ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2015年09月01日

書評643 柴田哲孝「下山事件 暗殺者たちの夏」

こんにちは、曹源寺です。

五輪エンブレム事件(あえて事件と言おう)はネット住民の執念によりあちこちでパクリが暴露されるという状況になり、久しぶりのお祭り状態になりました。
嘘に嘘を重ねると辻褄が合わなくなり、最終的にはすべて露呈されてしまうという、まさに道徳の教科書みたいなストーリーです。
ネットで「佐野 まとめ」でググると出てくるまとめサイトを見ると、えっ、こんなにパクッているの?と驚くレベルです。そのまとめサイトもネット住民の暴露に追いついていないですね。どんだけパクッているんだこいつはwww

と思っていたら、今日の速報で「エンブレムの使用を中止する方針」と報道されましたよ、っと。
キターッ!
組織委員会がどんな言い訳するのか楽しみです。おそらくは「五輪エンブレムは潔白だが、サントリーをはじめとした一連の疑惑が持ち上がったことから、ここは一旦白紙に戻すことが賢明と判断」とかなんとか言うのでしょう。
佐野教授については「自らクリエイトすることなく、ネット上に転がっているネタを拾って適当に仕上げているだけの常習的なパクリデザイナー」というレッテルを貼られてしまったわけで、そんな人のデザインを使い続けること自体がリスクになってしまいました。信頼の置けない大工に家を建てさせることはしない、つまりはそういうことです。もっと傷の浅いうちに取り下げておけば、佐野教授も(多摩美術大学と佐野を擁護したデザイナーたちも)生き永らえることができたのかもしれないのにねえ。。。





内容(祥伝社HPより)
小説だからこそ、書けることがある。
『下山事件 最後の証言』の衝撃から10年…
いま昭和史最大の謎の“真実”が明かされる。
戦後間もないGHQ占領下の日本で、ある事件が起きた。昭和24年7月5日、初代国鉄総裁が失踪。翌6日未明、線路上で礫死体となって発見された。
いわゆる「下山事件」である。
私はここに、小説『下山事件 暗殺者たちの夏』によって、再び事件の“真相”を問う──著者(「あとがき」より)


曹源寺評価★★★★★
下山事件 最後の証言」で自身の身内が事件に関与した疑いがあることをほのめかした柴田センセーが、今度は小説仕立てで真実に迫ったというので、さっそく読みましたよ。あぁ、もう「最後の証言」から10年が経つのですね。この本はけっこう衝撃的だったのですごく覚えています。間違いなく真実に迫った本だったと思います。
昭和24年7月5日に発生したこの事件を、精密かつリアルに小説風に仕立て上げたのが本書ですが、他の本にないのが「主犯格とされる犯人グループの動きを同時並行で書き連ねた」ことでありましょう。
当時の国鉄総裁である下山貞則氏を誘拐し、拷問のうえ血を抜いて殺害、死体を五反野付近のレールに置き轢断させるという恐ろしい殺人のプロセスまで緻密に書き上げた柴田センセー、

あなたはタイムスリップでもしたのかい?

と思えるくらい史実にも忠実で、しかも実名と仮名が入り混じった書き方をあえてされています。
少しでもこの事件のことを勉強した人は絶対に読むべきだと思う反面、

下山事件を知らない人にはハードルが高すぎです

知らない人はまず、松本清張の「日本の黒い霧」から読むことをお勧めします。清張センセーはあの時代にGHQがらみの犯罪であることを看破しておられますので、本当にすごい作家センセーだったなあといまさらながらに感激できます。そのうえで、「最後の証言」や矢田喜美雄センセーの「謀殺 下山事件」などを読み、本書に入っていただくのがよろしいかと思います。
ただ、本書の場合、迷宮入り事件をリアルに描くということは、

イコール胸糞悪い結末

ということと同義であるのは論を待ちません。それを承知した上でしっかりと柴田推理を楽しむのがスジではないかと思います。
そして、読後に思うのは、もう一度「最後の証言」を読まなければ、という衝動でした。「最後の証言」ではあの矢板玄本人にインタビューしていたのを思い出したからです。本書では「八板玄士」の名で黒幕中の黒幕として描かれていますので、この辺の、というか亜細亜産業自体の関わり度合いが気になるところです。

(以下、ネタバレですが)亜細亜産業が最後どうなったのか、についてはあまり触れられてはいませんでしたが、下山事件後に解散してしまったのでしょうか?Wikipedia見てもあっさりしすぎていて全然分かりませんでした。






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posted by 曹源寺 at 14:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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