ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年09月30日

書評747 伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ」

こんにちは、曹源寺です。

28日の話ですが、上毛新聞という地方紙が誤報をやらかしてしまったことがありました。
【おわび】「格闘ゲーム優勝」は虚偽(9/28上毛新聞)
27日に掲載した「仏で格闘ゲーム世界大会」の記事で、群馬県太田市臨時職員の男性(23)が渡仏して大会に出場した事実はなく、格闘ゲーム部門で優勝したとする報道は事実無根だったことが分かりました。読者の皆さまに深くおわび申し上げます。(以下、略)

経緯としては(コピペですが)、
(1)同僚に格闘ゲームの世界大会に選抜されたと自慢する
(2)フランスの大会に参加するという名目で上司に休みを申請(休む日は連休になるように選んでいた)
(3)ウェブ上にある海外の写真をパクってFacebookに投稿することで海外にいるように偽装工作を図る
(4)出社後、「優勝した」と自慢する
(5)上司が賞金を使っての祝賀会&記者会見を勧める
(6)記者会見の資料を自分で用意し「300万円を放棄して次のシード権を選びました」と発表
(7)虚言疑惑が浮上するも「ゲームセンターレベルの小さな大会だった。携帯は壊れたので証拠はない」と話す
(8)嘘を認める


本人の知らぬ間に話が大きくなってしまい、引くに引けない状況になってしまったという感じですね。
まあ、こんな嘘までついて長期休暇を取ろうとしたクズはとっとと処分されてください。

問題はマスゴミのほうですね。いくら市役所の公式なリリースとはいえ、賞金300万円の大会って結構大きいはずなんですが、現地への確認も一切しないまま写真入で記事を垂れ流すということが許されているということのほうが気になります。
しかも、上毛新聞だけでなく、朝日新聞もこれを転載しているというから驚きです。

いまはこういう「何の裏も取らない記事」=「下手すりゃ捏造記事」が審査校閲をスルーして本紙に載ってしまう時代なんですかね。時代じゃなくて昔からの慣習だったらすごいですね。いや、むしろそうなのかもしれないですね。

こういうのも何のお咎めもなく、運が悪かったね〜で済まされるなら新聞社に未来はないですね。ご愁傷様でした。

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内容(祥伝社HPより)
陽気なギャング一味の天才スリ久遠は、消えたアイドル宝島沙耶を追う火尻を、暴漢から救う。だが彼は、事件被害者のプライバシーをもネタにするハイエナ記者だった。正体に気づかれたギャングたちの身辺で、当たり屋、痴漢冤罪などのトラブルが頻発。蛇蝎のごとき強敵の不気味な連続攻撃で、人間嘘発見器成瀬ら面々は断崖に追いつめられた! 必死に火尻の急所を探る四人組に、やがて絶体絶命のカウントダウンが! 人気シリーズ、九年ぶりの最新作!


曹源寺評価★★★★★
実に9年ぶりだそうです。「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングの日常と襲撃」に続く第3弾といわれましても、もうすっかり忘れておりますがな。
と思いつつ読み進めていくと何となく思い出しました。「陽気なギャング」は銀行強盗を生業とする4人組で、演説の天才である喫茶店店主の響野、相手の嘘を一瞬で見破る公務員の成瀬、動物をこよなく愛するスリの天才の久遠、正確な体内時計を持ち抜群のドライビングテクニックを持つ雪子、の4人でした。今回は彼らの強盗団としての活躍ではなく、彼らの正体を暴き出そうとした週刊誌記者、火尻との対決というストーリーです。
4人の持ち味が十分に発揮されただけでなく、いつもの伊坂ワールドも存分に展開されていますので、ラスト、特に200ページ以降の伏線を回収しにいくところからの半端ない展開に読んで納得の一作になりました。すべてがラストを迎えるための仕掛けだったのではないかと思うくらい、あれもこれも盛り込んでくれています。

こんなどうでもいいサイドストーリーさえ伏線になっていたんかい!

という驚きは「ゴールデンスランバー」以来かもしれません。読み返しは必至ですわ。
(以下、ちょっとネタバレ)
伊坂作品のラストの傾向として、悪党が最期に因果応報的にやられてしまう、特に主人公が自ら手を下さずとも地獄に落ちてしまう、というのがここ最近のトレンドです。「死神」シリーズや「殺し屋」シリーズなどにもこんなラストが見受けられました。
読者としてはスカッとするような、ちょっとだけもやもやが残るような、何とも言えない気分にさせられますね。
でも、それこそが伊坂作品なのだ!と思えばその通りです。死神だの殺し屋だの、あるいはギャングだの、「ちょっと道を踏み外せばそこは畜生道な連中」がわんさか登場する作品において、おどろおどろしい復讐譚など伊坂作品にはそぐわないですもんね。ちょっとあっけないくらいがちょうど良いのかもしれません。本書もまた、ちょっとあっけないのですが、それもまた良し!でありましょう。





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posted by 曹源寺 at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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