ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年03月15日

書評696 木内一裕「不愉快犯」

こんにちは、曹源寺です。

週刊文春の度重なるスクープで、多くの屍があちこちに転がる惨状となっております。今月は読売巨人軍というこれまた大物が賭博事件がらみで大賑わいですね。
系列の日本テレビではこの巨人軍の報道がかなり控えめですが、他局はそこそこ報じています。こうなりゃ読売vs産経で大いに戦っていただきたいと思います。
それにしてもクロスメディアの弊害、本当にひどいものです。欧米では禁止されているこのマスメディアのグループ化は、日本でもきちんと法制化して強制的に解体してしまったほうが国益に適うと思います。

その日本テレビは一昨日の報道で、安倍首相の発言を捻じ曲げたとして多くのクレームが寄せられることとなりました。

安倍晋三首相の発言に関する字幕に誤り 日本テレビが謝罪(3/14 Livedoor NEWS)

13日、「GOing! Sports&News」 (日本テレビ系)で、同日放送の「NNNストレイトニュース」内において安倍晋三首相の発言に誤った字幕スーパーをつけたとして謝罪した
「NNNストレイトニュース」では、この日開催された第83回自由民主党大会の模様が、現地からのレポートも交えて伝えられた。VTRでの安倍首相の発言は、「選挙のためだったら何でもする!誰とでも組む! こんな無責任な勢力にわたしたちは負けるわけにはいかないんです!」というものだった。
続けて安倍首相は「今年の戦いは政治に国民に、責任を持つ。自民党・公明党連立政権対、こうした民主党・共産党、民共との勢力との戦いになります」とも述べており、先の発言は「選挙のためだったら誰とでも組む政党」を批判したものとみられる。
ところがこのとき、画面右上のテロップでは「安倍首相“選挙のためだったら何でもする”」と表示され、あたかも安倍首相が「選挙のためだったら何でもする」と意思表示したかのようにとれる内容となっていた。

(以下、略)

これって普通に捏造です。かつてはTBSにおいても石原慎太郎東京都知事(当時)の韓国併合に関する発言が捻じ曲げられた過去があります(石原発言捏造テロップ事件)。TBSではプロデューサーが訴えられ、後に和解が成立していますが、12年前と全く変わっていない、自浄作用が働いていないことが示されたことになります。
高市総務相の「停波発言」に反発したジャーナリスト諸君は、この件についてもきちんとコメントするべきですね。

内容(講談社HPより)
著名なミステリー作家、成宮彰一郎の妻、瑠璃子が行方不明となった。事件性が高いと見た三鷹警察署の新米刑事ノボルは、先輩刑事の佐藤とともに、捜査を開始。次々に容疑者候補が浮かぶが、その過程で警視庁本部の組対四課や捜査一課も事件に関与してくる。
「どうせなら死んじゃっててくんないかなぁ……」
不愉快な言動を繰り返す夫・成宮の真意は――。
完全犯罪を「完全」に描いた、前代未聞の傑作ミステリー。


曹源寺評価★★★★
「藁の盾」でデビューした木内センセーですが、実は初読です。センセーはもともと「きうちかずひろ」として漫画原作者、映画監督なと幅広くご活躍で、小説デビューは2004年だそうです。あの「ビーバップハイスクール」の原作者としてのほうが著名ですね。
そんな木内センセーの警察小説です。警察小説ですが、ある意味倒叙型小説でもあり、ミステリでもあります。
裁判の「一事不再理」の原則を逆手に取った犯罪。ミステリ作家の成宮彰一郎の「不愉快」な言動の意味するところは一体何か。タイトルの通り、非常に不愉快な容疑者が登場します。警察に挑戦状を叩きつけ、検察と裁判所にも高笑いする容疑者を新人刑事が追い詰めていくという、なかなかにドラマな展開を見せてくれます。
一事不再理とは、一度裁判にて判決を確定させた事件については、再び裁判を行ってはいけないという原理原則でありまして、これを逆手に取ると、一度ロジックが破綻してしまえば同じ事件で刑事裁判をやり直すことができなくなるわけで、裁判中に新たな証拠が見つかったり、検察の論理構成に綻びが見られたりすると、大抵は不起訴か公訴自体棄却となるわけです。本書では容疑者が(以下、多少のネタバレ)



公訴棄却ではなく、あえて無罪判決を欲して審理続行したうえで正式に無罪となります。なるほど、

これにて完全犯罪の成立、です。

一度無罪になってしまえば、それはそれで完全犯罪ということになります。理屈としてはその通り、よくできていますね。この不愉快な容疑者(本当にむかつきます)を最後は警察が追い詰めていくわけですが、ラストの展開はやや強引かなと思いつつ、実は見事はロジックを組み立てていることがわかります。これをていねいに組み立てた木内センセーの筆力には頭が下がります。

本書はセリフ回しが多く、すらすら読めてしまうのですが、個人的にはもうちょと骨太な内容でも良かったのではないかと思いました。
あの大御所、横山秀夫センセーは時効の壁に挑んだ「第三の時効」という隠れたヒット作品を世に出しておられます。一事不再理の壁を破る本書も、書き様によっては名作となったのではないかと思ってしまうのですが、どうなんでしょう。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 16:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/434961320
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
最近の記事
カテゴリ
過去ログ
検索
 
最近のコメント
タグクラウド
<< 2017年05月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
リンク集