ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2014年02月06日

書評509 今野敏「アクティブメジャーズ」

村上春樹という人はあまり好きではないし、本も読まないのですが、彼の小説が物議を醸しているというニュースが入ってきたので、考えてみるね。
引用
「村上春樹氏小説に『屈辱的表現』町議ら文春に質問状へ」
作家の村上春樹氏が月刊誌「文芸春秋」の昨年12月号に発表した短編小説で、北海道中頓別(なかとんべつ)町ではたばこのポイ捨てが「普通のこと」と表現したのは事実に反するとして、同町議らが文芸春秋に真意を尋ねる質問状を近く送ることを決めた。町議は「町にとって屈辱的な内容。見過ごせない」と話している。
 この小説は「ドライブ・マイ・カー」。俳優の主人公が、専属運転手で中頓別町出身の24歳の女性「渡利みさき」と亡くなった妻の思い出などを車中で語り合う。みさきは同町について「一年の半分近く道路は凍結しています」と紹介。みさきが火のついたたばこを運転席の窓から捨てた際、主人公の感想として「たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう」との記載がある。

(以下略

こうしたニュースにありがちな二つの論評としては
・事実と異なる表現、ましてや侮蔑的表現は厳に慎むべきだ
・小説のなかの表現なのだから現実と比較しても何の意味もない。表現の自由の侵害をすべきではない

とまあ、こんな感じになるのでしょうか。
自分はどちらかといえば後者ですね。これだけ情報発信の媒体が発達しすぎている現状では、何かを規制しようとしても無駄のような気もします。ブログでどこかの国の人たちを懸命に貶めようとしている人とか、捏造したニュースを垂れ流すマスゴミとか、そんなのがあちこちで跋扈しているわけです。世の中には嘘と本当が入り混じる世界になってしまったという自覚を、我々ユーザー(というかすべての国民)が持つべき時代になっているのだと思います。
ですから、北海道中頓別町の人たちはこれを契機に町おこしでもやれば良いと思います。『ポイ捨てのない街』とか逆張りで。


内容(文藝春秋HPより)
マスコミ界の大物の死が引き起こす恐慌。シリーズ第4弾
対外諜報のスペシャリストとして研修を受けた倉島警部補に下る新たなミッションは同僚の調査。興奮がとまらない異色の警察小説。






曹源寺評価★★★★★
え、これっていつの間にかシリーズ第4弾なの?と思い調べてみたら、『曙光の街』、『白夜街道』、『凍土の密約』とつながっているようでして、自分は『凍土の密約』しか読んでいなかったわけです。
でも、今野センセーの良いところは過去の作品を読まなくてもかなりの程度で理解ができてしまうところにあるのだろうな、と思うわけであります。実際に、本書では「あのヴィクトルと渡り合っただけのことはある」といった主人公・倉島達夫評がありますが、このヴィクトルとは「曙光の街」で対決しているそうなのですが、それを知らなくてもたぶん大丈夫です。
その倉島が公安オフィサー養成機関の「ゼロ」で研修を受けて帰ってきたところから物語りがスタートします。でも、「ゼロ」についての説明はあまりないですね。これは麻生幾センセーの公安小説「ゼロ」を読んでいないといけませんね(笑
ゼロって、いま「ゼロ」なの?自分の知識では「サクラ」→「チヨダ」→「ゼロ」→「チヨダ」だと思っていたけど、

本当はいまなんて呼称?

まあいいか。
同僚・葉山の調査を命ぜられた倉島は、二人の部下をサポート役の候補としてあてがわれた。どちらかを一人、選べと上司に言われるが対照的な二人なので選べない。そんななか、一人の部下が口にした一言で、事件の構図が浮かび上がってくる。大手マスコミの幹部が死亡したという事件と、葉山の調査。捜査を続けるうちに浮かび上がる構図。上司の命令を無視しても事件に立ち向かう倉島。なんだかこういった警察ストーリーは今野センセーのお手の物といった感じでしょうか。無駄のない文章、ハイテンポの文体、サクッと読める展開にはいつもながら脱帽であります。








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posted by 曹源寺 at 12:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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