ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年03月25日

書評699 雫井脩介「犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼」

こんにちは、曹源寺です。

桜が咲き始めたり、プロ野球が開幕したり、子どもが終業式だったりと、春を感じさせる行事が続きますね。来週後半からは気温も上がるそうですので、いよいよ春本番です!

さて、ちょっと興味深いニュースが。
人工知能がヒトラー礼賛 マイクロソフト実験中止(共同通信3/25)
【ニューヨーク共同】米IT大手マイクロソフトは24日、インターネット上で一般人らと会話をしながら発達する人工知能(AI)の実験を中止したと明らかにした。不適切な受け答えを教え込まれたため「ヒトラーは間違っていない」といった発言をするようになったという。
IT大手は端末の音声検索機能などを向上させるため、利用者とのやりとりから学ぶAIの開発を競い合っている。ただ、不当な思想や差別発言を倫理的に判別するには至っていないようだ。
マイクロソフトが開発したAIは「Tay(テイ)」と名付けられ、短文投稿サイトのツイッターに23日、テイのアカウントで登場した。


マジか!?
これが本当ならば、人工知能に関しては「インプットされる情報次第では暴走する可能性がある」ということがでしょうか。
リアルなターミネーターの世界ですわ。ちょうど息子にターミネーターの1と2を観せていたので、『スカイネット計画』を想起させてくれるこのニュースにちょっとビビりましたよ。デデンデンデデン
別の観点からは「子どもにネットでの会話をさせてはいけない」という結論にもなりはしませんかね。『うそはうそであると見抜けない人は(掲示板を使うのは難しい)』という名言を残したひろゆきの言葉の正しさが証明されたのかもしれませんね。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(双葉社HPより)
神奈川県警が劇場型捜査を展開した「バッドマン事件」から半年。巻島史彦警視は、誘拐事件の捜査を任された。和菓子メーカーの社長と息子が拉致監禁され、後日社長のみが解放される。社長と協力して捜査態勢を敷く巻島だったが、裏では犯人側の真の計画が進行していた――。知恵の回る犯人との緊迫の攻防! 単行本文庫合わせて135万部突破の大ヒット作、待望の続編!!


曹源寺評価★★★★
単発だと思っていた作品が続編として帰ってきたときのうれしさはハンパないですね。2004年発刊の『犯人に告ぐ』はミリオンセラーにして文春1位、このミス8位、大藪春彦賞受賞、豊川悦史主演で映画化という華麗な経歴で文壇の話題を掻っ攫った作品です。あれから12年、巻島が帰ってきたということで大興奮しながら読みました。
振り込め詐欺事件で警察の摘発を間一髪免れた兄弟とそのリーダー淡野。一線を越えてしまった兄弟たちが次に計画したのは誘拐でありました。和菓子メーカー社長とその子息を誘拐して、身代金を奪取する驚くべき計画。「大日本誘拐団」を名乗り、日本の誘拐ビジネスを定着させようとするその驚くべき内容。
一方、巻島警視は前作の「バッドマン事件」以降、神奈川県警に復帰して刑事特別捜査隊を率いる立場にいる。刑事特別捜査隊とは捜査一課の事案も二課の事案も必要に応じて何でも捜査に加わるいわば遊軍だが、実績を積み重ねることによって現場からも本部長からも信頼が厚い。
この兄弟+淡野と巻島が対決するわけですが、最初の描写が犯人側から始まっていて、しかもこいつの境遇には少し同情してしまうものですから、犯罪者側に肩入れしてしまう自分がいるわけですよ。それを思いとどまらせるのはリーダー淡野の非人間性です。これは読んでのお楽しみということで。
しかし、誘拐というのはそれだけで鬼畜の所業であるというのが日本の社会通念でありまして、誘拐モノの小説も大抵は胸糞悪い展開が多いのですが、本書はこれまでの誘拐事件の不完全性を巧みに突いていて、通信手段の多様化や監視カメラの網羅性、科学捜査の進化などを屁とも思わない新たな犯罪可能性を示唆しているという点において、非常に画期的であると言わざるを得ません。(以下、ほんのりネタバレ)


ストックホルム症候群と振り込め詐欺を足すと誘拐はビジネスになる、という何とも画期的な犯罪。もしかしたらすでにこの手の犯罪は横行しているのかもしれません。
余談ですが、グリ・森事件でグリコの江崎社長が誘拐されました。社長は監禁場所から自力で脱出したという何とも不可解な経緯がありましたので、江崎社長は裏取引に応じたのではないかというまことしやかな噂も流れました。真相は結局藪の中、であります。

雫井センセーの作品のなかでは本書シリーズが一番好きです(といってもシリーズモノを書かないお人でありますが)。ラストは

第3弾があるぞと匂わせているというか明言している

に等しい終わらせ方でありまして、次回作にも大いに期待しましょう。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 17:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
最近の記事
カテゴリ
過去ログ
検索
 
最近のコメント
書評802 呉勝浩「白い衝動」 by 本が好き!運営担当 (05/17)
書評785 東野圭吾「人魚の眠る家」 by 藍色 (04/05)
書評754 佐藤弘幸「税金亡命」 by 曹源寺 (02/01)
書評777 垣根涼介「室町無頼」 by 本が好き!運営担当 (02/01)
書評754 佐藤弘幸「税金亡命」 by 佐藤弘幸 (11/17)
タグクラウド
<< 2017年08月 >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
リンク集