ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年01月22日

書評681 竹内真「マルトク 特別協力者 警視庁公安部外事二課 ソトニ」

こんにちは、曹源寺です。

「センテンススプリング!」
言ってみたかっただけです。すみません。

さて、5人組のアイドルグループがどうなろうと知ったことではありませんが、この事件(あえて事件と言おう)は芸能界のみならず、マスゴミ界の闇をも浮き彫りにしたと言っても過言ではないですね。
アイドル=派遣社員または委託先個人企業
芸能プロダクション=派遣会社
テレビ局=発注元
であるわけですが、派遣会社の内紛がそもそもの原因であるにもかかわらず、その委託先である個人が謝罪に追い込まれるという事態、さらには、その派遣会社のほうが発注元よりも力関係では上にあるということ、さらに言うと、派遣会社と結託しているのが(広告)代理店(=ブローカー)で、そのブローカーが「視聴率」を武器にして(脅し文句にして)発注元に圧力をかけているという構図(いまだに独自の機械でごく少数のサンプリングで視聴率を調査している前時代的な手法に加え、その運営会社はブローカーが大株主)ですから、一般の企業の取引と比較した場合、「異常」という言葉以外には表現のしようがないのではないかと思います。
派遣会社のブラックな掟(移籍や独立は許されない、など)は多くの人が異常だと思っているわけですが、それと同等に異常だと思うのが、「使う側」がいつの間にか「使われてる側」になっているという状況だと思います。真っ当なタレントが正論を吐こうとすると発注元からそれを封じられるってどういうことよ。発注元が派遣会社に気を使ってどうするのよ。
現代の置き屋、女郎部屋の実態が少し垣間見えた事件ということで、これを機会に多少なりとも浄化されて欲しいと思う今日この頃です。

追記
「ラスボス」こと小林幸子のように、事務所とすったもんだしてもネットの活用で見事に復活を遂げたタレントが今後も出てきますように。

内容(講談社HPより)
戦後70年の節目に、諜報ミステリーの新星が放つ渾身作。東京で元警察庁長官が狙撃される。一方、ニューヨークでは、日本総領事館に亡命を求めやってきた北朝鮮外交官が暗殺される。一連の事件の背後には、終戦時、日本に見捨てられ、彼の地に取り残された母子の、壮絶な運命が垣間見える――。
戦後日本の官僚組織に打ち捨てられた人々の苦悩。そして北朝鮮の「体制崩壊後」を睨み、利権を狙う政財官。国民の命をかえりみない無情な奴らに、はぐれ者の元公安スパイハンターが挑む。
あの戦争の悲劇を思い、今後の日朝関係をも暗示する、必読の書。


曹源寺評価★★★★
背乗り」で一躍注目されるようになった現役TBSキャスターの竹内センセーが、小説第2弾として放ったのはやはり諜報モノでありました。
背乗りなんて単語、結構タブーに近いんじゃないかと思っていましたが、公安モノなら普通に許されるんですね。
その公安・諜報モノですが、個人的には麻生幾センセーの「ZERO」の衝撃が強すぎて、アレを超える作品はなかなかお眼にかかれないのです。ただ、竹内センセーの作品は総じて読みやすいし、複雑な糸を少しずつ解きほぐしていくような書き味はなかなかのリーダビリティだと思います。間違いなく文章力は大幅にアップしていますね。
本書は第1弾「背乗り」で登場したスパイハンターの筒見慶太郎が再び登場します。世田谷区の小学校で運動会を観覧していた元警察庁長官が銃撃され死亡。一方、ニューヨークでは北朝鮮の外交官が日本への亡命を希望しつつもその直後に暗殺。事件を追う外事二課の朝倉と島本の二人に対し、筒見もこれを追うという展開です。
事件は複雑ですが、絡み合っている糸をほぐしていくと根っこはつながっていましたよ、と。その根っこが何とも非現実的ではありますが、その背景は理解できなくもありません。
本書のキモは「北朝鮮が崩壊したら大変だから、独裁から集団指導体制へソフトランディングさせよう」とする周辺各国の思惑が、もしかしたら本当に本書のようなストーリーとして現実化するのではないか、というリアルな感想が持てる、という点にあるのかもしれません。
それと、戦後の半島の情勢(朝鮮引き揚げの件など)についても触れられていますが、この辺について公安モノで触れている小説にはあまり出会ったことがありませんので、ちょっと新鮮でした。
こうしたいくつかの点において、竹内センセーの作品は

遠まわしですがタブーに斬り込んでいるのではないか

という印象を持ちます。
もっとやってほしいですね。次回作にも期待します。





いつもご覧いただき、ありがとうございます。
たまにはクリックしていただけるとうれしいです。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 14:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/432866256
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
最近の記事
カテゴリ
過去ログ
検索
 
最近のコメント
タグクラウド
<< 2017年05月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
リンク集