ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年06月24日

書評723 永瀬隼介「総理に告ぐ」

こんにちは、曹源寺です。

本日、英国のEU残留を問う国民投票が開票され、10万票以上の差をつけて「残留」を「離脱」が上回りました。英国のEU離脱が現実的になったことを受けて、マーケットが大荒れの展開となっています。
株式市場爆下げ、為替市場爆上げ、中国株式死亡フラグ、ユーロもアウト、とまあとんでもない展開になっていますが、来週以降の情勢から目が離せなくなってしまいました。
FXとかやっていた人のなかには乱高下で死亡フラグ立った人もいるかもしれません。お願いですから自殺志願者は発作的に駅のホームから飛び降りることのないよう切にお願い致します。

しかし、ここでもマスゴミによる「報道しない自由」が発揮されていることにお気づきでしょうかみなさま。

英国は「なぜ、離脱の是非を問うたのか?」という疑問に対して、テレビは、あるいは大新聞は真正面から報じていましたか?自分の知る限り、この「なぜ」の部分についてはあまり報道されていないと思います。
英国の本音は「国体の護持」です。国体とは国境だけでなく、通貨発行権なども含んだ「国家としてのかたち」であり、移民問題などもここに含まれます。国家のかたちがこれ以上融解しないように歯止めをかけたいということです。そして深刻な問題になっていたのが移民問題です。EU圏内の人の移動がどんどん激しくなってしまい、ドイツや英国への流入が激化してしまったことが国民の危機感を増幅させてしまったことは疑いの余地がありません。

こうした問題を浮き彫りにしているのは外国メディアと国内ネットメディアだけです。朝日新聞は酷くて、こんな記事を出していました。
英国で何が起きているのか 社会に亀裂・支持分極化(朝日新聞6/23)
(前略)
「すっかりだまされた」。家具製造会社のマリエッタ・キング社長(69)は憤る。前回75年の国民投票の際は「自由市場への参入は英国の国益になる」と考えた。だが「実際は、EUが貿易や農業などあらゆる分野の規制で英国をがんじがらめにした」という。そして、その規制について「決められるのは、EU本部があるブリュッセルでロビー活動ができる大企業の意向だけ。中小企業や庶民は不利益を被っている」と不満を口にした。
「私たちは英国の未来のために、主権を取り戻す。今回の投票は、かつての誤った選択を改めるチャンスなのです」。隣にいた初老の男性もうなずいた。
遠藤さんは「確かに、前回の国民投票時とは比較にならないほどEUの介入は増えた。自国のことは自分たちで決めたいといういらだちは理解できる」と話す。一方で「グローバル化が急速に進行する世界で、EU全体でまとまることで各国の国益を守り、国際的な影響力を行使できるという恩恵に気づけていないのでは」と疑問を呈した。

(以上)

>>実際は、EUが貿易や農業などあらゆる分野の規制で英国をがんじがらめにした

えっ?そうなの?

>>グローバル化が急速に進行する世界で、EU全体でまとまることで各国の国益を守り、国際的な影響力を行使できるという恩恵に気づけていないのでは」と疑問を呈した。

えっ?何これ?

ちょっと空いた口がふさがらないんですが。
酷いなあ、この記事。EUの理念と現実をちっとも理解していないか、あるいは捻じ曲げているかのどちらかでしょう。
各国間の規制を取っ払って貿易をスムーズにすることが期待されて始まったのがEECとかECであって、EUはその延長線上にいるはずですが今は規制だらけですかそうですか(棒
それに、EUとしてまとまることと各国の国益が守られることは全く逆の話であって、同時に成立するものではないでしょうに。
絶対、この記者の妄想ですわこれ。リアルにこんな話を信じていたら新聞記者としてというか社会人としても失格ではないかと思うレベルで酷い記事でした。

こんな記事を書いているのは裏に移民問題などを探られたくない腹があるからではないかと本気で疑うレベルです。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(KADOKAWA HPより)
元与党幹事長の回顧録のライターを引き受けた小林は、過去のスキャンダルを告白させようと試みる。しかし語られたのは、戦争のできる国家へと舵を切る現総理大臣の、知ってはいけない大スキャンダルだった――。
ノンフィクションライターの小林は、脳梗塞で療養中の元与党幹事長・佐竹の回顧録のゴーストライターを引き受ける。売れないライターからの一発逆転を狙い、小林は過去のスキャンダルを告白させようと試みるが、国の行く末を憂う佐竹が語り出したのは、戦争のできる国家へと大きく舵を切る現総理大臣のスキャンダルだった。しかし、佐竹の告解が終わった刹那、公安警察が現れて乱闘になり、脳梗塞を再発した佐竹は死亡してしまう。佐竹の告白と乱闘の一部始終が録音されたレコーダーを手に、現場から命からがら逃げ出した小林は、旧知の警察官の助けを得て、マスコミを巻き込んだ大勝負に出るが――。


曹源寺評価★★★★
永瀬センセーはごくまれにですが政治ネタを使って書き上げた作品を出してこられます。「カミカゼ」や「白い疵 英雄の死」などがそれに当たりますが、本書はかなりリアリティを追求しているのか、「自由民衆党」とか「安生内閣」とかきわどいところを狙ってきています。
現総理大臣の倉石喜一郎は安生内閣を継承して一気に政権を握ったカリスマで、高い支持率をバックにナショナリズムを煽る政策を採り続けてきた。その倉石のスキャンダルを握ってしまったフリーライターを中心に、政治と警察とジャーナリズムがにわかに動き出す、というのが話の骨子にあります。
永瀬センセーのお決まりパターンですが、主人公=弱い、相棒=強すぎ、助成=気が強い、という登場人物のプロットは本書もまた踏襲されておりまして、

もうちょっと違うプロットも考えてほしいなぁ

と思う今日この頃です。
その弱気な主人公、小林春樹は売れないジャーナリストでゴーストライターの仕事をこなすなかで元与党幹事長の佐竹一馬の回顧録を書く仕事を得る。小林はただのインタビューで終わらせることなく、過去のスキャンダルを告解させようとしたが、出てきた内容は現総理大臣のスキャンダルだった。そこに乱入してきた公安ともみ合いになり、佐竹とその秘書が死亡。音声を持ち出して逃亡に成功した小林は過去に世話になった警察官を頼る。
とまあ、国家権力からの逃亡だけなら「ゴールデンスランバー」ですが、本書はここから「国家との対決」にまで進んでいきますので米映画「大統領の陰謀」みたいな展開です。
弱っちい小林ですが、旧知の警察官に頼ったものの(ここからネタバレ)

手打ちにされそうになった(というか手打ちになった)ため、命は助かりますがここから逆襲が始まります。
最後はハッピーエンドというか、まあ納得の範囲内ですので楽しく読むことができましたが、正直言うともっと荒れた展開を期待してしまいましたので、多少の拍子抜け感はありましたが、あまり荒れすぎると収まりがつかないのも分かりますのでこれはしょうがないかと。
ただ、永瀬センセーは「カミカゼ」で愛国心丸出しの作品を上梓されたあと、「白い疵 英雄の死」で熱狂する大衆に釘を刺す場面を描き、本書では「経済的徴兵制」を敷こうとする政権を打倒する話を出す、というなんとも両極端な展開で、作家センセーにしては珍しい中道を行くお方なのかなあと思っています。左巻きが多い業界ですから中道もまた多少はやりにくいのかもしれませんが、ぜひこの路線で両極を描いて欲しいものです。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 15:24| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/439354662
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
最近の記事
カテゴリ
過去ログ
検索
 
最近のコメント
タグクラウド
<< 2017年05月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
リンク集