ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

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2015年11月27日

書評667 薬丸岳「アノニマス・コール」

こんにちは、曹源寺です。

中東情勢を巡る動きがかなり急速で、すわ第三次世界大戦か?と思わせるような不穏な動きになっていますね。トルコとロシアの「血のバランスシート」には一定の歯止めがないとエスカレートしそうです。
日本はトルコと仲良しですが、現政権はかなり急進的ですしISの石油を買ってEUに横流ししているという噂もありますので、ここでは一定の距離を置かないとあとで痛い目に遭いそうですね。

一方のロシアはISもシリアの反政府組織も一掃したいのでトルコが邪魔でしょうがないわけですが、トルコはNATO加盟国なので簡単には手が出せません。トルコはロシアの爆撃機を撃墜後はNATOをちらつかせてロシアを牽制しているのですね。つまり、集団的自衛権の行使です。
さあ、今年日本で散々話題になった集団的自衛権の行使ですが、今まさにトルコがこれを行使しようとしたわけですよ。トルコvsロシアだけならどう考えてもロシアの圧勝ですが、集団的自衛権によってロシアvsNATOになってしまうわけですから、ロシアにしても簡単には宣戦布告などできないのであります。
いまのところ、この集団的自衛権のおかげで戦争は回避されているという状況です。戦争の抑止力としてリアルに目の当たりにしている我々ですが、これを詳細に報じているマスゴミはやはり皆無です。自分としては報ステの古舘とNEWS23のヒゲ岸井あたりにぜひコメントしていただきたいと思いますゎ。


内容(KADOKAWA HPより)
3年前のある事件が原因で警察を辞めた真志(しんじ)は、妻の奈緒美と離婚、娘の梓と別居し、自暴自棄な生活を送っていた。ある日、真志の携帯に無言電話がかかってくる。胸騒ぎがして真志が奈緒美に連絡すると、梓は行方不明になっていた。やがて、娘の誘拐を告げる匿名電話(アノニマス・コール)があり、誘拐事件は真志がすべてを失った過去の事件へつながっていく。一方、真志を信じられない奈緒美は、娘を救うため独自に真相を探り始め――。
予想を裏切る展開の連続と、胸を熱くする感涙の結末。今年度No.1のサスペンス長編!!


曹源寺評価★★★★★
少年犯罪や贖罪、懲罰の是非などをテーマにした作品が多い薬丸センセーが、久しぶりにノンストップなサスペンスを書き上げてきました。テーマは誘拐です。タイトルは「匿名の電話」ということでしょう。本書の最大のキモは誘拐犯との攻防だけでなく、警察との駆け引きも交えているという点にあるかと思います。
主人公が警察に報せずに自分達だけで犯人を捕まえようとするお話は他にもあったような気がするのですが、思い出せません。本書では警察に報せることができない特別な理由があるというところが面白い点ですが、それがラストの結末にまで尾を引いているのも興味深いところです。
主人公の朝倉真志は元刑事、妻の奈緒美も元警察官です。娘が誘拐され、1,000万円を要求される。犯人の周到な計画により振り回される真志は警察に頼れない理由があるため、刑事時代に知り合った便利屋(!?)の岸谷に協力を仰ぐ。同じ工場に勤務する戸田も協力し、3人で犯人を追い詰めていくが、犯人の狙いが分からない。ラストまで一気に疾走する誘拐サスペンスであります。
3年前の事件の真相と複雑に絡み合う誘拐事件という、適度に難解な設定が素晴らしいですね。そして意外な犯人も。なるほどこれはよくできています。

ちょうど少年事件モノに飽きてきたところでした。


なんとなく腑に落ちない点がないわけではないですし、すべてをきちんと拾ったのかも怪しいのですが、展開、スピード感、どんでん、ラスト、読後感、いずれも納得できるレベルです。楽しめる一冊としてお勧めできます。





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2015年11月24日

書評666 楡周平「和僑」

こんにちは、曹源寺です。

今年に入ってから日本の地面の下では何かが変わってきているのではないかと思しき事象がたくさん顕在化してきました。
たまに預言者らしき人が2chやSNSに投稿してきて話題になったりします。最近では「伊勢女の予言」とか「沼津の予言」とかが話題になりました。沼津のそれは現在進行形ですが、船の沈没(当たり)とか国内でオーロラが発生(当たり)とかカーレースの事故(当たり?)とかが起きてから「誰もが知っているスポーツ界の大御所」が死去すると地震がくると言われてました。
で、先週は元横綱の北の湖理事長が逝去され「もしや」となったわけですが、そうしたら本当に北の湖理事長だったということでみんなガクブル ←イマココ状態なわけですね。
しかし、数々の予言もほとんど当たったためしがないですね。予言がズバリ的中した人がいたら、先日の鬼怒川決壊を予言した人が出てこなければおかしいでしょう。北の湖氏も春先に入院したことが騒がれましたが、もしかしたらその時点でお亡くなりになっていたらそのまま地震が来たのかもしれないなあと思ったりもします。
つまり、実は未来はいくつも枝分かれしていて、パラレルワールドが本当にあるのではないかと。だから、予言のとおりになることはもうない、と考えても良いかもしれません。
ちょっと違うかもしれませんが、「俺が異世界に行った話をする」のヤツはすごい面白くてはまってしまいました。あと、「きさらぎ駅」の話とか。

内容(祥伝社HPより
メイド・イン・ジャパン“ローカル”を引っ提げて、出るぜ、世界へ! 示せ、ニッポンの底力!
地方だからこそ、できることがある。
「老人を集めて、豊かな老後と地方再生を」逆転の発想で大反響を呼んだ『プラチナタウン』刊行から7年。その構想は、現実に国が掲げる地方創生の切り札となった。
そして今、この物語はネクストビジョンを示す!

プラチナタウン誘致から7年、財政再建を果たした緑原町(みどりはらちょう)には新たな難問が……
日本初の、豊かな老後がコンセプトの巨大安住型老人施設「プラチナタウン」を誘致、財政破綻(はたん)寸前からV字回復した緑原町。Uターンする人々も増え、町は活気を取り戻していた。しかし立役者で、元四井(よつい)商事の町長・山崎鉄郎(やまさきてつろう)は、忍び寄る危機に気がついていた。――高齢者人口も減少に転じる将来、この町はどうなる? もう一つの主要産業・農畜産業は、TPPや従事者の高齢化と後継者不足という難問を抱えたままなのだ。産業振興課課長の工藤登美子(くどうとみこ)を相棒に、山崎の商社マンの血が騒ぎ出す!


曹源寺評価★★★★★
プラチナタウン」という作品の続編ということになります。前作を読んでいない方はまず、「プラチナタウン」からお読みいただくことをお勧めします。
「プラチナタウン」では財政破綻寸前の東北の町、緑原町を総合商社勤務の山崎が老人施設(介護もやるよ)を誘致して自ら町長になり再生を果たすという物語でした。
その緑原町は順調に活気を取り戻しているが、プラチナタウンの成功例を見た他の自治体がこれをまねるようになり、その緑原町も20年後、30年後のことを考えると次の手を打たないわけにはいかない情勢になってきた。そこで、山崎が考え付いたのは、、、というストーリーです。
ただまあ、タイトルが示すとおり「華僑」ならぬ「和僑」ですから、その意味するところは

読まずとも大体わかるというものです。

今回の山崎のアイデアは分からなくもないですが、(以下、壮大にネタバレ)

たかがコロッケやメンチカツで差別化などできるんかいな、という疑問がつきまとってしまうのは必至です。B級グルメの輸出という観点は理解できますが、B級はしょせんB級であって、高い金を払ってまで米国民が食べるのかという根本的な問いかけとともに、町の財政を潤すほどの輸出が見込める規模に育つかどうかと言われたら、それは簡単ではないだろうと思ってしまうのです。そもそも機を見るに敏な総合商社はこの事業を手がけていないんですかね。プラチナタウンの二番煎じが急増し、本書では四井商事が施設の増設を行わない意向を示したということで安易なハコモノ作りになってはいけないと自らを諌めるシーンがありますが、逆に言えば今後の成長が見込めるビジネスならば商社が放っておくはずはありません。元商社マンなら分かるはずですが、このプランに対して商社が手を出さないのであればその成長性や採算性には疑問符が残るのではないかという結論になりはしませんか。自分でも何言っているのか良くわかりません。
要するに、「プラチナタウン」はすごく良くできたストーリーだったと思いますが、本書はややしょぼい印象でした、ということです、はい。





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2015年11月20日

書評665 月村了衛「影の中の影」

こんにちは、曹源寺です。

フランス・パリでの同時多発テロ事件は世界の歴史に一つの転換点を与えたのではないかと思えるほど、世界情勢が緊迫してまいりました。
すでに戦争は始まっているというような声も上がっています。そこで出てきた話題のひとつがこれです。

ダライラマ、パリ同時多発テロでコメント「神に祈っても問題は解決しない」
先週末、フランスのパリで発生した同時多発テロは、各方面に大きな衝撃を与える状況となっているが、仏教の宗教指導者となるダライ・ラマ(Dalai Lama)がこの問題に対して、非常に現実的なコメントを行ったことが関心を集めている。
この発言は、ドイツ国営放送局のDeutsche Welleのインタビューに応じたものとなる。
一部を要約するとこうなる。

人々は平和を欲しているが、テロリストは近視眼的であり、それ故に彼らは自爆テロを行う。我々は、祈るだけではこの問題は解決できない。私は仏教徒であり、信仰を信じている。問題を作り出したのは人間なのにも関わらず、問題の解決を神に委ねることは論理的なこととは言えない。神ならばこういうかもしれない「問題を作り出したのは人間なのだから、自分たちで解決しなさい」と。
我々は、人間性と協調心を育て上げるためにシステマチックなアプローチを取る必要がある。今からこれらを始めるならば今世紀は前の世紀とは異なるものとなるだろう。それを始めるかどうかは、全ての人々、一人一人の考え方にかかっている。それを成すためには、神や政府に頼るのではなく家族や社会のなかから平和のために働くことを行うべきである。(以下、略


けだし、名言であります。祈るだけではダメだと睨下はおっしゃるのでありますが、本当にその通りでしょう。ひとりひとりができることをやる。まいた種は自分で刈る。実に仏教らしい考え方です。これを似たような言葉に「人事を尽くして天命を待つ」という故事がありますが、神に祈るのは最後の最後で良いという意味にも取れますね。
自分は仏教徒だと威張れるほど熱心ではありませんが、心の根っこにはこうした仏教的な感覚みたいなものがあるのだなあと、こういう記事を読むと思うのであります。ですから、逆に「ひたすら祈るのです」とか「神の御名の下に」といった概念がピンとこないのですね。もちろん、仏教にも「他力本願」という言葉がありまして、この場合の他力は阿弥陀如来さまであるわけですから、人間の力の及ばぬところで仏様の力によって本願を成すという概念はあります。しかし、神の名を錦の御旗にしてすべてを正当化するとか、異教徒は滅ぼせとか、そういう考え方にはどうしても馴染めないですね。
キリストVSイスラムはもう2000年以上対立が続いているわけですから、話せば分かるというレベルの問題でもありませんし、どちらも仏教のような思想とは微妙に異なりますが、ダライ・ラマ睨下はもしかしたらこうした背景さえも下らぬことと一喝しておられるのではないかと思ったりもします。

内容(新潮社HPより)
国に棄てられし男たちよ、中国の暴虐に立ち向かえ! 最注目作家の最強ヒーロー誕生!
人民解放軍の生体実験で数千人が村ごと消滅――。恐るべき虐殺から逃れて日本潜伏中のウイグル人亡命団と、事件を追う女性ジャーナリストが襲われた。なぜか警察も黙認する凶行から彼らを救ったのは、闇に葬られた伝説の男、景村瞬一。次々と忍び寄る中国最強の暗殺部隊相手に、義に殉ずる男たちの熱き死闘の一夜が始まる!

曹源寺評価★★★★
土爆の花」「槐 エンジュ」に続く月村センセーのアクションヒーロー小説(!?)であります。今回は元警察庁キャリアにして抜刀術や格闘術を極めたウルトラハイスペックな「カーガー」こと景村舜一が主人公です。
敵は中国人民解放軍の精鋭部隊と警察庁警備部長で、味方が暴力団菊原組という何とも面白い設定です。新疆ウイグル自治区で人道にもとる人体実験が行われ、その証拠隠滅を図る軍と逃げる亡命団。その亡命団を取材対象にしていたフリージャーナリストの仁科曜子も暗殺団の襲撃に巻き込まれ、知己の暴力団若頭補佐とともに亡命団を匿おうとします。そこに現れたのが「カーガー」こと影村です。都会のど真ん中と川崎のタワーマンションで繰り広げる壮絶な攻防は息をつかせぬ展開で、ピンチを切り抜けるべく景村の技が冴え渡ります。
景村たちがどうやって包囲網から脱出するのか、ハラハラドキドキが止まりません。とはいえ、前作からはやや控えめになった印象もあります。どんどん派手にしていっても良いのでは、と思いますが、相手が人民解放軍ですからしょうがないのかもしれません(笑
本書のキモは何と言っても「敵が人民解放軍の精鋭」で「新疆ウイグル自治区の人権侵害の惨状」をリアルに描いた点にあるのではないかと思います。小説とはいえ(フィクションではないレベル)これって、朝日新聞とか採り上げられないでしょうに。

直木賞とか獲ったらどうなるんでしょうか

(まぁ、ありえないでしょうけれど)。
ところで、月村センセーの作品には面白く読める法則みたいなものがあって、その大きな特徴のひとつが「脇役が意外と活躍して面白い」というのがあります。黒澤明作品を意識しているのかもしれません。
「土爆の花」では7人の自衛隊員がそれぞれ活躍します。「槐 エンジュ」では教頭センセーが意外な活躍を見せてくれました。(以下、ややネタバレ)

本作では菊原組の樋口が人民解放軍のエリートたちを相手にものすごい活躍ぶりです。気配を覚られずに背後に立つ、ってそれだけでもすごいですわ。彼はそのサイコキラーぶりをスピンアウト作品で発揮していただきたかったレベルです。リアルにいたらおっかないけど。





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2015年11月17日

書評664 五十嵐貴久「炎の塔」

こんにちは、曹源寺です。

フランス・パリの同時多発テロは死者100人を超す大惨事となりました。被害に遭われた方のご冥福をお祈りします。
と思っていたら、フランスでは自爆テロのことをKAMIKAZEと呼んでいるそうです。ちょっとキレました。テロと一緒にすんな!
軍人同士が国際法に則って行う戦争と、狂人どもが一般人を殺戮するだけのテロルを一緒にすんな!とも言ってやりたいです。まあ、シリアなんかは米露とISが入り乱れてとんでもないことになっていますので、内戦というより一方的な殺戮になっているのかもしれないですから、テロで反撃というのは武力に劣る側の最終手段になってしまっていることは分かります。つまり、普通の戦争(変な表現ですが)では軍隊vs軍隊であったものが、現在の戦闘行為が多国籍軍vsゲリラになっているわけですから、ゲリラはゲリラとしての活動しかできないということですね。つまり、ゲリラを相手に戦闘行為を行ったら、その報復はテロになるということを軍隊側も理解しておかないといけないということです。

さて、そのテロリスト達はシリア難民に偽装して入国したのではないかと言われています。ちょっと気になったので日本国内における難民の数を調べてみました。法務省が取りまとめていますので数字を拾ってみましたよ。
nanmin.JPG
平成26年の難民認定申請数は5,000人!アバウトやんけ。でも前年比で1.5倍に増えていますね。10年前から比べると13倍です。
これを国別に見てみると、ネパールとトルコが多く、次いでスリランカ、ミャンマー、ベトナムと続きます。
nanmin2.JPG
日本では基本的に経済難民を認定していないので、つまり政治的要因でないと受け入れていないので民族問題や政治的対立問題を抱えている国が並ぶわけです。もっとも、リンク先の「難民と認定しなかった事例」のとおり、どうみても偽装難民ですありがとうg(ry というのもかなりの数でありそうですが。
トルコは親日国ですが、クルド人問題や隣国との軋轢などがあるため必然的に多いということになります(正確に言うと、トルコから来たクルド人ということでしょうか)。

日本も早く移民を増やして労働不足を解消し、経済的な成長を目指そうなどと言う人が後を絶ちませんが、いやもう見ての通りすでに増えてますよぅ。移民ではなくて難民ですが。イスラム圏の混乱だけが理由ではないみたいですから、この傾向はおそらく続くのではないかと思います。
ときに、中国からの難民ってなんぞや?弾圧の続く新疆ウイグル自治区ですかね。

内容(祥伝社HPより)
地上450メートルの超高層ビルが大火災に見舞われる空前の超弩級パニック小説!
崩壊した“安全神話”、襲いかかる炎、逃げ場のない密室
銀座のランドマーク「ファルコンタワー」。高さ450メートルを誇る日本一の超高層ビルが完成した。オープンの初日、タワーには震災を生き抜いた親子、重病を克服した夫婦、禁断の恋に落ちた教師と女子高生、離婚問題に直面する夫婦など、様々な事情を抱える人たちが訪れていた。そんな彼らに未曾有(みぞう)の大火災が襲いかかった。通称“ギンイチ”銀座第一消防署の若き女性消防士・神谷夏美は猛威をふるう炎の中、死を賭した任務に出動するが――。
完璧だったはずの防火設備はなぜ破綻したのか? 最上階に取り残された人々の運命は?
想像を絶する焔(ほのお)と人間の戦いを描く極上エンターテインメント!


曹源寺評価★★★★
炎の塔で検索をかけると「中央大学炎の塔」というのが真っ先に結果表示されるのですが、これ始めて知りましたよ。何じゃらほいと思って見てみたら、法学部の学生しか利用できない研究棟だそうで、他の学部生は知らないみたいですね。どうでもいいですね。
さて、本書は銀座十丁目にオープンした高さ450メートル、100階建ての超高層ビルがオープン当日に火災に見舞われるというパニック小説であります。
主人公(だと思う)神谷夏美は若き消防士で父親が伝説の消防士という設定です。体力のなさから辞表を提出したさなかに日本一の超高層ビルから火災が発生したとの通報を受けて臨場するのですが、原因不明の小火があちこちから発生するという謎展開に加え、いきなり小規模な爆発が続き40階、70階、95階などで続々と火の手が上がる超高層ビルにしてはあまりにも信じがたい展開に現実感を失ってしまいます。
火事の現場の常識を知らない自分ですが、あっちこっちで小規模な爆発が発生する展開に、これはないだろうと思っちゃうんですね。爆発って何よ。燻っている場所に酸素が急激に入ると発生する「バックドラフト」のことですかね。最初はそうやって書いてあったんですが、だんだんただの爆発になってしまって良くわかりません。
それと、内装材とか建材が燃えていったらそりゃもう煙もくもくですよね。炎よりも危険な煙に対してはあまり描写が多くないのでその辺のことは(突入するから)あまり書けなかったのかなあと勘ぐってしまいました。
ですが、超高層ビルの火災現場など誰も知らんわけでして、それを書ききった五十嵐センセーには

素直に賞賛すべき

だとも思います。ストーリー自体は結構面白かったですし、昔の「タワーリング・インフェルノ」を思い出させてくれました。そう考えると、高層ビル火災をテーマにした作品としてはタワーリング〜以来の大型作品ということになるのでしょうか。スリリングな展開であり、次の展開が気になるうまい作りこみであり、様々な人間模様が交差するヒューマンドラマでもあるという、一粒で三度おいしいところが良いですね。





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2015年11月13日

書評663 呉勝浩「道徳の時間」

こんにちは、曹源寺です。

今年の流行語大賞候補が発表されましたが、「ラッスンゴレライ」が遠い昔のように思えてしまうのは自分だけでしょうか。
しかしこの流行語大賞、毎年毎年酷くなっていくような気もするのですが、「五郎丸ポーズ」に至っては(少なくとも)流行語ではないですね。よく分かりません。政治ネタに至っては安保関連しかないというのもすごいですね、しかも偏見だらけ。

爆買い/インバウンド/刀剣女子/ラブライバー/アゴクイ/ドラゲナイ/プロ彼女/ラッスンゴレライ/あったかいんだからぁ/はい、論破!/安心して下さい、穿いてますよ。/福山ロス(ましゃロス)/まいにち、修造!/火花/結果にコミットする/五郎丸ポーズ/トリプルスリー/1億総活躍社会/エンブレム/上級国民/白紙撤回/I AM KENJI/I am not ABE/粛々と/切れ目のない対応/存立危機事態/駆けつけ警護/国民の理解が深まっていない/レッテル貼り/テロに屈しない/早く質問しろよ/アベ政治を許さない/戦争法案/自民党、感じ悪いよね/シールズ(SEALDs)/とりま、廃案/大阪都構想/マイナンバー/下流老人/チャレンジ/オワハラ/スーパームーン/北陸新幹線/ドローン/ミニマリスト/ルーティン/モラハラ/フレネミー/サードウェーブコーヒー/おにぎらず

「エンブレム」と「上級国民」が入っていて笑えます。五輪エンブレム事件というのがありましたが、このニュースは当初、ネット上だけで騒がれたものでしたが、1週間くらい遅れてからテレビなどで後追いされたように記憶しています。
同じように、先週からネット上で話題になっているのが「ぱよぱよち〜ん事件」ですが、これもまた1週間くらい経つもののMXテレビで少し報道された程度で他の民放各社は一切報じておりません。よほど都合が悪いのか、なんにも報道がないというのがちょっと怖ろしいものを感じますね。ネットセキュリティの会社役員が個人情報を晒すぞと言って脅しをかけるという前代未聞の事件なんですがね。ぱよちん事件があと1ヵ月早かったらネット流行語大賞にはなったかもしれません。
改めて、マスゴミ各社の「報道しない自由」を体感してしまったなあと。

内容(講談社HPより)
【第61回江戸川乱歩賞受賞作】問題。悪い人は誰でしょう?――ビデオジャーナリストの伏見が住む鳴川市で、連続イタズラ事件が発生。現場には『生物の時間を始めます』『体育の時間を始めます』といったメッセージが置かれていた。そして、地元の名家出身の陶芸家が死亡する。そこにも、『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きが。イタズラ事件と陶芸家の殺人が同一犯という疑いが深まる。同じ頃、休業していた伏見のもとに仕事の依頼がある。かつて鳴川市で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画のカメラを任せたいという。十三年前、小学校の講堂で行われた教育界の重鎮・正木の講演の最中、教え子だった青年が客席から立ち上がり、小学生を含む300人の前で正木を刺殺。動機も背景も完全に黙秘したまま裁判で無期懲役となった。青年は判決に至る過程で一言、『これは道徳の問題なのです』とだけ語っていた。証言者の撮影を続けるうちに、過去と現在の事件との奇妙なリンクに絡め取られていくが、「ジャーナリズム」と「モラル」の狭間で、伏見はそれぞれの事件の真相に迫っていく。


曹源寺評価★★★★★
ミステリ作家への登竜門であります江戸川乱歩賞ですが、2015年は「道徳の時間」が受賞されまして7月に単行本化されました。
タイトルはなかなかにいいですね。「道徳」という単語、すでに学校の授業で「道徳の時間」はありませんし、日常では「モラル」という単語に置き換えられる機会が増えたことからあまり使われなくなったのかもしれません。
本書は半年間休業中のビデオジャーナリスト、伏見祐大が地元の陶芸家の自殺(?)や13年前の殺人事件の再検証映画の撮影などに巻き込まれつつも、それぞれの事件の真相に迫っていくというストーリーです。
ドキュメンタリー映画の撮影という役割を担う中で、話を持ちかけてきた女性の態度や行動に不審を抱き、彼女の行動の真意を問うていくという展開です。メディアを使った印象操作というテーマは、かつて野沢尚センセー(故人)が奇しくも同じ乱歩賞受賞作「破線のマリス」でテーマにされたものでもあります。
また、主人公の伏見は一匹狼的なジャーナリストですが、シニカルな台詞回しは初期の真保裕一センセー(小役人シリーズあたり)や藤原伊織センセー(この方も故人)の作品を髣髴とさせるものがあります。こういうの好きだわ〜。もうちょっと主人公の過去にも触れていたらもっと面白かったはずです。
序盤から中盤にかけては

謎がいかにも乱歩賞

で非常に面白く、展開もスピーディで勢いを感じました。
問題となるのは後半からラストにかけてなんですが、

こんな動機で人を殺すわきゃーねーだろ

というレベルですから、落差が激しくてとても残念でなりません。どうしてこうなったのか。本書を受賞作とした選考委員会の選評を読むと、これでも相当な修正が入ったということですが、そもそもがこんなんではちょっと殺人の動機としてどうなのよ、というレベルなんですが。
殺人の動機の弱さという意味では石持浅海センセーよりも酷いですわ。
今回は選考委員の間でも選評がかなり割れ、今野敏センセーや池井戸潤センセーが本作をまったく推していないわけでして、それもむべなるかなと思いました。





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2015年11月10日

書評662 前川裕「イン・ザ・ダーク」

こんにちは、曹源寺です。

神奈川新聞という地方紙がありまして、そこで連載している「時代の正体」というコラム(?)がちょっとだけ話題になったというので見に行きました。
話題になったタイトルが「偏ってますが、何か」というやつです。Webでは途中までしか読めませんので何を主張したいのかはきちんと読み込んでから把握したいところです。
しかし、タイトルだけみても新聞社が自らを「偏ってます」と言い切ってしまっています。これは、はたしてどうなんですかね。メディアが反権力であり、過去に戦争を煽ったという反省もあって権力の監視こそが新聞の使命であると主張するその姿勢自体はまだ許せなくもないですが、よくよく読んでみると別に反権力を貫いているわけではなくて、大抵は特定の政党にべったりな姿勢だったりするわけでして、むしろその方が問題なのではないかと危惧するわけです。
大仰に構えていても、その実は薄っぺらな主張でしかないという事例は枚挙に暇がありません。ダブルスタンダードも大概にしやがれと言いたい今日この頃です。

内容(新潮社HPより)
「高野聖」と高級デリヘル嬢連続殺人を結ぶ謎。倒錯の闇を描く警察小説。
金沢の高級旅館で発生した絞殺事件。被害者は都内大手企業の女性課長、所持品は泉鏡花記念館のパンフレットだった。一方東京で殺されたデリヘル嬢も有名企業の社員ばかり。異様なことに犯人はどの事件でも長時間現場に居座っていた。捜査本部は女性刑事を風俗嬢に扮装させ囮捜査を決行するが……。男と女の魔境に迫るミステリー。


曹源寺評価★★★★★
前川センセーは本職が大学教授であるが故に、これまで上梓した作品でも登場人物に大学教授がたびたび(というかほとんど)出てきては重要な役割を果たしてきました。
本書はいつもの大学教授が主人公ではなく、警察小説のスタイルでやってきました。金沢の高級旅館で絞殺体で見つかった女性は、都内の大手企業に勤めるエリート課長だった。一方、都内ではデリヘル嬢の連続殺人が発生、デリヘル嬢に扮した女性警察官を投入しての囮捜査も空振りに終わり、次の殺人も許してしまうという展開。しかし、浅草署の生活安全課主任・法然刑事が執念の捜査で犯人を追い詰めます。
金沢の事件と東京の事件、それに過去の事件が交差してひとつの結論に収斂していく様はなかなかに読ませてくれます。また、金沢の現場に残されていたマフラーのイニシャル「Y.O」の謎など、読者をミスリードする展開もあって中盤の展開などは見事でしょう。
しかしながら、本書は致命的なミスをしでかしています。(以下、ややネタバレ)

昭和50年代ならまだしも、この21世紀の都会において犯人を特定するための科学的な捜査手法がないがしろというかまったくもって完全無視を決め込まれては、警察小説としての体をなしていないと言われてもしょうがないのではないかと思います。都内のホテルに防犯カメラがないとは言わせません。この辺の捜査にまったく言及がなされていないのはがっかりです。
また、囮捜査が失敗に終わった理由もはっきりしません。内部情報が漏れていたとかそういう話でもないので、かなりあやふやなまま次の展開に移ってしまうのがもやっとします。
連続殺人鬼をリアルに描くのが前川センセーの真骨頂なのかもしれませんが、本書ではリアルな捜査活動が描かれていないのが致命的と言わざるを得ません。犯人と被害者を結ぶつながりとか、犯人の心理描写などはセンセーならではのうまさが垣間見えますが、警察の捜査活動の根幹は地取り(現場周辺の聞き込み)と鑑取り(被害者の人間関係への聞き込み)であります。

鑑取りはまだしも、地取りがあまりにもなさすぎです。

この二つの捜査をないがしろにした警察小説なら無意味というか非現実的すぎてイライラしてしまいます。





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2015年11月06日

書評661 永瀬隼介「悔いてのち」

こんにちは、曹源寺です。

地味な記事ですが、スポーツ関連のネタから考えてみたいことがありまして。

閑想閑話:益田市で少年野球の大会を取材する機会があった… /島根(毎日新聞2015/11/5地方版)
益田市で少年野球の大会を取材する機会があった。大会パンフレットのページを繰ると、20人分のスペースがある各チームの選手名簿に余白が目立った。最多でも17人。昨年の優勝チームは他チームからの応援3人を合わせても10人だった。1、2年生も多い▲かつて11人で甲子園準優勝の高校球児もいたから、頭数さえそろえばいいわけではない。だが、それにしても「野球小僧」が少ないと思った。少子化と野球離れは進んでいる(以下、略)

中学テニス部 「硬式」増えぬ訳 錦織人気追い風のはずが… 「中体連未加盟」が壁(日本経済新聞2015/11/4)
錦織圭(日清食品)の活躍でテニス(硬式)をやる子供が急増したが、中学生になるとテニスをやめる子が少なくない。部活がある中学校が少ないことが一因とされる。なぜ、日本の中学校はテニス部創部に消極的なのか。…(以下、略というか有料版でないと見られません)

上の毎日新聞の記事はサッカー人気と連動して野球離れが進んでしまっているという肌感覚だけの記事ですが、今までが逆に野球だけにトップアスリートが集まりすぎていたのではないかという現実も背景にはあったのではないかと考えてしまいます。
めちゃめちゃ運動神経が良いクラスメートって一人や二人いたと思いますが、その多くは野球に流れてしまっていたのが今の30代、40代の世代でしょう。新庄、イチロー、秋山、糸井などの選手はおそらく何をやらせても一流選手になれたのではないかというくらい優れた運動神経の持ち主です。
ですから、こうした人たちが活躍できる場がすでに野球だけではなくなっていて、それこそサッカーやテニスなど世界に飛び出せば億単位で稼げるスポーツがあるということは十分に知れ渡りました。つまり、国内のスポーツ市場は多様性の時代にとっくに突入していたわけです。もし、こうしたスポーツに出会えるなら、その人たちは本当に幸せでしょう。ラグビーみたいに新たな人気スポーツの萌芽が出てきているのもうれしい限りです。

一方で、日経の記事はそんな多様化の時代に逆行するかのような閉鎖的な教育システムに警鐘を鳴らす記事です。中学生というのは肉体的にも精神的にも大きな変化が現れる年頃ですから、その年代に出会ったスポーツに対しては時に一生の宝物となる場合もあります。そんな年代に出会うことのできるスポーツの領域を狭めてしまっているというのは慙愧の念に絶えません。テニススクールは今こそ立ち上がるべきでしょう。部活の運営受託という新たな領域で事業拡張を検討すべき時代に入っていると自覚すべきです。教師に任せていてはいつまで経ってもテニス市場の拡大は覚束ませんで。


内容(光文社HPより)
電話一本、メール一本入れていたら…。
もうひと言、声を掛けていたら…。多忙な日々に流されてしまって…。
大切な人を亡くした二人の男、大志を閉ざした男、後悔を秘めた三人の男たちがいま、出逢う。
あの忌まわしい夏の日を想う。〜まったく憶えていない。〜ただ、京王線の芦花公園駅近くの踏切が近づくにつれ、身も心もちぎれるような恐怖が襲ってきたことだけは憶えている。―― 本文より


曹源寺評価★★★★
上記の光文社による紹介が、ストーリーをまったく紹介していないという珍しい文章で読後に笑ってしまいました。タイトルと上記の紹介文で誰が永瀬作品として読みたいものかと思うのですが。
自分もその一人でしたが、やっぱり永瀬作品は永瀬作品でありました。そうです、いつもの通りの展開です。
主人公の小津良介は元警視庁警備部所属のSPという肩書き、妻を踏切事故で亡くしてから腑抜けになり退職、パチンコチェーンの総務係に再就職したという設定です。SP時代に警護した政治家の秘書兼執事から要請を受け、政治家の息子が絡んだスキャンダルの真相に迫るうち、危険が迫るというストーリーです。
永瀬センセーの最近の作品に多いのが「悪のカリスマ」という敵役の存在です。組織的な犯罪を繰り返し巨額の富を得ている、それでいて本当の姿はごく限られた一部の幹部しか見たことがない、、、そんな伝説的な悪の首領って、

本当にいるんかいな。

まあ、いつものことですが、だいたいにして永瀬作品は大仰なセリフで始まって、悪の最後はややしょぼいというのが定番であります。(以下、ネタバレ)

本書も然り。だいたい、悪の首領なら一人で現地に乗り込んでくるなよと言いたい。無防備だろうに。まあ、乗り込んだ場所が場所だけにしょうがないのですが。
それにしても、本書はページ数がそれほど多くなく、展開もスピーディーで途切れないし、ラストはちょっとだけ胸が熱くなりますので読んで損はないかなあと思います。





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posted by 曹源寺 at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月02日

書評660 戸松淳矩「終戦のマグノリア」

こんにちは、曹源寺です。

先週は娘の高校に来ている留学生をホームステイサポートしまして、日本語がほとんどしゃべれない人を家に泊めるというかなり無謀なことをしてしまいました。
あっちは英語、こっちはルー語。
でも、ていねいに話していただいたのでだいぶ聞き取ることはできました。こっちはルー語でもある程度通じますね。ルー大柴の偉大さを改めて感じた3日間でした。

ただ、せっかく日本に来ていただいたのに、学校と家の往復が中心になってしまい、碌に東京案内もできなかったのはこちらとしても残念でした。今度来日したときはいろいろ連れて行ってあげたいです。

内容(東京創元社HPより)
巧妙に仕掛けられた数々の伏線が「小さな物語」をとんでもない大きさに成長させる。これぞミステリの王道!――田口久美子(ジュンク堂書店)
鎌倉の豪邸に住む資産家・竹宮家の書庫から発見された、『木蓮文書(マグノリア・ドキュメント)』。当主の娘である菜々花に依頼され、従兄の恭一が文書を読み解いていくと、第2次世界大戦中の昭和19年、海軍和平派と大学教授らが企てた終戦工作をめぐる内容だと判明する。
しかし、文書の解読と前後して、竹宮家の周辺では不審な出来事が相次ぐ。全ては『木蓮文書』を狙ったものなのか? やがて、事態は思いがけない方向へ……。文書に隠された秘密とは?
日本推理作家協会賞受賞作家による、圧巻の長編ミステリ!


曹源寺評価★★★★★
この戸松淳矩(あつのり)センセーの著作は初めてでした。日本推理作家協会賞受賞作家という肩書き、そして、東京創元社の単行本で単独の広告を週刊誌に掲載していた作品、とくればその本はだいたいハズレなしと思って良いかなあと思っていました。
読後の率直な感想は「うーん、なんだかなぁ」でした。一所懸命読んでもストーリーがなかなか頭に入ってこないのは自分の脳みその働きが悪いということにしても、変に細かな描写がストーリー展開を邪魔するという点は否めないかなあと思います。また、登場人物の誰に感情移入すれば良いのか、誰を中心に話を読み進めていけば良いのか、この辺が何とも中途半端な印象です。
ストーリーは戦中の学者と海軍和平派による終戦工作を小説仕立てにした「木蓮文書」と、その文書が見つかった鎌倉の竹宮家におけるやりとりで構成されています。なぜ木蓮文書は英語で書き連ねられていたのか、とか、途中の巻が見当たらないのはなぜか、とか、細かな謎がありますが、

最後に明かされた真実が大きすぎて

全部すっ飛びますね。この真相を当てることができた人はおそらく皆無(言い過ぎ)なのではないかと思います。(以下、ちょいとネタバレ)

でけえ、でかすぎ。とだけ言っておこうかと。
本作はおそらく、頭の良い人か本当のミステリ好きならぱっと理解するのかもしれませんが、自分のような凡夫にはちょっと敷居が高かったのかもしれません。
もしかしたら、2度、3度読み返せば「おぉ!」(茂木健一郎的に言うと『アハ体験』みたいな)となるのかもしれませんが、読み返すほど熱心にはなれませんでしたorz





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posted by 曹源寺 at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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