ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

カテゴリー:か行の作家

2011年05月30日

書評311 劇団ひとり「青天の霹靂」

イケメンシェフ川越達也が人気ですね。予約が全然取れません。8月と9月の予約をGW(おそらく5日)から受付開始したみたいですが、電話全然つながらず。ようやく18日くらいにつながったら終了してました。。。
まあ、代官山のイタリアンにしては安めの設定だし、べらぼうに高い金額をふっかけるどこかの星がつくレストランよりはマシかもしれません。人気があるのもうなづけます。
しかしなあ、これはねえっぺよ。
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なんでイタリアンシェフがキムチをプロデュースするん?売れればなんでもいいのか?
などと抜かしつつ、スーパーで見かけたからついつい買ってしまいました。。。
でも、全然辛くないし、正直、あまりおいしくなかったわorz。。。

そういえば、アルポルトの片岡護氏も週刊文春でキムチ紹介していたわ。イタリアンシェフはキムチ好きなのか??

内容(幻冬舎HPより)
「俺はみにくいアヒルの大人」。十七年間、場末のマジックバーから抜け出せない三十五歳の晴夫。腐りきった自分に飽き飽きしていたある日、テレビ番組のオーディションに挑む。新たなる傑作!






曹源寺評価★★★★
劇団ひとりの2作目にして初長編ということで久々に読みましたが、いや、彼はツボを心得ているというか、十分小説家としてやっていけるのではないかと正直思いました。
主人公の晴夫はかなり自虐的に描かれていて、卑屈でモテなくてトークも下手で、おまけに幼少時に母親に逃げられて父親と暮らしていたという設定なため、あまり感情移入できません。前半はだからちょっと苦痛です。しかし、文字通り「青天の霹靂」な出来事の後はさまざまなことに翻弄されながらも「生まれてきた意味」について考え、そして発見する・・・
2時間もかからずに読了しましたが、さらっと読ませておいて、泣かせるところはきちんと押さえている。うまいなあとつくづく思います。
いや、時代背景の書き込みが足りないとか、もっと話を膨らませたほうが良いとか、いろいろな意見が出そうなくらいさらっとしているんですが、これはこれでなんかいいんじゃない?という気がします。そう、

これこそが彼の持ち味です。

どっぷりと浸れる作品は他の著者に任せればいいんです。彼はこの路線(=軽いけれど読ませる、感動させる)でいけば十分に固定ファンを増やせそうです。








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2011年05月20日

書評309 京極夏彦「死ねばいいのに」

久しぶりに監修の仕事などやりましたら、この業界の相変わらずのメタメタぶりに翻弄されますた。
版元ももう少しスケジュールに気を配ってくれよ〜。修正を指示したページももう一回確認しないと大変なことになっているぞ〜。こんなんで書店に出したら恥ずかしいぞ〜。
編集プロダクションもあまり変なライター使うなよ〜。どっかの新聞記事を薄めたような内容を書いてきたヤツがいたぞ〜。これにはちょっと怒った(#゚Д゚)ゴルア!
ウチの会社は品位を大事にする(しすぎる)から格調の高い文章でないとアカンのですよ。どこの誰に聞いたか分からん話を形容詞だらけにして無理やり膨らませたような文章だと、一発で分かっちゃうんですよ。もっと一次ソースを大事にしてください。そして、事実に基づいて話を構築してください。
頼みます。

内容(講談社HPより)
死んだ女のことを教えてくれないか――
無礼な男が突然現れ、私に尋ねる。
私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。
問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、
晒け出される業、
浮かび上がる剥き出しの真実・・・・・・。
人は何のために生きるのか。
この世に不思議なことなど何もない。
ただ一つあるとすれば、それは――






曹源寺評価★★★★
京極作品は読むのに疲れるので敬遠していましたので、「魍魎の函」以来ですわ。いや、「鉄鼠の檻」以来だったか。いやまあ、どっちでもいいんですが。
しかしまあ、本書は自分の中の固定観念がいろいろな意味で覆されました。
ひとつは、京極作品にも一気読みできる作品があったということですね。会話が中心なのでとても読みやすいです。
もうひとつは、この謎の青年ケンヤが指摘する人間の本質というか、人の心の暗部というか、グサッとくるセリフに「人と人とのかかわり」のあり方みたいなことを教えられる、そんな感じを受けました。
読了したあとに考えてみると、このケンヤという主人公は「心理カウンセラー」のようであります。その人の本音を聞きだすのがあまりにもうまい。うますぎる。カウンセラーは相手を納得させるために、あえて相手にしゃべらせるという手法を使いますが、ケンヤはいい突っ込みをすることで相手の本音を引き出しています。
相手を怒らせたり泣かせたり、最後は呆然とさせて立ち去る、ってな感じでカウンセラーというよりはむしろ哲学論議で絶対的に強かったあのソクラテスのようでもあります。「無知の知」を引っさげているところなどは

まさにソクラテス。

「いや、俺って勉強もできないし、よくわかんねえっすよ」とか平気で言うから相手も困るわけで、「でも良く分かんねけど、つまりこういうこと?」と言って実は的確に相手の急所を突いているというところなどは、何こいつ最強じゃん、みたいな感じです。
そして最後のドンデン返し(というほどのことでもないかもしれんが)が待ち受けているというのも、京極作品ならではのうまさを感じさせます。








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2011年04月12日

書評301 香納諒一「噛む犬 K・S・PV」

娘と同じ小学校のPTAのオバハン(といっても自分より若いかもしれんのでここはオネイサンと呼んでおく)が、原発で若干ノイローゼ気味だ。
実家が九州にあるそうなので、「早くこっちに来い」と言われているそうだ。しかし、娘は学校があり、旦那も自営業で仕事をいっぱい抱えているから動けないし、自分だけ避難するわけにもいかず、かといってこのままここにいていいのかと自問しながら過ごしているから、いつまでたっても問題が解決しないわけです。
まあ、自分も立場的には同じですが、なんだか原発情報に感覚が麻痺していたみたいですわ。その人に「いつ避難する?」って聞かれて、「あぁ、なんだか避難するという選択肢をいつの間にか捨てていたわ」という自分に気がつきました。
水も大気も今のところ数値的には安定している東京ですが、チェルノブイリ級の「レベル7」になったということで、もう遅いかもしれませんがまた検討を始めなければならないかもしれません。
政府の小出しの情報戦略に、我々はいつのまにか「茹でガエル」にさせられていたのかもしれないなあと思った次第。


内容(徳間書店HPより)
新宿高層ビル街の一角に沖幹次郎、村井貴里子らK・S・P特捜部が駆けつける。植え込みから白骨体が見つかったのだ。身元は警視庁捜査二課の溝端悠衣警部補。貴里子が敬意を寄せる先輩だった。死亡前の動向を探ると、未解決の轢き逃げ事件を単独捜査していた形跡が浮上。被害者は暴力団組員で、溝端は保険金の受取人である婚約者とも接触していた。彼女が秘密裏に突き止めようとしていたものとは。事態はやがておぞましき全貌を――。警視庁歌舞伎町特別分署KSPシリーズ第3弾!






曹源寺評価★★★★
最近嵌っている香納諒一氏の最新刊はあのK・S・Pシリーズの第3弾です。新宿のなかでも最も治安の悪い歌舞伎町の事件に特化した分署として設置されたK・S・Pの活躍を、特異なキャラクターで読ませるシリーズです。
「孤独なき地」「毒のある街」ときて「噛む犬」としたこのシリーズは、警察小説のなかでもあまり勧善懲悪で語られず、警察内部の腐敗を絡めながらも刑事としての本懐を遂げる骨太な小説でありませう。
主人公の沖幹次郎は禿頭で迫力のある無骨な刑事ですが、物凄く有能で事件をバリバリ解決するという設定ではありません。時には同僚と子供じみた喧嘩をしたり、尾行に失敗したりします。また、キャリアにして美人の上司である村井貴里子との擬似恋愛的なやりとり(コンプレックスを持っている沖が勝手にドギマギしているという内容ですが)もあったりして、他の警察小説とは一味違う仕上がりになっています。
ミステリ的な要素には乏しいですが、人間味あふれる登場人物によって一級のエンタテインメントに仕上がっているという感じでしょうか。
惜しむらくは、今回はどちらかというと「大山鳴動して」という感じになってしまったのがちょっと痛かったですね。読者をこっちの方に引っ張ろうとしつつも、なんだか終わってみたら違う着地点にいた、という表現で通じるでしょうか。
まあ、そもそも氏の作品は始めのほうでいきなり大きな事件が勃発して、そこからどんどん話が広がっていくというのがお決まりのパターンではあります。その過程で謎が次々と出てくるものですから、読者はそれを整理するだけで精一杯になったりすることがままあります。これらの伏線をしっかり回収しておかないと、「あれはどうだったっけ?」という消化不良を起こすことになりますので、読むほうも大変です。
本書はさらに、汚職事件(御食事券ではない)へと展開するのかと思いきや、警察上層部や国会議員などへの疑惑の展開といったお決まりのパターンにはならず、うーんなんだかなあという、これはこれで煮え切らない感じがしなくもありません。
まあ、でもこのシリーズのキャラクターは警察小説のなかでもかなり好きなほうかもしれません。4作目も当然、期待します。








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2011年03月18日

書評296 後藤忠政「憚りながら」

震災からまる1週間経ちました。
いまだに被害の全貌が分かっていないうえ、原発事故が今後どうなるのか全く展開が読めないので、多くの国民が疲弊しているかと思います。自分も疲れています。何が疲れるって、通常の地震ならば、さあ復興だー!という感覚になるため前向きになれるのですが、今回はいつ放射能が大量拡散するか分からないうえに、東京への本震もまことしやかに噂されているために心が休まらないのです。
被災地のみなさまには改めてお見舞い申し上げますが、東京都民も自分と同じ心境でいる人が多く、あまり余裕がないのが実情ではないでしょうか。
だからこそ、ああいった買い占め騒動などが発生するのではないかとも思うし、自分もカップめんの2つばかりですが保存食として買ってしまいました。すみません。子供の分ということで勘弁してください。

今のところ落ち着いて行動している人が多く、一見すると平穏ですが、張り詰めた糸が切れるかのようにブチッといってしまう人が出てきやしないか、ちょっぴり不安でもあります。
一日も早い事故処理と復興がなされるよう、心から祈念いたします。
ガンバレ、ニッポン。

内容(宝島社HPより)
しょせん、俺はチンピラだった。得度から1年――
伝説の組長はなぜ、山口組を去ったのか?
戦後愚連隊社会、創価学会との攻防、山一抗争、
伊丹十三襲撃事件、バブル経済、政界との交流。
日本の深層を生き抜いた人物の半生と人生哲学。
かつて伊丹十三監督襲撃事件などで日本社会を震撼させた武闘派団体・後藤組の後藤忠政組長。2008年10月に山口組を電撃引退し、翌年には天台宗系の浄発願寺で得度(得度名=忠叡)。日本中をあっといわせたのは記憶に新しい。
それから1年……財界・政界にも大きな影響力を発揮し、山口組の直参として、日本の深層を生き抜いた後藤忠政とは、いかなる人物なのか?本書は、半年にわたる延べ50時間のインタビューを構成したもので、これまでその人物像が明かされることのなかった伝説の組長の生い立ち、静岡県富士宮を舞台にした愚連隊時代、山口組直参昇格、竹中正久四代目の思い出、山一抗争、伊丹十三襲撃事件、孤高の民族派・野村秋介との交友、企業社会への進出、政界との交流、武富士との攻防、山口組引退の真相、そして自身の人生哲学から女性哲学までが、たっぷりと語られる。
激動の半生を送ってきた人物が語り下ろす、今年、注目度ナンバーワンのノンフィクション!






曹源寺評価★★★★
いささか古くて恐縮ですが、本書は読了するとやはりある意味衝撃的ではあります。最も面白いところは、創○学会との確執の章でしょうか。学会が死ぬまで攻撃し続けてきた山崎正友弁護士のやり口なんてのは、生々しすぎてたまりません。山崎弁護士は結局脱会して、学会からさんざ攻撃されていましたが裏側にはこんなわけがあったのね。
まあ、ヤクザ(暴力団ではなく任侠のある人をヤクザと呼ぶのは良いみたい)の生き様を肯定しようなどとはこれっぽっちも思いませんし、得度したからといって今までの罪が消えるわけでもありませんので、氏の言い分を信じるつもりも毛頭ありません。
しかし、ヤクザにはヤクザなりの生き方があるというのは理解できなくもありません。日本人は昔からヤクザを必要悪のように考えているフシがありますし、暴力団は行き場を失ったチンピラやロクデナシを再教育して食わしてやる団体という見方もできます。だからといって、素人に因縁をつけてカネを巻き上げることや、メンツのためなら人に危害を加えても構わないという行動様式(伊丹十三の件はまさにこれ)などを容認できるわけはなく、氏も部下の教育・統制には完全に成功していなかったようですので、本作を持ってこれを免罪符とするようなことだけはしてほしくありません。
つまり、「もっと書いて」ということになります。








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2011年02月07日

書評289 今野敏「禁断 横浜みなとみらい署暴対係」

娘の中学受験オワタ。ようやくひと段落です。それにしても都内の競争はやはりハンパじゃないわね。しかしまあ、実質1年でよくこれだけ学力を伸ばしたものです。3年生くらいからSAPIX(家の近くにある)に通っている子もいましたから、彼らを競争相手にしてはよくやったのではないかと思うわ。ちょっと学校は遠くなるけれど、良い学校に受かったのだから頑張って通って欲しいね。
最近気に入っている言葉に「過去と他人は変えられないけど、未来と自分は変えられる」というのがありまして、まだまだ自分も頑張らないといけんなあと思うし、子供らにもそう思ってもらいたいなあと感じる次第。


内容(徳間書店HPより)
神奈川県警みなとみらい署警部の諸橋。暴力団の間では「ハマの用心棒」と呼ばれ怖れられている。かつてヤクザの抗争に巻き込まれ、両親を失った諸橋の暴力団に対する憎悪は特別深いのだ。今日も陽気な相棒の「ジョー」こと城島と摘発に向かった諸橋のもとへ男子大学生の変死体発見の報が。死因はヘロインの中毒死。市内では薬物検挙数が目に見えて増えているという。諸橋は捜査を開始する。






曹源寺評価★★★★
横浜みなとみらい署防犯係シリーズの第2弾(第1弾は「逆風の街」)ということですが、「東京湾臨海署安積班」シリーズとか「樋口顕」シリーズとか「隠蔽捜査」シリーズだとか、警察小説でこんなにたくさんの登場人物を書き分けているのは今野センセーだけではなかろうかと。よくもまあ、こんなにいっぱいシリーズものをwww
このみなとみらい署の主人公である諸橋は「ハマの用心棒」と呼ばれるベテランで、地元のヤクザからも一目置かれているという設定です。分かりやすいキャラというのは大事ですね。杉下右京とか青島俊作とか新宿鮫とか(そういえば新宿鮫の鮫島警部は下の名前が公表されていないですね)。
事件は単なる中毒死から複雑に変化していきますので、このへんの展開はお見事です。それと、クライマックスとを迎えるラスト30ページはなかなか迫力あります。いまや警察小説の旗手となってしまった今野センセーですが、やはり空手モノとかよりはこの方が良いですね。








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2010年12月02日

書評277 貴志祐介「悪の教典」(上)(下)

このご時世に、せっかく入った会社を辞める新入社員がいます。「お話があります」というから何かと思ったら「辞めます」ときたもんだ。迷っているなら引き留めようかと思いましたが、決心は堅いということなので引き留めませんでした。
でも、辞めてどうするのか聞いたら「音楽関係に進みたい」って言うからちょっと待てよ、と。世界中で市場が縮小している業界に飛び込むって正気の沙汰じゃないよ。よほどの自信家かよほどの馬鹿か。それとも金を稼ぐ必要はないボンボンか。
でも当たれば大きい商売なので、当たったらなんかおごってね。


内容(文藝春秋HPより)
生徒に絶大な人気を誇り、PTAや職員の間でも抜群に評判のいい教師が反社会性人格障害(サイコパス)だったとき、惨劇へのカウントダウンが始まった。
英語科教諭・蓮実聖司、32歳。
暴力生徒や問題父兄、淫行教師など、現代の学校が抱える病理に骨まで蝕まれた私立高校で、彼は何を行ったのか。 高いIQをもつ殺人鬼は、“モリタート”の旋律とともに犯行を重ねていく。






曹源寺評価★★★★★
相変わらず貴志祐介センセーは話題作を出すのがうまいですね。今回も内容はホラーテイストですが、ページをめくる手が厳しかったです。それは「怖い」からではなく「気持ち悪い」からなんですが、その気持ち悪さも「キモい」ではなく「エグい」でもなく「非道い」あるいは「惨い」という表現が近いでしょうか。稀代の殺人鬼である蓮見聖司が大量殺人を重ねていくシーンがこれでもかと押し寄せてくる下巻には、ちょっと辟易とします。上巻は下巻よりもマイルドですが、これは蓮見が殺す相手も悪人であるという理由でしかないと思います。つまり、下巻はそれだけ非人情的というか、非人間的というか、人の皮をかぶった何かみたいな描かれ方をしているということです。共感する心が欠落した人間の怖ろしさをまざまざと見せつける作者のやり口に恐怖を覚える作品でした。ちょっと後を引きます。
(以下、ちょっとネタバレ)自分としては物語の最初の方から登場するカラス(表紙にもなっています)が、ラストに何らかの役割を果たすのではないかという期待を持っていました。これが期待はずれだったのでちょっと残念でしたが、こんだけ後を引く作品も久しぶりでした。
本日発売の週刊文春では「2010ミステリーベスト10」の国内部門で本書が堂々の1位に輝きました!
えっ?これってミステリじゃないんじゃ・・・しかも、「蓮見ファンが増えている」って・・・怖っ。









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2010年11月18日

書評274 香納諒一「熱愛」

先日、サラリーマンの新聞代が「特定支出」として税額の控除対象になりそうだという記事が読売と日経に出ていました。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/enterprises/manda/20101110-OYT8T00263.htm

以下はツイッターのまとめ

Togetter - 「政府税調『新聞代も控除対象に』がマスコミ対策、不公平と非難を浴びる」
http://togetter.com/li/68760

もうね、アホかと。マスコミがこれ以上政治に擦り寄ってどうすんのよ。これって国が新聞社のスポンサーになるってことよ。恥を知れと言いたいね。侮日新聞が「500億もあれば足りよう」ってほざいていましたが、もしかしてこれのことだったんですかねぇ。
控除が認められるべきは、これがないと生きていけないレベルの物品でしょうに。女性の生理用品とか(昔ビートたけしが言ってた)、サラリーマンのスーツ代とか。
それに、新聞が良くてネットがダメな理由って何?。ナイタイでもOKなの?聖教新聞は?次々に疑問がわきあがってきますね。彼らは、なぜsengoku38こと海上保安官一色氏がyoutubeに画像をアップロードしてマスゴミには一切提供しなかったのか、その本質が理解できていないんだなあとつくづく感じます。

内容(PHP研究所HPより)
事件に巻き込まれ、障害をもった息子を殺された男。そのことが原因で、別れた妻までも死に追いやった。捜査過程で罠に嵌められ、警察を追われた元刑事・鬼束啓一郎は、そんな過去に苦しみながら、探偵を名乗ってやくざの下働きも請け負う荒れた生活を送っていた。そこへ舞い込んだ仁科興業組長の次男坊・仁科英雄からの依頼。謎の殺し屋“ミスター”を探してほしいという。
“ミスター”につながる安城徹を拉致しながら誤って殺してしまった鬼束たちは、英雄の弟・大輝と3人で安城の過去を探りつつ、“ミスター”の正体に迫る一方、裏社会の根深い抗争に巻き込まれていく。“ミスター”を追いながら、いつかその手で自らの命が奪われることを熱愛する鬼束。そして訪れる絶体絶命の窮地……。深い闇に沈んだその心に救いはあるか。
ハードボイルドの旗手として根強いファンを持つ著者が、濃密なストーリー展開で男たちの魂の絶望と再生を描ききった渾身の長篇。






曹源寺評価★★★★
相も変わらず香納諒一氏の本を読み漁っておりやすが、彼の作品の質は年を追うごとに上がっているような気がしています。後半あたりからのドンデン返しは「ステップ」や「虚国」などでも冴え渡っていますが、本書もまたいい具合にひねってあるなあという感じです。
ただ、惜しむらくは、わずかな手がかりを元にして情報をかき集めていく作業において顕著でしたが、本筋にやや無理やり感があるなあというのが玉に瑕でしょうか。それと、最後のシーンがまたしてもクルーザーの上という既視感。古本とクルーザーがやたらと彼の作品の舞台として登場するのはどういうことでしょうか。今度はもうちょっと違う舞台と演出を用意してほしいですね。
ただ、「絶望」で終わる哀しいラストから、最近は「希望」が残るラストに変わりつつありますね。いや、絶望ではないな、「死に際の美学」と言った方が良いかもしれません。








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2010年11月04日

書評271 近藤史恵「エデン」

早いもので異動して1カ月が経過しました。9月の終わりごろからのドタバタを今も引きずっているような感覚がありますが、だいぶこなれてきたかもしれません。
今までの仕事と違って、「判断」を迫られる機会が圧倒的に増えました。しかも、即断しなければならない場面が多く、これがちょっとしたストレスになっているのかもしれません、酒量が増えました。寒くなってきたので、濃い酒がうまいっす。自制せねば。。。


内容(新潮社HPより)
あの『サクリファイス』の続編、遂に登場。今度の舞台は、ツール・ド・フランス!
あれから三年――。白石誓は、たった一人の日本人選手として、ツール・ド・フランスの舞台に立っていた。だが、すぐさま彼は、チームの存亡を掛けた駆け引きに巻き込まれ、外からは見えないプロスポーツの深淵を見る。そしてまた惨劇が……。大藪賞受賞、本屋大賞2位に輝いた傑作の続編が、新たな感動と共に満を持して刊行。






曹源寺評価★★★★★
前作の「サクリファイス」が本屋大賞の2位になったということで読んでみたら結構オモシロスでした。この第2弾が本書です。「サクリファイス」は確かに面白かったです。欧州では当たり前に人気のある自転車競技も、日本ではあまりにマイナーですから、日本人が主人公で欧州を舞台に活躍しながらの展開にはある意味斬新なイメージがあります。また、そこで巻き起こるさまざまな「事件」も新鮮味がありました。しかしながら、本書は続編とは言いながらも前作ほどの期待感あふれる展開はなく、「惨劇」と呼ばれるほどの事件もなく、どちらかというとヒューマニスティックなお話に終始しているように感じます。
そんなわけで、続きものとしてはあまり過激にならず、ちょっと期待はずれな感じがしなくもありません。フツー、続編というと前作よりも多少過激になったりするもんですが、本書は穏やかです。穏やかなだけに物足りなさを味わうのかもしれません。








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2010年08月19日

書評258 今野敏「初陣 隠蔽捜査3.5」

我が家に犬が来て2週間が経過しました。ヨメの実家の犬です。ご主人様の体調が思わしくないので、散歩ができてマンションでない家ということで我が家に来たわけですが、これがまあ大変です。ヨメと交代で朝、5時30分に起床して散歩、6時30分に戻り犬にご飯をあげます。そして散歩でない日は人間の朝ごはんを作り、それから出勤です。朝の公園は気持ち良くて楽しいのですが、これだけ暑いと朝っぱらでも30℃あって汗だくです。
家に帰ってからも散歩です。夜中の散歩もこれはこれで楽しいわけですが、ビールがうますぎるのが曲者ですwww

内容(新潮社HPより)
「隠蔽捜査」シリーズが8倍楽しめる、スピンオフ短編集、いよいよ登場!
警視庁刑事部長・伊丹俊太郎と大森署長・竜崎伸也。幼馴染にして同期のキャリア二人の絶妙なやり取りが、難事件を解決に導く――竜崎に敵対する野間崎方面本部管理官、大森署の貝沼副署長と斎藤警務課長、女性キャリアの畠山美奈子など、おなじみのメンバーが登場。「隠蔽捜査」シリーズの舞台裏を描いた特別短編8話を収録。






曹源寺評価★★★★
「隠蔽捜査」シリーズは分かりやすくて読みやすい、シリアスだけれどもどこかほのぼのしている警察小説です。本書は上記の通りスピンオフ短編集ということで、伊丹俊太郎が主人公となっていますが、ガチガチの原理主義者である竜崎伸也よりも人間味のある人物なだけに、このほのぼの感がさらに際立っていてスピンオフとは言いながらも出色の作品に仕上がっています。
伊丹を軸に時間が経過していきますので、シリーズを振り返るような内容になっているのも良いですね。逆に言えば、シリーズを全く読んでいない人には何が何だかさっぱり分からない本になっているとも言えるでしょう。でも、こういうのは嫌いではありません。実は影にこんなストーリーが展開されていた!なんてワクワクしませんか?








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2010年06月25日

書評248 香納諒一「ステップ」

とりあえずサッカー日本代表オメ!いままで観た代表試合のなかでも会心のできではなかったかと思います。朝からこんなに興奮させられると、夜まで持たないです。おやすみなさい。。。


内容(双葉社HPより)
「その日、俺は、8回死んだ」。女とヘロインをめぐるトラブルに巻き込まれた盗みのプロが、横浜の街を奔る! 繰り返される生と死のループの先に明日はあるのか!? 気鋭が放つハードボイルドSF。







曹源寺評価★★★★★
うーん、香納諒一に最近ハマリつつあるんですが、本書はかなり衝撃的でした。さりげなく「ハードボイルドSF」なんて書いてありますが、良く考えてみるとそんなジャンルあったっけか?という感じですね。本書はそういう意味で新しい、よく言えば斬新、悪く言えばなんじゃこりゃ?な作品です。何しろ、主人公がつごう8回死ぬわけですから。
第1章(本書では「Step1」となっている)から主人公が死んでしまい、あれ?これって短編集だっけか?という感じにさせておいて、第2章にいきなり生き返っている主人公が登場します。そんでもって、Step2でもまたコイツが死ぬわけです。おいおい、また死ぬのかよと思いつつもページをめくれば、また生き返っている主人公がいる。げ、マジでこれ繰り返すのかよ、と思いながらも、生き返るたびに謎が解け、そしてまた新たな謎が生まれるのでページをめくる手が止まらんのです。最後の最後に別の仕掛けがあったりして、かなり細かいプロットをしているのも素晴らしいですね。自分が読んだ著作のなかで、主人公がすぐに死ぬという作品は山口雅也のあの名作「生ける屍の死」以来かもしれません。あれはあれで衝撃的でしたが、本書も負けず劣らずの名作だと思います。この作品はこのミスなどにも選ばれませんでしたが、個人的にはかなり高い評価ということにさせてください。













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2010年06月10日

書評245 垣根涼介「張り込み姫―君たちに明日はない3―」

捻挫してから10日以上経ちましたが、いまだに痛みが残っていて完全ではありません。捻挫ってこんなに時間かかるもんだったでしょうか?遠い昔のことは忘れてしまいました。1年が経つのはあっという間ですが、だんだん少年時代のことなど忘れてしまうようになっています。


内容(新潮社HPより)
リストラ請負人・村上真介参上! テレビドラマ化の人気シリーズ最新刊!
企業のリストラを代行する会社に勤める真介の仕事は、クビ切り面接官。「人間にとって、仕事とは何か――」。たとえどんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、真介はこの仕事にやりがいを感じている。今回のターゲットは、英会話学校、旅行会社、自動車業界、そして出版社だが……。働くあなたに元気をくれる傑作人間ドラマ。







曹源寺評価★★★★
「君たちに明日はない」シリーズの最新刊ですね。幅広いジャンルで活躍する垣根氏の作品のなかでは、かなり異色といえば異色でしょう。本書はドラマ化もしていますが(観ていませんので論評不可能、でも坂口憲治はどーすか?)本来、垣根氏の作品はドラマ化できるような内容ではないっ!と思っていましたので、なんだか低俗な脚本家にでもなったのかと一瞬訝ってしまいました。
やはり自分としては、「ワイルドソウル」や「ゆりかごで眠れ」のようなキツイ作品を切望しますが、まあ、これはこれで軽くて読みやすいので赦します。
本書は自分の仕事のテーマでもある業界事情についても、かなり掘り下げて取材されていることが良く分かります。旅行会社の給料がホントに低いのは業界の常識ですが、なぜ毎年毎年JTBとか近ツーとかが就職人気ランキングの上位に食い込んでくるのか、不思議でしょうがありません。これに関してはこんな記事も見かけました。まあ、あながちウソでもなさそう。
http://www.cyzo.com/2010/05/post_4618.html
自分にとって、仕事とは何か――もう社畜になってしまった自分はともかく、やりがいとか仕事の意義だとか、あるいは人生だとか、そんなことを考えている人には、本書が何らかの答えを出してくれるかもしれません。










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2010年05月24日

書評242 香納諒一「血の冠」

先日、中学受験のための説明会と言うか学校紹介みたいな会合があったので行ってみたら、なんとまあ300人近く収容できる講堂が満員御礼ですよ。都立中学の中高一貫校はものすごい人気になってしまいました。あの武蔵中学では実質倍率がだいたい7〜8倍だそうで。
翌日の私立中学の説明会ではその半分もいなかったようですので、人気のほどが分かろうというものです。やはり不況のせいでしょうか、学費が安くて高校受験しなくて済むとなると人気が出てもしょうがないですね。でも都立中学の検査は普通の受験問題とはだいぶ異なりますので、やはり独自の勉強法が必要みたいですね。
しかし、都立は試験と言わず、検査と言うらしいですね。ちょっとキレて良いですか?

なにが「検査」じゃ!子どもは実験体じゃねえぞゴルァ!フツーに「試験」でいいじゃねえか。ざけんな文科省っ!
大変失礼いたしました。。。

内容(祥伝社HPより)
“疵(きず)つく心と汚濁の街”警察小説、2008年の収穫。
内勤警官・小松一郎(こまついちろう)
連続猟奇殺人を追う
被害者の頭部を王冠のように飾りたてる殺人者
26年前の迷宮入り事件が北の都・弘前に蘇った――
「やつらはある種の優越感とともに、内勤の人間をデスク組と呼ぶ。社会の秩序を保っているのは自分たちであり、自分たちこそが本物のデカだと言いたいのだ。だが、各警察署の、いや、警察という組織そのものの秩序を保っているのが、連中がデスク組と軽蔑する人間たちである現実には決して目をむけたがらない。とはいえ、確かにここは刑事課の連中のテリトリーだ。なぜ自分がここに呼ばれたのか、理由を聞きたいのはこっちだった。」
(本文より)
「警察OBの越沼(こしぬま)が殺された。頭蓋骨が切断され、脳味噌に王冠のように釘を植えつけられて。それはかつて「キング」と呼ばれる殺人者が繰り返した、二十六年前の忌(い)まわしい迷宮入り事件の手口と同じだった――。
弘前(ひろさき)中央署会計課係長の小松一郎(こまついちろう)は、幼馴染(おさななじ)みの警視庁警視正・風間(かざま)によって、捜査の最前線に立たされる。少年時代二人はキングの被害者だったのだ。地元有力者を密(ひそ)かに容疑者と目(もく)する風間たち。だが、その追跡も空(むな)しく、猟奇殺人はさらに続く。そして、解決の鍵となる捜査資料が紛失した。署内に事件と関わりのある者がいるのか? 北の街を舞台に心の疵(きず)と正義の裏に澱(よど)む汚濁を描く、警察小説の傑作誕生!







曹源寺評価★★★★
この香納諒一という作家はほとんど読まず嫌いで通してきましたが、ハードボイルド系ということをつい最近知りまして、いささか古い本ですが読んでみました。そうしたら、なんとまあ、面白いじゃないですか。本書は警察小説で、なおかつ舞台が弘前ということで、またしても青森県警ですよ。最近読んだ警察小説が立て続けに青森県警とは一体どうなっているんでしょうか。しかも、本書はほぼ全編、青森弁ですよ。ん、これは弘前弁といったほうが良いんでしょうか。これがどうにも読みづらいんですが、でもしっかり読んでいくうちに自分も青森の人間になったような気がするべさ。
物語はいささか複雑ですが、過不足なしといった感じでしょうか。犯人も最後のほうで大体分かってきますのでそれほどひねりにひねりを加えたものでもありません。ただ、タイトルの「血の冠」にどれほど深い意味があるのか、自分にはよう分かりまへん。ただの猟奇殺人だし、この辺の描写もなんだか中途半端です。せっかく良いプロットでストーリー展開しているのだから、猟奇的な部分に対する裏づけと言うか描写と言うか、多少肉付けがあっても良いのではと思った次第。










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2010年04月26日

書評237 鏑木蓮「エクステンド」

先週末は近所の公園で会社の仲間達とBBQバーベキューをやりました。今回はスモークチキンにも挑戦しまして、結構うまくできましたので満足です。集まった15人のうち、所帯持ちは自分ともう一人だけというエライ若いメンツでやりましたので、みんなフットワークが軽い軽い。とても助かりました。
16時には終了したのですが、その後どうしたのか聞いたところ、駅前で飲んで、別の駅でまた降りて飲んで、最後に下宿に集まってまた飲んで、ってスゴイね。若いね。オジサンはもうついていけません。まいりました。


内容(講談社BOOK倶楽部HPより)
生きる、その一日を。
「彼女の死は無駄にしまへん。どないしても」
花街育ちの新人刑事・片岡真子が挑む“最後の2日間”
乱歩賞作家が仕掛ける本格エンターテインメント
老舗呉服屋の邸宅で発見された首吊り死体。家主の6代目・向井雅也は無関係を主張するが、被害者とつながる遺留品が見つかると、次第に供述を変えはじめる。逮捕に踏み切った京都府警だが、同時に向井は何も語らなくなる。謎ばかりが残る遺体が訴えかけることは――。五条署の新人刑事・片岡真子が挑むことになる「本当のタイムリミット」。







曹源寺評価★★★★★
近年の乱歩賞作家としてはかなり注目株だと思っている鏑木氏の作品で、初版は2008年12月なのでいささか古めですが、京都府警を舞台にした警察小説でしたのでこりゃ読まなアカンと思いまして手に取りました。広川純氏の「回廊の陰翳」も京都府警の警察官が登場しますので、京都弁ばかり読んでいることになりました。
それはさておき、本書はタイトルのとおり「延ばす」のが主題です。さまざまな背景が交錯するため、このタイトルには3つくらいの意味が込められているんではないでしょうか。その意味では、かなり趣向を凝らした作品であるのは間違いないのですが、どうも読んでいてワクワク感みたいなものがないんですね。事項を取り扱った作品として最も面白いと思うのは横山秀夫氏の「第三の時効」ですが、あの作品にはシビレました。本書はあまりシビレません。淡々と進んでいくストーリーがどこか他人事なんですね。主人公に感情移入できないからでしょうか。それとも、余計な記述が多いからでしょうか。読み終わった頃には「あぁ、まずまずの作品ですね」と思ったのですが、途中はなんだか弛みます。小さくまとまってはいかんぜよ。鏑木氏にはもっとスケールのでかい作品を期待します。









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2010年04月04日

書評233 今野敏「天網 TOKAGE2」

テニスの季節がやってきました。といっても、花粉症の身分ではやはり少しつらいですね。テニスコートは都市部にはほとんど存在しなくなってきて、郊外ばっかりになりましたので、花粉も凄そうです。そんなところで思いっきり呼吸しまくっているわけですから、つらくて当たり前ですね。今年は漢方っぽい薬で凌いでいますので、鼻水ダラーみたいなことにはならないのですが、薬を飲み忘れると大変です。幸いにも、本日は環八より内側のコートで試合をしてきましたので、花粉もそれほどではないと思います。え、今日の試合ですか?勝ちましたが、団体戦ですので、トータルでは、、、

内容(朝日新聞出版HPより)
同時多発バスジャック事件が発生、警視庁の隠密捜査専門のバイク部隊「トカゲ」に出動命令が下る。犯行に並行するように、ネット上で犯人しか知りえない情報が流通していた。犯人グループの目的は? 本格警察小説『TOKAGE』シリーズ第2弾!







曹源寺評価★★★★
警察小説を乱発している今野先生ですが、この「TOKAGE」シリーズは少し異色ですね。TOKAGEは警視庁のバイク部隊ですので、追跡や偵察が主な任務となります。したがって、情報収集に重きを置かれ、犯人と直接対峙するような事態にはなかなか遭遇しないわけです。警察小説として、犯人と直接向き合うことなくストーリーを展開するというのは、ものすごいテクニックが必要ではないかと、単純に思うわけです。本書も、犯人像とか犯人のセルフとか、犯人の人物背景とか一切描かれていません。信じ難いことに、それでも小説が成立しています。しかも、犯罪も前代未聞の複数犯による同時バスジャックというヤツです。こんなんで小説になるんだろうか、と半ば疑問を抱きながら読み進めていきました。今野先生の恐ろしいまでの力量をまざまざと魅せつけられる作品と言えましょう。









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2010年02月16日

書評224 黒川博行「螻蛄 けら」

手作りベーコンに挑戦しようということでスモーカーなぞ買ってしまったわけですが、肉の下ごしらえが完了しているにもかかわらず、実際に使う時間がないわけですわ。冷蔵庫の肉はどんどん乾燥してきまして、いい加減処理しないとヤバイ状態です。あーどーしよー。
ためしに少し端の方を切って焼いてみよう。お、豚バラのいいにおいがしてきました。おー、なかなかイケるやないですか。ちょっと塩味が濃いかなあ。どれもう一度。うん、スープに入れたらちょうどいい感じだわ。これはおいしい。なんだ、スモークしなくてもおいしいやないですか。あー、肉のブロックがどんどん小さくなっていくーっっ。


内容(新潮社HPより)
二転三転四転五転するストーリーの快感! 金は、一番悪い奴と仲良しや――。
イケイケヤクザの桑原と、自称「建設コンサルタント」の二宮――「疫病神」コンビ、待望の最新作! 桑原のもとに転がり込んだ某宗教団体の宗宝をめぐり、生臭坊主や強欲な石材屋、したたかな画商らが壮絶な争奪戦を繰り広げる……最後に笑うのは一番の悪党か、羊の皮をかぶった狸・二宮か。ノワール・エンタテインメントの傑作登場。







曹源寺評価★★★★★
大阪弁のヤクザ(関西では極道と言うのが一般的なんですか?)を描かせたら日本一ではないかと噂される黒川氏の新作です。うーん、軽妙なタッチでテンポ良く読ませるあたりは、さすがです。本書に登場する主人公の二宮と桑原は、『疫病神』『国境』『暗礁』に登場するコンビですが、本書はまぎれもなく傑作と言えるでしょう。二転三転するストーリーに、東京、大阪、名古屋、京都までを跨ぎながら巻物を奪ったり奪われたりで、息つく暇もないほどです。おまけに、日本の寺院をめぐる裏話みたいな(なにか実例でもありそうな)筋書きも並行していて、ストーリーも楽しめます。直木賞候補にもなった「悪果」を超える面白さでした。









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2010年01月28日

書評220 小池龍之介「もう、怒らない」

血筋というか、因縁というか、運命というか、よく表現できないのですが、持って生まれたものというのは確実に存在しますね。心理学では「気質」と言ってますね。「性格」とは違って、先天的なものです。何が言いたいかというと、自分の祖父は学校を建てました。祖母はそこの教師でした。伯父は国語の教師でした。その伯父の息子、つまりいとこに当たる人ですが、その人も国語の教師です。現役です。別の伯父は映画会社に勤めていました。自分の父は「先生」と呼ばれる職業でした。母方の祖父は歌舞伎座の黒子(?)でした。2つ上の兄はイベント関連の会社を興しました。弟は生保にいますが、ビジネスコーチの資格をとって講演なぞやったりしています。自分はサラリーマンのくせにいつのまにか大学で講演などやったりする部署に入っていました。
そう、製造業や商社などに勤めている血族がほとんどいないのです。いとこの姉さんがアパレル会社に入った後、結婚して退職したのを知っているくらいです。我が血筋は商売人というよりは学者に近いのではなかろうかと思うのです。祖父は学校を建てる前は軍人でしたし、その家計は医師だったと聞いています。営業が花形のこの会社に来たのは間違いではなかろうかと、18年勤務しておいて思うわけですわ。遅いって。


内容(幻冬舎HPより)
「ムカつく」「妬む」「恨む」「悔やむ」…仏道では、これら負の感情をすべて「怒り」と考える。仏道の最も重要な教えの一つである「怒り」のコントロール法をやさしく解説。ざわつく心を浄化する一冊。







曹源寺評価★★★★
最近、売れっ子だと聞いて飛びついてしまった本のひとつです。大学で心理学などやっておったもんですから、宗教関連やら哲学関連やらの本は昔からよく読んでいました。アーサー・ケストラーの「ホロン革命」はいまでも座右の書です。高校生のときに読んでかなりショックを受けた記憶があります。高校生の時に哲学論議した同級生は東大の文Vに行きました。そいつとは毎日部活のあとに21時くらいまで近所のミスドで哲学を熱く語っていました。今思えばすごく変ですね。テニス部で哲学。まあ、そいつも変人でしたが。
自分はというと、キリスト教には興味を示さなかったんですが、仏教は少し調べたのを思い出します。仏教の因果律は自分のなかにスーッと入っていったんですね。しかしながら、親鸞の言う「悪人正機」というやつだけは理解できませんでした。善人が救われるのだから、悪人はもっと救われる、というやつですね。これって、因果律とは相反することになりませんか?
話が飛んでいってしまいましたが、要するにですね、本書は「怒り」を理性で静めましょう、という内容です。簡単すぎるwwwww
でも、これを読んだあと、もう怒らなくなったかというとぜんぜんそんなことはないですね。正月、しかも元旦から怒っていました。ヨメよ、すまんのう。内容はそこそこ面白いんですが、修行が足りないということになりましょう。もう何回か読み直したほうが良いですね。










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2010年01月23日

書評219 今野敏「凍土の密約」

我が家にはクルマがないので、レンタカーをよく利用します。
本日はカーシェアリングを初めて利用してみました。
年末に運営するレンタカーの事務所に行って会員登録しました。予約はインターネットか携帯電話、それに電話でもOKです。我が家の近くにはシェアリングの基地がいっぱいあるので、土曜日の昼間でもぜんぜん使えます。
今日は娘が学校で書いた書き初めが選ばれて市民文化会館に掲示されたということで、早速クルマを調達して行ってきました。
会員になるとカードをもらうんですが、このカードでクルマのドアの開閉を行うわけです。予約した後、駐車場に行きカードをかざしてドアを開け、グローブボックスのなかからキーを取り出してエンジン始動です。
おぉ、なんだか簡単でええなあ。
ガソリン代も利用料金に含まれていますので、気にしなくて良いし、ちょっと乗る程度の利用であれば経済的です。
本日は2時間利用して合計1,600円プラス駐車場代200円、合計1,800円でした。家族4人がバスで移動すると往復で1,200円かかるところを、実質600円の追加負担でクルマに切り替えることができたという計算になります。クルマの維持費などを考えたら絶対お徳ですね。

内容(文藝春秋HPより)
公安部外事一課の倉島警部補が、殺人事件の捜査本部に呼ばれた。殺しの手口はプロ。さらに数日後、ロシアとの密貿易を資金源にしている暴力団員も殺された。捜査を進めるうち、第三、第四の殺人も起こる。実行犯は元極東ソ連軍の特殊部隊に所属していた人物と推定されたが、はたして犯人の目的は何なのか……。いま一番乗ってる警察小説の書き手である著者の最新作。既刊の『曙光の街』『白夜街道』では公安の仕事に馴染めずにいた倉島が、本作では公安部の警察官としての矜持(きょうじ)を自覚します。一人の男の成長譚としても読みごたえ充分です。







曹源寺評価★★★★
先日、「同期」を読了したばかりでまたしても今野敏先生の登場となりました。「同期」は公安と刑事の両方の確執などを背景としながらも、刑事のほうに焦点を当てていましたが、本書は公安のほうが主役になっています。一般市民にとっては公安だろうが刑事だろうがそんなことは関係ないわけですが、最近は公安と刑事の仲の悪さなどがいろいろと取りざたされるようになっていて、なるほど彼らは捜査方法も違えば国をどうやって守っていくかという方法論まで全然違うと言うことが、こういう本を読んでいくと良く分かります。であれば、なるほど本書のなかにもありましたが「これは役割分担だ」ということですね。それぞれが与えられた役割をきちんと全うしていけば、多少仲が悪かろうとうまく機能するのかもしれません。
ただ、「同期」を読んでいるときは刑事サイドに肩入れしている自分がいるのですが、本書を読んでいるときは公安サイドに肩入れしている自分がいました。つまり、刑事ものの時は「公安の秘密主義は鼻持ちならねえなあ」と思っていて、本書では「せっかく公安がうまく立ち回っているのに刑事がしゃしゃり出て台無しじゃん」と思っているのです。うーん、今野先生はよくこんなにうまく書き分けられますねえ。恐れ入りました。










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2010年01月11日

書評217 今野敏「同期」

この連休は忙しかったわー。
土曜日にはひさしぶりに会社後輩の結婚式に行きましたが、いやー良かったですわ。何が良かったかというと、ホント普通の結婚披露宴だったんですよ。極めてオーソドックススタイルを貫いたのが、かえって新鮮でした。最近は奇をてらった内容も多いようですし(自分もその一人だったのでえらそうなことは言えませんが)、印象に残るようなことをしようしようと思ってそれが逆にわざとらしいと言うか、あけすけと言うか、悪く言えば嫌味っぽい感じがしなくもないですが、ここまで基本路線をビチッと極められると清清しいですね。感動すら覚えましたよ。とにかく本当に良い宴でした。おめでとう!


内容(講談社HPより)
刑事、公安、組対……。それぞれの思惑が交錯する大きな事案を追いつつ、願いはただ同期を救うことだけ。
圧倒的なスピード感で、あっと驚く展開の連続を駆け抜ける大興奮の700枚。
懲戒免職になった同期の公安刑事が、連続殺人の容疑者に。
「教えてくれ。おまえはいったい何者なんだ」
男たちの前に立ちはだかる最も高い壁――組織の論理。その壁を突破するのは、刑事たちの誇りと絆。
現時点での集大成ともいえる最新警察小説、登場!







曹源寺評価★★★★
今野センセーは紛れもなく現代の警察小説をリードする代表的な作家の一人であります。本書もこれに違わぬ実力を存分に発揮した作品と申しましょう。若手刑事の主人公とそれを支える二人のベテラン刑事。公安と刑事の対立、さらには組織犯罪対策(組対)と暴力団の戦い、などなど、警察小説が捉えるさまざまなテーマをこれでもかと凝縮してそれをひとつのストーリーに仕上げるあたりは、もう職人技としか言いようがありません。一気読みでした。
ひとつだけ気になる点があるとすれば、公安刑事の立場というかミッションというか、潜入捜査の何たるか的な部分がかなり割愛されているので、その辺をもう少し密に描いていたら完璧だったと思います。公安警察は麻生幾センセーなどのベテラン筋が濃密な小説をお書きになっているので、物足りなさを感じてしまった次第です。










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2010年01月05日

書評216 菊澤研宗「組織は合理的に失敗する」

あけおめです。ことよろです。

毎年、新年は両家の親戚廻りで終わってしまいますが、我が実家は男兄弟ということで酒を飲みおおはしゃぎのうちに終了します。
それに引き換え、ヨメの実家はお酒を飲む人が極端に少なく、極めてお上品に過ごします。今年はファミリーコンサートなぞやってしまいました。ウクレレ、ピアノ、オカリナ、サキソフォン、さらには合唱まで。みんなうまいなあ。楽器のできない自分は皆が歌っている間にお手玉を続けるというヒジョーにお間抜けな役回りですorz
うーん、育ちの違いは大きいねえ。


内容(日本経済新聞出版社HPより)
個人は優秀なのに、“組織”はなぜ不条理な行動に突き進むのか。日本陸軍の失敗を題材に、「取引コスト理論」「エージェンシー理論」など最新の経済学理論に基づいて現代企業が抱える組織の問題を解き明かす。







曹源寺評価★★★★★
経済書で久しぶりにハマった本でした。本書は「組織の不条理」というタイトルで10年以上前にダイヤモンド社から出版されていたものが文庫化され、同時に改題されたというものです。副題には「日本陸軍に学ぶ不条理のメカニズム」とありますとおり、ガダルカナル戦やインパール作戦でなぜ陸軍が玉砕してしまったのか、というか、なぜ同じ過ちを繰り返したのか、という命題を、最新の経済理論で解き明かしていこうとするものです。
菊澤氏は慶応大学商学部教授で、内容もかなり堅めですが、「取引コスト理論」や「エージェンシー理論」についてはかなり分かりやすく書かれています。
恐れながら要約すると、「組織は限定合理的であるため、それを完全合理的に行動すると組織は崩壊に向かう」?
いや違うな。「個人は限定合理的であるため、組織もまた限定合理的である。したがって、成功体験に則り完全合理的に振る舞う上司の下では、組織もまた硬直化してしまい、批判を受け入れなくなると変化に対応できず崩壊に向かう」
うーん、これも微妙に違うな。「合理的であるということと効率的であるということは必ずしも一致しない。それゆえに、人は合理的に振る舞おうとすると不条理を起こすことがある」確かにこれもそうだが、んんん、まとめにくいのう。
自分は大学で心理学をやっていたのですが、「なぜ人は不条理な行動を起こすのか」という命題は昔からの関心ごとでしたので、経済学にこれを教わるとはなんとも不思議な気がしました。そうです、「なぜ人は戦争を起こすのか」とか「なぜ人は個を捨てて全体のために行動することができるのか」といった疑問が中学生くらいから芽生えていたような記憶があります。本書はこうした疑問に対するヒントを与えてくれたようです。
それはすなわち、「なぜ人は大勢の人が死ぬと分かっていても戦争を引き起こすのか」あるいは「なぜ戦う前から負けると分かっていた米国との戦争を始めたのか」という疑問の解消につながるわけです。
本書ではさらに、企業の倒産事例にも触れていて、「なぜこの会社は倒産したのか」について、上っ面の分析ではなく「なぜ社長はここで無謀な投資に打って出たのか」といった疑問に置き換えて行動理論的なアプローチを試みています。心理学的と言ってもいいかもしれません。信用調査会社の倒産記事も、こういうアプローチから取材を進めてみるのも良いのではないかとつくづく思う次第です。










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2009年10月28日

書評202 郷原信朗「思考停止社会〜遵守に蝕まれる日本」

朝晩がめっきり冷え込んでまいりました。乾燥してのどが痛くなる季節でもあります。風邪などひかぬようご自愛ください。

それにしても眠い。。。


内容(講談社HPより)
日本の経済と社会を覆う閉塞感の正体
建築不況、食品偽装、市場混乱、メディアスクラム、裁判員制度……。日本停滞の背景には「法令遵守」からさらに進む、なんでも「遵守」の害があった!コンプライアンスの第一人者が問題を鋭く指摘、解決策を示す。

目次
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第1章 食の「偽装」「隠蔽」に見る思考停止
第2章 「強度偽装」「データ捏造」をめぐる思考停止
第3章 市場経済の混乱を招く経済司法の思考停止
第4章 司法への市民参加をめぐる思考停止
第5章 厚生年金記録の「改ざん」問題をめぐる思考停止
第6章 思考停止するマスメディア
第7章 「遵守」はなぜ思考停止につながるのか
終章 思考停止から脱却して真の法治社会を








曹源寺評価★★★★
尊敬してやまない郷原先生の著書です。コンプライアンスを語らせたら右に出る者はいないとされる郷原先生が今回著したのは、物事の本質を見極めずにあーだこーだとわめき散らす有識者やマスゴミの意地汚さというか、本当に何考えてんの?みたいな思考停止状態を厳しく諌めている内容の新書です。
常日頃、企業のプレスリリースや業界のニュースなどに触れているため、いわゆる「メディア・リテラシー」というものにはかなり敏感になっている自分ではありますが、実に論理的にズバズバと斬る郷原先生の文章には圧倒されます。メディア・リテラシーとは「情報を使いこなす」とか「情報を主体的に読み取る」とか「情報を自ら発信する」とかいろいろな言われようをしていますが、個人的に言わせていただくならば「情報を客観的に見る力」だと思っています。日本人は活字になっているものをありがたがる性質があり、活字になっているものはすべて正しいと思い込んでしまうところがある――
これではあきまへん。ま、たぶん小学校や中学校で教科書を一所懸命読んだ人などは「教科書に書かれていることはすべて正しい」とでも洗脳されてしまっているのではないかとちょっと危惧します。
情報を客観的に見るというのは、自分も大学生の時に教わりました。本を一冊与えられて「作者の主張を批判しなさい」という宿題が出たことがあって、それ以来、感想文を書くのが非常に苦手になってしまったわけですが、客観的な視点だけは今も残っているのだなあと感じてしまいます。おかげでかなり助かりました。相手のつくうそを一発で見破ったりするためには、情報のソースをまずはしっかり自分のものにしていただければと思います。











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