ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年10月07日

書評749 本城雅人「ミッドナイト・ジャーナル」

こんにちは、曹源寺です。

先日書いた日弁連の件ですが、本日本当に採択されてしまったようです。すげえ記事なので全文引用させていただきます。
日弁連「死刑廃止宣言案」採択、組織として推進へ…会場では異論も噴出(10/7弁護士ドットコムニュース)

日本弁護士連合会(日弁連)は10月7日、福井市で人権擁護大会を開き、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」の案を、参加した弁護士の賛成多数で可決した。組織として初めて、死刑制度廃止の方針を明確に打ち出した。
票数は出席786人中、賛成546、反対96、棄権144だった。
宣言は、死刑判決を受け拘束されていた袴田巌さんが、2014年に約48年ぶりに釈放されたことをあげ、「死刑判決を下すか否かを人が判断する以上、えん罪による処刑を避けることができない」「えん罪により死刑となり、執行されてしまえば、二度と取り返しがつかない」と死刑廃止を訴えた。
具体的には、「日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止」を目指すべきであるとし、死刑の代替刑として、仮釈放がない終身刑制度や、仮釈放を認める場合であっても、開始時期を現在の10年から、20年〜25年程度に伸ばす「重無期刑制度」の導入などを提案した。
宣言が採択される前に、出席した弁護士からの意見表明の時間があり、犯罪被害者の支援に関わる弁護士を中心に、宣言に反対する意見が噴出した。
被害者支援に携わる東京都の男性弁護士は「(こうした宣言を出す日弁連から)私は脱退したい。しかし、強制加入団体だから脱退したら弁護士活動を続いていくことはできない。そのような団体がこうした決議をやることはおかしい」と語気を強め訴えた。
また、大会前日の10月6日に行われたシンポジウムでは、瀬戸内寂聴さんのビデオレターが公開され、その中で、「殺したがるばかどもと戦ってください」と表現していた。このことについて、「(犯人の死刑を望む)被害者遺族の前でこうした映像を流すことが信じられない」との声も上がった。
日弁連側は、「瀬戸内さん特有の思い切りの良いメッセージだと考え、そのまま採用することにした」としつつ、「配慮がなかったとしたらお詫び申し上げる」と述べた。


いろいろ突っ込みたいですね。

まず、一弁護士が個人的に死刑反対するだけならまだしも、法律を守る側にいる職業人として政治活動に堂々と口出しするその姿勢に唖然とします。
そんで、
>>票数は出席786人中、賛成546、反対96、棄権144だった。

明確に反対した人がわずか12%という事実にさらに唖然です。

賛成票を投じた弁護士の実名を公表して欲しいですね。その弁護士には被害者支援を絶対にさせてはいけません。

さらに、瀬戸内寂聴の「殺したがるばかども」発言も許されませんわこれ。まあ、90歳過ぎたBBAの言うこととあしらってしまうこともできますが、発言に影響力をお持ちの方ですからこれはダメですわ。そして、この発言をビデオレターとしてまんま垂れ流した日弁連はもっとダメですわ。被害者をばか呼ばわりしているのは日弁連であることと同義です。
もう日弁連は完全に終了ですありがとうございました。

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内容(講談社HPより)
「被害者女児死亡」――世紀の大誤報を打ち、飛ばされた3人の記者。その七年後、児童連続誘拐事件が発生。さいたま支局の関口豪太郎はかつての事件との関連性を疑い、東京本社の藤瀬祐里は豪太郎の応援に合流し、整理部員となった松本博史は二人を静観する。間違っているのかもしれない。無意味なのかもしれない。しかし豪太郎は諦めない。タネを撒き、ネタに育て、真実を獲得するため、今日も真夜中に動き出す。
特別な結果を出すのは、いつだって、本気の人間だ。


曹源寺評価★★★★
大手全国紙の社会部記者を主人公に据えた社会派ミステリというジャンルは、そういえば最近ご無沙汰していたなあと思いました。ここ数年はとんと話題になるような作品にお目にかかれず、なぜだろうと考えましたが特に答えが出るわけでもないですね。まあ、マスコミの社会的地位の低下や新聞離れ、出版不況などなどとかく逆風の多い業界ですから、しょうがないといえばしょうがないです。
だから、逆に本書が出たときのマスコミの身内びいきというか自画自賛みたいなべた褒めがあちこちから沸いて出てきたのはちょっと笑いました。「クライマーズ・ハイ」以来の重厚な作品!とか、作者は本書を書くために新聞社を辞めた!とか、すごすぎでしょう。

こうした手前味噌的な評価は脇に置いて

冷静に本書を見つめなおしてみましょう。
「まったく、おまえはジャーナルじゃねえな」が口癖の中央新聞の記者、関口豪太郎と、中堅記者の藤瀬祐里、整理部の松本博史の3人を中心にストーリーが展開されていきます。
3人は7年前の児童誘拐事件において、警察関係者の証言から「遺体で発見」との記事をリリースしたが、後に生存が確認され誤報となる。ただ、この事件では犯人が逮捕され死刑執行されたものの、実は複数犯による犯行だったのではないかとの見方が残されていた。そんな折に新たに連れ去り未遂事件が発生、目撃証言から乗用車の助手席にも人がいたとの情報が。新聞記者の活躍を描くミステリとして、かなり濃密な現場のシーンを描いてくれています。
特に圧巻なのは、警察の管理職への夜討ち朝駆けであるいわゆる「サツ回り」のシーンです。記者としての人間を売り込むことで情報を得る、信頼関係を築くことで書いても良い情報とそうでない情報を選り分ける。こうしたやりとりは昭和の時代に終わっているものだとばかり思っていましたが、そうではないみたいですね。泥臭い仕事と言ってしまえばそれまでですが、そこに真実があるなら突き進むのが真のジャーナリストであります。
本書は徹頭徹尾、新聞記者からの目線で描かれていますので、事件の真相に迫りつつもその目線は警察のそれとは違います。そのへんはある程度割り切らないといけません。しかし、登場人物の多さにもかかわらずそれなりにキャラクターを書き分けていることから読みやすいという点、事件へのアプローチが警察小説とは異なり新鮮である点、調査報道の大切さをしっかりと説いている点、新聞社の組織としての論理と記者の論理のぶつかり合い、などなど、これはなかなかに読ませる作品でありました。ディテールの細かさや臨場感といったところが

さすがに元記者なだけあってすごいです。

一方で、その細かな描写が仇となって、新聞記者は自分こそが正義だ!と思っている輩もたくさんいるというところまでリアルに描き過ぎているのが、読者的にはドン引きとなる一面もあるかもしれません。この主人公に共感できる人がどれだけいるのか分かりませんが、少なくとも自分は付き合いたくないですね笑





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posted by 曹源寺 at 17:57| Comment(0) | TrackBack(0) | は行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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