ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

過去ログページ

2016年04月12日

書評703 高嶋哲夫「富士山噴火」

こんにちは、曹源寺です。

現代ビジネスさんが記事にされていたのですが、ついに朝日新聞に公正取引委員会から横槍が入ったというのです。
発行部数を「水増し」してきた朝日新聞、激震! 業界「最大のタブー」についに公取のメスが入った
今年に入り、大幅な賃金カットを盛り込んだ中期経営計画に社内が揺れている朝日新聞社だが、ここへ来てさらなる「難題」が浮上した。
新聞発行本社が販売店に余分な新聞を買わせる「押し紙」をめぐり、3月末、実は朝日新聞社は、公正取引委員会から「注意」を受けていたのだ。
押し紙は、独占禁止法の特殊指定で明確に禁止されているにもかかわらず、新聞業界では長年にわたり行われてきた。新聞業界「最大のタブー」と言われる押し紙問題に公正取引委員会が踏み込むのは異例のことで、朝日新聞社が今後どのような販売政策を実行していくのか、業界の先例として注目に値する。(以下、略)


新聞のいわゆる「押し紙」というやつはジャーナリストの黒藪哲哉さんが長年追い続けているテーマです。押し紙の実態を詳細にレポートしてきたこの人の記事がなければ、ここまで社会問題となることはなかったと思います。彼の執念はすごいですよ、本当にすごい。彼はどちらかというとリベラルなお方だと思いますので心情的にはすべての記事が素晴らしいとは思っていませんが、それでも彼の仕事っぷりはすごいなあと思います。
でも上記の記事は黒藪さんではありませんでした。黒藪さん、ガンバレ!

押し紙は普通に詐欺事件です。発行部数を水増しして広告料金を押し上げる。実際には1割〜3割水増ししていたようですので、せっかく高い広告料を払っていてもその分の顧客には広告が行き渡らないのです。これを詐欺と言わずして何と言えば良いのか。とりあえず、公取委もガンバレ!過年度に遡って課徴金制裁や!

まあ、日本のジャーナリズムとかマスコミは、そろそろ本来のあるべき形に戻らないといけないのではないかと、こういう記事が出るたびに思いますわ。本来のあるべき姿とは
<新聞社>
・押し紙の廃止
・社会の木鐸と名乗るのを止め、偏向していると白状する
・そのうえで、自らのポリティカルスタンスを明確にする
・その代わり、販売店網などを有効活用できるような新たなビジネスを起こす
・署名記事の励行(あるいは義務づけ)、スター記者の輩出で「調査報道」を盛り上げる
<テレビ局>
・公共の電波を借りていることを常に忘れず、中立的な報道を心がける(放送法順守)
・電波オークションの実施(まあこれは総務省マターだね)
・自社で報道局を強化し、新聞社とは連携しない(クロスメディアの廃止)

ほかにも、新聞の新規参入を阻害しない(かつては本当に妨害していました)とか、記者クラブの廃止とか、いろいろありそうです。要するに普通の業界になれ、ということなんですが、あまりにもいびつすぎるのでやるべきことが多くなってしまっており、優先順位をつけるのさえ大変な状況です。
報道という仕事がなくなるわけではないのですし、現場の記者はそれなりにご苦労されていることも知っていますので、その真っ当な仕事の部分と利権に関わる部分をしっかりと切り離していただきたいなあということです。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(集英社HPより)
元陸自のヘリパイロット・新居見充は3年前の平成南海トラフ大震災の際に妻と息子を失った。たったひとり残った家族―東京で医師として働く娘とは絶縁状態だ。助けを求める家族からの電話を切り、目前の人命救助を優先した・・・今は喪失感とともに御殿場市の養護老人ホームで働いている。ある日、旧友の静岡日報の記者・草加から「富士山の噴火が近い」という情報を得る。マグマの活動に不穏な動きがある、と。ともに訪ねた日本防災研究センターで、研究者・諏訪口誠治と火山学者秋山有希から「近隣住民は全住民の避難が必要になる」と聞かされる。噴火が始まったら、噴石と火山灰が降り注ぎ、溶岩と土砂が流れ込む。さらに火砕流に呑みこまれ、町は壊滅状態になる、と。古巣の自衛隊、御殿場市、消防や警察などあらゆる方面に働きかけ、新居見が中心となった避難計画が動き出した時、ついに噴火が始まった―。ハザード予想を大きく上回る大規模噴火に首都機能も大混乱をきたす。果たして住民たちの避難は間に合うのか・・・!?


曹源寺評価★★★★★
大規模災害シミュレーション小説の第一人者として君臨する高嶋センセーでありますが、今度のネタはフッジサーン!でありました。

/^o^\フッジッサーン フッジッサーン

富士山が実際に噴火したらどの程度の被害が出るのか、という疑問はネットで調べてみると実はたいしたことないのでは?という結論になるのですが、そういう意味では本書の描写はかなりエキセントリックで大げさと言えなくはないと思います。たとえば、しょっちゅう噴火している櫻島レベルの噴火が富士山で起きたらどうなるのか。溶岩が流れ込んでくるような大規模火砕流の噴火(雲仙普賢岳がこれでした)なら静岡県と山梨県には大きな被害が出ると思いますが、2014年9月に発生した北アルプスの御嶽山レベルの噴火であれば、ここまでの惨状にはならないだろうというレベルの描写です。
主人公は現職の(あるいは元)スペシャリスト。知人友人には別のスペシャリストがいて、災害予測、災害検知に力を貸してくれる。家族もいる(家族愛もある)。政府要人とも何らかの形でつながる。そして災害が実際に発生する。
本書もまた一連の高嶋センセー作災害シミュレーション小説の典型を踏んでいますので、わかり易いといえばわかり易いですが、

マンネリとも言えますので「またか」と思わないように

しなければなりません。
マンネリでも良いんです。伝えるべきことは別にありますから。おそらくは高嶋センセーもそれをわかってやっているはずです。そうに違いありません。きっとそうです。たぶん、そう、、、おそらくは、、、





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 16:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
最近の記事
カテゴリ
過去ログ
検索
 
最近のコメント
タグクラウド
<< 2016年04月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
リンク集