ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

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2016年09月30日

書評747 伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ」

こんにちは、曹源寺です。

28日の話ですが、上毛新聞という地方紙が誤報をやらかしてしまったことがありました。
【おわび】「格闘ゲーム優勝」は虚偽(9/28上毛新聞)
27日に掲載した「仏で格闘ゲーム世界大会」の記事で、群馬県太田市臨時職員の男性(23)が渡仏して大会に出場した事実はなく、格闘ゲーム部門で優勝したとする報道は事実無根だったことが分かりました。読者の皆さまに深くおわび申し上げます。(以下、略)

経緯としては(コピペですが)、
(1)同僚に格闘ゲームの世界大会に選抜されたと自慢する
(2)フランスの大会に参加するという名目で上司に休みを申請(休む日は連休になるように選んでいた)
(3)ウェブ上にある海外の写真をパクってFacebookに投稿することで海外にいるように偽装工作を図る
(4)出社後、「優勝した」と自慢する
(5)上司が賞金を使っての祝賀会&記者会見を勧める
(6)記者会見の資料を自分で用意し「300万円を放棄して次のシード権を選びました」と発表
(7)虚言疑惑が浮上するも「ゲームセンターレベルの小さな大会だった。携帯は壊れたので証拠はない」と話す
(8)嘘を認める


本人の知らぬ間に話が大きくなってしまい、引くに引けない状況になってしまったという感じですね。
まあ、こんな嘘までついて長期休暇を取ろうとしたクズはとっとと処分されてください。

問題はマスゴミのほうですね。いくら市役所の公式なリリースとはいえ、賞金300万円の大会って結構大きいはずなんですが、現地への確認も一切しないまま写真入で記事を垂れ流すということが許されているということのほうが気になります。
しかも、上毛新聞だけでなく、朝日新聞もこれを転載しているというから驚きです。

いまはこういう「何の裏も取らない記事」=「下手すりゃ捏造記事」が審査校閲をスルーして本紙に載ってしまう時代なんですかね。時代じゃなくて昔からの慣習だったらすごいですね。いや、むしろそうなのかもしれないですね。

こういうのも何のお咎めもなく、運が悪かったね〜で済まされるなら新聞社に未来はないですね。ご愁傷様でした。

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内容(祥伝社HPより)
陽気なギャング一味の天才スリ久遠は、消えたアイドル宝島沙耶を追う火尻を、暴漢から救う。だが彼は、事件被害者のプライバシーをもネタにするハイエナ記者だった。正体に気づかれたギャングたちの身辺で、当たり屋、痴漢冤罪などのトラブルが頻発。蛇蝎のごとき強敵の不気味な連続攻撃で、人間嘘発見器成瀬ら面々は断崖に追いつめられた! 必死に火尻の急所を探る四人組に、やがて絶体絶命のカウントダウンが! 人気シリーズ、九年ぶりの最新作!


曹源寺評価★★★★★
実に9年ぶりだそうです。「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングの日常と襲撃」に続く第3弾といわれましても、もうすっかり忘れておりますがな。
と思いつつ読み進めていくと何となく思い出しました。「陽気なギャング」は銀行強盗を生業とする4人組で、演説の天才である喫茶店店主の響野、相手の嘘を一瞬で見破る公務員の成瀬、動物をこよなく愛するスリの天才の久遠、正確な体内時計を持ち抜群のドライビングテクニックを持つ雪子、の4人でした。今回は彼らの強盗団としての活躍ではなく、彼らの正体を暴き出そうとした週刊誌記者、火尻との対決というストーリーです。
4人の持ち味が十分に発揮されただけでなく、いつもの伊坂ワールドも存分に展開されていますので、ラスト、特に200ページ以降の伏線を回収しにいくところからの半端ない展開に読んで納得の一作になりました。すべてがラストを迎えるための仕掛けだったのではないかと思うくらい、あれもこれも盛り込んでくれています。

こんなどうでもいいサイドストーリーさえ伏線になっていたんかい!

という驚きは「ゴールデンスランバー」以来かもしれません。読み返しは必至ですわ。
(以下、ちょっとネタバレ)
伊坂作品のラストの傾向として、悪党が最期に因果応報的にやられてしまう、特に主人公が自ら手を下さずとも地獄に落ちてしまう、というのがここ最近のトレンドです。「死神」シリーズや「殺し屋」シリーズなどにもこんなラストが見受けられました。
読者としてはスカッとするような、ちょっとだけもやもやが残るような、何とも言えない気分にさせられますね。
でも、それこそが伊坂作品なのだ!と思えばその通りです。死神だの殺し屋だの、あるいはギャングだの、「ちょっと道を踏み外せばそこは畜生道な連中」がわんさか登場する作品において、おどろおどろしい復讐譚など伊坂作品にはそぐわないですもんね。ちょっとあっけないくらいがちょうど良いのかもしれません。本書もまた、ちょっとあっけないのですが、それもまた良し!でありましょう。





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2016年09月27日

書評746 誉田哲也「硝子の太陽Rouge」

こんにちは、曹源寺です。

25年もサラリーマンやっているといろいろと思うところはありますが、特に感じるのは「東京で働くことの意味」でしょうか。
いま東京一極集中が激しすぎて、通勤電車がハンパなく混んでいたり、地方都市の衰退が進んでいたり、と世の中が少しずつですが変化してきた結果、かなり歪な感じになってしまったようです。
自分の出身地は一応都心への通勤がギリで可能な場所ですが、人口流出が止まらず衰退傾向が強まっています。でも、地元産品は一応のブランドがあり、土地も安いので住むには良い街だと思っています。老後は地元に戻っても良いとさえ思っていますが、もしかしたら20年後くらいはもっと衰退した街になっているかもしれないと想像すると、ちょっと怖いですが。

その地元はいくつかの大きな製造業が撤退した影響を受けたこともありますが、都心までどうしても1時間以上はかかる立地という点もマイナスとなって、いま人口減少が続いています。地方活性化は政府の看板政策のひとつであるにもかかわらず、なかなか進んでいないどころか東京一極集中が加速している有様です。もういっそのこと、遷都でもしたら良いのではないかと思います。米国に倣って、政府機能を埼玉県の川越市あたりに移してはいかがでしょう。川越には「霞ヶ関駅」がありますのでちょうど良いと思います。

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内容(光文社HPより)
祖師谷で起きた一家惨殺事件。深い闇の中に、血の色の悪意が仄見えた。
捜査一課殺人班十一係姫川班。警部補に昇任した菊田が同じ班に入り、姫川を高く評価する林が統括主任として見守る。個性豊かな新班員たちとも、少しずつ打ち解けてきた。謎の多い凄惨な事件を前に、捜査は難航するが、闘志はみなぎっている。──そのはずだった。
日本で一番有名な女性刑事、姫川玲子。凶悪犯にも臆せず立ち向かう彼女は、やはり死に神なのか?


曹源寺評価★★★★★
光文社と中央公論新社でコラボ出版された硝子の太陽「N」と「R」。どちらを先に読んだほうが良いのか非常に悩むところですが、自分は「N」から読み始めました。結果的に良かったのかどうかは何とも言えません。
この「R」は姫川玲子シリーズですので、あのグロさ満点の「ストロベリーナイト」から続く

「グロ誉田」の真骨頂を行く描写が

所々にありますから注意が必要です。
「N」が沖縄の基地返還問題に絡めた殺人事件なら、本書は日米地位協定に絡めた猟奇殺人事件がテーマになっています。コラボ作品なだけに「N」とはあちこちで交錯しますが、ストーリー自体はそれほど複雑に絡んでいるわけではないです。新宿署の東警部補や小川巡査、「欠伸のリュウ」こと陣内陽一などは本書でも登場しますが、絡むのが姫川メインではなく「ガンテツ」こと勝俣警部補のほうというところもまた良い味付けになっています。東と勝俣の心理戦とかは大沢在昌センセーや佐々木譲センセーなど警察小説の大御所にまったく引けを取らない面白さである、と言っても良いと思います。
世田谷区の祖師谷で発生した一家連続殺人を追う姫川は、捜査途中で代々木のフリーライター殺人事件の捜査班に組み入れられる。この死んだフリーライターが「歌舞伎町セブン」の上岡慎介であり、祖師谷の事件発生現場で目撃されている人物であった。姫川はガンテツの仕込んだ罠によって代々木事件の本筋からは離れてしまうが、、、
「N」と「R」は事件が同時進行していくのですが、お互いが干渉することはあまり多くないです。ただ、どちらもシリーズものであり、強烈なキャラクターを持った登場人物が交差するわけですから、ワクワクしないわけがありません。本書は東警部補と勝俣警部補の駆け引きが秀逸です。しかし、それ以上に警察小説としての面白さが「R」にはあります。事件解決までのプロセスは秀逸です。特に後半、姫川が手繰り寄せた細い一本の糸からつながる過去の事件との関連、

昭島署の刑事達のアツい情熱にはグッとくるものがあります

また、犯人の正体もその確保も一筋縄ではいかないし、何より姫川玲子のメンタルが相当にヤバいラストですから、続きがどうしても気になります。
「N」も「R」もシリーズの続きを意識したラストで締めるなんて、誉田センセーったら本当に思わせぶりな方ですわ。





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2016年09月23日

書評745 誉田哲也「硝子の太陽Noir」

こんにちは、曹源寺です。

最近はヨーロッパ各国において移民問題(治安の悪化、失業率の増加、文化的衝突、など)が顕在化してきて、移民受け入れから真逆の動き(=移民拒絶)になりつつあります。
しかし、日本は逆にこれから移民を受け入れようとしているようで、本当に止めて欲しいです。
自分が移民受け入れ反対なのは、文化的衝突もさることながら、テロの危険増大が最大の理由です。人種差別とかではありません。いつも書いていますが、戦争よりもテロのほうがはるかに危険なのです。戦争にはルールがありますが、テロにルールはありません。テロはいつ発生するか分からないのです。日本をテロリストの温床にしてはいけないと思います。ただでさえ、スパイの温床なわけですから。

移民受け入れの背景には経済成長の鈍化と少子化がありますが、経済成長は人口が多少減少しても何とかなります。フランスやドイツが実際にそうですから。しかし、少子化は問題ですね。自分の職場には男女40名ほど在籍していますが、なんと、お子さんがいる家庭はこのうち8名だけです(!)非正規が7割ほどいるのでしょうがないといえばしょうがないのですが、アラフォー、アラフィフの未婚男性が7名、女性が6名もいます。結婚していなくても肩身の狭い思いをすることはありません。20年くらい前だと「お前、まだ結婚していないのか」と毎日のように責められました。それがパワハラとかセクハラではなくて当たり前の時代でした。今、そんなこと言おうものなら逆にパワハラだ!セクハラだ!訴えてやる!と言われること請け合いです。
それにしても、この非正規雇用の問題だけでなく、教育費の高騰、子育て環境の悪化、核家族の増加、東京一極集中、などなど、少子化につながる要因はかなり複雑に絡み合っているのでその解消は一筋縄ではいきそうにありません。どうしてこんな国になってしまったのでしょう。
やはり、「独身税」の導入と子育て環境の整備、最低賃金のアップあたりから手をつけていくしか方法がないのかもしれません。
少しずつでも前に進んでほしいものです。

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内容(中央公論新社HPより)
誰が、歌舞伎町セブンを売ったのか――? 特捜・姫川の訪問を受けた東警部補は、この国に仕掛けられた黒い罠を嗅ぎつける。〈ジウ〉サーガ×姫川玲子、二大人気シリーズが衝撃のコラボレーション!


曹源寺評価★★★★★
2016年5月に本書ともう一冊、「硝子の太陽Rouge」が同時発刊されました。本書は「ジウ」シリーズの系譜を継ぐもの、そしてもう一冊のほうが「姫川玲子」シリーズの系譜でありまして、同じような装丁になっています。本書の発行元が中央公論新社、「Rouge」のほうが光文社ですので、おなじような装丁で発刊されるというのはある意味奇蹟に近いですね。もちろん、読者としては大歓迎です。
ただ、この「ジウ」も「姫川玲子」も知らない御仁には本書の登場人物の半分も理解できないでしょうから、まずは「ストロベリーナイト」と「歌舞伎町セブン」の両方から読み直さないといけないでしょう。
この「N」の方は新宿署の東弘樹警部補と歌舞伎町セブンの「欠伸のリュウ」こと陣内陽一を中心に語られていきます。沖縄の基地移転問題と反対運動のなかに秘められた謎の取引や祖師谷一家殺害事件がうごめく中、セブンの一人であるフリーライター上岡が何者かにより殺害される。東警部補と陣内は共闘するのか。お互いが腹の探りあいをする緊張感溢れる間柄にしびれます。そしてセブン(一人欠けたけど)の必殺仕事人のような「仕事」っぷり。誉田センセーならではのグロ満載のシーン。どこまでもハードボイルドに突き進んでいく展開と、まだまだ続くぜジウシリーズ!と思わせるラスト。いくつかの謎を残していくあたりは

読者のことをよく考えているわ〜

と思います。
でも、こうした仕掛けをするからには、あまり間を空けないで欲しいものです。
5年くらい平気で待たせておいて、はい続編です!とばかりに出してくるセンセーもたまにいらっしゃいますので、お願いだからそういうのだけはご勘弁くださいまし。





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2016年09月20日

書評744 真保裕一「遊園地に行こう!」

こんにちは、曹源寺です。

昨日はテレビ朝日系「ミュージックステーション」が特別番組だったらしく、「30周年記念特別番組 MUSIC STATION ウルトラFES 2016」と題して10時間ぶっ続けで放送されたようですね。
で、こんな企画があったようです。

「日本に影響を与えた曲ベスト100」

うーん、老若男女にアンケートを取ればサンプル数の違いで大きく順位が変わりそうなランキングですな。
そもそも音楽は最も世代間の違いが明確になるようなジャンルだと思います。ですから、よりサンプリングを重要視しないといけないと思いますが、まあこんなのはどうせお祭りですから順位に意味はないと思わないといけませんね。
ちなみに、ベスト10はこんなラインナップ。
10位:「A・RA・SHI」(1999) 嵐
9位:「負けないで」(1993) ZARD
8位:「恋するフォーチュンクッキー」(2013) AKB48
7位:「Let It Be」(1970) ザ・ビートルズ
6位:「川の流れのように」(1989) 美空ひばり
5位:「Let It Go〜ありのままで〜」(2014) エルサ(松たか子)
4位:「勝手にシンドバッド」(1978)サザンオールスターズ
3位:「Automatic」(1998) 宇多田ヒカル
2位:「上を向いて歩こう」(1961) 坂本九
1位:「世界に一つだけの花」(2003) SMAP


ハイハイ、SMAP、SMAPと。

どうせやるなら「日本の音楽シーンを変えたアーティスト30」とかの方が良かったのではないかと思います。楽曲じゃなくてミュージシャンとしての影響力ね。
たとえば、70年代のフォークソングを牽引したのは間違いなく吉田拓郎や伊勢正三ですね。また、フォークソングの時代をニューミュージックに染め上げたのは松任谷由実やナイアガラ・トライアングル(大瀧詠一、佐野元春、杉真理)、オフコースなどでしょう。80年代のロックシーンを牽引したのはサザンや忌野清志郎やBOOWYだし、ソウルを持ってきたのは久保田利伸、テクノはY.M.Oでしょう。90年代は小室哲哉と織田哲郎の楽曲が溢れ出して大変なことになりました。
時代を切り開いたのはアーティストその人であり、1つの楽曲ではないと思います。ですから、秋元康もある意味「時代を切り開いている」と思います。切り開きすぎて崩壊させてしまったように見えますが。

卓球界では「福原前」と「福原後」というのがあるそうですね。福原愛選手が登場してからの日本卓球界は世界ががらりと変わったのです。一人の天才少女が日本の卓球界を変え、世界に通用するレベルに押し上げたのは間違いないと思います。おそらくテニス界も「錦織後」の世代がやってくる(もうやってきている)のではないかと思います。
こう考えると、日本の音楽業界も「○○前」と「○○後」で新しい価値観や新しい市場が生み出されたシーンがいくつかあるのではないかと思いますが、そうした偉大なる先人たちを差し置いてSMAPの「世界にひとつだけの花」が日本に影響を与えた云々というのは、誠におこがましいことではないかと思ったりもします。

まあ、繰り返しますが、これは「祭り」ですからランキングに意味を求めてもムダですね。うーん、割り切っていてもなんだか納得いかないなぁ。

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内容(講談社HPより)

明日も仕事に行くための、勇気と熱狂ここにあります! 
感動を巻き起こせ!
大ヒット『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』
累計25万部突破「行こう!」シリーズ、待望の第3弾
奇跡の復活をとげた遊園地ファンタシア・パーク
夢を抱けない僕たちの前に、魔女が現れた――
真保裕一・作家生活25周年記念作品
読めば元気が出てくる痛快お仕事ミステリー


曹源寺評価★★★★
いつの間にか「行こう」シリーズになっていたのでちょっと笑ってしまいました。
この「行こう」シリーズは真保センセーにしてはヒューマンドラマなミステリに仕上がっていて、近年のヒリヒリと胸を抉るような展開、あるいはドロドロとした人間関係から生まれる後味悪い路線(これもある意味ヒューマンではありますが)からはやや脱却しつつあるように思えます。
某電鉄会社が遊園地を生まれ変わらせて成功した「ファンタシア・パーク」におけるさまざまな人間模様から生まれるドラマとミステリを、連作短編のようなかたちでまとめたのが本書です。顔に大きな傷を負ったがゆえに就職活動に失敗し、ファンタシアに着ぐるみの応募で入社したらなぜかフロントにまわされてとまどう北浦諒輔、着ぐるみダンサーとして着実にステップアップしながらも着ぐるみが故に自己のアイデンティティーを見失いそうになる新田遥奈、大手工作機械メーカーからテーマパークの設備メンテナンス子会社に転職してきたところに、なぜか配電盤が小火騒ぎを起こすことになり原因を追究する前沢篤史、それらを陰で支えるファンタシアの「魔女」と呼ばれる及川真千子と、彼女をインタビューさせよと執拗に絡んでくる雑誌ライター。ひとつひとつがドラマでありながら、一本の線で結びついて大きな事件がやってくる。
さらに、真保センセーならではの技巧あふれる最後の展開に、なんだかこみ上げるものを感じてしまいました。かつての名作「ホワイトアウト」を何となく髣髴とさせてくれたように思います。
なんだか、いいですね。

ヒューマンドラマとミステリの融合

のような展開。読後感もGOODです。





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2016年09月16日

書評743 横関大「マシュマロ・ナイン」

こんにちは、曹源寺です。

東京では豊洲市場の移転問題でいろいろな記事が出回っておりますが、自分が一番腹立つのは税金を食い物にする輩の存在であります。情報を隠蔽するのもむかつきますが、落札率が99.4%とかありえないわけで、談合の疑いが濃厚です。捜査二課よ、ボヤボヤすんな〜

是非追及していただきたいのは
・東京ガスが撤去すべき汚染物質をなぜ東京都が肩代わりするのか、についての情報公開
・異常な落札率の原因(鹿島、清水、大成の3JV)の究明
・あれやこれやで高騰した移転費用の詳細の公開
これはいずれも役人と業者の癒着が疑われる話です。たとえば、東京ガスが負担すべき撤去費用を都がやるから天下りをさせろ、みたいな話があればそれは税金の無駄遣いと場合によっては贈収賄になる話ですね。
東京五輪でも見られる現象ですが、開催日程が決まっている工事入札案件はもし応札がなかったりすれば官庁側が困ってしまうことになるので、ゼネコン側が強気だったりします。特にインフラ系の大規模工事となれば5大ゼネコン(鹿島、大林、清水、大成、竹中)のどこかが入らねば技術的にも成り立たないことが多いですから、「そんな予定価格でできっかいな」と思われたら終わりです。談合が入る余地がそこにあるわけですね。
まあ、予定価格があまりにも低すぎて赤字受注となってしまうこともありますから、ゼネコンが適正な利潤を得ることには反対しませんが、だからといって談合しても良いという理屈にはなりません。都民の貴重な血税を食い物にして私腹を肥やす奴はどうぞ吊るして欲しいですわ。

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内容(KADOKAWA HPより)
ぽっちゃりでも勝てます。マシュマロ系男子が甲子園を目指す!
元プロ野球選手、今は高校で臨時教員として働く小尾は、校長の命令で相撲部員を転籍させて創った野球部の監督に就任する。人並み外れたパワーと食欲を持つが野球は素人のマシュマロ系男子たちが、甲子園を目指す!


曹源寺評価★★★★
江戸川乱歩とは対極にありそうなほのぼのとしたミステリを得意とする横関センセーは乱歩賞出身なんですが、ここ最近の著作はどれもこれも面白い!です。謎解きとほんわかしたストーリーを組み合わせたり、暗く深刻そうなテーマを軽妙なタッチで明るく描いたり、最後の最後でちょっとしたどんでん返しをしてみたり、とまあいずれもちょっとしたヒネりなんですが、それらのほとんどはさわやかな読後感を醸成することにうまくつなげていると思います。
どんでんを考えると前々作の「スマイルメイカー」などは映像化しにくい作品ではありますが、本書もまた違う意味で映像化しにくい作品ですね。
暴力事件によって活動禁止中の相撲部を、校長自ら野球部に転籍させる荒技を発揮させ、臨時教員だった元プロ野球投手の小尾が監督に就任することに。小尾は東京オリオンズの中堅投手だったが、ドーピング疑惑で球界を追われることになったという過去をもつ。キャッチボールも碌にできない集団をどうやって鍛え上げたらよいのか。小尾は苦悩しながらも発想の転換でチームを常勝軍団に育て上げていく。そんな折、東京オリオンズの選手が死体で発見され、その横には元妻の姿も、、、
おデブな集団が素晴らしい野球チームに変貌していく姿が面白くないわけないですね。センターオーバーのシングルヒット、ライトフェンス直撃のシングルヒット、一所懸命走らないとレフトゴロ。その代わり、芯を捉えた当たりはホームラン間違いなし。

超重量級打線の活躍は一読の価値ありです。

相撲部が野球部になるというだけでもうお笑い路線なんですが、そこにプロ野球のドーピング疑惑を絡めてしっかりとミステリ仕立てにしているところが、横関センセーの真骨頂だと思います。
是非映画化してほしい作品ですが、おそらくは俳優が集まらないだろうと思います笑





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2016年09月13日

書評742 長岡弘樹「教場2」

こんにちは、曹源寺です。

R4の二重国籍疑惑は本人が台湾籍を認めたことで幕引きが図られそうな勢いになりましたが、過去の本人の発言を洗う限りにおいては、記憶違いとか勘違いでは済まされないレベルで発言が矛盾しておりますので、どう考えてもこいつは嘘つきだと断言できるレベルです。
・生まれた時から日本人でした。
・18歳で日本国籍を取得しました。
・19歳で帰化しました。
・私は帰化してません。
・1985年台湾籍から帰化(HP記載現在削除)
・30歳の時に台湾国籍でした。
・台湾の国籍はありません。
・台湾の国籍が確認できません。
・台湾の除籍届を今週出しました。
・17歳で台湾の除籍届を出しました。
・台湾の除籍届は父と一緒に提出しました。
・父は台湾国籍のままです。
・在日の中国国籍の者として
・二重国籍だったけど何か?←new!


酷いわー。もしかしたら本当にスパイなんじゃないかと思うレベルですわこれ。

で、ちょうど民進党の党首選というのが始まるわけですが、前ナントカさんとR4と玉木雄一郎が立候補しています。民進党のホームページには立候補演説の内容がテキストでまとめられていたりもします。

この中の玉木候補なんですが、ネット民には有名ですね。いろんな調査チームを作って疑惑を追及しようとする姿勢を見せて、結局何もしていないという御仁です。テレビ朝日が玉木候補のコメントを映像で流していたのですが、その一節に「いくら正しい政策を掲げても選挙で勝てなければ何の意味もない。何が何でも選挙で勝てるようにしていく」という決意表明があったように記憶しています。しかし、演説内容のテキストにはこのことが書かれていないんですよね。おかしいなあと思っていたら、板橋区議会の中妻じょうた議員が自身のブログでこう書き記してくれていました。

玉木雄一郎さんのお話と質疑応答は多岐にわたりましたが、私が印象に残ったのは、玉木さんが「誤解を恐れず言うならば、選挙第一主義で行く。一人でも多くの議員を当選させることに全力を尽くす」と言い切ったことです。

つまり、理念とか政策なんてそっちのけでいいから、選挙対策だけやろうぜ!と言っているみたいですね。

玉木議員はどうも何か勘違いされているようであります。民進党が支持されなくなったのは、その政策があまりにも酷くて自民党以下のばら撒きと経済無策だったことが本質にあるはずなのですが、その反省はまったくなくて、ここへきてまたイメージ戦略だけに頼ろうとしているわけです。
本当にダメだこりゃ。都議会自民党がどうしようもない利権の固まりであることが暴露されて、さあ野党の出番だねと思っていたらこれですよ。こうした言葉の端々に本音が透けて見えるので、我々は本当に気をつけなければなりません。

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内容(小学館HPより)
大ヒット警察学校小説、待望の続編!
●第一話 創傷(そうしょう)
初任科第百期短期課程の桐沢篤は、風間教場に編入された不運を呪っていた。医師から警察官に転職した桐沢は、ゴールデンウイーク明けに最初の洗礼を受ける。
●第二話 心眼
風間教場では、備品の盗難が相次いでいた。盗まれたのは、PCのマウス、ファーストミット、マレット(木琴を叩く枹)。単独では使い道のないものばかりだ。
●第三話 罰則
津木田卓は、プールでの救助訓練が嫌でたまらなかった。教官の貞方は屈強な体格のスパルタ教師で、特に潜水の練習はきつい。本気で殺されると思ってしまうほどだ。
●第四話 敬慕
菱沼羽津希は、自分のことを初任科第百期短期課程のなかでも特別な存在だと思っている。広告塔として白羽の矢が立つのは、容姿に秀でている自分なのだ。
●第五話 机上
仁志川鴻は、将来の配属先として刑事課強行犯係を強く希望している。元刑事だという教官の風間には、殺人捜査の模擬実習を提案しているところだ。
●第六話 奉職
警察学校時代の成績は、昇進や昇級、人事異動等ことあるごとに参照される。美浦亮真は、同期で親友の桐沢篤が総代候補と目されるなか、大きな試練に直面していた。


曹源寺評価★★★★
異色の警察小説として衝撃的な話題を呼んだ前作「教場」の続編です。確かに衝撃的でしたよ前作は。警察学校の内部を小説で詳らかにした作品がなかったという点、それに加えて風間教官というすべてお見通しのキャラクター、容赦なく脱落させられていく「生徒」、等々。エグイ展開が多かった割りにはなぜか納得感が残ったストーリーで、警察官になるということはこういうことなんだねぇ、警察官になるべき人間ではないとこうなっちまうんだねぇ、としみじみ感じ入ったことを思い出しました。
本書もまた、風間教官のシビアな対応とその裏に見える暖かさを感じてグッときました。新米警察官という立場を通じて語られるドロドロの人間関係と、壁を乗り越えたところに見える新たな地平がとても青春物語であるところと、他の警察小説に通じる警察官としての矜持の醸成場面が渾然一体となって読者にお巡りさんたるものの何かをぶつけてきてくれます。ですから、

世の制服警官を見る目が絶対に変わる

のではないかと思うのです。実際、自分は少し変わりました。大変な思いをしてやっとこさ交番勤務になったとしても、それはそれで本当にご苦労なことでございます。まあ、警察小説ファンは制服警官であろうと私服刑事であろうと警察に奉職されているすべての人をそれなりにリスペクトしているわけではありますが、なにかあったら労いの一言でもかけてあげようという気になりますね。





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2016年09月09日

書評741 大倉崇裕「スーツアクター探偵の事件簿」

こんにちは、曹源寺です。

今週は蓮舫議員(以下、R4)の二重国籍疑惑が政治ネタの中心にありましたが、早く幕引きを図りたい民進党となぜか民進党を執拗に擁護する一部マスゴミが議論をすり替えたり、あるいは意味不明な擁護発言をしたりと、いろいろややこしい状態になっています。

整理しますと、
・国籍法において、二重国籍は違法である
・しかし、その運用についてはほとんどザルである
・被選挙権を規定する公職選挙法においても特段の規定はない

と、ここまでが客観的事実です。
以降は議論が分かれるところです。
・規定がないなら別にいいじゃん
・違法ではないが不適切である →枡添のときと同じセリフが再び〜
・外務省や国会議員など、二国間あるいは多国間の利害調整を行う職業においては、厳しく取り締まるべきである
・そうだ、法律で制限しよう →維新の党が動議(!)

実際には二重国籍者は外交官になれないようですね。当たり前といえば当たり前です。しかし、議員についてはこれまであまり議論されてこなかったわけで、そのツケがいま廻ってきているのでしょう。ちょうど良い機会ですから、しっかりと規定し、厳格に運用していただきたいものです。
いっそのこと、帰化一世は議員になれないとするくらい厳格な規定を設けても良いと思います。米国がそうですからね。

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内容(河出書房新社HPより)

ひょんなことから、怪獣に入って演技する「スーツアクター」のコンビを組むことになった、椛島雄一郎と太田太一。映画撮影所で次々とおこる謎の事件を、この凸凹なふたりが解決する!


曹源寺評価★★★★
大倉崇裕センセーの最新刊です。
本書は着ぐるみの中に入って演じるスーツアクターを志望する青年、椛島雄一郎を主人公にして、その相棒である太田太一とともに特撮映画の撮影現場で巻き起こす事件、騒動を解決していく、というお話です。
映画「シン・ゴジラ」は完全CGですから、着ぐるみというのはいわば斜陽産業であるのかもしれません。ヒーローならウルトラマンも仮面ライダーも依然として着ぐるみですが、怪獣となるとどうなんでしょうかね。破壊されるためだけに作られたミニチュアセットとか重くてしょうがない着ぐるみとか、前時代的な匂いがしてしょうがないのですが。
これが怪獣ではなくてゆるキャラであれば最先端の業界と言えるのかもしれませんが。
ストーリーは連作短編形式で4作品を収録していますが、謎解きとしては読み進めるうちに高度になっていくという仕上がりを見せています。短いストーリーのなかで伏線を張り巡らせながら、きちんと回収していくというのはなかなか高度な技だと思いますが、この伏線が分かりやすいものだと読者にバレバレになってしまいますのでこのさじ加減が難しいですね。
本書はまた登場人物のキャラが際立っているのも特徴的です。スーツアクターを志望しつつも、ちょっとした事故から着ぐるみを着ることができなくなってしまった主人公の椛島。怪獣のことなどさっぱり知らないのに天性の才能を発揮する太田。自尊心の塊で友達がいない布施。おとなしい助監督なのに実はとんでもない人だった小川。さっぱりとした男っぷりを見せつける女編集者の飛田。などなど。分かりやすいキャラ設定で会話の妙も楽しめます。
大倉センセーは最近、怪獣オタクであることを隠さなくなっていて、近著「BLOOD ARM」では未知の怪獣をネタにした作品を挙げてこられました。読者としては

この大倉センセーの怪獣愛をどう受け止めようか

と思案してしまいますが、同世代の人間としましては怪獣ネタどんとこい!という気分にさせられてしまいます。





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2016年09月06日

書評740 奥田英朗「向田理髪店」

こんにちは、曹源寺です。

残暑が続きますね。西日本はずっと酷暑だそうですが、いま日本で最も暑いのは広島かもしれません。
真っ赤に染まる広島 25年ぶりV「夢の瞬間」心待ち(9/6朝日新聞デジタル)
スタジアムだけではない。まちも、人も、広島は「赤」に染まっている。広島カープの25年ぶりのセ・リーグ優勝が目の前に迫ってきた。思い返せば万年Bクラスの暗黒時代もあった。「メークドラマ」されたこともあった。でも、もうそんなことはどうでもいい。「その瞬間」まで、マジックわずか4だ。(以下、略)

25年ぶりのセ・リーグ優勝はほぼ確実なところまできました。マジック点灯から試合のある日はほとんどマジックを減らしてきているという驚異的なスピードで一気に「残り4」まできましたので、地元民はお祝いの準備に大わらわだそうです。
東京にいるカープファンはどこでお祝いしたら良いんでしょうかね。黒田投手や新井選手が間違いなく泣くでしょうから、そのときはもらい泣きしようと思います。
さあ、いよいよカウントダウンです!

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内容(光文社HPより)
・札幌で就職した息子がわずか一年で帰郷。理髪店を継ぐと言い出した。
・幼馴染の老父が突然倒れた。残された奥さんは大丈夫?
・異国の花嫁がやって来た。町民大歓迎。だが新郎はお披露目を避け続ける。なぜ?
・町に久々のスナック新規開店。妖艶なママにオヤジ連中、そわそわ。
・映画のロケ地になり、全町民大興奮。だけどだんだん町の雰囲気が……。
・地元出身の若者が全国指名手配犯に! まさか、あのいい子が……。
──心配性の理髪店主人が住む過疎の町で起こる騒動を描いた極上の一冊。


曹源寺評価★★★★★
北海道の中央に位置する苫沢という町で巻き起こる騒動をコミカルに描いた作品です。奥田テイスト満載の連作短編ですから、まあハズレはありません。過疎に苦しむ財政破綻の町という設定で、主人公は理髪店の2代目店主、向田康彦。ご近所のガソリンスタンド経営者や農業従事者、町の助役などさまざまな人たちのストーリーに絡みながら、濃密な人間関係からくるヒューマンなドラマを描いてくれています。そう、田舎町だから濃密なんです。でも田舎なので人口がどんどん減っているわけです。リアルな現実を突きつけられながらも、若い人たちが町の活気を取り戻そうと奮闘したりするなかで、未来に希望も何も持っていない主人公の康彦、という対照的な設定にもまさに現実の平成日本社会を炙り出しています。ですから、

これは平成における昭和のお話

といっても良いかと思います。

テレビドラマ化決定ですわ(願望)

話をじんわりと広げていき、着地点がないようにみえて実はある。読み終わればなぜかほっこりする。こんな文章を書く奥田センセーはやっぱり神ですわ。





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2016年09月02日

書評739 月村了衛「水戸黄門 天下の副編集長」

こんにちは曹源寺です。

9月に入りまして、義務教育課程のお子様をお持ちの家庭では2学期が始まっていつもの生活に戻ったかと存じます。大人は4月1日とか10月1日のほうが節目になっていますよね。お子様のいないご家庭、すでに巣立っておられる家庭では9月1日が節目になっていないのではないかと思います。

9月は残暑が厳しいのであまり好きではありませんが、1970年代から80年代にかけては9月の情景を歌った歌がたくさんありました。
太田裕美「9月の雨」
松任谷由実「9月には帰らない」
竹内まりや「セプテンバー」
一風堂「すみれSeptember Love」
チューリップ「September」
EARTH wind and FIRE 「September」
オフコース「I LOVE YOU」(あゝ早く九月になれば と歌っているが、9月になれば具体的にどうとは言っていない謎の歌詞)


なんなんでしょうね、この数。セプテンバーというのはなにか心の変化を惹起させるものがあるのでしょうか。9月のうちはなんだか暑くて、あまり秋を感じさせてくれないのですよ。10月に入った頃に、風の涼しさと空の高さを感じて秋だなぁと思うのがここ10年くらいの感じ方です。秋は短いですね。

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内容(徳間書店HPより)
『国史』が未完に終われば、水戸徳川家は天下の笑いもの。遅々として進まぬ編修作業に業を煮やした光圀は、遅筆揃いの不届き執筆者たちの元へ、御自ら書物問屋のご隠居に身をやつし、直々に原稿の取り立てに。御老公の旅のお供は、水戸彰考館で国史の編纂に携わる、おなじみ覚さん介さんをはじめ、鬼机のお吟など名うての編修者。爆笑必至、痛快時代エンターテインメント登場!


曹源寺評価★★★★
「機龍警察」シリーズなどでおなじみの月村センセーが、何を血迷ったのか時代劇パロディを書き起こしたのが本書であります。
水戸藩藩主にして前の副将軍である水戸光圀公が編纂を進める「国史」つまり歴史の教科書でいう「大日本史」の編纂を進めるなかで、締め切りを守らない執筆者に対して自ら原稿を取りに全国を行脚するという、水戸黄門をオマージュしたストーリーになっています。
お供をするのは水戸彰考館総裁の安積澹泊覚兵衛と、元僧侶にして国史編纂顧問を務める佐々介三郎宗淳の二人。そう、介さんと覚さんであります。それに、甲賀のくノ一であるお吟、公儀隠密の中谷弥一郎も連れ立って、完全に水戸黄門の世界となっています。
書籍を作るのに原稿が集まらない、編集者にとっては胃に穴の開きそうなストレスでしょう。黄門さま自ら原稿取りのたびに出るという設定はなるほど、お見事です。さらに、その道中には敵対する組織、すなわち国史編纂の邪魔をする勢力が待ち構えておりました。連作短編ですが中盤からはお吟vs敵方の戦いになっています。
まあ、完全にお笑い系の作品ですので、エンタメ中心にヒットを飛ばしている月村センセーといえども評価は真っ二つに分かれているみたいですね。自分はこういう作品、嫌いではありません。
何より面白いのは、「スランプとは、清の同治年間に寧波の陳魚門が明代から存在した手札を〜」などと解説しているくだりがいくつかありまして、

完全に民明書房ですありがとうございました

ここまでやらかしてくれるセンセーはなかなかいませんぜ。男塾ファンは必読(?)かも。





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