我が家の庭のモッコウバラが満開!です。家の前を通り過ぎる人が立ち止まって見ていたりすると、ちょっとうれしいですね。
内容(幻冬舎HPより)
「落とし屋」鬼検事として恐れられた伝説の特捜エース検事は、弁護士に転身して「裏」世界のヤクザや事件の主役たちを弁護するようになる――。アウトローにしか生きられなかった男の自叙伝。
曹源寺評価★★★★★
ヤメ検弁護士の田中森一氏が著した自叙伝として、売れに売れている本です。つい先日、彼には詐欺罪で有罪判決が言い渡されましたが、執行猶予なしの実刑判決ということで、本人もかなりビックリではないかと思います。
本書は田中氏の生い立ちから始まり、バブル崩壊を経て日本のあらゆるアングラ勢力と手を組み、彼らの弁護士活動を続けてきたかが実に細かく描かれています。
田中氏の実家は貧乏の極みをゆく生活で、厳格な父親のもと、小学生の頃から漁に駆り出されて、それでも得意の算盤を続けながら定時制高校に通って、ついには岡山大学法学部に入学します。大学3年生のときに本格的に裁判官を目指して司法試験に取り組み、見事に合格。裁判官の道は閉ざされますが、検事として活躍し、東京地検特捜部のエース検事としてその名を全国にとどろかせるという、ここまでは立志伝中の人物としてその名を残すにふさわしい活躍ぶりを伝えます。
しかし、その後2つの大きな事件を立件できずに検事の職を辞し、弁護士活動に転じたことから彼の人生が大きく曲がり始めます。時はバブル絶頂期、大阪で弁護士事務所を開いたことから許永中やら末野謙一やら中岡信栄やら、と、名だたるバブル紳士とのつきあいが始まります。本書に出てくる名前は半端じゃありません。およそあの時代の有名人がほとんど出てきますので、なるほど守護神というのも良く分かります。
田中氏はヤクザ絡みの刑事事件などを積極的に弁護してきたということで、おそらく検察からはマークされていたのでしょう。そして、検察の内部事情にも精通していますので、「国策捜査」の名の下に彼を闇に葬ってしまおうとする勢力がいても、ちっとも不思議ではありません。
彼を一躍有名にしたのは、許永中が引き起こした石橋産業事件だと思いますが、田中氏は許永中の顧問弁護士ではなかったのになぜここまで許永中に振り回されたのか。彼は許永中のことを「優れた嗅覚を持つ事業家」と持ち上げていますが、その一方で山口組の宅見組長から1億円を借りて欲しいと頼まれ、それを代行し、返済日に5,000万円しか用立てできずに許永中と一緒に謝りにいくなど、完全にズブズブの関係になっていることがわかります。というか、優れた実業家なら、そんな資金繰りに窮するような事態には陥らないと思うのですがどうでしょう。彼は許永中の撒き散らす毒に当たってしまったのだと思いました。
本書に登場する名だたる人物の実像を知らない人にとっては、多少読みづらい部分があるかもしれません。そういう意味では、本書は30代後半以上の人向けではないかと思います。自分は、この時代のアングラマネー事件は仕事柄勉強しないとまずいだろうなあということで、当時「別冊宝島」シリーズをかなり読み漁りましたが、本書ではたぶん、今まで明かされなかったであろう裏話がポンポン飛び出してきます。実名もバンバン出てきます。ここまで書いちゃっていいのかなあと思っていたら、案の定というか有罪判決です。
でも、本書を読むと、田中氏に多少同情的になってしまうのは私だけではないでしょう。たとえ有罪判決でも、あの起訴休職外務事務官の佐藤優氏のように執筆活動で復活を遂げて欲しいものです。そして、これからも検察の内部事情などを赤裸々に書き綴っていただければと思います。
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