ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

過去ログページ

2016年06月28日

書評724 米澤穂信「真実の10メートル手前」

こんにちは、曹源寺です。

英国のEU離脱はとりあえず決まりましたが、実際に離脱するための手続きがあと2か月くらいかかるそうですので、次のショックは8月か9月くらいに来るのかもしれません。
あるいはそれまでにじわじわと市況が変わっていくのかもしれませんので、資産の移動などは今のうちにやっておくべきかもしれないですね。

さて、来月は参議院議員選挙が行われます。自分の住む東京都の選挙区はこんな顔ぶれです(選管のページはこちら)。
1 たかぎさや 女 52歳 新党改革 新
2 鈴木まりこ 女 31歳 日本のこころを大切にする党 新
3 田中康夫 男 60歳 おおさか維新の会 元
4 よこぼり喜久 男 80歳 無所属 新
5 増山れな 女 39歳 社会民主党 新
6 いわさかゆきお 男 69歳 無所属 新
7 トクマ 男 49歳 幸福実現党 新
8 三宅洋平 男 37歳 無所属 新
9 マタヨシ光雄 男 72歳 世界経済共同体党 新
10 山添拓 男 31歳 日本共産党 新
11 竹谷とし子 女 46歳 公明党 現
12 鈴木たつお 男 75歳 無所属 新
13 佐藤かおり 女 48歳 無所属 新
14 中川まさはる 男 69歳 自由民主党 現
15 鈴木信行 男 50歳 維新政党・新風 新
16 小川敏夫 男 68歳 民進党 現
17 朝日けんたろう 男 40歳 自由民主党 新
18 柳沢秀敏 男 67歳 無所属 新
19 小林こうき 男 72歳 国民怒りの声 新
20 原田きみあき 男 39歳 無所属 新
21 蓮舫 女 48歳 民進党 現
22 よこくめ勝仁 男 34歳 無所属 新
23 おおつき文彦 男 49歳 支持政党なし 新
24 佐藤ひとし 男 45歳 支持政党なし 新
25 さめじま良司 男 61歳 支持政党なし 新
26 深江孝 男 54歳 支持政党なし 新
27 浜田かずゆき 男 63歳 無所属 現
28 ふじしろ洋行 男 42歳 チャレンジド日本 新
29 ひめじけんじ 男 64歳 地球平和党 新
30 川上晃司 男 31歳 無所属 新
31 犬丸勝子 女 61歳 犬丸勝子と共和党 新

定数が12人、今回改選6人のところに31人が立候補しています。上位5人くらいはなんとなく予想がつきそうですが、最下位当選枠に入りそうなあたりで何だかドラマがありそうな気もしますね。
選管のページから本人のSNSやホームページリンクが貼られるようになったのは大きいですね。本人の経歴や主張がすぐに分かるようになりました。逆に、リンクのない人はイコールやる気もないと見て良いでしょう。このネット時代に自分の媒体を作って意見を述べないなんてありえませんよ。まあ、作ったは良いけれどめちゃくちゃ見づらいサイトもありますね。項目が全く整理されていないのはある意味すごいわww

ただ、我々はその本人のページだけで満足してはいけません。裏の顔や過去の事件などは本人のページからは決して見ることはできませんからね。
DV野郎がいるかと思えば、旧国鉄動労とつながっている奴もいます(これがどういう意味か分かりますね)。人前で母乳を飛ばすパフォーマンスをしていた奴とか、一緒に映っている奴が碌でもないジジイだったりする(なんでこんな奴と組んでいるだよ〜って)奴とかね、もうネタのワンダーランドですよこれ。
それと、議員報酬ゼロで頑張るとか言っている候補者がいます。あの舛添も最後は報酬カットでいいからやらせてくれと懇願していました。あのデフレが酷かった時代(といっても6〜7年前ですが)は人件費を切り詰めればなんとかなるという時代でした。今はもう違います。それに、こんな画像もネットでは出回っています。
sigotonosekinin.jpg

これはぐう正論ですわ。議員報酬はいらないってことはイコール、議員としての責任は負いません、ってことになりますね。時代の流れを読めない奴は国民からの支持も得られないと心得よ。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(東京創元社HPより)
滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執──痛みを引き受けながらそれらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。『王とサーカス』後の六編を収録する垂涎の作品集。


曹源寺評価★★★★★
すみません、「王とサーカス」が未読ですが、本作のほうから読んでしまいました。フリージャーナリスト太刀洗万智を主人公とする短編6作品を収録している本作は、米澤センセーらしくいずれ劣らぬ後味の悪さを存分に発揮してくれています。
ベンチャー企業の広報担当者が失踪した事件を追ったタイトル作「真実の10メートル手前」、JR中央線吉祥寺駅で発生した人身事故を事件と喝破する太刀洗の眼力に迫る「正義漢」、高校生の男女が心中自殺したが残されたノートに「たすけて」の文字が。心中の裏にある事実を探る「恋累心中」、老人の孤独死を追うと周辺取材で明らかになった死の真相に驚愕する「名を刻む死」、旧ユーゴスラビアの外国人が太刀洗と同行して取材記者の存在意義を問う「ナイフを失われた思い出の中に」、土石流で3日間孤立した夫婦が奇跡的に救助された『良い話』に覚えた違和感を追及した太刀洗の行動の是非を考えさせられる「「綱渡りの成功例」、以上6作品ですが、個人的には表題作と恋累心中の2作品にグッと来ました。本当に誰も救われないし、後味悪いしでハッピーエンドがこれっぽっちもない。こんな本なのに、なぜか面白いんですよね。
米澤センセーの後味の悪さというのは、

真実が分かっても、それ以上に救われない

むしろ、状況はより悪化するのではないかと考えさせられる、という点にあると思います。本作ではそれがよく理解できます。決してハッピーエンドではない、しかし、知らずにはいられない。そんなお話がずらりと並んでいるのが本書です。
本編6作はいずれも太刀洗が登場しますが、視点はすべて別の人です。つまり、他人から見た太刀洗。ここから太刀洗の人物像が透けて見えてくるというのもなかなかに良いですね。
米澤作品は中毒性があることが立証されてしまいました。やばいなこれ。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | や行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月24日

書評723 永瀬隼介「総理に告ぐ」

こんにちは、曹源寺です。

本日、英国のEU残留を問う国民投票が開票され、10万票以上の差をつけて「残留」を「離脱」が上回りました。英国のEU離脱が現実的になったことを受けて、マーケットが大荒れの展開となっています。
株式市場爆下げ、為替市場爆上げ、中国株式死亡フラグ、ユーロもアウト、とまあとんでもない展開になっていますが、来週以降の情勢から目が離せなくなってしまいました。
FXとかやっていた人のなかには乱高下で死亡フラグ立った人もいるかもしれません。お願いですから自殺志願者は発作的に駅のホームから飛び降りることのないよう切にお願い致します。

しかし、ここでもマスゴミによる「報道しない自由」が発揮されていることにお気づきでしょうかみなさま。

英国は「なぜ、離脱の是非を問うたのか?」という疑問に対して、テレビは、あるいは大新聞は真正面から報じていましたか?自分の知る限り、この「なぜ」の部分についてはあまり報道されていないと思います。
英国の本音は「国体の護持」です。国体とは国境だけでなく、通貨発行権なども含んだ「国家としてのかたち」であり、移民問題などもここに含まれます。国家のかたちがこれ以上融解しないように歯止めをかけたいということです。そして深刻な問題になっていたのが移民問題です。EU圏内の人の移動がどんどん激しくなってしまい、ドイツや英国への流入が激化してしまったことが国民の危機感を増幅させてしまったことは疑いの余地がありません。

こうした問題を浮き彫りにしているのは外国メディアと国内ネットメディアだけです。朝日新聞は酷くて、こんな記事を出していました。
英国で何が起きているのか 社会に亀裂・支持分極化(朝日新聞6/23)
(前略)
「すっかりだまされた」。家具製造会社のマリエッタ・キング社長(69)は憤る。前回75年の国民投票の際は「自由市場への参入は英国の国益になる」と考えた。だが「実際は、EUが貿易や農業などあらゆる分野の規制で英国をがんじがらめにした」という。そして、その規制について「決められるのは、EU本部があるブリュッセルでロビー活動ができる大企業の意向だけ。中小企業や庶民は不利益を被っている」と不満を口にした。
「私たちは英国の未来のために、主権を取り戻す。今回の投票は、かつての誤った選択を改めるチャンスなのです」。隣にいた初老の男性もうなずいた。
遠藤さんは「確かに、前回の国民投票時とは比較にならないほどEUの介入は増えた。自国のことは自分たちで決めたいといういらだちは理解できる」と話す。一方で「グローバル化が急速に進行する世界で、EU全体でまとまることで各国の国益を守り、国際的な影響力を行使できるという恩恵に気づけていないのでは」と疑問を呈した。

(以上)

>>実際は、EUが貿易や農業などあらゆる分野の規制で英国をがんじがらめにした

えっ?そうなの?

>>グローバル化が急速に進行する世界で、EU全体でまとまることで各国の国益を守り、国際的な影響力を行使できるという恩恵に気づけていないのでは」と疑問を呈した。

えっ?何これ?

ちょっと空いた口がふさがらないんですが。
酷いなあ、この記事。EUの理念と現実をちっとも理解していないか、あるいは捻じ曲げているかのどちらかでしょう。
各国間の規制を取っ払って貿易をスムーズにすることが期待されて始まったのがEECとかECであって、EUはその延長線上にいるはずですが今は規制だらけですかそうですか(棒
それに、EUとしてまとまることと各国の国益が守られることは全く逆の話であって、同時に成立するものではないでしょうに。
絶対、この記者の妄想ですわこれ。リアルにこんな話を信じていたら新聞記者としてというか社会人としても失格ではないかと思うレベルで酷い記事でした。

こんな記事を書いているのは裏に移民問題などを探られたくない腹があるからではないかと本気で疑うレベルです。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(KADOKAWA HPより)
元与党幹事長の回顧録のライターを引き受けた小林は、過去のスキャンダルを告白させようと試みる。しかし語られたのは、戦争のできる国家へと舵を切る現総理大臣の、知ってはいけない大スキャンダルだった――。
ノンフィクションライターの小林は、脳梗塞で療養中の元与党幹事長・佐竹の回顧録のゴーストライターを引き受ける。売れないライターからの一発逆転を狙い、小林は過去のスキャンダルを告白させようと試みるが、国の行く末を憂う佐竹が語り出したのは、戦争のできる国家へと大きく舵を切る現総理大臣のスキャンダルだった。しかし、佐竹の告解が終わった刹那、公安警察が現れて乱闘になり、脳梗塞を再発した佐竹は死亡してしまう。佐竹の告白と乱闘の一部始終が録音されたレコーダーを手に、現場から命からがら逃げ出した小林は、旧知の警察官の助けを得て、マスコミを巻き込んだ大勝負に出るが――。


曹源寺評価★★★★
永瀬センセーはごくまれにですが政治ネタを使って書き上げた作品を出してこられます。「カミカゼ」や「白い疵 英雄の死」などがそれに当たりますが、本書はかなりリアリティを追求しているのか、「自由民衆党」とか「安生内閣」とかきわどいところを狙ってきています。
現総理大臣の倉石喜一郎は安生内閣を継承して一気に政権を握ったカリスマで、高い支持率をバックにナショナリズムを煽る政策を採り続けてきた。その倉石のスキャンダルを握ってしまったフリーライターを中心に、政治と警察とジャーナリズムがにわかに動き出す、というのが話の骨子にあります。
永瀬センセーのお決まりパターンですが、主人公=弱い、相棒=強すぎ、助成=気が強い、という登場人物のプロットは本書もまた踏襲されておりまして、

もうちょっと違うプロットも考えてほしいなぁ

と思う今日この頃です。
その弱気な主人公、小林春樹は売れないジャーナリストでゴーストライターの仕事をこなすなかで元与党幹事長の佐竹一馬の回顧録を書く仕事を得る。小林はただのインタビューで終わらせることなく、過去のスキャンダルを告解させようとしたが、出てきた内容は現総理大臣のスキャンダルだった。そこに乱入してきた公安ともみ合いになり、佐竹とその秘書が死亡。音声を持ち出して逃亡に成功した小林は過去に世話になった警察官を頼る。
とまあ、国家権力からの逃亡だけなら「ゴールデンスランバー」ですが、本書はここから「国家との対決」にまで進んでいきますので米映画「大統領の陰謀」みたいな展開です。
弱っちい小林ですが、旧知の警察官に頼ったものの(ここからネタバレ)

手打ちにされそうになった(というか手打ちになった)ため、命は助かりますがここから逆襲が始まります。
最後はハッピーエンドというか、まあ納得の範囲内ですので楽しく読むことができましたが、正直言うともっと荒れた展開を期待してしまいましたので、多少の拍子抜け感はありましたが、あまり荒れすぎると収まりがつかないのも分かりますのでこれはしょうがないかと。
ただ、永瀬センセーは「カミカゼ」で愛国心丸出しの作品を上梓されたあと、「白い疵 英雄の死」で熱狂する大衆に釘を刺す場面を描き、本書では「経済的徴兵制」を敷こうとする政権を打倒する話を出す、というなんとも両極端な展開で、作家センセーにしては珍しい中道を行くお方なのかなあと思っています。左巻きが多い業界ですから中道もまた多少はやりにくいのかもしれませんが、ぜひこの路線で両極を描いて欲しいものです。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 15:24| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月21日

書評722 麻見和史「深紅の断片」

こんにちは、曹源寺です。

昨日は沖縄県で米海兵隊に属する男性が暴行殺人で捕まった事件に関して、地元住民(!?)による抗議集会が行われていたことが大きなニュースになりました。

正直申し上げますと、この手の報道にはうんざりです。
個人の犯罪をそいつの属する団体の責任に摩り替えるのはもうやめにしませんかねぇ。今回のは軍属の人間が犯した罪だけど、軍の命令があってやったわけではないし、軍に何らかの責任があるわけでもないでしょう。
「海兵隊がいなければこんな犯罪も起きなかったんだから海兵隊の撤退を求めることに何の間違いがあるのか?」という主張は、一見正しいようで実は大間違いです。

なぜなのか?
では、こう言い換えてみたらどうでしょう。
「底辺高校の教師がわいせつ事件を起こした。底辺高校は生徒のみならず教師も底辺なのか。こんな危険な学校があるからわが町は危険に晒されるのだ。ただちに移転せよ」
こんな主張をされたらものすごく違和感を覚えますよね。沖縄で活動している連中はまさしくこれと同じ主張をしているわけですよ。もしもこんな発言が飛び出したら人権派の弁護士が黙っていないでしょう。大挙して現地に押しかけてきますよ。
もっと過激な言い方をすればこうなります。
「朝鮮学校の生徒が暴力事件を起こして他校の高校生が死んだ。朝鮮学校は反日教育をしている。こんな危険な学校があるからわが町は危険に晒されるのだ。ただちに移転せよ」
こんな主張と本質は一緒です。
つまり、今回の事件でいくら「沖縄県民の我慢は限界に近づいた」などと叫んでも、これを米軍撤退のための錦の御旗にするのはある意味人権侵害であり、差別でもあるということです。
これを県知事が先頭に立って発言しているのが今の沖縄の現状です。

こうした集会を意気軒昂として報道するマスゴミの姿勢にも疑問です。マスゴミはむしろ、こうした先鋭的な活動が差別の助長につながるとして住民に冷静さを求めなければならない立場のはずですが、率先して報道を繰り返すマスゴミは人権侵害と差別を助長していると言っても過言ではありません。
犯人は厳罰に処されるべき(死刑でもいいくらい)ですが、これを政争の具に使う連中(○核派とかね)と報道で煽っているマスゴミには本当に辟易とします。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(講談社HPより)
犯人の119番通報で、事件の幕が開く!
救急隊の若き隊長・真田健志は、血気盛んな後輩・工藤、運転のエキスパート・木佐貫と三人一組で出動する日々をおくる。ある晩、「少女が閉じ込められている、早く助けないと死ぬ」と、犯人と思しき相手から通報が!監禁された少女は衰弱し、背中にはトリアージタッグを模したシールが貼られていた。四色の紙片(タッグ)は、本来、疾病者の治療優先順位を示すためのもの。しかし、現場に残された紙片は、被害者をどれだけ痛めつけたのかを表し、次の事件を示唆していた。彼らは、人々の命と町の平穏を守ることができるのか!?


曹源寺評価★★★★★
消防・救急関係のミステリといえば日明恩センセーが常連として有名ですが、麻見センセーがこのジャンルにチャレンジしてこられましたので読んでみましたよ。
主人公の真田が所属する救急隊に、犯人と思しき人物からの119番通報が入る。真田が現場に急行すると、廃工場の大型冷蔵庫に閉じ込められた少女を発見する。少女の足もとにはなぜか大量の血液が残されていたが、少女は大量出血していたわけではなかった。そして、少女の背中にはトリアージタッグのようなシールが貼られていた。
少女は一命を取りとめたが、同様の事件が続いた。なぜ、被害者にタッグがついて大量の血液が残されていたのか。
とまあ、なかなかに謎な展開ですので読み手としては続きが気になりどんどんページが進んでいきます。
途中、救急隊に別の救急事案が続いてしまうので話が脱線しているように思えるのですが、

これがどっこい伏線だったりする

のでまったくもって気が抜けません。全然関係ないと思っていたらつながるつながる、、、おぉ、つながった!みたいな感じです。
ラストもちょっと意外な展開なので、ミステリとしてはまあ楽しめるほうではないかと思います。残念なのは登場人物の書き分けがやや雑であったこと、事件の鍵を握るトリアージタッグについての理解が予備知識なしだとちょっときついこと、そして警察の動きが連動しなさすぎなこと、の3点が挙げられましょうか。このへんが肉厚だったらもっと面白かったのではないかと思いました。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 15:54| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月17日

書評721 一橋文哉「未解決−封印された五つの捜査報告−」

こんにちは、曹源寺です。

舛添が都知事の職を辞したわけで、まあこれはこれで結構ではありますが、次の都知事をどうするの?という点がまさにクローズアップされております。
都知事選というのは、どうして毎回毎回、いろいろな人たちが登場してくるのか、不思議でなりません。当選を目的としていない人が半分くらいいそうですもんね。
ちなみに、2014年に実施された都知事選の立候補者の面々は、以下のリンクで見ることができます。

候補者一覧(朝日新聞より)
ひめじけんじ 61 建物管理業 無所 新
宇都宮健児 67 (元)日弁連会長 共産 社民 無所 新
ドクター・中松 85 発明家 無所 新
田母神俊雄 65 (元)航空幕僚長 無所 新
鈴木達夫 73 弁護士 無所 新
中川智晴 55 設計事務所代表 無所 新
舛添要一 65 (元)新党改革代表 無所 新
細川護熙 76 (元)首相 無所 新
マック赤坂 65 スマイル党総裁 諸派 新
家入一真 35 ネット会社役員 無所 新
内藤久遠 57 (元)陸上自衛隊員 無所 新
金子博 84 ホテル業 無所 新
五十嵐政一 82 社団法人理事長 無所 新
酒向英一 64 (元)瀬戸市職員 無所 新
松山親憲 72 警備員 無所 新
根上隆 64 政治団体代表 無所 新


こんなにいたwwww

舛添が当選するのも無理はありません。知名度が違いすぎました。

都知事選では前回のようにどうしても知名度が得票数を左右してしまいます。知名度が低い人はそれだけで圧倒的に不利なわけです。これは何を意味するのかというと、「大勢の都民が情報不足の状態にある」というのと同義なわけです。
あ、もちろん逆の意味もありますよ。「大勢の都民が情報に触れようとしていない」ということも見逃せないと思います。
インターネットの時代においてもなお、みずから積極的に情報を取得しようとしていない人が何と多いことか、と嘆いてしまうレベルだと思います。

ですから、おそらくR4が立候補したら相当の得票数となることは間違いないでしょう。もしかしたら本当に当選するかもしれません。知名度という点では相当なものですからね。

自分は思うのです。いっそのこと、都知事は俳優の松平健でいいのではないかと。
マツケンに殿様の格好をしていただき、大江戸の殿としてふんぞり返っていただく。それだけで都政はうまく回るのではないかと。暴れん坊将軍ならぬ暴れん坊都知事、どうでしょう。
ちょうどリオに行って次の五輪の引継ぎという行事もありますから、マツケンサンバを世界中に知らしめるいい機会でもあります。

中途半端に知名度があって、でもその裏にはとんでもないイデオロギーを覗かせている、、、そんな人よりよっぽど都民のために働いてくれそうです。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(新潮社HPより)
「住友銀行名古屋支店長射殺事件」「八王子スーパー強盗殺人事件」「ライブドア『懐刀』怪死事件」……。闇でほくそ笑んでいるのは誰か。文庫オリジナル。
犯人逮捕が何度もささやかれながら、いつまでも終結しない事件がある。一方で、犯人が逮捕されていながら、その背景が全く明らかにされない事件がある。それはなぜなのか。迷宮入りする「住友銀行名古屋支店長射殺事件」「ライブドア『懐刀』怪死事件」、そして、すべてが心の闇に隠された「酒鬼薔薇事件」など、解決されざる大事件の深層に圧倒的取材で斬り込んだ犯罪ノンフィクション集。


曹源寺評価★★★★
読む本がなくなるとノンフィクションに走ってしまうことが良くありまして、そういえば一橋センセーの著作はあまり読んだことがなかったなあと思い出したので、手ごろなところから始めることにしました。
未解決事件と聞くと心がときめいてしまう、という書き出しで始まる一橋センセーですが、ミステリ好きならこの気持ちは分からなくはないですね。真犯人はどこにおるんや?という純粋に事件を解き明かしたい気持ちがまずは先にたちますので。
本書は「新潮45」で連載されていたコラムが文庫化されたもので、内容は「八王子スーパー強盗殺人事件」に始まり、「住友銀行名古屋支店長射殺事件」「豊田商事会長刺殺事件」「ライブドア『懐刀』怪死事件」といずれも世の中を騒がせた未解決事件ですが、一橋センセーは世に流れた通り一遍の情報ではなく、まさしく「裏の情報」から事件を見つめなおしておられます。
「八王子スーパー〜」は単純にパートのオバちゃんと女子高生が殺された事件ではなく、怨恨のセンが濃厚であったというのはちょっと衝撃でした。
「豊田商事〜」もあちこちで恨み買っていたから殺されたのはしょうがねえなあと思っていましたが、実はあのタイミングで殺されたのには理由があった!みたいな記事でちょっと驚きを隠せませんでした。
あと「神戸連続児童殺傷事件」も掲載されています。「酒鬼薔薇聖斗」であまりにも有名なこの事件は、犯人逮捕で一件落着といかないところが未解決ではないという理由になるのでしょう。最近は本人がホームページを立ち上げたり、文春だかが出所後の本人を捉えたりして誌面をにぎわせていました。しかし、一橋センセーは文春より前に多摩地区にいることをキャッチして本人と思しき人物に接触を試みていました。

一橋センセーの取材力は半端ないですね。

世の中には全く尊敬できないノンフィクションライターが結構いますね、実名は出しませんが。逆に、事件ものでがっちりと取材されているのは一橋センセーと清水潔センセー、野村旗守センセーなどはすごいなあと思います。あ、あと忘れてはいけない溝口敦センセーはもう大御所ですね。
本書の文章はまとまりがありそうで実はなかったりしますが、これは膨大な情報量を短編レベルのボリュームに圧縮して書かざるを得ない編集の都合ではないかと推察します。それだけ取材力が半端ないということの裏づけでもありましょう。それぞれが一作ずつ本にできそうな内容ですので、お得感はありますね。
ただ、豊田商事事件はいかんせん古すぎかなと思ったのですが、21世紀に入ってからも豊田商事の残党どもが当時のマニュアルに従って詐欺を働いているという事実(!?)を読まされると、「バブルの系譜」と「詐欺の遺伝」はこの豊田商事に源流を求めることができるとする一橋センセーの主張には耳を傾けざるを得ません。

そういえば、本書を読んで90年代半ばから後半にかけてさんざん読みつくした「別冊宝島」シリーズを思い出しました。「コスモポリタン事件」や「平和相銀金屏風事件」にはじまったバブル関連の事件はだいたいあのシリーズで勉強させていただきました。あの頃から未解決事件のなかでも特に経済事件、ウラの世界が垣間見える経済事件は自分のすぐ近くにあるのだということを学びながら仕事をさせていただきました。今はただ感謝感謝であります。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 16:39| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月14日

書評720 今野敏「臥龍 横浜みなとみらい署暴対係」

こんにちは、曹源寺です。

イギリス連邦という国がありまして、世界史を学んだ方はこの国の酷さをよくご存知かと思いますが、まあぐう畜ぶりが半端ないくらい世界中に禍根を残しながらも19世紀の覇者であるがゆえに、今もなお多大なる影響力を誇示している国であります。
自分もUKロックは大好きです。ビートルズにはじまり、デビット・ボウイ、U2、ポリス→スティング、コールドプレイ、、、みんなイギリスですね。あ、U2はアイルランドか。

そんなイギリスですが、EU離脱の是非を問う国民投票が6月23日に実施されます。さあみなさん、張った張った!離脱ならポンド下落、残留なら爆上げ間違いなし!円でもいいよっ!
って、おそらくは世界中で大博打でしょうなぁ。
イギリスの場合は通貨も違うし大陸とは距離があるしで、残留するメリットがそんなに多くはないのかもしれないですね。
ネットの調査では離脱派がリードしているそうですが、本当に離脱になったらドイツ爆死、中国暴動、ユーロ爆下げ、国内株ストップ安、、、ですかね。
リーマン・ショック以上のインパクトがありそうでちょっと怖いですわ。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(徳間書店HPより)
ハマの用心棒こと、みなとみらい署暴対係係長諸橋夏男と相棒の城島勇一は、居酒屋で暴れまわった半グレたちを検挙する。大陸訛りがあることから、東京の下町あたりを縄張りとする中国残留日本人二世や三世らが横浜に進出してきたのではと危惧する諸橋。そんな折、関西系の組長羽田野が殺害された――。大好評「横浜みなとみらい署」シリーズ、最新刊!


曹源寺評価★★★★
「さすがにハマの用心棒と言われるだけのことはある」「俺はその名前で呼ばれるのが大嫌いなんだ」でおなじみの、「横浜みなとみらい署」シリーズです。
主人公の諸橋夏男は暴対係の係長、相方の城島は係長補佐でいつもコンビを組んでいます。今回は中華街で半グレをボコッたらその翌日に関西の3次団体組長が殺されるという事件が発生し、顔なじみ(?)のヤクザがしょっ引かれるという事態になります。この事件経緯に疑問を持つ諸橋が、真相を解き明かそうとすると、、、
本シリーズでは地元の博徒上がり(?)の侠客である神野義治とその懐刀である岩倉真吾が必ず登場してきますが、暴力団に両親を殺された過去のある諸橋は、相手がどんなに懐の大きな男であっても容赦しません。この刑事とヤクザの微妙な距離感がたまらなく好きですわ。お互いの事情は分かっていて、そのうえで共闘できるときは情報を交換し、知恵を出し合う。いいですね。

男の世界ですわ。

今回はこれに神奈川県警のキャリア監察官である笹本が加わります。不祥事には滅法厳しい、ゆえに間違ったことには口を挟まずにはいられない。捜査方針が誤った方向に進みそうになった時、県警捜査一課とみなとみらい暴対係の対立を修正するのがこの笹本であります。
証拠の少ない事件では「スジ読み」というのが非常に大切になってきますが、間違ったスジ読みは捜査にとって害悪でしかなく、冤罪の温床にもつながっていきます。相手がヤクザだから問題なし、という考え方は人権問題にもなりかねません。リアルな社会では未解決事件が後を絶ちませんが、初動捜査の遅れやスジ読みの誤りが原因であることはしばしばです。本書はこうした捜査の見立てについて、警鐘を発してくれています。
仮説を立てて、それを立証していくというプロセスはビジネスの世界(マーケティングなど)でも良く使われる手法ではありますが、仮説を「結論」に置き換えて、その結論に見合う証拠を追い求めていくような動きをすると、大抵は失敗します。その結論が正しいかどうかを検証するプロセスが抜け落ちるからです。こうした場合はだいたいどこかで矛盾が発生してしまいます。警察小説から学ぶことも多いですね。なんか本でも書けそうですわ。「警察小説に学ぶマーケティングの罠」とかね。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 16:18| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月10日

書評719 宮下奈都「羊と鋼の森」

こんにちは、曹源寺です。

参院選の季節が近づいてまいりました。
民進党(旧民主党)の新しい選挙ポスターができたそうです。
「2/3をとらせない」 民進党、参院選ポスター発表(6/9 FNNニュース)
民進党は9日、参議院選挙のポスター3枚を発表した。
うち1枚は、「まず、2/3をとらせないこと。」と大きく書かれ、参議院で憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を、「改憲勢力」に確保させないよう訴えた。
民進党の岡田代表は「憲法9条改正を、安倍首相は当然考えている。そういう状況を作り出さないことが、最低限」と述べた。(以下、略)


なんともネガティブな目標ですな。
民進党(旧民主党)はこんなことも発表しています。
2016参院選 民進が「マニフェスト」やめます!(6/8産経新聞)
民進党は8日、参院選公約について、従来の「マニフェスト(政権公約)」の表現を使わず「重点政策・国民との約束」との標題にすることを決めた。
党幹部は「政権選択選挙ではないので『政権公約』の表現はなじまない」と説明するが、看板倒れに終わった旧民主党政権のマニフェストのイメージを払(ふっ)拭(しょく)する狙いがありそうだ。岡田克也代表らが15日に記者会見して発表する。
参院選ポスターのキャッチコピーは、改憲勢力による3分の2以上の議席獲得阻止を訴える「まず、3分の2をとらせない」などを軸に最終調整する。


まあ、できないことをできると言って国民を騙すよりはよほどマシかもしれませんが、この2つの記事を読む限りでは、政策的に後退している印象は拭えませんね。そもそも「こども手当ての拡充」とか「保育士の給与アップ」とか「最低賃金1,000円」とか、言っていることはだいたい労働政策や福祉政策であって、経済政策や外交政策がほとんどありません。ないのが民進党(旧民主党)なのでしょう。
みなさんも民進党(旧民主党)の候補者に出会ったら、「経済政策は何ですか?」と聞いてみましょう。おそらくまともな回答は得られないと思います。もし「えーっと、最低賃金を〜」とか言い出したら、「いやいや、最低賃金は労働政策でしょう。聞いているのは経済政策ですよ」と切り替えしてあげましょう。
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(文藝春秋HPより)
ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。
「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」
ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。


曹源寺評価★★★★★
2016年の「本屋大賞」を見事に受賞したのが本書であります。本屋大賞の受賞作は人生を豊かにさせてくれる作品が選出されることが多いですね。本書もまたそんな一冊でありました(全然ミステリではありませんがご容赦を)。
高校時代に体育館のピアノを調律する調律師の姿に魅かれて卒業後、専門学校に通い、晴れて調律師となった青年、外村。彼の成長する姿を通じて、読者にさまざまなものを問いかけてくれる内容に仕上がっています。
調律との出会い、調律師になるとの決意、ピアノと向き合うこと、お客の要望とそれを実現する腕前、コミュニケーション、目指すべき場所、調律師にとって大切なこと、などなど。
特に、

音を言葉で表現することの、何と言う難しさよ

確かにそうですわ。「もうちょっとすっきりとした音で」とか「やわらかめで」とか言われても、それをどう調律するのか。ラーメンじゃねえんだよ、と。
まさにタイトルのとおり、羊のフェルトとピアノ線の鋼でできた森の中に彷徨いかけてしまいそうになる主人公。いやあ、調律の世界は奥が深すぎますわ。

で、本書はところどころにグッとくるセリフとか表現があったりします。175ページに素晴らしい描写がありましたので、引用します。

「ピアノで食べていこうなんて思ってない」
和音は言った。
「ピアノを食べて生きていくんだよ」


うーん、と唸る自分がいましたよ。
このセリフにグッときてしまいました。高校生の女の子が言えるセリフではありません。いや、逆に高校生だから言えるのかもしれません。「ピアノ」のところを「(自分の趣味)」に置き換えれば、誰にだって当てはまるというか、誰がしゃべってもかっこいいセリフになりそうです。さしずめ、自分の場合はこうなりますな。
「テニスで食べていこうなんて思ってない」
曹源寺は言った。
「テニスを食べて生きていくんだよ」

つあぁぁ。かっこええ。
ちなみに、和音というのは物語に登場するふたごの長女のことです。彼女がピアニストを目指すとはっきり決めた場面でのセリフです。

情景描写もさることながら、こうしたピアノや音楽、調律に絡んだ表現力が素晴らしくて、読み終えるのがもったいないくらいでした。

(以下、多少ネタバレ)ストーリー自体はなんてことはなくて、事件が起きるわけでも、誰かが死ぬわけでもない(婆ちゃんが死にますが)。裏切りも憎しみもありません。あるのは少しの後悔と反省、そして気付きという名の成長と大いなる決意、新たな出会いと一歩前へ踏み出す勇気であります。老若男女を問わず、ピアノを知らなくても楽しく読める素晴らしい作品でありました。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ま行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月07日

書評718 新野剛志「戦うハニー」

こんにちは、曹源寺です。

「不適切だが違法ではない」というのは流行語大賞ノミネート決定でしょうか。舛添都知事の件は一件落着とはいかせたくないですねぇ。
実際には「不適切でかつ違法である」と認定されてもおかしくないやつがありますね。調査が不十分すぎるので、ここはもう少し突っ込めば穴が開きそうです。違法である=政治資金規正法違反ということですから、これが認定されれば辞職は免れません。虚偽記載が疑われる事例を集めて裏取って追い込みましょう。

でもなぁ、次の都知事誰にするのかという、別の命題もあるんだよなぁ。R4とか嫌だしなぁ。宇都宮弁護士とかもっと嫌だしなぁ。橋下もダメだなぁ。都構想ってもうすでに都ですが何か。東国原も嫌だぁ。絶対スキャンダル狙い撃ちされるのが目に見えていますわね。まあ、タレントしか都知事になれないという都民の愚民化が一番悪いんだけど、ほかに選択肢はないもんですかね。。。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(KADOKAWA HPより)
私立保育園「みつばち園」で、開園以来初の男性保育士として働き始めた星野親。女性ばかりの職場や、保護者からの偏見に戸惑いながらも、体当たりで子どもたちやその家族と向き合っていく。心温まる青春お仕事小説。


曹源寺評価★★★★★
新野剛志センセーの最新刊は保育所を舞台としたドタバタ系青春小説でありました。
主人公の星野親(ちかし)は有名大卒でサラリーマンを経験して、保育士に転じた変わり者です。女性ばかりの職場に戸惑い、偏見を受け、モンペアからの理不尽な要求に耐え、それでも真正面から保育という仕事に向き合っていく、若き青年であります。
物語はまあ、何と言うか、ドラマになりそうなありがち展開です。本書の全体から漂ってくるのは、新野センセーの名著「あぽやん」シリーズと同じ匂いなんですが、これってなんでしょうか。
ちょっと情けないけどひたむきな主人公、冷静で優秀な脇役、大御所の存在、仕事や人間関係を通じて分かってくる人生、

そして達観論と仕事の現実の挟み撃ち

などなど、まあいろいろと盛りだくさんです。
ただ、空港を舞台にした(それでもトラブルばっかりの)あぽやんと根本的に異なるのは、昨今の保育園事情があまりにもシビアすぎて笑うに笑えないレベルにあるということでしょうか。頭のおかしい保護者が本当に増えてしまいました。保護者だけではないですね、杉並区や目黒区の例にもありますが、子どもの声がうるさいとかいう当たり前の事実にクレームをつけるという老害も増えました。いっそのこと、暴走族が復活してくれて環七とか爆走しまくってほしいです。子どもの声くらいじゃ何とも思わないくらいの騒音社会になったほうが世の中少しはマシになるのではないかと思ってしまいます。
本作は連作短編の形式ですのでさらっと読めます。物語りも一気に加速していきますし読後感もまあまあさわやかです。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 17:09| Comment(0) | TrackBack(0) | さ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月03日

書評717 大倉崇裕「天使の棲む部屋−問題物件−」

こんにちは、曹源寺です。

祝!増税延期!!
安倍首相でなければできなかった決断ではないかと思います。財務省と外務省を押し切ることができる内閣というのは、強い内閣であると言って良いでしょう。
財政の均衡よりも経済の成長を促すべきという論調は至極真っ当なのでありますが、日本の新聞社はこの決断さえも「目先の選挙対策」とか「社会保障の財源はどうするのか」といった内容でしか論評できないようです。
まあ、そもそも安倍首相も「リーマン・ショック級のクライシスや大震災がなければ増税する」などと発言していました。これは裏を返せば「月次の経済指標は無視する」と言っているに等しいわけで、これを修正して「新たな判断」としたのはまあ評価できます。

新聞各社の社説を見出しで比較してみましょう
【読売】消費増税延期 アベノミクスをどう補強する(6/2)
【朝日】増税再延期 議論なき決定の異様さ(6/1)
【毎日】増税再延期表明 未来への責任はどこへ(6/2)
【産経】消費増税の再延期 今度こそデフレ脱却を 社会保障への影響食い止めよ(6/2)
【日経】成長と財政再建の両立捨てるな (6/1)


朝日と毎日は「ツケを未来に回すな」といった内容が中心です。読売と産経、日経は「経済成長を優先するのは分かったが、社会保障の財源のためにも財政再建は無視するな」という内容、それと「ムダを省く構造改革も必要だから考えろ」です。

読むと納得してしまいそうになるのですが、そもそも財政再建は優先順位としてそんなに高位にあるのか、どうしてもそこが疑問符なんですよね。
「国債の信認が〜」とか「プライマリーバランスが〜」とか言う財務省ですが、本当にそうならすでにシングルAマイナスまできている日本国債はもっと金利が高くてもおかしくはないのですが、なぜかスルーされています。
ムダを省く構造改革は個人的にはあまり反対ではないのですが、経済関連の人気ナンバーワンブロガーである三橋貴明センセーはもっと積極財政しろと主張されています。

積極財政は個人的にも賛成ですし、インフラ強化のための投資は怠るべきではないと思っています。しかしですね、Fラン大学をどんどん作っては教授職に自分たちのところの役人を送り込んでいる文部科学省みたいなところは、どんどん予算削減しても良いのではないかと思ったりもします(これはマスゴミも一緒に乗っかっているので性質が悪いですわ)。Fラン大学は百害あって一利なしです。
あとは資格ビジネスに熱心な天下り団体とか、公営ギャンブルを運営する特殊法人とか、UR(都市再生機構)のようなゾンビ団体とか、叩けばホコリがいくらでも出そうな公益社団法人などは民間の活力を阻害していると判断されれば即、廃止にするべきだと思います。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(光文社HPより)
大島不動産販売・販売特別室の若宮恵美子は、桁外れの「問題物件」のクレーム処理に悪戦苦闘、危機一髪のところを何度も犬頭光太郎という奇天烈な男に助けられている。文字通り人間離れした力を持つ犬頭は、前社長の遺児・大島雅弘が大事にしているぬいぐるみ・犬太(いぬた)の化身なのか……?そんな恵美子に新たに押しつけられたのは、アメリカのアリゾナ州の外れに建つ洋館だった。「天使の棲む部屋」と呼ばれる一室では、犯罪者ばかりが何人も拳銃自殺を遂げており、死者は50人とも100人とも言われているというのだが――。


曹源寺評価★★★★
難病で苦しむ男のぬいぐるみが化けて!?活躍する「問題物件」シリーズの第2弾です。って書くと、なんだかラノベのようですね。軽く読めるという点で、あながち間違いではないですが。
主人公の若宮恵美子は2代目社長になるはずだった雅弘のお世話をしているという設定。しかし、この雅弘が難病に侵されていて社内も雅弘を追い落とそうとする勢力がいる内紛状態。雅弘の部署である販売特別室には曰くつきの物件が次々と舞い込んできて、恵美子はその処理に追われるが、ピンチになると颯爽と現れるのがこの犬頭光太郎であります。なんだかヒーローものにも聞こえますね。
連作短編4作品が収録されています。ちょっとしたミステリにもなっていますので、「問題物件」に仕掛けられていた謎が解き明かされるまでの展開は比較的軽めであるものの、内容はかなりシビアだったりします。この辺りのギャップの激しさは「警視庁総務部動植物管理係」シリーズにも見られる大倉センセーならではの特徴かもしれません。
しかしながら、犬頭光太郎の無双さが際立ってきましたので、

シビアだけれどもファンタジー、ミステリだけどもファンタジー

という、なんとも言えない味わいがここに生まれました。楽しく読めるシリーズです。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
最近の記事
カテゴリ
過去ログ
検索
 
最近のコメント
書評802 呉勝浩「白い衝動」 by 本が好き!運営担当 (05/17)
書評785 東野圭吾「人魚の眠る家」 by 藍色 (04/05)
書評754 佐藤弘幸「税金亡命」 by 曹源寺 (02/01)
書評777 垣根涼介「室町無頼」 by 本が好き!運営担当 (02/01)
書評754 佐藤弘幸「税金亡命」 by 佐藤弘幸 (11/17)
タグクラウド
<< 2016年06月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
リンク集