ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2016年12月06日

書評764 月村了衛「黒涙」

こんにちは、曹源寺です。

ちょっとびっくりしたニュースがありましたので(ニュースというか話題というか)。
【なんて時代だ】除夜の鐘を禁止させられるお寺が続出中
年越しに鳴り響く『除夜の鐘』。聞くと「一年が終わり、また新しい年が始まるんだなぁ」と思わされる
日本の風物詩です。
しかし最近では、この除夜の鐘が「うるさい」との近隣住民の苦情を受け、昼間や夕方に鳴らすお寺が増えているのだとか。
静岡県にある大澤寺(だいたくじ)もその一つ。大澤寺のwebサイトには除夜の鐘が一時中止になり、再開したものの昼間に除夜の鐘をつくことになった経緯が記されています。
『夜間衝く鐘の音に対する波津地区のどなたからのクレームの電話があったことから父の代で終了した除夜の鐘。それを昨年から時間を大幅に繰り上げて再開したというものです。』
「除夜の鐘がうるさい」とのクレーム。日本の風物詩として楽しみにしている身としては信じられない気持ちですが、多くの方はどのように感じているのでしょうか。
「こわい」という声を受けてなまはげが優しくなったり、「子どもを歩かせるのか」という声を受けて二宮金次郎像が座ったり、伝統より苦情の声が大きくなりつつある日本。
一つのクレームで、多くの方が楽しみにしている伝統が無くなってしまうのは悲しいですね。改めて、大切にすべきものは何かを考えていきたいものです。
(grapeの記事より)

ほんの少しのクレームで自粛を余儀なくされる時代とはいえ、ここまでいくと時代がおかしいのではないかと思ってしまうレベルです。
そういえば、先日も日本人が麺類をすする音が不快であるとする「ヌードルハラスメント」略してヌーハラなる言葉を編み出したどこかのマスゴミTV局がありましたが、あっという間に沈静化しましたね。
これらに共通するのは、どちらも日本人の感覚としては当たり前なのに(おそらく)外国人からは奇異に映るものが時に不快であること、という点にあると思います。

しかし、ここは日本です。日本国内で日本人がはるか昔から営んできた慣習や風習について、外国人からいちゃもんをつけられる筋合いはありません。そもそもこんなこと(特にヌーハラ)が記事になること自体がアホなことです。これ、逆に言えば他国の文化に異邦人が余計な口出しをしているだけではないかと思うのですが。
たとえば、中国人は賓客をもてなすときは食べきれないほどの料理を出すのが風習です。だから客の側も食べ残すのがマナーになっています。これを食べ物がもったいないと怒るのは筋違いです。
また、欧州では皿に残った肉料理のソースをパンですくって食べるのは普通のことですが、日本ではあまりなじまないマナーだったと思います(今はそうでもないですが、おそらく30年前ははしたないことだったと思います)。
自国の文化を基準にして他国の批判をすることほど無知蒙昧なことはありません。こういうのは徹底的に無視するのが一番だと思います。

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内容(朝日新聞出版HPより)
警視庁組織対策部2課の警部補・沢渡は、実は黒社会とつながる警察内部の〈黒色分子〉だ。中国語が堪能な沢渡は、対中国防諜作戦を目的とする公安部の特別捜査チームに出向となる。沢渡と義兄弟の契りを結ぶ黒社会「義水盟」の大幹部である沈は、インドネシアの青年実業家ラウタンも巻き込んで、沢渡らの中国諜報機関摘発に協力することなった。やがて三人の前にシンシア・ユンと名乗る謎の美女が現れるが……。
まさに“黒の中の黒”――
黒色警察小説の新たな傑作誕生!


曹源寺評価★★★★★
月村センセーの警察小説「黒警」の続編が出ました。雑誌連載中は「黒警PARTU」というタイトルだったのに、単行本化したら改題されました。それでもこのタイトルで「あぁ、黒警の続編だな」と理解できた方は多かったのではないでしょうか。「黒警」は警視庁の組織犯罪対策部に所属する刑事、沢渡を主人公とする警察小説ですが、かなりノワールな作品であります。なにしろ中国の黒社会集団である「義水盟」に所属しているという設定で、いわゆる「義賊」のような集団ですがやっていることは違法行為だらけです。
今回その沢渡は中国語が堪能であることから公安部の特別捜査チームに加わることになり、中国のスパイ活動を炙り出す役割を命じられます。義賊とはいえ、自分も半分はスパイみたいな立場にいる沢渡は、身分がばれないように対中国の防諜活動をしなければならなくなります。そのへんの(身分バレの緊張感を味わう)スリリングなやりとりはあまりありませんが、月村センセーならではのスペクタクルな展開は相変わらず冴え渡っております。
特捜チームは今回の中国のロビー活動を贈収賄で立件できるかという命題に対し、地道な捜査活動だけでは突破口が開けないとして、インドネシアの実業家であるラウタン氏の協力を仰ぐ。ラウタンはさわやかな青年実業家で、人を惹きつける魅力を持っているが、中国側のハニートラップも真正面から受けて立つほど自信過剰な側面もあり、この男女の駆け引きも読みどころではあります。
しかし、物語は中盤から後半にかけて一変していきます。さすが黒警。ノワール感満載です。特に後半〜ラストにかけては黒も黒、真っ黒になった沢渡の本領発揮で、なんだか

怪談を読んでいる気分になりましたよ。マジホラーですわ

それにしても、月村センセーの作品はラストにかけての描写が震え上がるレベルになってきました。特に、いざ決着をつけようという場面においては読む手が震えるほどガクブルものです。まあ、ホラーといっても後味悪いものではなく、真っ当な悪党の末路を見せつけてくれるものですから納得のいくラストであります。
警察小説でもあり、犯罪小説でもあり、またまたミステリでもある。印象深い一冊でありました。





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posted by 曹源寺 at 16:09| Comment(0) | TrackBack(0) | た行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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