ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年07月11日

書評818 佐々木譲「沈黙法廷」

こんにちは、曹源寺です。

加計学園の話題(問題とは言わない)で、地上波がすべて前ナントカさんの応援団になっているらしく、昨日の閉会中審査では7時間もかけて審査が行われたにもかかわらず、報道された内容が各局とも似たり寄ったりという異常な状態がネットで話題になっています。

議事録をしっかりと読み、加戸前愛媛県知事の話を聞き、時系列で事象を追っていけばこの話題は問題ではないことが理解できるはずなのに、事件化したくてしょうがない連中がいるということがよくわかります。

どんな連中かというと、それは「新聞社の政治部」連中です。

ほとんどの新聞社が、政治部をエリート集団と位置づけており、経済部や文化部などを見下している構図になっています(社会部はまた違う毛色ですね)。その政治部連中というのは「政治」ではなく「政局」を語るのが好きなんですね。だから選挙になると色めくし、与党の支持率が下がるとすぐに政局にしたがるわけです。かつての自民党では右派も左派もごちゃまぜで、古くは「角福戦争」だったり「金竹小(こんちくしょう)」だったりと派閥争いを中心に取材していけば面白かったし、国民の関心事でもあったのですが、今は派閥もあまり機能していないのでどうしても「安倍一強」になってしまうわけで、それを快く思っていない連中(記事にならないからつまらない連中)が政局を作り出したくていろいろと仕掛けているのではないかと勘繰ってしまうんですが。でもそのいろいろというのが、「○○大臣が失言したンゴー」とか「支持率が下がったンゴー」とか「国会前でデモガー」とかそういうのしかなくて、最近の報道に不信感を抱いているネット民からすると「また印象操作してるわねー」という感想しか持つことができなくなっています。

政治部は政局ばかり記事にしないで、政治の中身の記事を書いてくれないですかね。

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内容(新潮社HPより)
絞殺死体で発見されたひとり暮らしの初老男性。捜査線上に家事代行業の女性が浮上した。彼女の周辺では他にも複数の男性の不審死が報じられ、ワイドショーは「またも婚活殺人か?」と騒ぐ。公判で無実を訴える彼女は、しかし証言台で突如、黙秘に転じた。彼女は何を守ろうとしたのか。警察小説の雄が挑む新機軸の長編ミステリー。


曹源寺評価★★★★
久しぶりの佐々木譲センセーでしたが、四六判550ページを超える大作でありました。長い長い作品ではありますが、ストーリーは意外にシンプルです。
東京・赤羽で一人暮らしの男性が絞殺死体で発見される。赤羽署の伊室刑事はこの家に出入りしていた人物の洗い出しを行っていたが、そこに浮上したのがフリーの家事代行業、山本美紀であった。事情を聴こうと彼女に自宅に赴くと、そこには埼玉県警の刑事がいた。大宮でも一人暮らしの男性が不審死していたらしく、彼女に事情聴取を試みていたのだ。これは連続殺人なのか、それとも偶然か?功を焦った埼玉県警と警視庁は逮捕、起訴に持ち込もうとするのだが、、、
地方警察が連携できずに犯罪者を追及できないといった事例は現実にも多いそうですが、本書はその辺の難しい事情を見事に描写しています。
警視庁はこの殺人事件について直接的な証拠の確保ができず、状況証拠の積み重ねだけで公判に臨みます。一方で、マスコミは彼女の周辺を徹底リサーチして類似事案を探すとともに、彼女の人物像を固定化しようとします。こうなると、検察も無視できなくなるわけで、公判を維持しようとすれば被告人の自白か直接的な証拠の確保が必須になるのにそれができていない。
この難しい事件を、

前半は警察小説として、後半は法廷小説として

書き上げているところが、佐々木センセーのうまさでしょう。これだけ厚い本になってしまったのは、法廷シーンのリアリティ追求が半端ないレベルにあることはもちろんのこと、事件の謎とそれを解く鍵をしっかり描写しておく必要があったのだろうと思います。
法廷シーンからラストにかけてはある程度納得の展開ではありますが、正直、期待していたほどではなかったかもしれません。なんとなくもやっとしたところが残ります。最後の最後はおそらく、佐々木センセーがもっとも言いたかったことではないかと思いますが、「社会派の法廷サスペンス」を全面に押し出されないと読者としてはちょっと不満です。なんとなく消化不良な読後感なんですが、それは山本美紀あるいは中川綾子に対する疑惑(特に金銭的疑惑)に関する払拭が完全になされていないからなのかもしれませんが、そういうのはすっ飛ばしておいたほうが良いんですかそうですか。






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posted by 曹源寺 at 17:47| Comment(0) | TrackBack(0) | さ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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