ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

カテゴリー:日記

2017年08月22日

書評829 誉田哲也「増山超能力師大戦争」

こんにちは、曹源寺です。

「コンコルド効果」というワードをご存知でしょうか。
日本語では「埋没費用効果」と言いますが、意味は「今までに投資した金銭や時間、人的資源、努力などが無駄になるからと、そのまま続けても損失にしかならないことが分かっていながらやめることができない状態」を指します。
超音速旅客機コンコルドが、赤字続きだったのに運航中止できなかったことになぞらえてこのような呼び名になったそうです。

「やめたくてもやめられない状態」というものが世の中にはゴロゴロありそうですが、単に「伝統だから」「長年続けているから」というだけでやめられないのは「コンコルド効果」とは少し意味合いが違ってくるのかもしれません。しかし、時代にそぐわなくなっているものや存在意義を失っているもの、もういい加減やめたらどうなの?と思えるものは逆に「なんでまだやってんの?」と言いたくなりますね。

その代表格が「夏の甲子園」と「24時間テレビ」ではないかと思うのです。

夏の高校野球(以下、甲子園)は高校生を使った感動ポルノ(感動の押し売り)、24時間テレビは障がい者(障碍者という漢字が嫌いなので百歩譲って)を使った感動ポルノであります。
甲子園はまあ、他のスポーツと同様にインターハイだと思えば良いのですが、インターハイならインターハイとして時代とともに変わっていけば良いのだと思います。坊主頭の強要、炎天下での強行スケジュール、かたくなな一会場制(サッカーなど他のスポーツは複数会場制です)、神聖なイメージの醸成等々、全部大人の都合で維持されている制度です。
24時間テレビも然り。もはや何のために走っているのかさっぱり分からない100キロマラソン、一般人から募金を集め出演者にギャラを支払う謎のシステム(海外のチャリティー番組は文字通りチャリティーで出演者はただ働きですね)、障がい者にアイドルの格好をさせてステージで躍らせるという何の見世物やねん状態、24時間ぶっ続けでやることの意味さえも失われた構成(かつては24時間というスケールにインパクトがありましたが、もはやそれは微塵もないですね)等々、完全に偽善番組のレッテルを貼られて久しいのに何一つ変えようとしないのは完全に「大人の都合」によるものでしょう。

まあ、いずれのコンテンツもテレビ番組としては視聴率を稼いでいるのでしょう。数字が落ちない限りは変わらないのかもしれません。

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内容(文藝春秋HPより)
ドラマもヒット。スピンオフ作品も公開予定
超能力にまつわる機械を開発していた技術者が行方不明に。増山が調査を始めると、所員や家族に魔の手が……。大好評シリーズ第二弾。


曹源寺評価★★★★
テレビドラマ化もされた本書シリーズに、第2弾が登場しました。うれしいですねこういうの。
前作は増山圭太郎率いる超能力師それぞれのメンバーにスポットを当てていて、どちらかというとほんわかした作風でありましたが、本書はだいぶシリアスな展開を迎えます。しかも長編です。
超能力を持つ人間とそうでない人間がいる近未来の世界、という設定でスタートしていて、ものすごく現実的な展開をしていくのが特徴的な本書ですから、超能力を測定したり数値化したりするのは当然の成り行きですね。さらに一歩踏み込んでいけば、超能力を科学の力で再現しようとするのも必然であります。
本書はこうした動きを中心に、産業スパイとか防衛産業とかそんな領域にまで足を踏み入れています。
ただ、「大戦争」というほど超能力対決がビシバシ描かれているかというと、全然そんなことはありません。それに、第1弾を読んでいない人にとっては少しわかりづらいところもあるかもしれません。そもそもの世界観を解説している箇所はほとんどありませんので、やはり第1弾から読むことをお勧めします。
また、ストーリー展開もどうしても説明チックになってしまうので、決してスピード感あふれるようなお話でもないです。
本書の世界観は、

超能力を国家資格にすることで非超能力者との共存を図ろうと模索している超能力師たちの奮闘

というのが根底にあるのだろうと思います。ですから、ある意味非常に社会学的で哲学的なお話なのだろうと。派手なアクションを期待するとあとでがっかりしますので、上記のような社会背景を理解したうえで読むほうが良いだろうと思います。
あと、ドラマはココリコ田中が主人公増山を演じていますが、個人的には谷原章介が脳内再生されてしまいます。あと、増山の師匠格である高鍋リサーチ代表の高鍋逸雄は鹿賀丈史ではなくもっとゴツイ・・・古田新太とかですかね。でも、ドラマの原作再現に対する忠実さは他のドラマにはないくらい高いレベルだと思います。





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2017年02月07日

書評779 歌野晶午「Dの殺人事件 まことに恐ろしきは」

こんにちは、曹源寺です。

この時期は高校受験の真っ最中ですね。我が家も3年前は大変でした。そういえば3年前は東京でも大雪が降って、交通機関が大幅にマヒしたのを思い出します。家から脱出するのにも一苦労だったくらいの大雪でしたので、さすがに受験は中止だったり延期になったりしました。我が家では娘が私立高校の2次試験でしたが、中止になったおかげで(?)無事合格しました。
春からは大学生ですよ。早いものですね。

さて、その受験ですが、東京では高校受験のほうがお得なのか、あるいは中学受験のほうが後々有利なのか、といった命題があります。資金的な余裕があれば後者なのかもしれませんが、いまや公立高校は無償化の時代ですから一般家庭では教育費の負担は少ないほうが良いでしょう。

個人的感想ですが、将来的にMARCH以上の私立大学を狙うなら附属高校はありだと思います。大学の附属中学もけっこうありますが、高校より門戸は狭いです。我が家は高校受験でリベンジして、中学で落ちたところを全部合格しました。特待生で入学金免除というところもありました。
高校生活も附属だといろいろなことをやります。英語のプレゼンテーションや短期留学、卒業論文なんかもあります。TOEICも取らされました。赤点が続けば留年もあります。一昔前は「附属はバカ」というレッテル張りをされることもありましたが、いまは「ちょっとおバカではあるが、受験勉強だけやってきた奴よりは経験値が高い」と思います。

国公立大学狙いだと、中学高校の5年で通常の6年間のプログラムを終えて、あとの1年を受験対策に費やすくらいのことをする私立高校もありますので、高校からそういったところに入るのは後で苦労することがありますね。大学受験の面倒見が良い高校は相変わらず人気が高いです。しかし、高校の授業だけではダメみたいで、結局進学塾に行ったりするわけで、私立の中高一貫校+進学塾で一体授業料はいくらになるのか、、、親にしてみれば子どもが幸せになれるならと思って頑張りますが、本人のやる気がくっついてこなければ無駄な投資になるのが教育費です。博打だとは思いたくありませんが、難しいものですね。


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内容(KADOKAWA HPより)
トリックと幻想は紙一重。ミステリの鬼才×乱歩、驚愕のミステリ短編集!
歌野晶午×江戸川乱歩――貴方を「非日常の興奮」に導く、超ミステリが誕生!
『葉桜の季節に君を想うということ』の異才が、刺激的なサプライズと最新テクノロジーで現代に蘇らせる乱歩ミステリ集!
カメラマンの「私」が渋谷の道玄坂で出会い、交流するようになったのは、賢いが生意気な少年・聖也。
その日も私は道玄坂のダイニングバーで聖也と話していたが、向いの薬局の様子がおかしい。駆けつけた私たちが発見したのは、カーペットの上に倒れた、上半身裸の女性だった。
その後、私と聖也は事件を探り始める。しかし、私はあることに気がついてしまい、元の世界には戻れなくなっていた――(表題作)。
「人間椅子」「押絵と旅する男」「D坂の殺人事件」「お勢登場」「赤い部屋」「陰獣」「人でなしの恋」「二銭銅貨」……サプライズ・ミステリの名手が、新たな魅力を吹き込む!
もくじ
「椅子? 人間!」
「スマホと旅する男」
「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」
「「お勢登場」を読んだ男」
「赤い部屋はいかにリフォームされたか?」
「陰獣幻戯」
「人でなしの恋からはじまる物語」


曹源寺評価★★★★★
歌野センセー、久しぶりでした。最近は技巧に走りすぎていないかと評されることも多い歌野センセーですが、全然そんなことは思っていなくて、とても読みやすいし展開も驚きが多くて好きです。後味の悪い作品が多いのがちょっと残念なくらいで。
さて本書は短編集ですが、上記HPの紹介文のように、あの江戸川乱歩センセーの作品をオマージュしたと思われるタイトル7作品が収録されております。
いずれも江戸川作品のタイトルから持ってきたのが一発で分かるのと、乱歩の作風をどことなく感じられるところが歌野センセーのテクニックだなぁと思わせてくれます。
我が家には母親から譲り受けた「江戸川乱歩全集」15巻が揃っていて、大学時代にチャレンジしたのですが、著名な作品をいくつか読んだだけで挫折してしまいました。以来、書棚に眠ったままの状態です。
7作品のなかにはドキッとさせられる展開もあれば、ムナクソ悪いラストの作品、なるほどこれはキツイという作品などがあります。個人的には「スマホと旅する男」の不思議なお話や、表題作「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」の後味の悪さなどが良かったです。表題作は

こんな小学生いねえよ

というツッコミを無視して読み進めてほしいです。





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2017年02月03日

書評778 本城雅人「紙の城」

こんにちは、曹源寺です。

米国はトランプ大統領が就任からわずか2週間で公約どおりの大胆な政策を行動に移していて、「まさか本当にやるなんて」と世界各国を驚かせています。
この調子だと本当にメキシコとの間に巨大な壁を作ることになりそうです。

マスゴミは連日、トランプ大統領のこうした行動を否定的に報道していて、日本への影響も広がりそうだと懸念しています。影響というか、悪影響ですね。
でも、暗殺でもされない限り、こうした動きは止まることはないわけですから、日本は日本で国益を追求していけば良いだけの話です。いまさらビビッてもしょうがないのです。
米国がグローバリズムを捨てて国益に走るなら、日本だって搾取されないように強力なリーダーシップを発揮できる政治家を後押ししていけば良いのです。同盟国をないがしろにすることは却って国益を損ねることになる、ということをトランプ大統領が学ぶにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、粘り強く交渉を重ねていくことで相互理解を深めていくことが重要でしょう。

テレビのコメンテーターならこんな感じのコメントで終わるのでしょうが、そこにはなんの具体策も方法論もありません。トランプがこんなことをした、あんなことを言った、と報道するだけでは国民が感情的になるだけです。トランプやるなあとか、トランプ頭がおかしいとか、そんな感想を持たせるためだけの報道ならしないほうがましです。視聴者も観ないほうがましです。
そろそろこうした報道だけではなく、本質的な政策議論を中心とした「いま日本がなすべき施策」について提言を重ねていく時期にきていると思います。

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内容(講談社HPより)
新聞社が消滅する――。
東洋新聞はIT企業から買収宣告を受けた。経営権が移れば、宅配数の少ない営業所は閉鎖、ニュースはウェブファーストに移行し、海外特派員制度もなくなる。しかし日刊新聞法に守られた新聞社は世論を味方につけられない。
東洋新聞社会部デスクの安芸は、昔ながらの記者だ。パソコン音痴で、飲み会の店も足で探す。IT企業を裏から操るのは、かつて東洋新聞の記者だった権藤だ。
時代の流れは止められないのか。旧いものは悪なのか? 安芸とともに働く者達の、記者魂を懸けた攻防戦が始まる。
発売後、続々重版出来! 「産経新聞」「日経ビジネスオンライン」「サンデー毎日」「週刊朝日」「アサヒ芸能」「J-novel」ほか新聞25紙で紹介された話題沸騰の話題作!!


曹源寺評価★★★★
先日「ミッドナイト・ジャーナル」が初読でした本城雅人センセーの最新刊は、やはり新聞社を舞台としたリアルシミュレーション小説でありました。
東洋新聞社の社会部ベテラン記者である安芸稔彦を主人公に据え、東洋新聞社の買収に動き出したITベンチャー企業との攻防戦を描き出しています。
新聞業界の暗部というか、ガチな現状を浮かび上がらせているという小説は珍しいです。本書に出てくる新聞業界の課題や問題点を列挙してみましょうか。

日刊新聞法という名の既得権益
記者クラブとかいう閉鎖集団
テレビ局の傘下にある(あるいはその逆)という海外では禁止されている系列制度(クロスオーナーシップ)
速報性という意味で時代遅れになってしまった紙媒体と宅配制度
ゴシップは週刊誌に流して高みの見物という報道貴族主義
調査報道が廃れ単なる政府発表の御用聞きになった社会の木鐸


こんなのが山盛りですよ。新聞業界のドロッとした部分がこれでもかというほど出てきますので、

業界研究にはもってこいですね爆

さらにすごいのは、IT企業に買収されまいとした現場の記者集団がIT企業の社長周辺を嗅ぎまわり、過去の犯罪を暴きたてようと躍起になるというストーリー展開であります。

すごいなあ、こんな書き方しちゃって平気ですかぁ?

比喩的にみれば、これってまさにホリエモンの事件と同じじゃないの?と感じてしまうのですがいかがでしょう。マスコミを買収しようとすると総力を挙げて潰しにかかる構図がそこにはあるということがよく分かります笑
まあ、そんな思い切った作品ではありますが、いろいろと考えさせてくれる内容ではあります。たとえば、もし新聞社が90年代後半からインターネット戦略を掲げていたら、いまごろポータルサイトの2つや3つは新聞社の系列下にあったのではないかという推測はあながち間違いではないと思います。また、右開き縦書きから左開き横書きに新聞のレイアウトが変わったらどうなるか、とか、タブレットを無料で配る戦略とか、海外の新聞社とのボーダーレスな関係のあり方とか、業界が生き残っていくためにはどんな変化が必要なのだろうと考えるのはそれなりに楽しいです。
ダーウィンの有名な言葉を思い出します。「強い者、頭の良い者が生き残るのではない。変化するものが生き残るのだ」という言葉です。新聞業界はすでに進化の袋小路にはまっているのはないかと感じることができる一冊でありました。
そう考えると、本書は単にIT企業=悪、新聞記者=正義といった単純な構図ではないことが理解できます。この単純な構図の裏に仕掛けられているのは、すでにネットに負けている紙媒体の未来を嘆きつつ、現場の記者が足で稼いだ記事には一定の評価を与え、そのくせ己の保身のためには休日返上で個人のプライバシーを漁る恐るべき悪の集団という位置づけであり、表面的な結末だけに目を奪われてはいけないのだぞという本城センセーのメッセージを感じてしまうのであります。ちょっと穿ちすぎかなとも思いますが、

古巣の新聞社をこれだけ間接的にけなしている

わけですから、あながち間違いでもないのかもしれません。
ラストはちょっとがっかりな終わり方でしたのが少々残念です。





(以下、ネタバレ)
親会社のテレビ局から新聞社の株式を譲り受けるチャンスをみすみす逃した黒幕の真意が読み取れませんでした。

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2016年05月17日

書評712 井上真偽「その可能性はすでに考えた」

こんにちは、曹源寺です。

五輪招致を巡るスキャンダルが浮上しまして、欧州では大騒ぎになっていますね。国会でも民進党(台湾とは違う)が追及の構えを見せましたが、なぜか電通の名前が伏せられて「D社」になっていましたよ、と。
マスゴミもMXテレビを除いて電通の名前を総スルーというなんとも恐ろしい状態になっていました。

これ、笑い話じゃなくて本当に恐ろしいですね。申し合わせたかのような総スルー。NHKさえもスルー。スルーする意味が分からん。報道の自由を阻害しているのは電通と記者クラブであることが良くわかる事例です。
安倍政権のせいにしている岸井ヒゲも何とか言って欲しいですね。

また岸井ヒゲの話題になってしまったwww

これで本当に疑惑→逮捕・起訴→五輪返上、とかなったら誰が責任を取るんですかね。竹田家のお方に責任が及ぶ前にスケープゴートが出てきそうですが、電通バッシングが酷くなったら見ものですね。

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内容(講談社HPより)
かつて、カルト宗教団体が首を斬り落とす集団自殺を行った。その十数年後、唯一の生き残りの少女は事件の謎を解くために、青髪の探偵・上笠丞と相棒のフーリンのもとを訪れる。彼女の中に眠る、不可思議な記憶。それは、ともに暮らした少年が首を斬り落とされながらも、少女の命を守るため、彼女を抱きかかえ運んだ、というものだった。首なし聖人の伝説を彷彿とさせる、その奇蹟の正体とは…!?探偵は、奇蹟がこの世に存在することを証明するため、すべてのトリックが不成立であることを立証する!!


曹源寺評価★★★★★
井上真偽と書いて「いのうえまぎ」と読むそうです。東大卒、二作目にして「このミス」14位、「文春ミステリー」15位にランクインした井上真偽センセーですが、初読であります。ラノベのような表紙にぎっしり詰まった上下2段組の本書は、中年のオッサンにはややハードルが高めでありますが、異色作という評判を聞きつけまして読んでみることにしました。
うーん、何というか独特の世界ですね。麻耶雄嵩センセーをさらに極端にしたような感じで。
青色の髪にオッドアイ、赤いコートを着ている探偵の上笠(うえおろ)丞が、ありとあらゆるトリックの可能性を潰しにかかり、だから結論は「奇蹟」であるとする推理を展開していきます。
本書の評価された点は、「たとえ1%でも可能性が生じる仮説をすべて否定することができれば、残ったものが真実になる」という、今までにない推理を成立させてしまったことにあります。
え、そんなことが可能なの?と普通は思います。なぜなら、たとえ0.1%でも可能性が残っていればそれは「ありうる」という結論になるわけですから、すべての可能性を否定するという作業自体が無意味というか無謀というか、ないものを証明しようとする「悪魔の証明」的な話でもあります。普通に考えれば、悪魔はいないという証明を完璧にこなすことができる人はいないわけでして、本書の取り組みがドン・キホーテであることは容易に想像つくのですが、それを作品として仕上げてしまったのは果たしてどうなのか、意見が分かれそうです。個人的には

やっぱりちょっと納得いかない

ですわ。
よく読めば、「確かな前提条件」と「分かっていない不確定条件」があって、「確かな前提条件」が本当に正しいのか、ここは疑ってはいけないのか、この分別がよく分からないのもあります。ですから、「これって疑い出したらきりがないんじゃね?」と考え始めてしまい、収拾つかなくなります。
本書は登場人物からしてすでに非現実的で、ストーリーもリアリティがほとんど感じられない世界ですが、これをもってつまらないと断じるつもりはありません。むしろ、本格ミステリの路線が好きな人には向いているのかもしれません。個人的には、、、うーん、ストーリーが粗過ぎるかなあとは思います。推理対決も唐突感が半端ないですね。
とはいえ、真理を見極めるための手法として「考えうるすべての可能性を否定できれば、残ったものが正しい」という推理手法をミステリとして確立(!?)した功績はすばらしい、と思うのであります。それに、タイトルもいいですね。文中にも数回、このフレーズは登場してきますが、ちょっとした決めゼリフになっているのもまた、良いんですわ。次回作に期待かな。





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2016年05月13日

書評711 下村敦史「真実の檻」

こんにちは、曹源寺です。

マスゾエ、、、ダメだこりゃ。
返金すれば許してもらえるなら、野々村は無罪だな。
書店で万引きして「返せばいいんでしょ、返せば」と言ってごねている奴と同じですわこれ。絶対に幕引きしてはいけないし、まだまだ盛り上げなければいけませんな。
文春の追撃砲が欲しいところです。

同じく、疑惑の渦中にあった山尾志桜里議員ですが、産経がこんな記事を。
有権者への花代と香典認める 違法性は否定 「党の統一見解だ」(5/11)
民進党の山尾志桜里政調会長(衆院愛知7区)は11日の記者会見で、平成25年11月から26年5月にかけて、選挙区内の有権者計6人に渡す花代と香典料に計4万4875円を支出していたと明らかにした。山尾氏は、後援会からの支出が不適切だったとして、自身が支部長を務める政党支部が支出した形に訂正したと説明した。だが、総務省のホームページは「政治家が選挙区内の人に寄附を行うことは、名義のいかんを問わず特定の場合を除いて一切禁止されています」と紹介。「政治家からの寄附禁止」として、花代や香典料の支出禁止を例示している。公職選挙法に抵触する可能性がなお残るが、山尾氏は「『政党支部の支出は禁止されていない』ということが民進党の統一見解だ」と強調した。(以下、略

認めたら許される、とかいう風潮はどうかと思います。山尾氏の場合は法に抵触している可能性が高いにもかかわらず「党の統一見解だ」からOK、と言っているわけで、元法曹関係者とは思えない発言です。うっかりミスとは到底思えないこの2つの事案はきちんと法に照らし合わせて裁定が下されるべきだと思います。
日本には「水に流す」というさっぱりした風習がありますが、これも濫用すると法治国家としてのあり方を問われるレベルです。

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内容(KADOKAWA HPより)
大学生の石黒洋平は母の遺品整理の際、本当の父親が元検察官で『赤嶺事件』と呼ばれる殺人事件を犯した死刑囚であることを知る。父の無実を信じる洋平は、雑誌記者の夏木涼子と『赤嶺事件』を調べ始めるが……。


曹源寺評価★★★★★
闇に香る嘘」で乱歩賞を受賞した下村センセーの第4作は、司法の闇に焦点を当てる問題作でありました。
主人公の石黒洋平は、母の死をきっかけに自分の出生の秘密を知ってしまう。父は実親ではなく育ての父で、実の父は死刑囚だった!しかもその事件は検察官が元婚約者の父母を惨殺するという前代未聞の殺人事件『赤嶺事件』であった。さらにその事件は、7年争って刑が確定し14年が経過、今なお執行されておらず冤罪の疑惑もあるという。洋平はこの事件を調べ始めるが、、、というストーリーです。
「司法の闇」といってもその中身はとてもとても盛りだくさんです。ちょっと待てwww

■冤罪問題と冤罪を生む土壌の問題(警察の取調べとか痴漢冤罪とか)
■警察の組織的裏金問題と隠蔽問題(北海道警の事件とかリアル過ぎィ!)
■検察の有罪至上主義問題(無罪判決があってはならない検察!)


ひとつひとつで長編書けるレベルのテーマをこれでもかっ!と盛り込んでくれましたよ。
それだけではなく、親子の絆とは何か、血と絆のどちらを選択すべきか、みたいなサブテーマもあったり、さらには横山秀夫センセーの不朽の名作「第三の時効」よろしく、まだあった時効の抜け穴!といった技巧まであって何だかすごいことになっています。
要するに、昨今の司法関連のネタはほとんど網羅しているくらい盛り込んでいる、そんな作品です。

すげえわ、これ。

ただ、逆に、盛り込みすぎていて収拾つかなくなりそうになっています。よくまとめたなあと思うくらいです。たとえば、頭のおかしな裁判官の話を元判事が書いて話題となった井上薫センセーというお方がいます。「狂った裁判官」などが有名ですね。この人のエピソードに近い内容とか、「警察腐敗」などを上梓したこともある先日変死したジャーナリスト黒木昭雄さんの著書、元北海道警釧路方面本部長というものすごい肩書きの原田宏二さんが裏金問題をリークして話題となった事件、などもエピソードとして盛り込まれています。
こうしたサブストーリーがリアリティを補強しているせいか、ページをめくる手は止まりませんでした。ただ、こうした司法関連のノンフィクションを知らない人が中盤の展開をどう読むのかについてはわかりません。もしかしたらダレるかもしれないですね。
警察の裏金問題は笹本稜平センセーや佐々木譲センセーなども確か作品の中で取り上げているテーマですし、検察の疲弊というテーマではヤメ検の郷原信郎センセーが「由良秀之」とかいうペンネームで小説を書き上げた経緯もありますね。また、司法関連の問題では中島博行センセーや大門剛明センセーが好きでよく読みますが、本書のように

これだけ一気に詰め込んだ作品を自分は知りません。

いずれにしても、下村センセーの渾身の一撃であることは間違いないと思います。





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2016年05月10日

書評710 楡周平「ラストフロンティア」

こんにちは、曹源寺です。

さあ、パナマ文書が本格的に公開されました。
報道が錯綜しているようですが、調べようと思ったら自分でも調べられますね。
https://offshoreleaks.icij.org/

本日時点で名前が挙がっている日本企業

三菱商事
伊藤忠商事
丸紅
住友商事
双日
豊田通商
東洋エンジニアリング
ライブドア
ライブドアホールディングス
セコム
ソフトバンクBB
NTTドコモ
ソニー
東京海上ホールディングス
コマツ
花王
ファーストリテイリング
大日本印刷
ドリームインキュベータ
ドワンゴ
石油資源開発
日本製紙
ジー・モード
NHK
楽天
電通

日本の報道各社も重い腰を上げるようになってきましたので、今後の展開に要注目ですね。

当社とは無関係、と弁解している企業もありますが、その辺の真偽は今後の調査を待ちたいと思います。ただ、公表された各社がどれだけ弁解しようとも、我々が念頭に置くべきことは
『タックスヘイブン(租税回避地)に法人登記を置く目的は、脱税かマネーロンダリングしかねえっぺよ』ということです。
それが合法であるか違法であるかは別として、やっていることはクソであるということでしょう。

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内容(新潮社HPより)
官僚もギャンブラーも瞠目せよ。これがニッポンのおもてなしカジノだ!
世界中からVIP客(とびっきりのクズ)を集めろ――。いよいよお台場に開業するカジノ場の企画を任されたチームは、政府の杜撰な収入計画を信用せず、世界のどこにもないカジノを創造すべく奔走する。前例主義と省益を振りかざす官僚を打ち負かし、「飲む・打つ・買う」の夢のカジノは果たして誕生するのか? ギャンブル経済の裏表を楽しめる痛快起業エンターテインメント。


曹源寺評価★★★★
新しいマーケットを探してはビジネスとして実現するまでのプロセスをリアルに描く、そんなシミュレーション小説を書かせたら日本一ではないかと思う楡周平センセーですが、今度のテーマは「カジノ」でありました。
お台場カジノ構想はしばし蒸し返されては立ち消えになったりしていて、なんだかよく分からない状態なわけですよ。なぜカジノ構想は点いたり消えたりしているのでしょうか、本書を読むとその辺の裏事情も良くわかります。
まあ、要するに官僚の縄張り争いがあるわけですね。でも、公営ギャンブルとパチンコでもう日本人にはギャンブルでおなかいっぱいなんですね。もう、オートレースとか競艇とかいらないんじゃないかとも思っていますが、根強いファンはやはりいらっしゃるわけで、そう簡単には廃止もできないでしょう。
本書では日本にカジノを本格的に誘致しようとした政府が、外資系企業のカイザーインターナショナルにリサーチから導入までのプランニングをさせるのですが、そこにヘッドハンティングされたのが大手商社を色恋沙汰でクビ寸前になった主人公、杉田が採用されるところから始まります。
日本におけるカジノ運営について、どれだけ独自色を出せるのか。日本ならではのオリジナルプランを考えた杉田は面従腹背の官僚たちと戦うことになるわけです。各省庁からの寄せ集めでできた委員会では、官僚たちの傲慢ぷりと既得権益の保持に忙しい「省益あって国益なし」な現実を露呈してくれます。そんな連中に一泡吹かせる主人公。

なんとも痛快であります。

日本のオリジナルコンテンツを導入してカジノを成功させようとする試みは、現実社会においてもやってみたらおそらく成功するのではないかと思います。ただ、現実には公営ギャンブルがたくさんありすぎて、これ以上ギャンブル中毒者を増やすのはどうなのよ、と考えてしまいます。
田舎の寒村で、農閑期に何もやることがない人たちがパチンコにはまっている現実のほうが問題であって、外国人観光客をカジノに取り込むことよりも優先するべきだと思うのです。彼らが本業で稼いだ収益の何%かは北朝鮮のミサイル開発に使われているわけですから、丁半博打を田舎の賭場でも作って導入したほうがよっぽど国益に適うのではないかと思ってしまいましたよ。





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2016年05月06日

書評709 中山七里「ハーメルンの誘拐魔」

こんにちは、曹源寺です。

GWいかがお過ごしでしょうか。2日とか6日とか子どもたちが学校あったりして普通に忙しかったりするので、子持ちには大型連休といっても半分は普通ですね。

さて、米国ではトランプ(西洋花札)氏が共和党の候補になりましたが、本当にこれで民主党候補を破って大統領になったら世の中ひっくり返るんでしょうか。
日本にいる米軍をすべて撤退させるとか本気で言ってます。
現実味を帯びるトランプ大統領 米軍駐留費用「日本が全額支払うべき」と断言(5/5 BUZZ FEED JAPAN)
(略
共和党の大統領候補となることが確実になった後、トランプ氏はCNNのインタビューに答えた。
司会のウォルフ・ブリッツァー氏は「日本や韓国といったセンシティブな問題についてはどうですか。あなたは2国に核兵器を開発させて、アメリカを撤退させるかもしれないと示唆しました」と質問した。
トランプ氏は「まったくセンシティブな問題ではない」とバッサリ切り捨て、こう続けた。
われわれはドイツ、日本、韓国を守っていると演説で話しても、ほとんどの人、教養のある人たちだが、知らないんですよ。大きな労力を払っているのに、経費は支払われていないんです。こんなことは続けられない。40年前じゃないんです。支払わないとしたら、退く用意も必要ですよ。
(以下、略


日本から在日米軍への「思いやり予算」だけでも1,800億円程度あると言われていますから、総額で5,000億円くらいは米軍の維持のためにかかっているのかもしれません。
これを自衛隊のためにすべて使わなくても、国防という観点からは実現が可能かもしれませんので、もしかしたら撤退してくれたほうが安く済むかもしれません。

米軍は出て行け!と叫んでいる人たちもいますし、ここらで本当に撤退が示唆されてみたらどんな反応を示すのか、様々な分野で一波乱ありそうでちょっと楽しみです。
楽しみと言ったら不謹慎ですか?そんなことはありませんよ。どんなことでも起こりうるのがこの世界です。核武装はまた別の議論ですね。通常武装だけで日本をいう国を守ることができるのか、論点はまさにそこにあるわけですが。

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内容(KADOKAWA HPより)
障害を抱える15歳の少女が誘拐された。現場には「ハーメルンの笛吹き男」を描いた絵はがきが残されていた……。警視庁捜査一課の犬養は相棒の高千穂と捜査に動くが、同一犯と思われる第二の誘拐事件が起こり……。


曹源寺評価★★★★
ヒットメーカーになった中山七里センセーですが、相変わらず驚異的なペースで新作を書き上げていらっしゃいます。
本書は「切り裂きジャックの告白」「七色の毒」で活躍した警視庁捜査一課の犬養隼人刑事がまたまた登場します。すでに「犬養隼人シリーズ」になっているんですかね、そんな言い方もされているようです。
今回は子宮頸がんワクチンの投与によって薬害を引き起こされた被害者と家族が誘拐事件に巻き込まれることに端を発した世にも奇妙な誘拐事件というミステリです。
ワクチンの副反応によって記憶障害が発生してしまった少女が誘拐される。消失地点には「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。しかし、数日が経過しても犯人からは身代金を要求する連絡が一切なく、捜査は行き詰まりをみせる。そんなさなかに、今度は全国産婦人科協会会長の娘が誘拐され、同じように笛吹き男の絵葉書が残される。ワクチン投与に反対する側と推奨する側の両方から被害者が出るという事態に加え、さらに、、、
中盤までの疾走感とストーリーの見えなさが交錯するとこれほどまでに読む手が止まらなくなるのか、というくらいストーリーには引き込まれていきます。そしてラストの怒涛の展開に加え、「どんでん返しの帝王」とまで言われるようになった手腕をここでも発揮していただきました。
本書のテーマである「薬害」については、この子宮頸がんワクチンの話題があまり社会問題化されていませんが、現実の世界では子宮頸がんワクチンは積極的に投与されることはなくなったものの、薬害と認定されるまでには至っていない中途半端な存在になってしまっています。だからこそ、本書のようなフィクションでも取り上げられたことには大きな意味があるのかもしれないですね。
もしかしたら本書のようにいずれ薬害と認定されるような因果関係が見つかるかもしれないですね。そのときはこのワクチンを推奨してきた製薬会社や医療関係者のみならず、
自民党の○○さん、公明党の××さんや△△さん、などは

腹を切ったほうが良いですね。






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2016年05月03日

書評708 樋口有介「少女の時間」

こんにちは、曹源寺です。

GW真っ只中、我が家はフツーに生活しております。2日の月曜日はなんだかんだ言っても子どもたちの学校はあるし、自分も働いているし、土日はいつもどおりだし、で、あまり変わらないですね。

さて、デーリー新潮の記事ではまたしても新聞の押し紙に関するネタがリリースされました。
新聞「押し紙」販売店主が告白 朝日30%読売40%日経20%産経26%毎日74%が水増しの店も?!
2月15日に日本記者クラブで行われた記者会見では、ゲストの杉本和行・公正取引委員会委員長に“押し紙が横行している”旨の質問が切り出された。「押し紙」とは、新聞社が部数水増しのため販売店に注文させて買い取らせる新聞のこと。会見からひと月あまり後、販売店からの「注文部数を減らしたい」という申し入れに了承しなかったことで、朝日新聞社が公取から口頭で「注意」処分を受けるという事態が起きていた。仮に朝日新聞の発行部数の30%が「押し紙」であれば、その数は約200万部となり、朝日は最大で収入の約27%を失うことになる。新聞社の最大のタブーである「押し紙」行為に手を入れられ、朝日の社内に大きな衝撃が走ったという。(以下、省略

本記事はYahoo!ニュースにもアップされましたのでかなりの人が目を通した可能性があります。新聞の末期症状が露呈したわけですが、毎日新聞の74%ってなんだこりゃ。本当に酷いですわ。岸井ヒゲはコメントを出すべきですね(笑

自分はずっと主張していますが、新聞は別に主義主張があっても良いと思います。ただ、「中立」とか「公正」とかいう主張と一緒になってイデオロギーぷんぷんの記事を書くから気に入らないだけです。押し紙とクロスオーナーシップの廃止を明確にして、独自色を出していけば生き残れるのではないかと思っていますが、もう無理かも知れませんね。。。
テレビはもっと酷いです。報道に関してはTBSがダントツに酷いかもしれません。テレビは国民の資産である「電波」を好き勝手に使ってろくに電波使用料も払わず、時に「報道しない自由」を駆使して真意を捻じ曲げるからむかついているのです。公正中立という点では電波のほうが新聞よりもはるかに重要視されなければなりません。これも毎日新聞の影響でしょうか。

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内容(東京創元社HPより)
月刊EYESの小高直海経由で、大森で発生した未解決殺人事件を調べ始めた柚木。二年前、東南アジアからの留学生を支援する組織でボランティアをしていた女子高生が被害にあった事件だが、調べ始めたとたんに関係者が急死する事態に。事故か殺人か、二年前の事件との関連性は果たして? 美人刑事に美人母娘、美人依頼主と四方八方から美女が押し寄せる中、柚木は事件の隠された真実にたどり着けるのか──。“永遠の38歳”の青春と推理を軽やかに贈る、最新長編。柚木草平初登場作『彼女はたぶん魔法を使う』を思わせる、ファン必読の書。


曹源寺評価★★★★★
樋口センセーはそれほど熱狂的なファンではありませんが、たまに良作にめぐり合える楽しみがありますので読むことにしています。
センセーの著作には「柚木草平シリーズ」というのがありまして、元警視庁捜査一課の警部補にしてジャーナリスト、色男でモテまくり、嫁さんと娘とは別居中というなんとも魅力的なキャラクター設定でコアなファンには人気を博しています。
東京創元社から出ている柚木草平シリーズは番外編を含めて全部で13作品もありました(!)。1年に1作品くらい発刊されているようですので「永遠の38歳」という別名がつくのもむべからぬことです。
このシリーズによくあるパターンは「美女がやたらと登場する」という非現実的なシチュエーションです。これに異を唱えてはいけません。我々男性諸君は

このありえない設定を楽しむのがルールであります。

本書は美人編集者と美人刑事、美人依頼者とその娘、さらには定番の美人元同僚、と美人だらけでハーレム状態な主人公ですが、性格が軽いと言われつつも意外と節度があったり、いい加減なようで元刑事の勘(というよりはセオリー)を遺憾なく発揮して自分なりの推理と結論を導き出しています。シティーハンターの冴羽遼というよりは、素のままの伊藤英明のほうがイメージが近いですね。
ただ、中盤までの展開がまだるっこしいのと、ミステリっぽさがほとんどないことが読む人を困惑させます。まあ、これはこれで雰囲気を楽しむのがよろしいのだろうと割り切れば、すらすらと読み進めることができますので苦痛ではありませんが。
これが樋口センセーの持ち味といえば持ち味ですね。





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posted by 曹源寺 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月26日

書評707 余命プロジェクトチーム「余命三年時事日記」

こんにちは、曹源寺です。

我が家ではシンプルライフに目覚めた嫁がいわゆる「断捨離」を始めておりまして、狭小住宅に詰まっていた無駄なものが次々と捨てられています。
ちょっとスッキリです。

しかし、本日の日経MJインタビューでみうらじゅん氏が出ていますが、このインタビューのタイトルが「ムダ・無意味こそ面白い」というやつでした。ちょっと気になりますね(リンク先内容は会員のみ閲覧可能です)。
彼のコレクションはムダの固まりですから、彼からムダを取り除いたら何もなくなってしまいそうです。ああいう人生もちょっとうらやましいです。

要らないものを捨てていく人生、捨てきれずにずるずると引きずっていく人生。どちらかというと自分は後者でした。異性に関しては、男性のほうがいつまでも未練たらたらだという記事を読んだことがありますが、その通りだと思います。女性のほうがスパーッと切り捨てていきますね。だから、シンプルライフも女性のほうが向いているのかもしれません。
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内容(青林堂HPより)
この妄想ブログは、100%現実化してきた!
余命三年を宣告されたブロガーが、残された人生をかけて、左翼や在日が知られたくない情報を暴露。
一度閉鎖され、その後復活したこともある不屈のブログがついに書籍化!
日韓、在日に関するさまざまな問題を暴き、今後の展開を正確かつ大胆に予測。
〈目次〉
序文 余命3年と宣告されて
第1章アメリカも一目置く日本
アメリカが世界で一番警戒しているのは日本だ/アメリカは日本の何を警戒しているのか/アメリカの苦慮と対日観の変化/日本とアメリカ、それぞれの「正義」
第2章 韓国の崩壊
韓国外交破綻へ一直線/駐留米軍「ゼロ」が意味するもの/第一次安倍内閣時代の極秘交渉をあらためて読み解く/中韓通貨スワップ協定もあてにならず/UAE原発建設問題/韓国が隠蔽遮断した情報
第3章 在日の終焉
改正入管法で追い詰められる在日/在日韓国人徴兵が進行中/在日特権廃止に向けて/マイナンバーと在日特権/動き出した国税局/マイナンバー受け取り拒否をする人々/公安資料流失/新大久保嫌韓デモ/生活保護もあてにならず/ヘイトだヘチマだと叫んでも
第4章 在日韓国人への警告
反日感情の裏にあるのは日本人への恐怖心/事実を知れば全日本人が大きな復讐心を持つことに/テロ資産凍結法/ネット銀行口座凍結/もう悪いことはできない! 10万単位の凍結口座が存在?/在日が頼みとする司法の壁も必ず崩壊する/反日在日は有事になれば「外患罪」で全滅だ
第5章 通報祭り│日本人の逆襲
余命プロジェクトチームからTO君へ/入管通報用 自動通報ソフト/集団通報の目的と意味
第6章 余命1〜40号
番外編 日韓戦争
日韓戦争は起きるのか/現状と戦後史/日本の態勢/日本の態勢/韓国の態勢/戦争の見通し/戦争の後始末とその後
エピローグ 日本人の民度と国家間の優劣


曹源寺評価★★★★
えー、事前にお断りしておきますと、自分はレイシストではありません。ただ、客観的な事実にのみ基づいて冷静に過去の歴史と現代の問題を分析してみたいだけであります。
本書はAmazonランキングで瞬間的に1位を記録するなどネットでは話題になっている本でありますが、なぜか地上波、BSCS、新聞、ラジオなどのマスメディアではほとんど採り上げられないという何とも不思議な本であります。
内容は上記の通り、いわゆる嫌韓本の類でありますが、内容はものすごい衝撃的かというと、十年以上前に登場した「マンガ嫌韓流」のほうがインパクトが大きかったように思います。あれはマンガで読みやすく仕上げたことと、相手を論破する場面が非常に新鮮かつ内容的に衝撃だったというのがあります。
本書もまた、なかなか語られることのない内容で、嫌韓本に慣れていない方が最初に読んだら大変なことになること請け合いです。ある程度の「慣れ」が必要かもしれません。
個人的には第4章の「外患誘致罪」の適用範囲に関する記述がある意味新鮮でした。外患誘致罪は有罪なら死刑しかないという法律ですから、設置以降適用された人がいません。もしこれが適用されるような事態になったら、ものすごい衝撃が日本を走ること間違いないでしょう。
まあ、外患誘致の前に、

日本は早くスパイ防止法を制定したほうが良いなあとは思います。

日本人に危機感を植えつける一助になる本かとは思います。





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2016年04月22日

書評706 大沢在昌「魔女の封印」

こんにちは、曹源寺です。

震災を巡るマスゴミ報道のおかしさ、傲慢さ、自己欺瞞さ、みたいなものがネット上であちこちに貼られるようになっていて、政府を監視するのがマスコミならば、マスコミを監視するのはネットであるという力関係がだいぶ明確になってきたのではないかと思います。

今回の熊本地震でマスゴミがやらかした事件だけで打線が組めるようです。画像はリンク先でご覧ください。
1.被災地でガソリンの列に割り込み(関西テレビ)
2.ガソリン割り込みを擁護するために事実を捏造して擁護(仙台放送、梨本太一)
3.避難所にいる避難者に無慈悲な強力ライト照射(日テレ)
4.避難所に大量の車で押し寄せ避難者の駐車スペースを奪い配給妨害
5.そもそも配給の車の通行すら妨害
6.避難所の緊急の放送もヘリの音で妨害
7.避難所の椅子も奪う、避難者は地べたに座ってろ!
8.テレビ「被災地では食料が足りません!!」→でもテレビ局は被災地の食料奪う(毎日放送、山中真)
9.避難所のトイレ盗撮(テレビ朝日)


中には本当にひどいものがありますが、まあ安定のマスゴミですね。
ただ、こうした被災地での対応以上に腹が立っているのが、震災を利用したクズ報道です。

たとえば、オスプレイを飛ばして被災地に物資を送ったことを非難する報道。ヘリなら良くてオスプレイはダメですか。バカ言ってんじゃねえよ。一所懸命被災地を支援している行動にケチをつけるなと言いたい。893さんだって支援活動していますが、この活動自体は決して非難されるべきものではないでしょう。893さんはもともと任侠の人たちであって、むしろこうした対応をする組とそうでない組の違いが任侠道を行く人たちなのかそうでないのかを知るポイントになると考えるべきです。
非難すべきは、震災支援にかこつけて義捐金を騙し取っている連中ですよ。「被災地にお送りします」とは書いていなくて、「被災地の支援活動に役立てます」と書かれていたら、それは彼らの懐に入るお金に化けるということです。本当に気をつけましょう。

また、「民主党のときは激甚災害指定をすばやく行ったが、自民党は激甚指定していない。自民党の対応はすべてに対して遅い!」みたいな非難もありますが、これも間違いです。激甚災害指定は復興の際にどれだけ特別に予算を持ってこれるかの目安にはなりますが、指定しないからと言って復旧の妨げになるものではありません。復旧に必要なのは災害救助法の迅速な適用であって、激甚災害指定ではありません。「復旧」と「復興」の違いも分からん奴らが無駄に吠えているだけですが、碌に法律も知らん一般ピープルは騙されること請け合いです。

こうした欺瞞だらけの報道のほうが本当に頭にきます。上記のふたつは「ためにする」報道でしかないでしょう。震災の政治利用といわれてもしょうがないレベルです。

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内容(文藝春秋HPより)
男の人間性を一目で見抜く特殊能力を活かし、裏のコンサルタントとして生きる女性、水原。国家安全保障局(NSS)の湯浅より依頼され、堂上保という男について調査したところ、その正体は、1億人に1人しかいない新種の頂点捕食者(頂捕)であることが判明する。頂捕は容易に人間の命を奪うことも可能で、中国ではすでに、頂捕を利用した要人暗殺事件が起きていた。
やがて、この暗殺事件に関与した頂捕グループが、日本に潜伏していることが判明する。彼らは政府に身の安全を保証するよう求めた。それを断れば、日本の安全保障が脅威にさらされることになる。水原は頂捕との捨身の戦いに挑んだ――。
『魔女の笑窪』『魔女の盟約』に続く、『魔女』シリーズ第3弾!


曹源寺評価★★★★
「魔女の笑窪」「魔女の盟約」に続く大沢センセーの魔女シリーズ第3弾ということで、このシリーズもすっかり定着してきましたね。
とはいっても、前作が登場したのは2008年くらいだったと思いますので、あれから8年も経過してしまいました。忘れていましたよ。
主人公の水原はこの世の地獄とも呼ばれる場所で育ち、それゆえに「会っただけで相手のクセや性格、嘘などを一発で見抜く」という特殊な能力を持つようになった。オカマの元警察官、星川とコンビ(!?)を組み、裏社会を中心としたコンサルタントを営む。
前作を読まないとこうした前提条件が理解できない作品ですので、まずは前の2作品を読むべきかもしれません。読んだ自分も関西の暴力団とどんなトラブルがあったのかあまり思い出せませんので、読みながら

あーあーこんなこともあったねぇ

と邂逅しながら読むはめになっています。
そもそも大沢センセーの作品は登場人物の相関図を書くのに困るくらい複雑なうえ、それを思い出しながら読めというのは

過酷な修行でしかありませんわ

まあそれでも本書は「頂点捕食者」という新たな概念を生み出していただきましたので、スリリングかつ迫力あるスケールで読ませてくれました。
人類の進化もこうしたベクトルで考えると面白いですね。
展開は相変わらず、前半→なんだか登場人物が多そうだなぁ、中盤→事件が入り乱れてきたなぁ、終盤→こんがらがりすぎだよおいこれ収拾つくのかよ、ラスト→あれ、終わりかな?
という大沢ワールド全開の王道パターンでした。
よく分からんかったのは、(以下、ネタバレ全開)





頂点捕食者は結局のところ、何がしたかったんや?

という謎が、個人の欲望とか国家の都合とか日本の役人根性とかでうやむやになってしまったことでしょうか。

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posted by 曹源寺 at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月19日

書評705 「我が家のヒミツ」

こんにちは、曹源寺です。

改めて、15日から熊本・大分を襲っている地震で被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り致します。

先週の更新で、2062年から来た人の話を載せましたが、オカ板などろくに見もしないで書き込んだため、本当に再臨されていたとは知らず、適当なことを書き殴ってしまいました。
NEVERさんがすぐにまとめていました。

これ読むと、前回と同じ書き味を出していますので、同じ人っぽいですね。だから、証拠を出せと言ったのに。。。
お祭りじゃないか。半分信じて半分疑っている人で溢れかえっていましたわ。トランプは米大統領にはなれないとか、ここまで断言してくると本当面白いですね。次回は5月17日に来るそうですので、また楽しみに待ちましょう。

ってか、5月17日にまた地震が日本を襲うのか?

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内容(集英社HPより)
あなたの家族のヒミツは何ですか?
どこにでもいる普通の家族の、ささやかで愛おしい物語6編。
奥田英朗が贈る大人気家族小説シリーズ、待望の第3弾が登場!


曹源寺評価★★★★★
『家日和』『我が家の問題』に続く奥田英朗センセーの短編集シリーズ第3弾であります。家族小説という新たな(?)ジャンルを開拓中の奥田センセーが、日常の中の非日常を切り取って作った短編を6作盛り込んでいます。
「虫歯とピアニスト」
パートで歯科医院の事務をやっている主人公・敦美のもとに、ひそかなファンであったピアニストが来診してくる。敦美は自分がファンであることを公言しようか迷う。
「政雄の秋」
バリバリの営業マン、政雄はライバルとの出世競争に敗れ、出向か異動の二択を余儀なくされる。政雄の胸中は穏やかでないが、周囲の勧めで休暇を取得することになり、、、
「アンナの十二月」
幼い頃に分かれた実の父親がどんな人物か知りたくなった16歳のアンナは、母親の反対にもめげず父親に会いに行った。父親=パパはなんと大物で、アンナは浮かれる。
「手紙に乗せて」
母をなくした主人公の亨は、自分以上に父親が憔悴しきってしまったことに狼狽し、心配する。身内を亡くしたことに対する周囲の受け止め方がかくも違うものなのか、と驚き、そして亨の上司が、、、
「妊婦と隣人」
UR賃貸住宅に夫婦で住む妊婦の葉子は、隣の部屋に住み始めた男女に興味津々。夫は全くの無関心だが、葉子の興味は尽きず、ついに尾行を開始する。
「主婦と選挙」
N木賞受賞作家の大塚康夫は、妻が市議会議員に立候補すると言い出して困惑する。無関心を装うも、疲労が積み重なる妻を見かねて、、、

困ったことに、どいつもこいつも

面白くて止まらないので、短編ごとに一気読み

でした。1作品はだいたい20分で読めますので、全部で120分=2時間で読了です。
このシリーズ、好きは好きですがそんなにめちゃくちゃ好きというほどでもなかったのですが、本作はなんだかとても穏やかな気持ちにさせてくれるほんわか系の作品が多くて、読後感がとても良いので最高です。
奥田センセーの作品は心理描写がとても上手なので、たまに心を抉られることもありますし、サスペンス系の作品になるとハラハラドキドキが止まらなくなります。
収録作品では「手紙に乗せて」がグッときました。あと、本作ではなぜかシリーズのようになっている作家のダンナとその妻、という設定の作品で、本書では「主婦と選挙」ですね。これが味わい深い作品に仕上がっています。
やはり、奥田英朗センセーはサイコーや!と再認識させてくれる本でありました。





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2016年04月15日

書評704 月村了衛「ガンルージュ」

こんにちは、曹源寺です。

昨日は熊本地震で日本中大騒ぎでした。被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。
九州で地震があると、それがトリガーになって南海トラフ地震が引き起こされるのではないか、といった説もありますので、引き続き十分な警戒が必要かもしれません。

最近では大きな自然災害があると、それが予言されていたものなのかチェックする傾向が強まっていますね。2062年からやってきた未来人が2010年に降臨して、いろいろと未来の日本を告げていったネタが世間を(ネット世界を)にぎわせていますが、これによると、2016年4月15日に再びやってくると書き残しています。

おいおい、4月15日って今日じゃねえか。

そんな時期に前後して大きな地震が襲ったものだから、大騒ぎになるのは無理からぬことですわ。未来人が本当に今日やってきたらお祭りですね。
ネットでは「2062年の未来人」のほかに、「2058年から来た原田(仮名)」という人の書き込みとか、Yahoo!掲示板の「primecherrysweetさん」の回答のようなものもあって、それなりに信憑性もあったり(なかったり)するのですが、どれも決め手に欠けるので果たしてどうなんだろうと思ってしまいます。
未来から来たなら、まずは証拠を見せろ!と言いたいです。

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内容(文藝春秋HPより)
「あたしたち、最強の相棒。」
韓国最凶の特殊部隊が日本に潜入。
迎え撃つは、元公安のシングルマザー&女性体育教師!?
韓国の大物工作員キル・ホグン率いる最精鋭特殊部隊が日本で韓国要人の拉致作戦を実行した。事件に巻き込まれ、人質となってしまった中学1年生の祐太朗。日本政府と警察は事件の隠蔽を決定した。祐太朗の母親で、かつて最愛の夫をキルに殺された元公安の秋来律子は、ワケあり担任教師の渋矢美晴とバディを組み、息子の救出に挑む。
因縁の関係にある律子とキルの死闘の行方は。そして絶体絶命の母子の運命は――。


曹源寺評価★★★★
昨年あたりからメキメキと力をつけてきた、なんて書くとかなり上から目線ですが、人気急上昇中の作家センセーの一人であらせられる月村センセーの最新作です。
今回は女性二人が韓国の特殊部隊と壮絶な殺し合いをおっ始めるという、なんともシュールな内容となっております。
元公安警察官でシングルマザーの秋来(あきらい)律子は、一人息子の祐太朗と群馬県水上市でつましく暮らしていたが、祐太朗が韓国要人の誘拐現場に居合わせてしまったことから連れ去られることになり、ひとりで奪還のための行動に移る。
その祐太朗の学校にいる体育教師、渋矢美晴は元ロックバンドのボーカルで、新宿署に勤務するキャリア警察官(文中では「あの刑事」と呼んでいます)と付き合っていたものの別れてこの水上にやってきた。
あれ、ロックバンドのボーカルで新宿署の警察官と付き合っていた・・・

なんだかどこかで見たような設定だなぁ

律子が奪還に向かう途中、美晴と偶然にも出会い、二人は行動を共にすることになる。日本警察はこの「第二の金大中事件」ともいうべき事件を黙殺しようとするが、女性二人は無縁後の状態で奪還作戦を開始する。特殊部隊を率いるキルは過去にも事件を起こしたことがある律子の因縁の相手だった!律子と美晴は追う側として迎え来る兵士を次々となぎ倒し、ついにキルと律子が対決する。

うーん、なんだかとてもありえそうな設定の中に、ありえない女性二人の活躍というストーリーがミスマッチで面白いですね。(以下、ややネタバレ)






本当、ありえないんですわ。女性二人で二桁の特殊部隊を全滅させるとか、グレネード弾を金属バットで打ち返す美晴とか、冗談も大概にせいといいたくなりますが、まあこれは

ギャグだと割り切って読むしか

ないのでしょう。痛快なギャグアクション小説です。月村センセーはこうした「スカッと路線」をこのまま突っ走るのでしょうか。ここ最近の作品は「槐(エンジュ)」にしろ「影の中の影」しろ、派手なアクションと強引な勧善懲悪で敵をぶっ潰す作品が続いております。その一方で、敵が中東のテロリストだったり半グレ集団だったり、はたまた韓国の軍隊だったりということで、敵キャラもどんどんハンパじゃなくなってきていますが、本書に限らず「こんなんありえねえっぺよ」と吹き出しながら読むのが正しい読み方なのか、ちょっと逡巡してしまいます。
「機龍警察」シリーズはまだSFっぽさがあるなかでシリアスな警察小説としての描写が読む人を惹きつけていますが、最近の作品はギャグ路線といえるほど軽くスピーディーで非現実的です。いいのか、この路線で本当にいいのか。
ただ、本書の場合、最初に指摘した「あの刑事」がどうしても気になるのですが、やはりどう考えてもあの刑事は伝説のあの刑事ですわ。誰もが知る警察小説のキング・オブ・キングからのネタ。なんたるオマージュ。なんというリスペクト。こんなところでお目にかかれるとは、ちょっと感動しましたわ。
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2016年04月12日

書評703 高嶋哲夫「富士山噴火」

こんにちは、曹源寺です。

現代ビジネスさんが記事にされていたのですが、ついに朝日新聞に公正取引委員会から横槍が入ったというのです。
発行部数を「水増し」してきた朝日新聞、激震! 業界「最大のタブー」についに公取のメスが入った
今年に入り、大幅な賃金カットを盛り込んだ中期経営計画に社内が揺れている朝日新聞社だが、ここへ来てさらなる「難題」が浮上した。
新聞発行本社が販売店に余分な新聞を買わせる「押し紙」をめぐり、3月末、実は朝日新聞社は、公正取引委員会から「注意」を受けていたのだ。
押し紙は、独占禁止法の特殊指定で明確に禁止されているにもかかわらず、新聞業界では長年にわたり行われてきた。新聞業界「最大のタブー」と言われる押し紙問題に公正取引委員会が踏み込むのは異例のことで、朝日新聞社が今後どのような販売政策を実行していくのか、業界の先例として注目に値する。(以下、略)


新聞のいわゆる「押し紙」というやつはジャーナリストの黒藪哲哉さんが長年追い続けているテーマです。押し紙の実態を詳細にレポートしてきたこの人の記事がなければ、ここまで社会問題となることはなかったと思います。彼の執念はすごいですよ、本当にすごい。彼はどちらかというとリベラルなお方だと思いますので心情的にはすべての記事が素晴らしいとは思っていませんが、それでも彼の仕事っぷりはすごいなあと思います。
でも上記の記事は黒藪さんではありませんでした。黒藪さん、ガンバレ!

押し紙は普通に詐欺事件です。発行部数を水増しして広告料金を押し上げる。実際には1割〜3割水増ししていたようですので、せっかく高い広告料を払っていてもその分の顧客には広告が行き渡らないのです。これを詐欺と言わずして何と言えば良いのか。とりあえず、公取委もガンバレ!過年度に遡って課徴金制裁や!

まあ、日本のジャーナリズムとかマスコミは、そろそろ本来のあるべき形に戻らないといけないのではないかと、こういう記事が出るたびに思いますわ。本来のあるべき姿とは
<新聞社>
・押し紙の廃止
・社会の木鐸と名乗るのを止め、偏向していると白状する
・そのうえで、自らのポリティカルスタンスを明確にする
・その代わり、販売店網などを有効活用できるような新たなビジネスを起こす
・署名記事の励行(あるいは義務づけ)、スター記者の輩出で「調査報道」を盛り上げる
<テレビ局>
・公共の電波を借りていることを常に忘れず、中立的な報道を心がける(放送法順守)
・電波オークションの実施(まあこれは総務省マターだね)
・自社で報道局を強化し、新聞社とは連携しない(クロスメディアの廃止)

ほかにも、新聞の新規参入を阻害しない(かつては本当に妨害していました)とか、記者クラブの廃止とか、いろいろありそうです。要するに普通の業界になれ、ということなんですが、あまりにもいびつすぎるのでやるべきことが多くなってしまっており、優先順位をつけるのさえ大変な状況です。
報道という仕事がなくなるわけではないのですし、現場の記者はそれなりにご苦労されていることも知っていますので、その真っ当な仕事の部分と利権に関わる部分をしっかりと切り離していただきたいなあということです。

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内容(集英社HPより)
元陸自のヘリパイロット・新居見充は3年前の平成南海トラフ大震災の際に妻と息子を失った。たったひとり残った家族―東京で医師として働く娘とは絶縁状態だ。助けを求める家族からの電話を切り、目前の人命救助を優先した・・・今は喪失感とともに御殿場市の養護老人ホームで働いている。ある日、旧友の静岡日報の記者・草加から「富士山の噴火が近い」という情報を得る。マグマの活動に不穏な動きがある、と。ともに訪ねた日本防災研究センターで、研究者・諏訪口誠治と火山学者秋山有希から「近隣住民は全住民の避難が必要になる」と聞かされる。噴火が始まったら、噴石と火山灰が降り注ぎ、溶岩と土砂が流れ込む。さらに火砕流に呑みこまれ、町は壊滅状態になる、と。古巣の自衛隊、御殿場市、消防や警察などあらゆる方面に働きかけ、新居見が中心となった避難計画が動き出した時、ついに噴火が始まった―。ハザード予想を大きく上回る大規模噴火に首都機能も大混乱をきたす。果たして住民たちの避難は間に合うのか・・・!?


曹源寺評価★★★★★
大規模災害シミュレーション小説の第一人者として君臨する高嶋センセーでありますが、今度のネタはフッジサーン!でありました。

/^o^\フッジッサーン フッジッサーン

富士山が実際に噴火したらどの程度の被害が出るのか、という疑問はネットで調べてみると実はたいしたことないのでは?という結論になるのですが、そういう意味では本書の描写はかなりエキセントリックで大げさと言えなくはないと思います。たとえば、しょっちゅう噴火している櫻島レベルの噴火が富士山で起きたらどうなるのか。溶岩が流れ込んでくるような大規模火砕流の噴火(雲仙普賢岳がこれでした)なら静岡県と山梨県には大きな被害が出ると思いますが、2014年9月に発生した北アルプスの御嶽山レベルの噴火であれば、ここまでの惨状にはならないだろうというレベルの描写です。
主人公は現職の(あるいは元)スペシャリスト。知人友人には別のスペシャリストがいて、災害予測、災害検知に力を貸してくれる。家族もいる(家族愛もある)。政府要人とも何らかの形でつながる。そして災害が実際に発生する。
本書もまた一連の高嶋センセー作災害シミュレーション小説の典型を踏んでいますので、わかり易いといえばわかり易いですが、

マンネリとも言えますので「またか」と思わないように

しなければなりません。
マンネリでも良いんです。伝えるべきことは別にありますから。おそらくは高嶋センセーもそれをわかってやっているはずです。そうに違いありません。きっとそうです。たぶん、そう、、、おそらくは、、、





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2016年04月08日

書評702 新野剛志「溺れる月」

こんにちは、曹源寺です。

世界ではパナマ・ペーパーズのことで大騒ぎみたいですが、日本はマスゴミが大した報道をしていないので騒いでいるのはネット民だけという有様です。
まあ、確かに、タックス・ヘイブンにペーパーカンパニーを置くだけでは違法ではありませんし、そこで租税回避したのか、あるいはマネーロンダリングしたのか、あるいは何もしていないのかによって法律上もモラル上も大きく違ってきますから、現時点で大騒ぎする必要はないのかもしれません。

ただ、なぜ世界が大騒ぎしているのかという点に関してはきちんと言及すべきだと思いますし、日本でもただでさえ税収が不足しているというのに金持ちの奴らときたら脱税もどきのことしやがって、といった道義的な(あるいは嫉妬的な)問題は残るわけですから、リストに載っている企業なり公人なりは説明責任を果たすべきだと思います。知らんフリはできないでしょうし、そのうち文春か新潮が取材に来ることは間違いないでしょう。
それとも、電通がリストに載っているから文春あたりは話題にできないでしょうかね。たしか、文春の広告は電通の取り扱いだったような気が、、、

まあ、このパナマ・ペーパーズはファイル容量が半端ないので、続報をしっかりと待とうではありませんか。今年の一番のヒットニュースになること、間違いなさそうです。

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内容(小学館HPより)
乱歩賞作家が放つ疾走ランニングミステリー
平凡な公園ランナーの自分が、大勢の見も知らぬひとから見つめられているなんて・・・・・・。
インテリア会社社長の高木雅弘は、所属するランニングサークルの仲間との「レース」にはまっていた。
ある日、高木のもとに一通の郵便が届く。そこには「明日のレースには負けなさい。さもなければ、ひとが死にます」と書かれていた。
翌日のレースに高木が勝つと、レースが行なわれた公園内で、本当に男の死体が発見される――。
江戸川乱歩賞作家が放つ疾走!狂走!ランニングミステリー!!


曹源寺評価★★★★★
ランニングミステリーとはこれまたストレンジな作品が登場してきました。新野センセーは旅行代理店出身ですからその手の題材には強いですが、たまに風俗嬢や左翼活動家、女子高生などさまざまな主人公を登場させますので取り扱うジャンルが本当に幅広いなあと感心します。
本書は元官僚にして家具メーカー・インテリア工事を請け負う会社の社長である高木雅弘が主人公です。駒沢公園で賭けレースを行っている主人公とそのサークル仲間たち。ある日、高木の元に一通の手紙が届き、レースに負けないと死人が出ると脅迫する。高木は何かのいたずらと思いそれを無視するが、レースの翌日に本当に駒沢公園で男性の死体が発見される。
うーん、ここまではミステリですな、間違いなく。

問題はここからですわ。

この事件は(以下、ネタバレ)



早々に犯人が分かってしまいます。なんぞこれ。
そこからは冒頭とだいぶ異なる展開になりますが、高木がどんどん悪に染まっていくことになります。
ですから、本書はミステリというよりもクライムノベルと呼んだほうが正確かもしれませんね。
人を喜ばせることができる職業と思って官僚になった高木が、自分の走りを応援してくれる存在に出会ったとき、これが悪であったとしても切り捨てることは容易ではないという感情。常に合理的な判断によって動く人間であっても、トータルで俯瞰してみると実は全然合理的ではなかったということ。人間が最後にほしがる名誉欲について、優秀な人間であっても結局はそれに抗うことができないこと。直接的に手を下さなくても反社会的勢力と組んだ時点で共犯であり、悪事を知っていてそれをスルーすることは同罪であること。などなど、この高木という人物を通じて考えさせられることが非常に多い作品に仕上がっていると思います。
ただねぇ、後味が悪いんですよ。クライムだからしょうがないといえばしょうがないですが、根っからの悪党が転落していくのとちょっと違いますからね。高木の中で何かが少しずつ壊れていく様は、普通の人にはあまり理解できないものかもしれません。





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2016年04月05日

書評701 五十嵐貴久「降りかかる追憶 南青山骨董通り探偵社V」

こんにちは、曹源寺です。

保育園が不足して待機児童が減らないというニュースが先週から富に多くなってきましたが、規制しているわけでもないのに不足している業界がある一方で、規制でがんじがらめになっていて需要に応じ切れていない業界もあったりするわけで、そのへんのさじ加減の難しさをいろいろと考えさせられますね。

たとえば、タクシーは小泉政権時代に規制緩和されましたが、そのせいで一時、タクシー車両が街に溢れてしまい、初乗り料金も下落して既存の運転手たちが生活できなくなってしまったという事象がありました。なんでもかんでも規制緩和すれば良いという話ではないという良い事例です。
いま、街の歯科医はやや過剰気味だそうで、歯磨きの習慣が徹底されたことで児童の虫歯患者が大きく減ったことが要因みたいですね。また、弁護士も司法試験制度が変わったことで合格のハードルが下がり、食えない弁護士が急増中だというニュースがありました。

一方、医者は相変わらず不足気味です。「ブラックジャックによろしく」で研修医のエグイ労働環境が晒されたにもかかわらず、旧態依然としたブラックな職場。「下町ロケット2」で暗示されたような、部下の手柄を上司が奪う徒弟制度が生きている、まさに白い巨塔であります。
まあ、医療に関しては規制緩和しろとか医者をどんどん増やせとかはあまり言いたくないです。逆に、眼科楽勝、小児科死にそう、みたいな落差もあるようですから、国費を投入して医療体制を管理下においている以上、国はそれを受益する国民のために全国くまなく配置していただくくらいのことをしてほしいです。

介護など社会保障の分野についても、我々国民の税金が使われている以上は医療と同様、奉仕者には手厚い報酬で応えることと、全国にきちんと需給体制を整えるということが必要になってくると思います。医療が良くて介護がダメという理由は見当たりませんので、払った税金に見合ったサービスを得られるようにしてほしいです。

でもこういうことを書くと、曹源寺は国家社会主義者か?と言われそうですね。自分としては、国家がきちんと統制すべきところは「多額の税金を投入している」産業であって、そうでないところは逆に国家の介入など不要だというのが持論です。
例を挙げれば、なんでもかんでも国家資格にしている昨今の風潮でしょう。テニスのインストラクターまで国のお墨付きなど要らんですよ。
国家資格一覧のようなページを見ると、びっくりするくらい多くの資格があることが分かります。「浄化槽」という単語がつく資格だけでも
浄化槽技術管理者
浄化槽管理士
浄化槽設備士
浄化槽検査員
浄化槽清掃技術者
の5つがあることが分かります。なんじゃこれ。それぞれ検定試験を受けるのに4万円とかかかりますし、資格によっては更新料を支払って更新をしなければならないわけですよ。本当に無駄です。こんなのは公務員の天下りを食わせるためだけにあるやり方です。増税するくらいならこういう無駄を削ってほしいですが、マスゴミも野党もこういうのを指摘してくれないですね。

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内容(光文社HPより)
同僚の真由美のひと言から、社長の金城と玲子に因縁めいた過去があることを知る雅也。そんな折、女子大生の依頼でストーカーの捜索と彼女の身辺警護に携わる。だが、消息は掴めず、やがて、事態も収束かと思われたその矢先、彼と任に当たっていた玲子が姿を消す! そして明らかになる金城たちの過去とは……!?仲間のために探偵社のメンバーは街を駆ける! シリーズ第三弾。

曹源寺評価★★★★★
南青山探偵シリーズは第3弾まできましたが、UとVは文庫書き下ろしというしょぼい体裁で、しかもこのVは長編のようで実質的には中編程度のボリュームしかありません。1時間程度で読了できる内容ですので、まあ暇つぶしにはどうぞ。
と、これだけで終わらせるわけにもいかないので、ざっとあらすじを書きますと、女子大生の桂貴子からストーカー被害に関する身辺警護の依頼を受けた主人公の井上雅也が、ストーカーと思われる後藤を探すうちに同僚の玲子が行方不明となって、、、という展開です。
事件はあっさりと所長の金城が解決してくれますので、主人公の立場はいつも微妙といえば微妙です。本編のキモは金城と玲子の過去でしょうかね。誰が悪いというわけでもないのにみんなが不幸になっているというのは、本当に理不尽なことであります。でも、それを誰かが背負っていかなければならないというなら自分が背負う、そんな漢っぷりを金城は見せてくれるわけですが、事件解決は経過を端折りすぎていて金城社長のワンマンショー状態です。

探偵、仕事しろ!と言われてもしょうがないレベル

です。本シリーズは井上雅也という主人公にして語り部、格好は良いのに新米調査員で時折間抜け、こんな役回りがいるからこそ引き立つのでありましょう。いずれドラマ化必至ですね。





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2016年04月01日

書評700 呉勝浩「ロスト」

こんにちは、曹源寺です。

本日でブログ更新700回でした キタ――♪ o(゚∀゚o) (o゚∀゚o) (o゚∀゚)o キタ――♪
引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

さて、もう4月ということで今年も4分の1が過ぎてしまったわけですが、なんだか本当にあっという間ですね。
さて、最近は週刊文春と週刊新潮が激しくスクープ合戦を繰り広げているわけですが、文春の活躍がすごいので新潮もガンバレ!という状態ですね。
ただ、文春スクープの内容をよく見ると、というか冷静になって考えると、実態としてはどうかと思われるネタも多いですね。
ベッキー&ゲスの極みはキャラクターイメージとは全く異なる不倫ということでまあよく暴いてくれたと思います。
甘利大臣のネタは秘書と共謀した輩の悪行ですが、甘利大臣自身はこの悪行に手を染めていたわけではなさそうですので、管理者責任だけかな。しかも、政治資金としては適正でしたし告発したヤツの方がよっぽどワルです。したがって、これに加担した文春もまたワルと言えるでしょう。
SMAP解散ネタはお見事でしょう。文春だからこそここまで追及できたのだと思います。
清原の覚醒剤ネタも以前から追っていたものが逮捕に結びついたのですから、これもまた大したものだと思います。ASKAの前例もありますからね。
宮崎謙介議員の育休不倫ネタ、まあこいつはゲスだったので仕方がありませんね。乙武も然りです。増長してしまった障害者というのは始末に負えませんので、彼も反省するいいタイミングだったのではないかと思います。
菅原一秀議員の「愛人」疑惑というのがありましたが、これは酷いですわ。彼は独身なので「愛人」という見出しは事実に反しますし、ハワイに行ったのも国会期間中ではありません。
そこへきて、今週号の見出しが「自民党よ、国民をなめるな!」であります。まあ、滋賀県の自民党県議が高校野球の選手団に向かって「負けてしまえ」と発言したとか、あちこちで暴言を吐きまくっている自民党議員どもですが、選挙が近いんだから週刊誌が放っておくはずがないじゃないですか。ちっとは反省したほうが良いと思いますのでこれはこれで良いお灸だと思いますよ。
ですが、甘利大臣と菅原議員の記事は誇張に過ぎるし事実と世間のバッシングが乖離してしまっていますね。こんな記事を書くくらいなら、今週の新潮の「山尾志桜里議員の政治資金報告書」ネタのほうがよっぽどインパクトがありますし、重大な疑惑だと思います。なにで、元検察官で疑惑を追及する側にいた人間ですし、内容も寄付の部分だけでなく、ガソリン代が地球5週分とかマジでやばいですわ。野々村議員と大して変わらない悪行ですよこれ。自民叩きも良いですが、こういう「真のワル」にもしっかりとペンを向けて欲しいものです。

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内容(講談社HPより)
「ムラセアズサを預かっている。これはイタズラではなく、正真正銘の営利誘拐だ」
無断欠勤を続けていた村瀬梓が勤めるコールセンターに掛かってきた犯行電話。身代金の要求額は1億円、輸送役は100人の警官。なぜ、家族ではなく、会社に掛けてきたのか。なぜ、1億円なのか。なぜ、100人も必要なのか。警察と“関係者”たちは、ピュワイトを名乗る犯人に翻弄されていく――。
「罪」に期限はあるのか――新乱歩賞作家が圧倒的な読み味で描く、史上最速の受賞後第一作。


曹源寺評価★★★★★
道徳の時間」で2015年の江戸川乱歩賞を受賞された呉勝浩センセーの受賞後第1作となるのが本書であります。呉センセーは例年にない低評価で受賞され、また、審査員の池井戸潤センセーと今野敏センセーが厳しく酷評したのは記憶に新しいところです。
そんな受賞後の第1作なもんですから、否が応にも期待は高まります。
芸能プロダクション社長の安住は、若かりし頃の過ちである一家を不幸に追い込んだことがある。村瀬梓はそこのタレントで、3日前から行方不明となっていた。
誘拐を告げるコールはなぜか通販会社のインバウンドを請け負うコールセンターにかかってきた。犯人の要求は現金1億円と警官100人。現場主任の下荒地とその同期である淵本が犯人に振り回される。
警察側は大阪府警の特殊捜査班、麻生と部下の三溝、生活安全課の鍋島。犯人の要求に翻弄されながら、死体発見現場にいた男を逮捕する。しかし、、、

うーん、これはすごい。なんとも不思議な「謎」をあちこちに振りまきながら、読者をぐいぐいとひきつけていく手法はお見事です。(以下、多少ネタバレ)


なぜ、犯人は100名の警官を輸送役に呼んだのか。
なぜ、犯人はコールセンターに脅迫電話をかけたのか。
なぜ、時間を指定したのに物理的に間に合わない指示がなされたのか。
なぜ、被害者はバラバラ死体で見つかったのか。
なぜ、安住が犯人に仕立て上げられたのか。
ほかにも謎はいっぱーいありますが、こうしたいくつかの謎で引っ張るだけ引っ張るのがこの呉センセーの手腕というか手法でありまして、逆にこれが乱歩賞受賞作「道徳の時間」では足枷になりました。
本書は受賞作に比べるとだいぶこなれてきたというか、リーダビリティが増してきていますので、断然読みやすくなりました。
しかし、読み終わった後の感想は

せわしないだけやったな

というものでありました。そう、せわしないです。長いストーリーをいい気に読ませるだけの筆力はあるのですが、この長いストーリーもさまざまな登場人物の視点から書かれていて、それが冒頭誰のことなんだか分かりにくいというのがひとつ、そして、視点が分散されるにもかかわらず、それぞれの置かれた立場がシンクロしにくくなっている(交差することが少ないです)ことがひとつ、さらに、謎が多すぎて最後にきちんと回収されていないことがあるのがひとつ、です。
特に最後の回収に関しては、(以下、ネタバレ注意)


なぜ犯人がコールセンターの実情に詳しかったのか、という疑問には一切答えていません。傍点までつけておきながら、これをスルーしっぱなしというのは果たしてどうなんですかね。そもそもコールセンターの場面ってほぼいらないんじゃないかとさえ思います。
それに、なぜ犯人は死体をバラバラにしなければならなかったのかという点において、この理屈は分からなくはないですが、警官100人を動かした理由としてはあまり合理的(まあ殺人はいつだって不合理ですが)ではないように思います。
全体的に竜頭蛇尾というか、大山鳴動し鼠一匹というか、大風呂敷を広げては最後に盛り上がらないという前作と同じような終わり方になってしまったと思うのですが、ネットでは意外にも評価が高めで驚きました。自分としては良作とは思えないんですが。
呉センセーは何とかしてストーリーを盛り上げようと必死にあれやこれやといろいろなネタを押し込んでいるのですが、読者としては

うな丼の上にまぐろの刺身を乗せられてもおいしくはないのと同じで

もうちょっとシンプルに構成しても良かったのではないかと思うのであります。





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2016年03月28日

書評699 大倉崇裕「GEESKSTER 秋葉原署捜査一係 九重祐子」

こんにちは、曹源寺です。

舛添、リコールしたいなあ。
猪瀬のときはあれだけ騒いだのに、なぜ舛添はメディアが総叩きしないのかなぁ。
市ヶ谷商業高校跡地の問題だけじゃないんだけどなぁ。
なんで都知事なのに外交やっているんだろうなぁ。
保育園問題は国の施策ではなくて地方自治体の所管なのに、なんで安倍首相が叩かれて都知事が叩かれないのかなぁ。
待機児童ナンバーワンの世田谷区長なんてもっと叩かれてもいいはずなんだけどなぁ。
おかしいよなぁ。

振り返ると、バブル崩壊以降の日本は女性の社会進出が進み、共働きも増えて、核家族化も進展しているという社会構造の変化があったはずなのに、この構造変化に対応しきれていない分野や業界、自治体、教育システムなどが相当数あって、あちこちで歪みを起こしているというのが実態なのではないかと思います。
自分が社会人成り立てのときは、おそらくその2年くらい前に初めて、総合商社が女性の総合職を採用した!なんてニュースがあったように記憶しています。今じゃ当たり前ですもんね。

女性の社会進出が進むと、男性の受け入れが進まなくなり(女性のほうが勉強は優秀だったりしますね)、男性の非正規雇用やニートが増え、将来の生活設計ができない人が増え、人生に悲観的になり、治安は悪化します。
女性の社会進出が進むと、晩婚化が進み、出産率が低下し、人口が減少するため、地方の過疎化が進んだり経済が停滞したりするようになります。

言っておきますが、これは差別的発言ではなく、「何も手を打たなければ」こうなりますよ、というシミュレーションです。だから、こうした社会構造の変化に対して何らかの手を打つべきである、という建設的意見の前提条件としてこうした現実を認識しなければなりません。

働き方を見直すとか、育児の方法が多様化されるとか、出産後も社会復帰がスムーズに行えるようにするとか、やらなければならないことがたくさんありそうです。20年前のシステムを動かしているような古い構造にメスを入れ、変えるべきところをしっかりと見直していく動きが社会全体に求められているはずです。その優先順位(プライオリティ)が分かっていない政治家には早々にご退場いただきましょう。

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内容(KADOKAWA HPより)
秋葉原署捜査一係に着任した九重祐子は連続傷害事件を捜査中、秋葉原で悪事を働く者に制裁を下す闇のヒーロー〈ギークスター〉と出遭う。悪党から街を守るのは警察か、それともダークヒーローか!?


曹源寺評価★★★★
秋葉原を舞台にした警察小説は珍しいと思いますが、なぜ秋葉原なのかという謎は大倉センセーの趣味というか志向にマッチしているのが理由である、ということが本書を読むと良くわかります。
大倉センセーは自ら怪獣大好きを明言されていまして、先般は未知の怪獣と戦う小説「BLOODARM」を上梓されたばかりです。そんな大倉センセーが秋葉原を舞台に小説を描いたら、まあそりゃこうなりますわな、という作品です。
交通課から捜査一係に異動したものの仕事をさせてもらえず、署にやってくるオタクたちの相手をしている毎日だった九重祐子。しかし、街に流れる噂を収集するうちに「GEEKSTER」の話を聞くようになり、放火事件や乱闘事件などの真相に迫っていきます。GEEKSTERの正体を知った九重は、彼が待ちの治安維持を目的にしていないことを見抜き、彼と共闘するもののどこかに一線を画すようになります。GEEKSTERの最後の敵との対決、決着は、、、
スピード感溢れる展開と無駄を省いたストーリーテリングで一気に読ませてくれますが、警察内部の話とか12年間の展開などを相当すっ飛ばしていますので

端折りすぎやん

と突っ込みたくなる場面もなきにしもあらずです。
大倉センセーといえば山岳小説のほか「福家警部補シリーズ」でみせる倒叙モノだったり、「容疑者シリーズ」のような動物系警察小説だったりが有名ですが、センセーの本質はもしかしたらこうしたオタク系ディープ小説なのではないかと勘ぐっています。しかし、それは嫌いではありません。

むしろ、好きです

怪獣モノとかヒーローモノとか大倉センセーに原作を書いて欲しいくらいですわ。本書に登場する怪獣は「透明バルバドン」です(といっても別に怪獣と戦うわけではありませんが)。ぜひ再登場させていただきたいですね。





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posted by 曹源寺 at 18:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月25日

書評699 雫井脩介「犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼」

こんにちは、曹源寺です。

桜が咲き始めたり、プロ野球が開幕したり、子どもが終業式だったりと、春を感じさせる行事が続きますね。来週後半からは気温も上がるそうですので、いよいよ春本番です!

さて、ちょっと興味深いニュースが。
人工知能がヒトラー礼賛 マイクロソフト実験中止(共同通信3/25)
【ニューヨーク共同】米IT大手マイクロソフトは24日、インターネット上で一般人らと会話をしながら発達する人工知能(AI)の実験を中止したと明らかにした。不適切な受け答えを教え込まれたため「ヒトラーは間違っていない」といった発言をするようになったという。
IT大手は端末の音声検索機能などを向上させるため、利用者とのやりとりから学ぶAIの開発を競い合っている。ただ、不当な思想や差別発言を倫理的に判別するには至っていないようだ。
マイクロソフトが開発したAIは「Tay(テイ)」と名付けられ、短文投稿サイトのツイッターに23日、テイのアカウントで登場した。


マジか!?
これが本当ならば、人工知能に関しては「インプットされる情報次第では暴走する可能性がある」ということがでしょうか。
リアルなターミネーターの世界ですわ。ちょうど息子にターミネーターの1と2を観せていたので、『スカイネット計画』を想起させてくれるこのニュースにちょっとビビりましたよ。デデンデンデデン
別の観点からは「子どもにネットでの会話をさせてはいけない」という結論にもなりはしませんかね。『うそはうそであると見抜けない人は(掲示板を使うのは難しい)』という名言を残したひろゆきの言葉の正しさが証明されたのかもしれませんね。

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内容(双葉社HPより)
神奈川県警が劇場型捜査を展開した「バッドマン事件」から半年。巻島史彦警視は、誘拐事件の捜査を任された。和菓子メーカーの社長と息子が拉致監禁され、後日社長のみが解放される。社長と協力して捜査態勢を敷く巻島だったが、裏では犯人側の真の計画が進行していた――。知恵の回る犯人との緊迫の攻防! 単行本文庫合わせて135万部突破の大ヒット作、待望の続編!!


曹源寺評価★★★★
単発だと思っていた作品が続編として帰ってきたときのうれしさはハンパないですね。2004年発刊の『犯人に告ぐ』はミリオンセラーにして文春1位、このミス8位、大藪春彦賞受賞、豊川悦史主演で映画化という華麗な経歴で文壇の話題を掻っ攫った作品です。あれから12年、巻島が帰ってきたということで大興奮しながら読みました。
振り込め詐欺事件で警察の摘発を間一髪免れた兄弟とそのリーダー淡野。一線を越えてしまった兄弟たちが次に計画したのは誘拐でありました。和菓子メーカー社長とその子息を誘拐して、身代金を奪取する驚くべき計画。「大日本誘拐団」を名乗り、日本の誘拐ビジネスを定着させようとするその驚くべき内容。
一方、巻島警視は前作の「バッドマン事件」以降、神奈川県警に復帰して刑事特別捜査隊を率いる立場にいる。刑事特別捜査隊とは捜査一課の事案も二課の事案も必要に応じて何でも捜査に加わるいわば遊軍だが、実績を積み重ねることによって現場からも本部長からも信頼が厚い。
この兄弟+淡野と巻島が対決するわけですが、最初の描写が犯人側から始まっていて、しかもこいつの境遇には少し同情してしまうものですから、犯罪者側に肩入れしてしまう自分がいるわけですよ。それを思いとどまらせるのはリーダー淡野の非人間性です。これは読んでのお楽しみということで。
しかし、誘拐というのはそれだけで鬼畜の所業であるというのが日本の社会通念でありまして、誘拐モノの小説も大抵は胸糞悪い展開が多いのですが、本書はこれまでの誘拐事件の不完全性を巧みに突いていて、通信手段の多様化や監視カメラの網羅性、科学捜査の進化などを屁とも思わない新たな犯罪可能性を示唆しているという点において、非常に画期的であると言わざるを得ません。(以下、ほんのりネタバレ)


ストックホルム症候群と振り込め詐欺を足すと誘拐はビジネスになる、という何とも画期的な犯罪。もしかしたらすでにこの手の犯罪は横行しているのかもしれません。
余談ですが、グリ・森事件でグリコの江崎社長が誘拐されました。社長は監禁場所から自力で脱出したという何とも不可解な経緯がありましたので、江崎社長は裏取引に応じたのではないかというまことしやかな噂も流れました。真相は結局藪の中、であります。

雫井センセーの作品のなかでは本書シリーズが一番好きです(といってもシリーズモノを書かないお人でありますが)。ラストは

第3弾があるぞと匂わせているというか明言している

に等しい終わらせ方でありまして、次回作にも大いに期待しましょう。





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2016年03月22日

書評698 遠藤武文「狙撃手のオリンピック」

こんにちは、曹源寺です。

先日、タブレットが壊れたので新しいやつに代えましたが、やはりガラケー+タブレットが最強だなあと改めて思いました。

ヨメと娘は庭のiPHONEですが2年縛りが解けるためにショップに行ったら犬に代えろとうるさいわけですよ。見積もりを取ると確かに安い。おまけに家の回線も犬の光にしたらもっと安くなると言うのです。
そんで、庭のサービスに電話してMNPの番号だかなんかを取得しようとしたら、電話で引き止めにかかってきました。これにはちょっとびっくりですよ。犬のお店で契約する寸前でしたから、何をいまさらと。
だったら、なんで最初から割安のプランを提示しないの?
2年経過したら割高になるように仕向けておいて、2年経ったら「安くしますから」とは一体なんでしょうね?
この2年縛りとかいうわけわからん制度、何とかしてや。みんな庭→犬→庭→犬ってやっているんですかね。茸の立場も考えて(ry

あ、それとちょっと衝撃的だったのが、娘は電話もメールもほとんど使っていなくて、友達とのコミュニケーションはほとんどLINEとFacebookとツイッターでした。
しかも、月々5ギガのプランだったのですが、たまに5ギガを超える月があるそうで。おまえ、どんだけ動画観てんの?
これだったら、WiFiルーター買ってタブレットかSIMフリーのスマホでいいんじゃね?と思いましたが、果たして電話そのものを持たないとなると、社会人になったときに何か言われそうですね。


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内容(光文社HPより)
長野オリンピックから18年。今こそ語ろう。あの開会式で何があったのか。
ライフル射撃のオリンピック特別訓練員としてモスクワ五輪をめざしていた長野県警所属の神稲貴之。テルアビブ空港乱射事件の被疑者として逮捕され、釈放後、地元の自動車整備工場に勤め、逼塞した生活を送っている荻窪克己。ふたりの運命は、戦後の混乱期の謎をめぐって、奇妙に交錯し始める──。
平和の象徴オリンピックが始まる日、昭和の闇のひとつが、清算されようとしていた。


曹源寺評価★★★★★
1980年のモスクワオリンピックボイコット事件からはじまり、1998年の長野冬季オリンピックまでの18年を2人の男の視点から描いたミステリです。
一人は長野県警の警察官、神稲貴之。射撃の腕前を買われてライフル射撃のオリンピック候補となるも、モスクワへのボイコットが決まり訓練員から銃器対策部隊へと異動する。
もう一人は学生時代の左翼活動から公安に目をつけられるようになった荻窪克己。公安の監視を常時受けつつも自動車整備工場でつつましく働く日々。それぞれの日常が交錯するようになり、ついに、、、
なんだか分かりやすそうで分かりにくい、でもよく読んでみると興味深い。そんなストーリーです。わかりにくさの一つは時代が少し前後してしまうところと、昭和のあの時代を知らない人にはハードルが高いのかなあと思わせる描写でしょうか。自分は作者と同年代に近いですから、1980年あたりも記憶に刻まれています。
神稲は元警察官の父を持ち、反発しつつもおなじ警察官の道を進んで特別訓練員となりますが、射撃時の偏頭痛が酷くなり、父親への反発もあって部署異動を願い出ます。
一方の荻窪は学生時代に左翼活動でイスラエルのテルアビブに行ってしまったり、過激なグループとのつながりもあって帰国後も公安の監視が付きまとっていました。
この二人の接点となる80年の出来事が、後の長野オリンピックで意外な結末として現れてくるというのが本書のキモであります。二つの異なるストーリーが交錯したとき、何かが、、、って結構ありがちなパターンですね。本書はその接点とか具体的事実とかが

結構あいまいに書かれていますので読み飛ばさないように

しないといけません。
まあ、時代を切り取ることの難しさは承知していますので、本書のような切り口はまた大いに勉強にもなります。そういえば、1960年の東京オリンピックを題材にした『オリンピックの身代金』という奥田英朗センセーの作品もありますが、あちらのほうがノスタルジックな描写が多いので合わせて読んでおきたいですね。





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2016年03月18日

書評697 中山七里「総理にされた男」

こんにちは、曹源寺です。

報道ステーションという怪しい番組に出演していたショーン・マクアードル・川上とかいう怪しいコメンテーターが、経歴から企業業績まですべてを嘘で塗り固めた輩だったことが判明し、番組降板の憂き目に遭いました。
誠にご愁傷様です。
これもまた週刊文春の砲弾ということですから、本当に恐れ入りました。

それにしても、嘘がハンパないレベルだったことに驚きを隠せません。堂々とテレビに出てしまうあたりも理解不能です。
彼の嘘をまとめたものがこちらです。
×アメリカ合衆国出身  ○日本国出身
×11歳の時に日本に渡り、高校卒業まで過ごす ○高校まで日本、米には行っていない
×米テンプル大学卒業    ○高卒
×米ハーバード大学院にてMBA習得 ○オープンコースを3日
×仏パリ大学留学      ○オープンキャンパスで聴講
△経営コンサルタント     ○売れない声優・ナレーター
×米国人親から生まれたハーフ  ○日本人の両親から生まれた日本人
×ショーン・マクアドル     ○川上伸一郎
×世界7ヶ所にコンサル会社   ○渋谷に月3万円でペーパーカンパニー
×ほりの深い異国人顔      ○田吾作面が整形で顔面偽造
×共同経営者にジョン・G氏   ○無関係の別人の写真を流用して存在を偽造

全部嘘ってすごすぎですね。

これが芸人だったらこれほど叩かれることはなかったと思います(叶姉妹みたいな謎の経歴の人がわんさかいますからね)。問題なのは報道番組のコメンテーターという立場だったことにあると思うのです(この際、報道ステーションが『報道番組』かどうかという問題は置いておきましょう)。学歴も職歴も嘘だったということであれば、ニュースに対するコメントもまた嘘ではなかったか、という問題に直面するからです。
ニュースというものはおそらく多面性があって、
ニュースそのものの具体的な解説
ニュースが意味する本質
ニュースの背景にあるもの
ニュースが及ぼす今後の影響
 など
視聴者はこうしたものを知りたいからこそ、報道番組を観るわけです。コメンテーターにもこれらのことを話してほしいのです。
政治、経済、社会、スポーツなどさまざまなジャンルがありますから、すべてを精通している人などいませんし視聴者も求めてはいません。しかし、コメンテーターのほとんどがこれらのジャンルのひとつでも通じていて、その道のプロとしての解説に期待するからこそ、その番組を受け入れているのではないかと思います。
ですから、このショーンKについてはコメンテーターの資格がないのに顔と声だけでその席に居座っていたということになります。叩かれて当然です。

でも、そのうちほとぼりが冷めたらサンデージャポンに出てくると思います。芸人枠として。
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内容(NHK出版HPより)
人気作家・中山七里が描く ポリティカル・エンターテインメント小説!
売れない舞台役者・加納慎策は、内閣総理大臣・真垣統一郎に瓜二つの容姿とそ精緻なものまね芸で、ファンの間やネット上で密かに話題を集めていた。ある日、官房長官・樽見正純から秘密裏に呼び出された慎策は「国家の大事」を告げられ、 総理の“替え玉”の密命を受ける 。慎策は得意のものまね芸で欺きつつ、 役者の才能を発揮して演説で周囲を圧倒・魅了する 。だが、直面する現実は、政治や経済の重要課題とは別次元で繰り広げられる派閥抗争や野党との駆け引き、官僚との軋轢ばかり。政治に無関心だった慎策も、 国民の切実な願いを置き去りにした不条理な状況にショックを受ける。義憤に駆られた慎策はその純粋で実直な思いを形にするため、国民の声を代弁すべく、演説で政治家たちの心を動かそうと挑み始める。そして襲いかる最悪の未曽有の事態に、慎策の声は皆の心に響くのか――。
予測不能な圧巻の展開と、読後の爽快感がたまらない、魅力満載の一冊。


曹源寺評価★★★★★
さまざまなジャンルで活躍中の中山七里センセーですが、今度は政治の世界にも挑戦されました。総理大臣が入れ替わるという設定では、先日ドラマ化された池井戸潤センセーの「民王(たみおう)」が記憶に新しいところではありますが、あれは総理親子の中身が入れ替わるといういささかオカルト的なお話です。本書は売れない役者と入れ替わるという設定ですからリアリティが違います(ホントか?)。
しかし、それ以上に本書は現実社会と向き合ってリアリティを追求しているような側面が数多く見受けられます。与党、国民党と野党の民生党という構図だけでなく、3年前まで民生党が与党であったこと、その3年間がいかに杜撰な政治であったか、について訥々と述べられていること、内閣人事局の設置に関する政治家と官僚との駆け引き、テロリストとの戦いで自衛隊を向かわせることの賛否、政治決断の際にはしっかりと法的な根拠を加筆して読者にわかりやすく説明していること、などなど、よく取材してよく勉強しているからこそここまで書けるのだなあと感心しきりです。
役者ならではの演技力をもって総理大臣の替え玉を演じきる主人公の加納慎策は、目の前にある課題をしっかりとこなすタイプとして書かれていますが、そんなに優秀な役者なら

もっと売れていてもおかしくはないですなぁ。


慎策は総理のものまねで少し売れ出したところ半ば拉致されるかたちで首相の代役を勤める、という設定なんですが、それだけならまだしも知り合いに大学の准教授がいたり、政治のことはまったく素人というわりにはアドリブで出てくるセリフがとても政治家チックだったりするのはご都合主義ご愛嬌ですね。
内容的にはスピーディかつシンプルで疾走感溢れる読み物に仕上がっていて非常に面白かったです。リアルな日本の政治と比較するともっと面白いですね。青臭い情熱を吐き出しながらも弁舌巧みな首相とそれを支えるキレ者の官房長官、腹黒くも情に篤い最大派閥の長、想定の範囲を超えない野党党首の質問の愚、批判することこそが自分たちの使命と勘違いしているマスコミ、などなど、

もしかしたら中山センセーはネトウヨなんじゃないのか

と思わせるような記述もたくさんあって、ちょっと笑えました。





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