ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年07月29日

書評731 池井戸潤「陸王」

こんにちは、曹源寺です。

東京都知事選挙はいよいよ明後日を投票日に控え、各候補者も最後の追い込みにかかっています。
今回は21人の候補者が立候補していまして、事実上上位(って何やねん。誰が決めるねん)3候補の決戦と報道されていますが、その他18人の候補者が共通して主張しているのが「どうか投票所に行ってください」というやつです。

彼らには組織票という名のバックアップがありませんので、頼りになるのが4割とも言われる浮動票なわけです。4割でも400万票ありますから、総取りすれば(理論上は)知事になれるのです。

都の選管によると、前回の投票率は46.14%、前々回は62.60%、さらにその前は57.80%となっており、都知事選の投票率はだいたい15%くらいのぶれ幅があるようですので、100万票以上の死に票が生まれたり生まれなかったりということが分かります。まあ都民は気ままであるということの証左ですね。

個人的にはこの投票に行ったり行かなかったりする150万人の行動に非常に興味があります。常に投票率が安定している高齢層ではないですね、間違いなく若年層です。この若年層がどれだけ投票行動するのか、それによってどれだけ票数に影響を与えるのか、注目したいと思います。
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内容(集英社HPより)
走れ、勝利を信じろ。
足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。
埼玉県行田市にある「こはぜ屋」は、百年の歴史を有する老舗足袋業者だ。といっても、その実態は従業員二十名の零細企業で、業績はジリ貧。社長の宮沢は、銀行から融資を引き出すのにも苦労する日々を送っていた。そんなある日、宮沢はふとしたことから新たな事業計画を思いつく。長年培ってきた足袋業者のノウハウを生かしたランニングシューズを開発してはどうか。
社内にプロジェクトチームを立ち上げ、開発に着手する宮沢。しかし、その前には様々な障壁が立ちはだかる。資金難、素材探し、困難を極めるソール(靴底)開発、大手シューズメーカーの妨害――。
チームワーク、ものづくりへの情熱、そして仲間との熱い結びつきで難局に立ち向かっていく零細企業・こはぜ屋。はたして、彼らに未来はあるのか?


曹源寺評価★★★★★
企業小説を書かせたらもはや右に出る者なし、の池井戸センセーの最新刊は、埼玉県行田市に本社を置く零細の足袋メーカー「こはぜ足袋」が新たなビジネスに果敢にチャレンジする感動のストーリーであります。
池井戸小説の定番といえば、
・中小零細企業である
・経理担当の番頭がいる
・大手企業が妨害する
・資金繰りに窮する
・みんなの努力で開発に成功する
・一発逆転からのハッピーエンド
という王道を行くストーリーがもはや定番と化していますが、本書もまたこれに倣うものであります。
マンネリと言えばそれまでですが、読者はこれを求めています。

だから、これでいいんです。面白いですから。

困難が待ち構えていてもチャレンジする姿が見たいのです。
艱難辛苦の果てにあるハッピーなゴールが見たいのです。
主人公とともに滂沱の涙を流したいのです。

これまでの作品と微妙に異なるのは、主人公の元にやってくる様々な「縁」が微妙にリアルだったりすることです。たとえば、取引銀行。古い体質の地方銀行をメーンバンクとするこはぜ足袋は当初、非常に理解のある担当者がいましたが、支店長とぶつかった挙句に異動、さらには退職してしまいます。後任の担当者はきわめてクールで何を考えているのか良くわからない。しかし、、、
また、ソールの素材を探していた主人公宮沢の元に届いた情報で、特許を保有する男がいたが、過去に倒産歴があり、様々な名目でお金をふっかけるクセのある男だった。しかし、、、
さらに(ややネタバレ)、外資系アパレルの社長との丁々発止のやりとりや、メーンバンク支店長の言葉、などなど、小説というよりも現実の企業経営の場面をリアルに見せているかのような描写に、これまでの作品とは一線を画すリアリティを描いてくれています。
実はこの小説には実在するモデルがありまして、行田市の「きねや足袋」という企業です。本当にランニング分野に参入していて、ランニング足袋「MUTEKI」というネーミングで販売されています。ランニングシューズとはちょっと違いますが、足袋とシューズの中間のようなMUTEKI、ちょっと履いてみたくなりました。







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posted by 曹源寺 at 15:31| Comment(1) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
ブックリスタの見村と申します。

書評拝見しております。
ぜひ3月に一般公開しました当社の書評サイトにご寄稿をお願いできないかと思い、ご連絡した次第です。

https://shimirubon.jp/

コンセプトは、「本も読書人も、オモシロイ」です。
先行する書評サイトと違うのは、本のレビューよりも、オモシロイ読書人との出合いに力を入れている点です。

もしご覧頂いて興味を持って頂けましたら、原稿料等の詳細をお送り致します。
ご検討よろしくお願い致します。
Posted by 見村和孝 at 2016年08月02日 16:07
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