ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

過去ログページ

2016年11月29日

書評762 五十嵐貴久「7デイズ 日韓特命捜査ファイル」

こんにちは、曹源寺です。

シャブ&ASKAのASKAがまたしても覚醒剤使用の疑いで逮捕されました。50歳を過ぎると覚醒剤の再犯性が高まるそうで、最初の逮捕前から週刊文春であれだけラリッていた姿を写されたにもかかわらず自宅療養していたなんて、普通に考えたらありえないでしょう。なんで田代まさしのような療養施設に行かなかったのでしょうかねぇ。
自分の世代ではあの昔の漫画「ドーベルマン刑事」の中に覚醒剤患者の描写があって、たしか「生きていても死臭がする」とか「死んで火葬すると骨が残らない」とか、かなりエグイ表現で覚醒剤の危険性を読者に訴えていたのを覚えています。あれは絶対に我らの世代に抑止力となって働いていると思います。平松センセーに感謝ですね。
でも、小学生にはドーベルマン刑事、かなりキツイです。今思えば、ヤクザ、マフィア、暴力、レイプ、爆弾魔、シャブ、などなどヒャッハー!な世界がバリバリ描かれていましたわ。加納刑事のぶっ放す44マグナム「ブラックホーク」なんて実際に当たったら一発で人間粉々ですよ。「ド外道がー!」と言いながら人間を粉々に破壊する銃を街中で撃ちまくる刑事。。。西部警察も真っ青です。
でもこうやって思い出しながら書いていると読み返したくなりますね。しかし、もう我が家にコミックを置くスペースはありませんので買うのはあきらめよう。。。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(PHP研究所HPより)
日本と韓国を揺るがす、最強の“相棒”登場!
韓国の麻薬王・インチェルの死体が、隅田川で見つかった。エリート女刑事・ジヒョンが捜査のためソウルから来日する一方、警視庁の新米刑事・後藤陽平は、ジヒョンに捜査の邪魔をさせないよう上司から“特命”を受ける。初対面からぶつかり合う二人だが、事件の裏には日本と韓国を巻き込むある陰謀が隠されていて……。
何から何まで違いすぎる二人が繰り広げる、ノンストップ警察小説!


曹源寺評価★★★★★
エンタメ系作品を次々と発表される五十嵐センセーの量産ペースは衰えることを知りませんな。今回は韓国のエリート女刑事と警視庁の新人刑事がぶつかり合う警察小説でありました。
日本に潜伏していた韓国の麻薬王が水死体で発見され、警視庁は事故死と認定していた。そこに韓国からソウル大学主席卒業、テコンドーの達人にして弱冠29歳の警部補クラスのエリート刑事、ジヒョンが来日し、捜査をさせろと要請してくる。警視庁はできるだけ穏便に済まそうとして新米の後藤に警護役を命じジヒョンをもてなすが、一刻も早く捜査を行いたいジヒョンとの間で諍いが。他殺の疑いが濃くなってきたため、後藤も捜査に加わろうとするが、そこには、、、
前半の二人のすれ違いと後半の犯人との攻防の間にものすごい落差を感じてしまいますが、それ以外はだいぶ素直に読めます。最初の100ページはある意味ムダかもしれませんが、後半の味付けのためだと思えばまあ納得できなくもありません。

ただねぇ、この主人公2人のキャラはねぇ、どうなんだろぅ。

日本を見下しているだけでなく、誰に対しても上から目線でバリバリの国粋主義者であるジヒョンと、刑事になって半年、公務員気質が抜け切れない刑事っぽくない後藤のやりとりはあまり面白いものではありません。
それと、五十嵐センセーにありがちなのですが、軽くて読みやすい反面、派手なアクションシーンなどは描写が雑ですのでのめりこんで読むとちょっとがっかりします。ここはさらっと流して展開だけを楽しむのがコツなのかもしれないですね。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 17:33| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月25日

書評761 中山七里「作家刑事毒島」

こんにちは、曹源寺です。

米国次期大統領トランプ氏はビデオメッセージで明確にTPP不参加を表明しました。
日本としては米国抜きのTPPに用はないとして、翻意に注力するようですが、TPP反対が公約の一つであったトランプ氏がこれをひっくり返すことはないだろうと見ています。
個人的にはISD条項などがネックになるのでTPPには懐疑的なのですが、米国のいないTPPに対して政府自民党が今後どういう理屈で旗を振っていくのかが楽しみです。

そんななかで、バターの流通量をめぐるホクレン幹部のテレビ番組での発言が波紋を呼んでいました。
バター不足は仕組まれたものだった? 「ガイアの夜明け」放送内容にホクレンが反論「誤解を与える内容」(11/25ねとらぼ)
11月22日に放送されたドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」において、ホクレン関係者が「バターが『なくなるぞ』となったら消費者はとりあえず買う」と笑顔で語り、「バター不足はホクレンのせいだった!?」とネットで炎上中です。ホクレンは編集部の電話取材に対し「放送された内容は意図したものではなく、そもそもインタビューがバター特集用のものであるとも聞いていなかった」と、番組に対する不満を明らかにしました。
話題となっているのは「日経スペシャル ガイアの夜明け 巨大"規制"に挑む!〜明かされる『バター不足』の闇〜」内における、ホクレン農業協同組合連合会の酪農部部長による発言。ホクレンは酪農家と乳業メーカーの仲介を担う指定団体で、国内で流通するバターのほとんどを仲介しています。
番組ではまず、ホクレン職員が酪農家との意見交換会で「山のようにバターがあったら消費者は買わない。どんどんなくなっていくと『またバター不足が起こるのでは』と買い増し行為が出る」と発言したことを紹介。これに対しナレーションで「消費者の買い増しを誘っているかのように聞こえる」とした上で、意見交換会に出席していた同団体の酪農部部長にインタビューを行いました。
同部長は「消費者の心理としては、たくさんあったら焦って買わないですよね。ところが『なくなるぞ』となったら、いるのかいらないのかよく分からないけどとりあえず買っちゃいます」「そういう消費者心理ってありますよね。わかります?」と朗らかな笑顔で発言。品薄を演出して購買欲を煽ろうとするかのような発言に、ネット上では「バター不足はホクレンのせいだったのか」「ホクレンの自爆劇」と炎上しました。
ただし同部長はその後「バターは品薄くらいがちょうどいい?」という念押しの質問に対し、「安定供給が大事だと思うので、そういうことではないと思う」とも発言しており、視聴者からは番組構成の恣意性を指摘する声も上がっていました。また、Twitter上ではホクレン関係者と思しき人物による「当初制作会社からの取材依頼内容はバター不足ではなかった」「休憩なしで3時間に及ぶ尋問のような取材だった」とする発言も見られました(当該アカウントは現在鍵付きとなっています)。
編集部が一連の映像と発言についてホクレンの広報に問い合わせると、担当者は「放送されたものは意図した内容ではなく、誤解を与える番組と認識している。そもそも “バター特集”用のインタビューとも聞いていなかった」「ホクレンでは酪農家から預かったものを乳業メーカーと話し合うだけなので、仕組み的に生産量の調整はできない」と回答。番組に対する今後の対応を「検討中」であるとしました。なお、Twitter上の関係者のものと思しきツイートに関しては把握しておらず、対応については検討するとしています。


ホクレンがいくら言い訳しようとも、酪農部長の発言の内容は何かを切り取っただけのものではないでしょう。それに、現実問題として牛乳やチーズが豊富に流通しているのにバターだけが品薄だという事実は覆い隠せるものではありません。輸入バターには高い関税をかけているのもみんな知っています。ホクレンが生産者と組んで品薄状態に仕向けているのではないかと疑われる客観的な事実は積みあがっているわけです。安定供給が聞いてあきれます。

こういうニュースが飛び交うとTPP推進派や新自由主義者たちが息を吹き返すことになるわけですよ。特に日本人は食いもんの恨みは末代まで続きますからおそらくこのネタもあと10年くらいは言われると思います。
過去にも国内産業を守ろうとして、それが過度な規制とか既得権益の保護とかに走ると余計に外圧がかかるようになるという経緯が、かつてコメとか肉とか半導体とかの業界で見られた光景でありますが、酪農業界はもうちょっと歴史に学ぶべきだと思います。

それに、乳製品全般に言えることだと思いますが、欧米の乳製品に比べて日本のそれが品質的に劣っているとは思っていません。ただ、エシレバターのように特色ある差別化商品はあまりお見かけしないですね(カルピス社のバターは一度食べましたがおいしかったです)。
日本のバターが特色薄いのは、産業を保護しすぎると競争力が働かなくなるという典型的な事例ではないかと思います。ウイスキーは近代からの先人のたゆまぬ努力によって世界的にも認められるようになりました。乳製品だってやればできるはずです。

そういう意味では、競争力を強化するためには関税で保護しないほうが良い、という理論はごもっともなんですよね。この点に関しては認めざるを得ません。でもTPPは別です。TPPじゃなくてFTAでやれば良いと思います。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(幻冬舎HPより)
この男、 前代未聞のトンデモ作家か。 はたまた推理冴え渡る名刑事か! ? 中山史上最毒・出版業界激震必至の本格ミステリ! 殺人事件解決のアドバイスを仰ごうと神保町の書斎を訪れた刑事・明日香を迎えたのは、流行作家の毒島。虫も殺さぬような温和な笑顔の持ち主は、性格の歪んだ皮肉屋だった。捜査過程で浮かび上がってきたのは、巨匠病にかかった新人作家、手段を選ばずヒット作を連発する編集者、ストーカーまがいの熱狂的な読者。ついには毒島本人が容疑者に! ? 新・爆笑小説!


曹源寺評価★★★★★
中山センセーのシリーズもののひとつに「刑事犬養隼人シリーズ」があります。「切り裂きジャックの告白」「ハーメルンの誘拐魔」などがありまして、地味ですが武骨な刑事として人気です。
本書にも犬養刑事が登場しますが、シリアスな刑事モノではありません。読み始めて「お、犬養シリーズのスピンオフかな」と思いましたが、違いますねこれは。主役はタイトルにある毒島真理。刑事にして作家、いや作家にして刑事。

久しぶりにぶっ飛んだキャラクターに出会えました。

名前の通り毒舌を吐きまくり、笑顔で相手を罵倒する。理屈で黙らせてから止めを刺し、相手を完膚なきまでに叩きのめす。。セリフの最後にいつも「うふ、うふふふふ」って書いてあるのがとても地味に刺さってきます。リアルにいたら怖いです。ましてや上司だったりしたら逃げ出したくなります。表紙絵のイメージがとても毒島です。中山センセーもこういう感じですが、本人は毒島とは違う!と名言されています(けど近いものがあるのではないかと思っています)。
連作短編の体裁で5作品が収録されています。いずれのストーリーも出版関係者が殺されていきますが、それを毒島が推理し、容疑者の中からずばり犯人を当てるという解決スタイルになっています。
死んでいくのは明日の作家を目指す新人をボロクソにけなす編集者、新人作家に容赦ないダメ出しをする大御所の重鎮作家、原作の影も形もとどめないほど改変してまったく悪びれることもないテレビプロデューサー、といった一般社会とは隔絶された「業界」の悪習に毒された面々。一方の容疑者も、自分に才能があると信じて疑わないだけでなく、自分が落選するのは自分の才能を認めない審査員側に問題があるとまで言い切る自己中心的人物だったり、新人賞を受賞したことで天狗になりあれやこれやといちゃもんをつけ増長を繰り返す(巨匠病というらしい)ヘタレ作家だったりと、業界に巣食う魑魅魍魎どもが目白押しです。業界に片足突っ込んでいる自分が言うのもなんですが、

出版業界ってなんだかとんでもない人種の集まりですなぁ。

出版業界では当たり前のことが、普通の企業だったらありえないでしょう!という慣習、常識、行動、モラルを、毒島が毒舌とともに論破していく様はなるほど目から鱗な気分にさせてくれると同時に、あぁやっぱり出版業界はクソだわ。。。と思わせてくれるわけでありまして、毒舌も度を過ぎれば毒以上に爆弾だわこれというやるせなさをも味わわせてくれます。
自分のような書評ブロガーについても毒島は毒を吐きまくります。図書館で借りた本のレビューなどで作品を批評しているやつらは「図書館ヤクザ」と言い切り、ネタバレしないと感想がかけない奴は小学生以下!と断じています。容赦ないわぁ〜
あ、でもこれはまさしく自分のことですわ。

そうか〜自分は図書館ヤクザだったのか〜笑

自分も読本の半分以上は図書館です。そもそも図書館でバンバン借りるようになったのは、毎日夜寝るためだけに自宅に帰っているのに住民税が毎月ン万円も取られているのが納得いかなかったからです。単行本を毎日1冊買って読める金額ですよ、ちょっとくらい住民サービスとして還元してもらってもいいでしょ!という気分ですので、何と言われようとこのスタイルを止めるつもりはありません笑
それにしても、同業者のみならず、編集者や別の媒体関係者、さらには読者まで巻き込んで全方位に毒舌を吐きまくった中山センセーは大丈夫なんでしょうか。まあ、自分はこれからも図書ヤクザを続けていきますが。
本書はつまるところ、犯人当てよりも業界の非常識な奴らを切り捨てる毒舌を楽しむものでありました。特に作家志望者と書評ブロガーは必読かもしれませんな。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月22日

書評760 雫井脩介「望み」

こんにちは、曹源寺です。

本日は朝方に福島沖を震源とするM7.4の大きな地震がありました。自分はキッチンに立ってお弁当づくりしていましたが、地震を報せるチャラーンという音で一気に緊張しました。あの音は本当に精神を不安にさせますね。よくできていると思います。
東北に大きな被害がないことを祈ります。でもまだ明日、明後日あたりまでは注意が必要ですね。3.11のときは3月9日に震度5弱→11日に本震だったわけですから、今日の地震が前震でないとは言い切れません。警戒を怠らないようにしましょう。

ツイッターでは地震の直後に自民党と公明党がみなさんの安否を気遣うツイートを出しましたが、民進党と共産党は無関心だったと話題になりました。民進党は政権を奪取したかったらこういうところを改めないとダメなのに、本当に学習しませんね。
クラスで学級委員に推薦される人は、普段から「こいつなら学級委員を任せても大丈夫だろう」と思わせる行動と言動があるからみんなから推されるのです。同じことは一般社会でもあります。企業で次の社長とか役員とかを選ぼうかという段階にきたら、過去の実績だけではなく発言や振る舞い、部下からの信頼、将来のビジョン、などなど多角的に審査されるのが普通です。ですから、民進党なら政権を任せても大丈夫だろう、日本をうまく舵取りしてくれるだろうと国民に思ってもらいたいならば、こうした細かな振る舞いの積み重ねが絶対に必要だと思うのですが、なぜかしない。できないのか、それともわざとやらないのか。あるいはそういう思考自体がないのか。いずれにしても現状は「あの政権交代は間違いだった」という感想と「いまはとてもじゃないが任せられない」という感想のいずれかしかないのでは、と思います。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(KADOKAWA HPより)
東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登(かずと)と校正者の妻・貴代美(きよみ)。2人は、高1の息子・規士(ただし)と中3の娘・雅(みやび)と共に、家族4人平和に暮らしていた。規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが、2人は特別な注意を払っていなかった。そんな夏休みが明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、連絡すら途絶えてしまった。心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、2人は胸騒ぎを覚える。行方不明は3人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は2人。息子は犯人なのか、それとも……。 息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。相反する父と母の望みが交錯する――。心に深く突き刺さる衝撃の心理サスペンス。


曹源寺評価★★★★★
雫井脩介センセーの作品は大別すると「ちょっと切なくてやるせないサスペンス」と「エンターテインメントに徹したミステリ」の2つになるのかなあと思います(かなり強引)。前者は「クローズド・ノート」「つばさものがたり」など(この2冊はどっちもぼろぼろ泣いた)、後者は「犯人に告ぐ」シリーズや「殺気!」などでしょうか。
本書はどちらかというとものすごく深くて暗いテーマが潜んでいますので前者といえるのですが、ものすごい勢いで読み終えてしまったものですから、エンタメ的でもあるのかなあと思います。
上記あらすじのとおり、息子の友人が殺害されるニュースが飛び込んでくるが自分の息子は帰ってこない。行方不明が3人、逃走中の少年が2人。果たして自分の息子は逃走中=犯人なのか、それとも残る行方不明の1人=死亡?なのか。息子が犯人であることを祈る母親と、被害者であってほしい父親。それぞれの葛藤と苦悩、願望と畏怖、理性と感情が入り乱れておよそ正常な心理を保てない両親の描写がストーリーの主軸となっています。
自分は♂なので父親の心境に近いものがありますが、母親の心理も理解できなくはないです。しかもこの父親と母親の心理が正反対であったにもかかわらず、ちょっとしたことでその距離が一気に近づき、また共有されたりもします。何という巧みな心理描写。
タイトルの「望み」の意味するところがものすごく深くて、誰しもがこの望みについて考えさせられること請け合いです。

そんな深くて暗いテーマにもかかわらず、一気読みだった

のは、センセーの文章力にほかならないのですが、読後感もまた深くてあれこれ考えさせられてしまい、なんともやるせない気持ちになりました。この究極の選択=生きていれば犯罪者、死んでいれば二度と会えない、どちらにしても後味悪い結末が待ち受けているという「望み」つまり

「望みなき望み」に対して、自分だったらどう立ち向かっていけば良いのか。

考えたくもないテーマをぶつけられて多いに悩むことができる作品、それでも(いや、だからこそ)自分は今年の最高作品のひとつに数えたいと思います。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 17:32| Comment(0) | TrackBack(0) | さ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月15日

書評759 吉川英梨「波動 新東京水上警察」

こんにちは、曹源寺です。

ちょっと前の記事ですが、タイトルがヤバイというお話で拡散されました。
[FT]トランプ、プーチン、安倍…強権指導者の危うさ (2016/11/7日経新聞)
モスクワからマニラ、北京からブダペスト、アンカラからデリーに至るまで、国家主義の「ストロングマン(強権的な指導者)」が再び流行している。もし米国が共和党候補のドナルド・トランプ氏を大統領に選んだら、国際的な流行を追いかけているのであって、先頭で引っ張っているわけではない。
ストロングマンに魅了される流れは、独裁的な国と民主主義国の双方に広がっている。中国は10月末、習近平国家主席が今や共産党指導部の「核心」だと発表したとき、個人独裁に向かう危険な道をさらに一歩踏み出した。「核心」というのは、毛沢東主義のニュアンスを帯びた肩書だ。
その習氏は先日、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領をもてなした。ドゥテルテ氏は選挙を経て権力を握ったが、威張り散らすスタイルと法を軽んじる態度は、新しいタイプの独裁者に典型的な特徴だ。世界の強権的指導者たちの「守護聖人」は、そのワンマン支配がまだ民主主義の外見的特徴を多少備えている、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領である。
民主主義の形式と独裁の現実を織り交ぜた同じ体制は、ほかの強権的指導者も披露している。その一人はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領であり、程度はましだが、ハンガリーのオルバン・ビクトル首相だ。このほか、まだ正真正銘の民主主義体制の枠内で活動しているものの、その政治的アピールは、国家主義をはっきり帯びた毅然としたリーダーシップというイメージを基盤としている強権的指導者がいる。インドのナレンドラ・モディ首相や日本の安倍晋三首相などだ。
憂慮すべきことに、トランプ氏の政治スタイルは、プーチン、エルドアン両大統領といった最も独裁的なストロングマンと一番共通点が多い。
(以下、略)

元ネタは日経が買収したフィナンシャル・タイムズの10月31日の記事だそうでして、そのタイトルは
「Trump, Putin, Xi and the cult of the strongman leader 」
となっています。

Xiとは習近平氏の習のことだということで、タイトルには安倍が入っていないのに習を安倍にしてしまったというタイトル捏造疑惑(疑惑というより真っ黒ですが)が騒ぎになりました。

まあ、本文中に安倍首相のことも書かれていますけど、こういうの勝手にやっていいんですかね。元記事を勝手に書き換える日経、というレッテルを貼られてもしょうがない事案だと思います。
つまり、
・元記事をまったくリスペクトしていない日経
・自分の主張のためならタイトルを勝手にいじることを辞さない日経
・タイトル捏造がばれても記事を修正せず放置し続ける日経
・ネットで捏造だと騒がれることを認識していてもそれをやめようとしない日経
という認識でいくしかないみたいですね日経は。
うーん、紙の新聞は読み捨てられて終わりですが、ネットは検索すればいつでも出てきますし、拡散も早いですよね。未来永劫語り継がれ、レッテルを貼られる行為をいつまでも続けるというのが自分にはどうにも理解できないのですが。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(講談社HPより)
東京オリンピックを控え東京湾警備拡充のため水上警察署が新設された。配属された現場一筋の熱血刑事・碇拓真は無人島の第六台場で白骨死体を発見、事件に絡み暗躍する半グレ集団の尻尾を掴む。一触即発の不安の中で迎えた、都知事臨席の水上観閲式での迫真の警備艇追跡劇! 防犯課強行犯係警部補・碇拓真を先頭に巡査部長・日下部峻、舟艇課・有馬礼子たちが、東京湾岸に勃発する凶悪事件に立ち向かう。水飛沫散らせ真相を追う東京湾岸水上警察サスペンス!


曹源寺評価★★★★
吉川英梨センセーは初読です。「女性秘匿捜査官」シリーズなどがあるそうですがいずれも未読です。
本書は文庫書き下ろしなので、書店に行くとそれなりに陳列されていますから手に取りやすいかもしれません。
珍しい水上警察が舞台の作品です。水上警察が舞台って、

あれ、水上警察はなくなったんじゃなかったっけ?

と思わせておいて、小説の世界ですから何でもありということで、東京五輪を控えて臨時署が立ち上がったという設定で復活させてしまいました。
警視庁のホームページで採用欄とかを見ますと、船舶を取り扱う海技職員は普通に募集していますね。しかも倍率8倍という難関です。採用された場合、湾岸署以外に配属されることがあるのでしょうか。
この新たに設置された五港臨時署、略して五臨署に赴任した碇拓真警部補が一応の主人公ということになりましょうか。語り部的役割を本庁から異動してきた日下部峻巡査部長が演じ、難事件に挑みます。
事件の発端は漂流する発泡スチロール箱のなかに入っていた人間の指。生体反応がなかったため事件となるが、これと並行して第六台場に身元不明の遺体も発見される。事件の解明を進める五臨署には臨時署としての悩みもあるが、水上警察の復活を願う刑事と職員の奮闘により少しずつ詳細が明らかになっていく。事件の背後にいたのは台場を根城としていた暴走グループの影が、、、
水上アクションあり、暗号解読あり、恋愛あり、人間模様あり、とまあ盛りだくさんですよ。さらには、続編を想起させるようなラストあり、ですから次回作にも期待できそうです。
読者を楽しませようとする意気込みをものすごく感じてしまう作品です。だから見せ場というのがいくつかありまして、それらは非常に読み応えのある場面として印象深いです。

ただ、文中から滲み出てくる気負いも読者に伝わってきます

ので、読み手としてはちょっと引いてしまうような感じがなくもないですね。もうちょっとコンパクトにまとめてもよかったのかもしれません。
でも、次回作が出たらたぶん読むと思います。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | や行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月11日

書評758 楡周平「ドッグファイト」

こんにちは、曹源寺です。

第45代の米国大統領にドナルド・トランプ氏が決定しました。テレビを観ない自分は良く知りませんでしたが、国内民放だけでなく、米国のテレビ局もこぞってヒラリー支持、トランプネガキャンだったそうですね。「トランプが大統領になってアメリカは大丈夫かしら」などとほざいている人が周囲にも多くいますが、それが「政治シロウトだから」という理由ならまだしも「過激な発言が多いから」という理由で言っているなら、それは間違いでしょう。米国大統領には拒否権なる巨大な権力があるのは事実ですが、過激な発言のすべてを政策にできるほど米国は甘い国ではありません。むしろシロウトだからこそ官僚の操り人形になりはしないかという方を気にすべきでしょう。日本でいうところの都知事みたいなもので、青島幸男がなんにもしない知事だったけど都政は普通に動きましたからね。ただ、外交だけは簡単ではないと思いますが。

それと、「トランプが大統領になって日本はどうなってしまうのか」とぬかしている人も多くいますが、これもまた変な話です。日本は米国の属国ではありません。まあ、その昔「年次改革要望書」なる対日要求の書面が発覚したことがありましたが、それはさておき、こうしたネガティブで対米追従のような発言をする人は大抵、外交のことを知らなさすぎですね。
たとえばTPPは締結されなくなる可能性が高まったのは事実ですが、だからといって相手のことを忖度して決議をしないなどというのは逆に対米追従以外の何者でもないのですが、民進党はその辺をきちんと理解していませんね。外交とは「相手がどういう出方をしても対処できるようにしておく」のが基本だと思います。日本は日本としての国益を追求していけば良いだけの話です。まあ、個人的にはTPP反対ですが。
とにもかくにも、相手がどうあれ日本のことは日本で決めましょう。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(KADOKAWA HPより)
運輸界最大手企業と世界的通販会社。物流の覇権を巡る戦いが火花を散らす!
物流の雄、コンゴウ陸送経営企画部の郡司は、入社18年目にして営業部へ異動した。担当となったネット通販大手スイフトの合理的すぎる企業姿勢に反抗心を抱いた郡司は、新企画を立ち上げ打倒スイフトへと動き出す。


曹源寺評価★★★★
楡センセーの新作はまたしても物流業界ネタでありましたが、「再生巨流」や「ラストワンマイル」などで問題提起された業界の問題を掘り起こす姿勢が大好きで、いつも興味深く読ませてもらっています。
本書はコンゴウ陸送の経営企画部課長、郡司清隆を主人公にして、巨大な外資系ネット通販会社であるスイフト・ジャパンに立ち向かうというストーリーです。
読み始めればすぐに分かりますが、コンゴウ陸送=ヤマト運輸、スイフト・ジャパン=アマゾン・ジャパンのオマージュです。超巨大なネット通販企業に成長したスイフトは、本一冊から配送料無料などというとんでもないビジネスモデルで国内の通販市場を一気に拡大させます。
しかし、そのしわ寄せは運送会社に集中、売り上げが拡大しても損益はトントンなしは赤字という状況が続きます。それだけではなく、運送会社は取扱量が減ると倉庫やトラックなどの設備が遊ぶことになりますので、経営効率が一気に落ち込むことになります。このため、いくら収益率が低くても大手の荷主から取引が切られることを極端に恐れるようになっていくわけです。逆に荷主は成長を担保にして支払い条件を有利に進めようとするのですから運送会社にとってはたまりません。こうして国内の運送会社はどんどん疲弊してきてしまったという経緯があるわけで、運送会社とは縁のない人でも業界の





こうした問題点は認識しておく必要がある

のではないかと痛切に感じるわけです。
郡司は経営企画部から営業部へ異動となり、そこでスイフトの営業担当となります。スイフトのえげつないやり方に辟易としながら、コンゴウがスイフトの奴隷にならないための打開策を講じていきます。
スイフトの執行役員である堀江がかなりのヒールとして描かれていまして、ドメスティックな産業の代表格である陸送業界と、グローバル企業の代表格である外資系ネット通販会社という対比が際立っているのも本書の特徴でありましょう。
楡センセーの近年の作品群にはひとつの大きな特徴があります。それは「人口が減少し、対老齢人口比が上昇している日本において、企業が生き残るためには、あるいは日本社会そのものが成長を続けていくためには何が必要なのか」という命題に対して、センセーなりの答えを出しているという点です。
「再生巨流」では衰退した「町の家電屋さん」の復興プランを、「プラチナタウン」では地方の活性化と高齢化社会のあり方を、「ラストワンマイル」は本書と同じくネット通販会社と運輸会社の攻防を描いています。極めてリアルな近未来、それも5年後あるいは10年後という未来の社会のあり方を、独自のアイデアを披露しながら問うているのであります。だからこそ引き寄せられる内容です。
本書は物流業界に詳しく、かつ外資系企業の勤務経験もある楡センセーだからこそ書けた作品でしょう。少なくとも業界関係者は読むべきですね。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 15:06| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月08日

書評757 日本推理作家協会編「奇想博物館」

こんにちは、曹源寺です。

いよいよ米国の大統領選挙、本チャンが近づいてまいりました。
ヒラリーとトランプ、どっちが大統領になっても今世紀最悪の大統領になるのではないかという推測がまことしやかに流れておりますが、個人的には本当にどっちも応援したくないなあ。
ヒラリーはFBIからの訴追を免れましたが、この事件の本筋は「ヒラリーはIS(イスラム国)を支援している」という容疑だったわけで、情報を日本のマスゴミはこのことを正確に伝えていません。米国のマスコミもヒラリー擁護に動いていますので、それがかえって米国の知的富裕層あたりに反感を買っているようです。
トランプはトランプでアジア情勢を理解していませんので、トンチンカンな発言も多いですし、政策が見えてこないですから彼が大統領になったときは何が起こるか分からない怖さがありますね。

米国では予備選などの投票日が火曜日に行われるという習慣があります。いわゆる「スーパーチューズデー」です。なぜ日曜日に行わないのか?と思って調べてみたら、「週末の選挙は労働者の休む権利を奪う」という感覚だそうですね。そう考えると日本の選挙のほうがクソだわ。
詳細は「平日投票」でWikiってくだされ。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(光文社HPより)
ミステリーの世界は日々進化しています。
あなたの中のミステリーのイメージは?
警察捜査? ツンデレ探偵? 天才科学者? イヤミス?
もちろんミステリーはその全部であり、それ以外でもあります。
どうぞこの本を手に取って、第一線の作家が工夫を凝らした、
まだあなたが知らないミステリーの面白さを見つけてください!
日本推理作家協会理事 恩田陸

目次
編纂序文   西上心太
伊坂幸太郎 小さな兵隊
石持浅海   玩具店の英雄
乾ルカ    漆黒
大沢在昌   区立花園公園
北村薫    黒い手帳
今野敏    常習犯
坂木司    国会図書館のボルト
朱川湊人   遠い夏の記憶
長岡弘樹   親子ごっこ
深水黎一郎 シンリガクの実験
誉田哲也   初仕事はゴムの味
道尾秀介   暗がりの子供
湊かなえ   長井優介へ
宮部みゆき  野槌の墓
森村誠一   ただ一人の幻影


曹源寺評価★★★★
11月も書店には読みたい本がどんどん出てきていますが、買うか借りるか迷っているうちに手許に読む本がなくなってしまいました。
今月は飲み会が多いので書籍代をケチらないといけないのに、こういうときに限って大好きな作家センセーの新刊が出たりするんですよ。
そんなこんなでとりあえず未読の本を捜しに図書館へ。本書は大御所センセーの短編が並ぶアンソロジーです。本書の刊行は2013年12月で、本書に収録されている短編はいずれも文芸誌にて発表済みの作品であるうえに、2010年〜2012年あたりの発表作品が中心となっていますので、本書のみならず著者自身による短編集にも収録済みのものがあったりします。

なんか読んだことあるな、これ

という既視感がところどころにありましたが、短編って意外と結末を覚えていなかったりするので、もう一度楽しめたと思うことにします。
個人的にはバッドエンド的な作品に魅かれたりもしますが、ここはやはり伊坂幸太郎、大沢在昌あたりが安定していますね。
「小さな兵隊」のみならず、「親子ごっこ」「暗がりの子供」などお子さまが登場する作品が目につきますが、だからといってお子さまが読んで良い作品かというとちょっと違うような、ビミョーな作品が多いというのも特徴かと思います。
ふだんあまり手に取ることのないセンセーの作品も、こうした本を取っ掛かりにすることで嵌ったりすることはありますね。出会いが増えるというのは本当にありがたいことです。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 18:27| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月01日

書評756浅井建爾「知らなかった!驚いた!日本全国「県境」の謎」

こんにちは、曹源寺です。

東京都民としましては五輪を控え、古い建物が壊されたり新しい道路ができたりするとすごく新鮮な気分になります。新たなインフラ整備は大歓迎なのですが、今年4月に開業した新宿バスタがひどい状態ということで残念な記事が増えてきました。

バスタ新宿前「渋滞改善と発表は間違い」と国交省謝罪 バス会社120社に違法駐車の改善要請(2016/11/1産経新聞)
全国最大のバスターミナル「バスタ新宿」(東京)の渋滞問題で、国土交通省は1日、過去に公表した「渋滞が改善した」とする調査結果が間違いだったことを明らかにし、謝罪した。同施設周辺の違法駐車問題に対しては、バス会社に文書で改善を要請した。
国交省はバスタ新宿開業1カ月後の今年5月、施設前の国道20号のタクシー乗降場を施設内に収容したことで「渋滞が改善した」と発表していたが、「改善がみられない」と訂正した。昨年11月と今年5月のそれぞれ1日分だけの渋滞の最大延長を目視確認した不十分なデータで比較したことが原因という。
膨大な情報を分析する「ビッグデータ」で昨年と今年の4〜9月分の渋滞状況を解析した結果、ほとんど改善しておらず、時間帯によっては悪化していた。今後、渋滞解消に向けた取り組みを強化する方針。
一方、国交省は10月下旬、西新宿地区で路上駐車し、時間調整している高速バスを確認。同月28日にはバスタ新宿を運営する「新宿高速バスターミナル」(東京)を通じ、バス会社約120社に路上駐車をしないよう口頭で要請したが、状況が変わらなかったことから再発防止策の提出とともに改めて文書で求めた。10月下旬の3日間の午前中だけで、約30台が路上駐車していたという。


新宿駅西口に分散していたあれだけのバスを一箇所に集めたらどうなるのか。しかも国道20号(甲州街道)沿いという東京屈指の動脈に隣接したらどうなるのか。こうした思考が働かずに、あるいは働いたのかもしれないが机上の計算だけにとどまったりすると、こうした弊害が起こるという悪い見本のような有様になりました。
渋滞だけでなく、トイレが少ないとかコンビニを誘致できていないとか、利便性にも知恵が働いていないという酷さ。お役所仕事の真髄を垣間見ることができました。
なぜ、頭のいいはずの役人(今回の場合は国土交通省)がこうした無様な結果をさらけ出すのか。これを学問にして研究を重ねても良いのではないかと思えるレベルです。

かつての新宿駅西口は停留所が分散しすぎていて、中央高速方面ならヨドバシ前だとか、山陽方面ならスバルビルの方だとかいろいろ知っていないと乗るまでに大変という有様でした。それが一箇所に集まれば道に迷う人はいなくなります。大きなバスターミナルができれば便利は便利です。
しかし、新宿駅西口は大きなターミナルがあって、北にも南にも西にも抜けられるように設計されていました。北に行けば青梅街道、南にいけば甲州街道、西からちょっと行けば首都高速4号線といずれの方向にもスムーズなアクセスができる場所なんですね。それを甲州街道だけにしてしまえば当然渋滞するわけです。

バスタの立地は素晴らしいのですが、どうせなら首都高に抜けられる専用道路か、あるいは甲州街道の車線を1〜2車線増やすくらいのことをしなければいけなかったのだろうと思います。ホント、これどうするんでしょうね。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(実業之日本社HPより)
好奇心や旅心をくすぐるネタ満載!
四国には、愛媛県と高知県しかなかった?
日本一人口の多い県は、石川県だった?
時代とともに、めまぐるしく移り変わったのが日本の「県境」でした。明治維新から140年を経たいまでも、全国47都道府県のうち、およそ半数の23都県に「県境未定地」があるなんて、信じられますか? 県境は単なる行政上の境界線、と思いきや、この曲がりくねった一筋の線が引かれるまでには、全国各地に悲喜こもごものドラマがありました。たかが県境、されど県境――思わずだれかに話したくなるようなエピソード満載の面白本、日本の地理や歴史を見る目が変わります!


曹源寺評価★★★★★
最近の新書は粗製乱造が甚だしいのであまり書店の新書コーナーに立ち寄らなくなっていましたが、本書は息子の通う塾の先生がお勧めしていたので親が先に読んでみた次第。
本書は2007年9月の発刊ですから、かれこれ9年も経過しています。いまさら感満載ですが、教養として学ぶものですから勘弁しておくんなまし。
なるほど、タイトルの通り「県境」ってどんな理由で構築されたのだろうという疑問には十分応えてくれる内容です。都道府県の成り立ちを知る上で本書の記述はかなり役に立ちます。東京都の多摩地区は神奈川県から分離された、とか、四国は2県しかなかった時代がある、とか、石川県が一時、国内最大の人口を誇る県だった、とか、知らないことだらけで一気読みでした。
高校日本史の教科書にさえ載っていない話って、いいですね。
個人的にはこの幕末から明治にかけて、あるいは明治から大正、昭和初期あたりまでの歴史というものが教養的にまったく不十分なので、一時期ちょっとだけ読み漁ったのですが、難しすぎる本を手にとってしまうとそこでお勉強がストップしてしまうわけですよ。
それでもWebサイトなどで面白そうな雑学を得られるところはブックマークしてたまに閲覧するようにしています。「東京DEEP案内」とか「探検コム」(ここの管理人さんは本当にすごい人)などは良く知られるサイトですが、日本史の裏とか現代の闇とか本当に奥が深いですね。
さて、本書に戻りますが、江戸から明治にかけては廃藩置県というものすごい大規模な行政改革がありました。県境が変われば行政管轄も変わるということで、住民にとっては生活の基盤そのものが大きく揺らいだ時代でもあったわけです。しかし、長い歴史を経て統治されてきた藩という制度は住民生活と密接につながっていたため、県を置いたところで旧藩の制度をまったく無視するわけにはいかなかったというのが実情のようですね。
読んで楽しかったのは事実ですが、編集にはちょっと疑問が残りました。

何というか、整然としていないんですよ。

北海道から順に南下するわけでなく、時系列に並んでいるわけでもなく、マメ知識がずらりと並んでいるだけという感じで、ひとつひとつの単元もつながりがないのでもうちょっと理路整然と並んでいて欲しかったなあという印象です。もちろん、少しは並んでいる(たとえば、どちらの県にも属していない地域の話とか)のですが、編集にはもう一工夫あっても良かったのではないかと思います。
あ、あと本書には続編もあるみたいなので探してみようと思います。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 18:39| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
最近の記事
カテゴリ
過去ログ
検索
 
最近のコメント
タグクラウド
<< 2016年11月 >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
リンク集