ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

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2016年05月31日

書評716 長谷川煕「崩壊 朝日新聞」

こんにちは、曹源寺です。

個人的な話になりますが、我が父母は数十年前、朝日新聞を購読しておりました。また、自分が小学生の時には「朝日小学生新聞」なるものを読まされておりました。「ジャンケンポン」という4コマ漫画が楽しみだった記憶があります。
おまけに、自分の育った街には米軍基地と海上自衛隊がありました。そんな環境で育てば、否が応にもリベラル思想にならざるを得ません。反動保守になったのは社会人になってからであります。
反動保守という人種がいますが、まさしく自分がそうです。ある日、突然180度変わるのです。なぜ変わるのかというと、自分の中にリベラルでは納得できない矛盾のようなものが蓄積されてきて、それがある日、保守の思想に触れてすべてに納得してしまうからです。「腑に落ちる」という言葉がありますが、まさにそれです。
まあ、父母も朝日読者でありながら中身は全然洗脳されていませんでしたので、それが良かったのかもしれませんが。
父「お前もようやく選挙権を持ったな」
俺「まあな」
父「公明党と共産党にだけは投票するなよ」
俺「ファ?」
父「問答無用な」
俺「(よく分からんけど)ラジャ」
みたいな会話があったのを思い出しましたわ。

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内容(WAC出版HPより)
(帯の文章)
慰安婦問題、なぜ開き直り続けたのか。
朝日新聞はこの時、崩壊した。
この本を書くために、私は「朝日」の記者を辞めました。
(著者)
長谷川煕(はせがわ・ひろし)
ジャーナリスト。1933年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学専攻卒。1961年に朝日新聞社入社。88年初めまで経済部など新聞の部門で取材、執筆し、次いで、創刊の週刊誌『AERA』に異動。93年に定年退社したが、その後もフリーの社外筆者などとして『AERA』で取材、執筆を2014年8月まで続ける。
1990年前後に、歴史的な転換をしつつあった東西ドイツなど中東欧諸国、旧ソ連内の各地、また北朝鮮に接する中国の延辺朝鮮族自治州などを取材した。
著書に『コメ国家黒書』『松岡利勝と「美しい日本」』『アメリカに問う大東亜戦争の責任』(以上、朝日新聞社)、『新幹線に乗れない』(築地書館)などがある。
※「ひろし」の本来の表記は「臣」+「己」+「灬」ですが、文字が使用できないので代替で「煕」を使用させて戴いております。


曹源寺評価★★★★★
朝日新聞といえば、最近は部数の落ち込みが最も激しく一部のネット民からは「捏造」「売国」のレッテルを貼られて蛇蝎のごとく忌み嫌われている新聞社であります。なにより決定的だったのは、従軍慰安婦問題で過去の報道が捏造であったことを認めた2014年8月の記事がリリースされたことで、植村隆のような元記者の主張が文字通り「崩壊」したにもかかわらず、依然としてその検証や訂正が積極的になされずに放置され、そればかりか「戦時中の人権侵害」とかいうわけの分からん問題にすり替えられていることでありましょう。
本書はこうした朝日新聞社の体質の根本に迫っていくノンフィクションであります。朝日新聞社に根強く残っている「マルクス主義」はまだしも、「感覚的に正しいと思ったら裏付けを取らない」とか「いち記者が書いた妄想的な記事を上司がスルーしまくって紙面に載る」とか、おいおい本当にお前ら新聞社なのか?と疑ってしまうレベルの悪しき体質が赤裸々に綴られています。
筆者は慶応大学から朝日新聞社に入社し、経済部やAERA編集部などを経て93年に定年、2014年に退職というご経歴です。つまり、朝日がこれまで捏造を続けてきた「靖国戦犯問題」や「従軍慰安婦問題」などが紙面を賑わせていた時代の真っ只中で社内にいた関係者でもあります。御年83歳、単行本を執筆される体力と筆力には頭が下がります。
筆者が本書で主張されていることの要点は、だいたいこんな感じです。

朝日新聞社はマルクス主義にまみれていて、それは今も昔も変わっていない
朝日新聞社は戦前から戦中にかけて、中国共産党やソ連を支援するために中国国民党との戦争継続をけしかけた
朝日新聞社は尾崎秀実のようなスパイを身内に抱えてソ連を支援していた
植村隆や松井やよりのような売国奴を生んだのもこうした社風の表れ

広岡知男や田中慎次郎、緒方竹虎といった歴代の経営陣についても触れていますが、筆者自身の回想もそれほど多くはなく、文献も断片的ですのであまり参考にはならないですね。むしろ、箱島信一とか渡辺誠毅とか一柳東一郎とかあるいは若宮啓文などもう少し現代に近い経営層の功罪について触れていただいたほうがよっぽどためになったのかもしれません。現在の朝日の社風がいかにして形成されたか、という点では欠かせない部分なのかもしれませんが、如何せん、古すぎです。
そう、本書の読後の一番大きな感想は

なんだか全部古いね

というものでした。書くのが遅すぎたのではないかと思うくらい古いですわ。90歳になる老人をつかまえてインタビューしようとしたり、故人のあら捜しをしたり、なんだかなー。本書の執筆のきっかけにしても、吉田清治の嘘に限らず慰安婦報道のおかしな点はいくつも語られてきましたし、慰安婦だけでなく南京事件の捏造に加担した本多勝一にしてもさまざまな媒体で嘘が暴かれてきた経緯があります。こうした他社報道に関して、朝日に籍を置いてきた人たちは何を思うのか。告発するならもっと早くやるべきではなかったか。冥土の土産にするだけなのであれば、それはあまりにも身勝手であるといわざるを得ません。
まあ、もちろん筆者に何らかの責任があるわけではありません。悪いのは植村隆であり、松井やよりであり、本多勝一であり、それ以上に歴代の経営陣が(作為の有無は別にしても)責任を負うべき話であります。一兵卒に責任を負わせるつもりはもとよりありません。

ところで、朝日新聞社の経営とか内実とかを糾弾した本はいくつも世に出回っていますが、元身内という人からの内部告発は少ないです。「朝日新聞 日本型組織の崩壊」(文春新書)は現役の記者が中心となって匿名で著していますが、内容は一般企業にはびこる大企業病のようなイメージで原因分析していますので、朝日特有の病巣に手を突っ込んでいるわけではありません。その他、
「『朝日新聞』問題」(集英社新書)
「虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造」(日新報道)
「朝日新聞と私の40年戦争」(PHP研究所)
「朝日新聞「大崩壊」の真相 なぜ「クオリティペーパー」は虚報に奔ったのか」(イースト・プレス)

などなど、分析本はたっくさん出ているのですが、これらは外部からの客観的な分析が中心です。

それにしてもすごいな。。。

ですから、本書は長年朝日新聞社に勤務したお人ならではの視点が盛り込まれていて、それはそれで貴重なものではないかと思うのです。
しかし、筆者の取材は読者をうならせるレベルであったかと問われると、必ずしもYes!とは言えないのではないかとも思うのです。社内にはびこるマルクス主義者をあぶりだした点は評価できますが、なぜ朝日は「正義を建前にして妄想記事、捏造記事を垂れ流しているのか」という、個人的な疑問については答えていないなあという印象です。それに、前述の「日本型組織の崩壊」では、朝日社内のイデオロギー病はそれほどでもなく、むしろマルキストなど少数派であると論じていましたので、果たしてどちらが本当なのでしょうか。





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2016年05月27日

書評715 横関大「炎上チャンピオン」

こんにちは、曹源寺です。

伊勢志摩サミット真っ只中で、安倍首相が消費税引き上げの延期を示唆されました。グッジョブ!
G7の席上で「世界はリーマン・ショック前に似てきている」と発言して合意を得るという裏技を駆使して、財務省を黙らせるというなんとも賢いやり方でした。

一部の識者などからは「リーマン・ショック前って何だよ。似てねえよ。何血迷ってんだ安倍は」と言われてましたが、これは完全にギミックですわ。

「あー、増税したいけど世界経済が不安定だわ〜。G7のみなさんもそう言っているから止めておいたほうがいいなあ」

と見事にG7をダシにして延期を決めたと。
まあ、実際にはこうでもしないとデフレ脱却などできやしないでしょう。これで憂いをなくした政府はとっとと財政政策も加速させてやってくださいな。

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内容(講談社HPより)
「もう一度、夢を見させてやる」エンタメが禁止された世界で、一人の男が立ち上がった。流小次郎。伝説のチャンピオン・ファイヤー武蔵のライバルレスラーが、立てこもり事件の犯人として捕まった。世間のバッシングを受けてファイヤーが下した決断は『プロレスの自粛』だった。数年後、元プロレスラーたちが何者かに襲われ、瀕死の重傷に。プロレスはいよいよ窮地に追いやられるが――


曹源寺評価★★★★
プロレスのなくなった日本。あまり想像できませんが、実際にリアル社会でもプロレスはかつての勢いを完全に失っていて、我々40〜50代の記憶の中にだけ美しい思い出として残っているような世界になってしまっています。そんな世界で巻き起こる騒動が本書のテーマであります。

コンビニに立て篭もったとして懲役10年の実刑判決を受けた元プロレスラーの流小次郎が、刑期満了で出所する。元プロレス雑誌編集者の前園は偶然、小次郎に接近する。一方で、小次郎のライバルであるファイヤー武蔵は米国で成功していたが帰国する。話の軸はこの流小次郎とファイヤー武蔵の2人を中心に展開していきますが、コンビニ立て篭もり事件の真相を探る動きとは別に、児童の誘拐事件が発生したり元プロレスラーが次々と襲われるという事件も発生したりして、慌しいです。それぞれの事件は何の脈絡もありませんが、後半になるにしたがってそれぞれが有機的に結合していきますので、すっきりします。
そしてラスト。横関センセーの前々作「スマイルメーカー」ではラストにちょっとやられた感が強かったですが、本書もまた違う意味で

やられた!感がありました。

リアル社会を重ね合わせてみれば、プロレスの復権はあるのか?という問いかけが聴こえてくる作品です。
横関大センセーは乱歩賞作家には珍しい軽めの筆致でスピーディに展開する作品が多いですが、本書もまたところどころにギャグを散りばめながらぐいぐいと読ませてくれる作品に仕上げていただきました。
「プロレス」という単語がいまや「シナリオ」に近い意味で使われているように、プロレスは肉体を駆使したドラマであります。しかし、どこからどこまでがシナリオなのか、観客には分かりにくいところが面白いわけでして、本書もまたギミックなのかリアルなのか分からない!

分からせないという筆致がまた巧みなわけですよ。

この「やられた感」はそういう意味ではどんでん返しとは微妙に違うニュアンスがあります。なるほど、またしても横関センセーにやられてしまいました。
それにしても、米国に逃げっぱなしの真犯人は放りっぱなしですか?まあそれも良しとすべきか。
そういえば、プロレスをテーマにしたミステリといえば、不知火京介センセーの「マッチメイク」や永瀬隼介センセーの「ポリスマン」などがありましたが、本書はマッチメイクほどミステリではなく、ポリスマンほどグッとくる格闘シーンがあるわけではありません。しかし、本書はまた違う味わいがあります。帯にある「涙を拭く準備はいいか?」は大げさですが、もう一度プロレスを観たくなる気持ちにさせてくれることは間違いないですね。







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2016年05月24日

書評714 中山七里「恩讐の鎮魂曲」

こんにちは、曹源寺です。

伊勢志摩サミットが近づいてきましたので、首都圏もあちこちで厳戒態勢なわけですが、全国22万人の警察官が本気を出せばこれだけ威嚇できるんだなあと思うくらいあっちこっちに配置されていますな。

それはさておき、日本はよく国際的な信任を得ないとうんたらという人が多くて、消費税の引き上げについても凍結すると国債の格付けが落ちるとか、サミットで一定の成果を上げなければ安倍首相のリーダーシップがうんたらとか、いちゃもんをつける輩が多くて困ります。
そんななかでこんなニュースも。

日本、25年連続で“世界一お金持ちの国”に(5/24テレビ朝日)
日本の政府や企業などが海外に持っている資産から負債を引いた海外の純資産が去年は339兆円で、日本は25年連続で世界一お金持ちの国になりました。
財務省によりますと、企業の海外投資の増加や証券投資が増えて「対外資産」は7年連続で増えました。一方、外国人が持つ日本株が増えたり年末にかけて値上がりしたことから「対外負債」も増え、資産から負債を引いた日本の「対外純資産」は339兆2630億円と5年ぶりに減少しました。それでも日本は対外純資産の保有残高が25年連続で世界一となりました。主要国ではドイツが23年ぶりに2位に、中国が10年ぶりに2位から転落して3位となっています。


なんだかんだで日本は世界一の対外純資産を持っているのでありまして、財政破綻寸前のどこかの国と一緒にしてもらっては困るのです。
もう財務省の詭弁につきあうのはやめて、日本は日本で幸せになる道を進みましょうよ。

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内容(講談社HPより)
韓国船が沈没し、251名が亡くなった。その事故で、女性から救命胴衣を奪った日本人男性が暴行罪で裁判となったが、刑法の「緊急避難」が適用され無罪となった。一方、医療少年院時代の恩師・稲見が殺人容疑で逮捕されたため、御子柴は弁護人に名乗り出る。稲見は本当に殺人を犯したのか?『贖罪の奏鳴曲』シリーズ最新作!!圧倒的迫力のリーガル・サスペンス!


曹源寺評価★★★★★
弁護士御子柴礼司シリーズの最新作です。このシリーズは中山センセーの作品群のなかでも一番好きかもしれません。
前作(「追憶の夜想曲(ノクターン)」)のラストでは、御子柴の過去(=死体配達人という少年時代に犯した殺人鬼のあだ名)が世間にばれてしまったというところで終わっていましたが、その続きとしてストーリーが成立しています。正直、前作で終わってしまうのかと思っていましたので、続編が出て本当にうれしいです。
元殺人鬼の弁護士ともなれば、その後の展開は言わずもがなでありますが、今回はそんな環境のなかで、かつての医療少年院時代の恩師である稲見の弁護を引き受けるというお話です。
その恩師は容疑を認め、自分を罰して欲しいと訴えますが、御子柴が調べを進めていくうちにさまざまな矛盾が生じてきます。御子柴は複数の証言の矛盾から見えてきた、稲見の立ち位置とその環境に目を向けます。
自分を罰して欲しいと懇願する被疑者と、事件の真実にたどり着いた御子柴。どのような法廷戦術で立ち向かっていくのか、読者としては読み進めるうちに湧き上がってくる法廷での華麗な弁舌を聞きたいという衝動が本書の最大の山場につながります。
そうなんです、本書シリーズはこの御子柴の鮮やかな法廷戦術と弁舌にシビレたいとする読者の欲求に対して、

見事にその願いをかなえてくれるから面白い

のであります。
さらに言えば、この主人公御子柴は人の気持ちを斟酌しないサイコパス(アスペルガーとも違う)なところがありますが、時折見せる人間っぽさ(本当に時折です)がまた良いのです。御子柴はあくまでもダークヒーローであり、弁護すべき人と彼の過去との対比とか心情的な対比とかを描写することによって、読者にすべてを支持させないところもまた哲学的だったりします。読んで楽しいだけではなく、ちょっと考えさせられるところもあるというのがまた素晴らしいですわ。
今回のテーマには「緊急避難」という難しい問題も秘められています。船が難破して、一人しか助からない板に他者が捕まろうとした場合、その人を排除することは許されるのか否かという有名な「カルネアデスの板」の問題が本書のキモであります。日本の法令では刑法37条にこの緊急避難が定められていますので、法的には正当と言えますが、これを殺人事件に適用されて本格的に論争されたケースは日本国内ではほとんどないそうですね。法律の勉強にもなって一粒で二度おいしい作品でした。





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2016年05月20日

書評713 柴田哲孝「砂丘の蛙」

こんにちは、曹源寺です。

葉山に住む伯父が亡くなったので会社休んで葬儀に行ってきました。葉山町、全然進歩してねえ。。。隣接する横須賀市は道路の開発がガンガン進みましたので、あちこちで新しい道に出会えたのですが、

葉山、、、田舎のままやなぁ。

でもそれが良いのかもしれないなあ。老後はこの辺に住んだら楽しいかなあ、なんて考えてしまいましたよ。

で、葬儀なんですが、いわゆる家族葬というやつでして、身内だけで坊さん呼んでお経上げてもらって、そのまま火葬場に行く、という極めてシンプルなスタイルでやりました。あっという間に骨になって泣いているヒマもありません。人は90分も焼けば骨だけになります。あとは骨壷に入れて解散です。こんな葬儀もあるんですね。
帰り道で
母「アタシの時もこんな簡単な葬儀がいいわね」
父「ワシは散骨がいいな」
俺「どこに撒くんや」
父「飛行機をチャーターして空から海に撒いてくれや」
俺「全然シンプルじゃねぇ〜〜つか、金かかり過ぎ〜〜」
兄「ボートでいいんじゃね」
父「」俺「」
母「テキトーでいいんじゃね」
父「」俺「」

結論が出るまでもう少し長生きしてくれや。

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内容(光文社HPより)
九年前に殺人事件を起こした崎津直也が刑期を終え、出所直後に神戸で殺害された。その後、津崎を逮捕した刑事・片倉康孝もまた何者かに刺されてしまう。崎津殺しと、同一犯の仕業なのか。収監中の崎津の手紙に書かれていた“砂丘の蛙“という謎の言葉。戸籍には載っていない“妹”の存在。片倉は再び事件の渦中へと引き込まれていく。捜査本部から外され、部下の柳井らと地道な捜査を続ける片倉は、崎津の死体が浮かんだ神戸、そして鳥取へと飛んだ。
片倉康孝と若きホープに成長した柳井淳が、不可解な事件を追う!『黄昏の光と影』に続く第二弾!!


曹源寺評価★★★★★
地味だけれどリアルでスピード感溢れる警察小説「黄昏の光と影」が続編として帰ってくるなんて思いもしませんでした。
警視庁石神井警察署の刑事、片倉康孝は所轄のベテラン刑事であります。その片倉がかつて逮捕した津崎が千葉刑務所から出所後に神戸で水死体となって発見されます。片倉はその一報を聞いた夜に自宅前で何者かに刺されてしまいます。なぜ津崎が殺されなければならなかったのか、片倉刑事もなぜ刺されたのか。地道な捜査で真相に迫る!というのが本書のストーリーであります。
片倉刑事は子どもなし、離婚歴ありという極めてテンプレートな刑事像です。警察小説の主人公の刑事は大抵、家庭環境に何らかの不和がありますね。もういい加減やめようよ、これ。ベテラン刑事につく相棒の若手は将来のホープという設定もありがちではありますが、まあいいか。
で、このベテランと若手のコンビが被害者の故郷に行き、手がかりらしきものをいろいろ掴んでくるのですが、中盤までは複雑な人間関係とつながらないピースの連続で分かりにくいです。
しかし、中盤から後半にかけては事件が一気に加速していきます。そう、まるで将棋の一手一手がじわじわと相手に詰めていく

『詰めろ』の展開です。

なんだかとても臨場感があります。テレビの「警視庁24時」を観ているかのような、そんなリアリティですわ。警察が外堀を埋めてから本丸に切り込んでいくというのは本当ですね。特に証拠に乏しい事件や過去の未解決事件は証拠が足りませんから、関係者の証言などで補強していくのでしょう。このじわじわと攻めていく展開がとてもグッときますわ。
そして、事件の真相が判明するラスト。驚愕の全貌。恐ろしいまでの洗脳。吐き気を催すほどの絶望。(以上、ラップ調で)。
ただの殺人事件ではなかったと分かった時の驚愕たるや、もうね、実在の事件をモチーフにしたとはいえ、ちょっとびびりましたよ。
(多少ネタバレですが)本書のモチーフとなった事件は、「鳥取連続不審死事件」(上田美由紀による毒殺?)や「尼崎連続変死事件」(角田美代子らによる背乗り?)などですが、本書の中で「逃げられるのに逃げなかった」被害者の心理が抉られていたらちびってたに違いありません。尼崎事件も詳細を読むと、逃げたけど捕まってしまった人たちがいますが、どうせ逃げるなら戸籍を捨てて見知らぬ土地で人生やり直すくらいのことをしなければアカンということが分かります。本当に奴らは執念深いです。奴隷になって死ぬまでこき使われるのか、新たな土地で新たな一歩を踏み出すのか、そんな二者択一を迫られるような目には遭いたくもありませんが、もしそうなったら自分は後者を選ぶかな、と思ったりもします。
しかしまあ、本書は真犯人のふてぶてしさが後味悪いですが、ストーリーの組み立てやラストの展開などは最近の柴田作品のなかでもかなり楽しく読ませていただいたほうではないかと思います。





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2016年05月17日

書評712 井上真偽「その可能性はすでに考えた」

こんにちは、曹源寺です。

五輪招致を巡るスキャンダルが浮上しまして、欧州では大騒ぎになっていますね。国会でも民進党(台湾とは違う)が追及の構えを見せましたが、なぜか電通の名前が伏せられて「D社」になっていましたよ、と。
マスゴミもMXテレビを除いて電通の名前を総スルーというなんとも恐ろしい状態になっていました。

これ、笑い話じゃなくて本当に恐ろしいですね。申し合わせたかのような総スルー。NHKさえもスルー。スルーする意味が分からん。報道の自由を阻害しているのは電通と記者クラブであることが良くわかる事例です。
安倍政権のせいにしている岸井ヒゲも何とか言って欲しいですね。

また岸井ヒゲの話題になってしまったwww

これで本当に疑惑→逮捕・起訴→五輪返上、とかなったら誰が責任を取るんですかね。竹田家のお方に責任が及ぶ前にスケープゴートが出てきそうですが、電通バッシングが酷くなったら見ものですね。

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内容(講談社HPより)
かつて、カルト宗教団体が首を斬り落とす集団自殺を行った。その十数年後、唯一の生き残りの少女は事件の謎を解くために、青髪の探偵・上笠丞と相棒のフーリンのもとを訪れる。彼女の中に眠る、不可思議な記憶。それは、ともに暮らした少年が首を斬り落とされながらも、少女の命を守るため、彼女を抱きかかえ運んだ、というものだった。首なし聖人の伝説を彷彿とさせる、その奇蹟の正体とは…!?探偵は、奇蹟がこの世に存在することを証明するため、すべてのトリックが不成立であることを立証する!!


曹源寺評価★★★★★
井上真偽と書いて「いのうえまぎ」と読むそうです。東大卒、二作目にして「このミス」14位、「文春ミステリー」15位にランクインした井上真偽センセーですが、初読であります。ラノベのような表紙にぎっしり詰まった上下2段組の本書は、中年のオッサンにはややハードルが高めでありますが、異色作という評判を聞きつけまして読んでみることにしました。
うーん、何というか独特の世界ですね。麻耶雄嵩センセーをさらに極端にしたような感じで。
青色の髪にオッドアイ、赤いコートを着ている探偵の上笠(うえおろ)丞が、ありとあらゆるトリックの可能性を潰しにかかり、だから結論は「奇蹟」であるとする推理を展開していきます。
本書の評価された点は、「たとえ1%でも可能性が生じる仮説をすべて否定することができれば、残ったものが真実になる」という、今までにない推理を成立させてしまったことにあります。
え、そんなことが可能なの?と普通は思います。なぜなら、たとえ0.1%でも可能性が残っていればそれは「ありうる」という結論になるわけですから、すべての可能性を否定するという作業自体が無意味というか無謀というか、ないものを証明しようとする「悪魔の証明」的な話でもあります。普通に考えれば、悪魔はいないという証明を完璧にこなすことができる人はいないわけでして、本書の取り組みがドン・キホーテであることは容易に想像つくのですが、それを作品として仕上げてしまったのは果たしてどうなのか、意見が分かれそうです。個人的には

やっぱりちょっと納得いかない

ですわ。
よく読めば、「確かな前提条件」と「分かっていない不確定条件」があって、「確かな前提条件」が本当に正しいのか、ここは疑ってはいけないのか、この分別がよく分からないのもあります。ですから、「これって疑い出したらきりがないんじゃね?」と考え始めてしまい、収拾つかなくなります。
本書は登場人物からしてすでに非現実的で、ストーリーもリアリティがほとんど感じられない世界ですが、これをもってつまらないと断じるつもりはありません。むしろ、本格ミステリの路線が好きな人には向いているのかもしれません。個人的には、、、うーん、ストーリーが粗過ぎるかなあとは思います。推理対決も唐突感が半端ないですね。
とはいえ、真理を見極めるための手法として「考えうるすべての可能性を否定できれば、残ったものが正しい」という推理手法をミステリとして確立(!?)した功績はすばらしい、と思うのであります。それに、タイトルもいいですね。文中にも数回、このフレーズは登場してきますが、ちょっとした決めゼリフになっているのもまた、良いんですわ。次回作に期待かな。





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2016年05月13日

書評711 下村敦史「真実の檻」

こんにちは、曹源寺です。

マスゾエ、、、ダメだこりゃ。
返金すれば許してもらえるなら、野々村は無罪だな。
書店で万引きして「返せばいいんでしょ、返せば」と言ってごねている奴と同じですわこれ。絶対に幕引きしてはいけないし、まだまだ盛り上げなければいけませんな。
文春の追撃砲が欲しいところです。

同じく、疑惑の渦中にあった山尾志桜里議員ですが、産経がこんな記事を。
有権者への花代と香典認める 違法性は否定 「党の統一見解だ」(5/11)
民進党の山尾志桜里政調会長(衆院愛知7区)は11日の記者会見で、平成25年11月から26年5月にかけて、選挙区内の有権者計6人に渡す花代と香典料に計4万4875円を支出していたと明らかにした。山尾氏は、後援会からの支出が不適切だったとして、自身が支部長を務める政党支部が支出した形に訂正したと説明した。だが、総務省のホームページは「政治家が選挙区内の人に寄附を行うことは、名義のいかんを問わず特定の場合を除いて一切禁止されています」と紹介。「政治家からの寄附禁止」として、花代や香典料の支出禁止を例示している。公職選挙法に抵触する可能性がなお残るが、山尾氏は「『政党支部の支出は禁止されていない』ということが民進党の統一見解だ」と強調した。(以下、略

認めたら許される、とかいう風潮はどうかと思います。山尾氏の場合は法に抵触している可能性が高いにもかかわらず「党の統一見解だ」からOK、と言っているわけで、元法曹関係者とは思えない発言です。うっかりミスとは到底思えないこの2つの事案はきちんと法に照らし合わせて裁定が下されるべきだと思います。
日本には「水に流す」というさっぱりした風習がありますが、これも濫用すると法治国家としてのあり方を問われるレベルです。

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内容(KADOKAWA HPより)
大学生の石黒洋平は母の遺品整理の際、本当の父親が元検察官で『赤嶺事件』と呼ばれる殺人事件を犯した死刑囚であることを知る。父の無実を信じる洋平は、雑誌記者の夏木涼子と『赤嶺事件』を調べ始めるが……。


曹源寺評価★★★★★
闇に香る嘘」で乱歩賞を受賞した下村センセーの第4作は、司法の闇に焦点を当てる問題作でありました。
主人公の石黒洋平は、母の死をきっかけに自分の出生の秘密を知ってしまう。父は実親ではなく育ての父で、実の父は死刑囚だった!しかもその事件は検察官が元婚約者の父母を惨殺するという前代未聞の殺人事件『赤嶺事件』であった。さらにその事件は、7年争って刑が確定し14年が経過、今なお執行されておらず冤罪の疑惑もあるという。洋平はこの事件を調べ始めるが、、、というストーリーです。
「司法の闇」といってもその中身はとてもとても盛りだくさんです。ちょっと待てwww

■冤罪問題と冤罪を生む土壌の問題(警察の取調べとか痴漢冤罪とか)
■警察の組織的裏金問題と隠蔽問題(北海道警の事件とかリアル過ぎィ!)
■検察の有罪至上主義問題(無罪判決があってはならない検察!)


ひとつひとつで長編書けるレベルのテーマをこれでもかっ!と盛り込んでくれましたよ。
それだけではなく、親子の絆とは何か、血と絆のどちらを選択すべきか、みたいなサブテーマもあったり、さらには横山秀夫センセーの不朽の名作「第三の時効」よろしく、まだあった時効の抜け穴!といった技巧まであって何だかすごいことになっています。
要するに、昨今の司法関連のネタはほとんど網羅しているくらい盛り込んでいる、そんな作品です。

すげえわ、これ。

ただ、逆に、盛り込みすぎていて収拾つかなくなりそうになっています。よくまとめたなあと思うくらいです。たとえば、頭のおかしな裁判官の話を元判事が書いて話題となった井上薫センセーというお方がいます。「狂った裁判官」などが有名ですね。この人のエピソードに近い内容とか、「警察腐敗」などを上梓したこともある先日変死したジャーナリスト黒木昭雄さんの著書、元北海道警釧路方面本部長というものすごい肩書きの原田宏二さんが裏金問題をリークして話題となった事件、などもエピソードとして盛り込まれています。
こうしたサブストーリーがリアリティを補強しているせいか、ページをめくる手は止まりませんでした。ただ、こうした司法関連のノンフィクションを知らない人が中盤の展開をどう読むのかについてはわかりません。もしかしたらダレるかもしれないですね。
警察の裏金問題は笹本稜平センセーや佐々木譲センセーなども確か作品の中で取り上げているテーマですし、検察の疲弊というテーマではヤメ検の郷原信郎センセーが「由良秀之」とかいうペンネームで小説を書き上げた経緯もありますね。また、司法関連の問題では中島博行センセーや大門剛明センセーが好きでよく読みますが、本書のように

これだけ一気に詰め込んだ作品を自分は知りません。

いずれにしても、下村センセーの渾身の一撃であることは間違いないと思います。





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2016年05月10日

書評710 楡周平「ラストフロンティア」

こんにちは、曹源寺です。

さあ、パナマ文書が本格的に公開されました。
報道が錯綜しているようですが、調べようと思ったら自分でも調べられますね。
https://offshoreleaks.icij.org/

本日時点で名前が挙がっている日本企業

三菱商事
伊藤忠商事
丸紅
住友商事
双日
豊田通商
東洋エンジニアリング
ライブドア
ライブドアホールディングス
セコム
ソフトバンクBB
NTTドコモ
ソニー
東京海上ホールディングス
コマツ
花王
ファーストリテイリング
大日本印刷
ドリームインキュベータ
ドワンゴ
石油資源開発
日本製紙
ジー・モード
NHK
楽天
電通

日本の報道各社も重い腰を上げるようになってきましたので、今後の展開に要注目ですね。

当社とは無関係、と弁解している企業もありますが、その辺の真偽は今後の調査を待ちたいと思います。ただ、公表された各社がどれだけ弁解しようとも、我々が念頭に置くべきことは
『タックスヘイブン(租税回避地)に法人登記を置く目的は、脱税かマネーロンダリングしかねえっぺよ』ということです。
それが合法であるか違法であるかは別として、やっていることはクソであるということでしょう。

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内容(新潮社HPより)
官僚もギャンブラーも瞠目せよ。これがニッポンのおもてなしカジノだ!
世界中からVIP客(とびっきりのクズ)を集めろ――。いよいよお台場に開業するカジノ場の企画を任されたチームは、政府の杜撰な収入計画を信用せず、世界のどこにもないカジノを創造すべく奔走する。前例主義と省益を振りかざす官僚を打ち負かし、「飲む・打つ・買う」の夢のカジノは果たして誕生するのか? ギャンブル経済の裏表を楽しめる痛快起業エンターテインメント。


曹源寺評価★★★★
新しいマーケットを探してはビジネスとして実現するまでのプロセスをリアルに描く、そんなシミュレーション小説を書かせたら日本一ではないかと思う楡周平センセーですが、今度のテーマは「カジノ」でありました。
お台場カジノ構想はしばし蒸し返されては立ち消えになったりしていて、なんだかよく分からない状態なわけですよ。なぜカジノ構想は点いたり消えたりしているのでしょうか、本書を読むとその辺の裏事情も良くわかります。
まあ、要するに官僚の縄張り争いがあるわけですね。でも、公営ギャンブルとパチンコでもう日本人にはギャンブルでおなかいっぱいなんですね。もう、オートレースとか競艇とかいらないんじゃないかとも思っていますが、根強いファンはやはりいらっしゃるわけで、そう簡単には廃止もできないでしょう。
本書では日本にカジノを本格的に誘致しようとした政府が、外資系企業のカイザーインターナショナルにリサーチから導入までのプランニングをさせるのですが、そこにヘッドハンティングされたのが大手商社を色恋沙汰でクビ寸前になった主人公、杉田が採用されるところから始まります。
日本におけるカジノ運営について、どれだけ独自色を出せるのか。日本ならではのオリジナルプランを考えた杉田は面従腹背の官僚たちと戦うことになるわけです。各省庁からの寄せ集めでできた委員会では、官僚たちの傲慢ぷりと既得権益の保持に忙しい「省益あって国益なし」な現実を露呈してくれます。そんな連中に一泡吹かせる主人公。

なんとも痛快であります。

日本のオリジナルコンテンツを導入してカジノを成功させようとする試みは、現実社会においてもやってみたらおそらく成功するのではないかと思います。ただ、現実には公営ギャンブルがたくさんありすぎて、これ以上ギャンブル中毒者を増やすのはどうなのよ、と考えてしまいます。
田舎の寒村で、農閑期に何もやることがない人たちがパチンコにはまっている現実のほうが問題であって、外国人観光客をカジノに取り込むことよりも優先するべきだと思うのです。彼らが本業で稼いだ収益の何%かは北朝鮮のミサイル開発に使われているわけですから、丁半博打を田舎の賭場でも作って導入したほうがよっぽど国益に適うのではないかと思ってしまいましたよ。





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2016年05月06日

書評709 中山七里「ハーメルンの誘拐魔」

こんにちは、曹源寺です。

GWいかがお過ごしでしょうか。2日とか6日とか子どもたちが学校あったりして普通に忙しかったりするので、子持ちには大型連休といっても半分は普通ですね。

さて、米国ではトランプ(西洋花札)氏が共和党の候補になりましたが、本当にこれで民主党候補を破って大統領になったら世の中ひっくり返るんでしょうか。
日本にいる米軍をすべて撤退させるとか本気で言ってます。
現実味を帯びるトランプ大統領 米軍駐留費用「日本が全額支払うべき」と断言(5/5 BUZZ FEED JAPAN)
(略
共和党の大統領候補となることが確実になった後、トランプ氏はCNNのインタビューに答えた。
司会のウォルフ・ブリッツァー氏は「日本や韓国といったセンシティブな問題についてはどうですか。あなたは2国に核兵器を開発させて、アメリカを撤退させるかもしれないと示唆しました」と質問した。
トランプ氏は「まったくセンシティブな問題ではない」とバッサリ切り捨て、こう続けた。
われわれはドイツ、日本、韓国を守っていると演説で話しても、ほとんどの人、教養のある人たちだが、知らないんですよ。大きな労力を払っているのに、経費は支払われていないんです。こんなことは続けられない。40年前じゃないんです。支払わないとしたら、退く用意も必要ですよ。
(以下、略


日本から在日米軍への「思いやり予算」だけでも1,800億円程度あると言われていますから、総額で5,000億円くらいは米軍の維持のためにかかっているのかもしれません。
これを自衛隊のためにすべて使わなくても、国防という観点からは実現が可能かもしれませんので、もしかしたら撤退してくれたほうが安く済むかもしれません。

米軍は出て行け!と叫んでいる人たちもいますし、ここらで本当に撤退が示唆されてみたらどんな反応を示すのか、様々な分野で一波乱ありそうでちょっと楽しみです。
楽しみと言ったら不謹慎ですか?そんなことはありませんよ。どんなことでも起こりうるのがこの世界です。核武装はまた別の議論ですね。通常武装だけで日本をいう国を守ることができるのか、論点はまさにそこにあるわけですが。

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内容(KADOKAWA HPより)
障害を抱える15歳の少女が誘拐された。現場には「ハーメルンの笛吹き男」を描いた絵はがきが残されていた……。警視庁捜査一課の犬養は相棒の高千穂と捜査に動くが、同一犯と思われる第二の誘拐事件が起こり……。


曹源寺評価★★★★
ヒットメーカーになった中山七里センセーですが、相変わらず驚異的なペースで新作を書き上げていらっしゃいます。
本書は「切り裂きジャックの告白」「七色の毒」で活躍した警視庁捜査一課の犬養隼人刑事がまたまた登場します。すでに「犬養隼人シリーズ」になっているんですかね、そんな言い方もされているようです。
今回は子宮頸がんワクチンの投与によって薬害を引き起こされた被害者と家族が誘拐事件に巻き込まれることに端を発した世にも奇妙な誘拐事件というミステリです。
ワクチンの副反応によって記憶障害が発生してしまった少女が誘拐される。消失地点には「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。しかし、数日が経過しても犯人からは身代金を要求する連絡が一切なく、捜査は行き詰まりをみせる。そんなさなかに、今度は全国産婦人科協会会長の娘が誘拐され、同じように笛吹き男の絵葉書が残される。ワクチン投与に反対する側と推奨する側の両方から被害者が出るという事態に加え、さらに、、、
中盤までの疾走感とストーリーの見えなさが交錯するとこれほどまでに読む手が止まらなくなるのか、というくらいストーリーには引き込まれていきます。そしてラストの怒涛の展開に加え、「どんでん返しの帝王」とまで言われるようになった手腕をここでも発揮していただきました。
本書のテーマである「薬害」については、この子宮頸がんワクチンの話題があまり社会問題化されていませんが、現実の世界では子宮頸がんワクチンは積極的に投与されることはなくなったものの、薬害と認定されるまでには至っていない中途半端な存在になってしまっています。だからこそ、本書のようなフィクションでも取り上げられたことには大きな意味があるのかもしれないですね。
もしかしたら本書のようにいずれ薬害と認定されるような因果関係が見つかるかもしれないですね。そのときはこのワクチンを推奨してきた製薬会社や医療関係者のみならず、
自民党の○○さん、公明党の××さんや△△さん、などは

腹を切ったほうが良いですね。






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2016年05月03日

書評708 樋口有介「少女の時間」

こんにちは、曹源寺です。

GW真っ只中、我が家はフツーに生活しております。2日の月曜日はなんだかんだ言っても子どもたちの学校はあるし、自分も働いているし、土日はいつもどおりだし、で、あまり変わらないですね。

さて、デーリー新潮の記事ではまたしても新聞の押し紙に関するネタがリリースされました。
新聞「押し紙」販売店主が告白 朝日30%読売40%日経20%産経26%毎日74%が水増しの店も?!
2月15日に日本記者クラブで行われた記者会見では、ゲストの杉本和行・公正取引委員会委員長に“押し紙が横行している”旨の質問が切り出された。「押し紙」とは、新聞社が部数水増しのため販売店に注文させて買い取らせる新聞のこと。会見からひと月あまり後、販売店からの「注文部数を減らしたい」という申し入れに了承しなかったことで、朝日新聞社が公取から口頭で「注意」処分を受けるという事態が起きていた。仮に朝日新聞の発行部数の30%が「押し紙」であれば、その数は約200万部となり、朝日は最大で収入の約27%を失うことになる。新聞社の最大のタブーである「押し紙」行為に手を入れられ、朝日の社内に大きな衝撃が走ったという。(以下、省略

本記事はYahoo!ニュースにもアップされましたのでかなりの人が目を通した可能性があります。新聞の末期症状が露呈したわけですが、毎日新聞の74%ってなんだこりゃ。本当に酷いですわ。岸井ヒゲはコメントを出すべきですね(笑

自分はずっと主張していますが、新聞は別に主義主張があっても良いと思います。ただ、「中立」とか「公正」とかいう主張と一緒になってイデオロギーぷんぷんの記事を書くから気に入らないだけです。押し紙とクロスオーナーシップの廃止を明確にして、独自色を出していけば生き残れるのではないかと思っていますが、もう無理かも知れませんね。。。
テレビはもっと酷いです。報道に関してはTBSがダントツに酷いかもしれません。テレビは国民の資産である「電波」を好き勝手に使ってろくに電波使用料も払わず、時に「報道しない自由」を駆使して真意を捻じ曲げるからむかついているのです。公正中立という点では電波のほうが新聞よりもはるかに重要視されなければなりません。これも毎日新聞の影響でしょうか。

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内容(東京創元社HPより)
月刊EYESの小高直海経由で、大森で発生した未解決殺人事件を調べ始めた柚木。二年前、東南アジアからの留学生を支援する組織でボランティアをしていた女子高生が被害にあった事件だが、調べ始めたとたんに関係者が急死する事態に。事故か殺人か、二年前の事件との関連性は果たして? 美人刑事に美人母娘、美人依頼主と四方八方から美女が押し寄せる中、柚木は事件の隠された真実にたどり着けるのか──。“永遠の38歳”の青春と推理を軽やかに贈る、最新長編。柚木草平初登場作『彼女はたぶん魔法を使う』を思わせる、ファン必読の書。


曹源寺評価★★★★★
樋口センセーはそれほど熱狂的なファンではありませんが、たまに良作にめぐり合える楽しみがありますので読むことにしています。
センセーの著作には「柚木草平シリーズ」というのがありまして、元警視庁捜査一課の警部補にしてジャーナリスト、色男でモテまくり、嫁さんと娘とは別居中というなんとも魅力的なキャラクター設定でコアなファンには人気を博しています。
東京創元社から出ている柚木草平シリーズは番外編を含めて全部で13作品もありました(!)。1年に1作品くらい発刊されているようですので「永遠の38歳」という別名がつくのもむべからぬことです。
このシリーズによくあるパターンは「美女がやたらと登場する」という非現実的なシチュエーションです。これに異を唱えてはいけません。我々男性諸君は

このありえない設定を楽しむのがルールであります。

本書は美人編集者と美人刑事、美人依頼者とその娘、さらには定番の美人元同僚、と美人だらけでハーレム状態な主人公ですが、性格が軽いと言われつつも意外と節度があったり、いい加減なようで元刑事の勘(というよりはセオリー)を遺憾なく発揮して自分なりの推理と結論を導き出しています。シティーハンターの冴羽遼というよりは、素のままの伊藤英明のほうがイメージが近いですね。
ただ、中盤までの展開がまだるっこしいのと、ミステリっぽさがほとんどないことが読む人を困惑させます。まあ、これはこれで雰囲気を楽しむのがよろしいのだろうと割り切れば、すらすらと読み進めることができますので苦痛ではありませんが。
これが樋口センセーの持ち味といえば持ち味ですね。





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