ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

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2016年08月26日

書評737 呉勝浩「蜃気楼の犬」

こんにちは、曹源寺です。

8月もあと一週間を切ってしまいました。小学生の時分には夏休みの宿題が溜まっていて泣きながら片付けた記憶しかありませんので、8月の最終週は嫌な想い出しかありません(笑

個人的な感想ですが、例年8月になると想起されるのは終戦記念日(敗戦記念日と言ったほうが良いですね)とJAL123便の事故です。敗戦から71年が経過し、いったいいつまで日本は反省を繰り返さなければならないのでしょうかとよく考えるようになっています。なんだか誰かが「日本は永久に謝っていろ!」と画策しているような気がしてなりません。そろそろ「どこで区切るのか」について真剣に検討したほうが良いのではないかと思います。

いまの世界情勢を考えると、怖いのは戦争ではなくてテロリズムです。戦争とテロを比較してみればよく分かりますが、テロはいつ何時発生するのか分かりません。知っているのはテロリストだけです。しかも無差別だったりします。大勢の人が集まる場所で銃撃に遭う、爆弾が爆発する、立て篭もりが発生して人質になる。こんな怖いことはありません。そこには覚悟もなければ準備もない。ただただ理不尽に殺されるだけです。

戦争は違います。外交の行き着く先に戦争があるわけで、国民には覚悟と準備ができます。そして国際法があって無差別殺戮などは彼我の戦力差が圧倒的にならない限りは発生しませんし、一般国民が蹂躙された場合は仕掛けたほうに世界的な非難を浴びるおまけがつきます。

つまり、今の世の中では戦争よりもテロのほうがよっぽど危険だということになります。でも、戦争反対を叫ぶ人たちはテロ反対とは叫ばないんですね。なぜでしょうか。
そして思うのですが、「テロと戦う」という政府高官の話が出たりしますが、テロとは戦わないで「予防」してほしいと思います。予防こそがテロと戦うことになる、というならそれはごもっともですが。

テロを未然に防ぐ。そのために何が必要なのか。こうした視点から議論が沸き起こることを切に願います。

JAL123便墜落事故についてはまた別途。

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内容(講談社HPより)
正義など、どうでもいい。 俺はただ、可愛い嫁から幸せを奪う可能性を、迷わず排除するだけだ。明日も明後日も。 県警本部捜査一課の番場は、二回りも年の離れた身重の妻コヨリを愛し、日々捜査を続けるベテラン刑事。周囲の人間は賞賛と若干の揶揄を込めて彼のことを呼ぶ――現場の番場。 ルーキー刑事の船越とともに難事件の捜査に取り組む中で、番場は自らの「正義」を見失っていく――。 新江戸川乱歩賞作家が描く、新世代の連作警察小説。


曹源寺評価★★★★
自分は呉センセーをあまり高く評価しておりませんが、それは「大風呂敷を敷いて読者を期待させておいて、なんだかこじんまりと終わるのが残念」という書評が続いたからであります。
しかし本書は連作短編、大風呂敷を敷いている暇もないスピーディな展開を余儀なくされるわけですから、このくらいのほうがストーリーがコンパクトにまとまり、読みやすい仕上がりになっているのも道理でありましょう。
県警(何県かは知らない)捜査一課のベテラン刑事である番場が主人公となり、若手ルーキーの船越刑事と組んで事件にあたる連作短編が本書です。
「月に吠える兎」
「真夜中の放物線」
「沈黙の終着駅」
「かくれんぼ」
「蜃気楼の犬」
の5作が収録されています。
「現場の番場」と呼ばれるようなベテラン刑事、番場の私生活(2周りも年下の女房と結婚したこと)を絡めて、心情の移り変わりと刑事としてのプライド、誇り、矜持を揺さぶる描写はやや抽象的ではありますが、その揺れ動く様は良い味付けになっていると思います。作風というか本書がかもし出す雰囲気はやや横溝、やや島田荘司、そしてやや結城充考といったところでしょうか。
自分は連作短編好きですが、なかでも本書のように最後の作品が前4作のまとめになっているような、すべてがつながっていた!みたいな作品は特に好きです。

呉センセーは連作短編で勝負すべきである

と本書を読んで切に感じました。ということで、呉センセーに対する見方は本書でだいぶ変わりましたのでもう無碍にはしません。今後のご活躍を祈念致します。





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posted by 曹源寺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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