ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

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2016年10月28日

書評755 相場英雄「ガラパゴス(上)(下)」

こんにちは、曹源寺です。

今年のプロやきう日本シリーズは見応えがあって面白いですね。両軍のファンにしては胃が痛いくらい緊迫した試合が続きましたからつらいとは思いますが。視聴率も関東地区17.4%ならそこいらの安物ドラマよりよほど良い数字だと思います。広島地区は27日の試合の平均視聴率が44.4%だったそうで。お化けコンテンツですな。
プロやきうというコンテンツはすでに過去の遺物だという意見は多いですが、実際のところはどうなんでしょう。日本シリーズですから多少は割り引かないといけないと思いますが、ローカルだけならまだまだ十分いけるのかもしれないですね。

そうすると、プロスポーツの中継試合はテレビ番組としてどれだけ価値があるのかという命題になってしまうのですが、やきうとサッカーは代表戦なら十分魅力的ですね。代表戦だけという観点ならばラグビーもバレーボールもいけるかなあ。テニスは個人戦でも観たいなあ。でも冗長だよなぁ。といろいろなことを考えてしまいます。
プロスポーツのなかでもマイナーな競技をEテレだけに独占させず、民放でもやってほしいなあとは思います。スポンサーがつけば問題ないわけで、卓球バドミントンの世界ツアー個人戦や体操の世界選手権レベルの試合、日本人が参加している海外メジャーゴルフあたりは真剣に観たいかもしれません。スポーツバーとかで盛り上がりたいです。

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内容(小学館HPより)
(上)
現代の黙示録『震える牛』続編!
警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は、身元不明のままとなっている死者のリストから殺人事件の痕跡を発見する。不明者リスト902の男は、自殺に見せかけて都内竹の塚の団地で殺害されていた。
遺体が発見された現場を訪れた田川は、浴槽と受け皿のわすかな隙間から『新城 も』『780816』と書かれたメモを発見する。竹の塚で田川が行った入念な聞き込みとメモから、不明者リスト902の男は沖縄県出身の派遣労働者・仲野定文と判明した。田川は、仲野の遺骨を届けるため、犯人逮捕の手掛かりを得るため、沖縄に飛ぶ。
仲野は福岡の高専を優秀な成績で卒業しながら派遣労働者となり、日本中を転々としていた。田川は仲野殺害の実行犯を追いながら、コスト削減に走り非正規の人材を部品扱いする大企業、人材派遣会社の欺瞞に切り込んでいく。

(下)
平成版『蟹工船』!メモ魔の刑事、再臨場!
警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は、身元不明のままとなっている死者のリストから殺人事件の痕跡を発見する。自殺に見せかけて都内竹の塚の団地で殺害されたのは沖縄県出身の派遣労働者・仲野定文だった。仲野は福岡の高専を優秀な成績で卒業しながら派遣労働者となり、日本中を転々としていた。田川は、仲野が非正規雇用労働者として勤務していた三重県亀山市、岐阜県美濃加茂市を訪れる。そこで田川が目にしたのは国際社会に取り残され、島国で独自の進化を遂げる国内産業の憂うべく実態だった。
仲野殺害の実行犯を追いながら、田川はコスト削減に走り非正規の人材を部品扱いする大企業、人材派遣会社の欺瞞に切り込んでいく。


曹源寺評価★★★★
「平成版 砂の器」と賞賛され、テレビドラマ化もされた「震える牛」の続編という触れ込みになっていますが、主人公の田川信一刑事が同じなだけで、続編というよりは「刑事・田川信一シリーズ」と呼んだ方がしっくりくるような作品です。しかし、今度は「平成の蟹工船」ときたもんだー。まあ、あながち間違いではないと思いますが。
本書は身元不明者の死体から殺人事件の痕跡と思しきものを発見した主人公の田川が、事件を発掘するうちに見えてくる、派遣労働をコストとしか見なさなくなった大手製造業の実態、工場撤退による地方都市の衰退、大手人材派遣会社の暗躍などに迫りつつも犯人を追い詰めていくストーリーであります。
相場英雄センセーは経済ネタに強いので、こうした労働問題や経済不祥事事件など時事ネタを盛り込んだ作品はお手のものであります。
上下巻600ページを超える大作にもかからわず、ぐいぐいと読ませるまでに昇華されたテクニックはさすがです。昔の相場センセーはこの辺があまりうまくなかったですが、最近の著書はいいですね。もう何の文句もありませんわ。
地味な刑事の主人公・田川もなんというか、平泉成が演じているかのような正統派の刑事なものですから、中途半端なキャラクターよりもずっと好感が持てます。疑問は徹底的に潰していくという姿勢がすごいです。三重、岐阜、愛知、埼玉、宮城、沖縄と被害者の足取りをひたすら追っていく様が刑事の執念を感じさせてくれるのです。

これを退屈という人は警察小説なぞ読まないほうが良いと思います。

表題の「ガラパゴス」ですが、すでに国内だけで発展してきた携帯電話がガラパゴス携帯→ガラケーとなったように、独自の進化を遂げたがゆえに世界標準から取り残されてしまった工業製品を総じてガラパゴスの名を使って揶揄することが当たり前になってしまいました。携帯電話だけでなく、洗濯機や冷蔵庫などの白物家電、テレビやカメラなどの映像・音響製品などがガラパゴス化してきています。
本書はさらに、自動車の分野においてハイブリッドモーター搭載の乗用車もガラパゴス化していると見なしていて、欧州などで主流になりつつあるディーゼルまたは小型エンジン+過給機(ターボ)の分野で日本勢は大きな後れを取っていると論破します。そのうえで、あのシャープが敗者となったことで亀山市の工業団地がとんでもないことになっている点を挙げ、自動車でもガラパゴス化によって企業城下町が過疎化してしまったら日本はどうなるのだろうと本気で心配してくれています。
主人公の田川が事件の本質に迫っていくのは下巻からでありますが、上巻もまた現代日本の縮図をさまざまな捜査過程で示してくれていますので、非常に興味深い展開です。外堀を徐々に埋めていって、後半で一気に本丸に攻め入ってくる刑事たちの迫力ある捜査は読み応えあります。
本書に登場するダーク企業は国内自動車ビッグ4の一角であるトクダモータースと、一代で大手企業にのし上がった人材派遣会社のパーソネル。トクダはハイブリッドで攻勢を仕掛けるも、バッテリーの重さゆえに燃費性能が上がらないため禁じ手を使うようになるという、笑うに笑えない企業です。コストダウンだけに血道をあげて本来の顧客満足を忘れた企業に明日はない、ということを知らしめてくれているわけですが、現実社会でもボディ鋼板裏面の塗装が雑すぎて笑えないクルマが見つかったりしていますので、乗用車というのは本当によく吟味してから乗りたいものですね。
まあ、結局のところ、

本書はリアルすぎて怖い

という点において、「震える牛」と同等、いやそれ以上に暗澹な気分にさせられること請け合いです。殺人の動機がついにここまできたか、との思いは強くなりますが、あまりにも哀しく、そしてリアルにありえそうで怖くなります。最近のミステリでは「何でこんな動機で人を殺すかね〜」と疑問符つけながら読まなければならない作品が増えてきたのですが、本書は違います。あまり考えなかったことでもありますが、この動機は現実に起きても全く不思議ではないというところにこの作品の奥深さがあるのだと思います。
国内経済は2000年代前半からの不況→内需落ち込み→企業業績悪化→そこにリーマン・ショック→円高→輸出型企業の怨嗟→デフレ進行→内需さらに落ち込みのループだったわけですが、そこにアベノミクスというカンフル剤を打ったことで円安→輸出型企業の回復→(本当なら)賃上げ→内需回復、という青写真が待っていてくれるはずでした。しかし現実には賃上げ実施には至らず、一部の大手企業のみがアベノミクスの恩恵を受けているだけにとどまっています。
どうしてこうなったのか。本書は日本経済の失速の原因が何であるのかを遠まわしに、そして比喩的に示唆しているように思えてなりません。

ラストも(以下、ネタバレ)
リアルすぎなんですよ本当に。警察の上層部と大企業の経営層による「手打ち」が現実社会で日常的にあるとは思えませんが、最期はすっきりしない展開でちょっと胸糞悪いです。どうせなら、クビになったパーソネルの高見沢女史が逮捕前に週刊誌にリーク→パーソネル森社長憤死→法廷でも田川刑事が証言台に立つ→米国でリコールの嵐→トクダ松崎社長憤死、くらいのところまで書けば読者的には溜飲が下がる思いだったのにと思います。





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2016年10月25日

書評754 佐藤弘幸「税金亡命」

こんにちは、曹源寺です。

昨日は駅のホームドアの実証実験がニュースになりました。
「どこでもドア」登場 扉数異なる列車に対応する新型ホームドア、京急が試験導入(10/24 ITmediaニュース)
京浜急行電鉄は10月24日、扉の数や位置が異なる列車にも対応するホームドア「どこでもドア」の実証実験を三浦海岸駅(京急久里浜線)で始めた。実験期間は約1年間を予定している。
どこでもドアは、2、3、4扉車に対応するホームドアとして三菱重工交通機器エンジニアリングが開発した。車両改修の必要なく、地上設備のみでホームドア開閉の連携が可能な「地上完結型連携システム」を採用している。実証実験では、三浦海岸駅1番線の1車両分にどこでもドアを設置し、安全性・耐久性を検証する。
ホームドアの設置では、高い工事費や車両規格の違いなどが課題となる。JR東日本は開口部の広い新型ホームドアを開発するなど、鉄道各社が解決に向け知恵を絞っている。


国土交通省によると、駅のホームで何らかの人身事故が発生した件数は233件(2012年、一都三県のみ)ですから、自動車による交通事故の死亡者数(2015年、161人、東京都のみ)とほぼ同じレベルで発生していることになります。ホームが混雑しているとかなり恐怖に感じる今日この頃です。酔っ払っているとなおさらです。ホームドアはあったほうが良いに決まっています。
各社の設備投資余力にもかかってくる案件ではありますが、必要なら値上げしたって良いのではと思います。京王帝都電鉄は設備増強のため一度値上げしましたが、その後、元に戻したりしました。神対応ですね。これと同じように元に戻す前提でホームドア設備向けの費用負担を乗客に求めても、おそらくみんな納得するのではないかと思います。それにしても京王帝都電鉄、すげえなぁ。

一方、朝のラッシュが激しすぎる東急、小田急は周辺開発をしすぎた結果、輸送能力が追いつかなくなってしまったのではないかと思います。朝の田園都市線は混雑が原因でダイヤどおりに動かなくなっているのは周知のとおりです。それに比べて京王の無理しない経営が素晴らしいですね。まあ、京王は多摩センターや聖蹟桜ヶ丘周辺が過疎ってきているのではないかと思いますので逆に心配ですが。

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内容(ダイヤモンド社HPより)

国税か、富裕層か、はたまた国税OB税理士か? 最後に笑うのは誰だ? 「日本―香港」で起きた巨額の脱税事件。国税最強部隊出身の著者が圧倒的な臨場感で描く! 知られざるタックスヘイブンの真実


曹源寺評価★★★★
元東京国税局職員の佐藤センセーが書き上げたリアル小説です。
日本に帰化した木戸勲はビル売却で多額の利益を得るが、国税OBを抱える税理士法人と組んで「節税」を目的に策略を練る。東京国税局の高松はこれを察知した部下とともに真相の解明に乗り出すが、、、
税金逃れのプチセレブと国税局との攻防をリアルに描いており、中盤からの当事者同士のやり取りは現場を見てきた佐藤センセーにしか書けないであろう修羅場の臨場感がものすごいです。

ここだけでも読んだ甲斐があるってもんです。

また、税務調査によっては法的根拠が異なる場合があって、質問を拒否することも違法になるというマメ知識をはじめ、「B勘」とか「情報トージツ」とか「コメ」とか、耳慣れない業界用語がバンバン出てくるので非常に勉強になります。


ただ、(以下ネタバレ注意)
このバッドエンドはなんなんでしょうね。木戸はまんまと逃げ切りに成功しました(香港で逮捕されそうな流れのラストですが)。木戸の味方であるはずの国税OB吉田の忠告を無視して香港に逃げるのですが、吉田がなぜこんなに行くなと忠告を繰り返したのか、よく分かりません。
今回のように、多額の特別損失を架空に計上→利益を圧縮→キャッシュは海外経由で日本に持ち込み→会社は清算結了、なら後でばれても証拠不十分で追い詰められないということになるのでしょうか。それともマイナンバーの運用でこのスキームは不可能なのでしょうか。この辺がリアルに知りたくなりますね。

佐藤センセーは「国税局資料調査課」というノンフィクションを上梓されていますが、小説はこれが初みたいです。国税vs脱法者の丁々発止のやり取りはさすがに元国税の貫禄十分ですので、人物の書き分けやキャラクター造型、表現力やストーリーのまとめ方などに磨きがかかればこのジャンルでのスペシャリストになれるかもしれないですね。





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2016年10月21日

書評753 高嶋哲夫「交錯捜査 沖縄コンフィデンシャル」

こんにちは、曹源寺です。

今日は鳥取県で震度6弱の大きな地震がありました。鳥取はあまり地震に縁のない地域かなと思ったら、2000年10月に鳥取西部地震というのがありました。大きな被害がないことを祈りつつも、地元の方々には引き続き警戒くださいますよう。

さて、国内で揺れに揺れている地域は鳥取や熊本だけではありません。沖縄は揺れっぱなしです。もちろん比喩です。ヘリパッド建設反対とか辺野古移転反対とか、とかく反対運動が激しいのですが、あれは地元の人が反対しているのではなくて本土からやってくるプロの活動であります。そのことをネット民はみんな知っているのですが、なぜかそうした報道はテレビや新聞でなされることはありません。産経新聞だけが少し意地を見せているだけですね。
そこへ来て昨日の「土人」発言問題などが飛び出してくるものですから、なんじゃこりゃと思ってしまうわけです。プロ市民といわれる人たちがどんな活動しているのか正確に報道されることなく、土人と言われた〜と言って急に被害者みたいな主張をしだす。なんだかな〜という感じです。こんな印象操作に本当に乗せられるもんなんですかね。

マスゴミの「報道の自由」と「報道しない自由」が見事に使い分けられているなあと思います。まあ、いっそのことプロ市民にはもっともっと過激な活動へ走っていただき、あさま山荘みたいに立て篭もり事件でも起こして欲しいです。当時の反安保をはじめとした左翼活動への理解は「山岳ベース事件」が発覚してから急速にトーンダウンしましたからね。

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内容(集英社HPより)
青い海、白い砂浜が広がる楽園・沖縄で、殺人事件と米軍用地を巡る二つの事件が同時発生! 捜査を進めると裏には巨大な権力の影が……。渾身の社会派ミステリーをいきなり文庫で!


曹源寺評価★★★★★
高嶋哲夫センセーといえば災害パニック小説の大御所でありますが、たまに単発的に警察小説を出してこられるので(それもいきなり文庫で)チェックしておかないとついつい忘れがちです。
しかし、高嶋センセーの警察小説は往々にしてハズレです。これまで、面白いと思った作品がほとんどありません。まあこれだけ毎日のように警察小説とかミステリとかを読んでいるとさすがに目が肥えてきますので、一箇所でもグッとくる場面がないと時間を無駄にしたような感覚にさせられてしまうようになってしまいました。
さて、本書は沖縄県警の刑事、若手の反町とベテランの具志堅というコンビが活躍するお話です。舞台は当然、沖縄です。沖縄といえば米軍基地です。ということで、本書のストーリーの中心は沖縄の特殊事情を絡めた犯罪捜査であります。
東京から来た不動産会社経営の高田が、ホテルの一室で殺害された状態で発見された。部屋には現地のホステスも死体で見つかっており、殺人事件として帳場が立った。高田は現金で3,000万円を持っていたとされ、犯人が持ち逃げした可能性がある。目撃情報などから犯人は地元の暴力団員、トオルであるとされたが、そのトオルはリンチされた後に殺害、遺棄された。浮かび上がるのは、軍用地の転売という沖縄ならではの取引。。。
なるほど、軍用地転売というおいしいビジネスがあって、基地移転問題とは切り離せなくなっているのが今のリアルな基地問題の根幹にあるとするならば、なぜマスゴミはここを突かないのかなあとさえ思ってしまうわけですが、そんな背景を探りながら捜査はどんどんこう着状態に陥っていきます。
ラストまで一気読みとはいきませんが、読み終えた後の感想は

え、何これ?

です。
なにしろ、

事件は何一つ解決していませんから

ものすごい中途半端感ですわこれ。

(以下、ネタバレ)
社長とホステスを殺した犯人はクスリでラリッた別の男に殺害されて一件落着ということになった沖縄県警と、それを不服とする二人の刑事。真犯人と思しき男との宮古島での邂逅も立件できず中途半端な幕引き(これ、傷害の現行犯で緊急逮捕できるじゃん!というツッコミを思い切り入れたいですわ)。消えたお金の行方も分からなければ、議員の関与も不明。本当は3,000万円ではなくて7,000万円だったことに何の意味があるのか。大地主の息子は一体何をやらかしたのか。警察庁と東京地検特捜部は何を掴んでいるのか、などなど、あれもこれもぜ〜んぶ分からないまま本を閉じるはめに。

ここまで読者に何にも提示しないまま終わらせてくれた小説は(個人的には)初めてです。なんというもやもや感。これで続編が出てこなかったらヤバイですね。いや、続編を意識したとしてもですよ、ここまで全部引きずることはないじゃないですか。どれか一個だけでもスッキリさせてくれれば良いのに、それもしない。これでは読者に不誠実と言われてもしょうがないレベルです。

それに、話の展開が酷いです。米軍のMPに聞けば何か出てくるという雑な運びもそうですが、反町のセリフなのか具志堅のセリフなのか良くわからない場面の連続、ヤクザがらみの事件なのに暴対の刑事が出てこない、キツイ方言の解説もない、重要な情報を一切共有しないへんてこな組織、

なんだか読んで得したことが何一つないという残念感。

高嶋センセーはやはり警察小説を作るのが本当に下手クソでした。





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2016年10月18日

書評752 鏑木蓮「炎罪」

こんにちは、曹源寺です。

先週末はこのニュースが衝撃的でした。
中央大 連続出場87でストップ 44秒差で伝統守れず(デイリースポーツ10/16)
「陸上・箱根駅伝予選会」(15日、東京)
50校が参加して各校上位10人の合計タイムで争われ、最多14度の総合優勝を誇る中大は11位に終わり、88回連続91度目の出場はならなかった。1位の大東大、2位の明大、中大と44秒差で10位に食い込んだ日大など10校が通過。来年1月2、3日に行われる本大会には、2大会連続総合優勝の青学大を含むシード校と、オープン参加の関東学生連合を加えた21チームが参加する。

箱根路を彩ってきた伝統の赤たすきが途切れた。順位発表で10位までに「中央大」の名前が読み上げられなかった瞬間、メンバーは顔を押さえ、うなだれた。1925年の第6回大会から続いていた本大会出場を逃し、エースの町沢大雅(4年)は「伝統を守れず、本当に申し訳ない」と肩を落とした。

選手の自主性を強みにしてきたが、いつしかそれは“緩さ”に変わっていた。互いに厳しさを持ち込めず、他校のレベルが上がる中で低迷。4月から母校を率いる元世界選手権マラソン代表の藤原正和監督(35)は、7月に主将を1年生の舟津彰馬に変更するなど荒療治を敢行した。

1年生主将は先輩にも臆することなく「練習でもラストでペースを上げたりした」と改革に努めたが、全体100位以内に4人しか入れず、涙。続けて「悔しさは今日の涙で出し切った。次は断トツの結果を出せるように」と復活を期した。

59〜64年には6連覇の黄金時代も築いた伝統校。藤原監督は「力不足。新しい伝統を一から始めたい」と再興を誓った。


正月に中大が走っていない駅伝を観ることになるとは思いもしませんでしたが、ここ数年の低迷振りを見るとついに落ちるところまで落ちたなあという印象でもあります。

伝統校のうえに胡坐を欠き、自主的な練習に終始して規律が緩みっぱなしになる。他校は科学的なトレーニングだけでなく、心理的サポートやコーチングの導入など多角的な取り組みを行ってきました。実に対照的でありました。
また、日曜日のご意見番ことハリー張本氏も「内紛があった」と論じています(これに関しては野村修也教授が否定していますが)。これは、変えなきゃだめだと言っている層と伝統を守れと言っている層がぶつかっていただけで、内紛というより単なる意見の対立でしょう。

個人的にはこれでよかったのではないかと思います。いっぺん、落ちるところまで落ちたらよろしい。危機感というのは崖の上にいても理解できない人がいるのです。
優勝争いからも10年以上遠ざかっていましたので、これを機に藤原監督の抵抗勢力を一気に排除して、若い主将とともに3年がかりで立て直して欲しいと思います。

来年上がれなかったらマジヤバイとかいう意見も多いですが、立った1年で立て直せるかどうかは微妙ですね。舟津主将が4年生になるときが本当の勝負だと思って、長い目で見守ってあげたいところです。来年も結果が出せなかったとしても藤原監督をすぐに更迭するような愚は犯さないで欲しいものです。

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内容(講談社HPより)
京都市内にある自傷患者専門クリニック兼自宅が全焼。精神科医・山之内一蔵が焼死体として発見され、妻・和代とは連絡がとれないままである。
警察はクリニックの患者で山之内医師とトラブルのあった連続放火犯・長門に疑いの目を向けるも決め手に欠け、さらには自殺説、行方不明の妻犯人説など様々な推理が飛び交い捜査が難航した。
混乱の中、下京署の片岡真子は山之内医師周辺のある事故に目を向け、思わぬ推理を展開するが……。
「お嬢」と呼ばれた京言葉の女性刑事が情熱で事件に挑む警察ミステリー!
デビュー10周年・乱歩賞作家・鏑木蓮が放つ渾身作!!

曹源寺評価★★★★★
鏑木センセーもデビュー10周年ですか。早いものですね。鏑木センセーは乱歩賞受賞作家ですが、ちょうどこの10年くらいの間の乱歩賞出身作家は個人的に好き嫌いがありまして、鏑木センセーの作品はすべてを読んでいるわけではありません。なんというか、重要な局面のはずがあまりに簡単に素通りしてしまったり、登場人物の書き分けが中途半端だったり、という文体のイメージがありまして積極的に入り込めないんですね。
で、本書です。京都府警の女刑事、片岡真子が活躍するシリーズ第2弾なんですが、案の定第1弾の「時限」(当初のタイトルは「エクステンド」)が記憶にありませんでしたわ。。。
それでもめげずに読み進めます。緊張したり興奮したりすると京都弁が丸出しになってしまう真子は刑事の勘を大事にするタイプ、つまり直情的な刑事さんです。京都弁は文字に書き起こすとちっとも優雅でないですね笑
精神科医師が焼死体で発見されその妻が行方不明な事件。一見すると心中事件のようにも見えるが物的証拠も目撃者もなく妻の足取りもつかめない。些細なことでも突き詰めていく真子の熱血捜査からついに糸口が見つかるが、そこには驚くべき事実が隠されていた。。。
みたいな、なんだか沢口靖子主演の2時間ドラマみたいな展開ですね。そういえば「京都地検の女」とかいうドラマがありましたね。まさにあんな感じです。小説ならばもうちょっと脇を固めないと面白みが薄れます。真子以外のキャラクターも確立されているようですが、活躍するほどではないのでもっとキャラを出しても良いのかもしれません。
まあ、そもそもなんで京都弁を操る熱血だけがとりえの女刑事というキャラクターで勝負しようと思ったのかが良くわかりません。これくらいだとフツーすぎると思ってしまう自分がいけないのかもしれませんが、警察小説はすでに未知の領域に突入していますよね。遠藤武文センセーの「裏店」シリーズとか、川瀬七緒センセーの「法医昆虫学捜査官」シリーズなどのように

主人公がぶっ飛びすぎているキャラクターがどんどんと

出てしまっているというのがいけないのだと十分承知していますが、

このくらいのキャラクターだともう物足りません。

ヤバイな。
でもストーリーやラストはそれなりに納得できますよ。犯人を追い込む最期の落としどころなどはうまいなあと思います。





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2016年10月14日

書評751 河合莞爾「800年後に会いにいく」

こんにちは、曹源寺です。

すっかり涼しくなって、ビールのおいしい季節が過ぎ去ってしまいました。そんなところにこんなニュースが。
サッポロの請求棄却=「ゴクゼロ」酒税返還問題―不服審判所(10/14時事通信)
サッポロビールが第三のビールとして発売した「極ZERO(ゴクゼロ)」をめぐり自主納付した酒税115億円の返還を求めている問題で、同社は14日、国税不服審判所から請求棄却の裁決書が届いたことを明らかにした。国税当局がサッポロの異議申し立てを棄却した判断について、審査を求めていた。
国税不服審判所は、国税当局の処分に不服がある場合に申し出る機関で、弁護士や公認会計士などが審判官を務める。請求棄却を受け、サッポロは「外部の専門家の意見を聞いて今後の対応を決める」とコメントした。


これって、サッポロビール側が科学的・技術的に「第三のビール」であることを証明したにもかかわらず、国税当局がごねて返還していないだけの話だと思っていました。
それがなぜ国税不服審判所にて請求棄却となったのか、記事にはその理由が書かれていないので分かりませんが、なんとなくごね得の匂いがプンプンしますね。酒税の盲点を突いた第三のビールですが、消費者のニーズに合わせて技術改良した結果ですから何の問題もないはずです。個人的には本物のビールの風味が好きなのであまり飲んでいませんが。

そういえば、11日はWHO(世界保健機関)が炭酸飲料に20%以上の課税をすれば肥満や糖尿病、虫歯などの患者が減少する効果があるとしてニュースになりました。いわゆる肥満税ですね。
やめてほしいです。ビールと同じで、こんなのはアスパルテームやフェニルアラニン、エリスリトールなどの人口甘味料に取って代わられるだけです。人口甘味料まみれの飲料など飲みたくもありません。エリスリトールは取りすぎると下痢などの症状に見舞われます(貴志佑介センセーの「クリムゾンの迷宮」ですな)。

つまり、ビールにしても砂糖にしても、課税強化したところで代替策があるものについては税収増が見込めないばかりか、文化を破壊し、人体への悪影響を及ぼすことになるわけです。肥満を減らしたければ白米から玄米へのシフトを進めれば良いと思います。玄米をうんと安くして、精米に税金を取るとか、小麦粉も全粒粉と精白粉で価格差をつけるとか。まあ、それでも抜け道ができそうですが。

となると、課税を強化したければ逃げ道のない分野に限るということになりますが、独身税を設けても偽装結婚が増えるだけとかいろいろありそうですね。
取れるところから搾り取ろうとする国税当局はもう少し想像力を働かせてから課税してください。それができなければ課税強化などしないでください。

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内容(幻冬舎HPより)

西暦2826年にいる、あたしを助けて」。彼女の「真実」を知った時、あなたはきっと涙する。 かつてない、恋愛SFミステリー誕生! クリスマスイブの夜、残業をしていた飛田旅人のPCに突然、謎の少女からメッセージが届く。「このままでは死んでしまう。あたしにスズランを届けて」。再生された動画ファイルの作成日付は、2826年12月24日とあった。メイと名乗るその少女は何者なのか。そしてなぜスズランが必要なのか。「メイに会いたい。でもどうやって?」。思い悩む旅人に、上司で天才技術者の菜野マリアが、800年後の未来に行くためのあっと驚く、思いもよらない方法≠提案する――。彼女≠フ真実を知った時、あなたはきっと涙する。いまだかつてない、恋愛SFミステリー誕生!


曹源寺評価★★★★
横溝正史か島田荘司ばりの「奇妙な死体」から始まるミステリを発表し続けてこられた河合センセーですが、いきなりSFモノに挑戦した!というので驚きとともに読んでみました。
大学4年生にして就職浪人寸前の飛田旅人(とびたたびと)は、怪しげな求人広告に惹かれて青山のオフィスビルを訪ねる。そこはセキュリティソフトウェアの開発会社であったが、人工知能の開発も手がけるような天才的な専務、菜野マリアがいて旅人は恋に落ちる。

なんだ恋愛系かよ〜苦手なんだよな〜

と思い、ダラダラした導入部に嫌気が差してきたのですが、
クリスマスイブの夜に残業をしていた旅人に、謎の動画が配信される。そこに映った少女のメッセージが「800年後の自分にスズランを届けて欲しい」というものであった。旅人は果たして彼女のリクエストを叶える事ができるのか?

ありゃ、時空を超えるのか、SF系やね

今までの著作と全然ちがうわねー、こんなジャンルをよく書き分けられるなぁと感心。
800年後に行くその手段に

あぁ、これは新たなサイエンスやねぇ

とさらに感心。そんなところに原発を狙うテロリストのニュースが日本中を駆け巡る!

ファ!?一気にサスペンスやんけ!

物語が一気に引き締まります。そんでもって、時空を超える話と原発の話がどう絡んでくるのか、全く先が予測できなくなり、読むスピードが加速します。
そこからは一気です。ラストまでグイグイと読ませてくれました。恋愛SFミステリという触れ込みは伊達じゃありません。

(以下、多少ネタバレ)
質量保存の法則により、宇宙の物質の総量は一定である→だからタイムトラベルすることは不可能→だから「情報」だけがタイムトラベルすれば解決!とかいう論法にはさすがにやられましたが、私立文系でもなんとかついていけましたのでフツーの人でも読みこなせると思います。





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2016年10月11日

書評750 伊坂幸太郎「サブマリン」

こんにちは、曹源寺です。

東京はようやく秋らしい気候になりました。朝晩の気温が15℃くらいになるとちょっと肌寒いのですが、自分はこのくらいがとても好きです。テニスの格好だと、上下ウォームアップを羽織って打ち始め、少し暖かくなったら脱いで試合開始、くらいの感覚が一番いいですね。

さて、いま国会では予算審議が行われていますが、実は憲法改正に必要な3分の2以上の議席を持った初めての論戦ということもあって、民進党が警戒を強めています。
予算の審議のはずなのに、なぜか憲法改正のことばかり聞く民進党。そんなに議論したいんですかね。予算の話をして欲しいのですが、矛先はなぜか憲法だったり稲田防衛相のことだったり訳分かりません。民進党は本当に政権を取りに行く気持ちがあるのか?単なる揚げ足取りだけに終始するだけなら、最大野党でいてほしくないですね。まあ、全然期待はしていないんですが、自分の周囲には民進党ファン(というよりアンチ自民党)がそれなりにいまして、たとえば都議会自民党のような伏魔殿をつくらせないために二大政党制のほうが良いと本気で思っている人はそれなりにいるわけです。

しかし、いまの民進党に政権担当能力はないと思います。

維新にも生活にもないでしょう。共産党なぞもってのほかです。
日本は長年、自民党の一党独裁体制が続きましたが、それは右派も左派も自民党内に取り込んでいたからこそであり、中曽根政権と宮沢政権ではその政策の中身がだいぶ違うように、自民党内で二大政党制が行われていたようなものだったわけです。
ですから、日本の政治をクリーンにしたいのならば、自民党を二つに分けたほうが早いと思うのです。石破、二階、谷垣(もう死に体ですが)あたりが党を割って中道左派政権をめざしたほうがよっぽど日本のためになると思います。実際のところ歴史は逆で、保守系の議員が党を割って保守党→日本のこころ、とか一部が維新になったりしているわけで、本来の保守を考えるならもう少し多めの議員が割っていても良かったのではないかと思います。ということは、つまり自民党は中道より若干左寄りであると言って良いのかもしれません。だとすると、少し右寄りの方にはいまの自民党は物足りなく感じるわけです。たまに出てくる自民党からのフザケンナッ!的な政策はそのせいだと思っています。このへんを何とかして欲しいなあ。

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内容(講談社HPより)
陣内さん、出番ですよ。
『チルドレン』から、12年。
家裁調査官・陣内と武藤が出会う、新たな「少年」たちの物語。
伊坂幸太郎、書き下ろし長編。


曹源寺評価★★★★
家庭裁判所の調査官である陣内と武藤。この二人を主人公に添えた「チルドレン」という作品が上梓されたのは2004年でありました。あれから12年が経過し、似たような装丁で再び書き下ろしてこられたのが本書であります。
先日の「陽気なギャング」シリーズも第2作目と第3作目の間に9年の歳月が流れておりました。伊坂センセーはよう分かりまへん。チルドレンの印象は「陣内とかいうちょっと変わった公務員がいて、それを武藤が語り部的に付き添っていて、二人でいろいろやらかした本」というくらいのものでしたので、他の作品と比較してしまうとどうしても薄い印象でした。
そこで本書ですが、家裁調査官ということでどうしてもテーマが少年犯罪になってしまうのはしょうがないとして、本書で書かれているテーマは重いです。すごく重いので

簡単に結論が出せるものではありません。

事件関係者や陣内、武藤、それぞれが本作で主張していることや疑問に思っていることなどは現実社会でも重厚なテーマとして議論が尽きないものだと思います。ですから、彼らの主張はそのひとつとして受け止めておけば良いのかもしれませんが、自分がいま言えることは「日本は法治国家であり、仇討ちは法律で認められていない」ということくらいでしょうか。
作中の陣内はこうした難しいテーマをしっかりと受け止めながら、自分にできる最良のことをする。先頭切って行動する。そして結果を出す。このフットワークの軽さと有限実行の力が読者的には心を惹かれるのだと思います。家裁調査官陣内シリーズとして、できればまた出していただきたい作品ですが、伊坂センセーはインタビューでもうやらない宣言をしておられるようです。残念です。





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posted by 曹源寺 at 18:24| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月07日

書評749 本城雅人「ミッドナイト・ジャーナル」

こんにちは、曹源寺です。

先日書いた日弁連の件ですが、本日本当に採択されてしまったようです。すげえ記事なので全文引用させていただきます。
日弁連「死刑廃止宣言案」採択、組織として推進へ…会場では異論も噴出(10/7弁護士ドットコムニュース)

日本弁護士連合会(日弁連)は10月7日、福井市で人権擁護大会を開き、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」の案を、参加した弁護士の賛成多数で可決した。組織として初めて、死刑制度廃止の方針を明確に打ち出した。
票数は出席786人中、賛成546、反対96、棄権144だった。
宣言は、死刑判決を受け拘束されていた袴田巌さんが、2014年に約48年ぶりに釈放されたことをあげ、「死刑判決を下すか否かを人が判断する以上、えん罪による処刑を避けることができない」「えん罪により死刑となり、執行されてしまえば、二度と取り返しがつかない」と死刑廃止を訴えた。
具体的には、「日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止」を目指すべきであるとし、死刑の代替刑として、仮釈放がない終身刑制度や、仮釈放を認める場合であっても、開始時期を現在の10年から、20年〜25年程度に伸ばす「重無期刑制度」の導入などを提案した。
宣言が採択される前に、出席した弁護士からの意見表明の時間があり、犯罪被害者の支援に関わる弁護士を中心に、宣言に反対する意見が噴出した。
被害者支援に携わる東京都の男性弁護士は「(こうした宣言を出す日弁連から)私は脱退したい。しかし、強制加入団体だから脱退したら弁護士活動を続いていくことはできない。そのような団体がこうした決議をやることはおかしい」と語気を強め訴えた。
また、大会前日の10月6日に行われたシンポジウムでは、瀬戸内寂聴さんのビデオレターが公開され、その中で、「殺したがるばかどもと戦ってください」と表現していた。このことについて、「(犯人の死刑を望む)被害者遺族の前でこうした映像を流すことが信じられない」との声も上がった。
日弁連側は、「瀬戸内さん特有の思い切りの良いメッセージだと考え、そのまま採用することにした」としつつ、「配慮がなかったとしたらお詫び申し上げる」と述べた。


いろいろ突っ込みたいですね。

まず、一弁護士が個人的に死刑反対するだけならまだしも、法律を守る側にいる職業人として政治活動に堂々と口出しするその姿勢に唖然とします。
そんで、
>>票数は出席786人中、賛成546、反対96、棄権144だった。

明確に反対した人がわずか12%という事実にさらに唖然です。

賛成票を投じた弁護士の実名を公表して欲しいですね。その弁護士には被害者支援を絶対にさせてはいけません。

さらに、瀬戸内寂聴の「殺したがるばかども」発言も許されませんわこれ。まあ、90歳過ぎたBBAの言うこととあしらってしまうこともできますが、発言に影響力をお持ちの方ですからこれはダメですわ。そして、この発言をビデオレターとしてまんま垂れ流した日弁連はもっとダメですわ。被害者をばか呼ばわりしているのは日弁連であることと同義です。
もう日弁連は完全に終了ですありがとうございました。

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内容(講談社HPより)
「被害者女児死亡」――世紀の大誤報を打ち、飛ばされた3人の記者。その七年後、児童連続誘拐事件が発生。さいたま支局の関口豪太郎はかつての事件との関連性を疑い、東京本社の藤瀬祐里は豪太郎の応援に合流し、整理部員となった松本博史は二人を静観する。間違っているのかもしれない。無意味なのかもしれない。しかし豪太郎は諦めない。タネを撒き、ネタに育て、真実を獲得するため、今日も真夜中に動き出す。
特別な結果を出すのは、いつだって、本気の人間だ。


曹源寺評価★★★★
大手全国紙の社会部記者を主人公に据えた社会派ミステリというジャンルは、そういえば最近ご無沙汰していたなあと思いました。ここ数年はとんと話題になるような作品にお目にかかれず、なぜだろうと考えましたが特に答えが出るわけでもないですね。まあ、マスコミの社会的地位の低下や新聞離れ、出版不況などなどとかく逆風の多い業界ですから、しょうがないといえばしょうがないです。
だから、逆に本書が出たときのマスコミの身内びいきというか自画自賛みたいなべた褒めがあちこちから沸いて出てきたのはちょっと笑いました。「クライマーズ・ハイ」以来の重厚な作品!とか、作者は本書を書くために新聞社を辞めた!とか、すごすぎでしょう。

こうした手前味噌的な評価は脇に置いて

冷静に本書を見つめなおしてみましょう。
「まったく、おまえはジャーナルじゃねえな」が口癖の中央新聞の記者、関口豪太郎と、中堅記者の藤瀬祐里、整理部の松本博史の3人を中心にストーリーが展開されていきます。
3人は7年前の児童誘拐事件において、警察関係者の証言から「遺体で発見」との記事をリリースしたが、後に生存が確認され誤報となる。ただ、この事件では犯人が逮捕され死刑執行されたものの、実は複数犯による犯行だったのではないかとの見方が残されていた。そんな折に新たに連れ去り未遂事件が発生、目撃証言から乗用車の助手席にも人がいたとの情報が。新聞記者の活躍を描くミステリとして、かなり濃密な現場のシーンを描いてくれています。
特に圧巻なのは、警察の管理職への夜討ち朝駆けであるいわゆる「サツ回り」のシーンです。記者としての人間を売り込むことで情報を得る、信頼関係を築くことで書いても良い情報とそうでない情報を選り分ける。こうしたやりとりは昭和の時代に終わっているものだとばかり思っていましたが、そうではないみたいですね。泥臭い仕事と言ってしまえばそれまでですが、そこに真実があるなら突き進むのが真のジャーナリストであります。
本書は徹頭徹尾、新聞記者からの目線で描かれていますので、事件の真相に迫りつつもその目線は警察のそれとは違います。そのへんはある程度割り切らないといけません。しかし、登場人物の多さにもかかわらずそれなりにキャラクターを書き分けていることから読みやすいという点、事件へのアプローチが警察小説とは異なり新鮮である点、調査報道の大切さをしっかりと説いている点、新聞社の組織としての論理と記者の論理のぶつかり合い、などなど、これはなかなかに読ませる作品でありました。ディテールの細かさや臨場感といったところが

さすがに元記者なだけあってすごいです。

一方で、その細かな描写が仇となって、新聞記者は自分こそが正義だ!と思っている輩もたくさんいるというところまでリアルに描き過ぎているのが、読者的にはドン引きとなる一面もあるかもしれません。この主人公に共感できる人がどれだけいるのか分かりませんが、少なくとも自分は付き合いたくないですね笑





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posted by 曹源寺 at 17:57| Comment(0) | TrackBack(0) | は行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月04日

書評748 前川裕「クリーピー スクリーチ」

こんにちは、曹源寺です。

以前にも書きましたが、日本弁護士連合会(日弁連)という団体がありまして、時折「会長声明」などというわけの分からんリリースをしていることで世間を騒がせているのですが、今回は福井市で行われる人権擁護大会において「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言案」なるものを審議するとしてまたしても世間を騒然とさせています。

分かりやすく言うと、日弁連が死刑廃止を正式に世に訴えるということです。

ちなみに、日弁連は強制加入団体でありまして、弁護士登録した人は強制的に日弁連に加入しなければいけません。これは法律で定められています。

第四十七条  弁護士、弁護士法人及び弁護士会は、当然、日本弁護士連合会の会員となる。

強制加入団体であるにもかかわらず、思想まで強制させようとする非民主主義な団体、それが日弁連。
法を順守するために設立したにもかかわらず、法を自分たちの都合で変えさせようと働きかける団体、それが日弁連。

当然ですが、これに反発する弁護士センセーもいらっしゃるわけで、
日弁連の死刑廃止宣言案に反対 被害者支援弁護士ら声明(朝日新聞10/4)
日本弁護士連合会が7日に福井市で開く人権擁護大会で死刑制度廃止の宣言案を提出することについて、犯罪被害者の支援に取り組む弁護士らでつくる「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」が3日、「犯罪被害者の人権や尊厳に配慮がない」などとして採択に反対する声明を発表した。
声明では、弁護士の中でも死刑に対しては様々な考えがある中で、「強制加入団体である日弁連が一方の立場の宣言を採択することは、日弁連の目的から逸脱し、個々の弁護士の思想・良心の自由を侵害する」と指摘。「凶悪犯罪の被害者遺族の多くは加害者に死をもって償って欲しいと考えており、宣言は被害者の心からの叫びを封じるものだ」と批判している。
また、人権擁護大会では委任状による議決権の代理行使はできず、現地に出向いた人しか意思表示ができない。出席するのは約3万7千人の弁護士のうち数パーセントとみられ、声明では、こうした場での宣言の採択にも問題があるとしている。フォーラムの事務局長を務める高橋正人弁護士は「犯罪被害者から弁護士への信頼がなくなり、支援活動がしにくくなる恐れもある」と話した。



気骨あるセンセーもいらっしゃるのは救いですが、日弁連のやり方がなんだか独裁政権のようになっていましてとても香ばしいですね。

死刑の賛否などそう簡単に結論が出るものではないでしょう。欧米では死刑廃止の傾向が強いですが、イスラム圏やアジアでは死刑制度が根強いですし、その欧米も死刑の前に現場で警官が銃をぶっ放して殺しているわけですからある意味死刑ですよ。むしろ冤罪の可能性も高い死刑です。

こんな議論をするくらいなら、いっそのこと弁護士法を改正して
「加害者寄り」の旧・日弁連 と
「被害者寄り」の新しい加入団体(新・日弁連)
を作って、どちらかに加入するように変えても良いんじゃないですかね。そんで、犯罪加害者は旧・日弁連に弁護してもらって、被害者は新・日弁連に訴えてもらう。

なんだか盛り上がりそうで我ながら良いアイデアですわ!

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内容(光文社HPより)
琉北大学の職員・島本龍也は、学生の御園百合菜から指導教授のセクハラの相談を受けた。だが百合菜は、大学内の女子トイレで惨殺死体となって発見される。しかも事件は、獣のような金切り声を現場に残す女子学生連続殺人へと発展していった。かつて猟奇殺人事件を解決した琉北大学教授の高倉孝一もまた、事件の渦中に巻き込まれていく。日常に潜む闇の恐怖が忍び寄る!


曹源寺評価★★★★★
前川センセー自身が現役の大学教授ということもあって、センセーの書くお話はだいたいが大学関係者を主人公あるいは語り部に据えておられます。デビュー作の「クリーピー」がいつの間にか映画化されてびっくりしましたが、続編まで出るとはさらにびっくりです。
琉北大学の女子トイレで次々と起こる殺人事件。犯人は最初に殺害された百合菜にセクハラで訴えられていた教授なのか?という展開だけではなく、この連続殺人事件と並行してストーカー化する大学職員の島本龍也のストーリーという二本が同時進行していくところが本書の見どころではないかと思います。
犯人は誰か、という謎解きの部分はやや(というかかなり)あっさりし過ぎていて前フリも伏線もあったもんじゃありませんので正直言ってあまり面白くないです。
しかし、前川センセーの著作をデビュー作の「クリーピー」からずっと読み続けていた自分としましては、

本作が一番怖い

と思いました。それは何と言っても、センセーの描写力がどんどん進化していて思わず感情移入してしまいそうなほどだったという点が理由です。
ストーリーの出来は「クリーピー」のほうが上かもしれませんが、よりリアルな、読ませる作品としての出来栄えは本書のほうが上ではないかと思います。





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posted by 曹源寺 at 15:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ま行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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