ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年01月06日

書評771 深緑野分「戦場のコックたち」

あけましておめでとうございます、曹源寺です。

今年の正月はのんびりと親戚参りしただけでしたので、こりゃヤバイ!と思って約5kmのランニングをしましたら思いっきり筋肉痛になりましたorz
たった5kmで、、、しかも首回りまで痛い、、、
鍛えなおそうと決心した正月でした。

さて、最近は統計がいろいろとおかしいというニュースがあちこちで出回るようになりました。特に、統計の表示がおかしいという声は大事です。なぜかというと、見た目で騙されないようになってきているという国民のリテラシーが高まっているのがよく分かるからです。
しかし、一次ソースそのものが誤っていたとなると話は簡単ではありません。

沖縄県の県民所得、低く計算 計算方式変更で最下位維持…「基地問題が経済的足かせになっていることを示したいのでは」(1/5 産経新聞)
都道府県ごとの経済力を示す指標である沖縄県の1人当たり県民所得が、他県の例よりも所得が低くなる方式で計算されていることが4日、分かった。沖縄県は平成21年度の1人当たり県民所得が高知県を抜き、戦後初めて最下位を脱出した翌年度に計算方式を変更し、22年度以降も最下位を維持している。政府関係者は、基地問題が経済的な足かせになっていることを県内外にアピールする狙いがあると指摘する。
(以下、省略)

県民所得は内閣府のホームページから見ることが多かったので、てっきり内閣府が計算しているのかと思っていましたが、各都道府県が算出していたみたいですね。しかもその計算式は公開されておらず、果たして全国で統一された計算方式によって推計されているのか、もしかしたらかなりのズレが生じているのではないか、そんな疑念も湧いてしまいそうです。

「自分で分析したかったら一次ソースを見に行け」とさんざん教え込まれた自分としては、そもそも一次ソースが違っていたらどうしたらよいのかさっぱり分かりません。
最近は政府統計もアラが目立つようになりました。先日も書きましたが、厚生労働省と農林水産省の統計データは公表タイミングが遅すぎてタイムリーに市場を把握することができません。国土交通省と経済産業省は比較的早いのですが、経済産業省はものによっては補正が入りまくっていて使うのにものすごく苦労します。県民経済計算は恣意的な加工が可能となるような集計方式がまかり通っているならば、内閣府がデータだけ収集して統一したやり方で集中的に推計するべきでしょう。


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内容(東京創元社HPより)
1944年、合衆国軍のコック兵となった19歳のティム。彼と仲間たちが戦場で遭遇したささやかだが不可思議な謎とは――戦いと料理と〈日常の謎〉を連作形式で描く、著者渾身の初長編!


曹源寺評価★★★★
2015年の「このミス」2位、「文春ミステリ」3位、そして直木賞候補作にもなったのが本書です。
2段組み345ページの連作短編という名の長編(笑 で、しかも舞台は第2次大戦中の合衆国軍ですから、読むのはそれなりに大変です。
主人公のティモシー(ティム)・コールは南部出身の若者。祖母の料理好きが遺伝して、コック兵に志願します。ティムは周囲からキッドというあだ名をつけられます。そのティムの周囲で(特に戦場で)起こるさまざまな謎を相棒のメガネ君とともに解き明かしていきます。
時間的な舞台としては、1944年6月のノルマンディー上陸作戦から1945年4月のドイツ軍降伏までがこれに当たります。したがいまして、戦争も末期、フランス、オランダ、ベルギー、ドイツ、オーストリアあたりは国際法も関係ないほどドロドロの地上戦が行われた場所という凄惨な舞台であります。そのなかでは気楽なコック兵というわけにもいかず、必要に応じて最前線に送り込まれて補給部隊が来るのをまだかまだかと待ち続ける地獄の戦線に置かれます。
そんなときに呑気に謎解きなどやっている場合か!と思いきや、この謎を解かなければ先へは進めないような、場合によっては戦況がひっくり返ってしまうかのような謎もあったりします(大げさかな)。
まさに殺し合いの場面でさえも筆致が淡々としている一方で、かえってその方が戦場にリアルさを見せ付けてくれるようで読者を精神的に追い込んでいきます。これは生半可なミステリとして読んではいけないのだぞ、と。

つーか、これは戦争小説だよね

と心の中で念じながら読まないといけないでしょう。
仲間が次々と死に、あるいは精神的に病んで、前線復帰できないほどの傷を負い、いつの間にか古参兵となっていく主人公。残った仲間にもある嫌疑がかけられたりします。
ここに主人公の心情を書き連ねてあったら、詠むのが本当に大変だったと思いますが、主人公はかなり淡々としていて、あぁ、これはやはりミステリなんだな、と再認識させてくれます(読後ですが)。

読むのが大変だが、なぜか惹かれる小説

という意味では、京極夏彦センセー以来の何かを感じてしまった次第。





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posted by 曹源寺 at 15:49| Comment(0) | TrackBack(0) | は行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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