ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年05月17日

書評712 井上真偽「その可能性はすでに考えた」

こんにちは、曹源寺です。

五輪招致を巡るスキャンダルが浮上しまして、欧州では大騒ぎになっていますね。国会でも民進党(台湾とは違う)が追及の構えを見せましたが、なぜか電通の名前が伏せられて「D社」になっていましたよ、と。
マスゴミもMXテレビを除いて電通の名前を総スルーというなんとも恐ろしい状態になっていました。

これ、笑い話じゃなくて本当に恐ろしいですね。申し合わせたかのような総スルー。NHKさえもスルー。スルーする意味が分からん。報道の自由を阻害しているのは電通と記者クラブであることが良くわかる事例です。
安倍政権のせいにしている岸井ヒゲも何とか言って欲しいですね。

また岸井ヒゲの話題になってしまったwww

これで本当に疑惑→逮捕・起訴→五輪返上、とかなったら誰が責任を取るんですかね。竹田家のお方に責任が及ぶ前にスケープゴートが出てきそうですが、電通バッシングが酷くなったら見ものですね。

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内容(講談社HPより)
かつて、カルト宗教団体が首を斬り落とす集団自殺を行った。その十数年後、唯一の生き残りの少女は事件の謎を解くために、青髪の探偵・上笠丞と相棒のフーリンのもとを訪れる。彼女の中に眠る、不可思議な記憶。それは、ともに暮らした少年が首を斬り落とされながらも、少女の命を守るため、彼女を抱きかかえ運んだ、というものだった。首なし聖人の伝説を彷彿とさせる、その奇蹟の正体とは…!?探偵は、奇蹟がこの世に存在することを証明するため、すべてのトリックが不成立であることを立証する!!


曹源寺評価★★★★★
井上真偽と書いて「いのうえまぎ」と読むそうです。東大卒、二作目にして「このミス」14位、「文春ミステリー」15位にランクインした井上真偽センセーですが、初読であります。ラノベのような表紙にぎっしり詰まった上下2段組の本書は、中年のオッサンにはややハードルが高めでありますが、異色作という評判を聞きつけまして読んでみることにしました。
うーん、何というか独特の世界ですね。麻耶雄嵩センセーをさらに極端にしたような感じで。
青色の髪にオッドアイ、赤いコートを着ている探偵の上笠(うえおろ)丞が、ありとあらゆるトリックの可能性を潰しにかかり、だから結論は「奇蹟」であるとする推理を展開していきます。
本書の評価された点は、「たとえ1%でも可能性が生じる仮説をすべて否定することができれば、残ったものが真実になる」という、今までにない推理を成立させてしまったことにあります。
え、そんなことが可能なの?と普通は思います。なぜなら、たとえ0.1%でも可能性が残っていればそれは「ありうる」という結論になるわけですから、すべての可能性を否定するという作業自体が無意味というか無謀というか、ないものを証明しようとする「悪魔の証明」的な話でもあります。普通に考えれば、悪魔はいないという証明を完璧にこなすことができる人はいないわけでして、本書の取り組みがドン・キホーテであることは容易に想像つくのですが、それを作品として仕上げてしまったのは果たしてどうなのか、意見が分かれそうです。個人的には

やっぱりちょっと納得いかない

ですわ。
よく読めば、「確かな前提条件」と「分かっていない不確定条件」があって、「確かな前提条件」が本当に正しいのか、ここは疑ってはいけないのか、この分別がよく分からないのもあります。ですから、「これって疑い出したらきりがないんじゃね?」と考え始めてしまい、収拾つかなくなります。
本書は登場人物からしてすでに非現実的で、ストーリーもリアリティがほとんど感じられない世界ですが、これをもってつまらないと断じるつもりはありません。むしろ、本格ミステリの路線が好きな人には向いているのかもしれません。個人的には、、、うーん、ストーリーが粗過ぎるかなあとは思います。推理対決も唐突感が半端ないですね。
とはいえ、真理を見極めるための手法として「考えうるすべての可能性を否定できれば、残ったものが正しい」という推理手法をミステリとして確立(!?)した功績はすばらしい、と思うのであります。それに、タイトルもいいですね。文中にも数回、このフレーズは登場してきますが、ちょっとした決めゼリフになっているのもまた、良いんですわ。次回作に期待かな。





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posted by 曹源寺 at 16:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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