ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年12月02日

書評763 薬丸岳「ラストナイト」

こんにちは、曹源寺です。

昨日発表された「2016年新語・流行語大賞」は「神ってる」が選ばれました。今年はカープの年だったからまあよろしいのではないかと思います。だいぶ形骸化はしていますが。
それにしてもトップテンのなかに「保育園落ちた日本死ね」が入るとは。そしてそれを国会議員が受賞するとは。
「日本死ね」と叫ぶ国会議員がいるこの日本という国。相当根が深い問題です。

国会議員だけではありません。先日はこんな記事もありました。
不法残留の強制退去処分取り消し 反人道的と名古屋高裁(11/30東京新聞)
在留期間を過ぎて不法残留となった三重県に住むブラジル国籍の男性(37)が、強制退去を命じた国の処分を取り消すよう求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(藤山雅行裁判長)は30日、「一家離散を招きかねず、人道に著しく反する」として処分を取り消した。
裁判長は判決で「処分は社会通念に照らして妥当性を欠き、裁量権逸脱で違法」と認定。ひき逃げ事故を起こし警察への出頭をためらっている間に在留期間が過ぎたとし「意図的に不法残留したわけではなかった」と指摘。
2013年9月12日に無免許でひき逃げ事故を起こした。逮捕されたが、その間に在留期間を過ぎ、不法残留となった。(共同)


え・・・
なにこの判決。。。

         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『無免許、不法滞在、ひき逃げのトリプルコンボ
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ         だと思っていたらいつのまにか無罪になっていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人      な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ       おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \     催眠術だとか超スピードだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ  そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...     イ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

この記事を読んでサンドイッチマンの富沢(「ちょっと何言ってるか分からない」ってやつ)かジョジョのポルナレフにならない人がいたらお目にかかりたいです。
よりによって高等裁判所の判事がこんな判決を出すかぁ?地裁ならまだ分かる(というのも変な話です)が、高裁判決ですから二重に驚きました。日本はいつから人治主義の国になったのでしょうか。こんなおかしな裁判官がいるのが今の日本の法曹界ですよ。
この名古屋高裁の藤山雅行裁判長というお方は、お名前で検索かけるとなんともまあ香ばしい実績をお持ちでいらっしゃいます。気になる方はぜひお調べください。国を相手に訴訟を起こしてこの人が裁判長なら間違いなく勝てる。そんなお人です。

裁判官が法に拠らない判決を連発する。そしてこういう裁判官を誰も罷免できない。地裁や高裁は野放しです(最高裁だけ国民審査の対象になります)。そして自浄作用もない。こういう組織はだいたいにして腐りかけています。藤山判事が最高裁の判事になるのを待って国民審査で落とすというのもひとつの手ではありましょうが、それを待っていたら異様な判決のオンパレードになってしまうこと必然です。

司法も立法もちょっとヤバイレベルになってきたようです。
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内容(実業之日本社HPより)
顔には刺青、左手は義手。
菊池正弘が営む居酒屋「菊屋」に、古い友人で刑務所を出所したばかりの片桐達夫が現れた。
かつてこの店で傷害事件を起こしてから、自身の妻とも離婚し、32年もの間に何度も犯罪に手を染めてきた男だ。
獣のような雰囲気は人を怯えさせ、刺青に隠された表情からは本心が全くつかめない――。
何故、彼は罪を重ねるのか?
吉川英治文学新人賞受賞後第一作! 著者新境地、魂を震わせる衝撃のミステリー。


曹源寺評価★★★★
薬丸センセーの良いところは、テーマが一貫してぶれないというところにありましょうか。デビュー作の「天使のナイフ」から少年犯罪、少年法、贖罪、寛如、許容、といった題材を取り上げて、読者に訴えかける作品がラインナップされるようになりました。時には凶悪な少年犯罪をテーマにして「お前らこれでも少年法でこいつらをかばうつもりか?あぁん?」というくらい読者を焚きつけてくることもありますが、センセー自身は明確に少年法改正を叫んでいるわけでもなさそうなのでこのへんの立ち回りのうまさもすごいなあと素直に感心したりします。
そんなセンセーの最新作はなかなかに凝った作りこみをされていました。
顔一面に豹柄模様の刺青を入れた、左手が義手の59歳。前科五犯。主人公、片桐達夫はものすごい風貌と経歴であります。この片桐が仙台刑務所から出所してきたが、彼を取り巻く複数の人間を語り部として(章立てのタイトルにもなっています)彼の出所後の行動を追う内容となっています。
片桐の兄貴分だった赤羽の飲食店「菊屋」の主人である菊池正弘、片桐の弁護人を務めたことのある中村尚、実の娘である松田あかり、転落の人生を歩む娼婦の森口絢子、そして彼の行動を監視する荒木誠二の5人が、それぞれの視点でストーリーを展開させていきます。この5人はすべてクロスオーバーしているため、ストーリーの4分の1くらいはレビュー的な内容になっていますが、これもまた違う視点からの内容なので

「あぁ、これってこういうことなのね」と後で理解できる

ようになっています。
読み進めるうちに見えてくるのは、片桐が見た目どおりの凶悪な犯罪者なのか、そうでなければ何なのか、という問いかけです。
なぜ彼は犯罪を繰り返しす前科者になったのか。
なぜ彼は左手を事故で失ったのか。
なぜ彼は顔中に刺青を彫ったのか。
なぜ彼は出所後に弁護士にお礼を言いに行ったのか。


すべてがつながったときに、片桐達夫という人間が見えてきます。それはそれは壮大なストーリーなわけですが、壮大(というかあまりにもスゴイ執念)すぎて読者としては声も出ませんわ。
多くの読者が「なぜここまでやるのか」「献身を通り越して自己犠牲」「ここまでいくと理解不能」という感想を持つのではないかと思うレベルですが、これと同じような感想を持った作品といえば東野圭吾センセーの直木賞受賞作品「容疑者Xの献身」あたりが思い浮かびます。
まあ、ここまでやらないとインパクトがないというのであればそうなのかもしれません。でも、この路線がエスカレートすることは小説界にとって良いことではないと思うのです。奇をてらうとか、派手なインパクトを狙うとか、そういう方向だけが話題をさらうのはいかがなものかと思います。
ストーリーやリーダビリティは素晴らしいので、このインパクトを穿って見なければ普通に面白いです。





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posted by 曹源寺 at 17:44| Comment(0) | TrackBack(0) | や行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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