ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2015年11月13日

書評663 呉勝浩「道徳の時間」

こんにちは、曹源寺です。

今年の流行語大賞候補が発表されましたが、「ラッスンゴレライ」が遠い昔のように思えてしまうのは自分だけでしょうか。
しかしこの流行語大賞、毎年毎年酷くなっていくような気もするのですが、「五郎丸ポーズ」に至っては(少なくとも)流行語ではないですね。よく分かりません。政治ネタに至っては安保関連しかないというのもすごいですね、しかも偏見だらけ。

爆買い/インバウンド/刀剣女子/ラブライバー/アゴクイ/ドラゲナイ/プロ彼女/ラッスンゴレライ/あったかいんだからぁ/はい、論破!/安心して下さい、穿いてますよ。/福山ロス(ましゃロス)/まいにち、修造!/火花/結果にコミットする/五郎丸ポーズ/トリプルスリー/1億総活躍社会/エンブレム/上級国民/白紙撤回/I AM KENJI/I am not ABE/粛々と/切れ目のない対応/存立危機事態/駆けつけ警護/国民の理解が深まっていない/レッテル貼り/テロに屈しない/早く質問しろよ/アベ政治を許さない/戦争法案/自民党、感じ悪いよね/シールズ(SEALDs)/とりま、廃案/大阪都構想/マイナンバー/下流老人/チャレンジ/オワハラ/スーパームーン/北陸新幹線/ドローン/ミニマリスト/ルーティン/モラハラ/フレネミー/サードウェーブコーヒー/おにぎらず

「エンブレム」と「上級国民」が入っていて笑えます。五輪エンブレム事件というのがありましたが、このニュースは当初、ネット上だけで騒がれたものでしたが、1週間くらい遅れてからテレビなどで後追いされたように記憶しています。
同じように、先週からネット上で話題になっているのが「ぱよぱよち〜ん事件」ですが、これもまた1週間くらい経つもののMXテレビで少し報道された程度で他の民放各社は一切報じておりません。よほど都合が悪いのか、なんにも報道がないというのがちょっと怖ろしいものを感じますね。ネットセキュリティの会社役員が個人情報を晒すぞと言って脅しをかけるという前代未聞の事件なんですがね。ぱよちん事件があと1ヵ月早かったらネット流行語大賞にはなったかもしれません。
改めて、マスゴミ各社の「報道しない自由」を体感してしまったなあと。

内容(講談社HPより)
【第61回江戸川乱歩賞受賞作】問題。悪い人は誰でしょう?――ビデオジャーナリストの伏見が住む鳴川市で、連続イタズラ事件が発生。現場には『生物の時間を始めます』『体育の時間を始めます』といったメッセージが置かれていた。そして、地元の名家出身の陶芸家が死亡する。そこにも、『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きが。イタズラ事件と陶芸家の殺人が同一犯という疑いが深まる。同じ頃、休業していた伏見のもとに仕事の依頼がある。かつて鳴川市で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画のカメラを任せたいという。十三年前、小学校の講堂で行われた教育界の重鎮・正木の講演の最中、教え子だった青年が客席から立ち上がり、小学生を含む300人の前で正木を刺殺。動機も背景も完全に黙秘したまま裁判で無期懲役となった。青年は判決に至る過程で一言、『これは道徳の問題なのです』とだけ語っていた。証言者の撮影を続けるうちに、過去と現在の事件との奇妙なリンクに絡め取られていくが、「ジャーナリズム」と「モラル」の狭間で、伏見はそれぞれの事件の真相に迫っていく。


曹源寺評価★★★★★
ミステリ作家への登竜門であります江戸川乱歩賞ですが、2015年は「道徳の時間」が受賞されまして7月に単行本化されました。
タイトルはなかなかにいいですね。「道徳」という単語、すでに学校の授業で「道徳の時間」はありませんし、日常では「モラル」という単語に置き換えられる機会が増えたことからあまり使われなくなったのかもしれません。
本書は半年間休業中のビデオジャーナリスト、伏見祐大が地元の陶芸家の自殺(?)や13年前の殺人事件の再検証映画の撮影などに巻き込まれつつも、それぞれの事件の真相に迫っていくというストーリーです。
ドキュメンタリー映画の撮影という役割を担う中で、話を持ちかけてきた女性の態度や行動に不審を抱き、彼女の行動の真意を問うていくという展開です。メディアを使った印象操作というテーマは、かつて野沢尚センセー(故人)が奇しくも同じ乱歩賞受賞作「破線のマリス」でテーマにされたものでもあります。
また、主人公の伏見は一匹狼的なジャーナリストですが、シニカルな台詞回しは初期の真保裕一センセー(小役人シリーズあたり)や藤原伊織センセー(この方も故人)の作品を髣髴とさせるものがあります。こういうの好きだわ〜。もうちょっと主人公の過去にも触れていたらもっと面白かったはずです。
序盤から中盤にかけては

謎がいかにも乱歩賞

で非常に面白く、展開もスピーディで勢いを感じました。
問題となるのは後半からラストにかけてなんですが、

こんな動機で人を殺すわきゃーねーだろ

というレベルですから、落差が激しくてとても残念でなりません。どうしてこうなったのか。本書を受賞作とした選考委員会の選評を読むと、これでも相当な修正が入ったということですが、そもそもがこんなんではちょっと殺人の動機としてどうなのよ、というレベルなんですが。
殺人の動機の弱さという意味では石持浅海センセーよりも酷いですわ。
今回は選考委員の間でも選評がかなり割れ、今野敏センセーや池井戸潤センセーが本作をまったく推していないわけでして、それもむべなるかなと思いました。





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posted by 曹源寺 at 13:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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