ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2013年12月09日

書評498 月村了衛「黒警」

特定秘密保護法が可決成立しました。してからも法案廃止を叫ぶ一部の勢力に辟易としますが、ひとつ、どうしても解せないものがあるんです。
それは「なぜ秘密を守る側の人間がこの法案に反対しているのか」ということです。守る側というのは、そうです、公務員ですね。「知る権利」ではなく「守る義務」が発生することがそんなに嫌なんですかね。それって「俺たちは情報を漏らしているから(あるいは漏らすかもしれないから)処罰するな」と主張していることと同義になりませんか?

沖縄タイムスの社説が惨いと評判です。
社説「危機の民主主義」「知る権利」守り抜こう
人権や民主主義について語った二つの言葉が、これまで以上に、重く響く。特定秘密保護法が成立した今、市民は何をなすべきか。その答えがこの二つの文章の中にある。
 「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と、主権者である国民の絶え間ない努力を強調するのは憲法第12条である。
 ロバート・H・ジャクソン米連邦最高裁判事は1950年に、「政府が誤りを犯さないようにすることは、市民の役目である」と言い切った。
 特定秘密保護法は、重大な欠陥を残したまま、強引に採決に持ち込まれ、可決・成立した。知る権利を後退させないためにも、追及の手を緩めるわけにはいかない。

(中略)

 特定秘密保護法案をめぐる国会審議で目立ったのは、民主主義の重要な要素である「少数意見の尊重」や「手続きの正当性」を軽んじるような政治手法である。
 「知る権利よりも国家の安全が重要」だと平気で主張する自民党幹部もいた。それがどれほどバランスを欠いた危険な発想であるかに、本人が気づいていない。
 時の政権に対する党と国会の監視機能の低下は、民主主義の健全な発展を妨げる。事態は深刻だ。


「知る権利よりも国家の安全が重要」がバランスを欠いた危険な発想だそうです。すごいわこれwww
安全な国家があってこその知る権利だと思うのは私だけではないはず。これと似たような話を思い出しましたよ。
「健康なら命はいらない」と言っている健康厨と同じだ。ほかにも
「平和のためなら戦争も辞さない」
とか
「死刑廃止のためなら殺人もやむをえない」
みたいな。すげえやばい発想だよねこれ。

内容(朝日新聞出版HPより)
あんたは警察の中の“黒色分子”だ!
『機龍警察』の著者による書下ろし長篇警察小説
吉川英治文学新人賞&日本SF大賞、受賞後第一作!!
警視庁組織犯罪対策部の沢渡と滝本組幹部の波多野は、組織に追われる中国人女性を見殺しにした深いトラウマを抱えていた。そんな二人のもとに中国黒社会の新興勢力「義水盟」の沈が現れる。黒社会の大組織・天老会に追われているカンボジア女性サリカを匿ってほしいと沈から頼まれる二人。サリカは天老会の最高機密を握っているらしい。やがて二人は背後に黒社会の大組織と癒着する国家権力の影を嗅ぎ取るが……。ダークな味わいの傑作長編警察小説。






曹源寺評価★★★★
あの「機龍警察」シリーズの月村センセーが「普通の」警察小説に挑んだというので読んでみましたよ。
主人公の沢渡はどうしようもないほどではない、燃え尽き症候群みたいな警察官という設定で、組対にいるから893とのつきあいもそれなりにあります。そこに現れたのが義水盟の沈という男で、カンボジア人の女性・サリカを匿うことになります。
天老会に追われるサリカを匿いながら、義水盟のアジト殲滅を命令される沢渡は、義水盟に情報を垂れ流しながら捜査を続けるという蝙蝠状態になります。
そして、ここから物語は急転直下します。ちょっと予想外の展開だっただけに

ワクワク感が溢れ出ました

中盤から後半にかけては軽妙でスピーディな展開です。そして終盤の、黒幕に対する意趣返しは結構スカッとします。当初は重厚な警察ストーリーを期待していたのですが、どっこいこれはかなり軽いです。でも、物足りないというほどではなく、適度に読みやすくしっかり読めるという感じです。










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posted by 曹源寺 at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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