ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年03月14日

書評789 神家正成「七四」

こんにちは、曹源寺です。

3月10日から13日にかけて、新聞各紙がいっせいに同じような社説を掲載したと話題になりました。

【毎日新聞】大使帰国1カ月 正常化へ日韓で努力を[3/10]

【北海道新聞/社説】韓国大統領罷免、政治空白の解消を急ぐ時だ。新政権発足に備え、大使を帰任させるべき[03/11]

【京都新聞/社説】韓国は重要なパートナー。日韓関係の再構築へ踏み出すためにも大使を帰任すべき[03/11]

【山陰中央新報】韓国の次期政権とのパイプづくりのためにも、帰任に向けての条件整備を検討する時期に来ている[3/11]

【西日本新聞/社説】政争の中で、日韓関係をうまく制御し、日韓合意を維持することが重要課題。司令塔となる駐韓大使の帰任を[03/12]

【河北新報/社説】韓国の安定は、北朝鮮に連携して対処する上で不可欠。新政権との対話を見据え、駐韓大使の帰任を急ぐべき[03/12]

【福井新聞】約束が守られなければ日韓関係は前途多難だが、次期政権とのパイプづくりを強めるためにも大使の帰任を検討する時期 [3/13]

【中國新聞/社説】日韓関係は悪化している。次期政権とのパイプづくりを図り、合意履行を求める必要がある。駐韓大使帰任の時[03/13]

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中身をご覧いただければお分かりですが、結論の大半は「朴大統領も罷免されたことだし、そろそろ大使の帰任を検討してもよい頃合ではないか」というものであります。つまり、帰国している駐韓大使を早く戻せと言っているのですね。

この横並び体質というか、社説のくせに金太郎飴のような記事を平然と載せていることが本当に気持ち悪いなあと思います。まあ、種を明かせば共同通信あたりの記事をそれぞれの社が少しだけ文章をいじくって配信しているだけなんですがね。

社説の中身自体がどうこうではなくて(もちろん、それもありますが)、この剽窃まがいの行為が堂々となされているのが新聞社の体質であるということ、通信社が親元となって横並びの記事がずらりと揃うカルテルのような行為が業界の当然の慣わしになっているということ、他の業界ならありえないことが普通になっていて誰もそれを恥じようとしないことが怖いなあと思うのです。


内容(宝島社HPより)
自衛隊内の警察組織である警務隊に所属する、女性自衛官・甲斐和美三等陸尉。突然の命令を受けた彼女は、事件の起きた富士駐屯地に急行する。
圧倒的リアリティで読ませる、ミリタリー捜査サスペンス!
自衛隊内の犯罪の捜査および被疑者の逮捕を行なう部署である中央警務隊。隊長・大曽根より、突然の命を受けた甲斐和美三等陸尉は、富士駐屯地に向かい、第百二十八地区警務隊の捜査に協力することになった。それは単なる自殺と思われた事件だったが、内部からの告発により、殺人の可能性があるという……。完全密室である七四式戦車(ナナヨン)の車内で見つかった遺体。自殺したと思われる人間の執務席の内線電話機から、自殺ではなく殺人との内部告発。甲斐和美は富士駐屯地に急行し、自衛隊組織の暗部に迫っていく――。元自衛官&『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作家が描く、ミリタリー捜査サスペンス!

曹源寺評価★★★★★
このミス大賞でデビューした作家センセーの作品をあまり真剣に追ってはいませんので、神家センセーも初読ですが、本書は装丁がかっこいいので書店でも目立っていました。タイトルもかっこいいですね。
自衛隊を舞台にしたミステリといえば福田和代センセーあたりがお得意でしょうか。あとは今野敏センセーも作品があったように思います。最近では未須本センセーの「推定脅威」などが面白かったです。福井晴敏センセーもデビュー作から「市ヶ谷」について触れていますが、かの作品群はちょっと特殊ですね。
さて、本書の舞台は陸上自衛隊富士駐屯地です。
主人公は警務隊に所属する甲斐和美三等陸尉です。警務隊は自衛隊内部にある警察組織のようなもので、内部で発生した不祥事や犯罪を取り締まる役割を担っています。本作は戦車の中で発見された凍死体が自殺ではなく他殺であるとの告発を受けて警務隊が動き出すという設定。戦車を密室に仕立てたのは珍しいと思いますですが、ほかに事例はあるのでしょうか。この事件の解明のために甲斐が派遣されます。
同時進行で、自衛隊納入向けにソフトウェアの開発を受託する企業を経営する坂本が、元請の芝浦ソフトウェア(東芝っぽいね)から突然の取引停止を告げられる。納得の行かない坂本は自らの出身でもある陸自に単身、乗り込んでいくが、、、
このふたつの事件がクロスして、最後はひとつにシンクロしていきますが、これに坂本自身の過去の記憶として、陸自時代の演習場における事故とか少年工科学校時代のエピソードとかが混ぜ込まれていますので、話があっちこっちに飛んで飛びまくっています。
ただでさえ複数のストーリーがあるところに、「自衛隊とはなんぞや?」と問いかけるような哲学やら薀蓄やらがこれでもかっ!と積み上げられてしまっているものですから大変です。自衛隊の階級制度や昇進昇格のルート、少年工科学校(いまは高等工科学校と言うらしいですね)の実態、戦車の構造、組織の詳細などなど、

こんなにいらない

というくらい細部にわたって描写されるので、しっかり読めばその臨場感にどっぷり浸れること間違いなしでしょう。
しかし、本筋のミステリの方はとんと進まないものですから、ちょっとじれったいです。本筋の味付けであるべきはずの薀蓄が、ちょっと多すぎておなかいっぱいになってしまうのは果たしてどうなんでしょう。ステーキを腹いっぱい食べたいのに、前菜のサラダとポテトがてんこ盛りな状態といえば分かりやすいでしょうか。文字をみっちり詰め込んだ400ページを超える単行本、これは

時間がない人にはお勧めできません。

しっかり読んでこその濃密な軍事ミステリといえるでしょう。





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posted by 曹源寺 at 17:38| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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