ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年05月27日

書評715 横関大「炎上チャンピオン」

こんにちは、曹源寺です。

伊勢志摩サミット真っ只中で、安倍首相が消費税引き上げの延期を示唆されました。グッジョブ!
G7の席上で「世界はリーマン・ショック前に似てきている」と発言して合意を得るという裏技を駆使して、財務省を黙らせるというなんとも賢いやり方でした。

一部の識者などからは「リーマン・ショック前って何だよ。似てねえよ。何血迷ってんだ安倍は」と言われてましたが、これは完全にギミックですわ。

「あー、増税したいけど世界経済が不安定だわ〜。G7のみなさんもそう言っているから止めておいたほうがいいなあ」

と見事にG7をダシにして延期を決めたと。
まあ、実際にはこうでもしないとデフレ脱却などできやしないでしょう。これで憂いをなくした政府はとっとと財政政策も加速させてやってくださいな。

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内容(講談社HPより)
「もう一度、夢を見させてやる」エンタメが禁止された世界で、一人の男が立ち上がった。流小次郎。伝説のチャンピオン・ファイヤー武蔵のライバルレスラーが、立てこもり事件の犯人として捕まった。世間のバッシングを受けてファイヤーが下した決断は『プロレスの自粛』だった。数年後、元プロレスラーたちが何者かに襲われ、瀕死の重傷に。プロレスはいよいよ窮地に追いやられるが――


曹源寺評価★★★★
プロレスのなくなった日本。あまり想像できませんが、実際にリアル社会でもプロレスはかつての勢いを完全に失っていて、我々40〜50代の記憶の中にだけ美しい思い出として残っているような世界になってしまっています。そんな世界で巻き起こる騒動が本書のテーマであります。

コンビニに立て篭もったとして懲役10年の実刑判決を受けた元プロレスラーの流小次郎が、刑期満了で出所する。元プロレス雑誌編集者の前園は偶然、小次郎に接近する。一方で、小次郎のライバルであるファイヤー武蔵は米国で成功していたが帰国する。話の軸はこの流小次郎とファイヤー武蔵の2人を中心に展開していきますが、コンビニ立て篭もり事件の真相を探る動きとは別に、児童の誘拐事件が発生したり元プロレスラーが次々と襲われるという事件も発生したりして、慌しいです。それぞれの事件は何の脈絡もありませんが、後半になるにしたがってそれぞれが有機的に結合していきますので、すっきりします。
そしてラスト。横関センセーの前々作「スマイルメーカー」ではラストにちょっとやられた感が強かったですが、本書もまた違う意味で

やられた!感がありました。

リアル社会を重ね合わせてみれば、プロレスの復権はあるのか?という問いかけが聴こえてくる作品です。
横関大センセーは乱歩賞作家には珍しい軽めの筆致でスピーディに展開する作品が多いですが、本書もまたところどころにギャグを散りばめながらぐいぐいと読ませてくれる作品に仕上げていただきました。
「プロレス」という単語がいまや「シナリオ」に近い意味で使われているように、プロレスは肉体を駆使したドラマであります。しかし、どこからどこまでがシナリオなのか、観客には分かりにくいところが面白いわけでして、本書もまたギミックなのかリアルなのか分からない!

分からせないという筆致がまた巧みなわけですよ。

この「やられた感」はそういう意味ではどんでん返しとは微妙に違うニュアンスがあります。なるほど、またしても横関センセーにやられてしまいました。
それにしても、米国に逃げっぱなしの真犯人は放りっぱなしですか?まあそれも良しとすべきか。
そういえば、プロレスをテーマにしたミステリといえば、不知火京介センセーの「マッチメイク」や永瀬隼介センセーの「ポリスマン」などがありましたが、本書はマッチメイクほどミステリではなく、ポリスマンほどグッとくる格闘シーンがあるわけではありません。しかし、本書はまた違う味わいがあります。帯にある「涙を拭く準備はいいか?」は大げさですが、もう一度プロレスを観たくなる気持ちにさせてくれることは間違いないですね。







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posted by 曹源寺 at 14:54| Comment(0) | TrackBack(0) | や行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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