ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年11月11日

書評758 楡周平「ドッグファイト」

こんにちは、曹源寺です。

第45代の米国大統領にドナルド・トランプ氏が決定しました。テレビを観ない自分は良く知りませんでしたが、国内民放だけでなく、米国のテレビ局もこぞってヒラリー支持、トランプネガキャンだったそうですね。「トランプが大統領になってアメリカは大丈夫かしら」などとほざいている人が周囲にも多くいますが、それが「政治シロウトだから」という理由ならまだしも「過激な発言が多いから」という理由で言っているなら、それは間違いでしょう。米国大統領には拒否権なる巨大な権力があるのは事実ですが、過激な発言のすべてを政策にできるほど米国は甘い国ではありません。むしろシロウトだからこそ官僚の操り人形になりはしないかという方を気にすべきでしょう。日本でいうところの都知事みたいなもので、青島幸男がなんにもしない知事だったけど都政は普通に動きましたからね。ただ、外交だけは簡単ではないと思いますが。

それと、「トランプが大統領になって日本はどうなってしまうのか」とぬかしている人も多くいますが、これもまた変な話です。日本は米国の属国ではありません。まあ、その昔「年次改革要望書」なる対日要求の書面が発覚したことがありましたが、それはさておき、こうしたネガティブで対米追従のような発言をする人は大抵、外交のことを知らなさすぎですね。
たとえばTPPは締結されなくなる可能性が高まったのは事実ですが、だからといって相手のことを忖度して決議をしないなどというのは逆に対米追従以外の何者でもないのですが、民進党はその辺をきちんと理解していませんね。外交とは「相手がどういう出方をしても対処できるようにしておく」のが基本だと思います。日本は日本としての国益を追求していけば良いだけの話です。まあ、個人的にはTPP反対ですが。
とにもかくにも、相手がどうあれ日本のことは日本で決めましょう。

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内容(KADOKAWA HPより)
運輸界最大手企業と世界的通販会社。物流の覇権を巡る戦いが火花を散らす!
物流の雄、コンゴウ陸送経営企画部の郡司は、入社18年目にして営業部へ異動した。担当となったネット通販大手スイフトの合理的すぎる企業姿勢に反抗心を抱いた郡司は、新企画を立ち上げ打倒スイフトへと動き出す。


曹源寺評価★★★★
楡センセーの新作はまたしても物流業界ネタでありましたが、「再生巨流」や「ラストワンマイル」などで問題提起された業界の問題を掘り起こす姿勢が大好きで、いつも興味深く読ませてもらっています。
本書はコンゴウ陸送の経営企画部課長、郡司清隆を主人公にして、巨大な外資系ネット通販会社であるスイフト・ジャパンに立ち向かうというストーリーです。
読み始めればすぐに分かりますが、コンゴウ陸送=ヤマト運輸、スイフト・ジャパン=アマゾン・ジャパンのオマージュです。超巨大なネット通販企業に成長したスイフトは、本一冊から配送料無料などというとんでもないビジネスモデルで国内の通販市場を一気に拡大させます。
しかし、そのしわ寄せは運送会社に集中、売り上げが拡大しても損益はトントンなしは赤字という状況が続きます。それだけではなく、運送会社は取扱量が減ると倉庫やトラックなどの設備が遊ぶことになりますので、経営効率が一気に落ち込むことになります。このため、いくら収益率が低くても大手の荷主から取引が切られることを極端に恐れるようになっていくわけです。逆に荷主は成長を担保にして支払い条件を有利に進めようとするのですから運送会社にとってはたまりません。こうして国内の運送会社はどんどん疲弊してきてしまったという経緯があるわけで、運送会社とは縁のない人でも業界の





こうした問題点は認識しておく必要がある

のではないかと痛切に感じるわけです。
郡司は経営企画部から営業部へ異動となり、そこでスイフトの営業担当となります。スイフトのえげつないやり方に辟易としながら、コンゴウがスイフトの奴隷にならないための打開策を講じていきます。
スイフトの執行役員である堀江がかなりのヒールとして描かれていまして、ドメスティックな産業の代表格である陸送業界と、グローバル企業の代表格である外資系ネット通販会社という対比が際立っているのも本書の特徴でありましょう。
楡センセーの近年の作品群にはひとつの大きな特徴があります。それは「人口が減少し、対老齢人口比が上昇している日本において、企業が生き残るためには、あるいは日本社会そのものが成長を続けていくためには何が必要なのか」という命題に対して、センセーなりの答えを出しているという点です。
「再生巨流」では衰退した「町の家電屋さん」の復興プランを、「プラチナタウン」では地方の活性化と高齢化社会のあり方を、「ラストワンマイル」は本書と同じくネット通販会社と運輸会社の攻防を描いています。極めてリアルな近未来、それも5年後あるいは10年後という未来の社会のあり方を、独自のアイデアを披露しながら問うているのであります。だからこそ引き寄せられる内容です。
本書は物流業界に詳しく、かつ外資系企業の勤務経験もある楡センセーだからこそ書けた作品でしょう。少なくとも業界関係者は読むべきですね。

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posted by 曹源寺 at 15:06| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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