ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年02月28日

書評785 東野圭吾「人魚の眠る家」

こんにちは、曹源寺です。

最近流行の言葉に「フェイクニュース」というのがあります。誰が発したか?米国大統領トランプ氏ですね。
ちょっと前には「ヘイトスピーチ」なる単語がネットに溢れかえりました。これを発したのはたしかNHKの人だったと思います。ちょっとしたきっかけでものすごい勢いがつくのがネットの世界です。
で、そのフェイクニュースですが、これと一対になって出回ってきている単語が「ファクトチェック」です。フェイクなのかリアルなのかを「ファクトチェック」するという作業が必要であるとしていますが、マスゴミが報道するニュースのなかにしれっとフェイクが混ざっているというのがデフォルトになってきているという背景がそこにはあります。
本来ならば、ファクトチェックがなされて初めて「報道」されるのがスジでありますが、最近の報道のなかにはフェイクが混ざっているのが当たり前だからみな気をつけましょう!という雰囲気になってしまっています。
これは本来ならばマスゴミ自身が猛省しなければならない事案であると思うのです。
しかしながら、マスゴミはフェイクを訂正しないし、謝罪もしない。垂れ流しです。だから嫌われるのに、だから部数がダダ下がりなのに、これを直そうとしない。まったくおかしな話です。

たとえば、先日の
「米大統領がCNNなどの会見不許可」というニュースが昨日(2/27)に報道されました。しかしこれはホワイトハウスの記者クラブがネットメディアなどの新規参入をさせなかったのが原因とされています。つまり、従来の会場は古くて狭いからネットメディアなどの新興勢力まで収容できないので新しい場所に代えようとしたのに、旧来のメディアが既得権益を盾にして反発したというのが真実のようです。トランプ憎しでこんなことまでゆがめて報道する米国のメディアもゴミだということが良くわかるニュースです。

「フェイクニュース」に対する「ファクトチェック」がますます重要になりつつあるなあとしみじみ思う今日この頃です。
「新聞ファクトチェック」なるブログでも開設したらPV稼げそうですかね。

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内容(幻冬舎HPより)
答えてください。
娘を殺したのは私でしょうか。
東野圭吾作家デビュー30周年記念作品
『人魚の眠る家』
娘の小学校受験が終わったら離婚する。
そう約束した仮面夫婦の二人。
彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前。
娘がプールで溺れたー。
病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。
そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。
過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか。
愛する人を持つすべての人へ。感涙の東野ミステリ。
こんな物語を自分が書いていいのか?
今も悩み続けています。 東野圭吾


曹源寺評価★★★★
東野センセーの著作のなかに、たまにですがめちゃくちゃ重いテーマを内包させたお話があります。復讐の是非を問う「さまよう刃」とか、娘を殺された親の問いかけや司法の矛盾を投げかける「虚ろな十字架」など、いずれも正解のない問いを読者に投げてくる作品です。
本書もまた、娘の死をどう受け止めるべきなのかを問いかける非常にメッセージ性の強い内容のミステリです(これをミステリと言って良いのかという疑問はありますが)。
脊椎の損傷などにより自分の身体が思い通りに動かせなくなっている人のために、磁器や電気の刺激によって運動をサポートできる医療機器を製造するハリマテクス社を経営する播磨和昌とその妻の薫子。彼ら夫婦の間には長女の瑞穂と長男の生人がいた。ある日、瑞穂がポールで溺れてしまい、植物状態になってしまった。脳死判定を受け入れれば脳死と判断されるであろうレベルにあって、これを受け入れない夫婦。ハリマテクスの技術者である星野によって、脳からの指令がなくても手足などの筋肉組織を動かせるように機械サポートを行うことで、瑞穂は3年も生きながらえる。。。
意識があるのに身体を動かせない人と、意識がないのに身体を動かして健康(!?)を維持している人、どちらも同じ人間であるなら、どちらも「生きている」ことになるのではないかという問いかけが我々に発せられるのであります。
また、
法改正により国内でも脳死患者からの臓器移植が可能になっているにもかかわらず、多くの人がそれを待ちきれずにアメリカに行くという現実があること。
さらには、
いまだ脳死からの生還は実例がないにもかかわらず、日本人の多くは心臓死をもって死と捉えていることや、また、これを改めようとする動きもないこと。
ひとつの問いかけから発展してこんなさまざまな命題を投げかけられるので、読むのをやめてしばし考えるということを繰り返しました。
だから、東野センセーの本にしては珍しく

ページが進まない

のでした。
東野センセーの「重いテーマ」というのは大抵、「答えの出ないもの」であることと同義です。だからこそ考えさせられるし、他の人がテーマにできないものでもあります。
答えの出ないものをテーマにして、なおかつ小説としての落としどころを決めておかないといけない、という常人にはできなさそうなことをしれっとやりのけてしまうところが、東野センセーのすごいところでもあります。
本書のラストはなるほど、みんなが救われて本当に良かったなあと思える落としどころでありました。

おっと、眼から汗が

出掛かってしまいましたよ。号泣ではありませんが、グッとくるラストです。印象に残るなあこれ。





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posted by 曹源寺 at 18:11| Comment(1) | TrackBack(1) | は行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一気に読み上げてしまいました。
賛否両論あるようですが、文学として飽きずに読ませる筆力はさすがです。
2〜3回涙が出ました。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
Posted by 藍色 at 2017年04月05日 11:06
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「人魚の眠る家」東野圭吾
Excerpt: 答えてください。 娘を殺したのは私でしょうか。 東野圭吾作家デビュー30周年記念作品 『人魚の眠る家』 娘の小学校受験が終わったら離婚する。 そう約束した仮面夫婦の二人。 彼等..
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