僚の癖にこの辺のディテールが甘すぎです。小説家を気取るなら、しかもクライシスシミュレーションを語るなら、もっと綿密に調査すべきではないかと思います。






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2015年07月07日

書評628 大倉崇裕「BLOOD ARM」

こんにちは、曹源寺です。

書籍取次会社の栗田出版販売が先日、民事再生法の適用を申請し事実上倒産となりました。出版業界では近年なかった大型倒産であります。
取次としては一時業界第4位の座にありましたが、直近の売上高は329億円とピーク時(1991年に701億円)の半分以下となっていたのですから、当然といえば当然です。本日、債権者集会がありまして、弁護士センセーによる今後の方針が説明されました。だいぶ紛糾したようですが、今後は第2位の日本出版販売(の子会社)と第3位の大阪屋の支援を受けて再建するということであります。

ただ、その再建内容をみるとどうにも酷いです。
すなわち、業界でいうところの「委託販売」とは名ばかりで、実態は売買契約であるから返品はできません。解約の権利は買い手側にしかないので解約はしません。今後は引き続き新刊や週刊誌も扱うけれど、キャッシュオンデリバリーには応じられません。本社物件も売却済みだから、さしたる資産はありません。
あぁ、これってもう存在価値ないですわ。取次会社って要するに出版業界の商社機能なわけでして、信用とか金融とかの機能を失ってしまっては何の存在意義がありましょうかと。というか、もう大阪屋が負債とともに買うしかないんじゃないか。
まあ、出版社も一時的には貸し倒れになるので中小は資金繰りに詰まるところが出るかもしれませんが、他の業界と比べて売った商品がどこかに散逸してしまうといった心配がないところが救いかもしれないですね。業界みんなで痛みを分かち合うしかないという、なんともすっきりしない後始末になりそうです。
ただ、こんなスキームをやってしまったからには、今後もしまた取次会社が倒産した場合はこれと同じ手法が取り入れられることは間違いないでしょう。版元にとってはあまりにも痛い内容がスタンダードになってしまうわけです。
つまり、取次がヤバイ→法的申請して在庫は凍結しよう→版元には返品しないよ→債務はカットね→大手取次が安く買い叩き合併→これで出版システムは安泰じゃ
まるで計画倒産のようですが、実際のところ同じような動きは公的資金を入れて再生したあの業界にも見られました。Too Big To Fail。大きすぎて潰せない。業界の秩序維持を優先させようとするとこうなる、というどこかで見た光景が繰り返されるわけですね。
あー、なんだかムナクソ悪いわ。






内容(KADOKAWA HPより)
ある山々に囲まれた地方の街で不可解な地震が頻発していた。ガソリンスタンドでアルバイトをしている沓沢の周りでは、奇妙な出来事が次々と起きていた。そして山へ向かった沓沢は、恐るべき現象に遭遇する。


曹源寺評価★★★★★
大倉センセーが結構なペースで書き上げてくれています。絶好調なのでしょうか。最新刊はこれまでの作品とは一線を画すような、かなり思い切った路線に足を踏み入れてきました。
ガソリンスタンドでアルバイトをしている主人公の沓沢は、山の上の集落に届け物をしに行くが、村人が全滅しているところに遭遇する。そこにいたのは・・・
という展開です。最初はホラーかなと思っていたら、なんとSFだったわ。いやSFというよりは角川アニメ、いや待てよ

円谷作品じゃねえかこれ

という感じで話が二転三転していくので、読み始めの印象と途中からの展開が違いすぎて、ついていくのが
大変です。読みやすいのでなおさらです。
ちょっとだけネタバレですが、
もしかしたら「ウルトラQ」のオマージュではないかと思えるような、秘密結社と美女と超科学兵器のコンボに、大倉センセーが同世代だったことを思い出させてくれました。
でも、ラストは円谷プロではなく

永井豪とダイナミックプロでした(爆

って、どんなオチだよ。
ほかにもツッコミどころ満載ではあります(エネルギー保存の法則とか警察はどうしたとか)が、設定やら展開やらはそれなりに楽しいです。






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2015年07月03日

書評627 井上夢人「the SIXザ・シックス」

こんにちは、曹源寺です。

百田直樹氏や自民党議員の「マスコミを懲らしめろ」発言がバッシングとなって自民党に返ってきております。そりゃそうですわな。たとえ自らが手を下さなくても政治家が「〜しなければならない」とか「〜しろ」とか発言すれば政治的圧力と取られても仕方がありません(まあ、それさえも言っていないみたいではありますが)。なにしろマスコミは情報の切り貼りが得意技なんですから、たとえ真意が別のところにあったとしても言質を取られないように発言するのが彼らをうまくあしらうコツなわけであります。
masugomi.jpg
ましてや、安保法案を通したくてしょうがないときに左翼系マスコミは「待ってました」と揚げ足取りに来るのは分かっていなければならんのでしょう。
菅官房長官はコメントをする際にはものすごく慎重な言い回しをします。そこには希望も願望も個人的心情も一切排除され、事実のみを淡々と述べる。余計な形容詞はつけない。同じような質問を延々と繰り返されても、同じように淡々と答えるのみ。余計な言質を与えないうまさがあります。
ですから、マスコミとケンカしたかったら、
@具体的に事実のみを指摘し、
Aどのように間違っているのかを冷静にかつ淡々と、それでいてしつこく繰り返し説明する、
という作業が必要なのだろうと思います。

我々はインターネットを手に入れてから、マスコミが「報道の自由」ではなく「報道しない自由」を駆使していることを知りました。今回の件で言えば、百田センセーは「沖縄の2紙をつぶせ」と言いましたが、同時に「地上波の既得権もなくしてもらいたい」という発言もありました。でもこちらは一斉にスルーです。地上波の既得権とはいわゆる電波利権の問題ですが、放送作家という肩書きをお持ちの百田センセーが言ってしまって大丈夫なのかは別にして、本当は電波オークションとか広告税とかクロスオーナーシップとか、禁句がいっぱいあるはずですので、このへんも攻めどころではないかと思うのであります。言ったら逆に報道されないでしょうからね。

マスコミ「この発言は政治的圧力と取られても仕方がないのでは?」
議員「押し紙!」
マ「報道の自由をどのようにお考えですか?」
議「電波オークション!!」
マ「権力の濫用という意見も聞かれますが?」
議「クロスオーナーシップ!!!」
いっぺん、こういう会話を流してほしいゎ。





内容(集英社HPより)
予知能力で、あした起きることがわかってしまう少女、他人の心の声が頭に流れ込んでくる少年など、特殊な力を持った子供達を描く感動作。文庫『ラバーソウル』も注目を集める著者の久々の単行本。

曹源寺評価★★★★★
連作短編です。巻末をみると、『小説すばる』に掲載された2007年4月「あした絵」からはじまり、2013年7月「聖なる子」までの6作品を単行本化したものであることがわかります。
この6作品、それぞれ登場人物が異なります。予知能力であした起こる事件や事故を絵に描く少女の物語「あした絵」、他人の心の声が否応なしに聞こえてくる少年の苦悩を描く「鬼の声」、感情が高ぶるとかまいたちのように空気でモノを切り裂くナイフが飛び出てしまう少年の「空気剃刀」、とんでもない数の虫が集まる少女(というか幼女)の力を利用しようとした少年の物語「虫あそび」、静電気を帯電しすぎて大変な少年が巻き起こす騒動「魔王の手」、どんな病気でも治癒させてしまう少女と、前段の5人が終結する「聖なる子」。
この超能力者ともいえる6人のうち、少なくとも4人は自身の能力をうまくコントロールできずに悩み、引きこもったり不登校になったり、あるいは養護施設から脱走したりします。
これを救うのが雑誌編集者の増山五郎とそこで連載執筆している飛島潤であります。同じような悩みを持つ少年少女のことを記事にして、共感を持たせることを救いの第一歩としています。
で、ここで終わりなんだよなぁ。この6人が終結して最後はトンネル崩落事故から人を救出したりしますが、それだけ。
それぞれのエピソードが興味深いので楽しく読めるのですが、短編なだけにあっさり感が強いです。そのうえ、最後は集まってなにかやってくれるのかと思いきや、ちょっと拍子抜けな感じで終わりますので、

井上センセーは果たして何を書きたかったのか

がイマイチよく分かりませんでした。
大人が分かってやらないと子供は歪んでしまう、というテーマならもうおなかいっぱいです。
それと、超能力という単語と増山という名前がくっつくと、誉田哲也センセーの「増山超能力師事務所」を想起してしまいます。コラボでもなんでもないのにこの符号。面白いですね。





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posted by 曹源寺 at 14:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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