ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年01月08日

書評677 中村文則「あなたが消えた夜に」

こんにちは、曹源寺です。

FRBが利上げしたり、上海市場がサーキットブレーカーを発動したりと、新年早々から世界経済が大きく動き出そうとしています。東証株価も5日連続で下落という、よく考えると非常にヤバイ状況なわけですが、国内の一番の話題は「ベッキー、やっちまったな」というやつですから、日本という国はいかに呑気な国なのか本当によくわかりません。

さて、昨年から憤りを隠せない、新聞の軽減税率適用ですが、週刊ポストの記事が秀逸だったので勝手にリンク。
新聞の軽減税率 「水や電気はなぜ入らない」発言議員に拍手(週刊ポスト1/15、22号)
2017年4月に消費税が10%へと引き上げられる際、「新聞」にかけられる税率が8%に据え置かれる方針が決まった。12月15日の自民党税調小委員会では、新聞への軽減税率適用に強い異論が出た。時事通信、日経新聞で9年間の記者経験を持つ山下雄平参院議員が次のような発言をしている。
「これまで食料品の議論をしてきたのに、(新聞への適用は)あまりに突然で論理の飛躍があります。
新聞の購読料が低所得者にとって相対的により重い負担になるという説明が財務省からありましたが、それならばなぜ電気・ガス・水道の料金は入っていないのか。それを言い出してはキリがないから食料品に限定するという政治判断だったはず。
食品のドタバタに隠れて『新聞が政治力を使ってゴリ押しした』と国民に映れば、現場の記者たちが後ろ指を指されかねない。活字を対象にするというならば、食品と同じように議論して国民に理解を得てからでも遅くはないはずです」
この発言に賛同した議員は多かった。山下議員は本誌取材に、「私の発言後に、『よく言ってくれた』と拍手が起きましたし、握手を求めてきた議員もいた」と答えている。
当然ながら各紙の記者はこの小委員会を取材している。〈15日の小委員会(総会)には、当事者であるはずの野田毅最高顧問ら3人が欠席〉(毎日新聞、16日付)などの記事があることからもわかる。しかし、山下議員の発言を報じた新聞は皆無だった。
権力を監視する役割を担うジャーナリズムの立場で軽減税率の恩恵を享受する以上、異論も含めて掘り下げ、自ら検証する姿勢が求められる。それを無視したことに、「自分たちだけ減税されてよかった」という本音が透けて見えるのだ。


新聞の傲慢さをうまく表現しておられる記事だと思います。


内容(毎日新聞出版HPより)
著者初の警察小説。"コートの男"連続通り魔事件、戦慄すべき真相。 人間存在を根底から揺さぶるクライムノベル。狂気のミステリー!
ある町で発生した連続通り魔殺人事件。
所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋は目撃証言による"コートの男"を追う。
しかし事件は、さらなる悲劇の序章に過ぎなかった。
"コートの男"とは何者か。誰が、何のために人を殺すのか。
翻弄される男女の運命。神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。
いま世界が注目する人気作家。
デビューから13年、著者が初めて挑む警察小説。
人間存在を揺さぶる驚愕のミステリー!


曹源寺評価★★★★
芥川賞作家の中村文則センセーの著作は今まで読んだことがありませんでした。著者初の警察小説と言うことで、非常に興味を持ちましたので。
3部構成になっておりまして、第1部、第2部は登場人物がどんどん出てきて収拾がつかなくなりますが、それもそのはず、捜査はあっちへ行ったりこっちへ行ったりと迷走を続けます。所轄の中島と捜査一課の小橋がペアを組み、独自の捜査を展開していきますが、途中で別の班との内紛があったり、序列の壁に阻まれたり、とゴタゴタしているうちに別の事件が発生するという厄介な展開になります。
そんで第3部なんですが、なぜかいきなり独白から始まるのであります。この辺はさすがに芥川賞作家、人間の内面にずばずばと切り込んでいきます。登場人物が揃いも揃って不幸塗れで壊れかけているのですが、この独白でもつれた糸がようやくほぐれていきますので第3部で事件の真相が分かるという仕掛けになっています。
でも、頭の悪い自分にはやや難解でありました。もう一回読み直せば理解できるのかなあと思いますが、結局しないんですよね。。。
しかし、本書を読了してみて改めて考えたことがあります。それは
「警察小説とは何か」という命題です。
ただ単に、警察官が主人公なのが警察小説である、とするならば、本書もまたずばり警察小説と言えるでしょう。
しかしながら、本書は(以下、ネタバレにつき注意!

警察官が事件を解決しているようで、実はしていないという状況なわけです。いや、解決はしているのか。推理して行動して解決するというプロセスではない、と言うべきでしょう。第2部までの謎が、たとえば何かのきっかけで主人公がひらめいたり、解決の端緒をつかまえたりするのであれば分かるのですが、そんな解決の仕方ではないわけです。

本書は警察小説と呼びにくいですわぃ

これはあくまでも純文学の世界に位置すべきものであり、自分を罰して欲しい人たちが奇跡的に集まった事件の内面を鮮やかに抉り取ったゾクゾクする物語である、と思います。





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posted by 曹源寺 at 18:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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