ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2011年01月20日

書評286 雫井脩介「つばさものがたり」

いよいよ本格的な受験シーズン突入ですが、父親にできることはあまりありません。早く帰って塾帰りに迎えに行く程度です。中学受験は難しいすね。算数なんてxもyも使わないで説明なんてできないっす。自分は公立中→公立高→私立大だから、植木算とか流水算とかつるかめ算とかよう分かりません。教える側にもテクニックが必要だからこそ、受験産業が成り立っているのだなあと痛感します。


内容(小学館HPより)
もっと我慢せず、自分のために生きればいい。
君川小麦は、26歳のパティシエール。東京での修行を終え、ケーキショップを開くため故郷の北伊豆に帰ってきた。小麦の兄・代二郎と義理の姉・道恵の間には、叶夢(かなむ)という6歳の息子がいる。叶夢には、レイモンドという天使の友達がいるらしい。ケーキショップ開店のため小麦が見つけた店舗物件に対し、叶夢は「ここ、はやらないよ」「レイモンドがそう言ってる」と口にし、小麦、代二郎夫妻を戸惑わせる。しかし、結果は叶夢の言うとおりに…。さらに、帰京した小麦には家族にも明かせない秘密があった。君川家の人々は様々な困難を乗り越えながら、ケーキショップの再起を目指す。






曹源寺評価★★★★★
「クローズド・ノート」「殺気!」などで魅せる雫井氏の新作(といっても発行は2010年8月)です。ミステリもいいけれど、このほんわかした雰囲気を持つ一連の作品はどれも非常に気に入っています。
不覚にも、電車の中で読んで泣いてしまいました。くそー、うまいな。彼の一連の作品に登場する女性は、みな不思議と応援したくなるんですね。だから、本書で頑張る君川小麦26歳には感情移入させられます。そのおかげで、ラストがとても切ないです。思い返しても涙が出てきます。涙腺弱っ!
応援したくなる女性と、彼女を支える脇役陣がこれまた善人揃いでとてもいい雰囲気を醸し出すので、読んでいてこの世界に引き込まれていくんですね。「オーラがまずい」と言われた兄の代二郎も、美しい兄妹愛で小麦を支えます。代二郎の嫁である道恵も、小麦によって人生の新たな目標を見つけます。このあたりの描写はフントにほのぼのします。
本書では天使見習いの「レイ」ことレイモンドが、大人には全く見えていないにもかかわらず、あたかもそこで飛んだり跳ねたりしているような感覚にさせられるという表現が随所に出てきますが、その見えていない大人たちと同じように読者も感じることができるという(ややこしや)描写がなんだかとてもうまいなあと思うわけです。この、目に見えない世界と現実社会で奮闘する女性が最後に邂逅するわけですが、こういう設定だと奇跡が起こるのを期待せざるを得ません。読者にがっかりさせないために、「彼女は自分の人生を全うした」という前振りがどうしても必要になります。この辺はもっと深く書き込んでも良かったのかもしれませんが。
泣きたい人には目一杯おススメしますね。








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posted by 曹源寺 at 15:21| Comment(0) | TrackBack(0) | さ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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