ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

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2016年05月24日

書評714 中山七里「恩讐の鎮魂曲」

こんにちは、曹源寺です。

伊勢志摩サミットが近づいてきましたので、首都圏もあちこちで厳戒態勢なわけですが、全国22万人の警察官が本気を出せばこれだけ威嚇できるんだなあと思うくらいあっちこっちに配置されていますな。

それはさておき、日本はよく国際的な信任を得ないとうんたらという人が多くて、消費税の引き上げについても凍結すると国債の格付けが落ちるとか、サミットで一定の成果を上げなければ安倍首相のリーダーシップがうんたらとか、いちゃもんをつける輩が多くて困ります。
そんななかでこんなニュースも。

日本、25年連続で“世界一お金持ちの国”に(5/24テレビ朝日)
日本の政府や企業などが海外に持っている資産から負債を引いた海外の純資産が去年は339兆円で、日本は25年連続で世界一お金持ちの国になりました。
財務省によりますと、企業の海外投資の増加や証券投資が増えて「対外資産」は7年連続で増えました。一方、外国人が持つ日本株が増えたり年末にかけて値上がりしたことから「対外負債」も増え、資産から負債を引いた日本の「対外純資産」は339兆2630億円と5年ぶりに減少しました。それでも日本は対外純資産の保有残高が25年連続で世界一となりました。主要国ではドイツが23年ぶりに2位に、中国が10年ぶりに2位から転落して3位となっています。


なんだかんだで日本は世界一の対外純資産を持っているのでありまして、財政破綻寸前のどこかの国と一緒にしてもらっては困るのです。
もう財務省の詭弁につきあうのはやめて、日本は日本で幸せになる道を進みましょうよ。

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内容(講談社HPより)
韓国船が沈没し、251名が亡くなった。その事故で、女性から救命胴衣を奪った日本人男性が暴行罪で裁判となったが、刑法の「緊急避難」が適用され無罪となった。一方、医療少年院時代の恩師・稲見が殺人容疑で逮捕されたため、御子柴は弁護人に名乗り出る。稲見は本当に殺人を犯したのか?『贖罪の奏鳴曲』シリーズ最新作!!圧倒的迫力のリーガル・サスペンス!


曹源寺評価★★★★★
弁護士御子柴礼司シリーズの最新作です。このシリーズは中山センセーの作品群のなかでも一番好きかもしれません。
前作(「追憶の夜想曲(ノクターン)」)のラストでは、御子柴の過去(=死体配達人という少年時代に犯した殺人鬼のあだ名)が世間にばれてしまったというところで終わっていましたが、その続きとしてストーリーが成立しています。正直、前作で終わってしまうのかと思っていましたので、続編が出て本当にうれしいです。
元殺人鬼の弁護士ともなれば、その後の展開は言わずもがなでありますが、今回はそんな環境のなかで、かつての医療少年院時代の恩師である稲見の弁護を引き受けるというお話です。
その恩師は容疑を認め、自分を罰して欲しいと訴えますが、御子柴が調べを進めていくうちにさまざまな矛盾が生じてきます。御子柴は複数の証言の矛盾から見えてきた、稲見の立ち位置とその環境に目を向けます。
自分を罰して欲しいと懇願する被疑者と、事件の真実にたどり着いた御子柴。どのような法廷戦術で立ち向かっていくのか、読者としては読み進めるうちに湧き上がってくる法廷での華麗な弁舌を聞きたいという衝動が本書の最大の山場につながります。
そうなんです、本書シリーズはこの御子柴の鮮やかな法廷戦術と弁舌にシビレたいとする読者の欲求に対して、

見事にその願いをかなえてくれるから面白い

のであります。
さらに言えば、この主人公御子柴は人の気持ちを斟酌しないサイコパス(アスペルガーとも違う)なところがありますが、時折見せる人間っぽさ(本当に時折です)がまた良いのです。御子柴はあくまでもダークヒーローであり、弁護すべき人と彼の過去との対比とか心情的な対比とかを描写することによって、読者にすべてを支持させないところもまた哲学的だったりします。読んで楽しいだけではなく、ちょっと考えさせられるところもあるというのがまた素晴らしいですわ。
今回のテーマには「緊急避難」という難しい問題も秘められています。船が難破して、一人しか助からない板に他者が捕まろうとした場合、その人を排除することは許されるのか否かという有名な「カルネアデスの板」の問題が本書のキモであります。日本の法令では刑法37条にこの緊急避難が定められていますので、法的には正当と言えますが、これを殺人事件に適用されて本格的に論争されたケースは日本国内ではほとんどないそうですね。法律の勉強にもなって一粒で二度おいしい作品でした。





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posted by 曹源寺 at 16:47| Comment(0) | TrackBack(1) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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