ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2011年11月18日

書評350 玖村まゆみ「完盗オンサイト」

ブータン国王夫妻が来日されていて、イケメン夫婦ということで報道が過熱していますが、なんだかワイドショー的で嫌だなあと感じているのは自分だけでしょうかねえ。
晩餐会に出席せずに政治資金パーティーを優先させた一川防衛大臣などは責められて当たり前ですが、こうした時だけブータンという国を採り上げるのは、ちょっと違うのではないかと。
つまり何が言いたいのかというと、もっと普段から海外の話題を採り上げてくれませんかねえということです。印象操作など無用ですが、あんなに日本のことを気にかけてくれる、メンタリティの近い国なら、こちらももっと浸透させたいなあと思うわけです。台湾とかトルコとかブルネイとかインドとかポーランドとか、親日国ならいっぱいありますから。

内容(講談社HPより)
第57回江戸川乱歩賞受賞作
どこまで真剣? ホントにできるの? 550歳の人質を皇居からいただいちまえ!
報酬は1億円。皇居へ侵入し、徳川家光が愛でたという樹齢550年の名盆栽「三代将軍」を盗み出せ。前代未聞の依頼を受けたフリークライマー水沢浹(とおる)は、どうする? どうなる? 不気味な依頼者、別れた恋人、人格崩壊しつつある第3の男も加わって、空前の犯罪計画は、誰もが予測不能の展開に。
最後に浹が繰り出す、掟破りの奇策とは?
アイデアは馬鹿馬鹿しく、動機は不条理。特異な才能の出現を感じた――<東野圭吾氏>






曹源寺評価★★★★
第57回の江戸川乱歩賞受賞作のひとつです。乱歩賞というのは推理小説作家への登竜門ということで長年の伝統があり、毎年受賞作を楽しみにしております。しかーし、本書は果たしてミステリなのか?という素朴な疑問が持ち上がります。
「なぜ」というストーリーがあまりないんですね。いや、あるんだけどなんというか重々しい殺人だとか逃亡だとか謀略みたいなものが一切ないので軽く感じてしまうのでしょうか。むしろ冒険モノとかファンタジーモノといった趣です。いや、一応「盗む」というストーリーがあるから「クライムノベル」と呼んで差し支えないでしょうか。でも、これを乱歩賞にしてしまった選考委員はどうなのよ?
といっても、受賞作にはいつもいつも辛らつな評価が巻末に掲載されていますが、今回は一層厳しい評価がそこには載っていましたわ。「前置きが長い」とか「ゼネコングループのトップがこんなのってありえねー」とかいろいろあります。
本書のキモは「なぜ主人公の水沢浹は皇居に侵入して盆栽を盗むと決意したのか?」という点でしょうか。そこにある仕掛けがなかなか洒落ていて、思わず

「なーるほど」

と叫んでしまう鮮やかさがあります。選考委員は恐らく、こうした奇想天外な展開に膝を打ったのではないかと想像します。
乱歩賞はその内容にあら捜しをすると結構いろいろ出てくるのですが、そうした批判を受けつつも、それ以上のパワーで相手を打ちのめすものがあればデビューは可能であるということを知らしめた意味で、本書は新しい地平を開いたと言っても良いのではないかと思います。








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posted by 曹源寺 at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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