ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2008年02月01日

書評55 大沢在昌「魔女の盟約」

2008年って、ドラえもんではタイムマシンが発明された年だそうで。もしかしたらできているのかなあ。あったら欲しいなあ。理論的には可能かもしれないけれど、光より早く移動したら人間じゃなくなるような気がしますね。


内容(文藝主春秋HPより)
地獄島を破壊し釜山に逃げた水原は何とか日本に戻るが、自分が「組織」のある企みに利用されていたことを知り、報復に動き出す!

前作『魔女の笑窪』で地獄島から脱出した水原は釜山に身を隠します。そこで中国人女性捜査官・白理(バイリー)と知り合います。白理は家族を中国マフィアの首領・黄(ファン)に殺され、直接手を下した金(キン)を追って韓国に来ていたのでした。ある夜、水原が組織の人間と食事中に金が姿を現し、ヤクザたちを殺します。その場を逃げ出した水原は白理とともに上海へ。その後、水原は裏社会の「組織革命」のために利用されていたことを知ります。その企みに黄も噛んでいることを知った白理と水原は日本に舞い戻ります。黄も東京にいるというのです。白理の復讐は? 裏切りに水原はどう決着をつけるのか? スケール感溢れる一冊です







曹源寺評価★★★★★
本書は「魔女の笑窪」の続編です。「笑窪」を読まないと「盟約」はあまりおもしろくないかもしれません。ということで、両方とも紹介してしまいましょう。
幼くして「地獄島」に売り飛ばされ、そこを抜け出してきた水原という女性が主人公です。「笑窪」では、かつて誰一人抜け出すことに成功していなかった地獄島から、水原を狙うヒットマンが送り込まれるという設定でした。まあ、ストーリーは相変わらずの大沢節炸裂といった感じで、スピードもスリルもそれなりに味わうことができます。ラストも「パンドラ・アイランド」などと似た展開ですがこういう終わらせ方しかないような作り込みですので、あまり批判はできません。
「盟約」では、「笑窪」のラストが派手だったために、舞台が中国や韓国になってしまいます。裏社会も日本だけでなく、大陸からマフィアがいっぱいやって来ているのでそりゃもう大騒ぎ!ということです。ただ、「盟約」のラストはなんだかあっけなかったので少々拍子抜けみたいな感じはします。
女性が主人公の作品といえば「天使の牙」「天使の爪」という、脳みそを入れ替えさせられた女性麻薬捜査官アスカという設定の作品がありました。本書はもう少しハードボイルドタッチでして、SFっぽさはあまりありません。ありませんが、「魔女」とタイトルにつくように、水原も特殊な能力があります。この「地獄島」の設定と彼女の能力が重なって、なんとなく「ありえねー」的な展開になってしまっているのは、もう割り切るしかないでしょう。「新宿鮫」とか「佐久間公」シリーズのリアルさに慣れてしまうと、こうした現実離れした設定に違和感を覚えるファンも多いのかもしれません(自分もその一人です)。だから、大沢氏の作品にはリアルさを追求する刑事、探偵ものと、非現実の世界で純粋に楽しむエンタメ作品という大雑把に2通りのパターンがあって、どちらも力のこもった作品である、と考えることにしました。









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posted by 曹源寺 at 18:46| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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