ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

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2016年03月18日

書評697 中山七里「総理にされた男」

こんにちは、曹源寺です。

報道ステーションという怪しい番組に出演していたショーン・マクアードル・川上とかいう怪しいコメンテーターが、経歴から企業業績まですべてを嘘で塗り固めた輩だったことが判明し、番組降板の憂き目に遭いました。
誠にご愁傷様です。
これもまた週刊文春の砲弾ということですから、本当に恐れ入りました。

それにしても、嘘がハンパないレベルだったことに驚きを隠せません。堂々とテレビに出てしまうあたりも理解不能です。
彼の嘘をまとめたものがこちらです。
×アメリカ合衆国出身  ○日本国出身
×11歳の時に日本に渡り、高校卒業まで過ごす ○高校まで日本、米には行っていない
×米テンプル大学卒業    ○高卒
×米ハーバード大学院にてMBA習得 ○オープンコースを3日
×仏パリ大学留学      ○オープンキャンパスで聴講
△経営コンサルタント     ○売れない声優・ナレーター
×米国人親から生まれたハーフ  ○日本人の両親から生まれた日本人
×ショーン・マクアドル     ○川上伸一郎
×世界7ヶ所にコンサル会社   ○渋谷に月3万円でペーパーカンパニー
×ほりの深い異国人顔      ○田吾作面が整形で顔面偽造
×共同経営者にジョン・G氏   ○無関係の別人の写真を流用して存在を偽造

全部嘘ってすごすぎですね。

これが芸人だったらこれほど叩かれることはなかったと思います(叶姉妹みたいな謎の経歴の人がわんさかいますからね)。問題なのは報道番組のコメンテーターという立場だったことにあると思うのです(この際、報道ステーションが『報道番組』かどうかという問題は置いておきましょう)。学歴も職歴も嘘だったということであれば、ニュースに対するコメントもまた嘘ではなかったか、という問題に直面するからです。
ニュースというものはおそらく多面性があって、
ニュースそのものの具体的な解説
ニュースが意味する本質
ニュースの背景にあるもの
ニュースが及ぼす今後の影響
 など
視聴者はこうしたものを知りたいからこそ、報道番組を観るわけです。コメンテーターにもこれらのことを話してほしいのです。
政治、経済、社会、スポーツなどさまざまなジャンルがありますから、すべてを精通している人などいませんし視聴者も求めてはいません。しかし、コメンテーターのほとんどがこれらのジャンルのひとつでも通じていて、その道のプロとしての解説に期待するからこそ、その番組を受け入れているのではないかと思います。
ですから、このショーンKについてはコメンテーターの資格がないのに顔と声だけでその席に居座っていたということになります。叩かれて当然です。

でも、そのうちほとぼりが冷めたらサンデージャポンに出てくると思います。芸人枠として。
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内容(NHK出版HPより)
人気作家・中山七里が描く ポリティカル・エンターテインメント小説!
売れない舞台役者・加納慎策は、内閣総理大臣・真垣統一郎に瓜二つの容姿とそ精緻なものまね芸で、ファンの間やネット上で密かに話題を集めていた。ある日、官房長官・樽見正純から秘密裏に呼び出された慎策は「国家の大事」を告げられ、 総理の“替え玉”の密命を受ける 。慎策は得意のものまね芸で欺きつつ、 役者の才能を発揮して演説で周囲を圧倒・魅了する 。だが、直面する現実は、政治や経済の重要課題とは別次元で繰り広げられる派閥抗争や野党との駆け引き、官僚との軋轢ばかり。政治に無関心だった慎策も、 国民の切実な願いを置き去りにした不条理な状況にショックを受ける。義憤に駆られた慎策はその純粋で実直な思いを形にするため、国民の声を代弁すべく、演説で政治家たちの心を動かそうと挑み始める。そして襲いかる最悪の未曽有の事態に、慎策の声は皆の心に響くのか――。
予測不能な圧巻の展開と、読後の爽快感がたまらない、魅力満載の一冊。


曹源寺評価★★★★★
さまざまなジャンルで活躍中の中山七里センセーですが、今度は政治の世界にも挑戦されました。総理大臣が入れ替わるという設定では、先日ドラマ化された池井戸潤センセーの「民王(たみおう)」が記憶に新しいところではありますが、あれは総理親子の中身が入れ替わるといういささかオカルト的なお話です。本書は売れない役者と入れ替わるという設定ですからリアリティが違います(ホントか?)。
しかし、それ以上に本書は現実社会と向き合ってリアリティを追求しているような側面が数多く見受けられます。与党、国民党と野党の民生党という構図だけでなく、3年前まで民生党が与党であったこと、その3年間がいかに杜撰な政治であったか、について訥々と述べられていること、内閣人事局の設置に関する政治家と官僚との駆け引き、テロリストとの戦いで自衛隊を向かわせることの賛否、政治決断の際にはしっかりと法的な根拠を加筆して読者にわかりやすく説明していること、などなど、よく取材してよく勉強しているからこそここまで書けるのだなあと感心しきりです。
役者ならではの演技力をもって総理大臣の替え玉を演じきる主人公の加納慎策は、目の前にある課題をしっかりとこなすタイプとして書かれていますが、そんなに優秀な役者なら

もっと売れていてもおかしくはないですなぁ。


慎策は総理のものまねで少し売れ出したところ半ば拉致されるかたちで首相の代役を勤める、という設定なんですが、それだけならまだしも知り合いに大学の准教授がいたり、政治のことはまったく素人というわりにはアドリブで出てくるセリフがとても政治家チックだったりするのはご都合主義ご愛嬌ですね。
内容的にはスピーディかつシンプルで疾走感溢れる読み物に仕上がっていて非常に面白かったです。リアルな日本の政治と比較するともっと面白いですね。青臭い情熱を吐き出しながらも弁舌巧みな首相とそれを支えるキレ者の官房長官、腹黒くも情に篤い最大派閥の長、想定の範囲を超えない野党党首の質問の愚、批判することこそが自分たちの使命と勘違いしているマスコミ、などなど、

もしかしたら中山センセーはネトウヨなんじゃないのか

と思わせるような記述もたくさんあって、ちょっと笑えました。





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posted by 曹源寺 at 15:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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