ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年03月10日

書評788 中山七里「セイレーンの懺悔」

こんにちは、曹源寺です。

森友学園に関するマスゴミ報道が止まらないですね。徹底的にあら捜しして安倍首相を引きずり降ろしたいというマスゴミの願望がよく分かります。安倍がダメならせめて森友だけでもという感じも露骨に見えますね。

煽り耐性のない理事長の狼狽振りはマスゴミの格好の餌食となっています。おそらく多くの人が「理事長は胡散臭いなぁ」と思っているでしょう。自分もそう思います。

ただ、マスゴミがやらかしてしまっている一番の問題点は、学園の教育内容に関する批判であります。これはダメでしょう。たとえば教育勅語の件ですが、戦後の衆参両議院でこれを放棄する宣言がなされたから絶対に復活させてはダメ!という論調の社説が新聞各紙から勢揃いで出されたりしています。

教育勅語肯定 稲田大臣の資質を問う(2017/3/10朝日新聞社説)
稲田防衛相に閣僚としての資質があるのか。重大な疑義を抱かざるを得ない発言である。
稲田氏は8日の参院予算委員会で、戦前の教育勅語について次のように語った。
「日本が道義国家を目指すというその精神は今も取り戻すべきだと考えている」
「教育勅語の精神である道義国家を目指すべきであること、そして親孝行だとか友達を大切にするとか、そういう核の部分は今も大切なものとして維持をしているところだ」
天皇を頂点とする国家をめざし、軍国主義教育の根拠となったのが教育勅語だ。明治天皇直々の言葉として発布され、国民は「臣民」とされた。
親孝行をし、夫婦仲良く。そんな徳目が並ぶが、その核心は「万一危急の大事が起こったならば、大儀に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家の為(ため)につくせ」(戦前の文部省訳)という点にある。
いざという時には天皇に命を捧げよ――。それこそが教育勅語の「核」にほかならない。
稲田氏のいう「道義国家」が何なのかは分からない。ただ、教育勅語を「全体として」(稲田氏)肯定する発言は、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という憲法の理念と相いれない。
教育勅語は終戦後の1948年、衆院で排除の、参院で失効確認の決議がされた。衆院決議は勅語の理念は「明らかに基本的人権を損ない、且(か)つ国際信義に対して疑点を残す」とした。
当時から、「いいことも書いてある」などとする擁護論もあった。これに対し、決議案の趣旨説明に立った議員は「勅語という枠の中にある以上、勅語そのものがもつ根本原理を、我々は認めることができない」と言い切っている。
当時の文相も「教育勅語は明治憲法を思想的背景としており、その基調において新憲法の精神に合致しないのは明らか」と本会議で答弁した。
こうした議論を踏まえることなく、勅語を称揚する姿勢は閣僚にふさわしいとは思えない。
まして稲田氏は自衛隊を指揮監督する立場の防衛相である。軍国主義の肯定につながる発言は国内外に疑念を招く。
安倍政権では、教育勅語を擁護する発言が続く。2014年に当時の下村博文・文科相は、勅語が示す徳目について「至極まっとう。今でも十分通用する」などと語った。
こうした主張は政権全体のものなのか。安倍首相は明確な説明をすべきだ。


アサヒだけでなく、信濃毎日新聞なども動揺の論調ですし、尾木直樹のような教育学者も批判的です。
教育勅語の12の徳目を抜粋しますと
12の徳目
1. 父母ニ孝ニ 
(親に孝養を尽くしましょう)
2. 兄弟ニ友ニ 
(兄弟・姉妹は仲良くしましょう)
3. 夫婦相和シ 
(夫婦は互いに分を守り仲睦まじくしましょう)
4. 朋友相信シ 
(友だちはお互いに信じ合いましょう)
5. 恭倹己レヲ持シ 
(自分の言動を慎みましょう)
6. 博愛衆ニ及ホシ 
(広く全ての人に慈愛の手を差し伸べましょう)
7. 学ヲ修メ業ヲ習ヒ 
(勉学に励み職業を身につけましょう)
8. 以テ智能ヲ啓発シ 
(知識を養い才能を伸ばしましょう)
9. 徳器ヲ成就シ 
(人格の向上に努めましょう)
10. 進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ 
(広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう)
11. 常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ 
(法令を守り国の秩序に遵いましょう)
12. 一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ 
(国に危機が迫ったなら国のため力を尽くし、それにより永遠の皇国を支えましょう)


最後の「永遠の皇国」あたりはちょっとどうかなと思いますが、それ以外は普通に良いですね。むしろ、行き過ぎた個人主義を是正したい人たちからは大いに支持されそうです。
この12の徳目を現代語にして暗誦させる程度なら全く罪はないのではないかと思います。いわゆる「道徳」として必要なくらいではなかろうかと。
周りを見渡せば、特定の宗教によって設立された学校があちこちにあります。仏教もキリスト教も国内の新興宗教もみ〜んな学校を持っています。果たして、彼らの説いている教えの一言一句が教育基本法に則っているか否かを誰か検証でもしたのでしょうか。北の国の学校は一条校ではなく各種学校ですから別にどうでもいいですけど(その代わり補助金など出さなければ良い)、学校法人として設置されているすべての学校の、すべての根本教義を法律と照らし合わせているのかと問いたい。もしそうならば話は別ですが、そうでなければ教育勅語の現代語訳くらいどうってことはないんじゃないかと思います。

マスゴミがさらにやらかしてしまっている部分としては、戦前から戦中のすべての教育が悪とする風潮を醸成している点でしょう。言葉の内容ではなくその成り立ちを問題にしているんですね。これはアウトでしょう。ヒトラーの発言はすべて悪であるとするのは言葉狩りではないのかと(逆に、毛沢東やスターリンの発言をこれっぽっちも悪とはしていないのも逆の意味で怖いですね)。
「誰」のことばなのかによって優劣をつける、これこそ差別にほかなりません。もし学校で、クラスメートのA君がいじめを受けていて、そのA君が何か発言しようものならその内容は一切吟味されずに「Aがまた何か言ってら」と馬鹿にされたりしていたらどうでしょう。これと同じことをマスゴミはやらかしているわけです。

最も性質の悪いのは、教育内容をいっせいに批判することがイコールその教育を受けている子どもたちをも批判していることに、マスゴミ自身が気付いていないことではないかと思います。チミたちに子どもを批判する権利はないよ。

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内容(小学館HPより)
少女を「本当に殺した」のは誰なのか――?
葛飾区で発生した女子高生誘拐事件。不祥事によりBPOから度重なる勧告を受け、番組存続の危機にさらされた帝都テレビ「アフタヌーンJAPAN」の里谷太一と朝倉多香美は、起死回生のスクープを狙って奔走する。警察を尾行した多香美が廃工場で目撃したのは、暴行を受け、無惨にも顔を焼かれた被害者・東良綾香の遺体だった。
クラスメートへの取材から、綾香がいじめを受けていたという証言を得た多香美。主犯格と思われる少女は、6年前の小学生連続レイプ事件の犠牲者だった。
少女を本当に殺したのは、誰なのか――?
"どんでん返しの帝王"が現代社会に突きつける、慟哭のラスト16ページ!!


曹源寺評価★★★★★
中山センセーが今度はマスコミ報道に焦点を当てたミステリを出してこられました。帝都テレビの報道部に所属する朝倉多香美とその先輩社員の里谷太一は、東京・葛飾区で発生した女子高生の誘拐事件を追う。誘拐事件だから報道協定が結ばれていて、周辺取材も限定的にならざるを得ない状況にあるが、帰宅途中の生徒から情報を得て主犯格の可能性のある同級生を探り当てる。スクープを取って不祥事の雪辱を果たしたい報道部は、重要参考人として映像を公開するが、、、
なるほど、これは一気読みですわ。ストーリーはほぼ一貫して朝倉多香美の視点から書かれているので分かりやすいし、事件の構造もそれほど複雑ではないので焦点を絞りやすいですね。テレビは映像を映してなんぼの商売ですから、誤報などしようものならそのインパクトは強烈です。だから本当は慎重に慎重を重ねなければいけないはずなのに、こんな勇み足をしたら本来なら間違いなく停波です(でも停波されたためしがないですね)。
まあ、裏取りもしないで犯人と決め付けるような映像を流すなんぞ、現実のマスコミはここまでおバカではないと思いますが、最近のマスゴミは本当に裏取りしないで記事にしたりするものですから、

さもありなん、と思ってしまいそうです。

本作はミステリと言っても、真犯人は誰なのか?と気張って読んでもいけないのですが、中山センセーらしく最後にちょっとしたどんでんもありますので、作品のほうが読者をぐいぐい引っ張ってくれます。

それにしても、最近の中山センセーの著作は面白い。何が面白いかというと、センセーの世相感というか世の中の理不尽なところや憤慨しているところなどがその作品に反映されているなあというのが良くわかるからです。
「作家刑事毒島」では、書評ブロガーども(この私を含む)を徹底的にこき下ろし、嫌味な編集者も大御所と呼ばれる威張り腐った大先生も露骨にぶった切ってくれました。
本作でもマスコミのマスゴミたる所以を具体的な事例とともにぶち上げて、反省はしても謝罪はしない古臭い権威主義にまみれたハイエナ以下の存在として徹頭徹尾、批判をしています(最後はちょっとだけ持ち上げていますが)。
なによりすごいのは、あの朝日新聞が引き起こした天下の虚報「従軍慰安婦の吉田証言」を引き合いに出して、証言自体が捏造であったにもかかわらず、依然として検証も訂正も謝罪もないと小説の中でぶち上げてしまっていることです(正確に言うと、社長が謝罪していますが記事を書いた本人がまったく開き直っているという始末)。すげえ、

完全に喧嘩売ってんじゃん

今度はぜひ南京事件を引き合いに出していただいて、「騎士団長殺し」のなかで事実認定しちゃった村上春樹と真正面から斬り合ってほしいなあと思います。





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posted by 曹源寺 at 16:25| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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