ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年03月28日

書評791 下村敦史「告白の余白」

こんにちは、曹源寺です。

1週間、更新を止めてしまいました。久しぶりにまとめて有給休暇をいただきまして、ちょいと花粉症のないところまで行ってきたので東京に帰ってきたら寒いわ喉は荒れるわで大変でした。
そんな花粉症のないところ=沖縄県ですが、観光目的では初めてでしたので楽しかったです。3月の沖縄はまだちょっとだけ肌寒いので長袖シャツ1枚、夜はその上に羽織るものが必要でした。でも、シュノーケリングもできたし、安かったのでまずまずの旅行でした。

しかし、自分のなかには沖縄のイメージとして「ちょっと前までアメリカだった沖縄」と「ドーベルマン刑事の沖縄コネクション編」というのがあります(知らない人はググってくださいまし)。小さい頃のトラウマみたいなもので、沖縄=地上戦のあった悲惨な土地、沖縄=アメリカに蹂躙されてきた土地、という変な刷り込みがなされていました。特にトーベルマン刑事は単行本11巻あたりがもう最初から最後までバイオレンスの塊みたいな作品でしたから、ひどく印象に残っています。
やはり沖縄に来たからにはそんな戦争の記録も見なければなるまい、ということで「ひめゆりの塔」に行ってきました。ひめゆりの塔は那覇空港から南東に向かってクルマでだいたい40分くらいかかる場所にあります。
記念館の展示はかなり詳細で、お亡くなりになった学徒と教員200余名の記録が詳細に展示されています。誰がいつ、どこでどんな死に方をした(!)まで記録されているので、おいおい個人情報保護法はどうしたwwwていうくらいすごいです。
映像記録もこれまたすごいです。海岸に広がる死体の山とかダダ流しなので小さな子どもにはトラウマレベルです。たぶんですが、米兵を嫌いになることはあっても好きになることは絶対にない、といえるレベルで刷り込みさせる映像です。
記念館の展示は比較的感情抜きで淡々と事実を述べているものが多かったのですが、映像はショッキングだと思います。
沖縄県民が屈折した感情を持ってもしょうがないのかもしれないなあ、と思いました。

沖縄戦における学徒動員はひめゆりだけではなく、ずゐせん学徒隊や白梅学徒隊などが組織されていましたし、沖縄戦の期間がおよそ6か月であったこと、米軍の動員数が述べ50万人であったことを鑑みれば、こうした学徒の方々による活躍がなければ沖縄陥落はもっと早かった可能性があります。当初、米軍は1か月くらいで陥落できると見込んでいたようですので、もし沖縄陥落が早かったならば沖縄が拠点となって本州への攻撃がさらに激化した可能性もあったでしょう。
我々本土人は、彼女たちに深く頭を垂れて感謝をしなければいけないし、彼女たちのような悲劇を二度と繰り返してはならないということを誓わなければならないと思いました。
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内容(幻冬舎HPより)
「京女の言うことは、言葉どおりに受け取ったほうが幸せえ?」 家を出た兄が実家の農地の生前贈与を求めて突然帰ってきた。しかし、「2月末までに清水京子という女性が来たら土地を譲渡してほしい」という遺書を記し自殺。兄はなぜ死んだのか。そして、女は何者なのか。期限の意味は。 死の真相を知るため、弟の英二は一人京都へ向かうがーーそこは老舗女将、京美人、狡猾な老職人など曲者渦巻く町。腹黒、嫌味、皮肉が飛び交う町が真実を覆い隠し謎は深まるばかり……。 会話すべてが伏線! 一人一人の“本音"を見過ごすことなく、あなたは真相に辿り着けるか。 大注目の乱歩賞作家が「言葉」に罠を仕掛けるノンストップミステリ。 次々と表裏、黒白、真偽が逆転。最後の1ページまで気が抜けない!


曹源寺評価★★★★★
本当に続々と出るなぁと感嘆の言葉しか出てこない下村センセーの著作ですが、今度は京都を舞台にしたミステリです。
4年間も放浪したあげく、ふらっと高知の実家に帰ってきた双子の兄、英一。農家の土地を生前贈与して欲しいと訴え、実現したらその翌日に自殺するという不可解な行動に、弟の英二がその謎を解き明かすため京都に行く。なぜ兄は自殺したのか。遺書に込められた兄の思いは何だったのか。
うーん、最初の導入からあまり面白くないなあ。ガマンして読み進めたら中盤辺りから面白くなってきましたが、ラストもなんだかよく分からなかった。
京都の人とのつきあいはよく「『ぶぶ漬けでも食べていきなはれ』と言われたらすぐにお暇しなければいけない」というよくわからん作法があります。言葉とその真意が真逆だったりすることがままある、ということの例えですが、

そんなん関東人にはわかりません。

「この前の戦」といったら応仁の乱だとか、同じ京都市内でも山科区は京都ではないとか、いつまでも日本の中心地であることのプライドが残っている街であるということは理解できなくはないですが、それって完全に内輪の話ですね。
そんな京都人のどうでもいい慣習の内輪話が延々と続き、でもじつはそれがミステリの伏線になっているというお話ですので、正直

そんなん知るか

という感想です。あとは、それ以上に

京都人怖えぇ

という感想でしょうか。真に受けると京都人と会話ができなくなりそうです。
一応、フォローしておきますと、京都の人たちが婉曲的に表現するのは「直接的な表現をすることで相手が傷つくのを避ける」という大義名分がありますので、嫌味なのではなくて優しさゆえということが真実です。
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posted by 曹源寺 at 17:49| Comment(0) | TrackBack(0) | さ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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