ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

カテゴリー:か行の作家

2010年08月19日

書評258 今野敏「初陣 隠蔽捜査3.5」

我が家に犬が来て2週間が経過しました。ヨメの実家の犬です。ご主人様の体調が思わしくないので、散歩ができてマンションでない家ということで我が家に来たわけですが、これがまあ大変です。ヨメと交代で朝、5時30分に起床して散歩、6時30分に戻り犬にご飯をあげます。そして散歩でない日は人間の朝ごはんを作り、それから出勤です。朝の公園は気持ち良くて楽しいのですが、これだけ暑いと朝っぱらでも30℃あって汗だくです。
家に帰ってからも散歩です。夜中の散歩もこれはこれで楽しいわけですが、ビールがうますぎるのが曲者ですwww

内容(新潮社HPより)
「隠蔽捜査」シリーズが8倍楽しめる、スピンオフ短編集、いよいよ登場!
警視庁刑事部長・伊丹俊太郎と大森署長・竜崎伸也。幼馴染にして同期のキャリア二人の絶妙なやり取りが、難事件を解決に導く――竜崎に敵対する野間崎方面本部管理官、大森署の貝沼副署長と斎藤警務課長、女性キャリアの畠山美奈子など、おなじみのメンバーが登場。「隠蔽捜査」シリーズの舞台裏を描いた特別短編8話を収録。






曹源寺評価★★★★
「隠蔽捜査」シリーズは分かりやすくて読みやすい、シリアスだけれどもどこかほのぼのしている警察小説です。本書は上記の通りスピンオフ短編集ということで、伊丹俊太郎が主人公となっていますが、ガチガチの原理主義者である竜崎伸也よりも人間味のある人物なだけに、このほのぼの感がさらに際立っていてスピンオフとは言いながらも出色の作品に仕上がっています。
伊丹を軸に時間が経過していきますので、シリーズを振り返るような内容になっているのも良いですね。逆に言えば、シリーズを全く読んでいない人には何が何だかさっぱり分からない本になっているとも言えるでしょう。でも、こういうのは嫌いではありません。実は影にこんなストーリーが展開されていた!なんてワクワクしませんか?








いつもご覧いただき、ありがとうございます。
たまにはクリックしていただけるとうれしいです。
banner2[1].gif


posted by 曹源寺 at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月25日

書評248 香納諒一「ステップ」

とりあえずサッカー日本代表オメ!いままで観た代表試合のなかでも会心のできではなかったかと思います。朝からこんなに興奮させられると、夜まで持たないです。おやすみなさい。。。


内容(双葉社HPより)
「その日、俺は、8回死んだ」。女とヘロインをめぐるトラブルに巻き込まれた盗みのプロが、横浜の街を奔る! 繰り返される生と死のループの先に明日はあるのか!? 気鋭が放つハードボイルドSF。







曹源寺評価★★★★★
うーん、香納諒一に最近ハマリつつあるんですが、本書はかなり衝撃的でした。さりげなく「ハードボイルドSF」なんて書いてありますが、良く考えてみるとそんなジャンルあったっけか?という感じですね。本書はそういう意味で新しい、よく言えば斬新、悪く言えばなんじゃこりゃ?な作品です。何しろ、主人公がつごう8回死ぬわけですから。
第1章(本書では「Step1」となっている)から主人公が死んでしまい、あれ?これって短編集だっけか?という感じにさせておいて、第2章にいきなり生き返っている主人公が登場します。そんでもって、Step2でもまたコイツが死ぬわけです。おいおい、また死ぬのかよと思いつつもページをめくれば、また生き返っている主人公がいる。げ、マジでこれ繰り返すのかよ、と思いながらも、生き返るたびに謎が解け、そしてまた新たな謎が生まれるのでページをめくる手が止まらんのです。最後の最後に別の仕掛けがあったりして、かなり細かいプロットをしているのも素晴らしいですね。自分が読んだ著作のなかで、主人公がすぐに死ぬという作品は山口雅也のあの名作「生ける屍の死」以来かもしれません。あれはあれで衝撃的でしたが、本書も負けず劣らずの名作だと思います。この作品はこのミスなどにも選ばれませんでしたが、個人的にはかなり高い評価ということにさせてください。













banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月10日

書評245 垣根涼介「張り込み姫―君たちに明日はない3―」

捻挫してから10日以上経ちましたが、いまだに痛みが残っていて完全ではありません。捻挫ってこんなに時間かかるもんだったでしょうか?遠い昔のことは忘れてしまいました。1年が経つのはあっという間ですが、だんだん少年時代のことなど忘れてしまうようになっています。


内容(新潮社HPより)
リストラ請負人・村上真介参上! テレビドラマ化の人気シリーズ最新刊!
企業のリストラを代行する会社に勤める真介の仕事は、クビ切り面接官。「人間にとって、仕事とは何か――」。たとえどんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、真介はこの仕事にやりがいを感じている。今回のターゲットは、英会話学校、旅行会社、自動車業界、そして出版社だが……。働くあなたに元気をくれる傑作人間ドラマ。







曹源寺評価★★★★
「君たちに明日はない」シリーズの最新刊ですね。幅広いジャンルで活躍する垣根氏の作品のなかでは、かなり異色といえば異色でしょう。本書はドラマ化もしていますが(観ていませんので論評不可能、でも坂口憲治はどーすか?)本来、垣根氏の作品はドラマ化できるような内容ではないっ!と思っていましたので、なんだか低俗な脚本家にでもなったのかと一瞬訝ってしまいました。
やはり自分としては、「ワイルドソウル」や「ゆりかごで眠れ」のようなキツイ作品を切望しますが、まあ、これはこれで軽くて読みやすいので赦します。
本書は自分の仕事のテーマでもある業界事情についても、かなり掘り下げて取材されていることが良く分かります。旅行会社の給料がホントに低いのは業界の常識ですが、なぜ毎年毎年JTBとか近ツーとかが就職人気ランキングの上位に食い込んでくるのか、不思議でしょうがありません。これに関してはこんな記事も見かけました。まあ、あながちウソでもなさそう。
http://www.cyzo.com/2010/05/post_4618.html
自分にとって、仕事とは何か――もう社畜になってしまった自分はともかく、やりがいとか仕事の意義だとか、あるいは人生だとか、そんなことを考えている人には、本書が何らかの答えを出してくれるかもしれません。










banner2[1].gif


posted by 曹源寺 at 23:10| Comment(0) | TrackBack(3) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月24日

書評242 香納諒一「血の冠」

先日、中学受験のための説明会と言うか学校紹介みたいな会合があったので行ってみたら、なんとまあ300人近く収容できる講堂が満員御礼ですよ。都立中学の中高一貫校はものすごい人気になってしまいました。あの武蔵中学では実質倍率がだいたい7〜8倍だそうで。
翌日の私立中学の説明会ではその半分もいなかったようですので、人気のほどが分かろうというものです。やはり不況のせいでしょうか、学費が安くて高校受験しなくて済むとなると人気が出てもしょうがないですね。でも都立中学の検査は普通の受験問題とはだいぶ異なりますので、やはり独自の勉強法が必要みたいですね。
しかし、都立は試験と言わず、検査と言うらしいですね。ちょっとキレて良いですか?

なにが「検査」じゃ!子どもは実験体じゃねえぞゴルァ!フツーに「試験」でいいじゃねえか。ざけんな文科省っ!
大変失礼いたしました。。。

内容(祥伝社HPより)
“疵(きず)つく心と汚濁の街”警察小説、2008年の収穫。
内勤警官・小松一郎(こまついちろう)
連続猟奇殺人を追う
被害者の頭部を王冠のように飾りたてる殺人者
26年前の迷宮入り事件が北の都・弘前に蘇った――
「やつらはある種の優越感とともに、内勤の人間をデスク組と呼ぶ。社会の秩序を保っているのは自分たちであり、自分たちこそが本物のデカだと言いたいのだ。だが、各警察署の、いや、警察という組織そのものの秩序を保っているのが、連中がデスク組と軽蔑する人間たちである現実には決して目をむけたがらない。とはいえ、確かにここは刑事課の連中のテリトリーだ。なぜ自分がここに呼ばれたのか、理由を聞きたいのはこっちだった。」
(本文より)
「警察OBの越沼(こしぬま)が殺された。頭蓋骨が切断され、脳味噌に王冠のように釘を植えつけられて。それはかつて「キング」と呼ばれる殺人者が繰り返した、二十六年前の忌(い)まわしい迷宮入り事件の手口と同じだった――。
弘前(ひろさき)中央署会計課係長の小松一郎(こまついちろう)は、幼馴染(おさななじ)みの警視庁警視正・風間(かざま)によって、捜査の最前線に立たされる。少年時代二人はキングの被害者だったのだ。地元有力者を密(ひそ)かに容疑者と目(もく)する風間たち。だが、その追跡も空(むな)しく、猟奇殺人はさらに続く。そして、解決の鍵となる捜査資料が紛失した。署内に事件と関わりのある者がいるのか? 北の街を舞台に心の疵(きず)と正義の裏に澱(よど)む汚濁を描く、警察小説の傑作誕生!







曹源寺評価★★★★
この香納諒一という作家はほとんど読まず嫌いで通してきましたが、ハードボイルド系ということをつい最近知りまして、いささか古い本ですが読んでみました。そうしたら、なんとまあ、面白いじゃないですか。本書は警察小説で、なおかつ舞台が弘前ということで、またしても青森県警ですよ。最近読んだ警察小説が立て続けに青森県警とは一体どうなっているんでしょうか。しかも、本書はほぼ全編、青森弁ですよ。ん、これは弘前弁といったほうが良いんでしょうか。これがどうにも読みづらいんですが、でもしっかり読んでいくうちに自分も青森の人間になったような気がするべさ。
物語はいささか複雑ですが、過不足なしといった感じでしょうか。犯人も最後のほうで大体分かってきますのでそれほどひねりにひねりを加えたものでもありません。ただ、タイトルの「血の冠」にどれほど深い意味があるのか、自分にはよう分かりまへん。ただの猟奇殺人だし、この辺の描写もなんだか中途半端です。せっかく良いプロットでストーリー展開しているのだから、猟奇的な部分に対する裏づけと言うか描写と言うか、多少肉付けがあっても良いのではと思った次第。










banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月26日

書評237 鏑木蓮「エクステンド」

先週末は近所の公園で会社の仲間達とBBQバーベキューをやりました。今回はスモークチキンにも挑戦しまして、結構うまくできましたので満足です。集まった15人のうち、所帯持ちは自分ともう一人だけというエライ若いメンツでやりましたので、みんなフットワークが軽い軽い。とても助かりました。
16時には終了したのですが、その後どうしたのか聞いたところ、駅前で飲んで、別の駅でまた降りて飲んで、最後に下宿に集まってまた飲んで、ってスゴイね。若いね。オジサンはもうついていけません。まいりました。


内容(講談社BOOK倶楽部HPより)
生きる、その一日を。
「彼女の死は無駄にしまへん。どないしても」
花街育ちの新人刑事・片岡真子が挑む“最後の2日間”
乱歩賞作家が仕掛ける本格エンターテインメント
老舗呉服屋の邸宅で発見された首吊り死体。家主の6代目・向井雅也は無関係を主張するが、被害者とつながる遺留品が見つかると、次第に供述を変えはじめる。逮捕に踏み切った京都府警だが、同時に向井は何も語らなくなる。謎ばかりが残る遺体が訴えかけることは――。五条署の新人刑事・片岡真子が挑むことになる「本当のタイムリミット」。







曹源寺評価★★★★★
近年の乱歩賞作家としてはかなり注目株だと思っている鏑木氏の作品で、初版は2008年12月なのでいささか古めですが、京都府警を舞台にした警察小説でしたのでこりゃ読まなアカンと思いまして手に取りました。広川純氏の「回廊の陰翳」も京都府警の警察官が登場しますので、京都弁ばかり読んでいることになりました。
それはさておき、本書はタイトルのとおり「延ばす」のが主題です。さまざまな背景が交錯するため、このタイトルには3つくらいの意味が込められているんではないでしょうか。その意味では、かなり趣向を凝らした作品であるのは間違いないのですが、どうも読んでいてワクワク感みたいなものがないんですね。事項を取り扱った作品として最も面白いと思うのは横山秀夫氏の「第三の時効」ですが、あの作品にはシビレました。本書はあまりシビレません。淡々と進んでいくストーリーがどこか他人事なんですね。主人公に感情移入できないからでしょうか。それとも、余計な記述が多いからでしょうか。読み終わった頃には「あぁ、まずまずの作品ですね」と思ったのですが、途中はなんだか弛みます。小さくまとまってはいかんぜよ。鏑木氏にはもっとスケールのでかい作品を期待します。









banner2[1].gif



posted by 曹源寺 at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月04日

書評233 今野敏「天網 TOKAGE2」

テニスの季節がやってきました。といっても、花粉症の身分ではやはり少しつらいですね。テニスコートは都市部にはほとんど存在しなくなってきて、郊外ばっかりになりましたので、花粉も凄そうです。そんなところで思いっきり呼吸しまくっているわけですから、つらくて当たり前ですね。今年は漢方っぽい薬で凌いでいますので、鼻水ダラーみたいなことにはならないのですが、薬を飲み忘れると大変です。幸いにも、本日は環八より内側のコートで試合をしてきましたので、花粉もそれほどではないと思います。え、今日の試合ですか?勝ちましたが、団体戦ですので、トータルでは、、、

内容(朝日新聞出版HPより)
同時多発バスジャック事件が発生、警視庁の隠密捜査専門のバイク部隊「トカゲ」に出動命令が下る。犯行に並行するように、ネット上で犯人しか知りえない情報が流通していた。犯人グループの目的は? 本格警察小説『TOKAGE』シリーズ第2弾!







曹源寺評価★★★★
警察小説を乱発している今野先生ですが、この「TOKAGE」シリーズは少し異色ですね。TOKAGEは警視庁のバイク部隊ですので、追跡や偵察が主な任務となります。したがって、情報収集に重きを置かれ、犯人と直接対峙するような事態にはなかなか遭遇しないわけです。警察小説として、犯人と直接向き合うことなくストーリーを展開するというのは、ものすごいテクニックが必要ではないかと、単純に思うわけです。本書も、犯人像とか犯人のセルフとか、犯人の人物背景とか一切描かれていません。信じ難いことに、それでも小説が成立しています。しかも、犯罪も前代未聞の複数犯による同時バスジャックというヤツです。こんなんで小説になるんだろうか、と半ば疑問を抱きながら読み進めていきました。今野先生の恐ろしいまでの力量をまざまざと魅せつけられる作品と言えましょう。









いつもご覧いただきありがとうございます。あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月16日

書評224 黒川博行「螻蛄 けら」

手作りベーコンに挑戦しようということでスモーカーなぞ買ってしまったわけですが、肉の下ごしらえが完了しているにもかかわらず、実際に使う時間がないわけですわ。冷蔵庫の肉はどんどん乾燥してきまして、いい加減処理しないとヤバイ状態です。あーどーしよー。
ためしに少し端の方を切って焼いてみよう。お、豚バラのいいにおいがしてきました。おー、なかなかイケるやないですか。ちょっと塩味が濃いかなあ。どれもう一度。うん、スープに入れたらちょうどいい感じだわ。これはおいしい。なんだ、スモークしなくてもおいしいやないですか。あー、肉のブロックがどんどん小さくなっていくーっっ。


内容(新潮社HPより)
二転三転四転五転するストーリーの快感! 金は、一番悪い奴と仲良しや――。
イケイケヤクザの桑原と、自称「建設コンサルタント」の二宮――「疫病神」コンビ、待望の最新作! 桑原のもとに転がり込んだ某宗教団体の宗宝をめぐり、生臭坊主や強欲な石材屋、したたかな画商らが壮絶な争奪戦を繰り広げる……最後に笑うのは一番の悪党か、羊の皮をかぶった狸・二宮か。ノワール・エンタテインメントの傑作登場。







曹源寺評価★★★★★
大阪弁のヤクザ(関西では極道と言うのが一般的なんですか?)を描かせたら日本一ではないかと噂される黒川氏の新作です。うーん、軽妙なタッチでテンポ良く読ませるあたりは、さすがです。本書に登場する主人公の二宮と桑原は、『疫病神』『国境』『暗礁』に登場するコンビですが、本書はまぎれもなく傑作と言えるでしょう。二転三転するストーリーに、東京、大阪、名古屋、京都までを跨ぎながら巻物を奪ったり奪われたりで、息つく暇もないほどです。おまけに、日本の寺院をめぐる裏話みたいな(なにか実例でもありそうな)筋書きも並行していて、ストーリーも楽しめます。直木賞候補にもなった「悪果」を超える面白さでした。









いつもご覧いただきありがとうございます。あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif


posted by 曹源寺 at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月28日

書評220 小池龍之介「もう、怒らない」

血筋というか、因縁というか、運命というか、よく表現できないのですが、持って生まれたものというのは確実に存在しますね。心理学では「気質」と言ってますね。「性格」とは違って、先天的なものです。何が言いたいかというと、自分の祖父は学校を建てました。祖母はそこの教師でした。伯父は国語の教師でした。その伯父の息子、つまりいとこに当たる人ですが、その人も国語の教師です。現役です。別の伯父は映画会社に勤めていました。自分の父は「先生」と呼ばれる職業でした。母方の祖父は歌舞伎座の黒子(?)でした。2つ上の兄はイベント関連の会社を興しました。弟は生保にいますが、ビジネスコーチの資格をとって講演なぞやったりしています。自分はサラリーマンのくせにいつのまにか大学で講演などやったりする部署に入っていました。
そう、製造業や商社などに勤めている血族がほとんどいないのです。いとこの姉さんがアパレル会社に入った後、結婚して退職したのを知っているくらいです。我が血筋は商売人というよりは学者に近いのではなかろうかと思うのです。祖父は学校を建てる前は軍人でしたし、その家計は医師だったと聞いています。営業が花形のこの会社に来たのは間違いではなかろうかと、18年勤務しておいて思うわけですわ。遅いって。


内容(幻冬舎HPより)
「ムカつく」「妬む」「恨む」「悔やむ」…仏道では、これら負の感情をすべて「怒り」と考える。仏道の最も重要な教えの一つである「怒り」のコントロール法をやさしく解説。ざわつく心を浄化する一冊。







曹源寺評価★★★★
最近、売れっ子だと聞いて飛びついてしまった本のひとつです。大学で心理学などやっておったもんですから、宗教関連やら哲学関連やらの本は昔からよく読んでいました。アーサー・ケストラーの「ホロン革命」はいまでも座右の書です。高校生のときに読んでかなりショックを受けた記憶があります。高校生の時に哲学論議した同級生は東大の文Vに行きました。そいつとは毎日部活のあとに21時くらいまで近所のミスドで哲学を熱く語っていました。今思えばすごく変ですね。テニス部で哲学。まあ、そいつも変人でしたが。
自分はというと、キリスト教には興味を示さなかったんですが、仏教は少し調べたのを思い出します。仏教の因果律は自分のなかにスーッと入っていったんですね。しかしながら、親鸞の言う「悪人正機」というやつだけは理解できませんでした。善人が救われるのだから、悪人はもっと救われる、というやつですね。これって、因果律とは相反することになりませんか?
話が飛んでいってしまいましたが、要するにですね、本書は「怒り」を理性で静めましょう、という内容です。簡単すぎるwwwww
でも、これを読んだあと、もう怒らなくなったかというとぜんぜんそんなことはないですね。正月、しかも元旦から怒っていました。ヨメよ、すまんのう。内容はそこそこ面白いんですが、修行が足りないということになりましょう。もう何回か読み直したほうが良いですね。










あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif


posted by 曹源寺 at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月23日

書評219 今野敏「凍土の密約」

我が家にはクルマがないので、レンタカーをよく利用します。
本日はカーシェアリングを初めて利用してみました。
年末に運営するレンタカーの事務所に行って会員登録しました。予約はインターネットか携帯電話、それに電話でもOKです。我が家の近くにはシェアリングの基地がいっぱいあるので、土曜日の昼間でもぜんぜん使えます。
今日は娘が学校で書いた書き初めが選ばれて市民文化会館に掲示されたということで、早速クルマを調達して行ってきました。
会員になるとカードをもらうんですが、このカードでクルマのドアの開閉を行うわけです。予約した後、駐車場に行きカードをかざしてドアを開け、グローブボックスのなかからキーを取り出してエンジン始動です。
おぉ、なんだか簡単でええなあ。
ガソリン代も利用料金に含まれていますので、気にしなくて良いし、ちょっと乗る程度の利用であれば経済的です。
本日は2時間利用して合計1,600円プラス駐車場代200円、合計1,800円でした。家族4人がバスで移動すると往復で1,200円かかるところを、実質600円の追加負担でクルマに切り替えることができたという計算になります。クルマの維持費などを考えたら絶対お徳ですね。

内容(文藝春秋HPより)
公安部外事一課の倉島警部補が、殺人事件の捜査本部に呼ばれた。殺しの手口はプロ。さらに数日後、ロシアとの密貿易を資金源にしている暴力団員も殺された。捜査を進めるうち、第三、第四の殺人も起こる。実行犯は元極東ソ連軍の特殊部隊に所属していた人物と推定されたが、はたして犯人の目的は何なのか……。いま一番乗ってる警察小説の書き手である著者の最新作。既刊の『曙光の街』『白夜街道』では公安の仕事に馴染めずにいた倉島が、本作では公安部の警察官としての矜持(きょうじ)を自覚します。一人の男の成長譚としても読みごたえ充分です。







曹源寺評価★★★★
先日、「同期」を読了したばかりでまたしても今野敏先生の登場となりました。「同期」は公安と刑事の両方の確執などを背景としながらも、刑事のほうに焦点を当てていましたが、本書は公安のほうが主役になっています。一般市民にとっては公安だろうが刑事だろうがそんなことは関係ないわけですが、最近は公安と刑事の仲の悪さなどがいろいろと取りざたされるようになっていて、なるほど彼らは捜査方法も違えば国をどうやって守っていくかという方法論まで全然違うと言うことが、こういう本を読んでいくと良く分かります。であれば、なるほど本書のなかにもありましたが「これは役割分担だ」ということですね。それぞれが与えられた役割をきちんと全うしていけば、多少仲が悪かろうとうまく機能するのかもしれません。
ただ、「同期」を読んでいるときは刑事サイドに肩入れしている自分がいるのですが、本書を読んでいるときは公安サイドに肩入れしている自分がいました。つまり、刑事ものの時は「公安の秘密主義は鼻持ちならねえなあ」と思っていて、本書では「せっかく公安がうまく立ち回っているのに刑事がしゃしゃり出て台無しじゃん」と思っているのです。うーん、今野先生はよくこんなにうまく書き分けられますねえ。恐れ入りました。










あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 19:17| Comment(0) | TrackBack(1) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月11日

書評217 今野敏「同期」

この連休は忙しかったわー。
土曜日にはひさしぶりに会社後輩の結婚式に行きましたが、いやー良かったですわ。何が良かったかというと、ホント普通の結婚披露宴だったんですよ。極めてオーソドックススタイルを貫いたのが、かえって新鮮でした。最近は奇をてらった内容も多いようですし(自分もその一人だったのでえらそうなことは言えませんが)、印象に残るようなことをしようしようと思ってそれが逆にわざとらしいと言うか、あけすけと言うか、悪く言えば嫌味っぽい感じがしなくもないですが、ここまで基本路線をビチッと極められると清清しいですね。感動すら覚えましたよ。とにかく本当に良い宴でした。おめでとう!


内容(講談社HPより)
刑事、公安、組対……。それぞれの思惑が交錯する大きな事案を追いつつ、願いはただ同期を救うことだけ。
圧倒的なスピード感で、あっと驚く展開の連続を駆け抜ける大興奮の700枚。
懲戒免職になった同期の公安刑事が、連続殺人の容疑者に。
「教えてくれ。おまえはいったい何者なんだ」
男たちの前に立ちはだかる最も高い壁――組織の論理。その壁を突破するのは、刑事たちの誇りと絆。
現時点での集大成ともいえる最新警察小説、登場!







曹源寺評価★★★★
今野センセーは紛れもなく現代の警察小説をリードする代表的な作家の一人であります。本書もこれに違わぬ実力を存分に発揮した作品と申しましょう。若手刑事の主人公とそれを支える二人のベテラン刑事。公安と刑事の対立、さらには組織犯罪対策(組対)と暴力団の戦い、などなど、警察小説が捉えるさまざまなテーマをこれでもかと凝縮してそれをひとつのストーリーに仕上げるあたりは、もう職人技としか言いようがありません。一気読みでした。
ひとつだけ気になる点があるとすれば、公安刑事の立場というかミッションというか、潜入捜査の何たるか的な部分がかなり割愛されているので、その辺をもう少し密に描いていたら完璧だったと思います。公安警察は麻生幾センセーなどのベテラン筋が濃密な小説をお書きになっているので、物足りなさを感じてしまった次第です。










あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 21:36| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月05日

書評216 菊澤研宗「組織は合理的に失敗する」

あけおめです。ことよろです。

毎年、新年は両家の親戚廻りで終わってしまいますが、我が実家は男兄弟ということで酒を飲みおおはしゃぎのうちに終了します。
それに引き換え、ヨメの実家はお酒を飲む人が極端に少なく、極めてお上品に過ごします。今年はファミリーコンサートなぞやってしまいました。ウクレレ、ピアノ、オカリナ、サキソフォン、さらには合唱まで。みんなうまいなあ。楽器のできない自分は皆が歌っている間にお手玉を続けるというヒジョーにお間抜けな役回りですorz
うーん、育ちの違いは大きいねえ。


内容(日本経済新聞出版社HPより)
個人は優秀なのに、“組織”はなぜ不条理な行動に突き進むのか。日本陸軍の失敗を題材に、「取引コスト理論」「エージェンシー理論」など最新の経済学理論に基づいて現代企業が抱える組織の問題を解き明かす。







曹源寺評価★★★★★
経済書で久しぶりにハマった本でした。本書は「組織の不条理」というタイトルで10年以上前にダイヤモンド社から出版されていたものが文庫化され、同時に改題されたというものです。副題には「日本陸軍に学ぶ不条理のメカニズム」とありますとおり、ガダルカナル戦やインパール作戦でなぜ陸軍が玉砕してしまったのか、というか、なぜ同じ過ちを繰り返したのか、という命題を、最新の経済理論で解き明かしていこうとするものです。
菊澤氏は慶応大学商学部教授で、内容もかなり堅めですが、「取引コスト理論」や「エージェンシー理論」についてはかなり分かりやすく書かれています。
恐れながら要約すると、「組織は限定合理的であるため、それを完全合理的に行動すると組織は崩壊に向かう」?
いや違うな。「個人は限定合理的であるため、組織もまた限定合理的である。したがって、成功体験に則り完全合理的に振る舞う上司の下では、組織もまた硬直化してしまい、批判を受け入れなくなると変化に対応できず崩壊に向かう」
うーん、これも微妙に違うな。「合理的であるということと効率的であるということは必ずしも一致しない。それゆえに、人は合理的に振る舞おうとすると不条理を起こすことがある」確かにこれもそうだが、んんん、まとめにくいのう。
自分は大学で心理学をやっていたのですが、「なぜ人は不条理な行動を起こすのか」という命題は昔からの関心ごとでしたので、経済学にこれを教わるとはなんとも不思議な気がしました。そうです、「なぜ人は戦争を起こすのか」とか「なぜ人は個を捨てて全体のために行動することができるのか」といった疑問が中学生くらいから芽生えていたような記憶があります。本書はこうした疑問に対するヒントを与えてくれたようです。
それはすなわち、「なぜ人は大勢の人が死ぬと分かっていても戦争を引き起こすのか」あるいは「なぜ戦う前から負けると分かっていた米国との戦争を始めたのか」という疑問の解消につながるわけです。
本書ではさらに、企業の倒産事例にも触れていて、「なぜこの会社は倒産したのか」について、上っ面の分析ではなく「なぜ社長はここで無謀な投資に打って出たのか」といった疑問に置き換えて行動理論的なアプローチを試みています。心理学的と言ってもいいかもしれません。信用調査会社の倒産記事も、こういうアプローチから取材を進めてみるのも良いのではないかとつくづく思う次第です。










あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月28日

書評202 郷原信朗「思考停止社会〜遵守に蝕まれる日本」

朝晩がめっきり冷え込んでまいりました。乾燥してのどが痛くなる季節でもあります。風邪などひかぬようご自愛ください。

それにしても眠い。。。


内容(講談社HPより)
日本の経済と社会を覆う閉塞感の正体
建築不況、食品偽装、市場混乱、メディアスクラム、裁判員制度……。日本停滞の背景には「法令遵守」からさらに進む、なんでも「遵守」の害があった!コンプライアンスの第一人者が問題を鋭く指摘、解決策を示す。

目次
--------------------------------------------------------------------------------
第1章 食の「偽装」「隠蔽」に見る思考停止
第2章 「強度偽装」「データ捏造」をめぐる思考停止
第3章 市場経済の混乱を招く経済司法の思考停止
第4章 司法への市民参加をめぐる思考停止
第5章 厚生年金記録の「改ざん」問題をめぐる思考停止
第6章 思考停止するマスメディア
第7章 「遵守」はなぜ思考停止につながるのか
終章 思考停止から脱却して真の法治社会を








曹源寺評価★★★★
尊敬してやまない郷原先生の著書です。コンプライアンスを語らせたら右に出る者はいないとされる郷原先生が今回著したのは、物事の本質を見極めずにあーだこーだとわめき散らす有識者やマスゴミの意地汚さというか、本当に何考えてんの?みたいな思考停止状態を厳しく諌めている内容の新書です。
常日頃、企業のプレスリリースや業界のニュースなどに触れているため、いわゆる「メディア・リテラシー」というものにはかなり敏感になっている自分ではありますが、実に論理的にズバズバと斬る郷原先生の文章には圧倒されます。メディア・リテラシーとは「情報を使いこなす」とか「情報を主体的に読み取る」とか「情報を自ら発信する」とかいろいろな言われようをしていますが、個人的に言わせていただくならば「情報を客観的に見る力」だと思っています。日本人は活字になっているものをありがたがる性質があり、活字になっているものはすべて正しいと思い込んでしまうところがある――
これではあきまへん。ま、たぶん小学校や中学校で教科書を一所懸命読んだ人などは「教科書に書かれていることはすべて正しい」とでも洗脳されてしまっているのではないかとちょっと危惧します。
情報を客観的に見るというのは、自分も大学生の時に教わりました。本を一冊与えられて「作者の主張を批判しなさい」という宿題が出たことがあって、それ以来、感想文を書くのが非常に苦手になってしまったわけですが、客観的な視点だけは今も残っているのだなあと感じてしまいます。おかげでかなり助かりました。相手のつくうそを一発で見破ったりするためには、情報のソースをまずはしっかり自分のものにしていただければと思います。











あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月14日

書評195 今野敏「疑心 隠蔽捜査3」

朝晩がとても涼しくなり、秋を感じますネエ。秋は仕事が忙しいので大変です。これから執筆と講演と座談会の司会進行役とラジオ出演が重なるわけで、マジで死ぬかも知れないわwww
まあ、ほどほどにがんばりますか。

内容(新潮社HPより)
山本周五郎賞・日本推理作家協会賞の二冠に輝いた『果断』に続く、シリーズ第三弾!

息子の不祥事で大森署署長に左遷されたキャリアの竜崎伸也。異例の任命で、米大統領訪日の方面警備本部長になった彼のもとに飛び込んできたのは、大統領機の到着する羽田空港でのテロ情報だった。警視庁から派遣されてきた美貌の女性キャリア、空港封鎖を主張するシークレットサービス……。虚々実々の警備本部で、竜崎の心は揺れる。







曹源寺評価★★★★
「隠蔽捜査」「果断 隠蔽捜査2」に続く第三弾ということで、ワクワクして読み始めました。このシリーズは非常に好きなんですよ。今野氏が描く真面目な警察官は、どれもこれも非常に好きですが、本書の主人公である竜崎は堅物すぎて大好きです。
本書はその竜崎が恋に落ちるという設定です。ですから、事件のほうはなんだか盛り上がりに欠けるというか、もう最初のほうで「あぁ、これが伏線かぁ」みたいな感じで分かってしまうので、ちょっとひねりが足りなさすぎです、今野先生。
この竜崎という人物は息子の不祥事で左遷されて大森署の署長をやっているという設定ですが、キャリア警察官はどうやら、不祥事の責任を取るということはイコール警察を辞めるということらしく、彼のように左遷されても職にとどまるということはあまりないようです。でも、警察官僚はパチンコ屋か警備業界くらいしか天下りはないし、一般企業でも総会屋対策で総務担当程度で厳しそうですね。厳しいけれど、逆に「渡り」を繰り返すどこかの役所みたいな輩は少ないということでしょうかね。官僚というのは日本では「身分」であって「保障されなければならない」みたいな風潮がありますが、これはいい加減改めて欲しいものです。身分ではなく、あくまでも職業のひとつでしかないわけですよ、その辺を勘違いしている官僚はあまりにも多すぎるんでしょうね。民主党に風が吹いたのは、こんな官僚の特権みたいな風潮も改めて欲しいと思っているからでしょう。公務員改革、やるならちゃんとやって欲しいです。



この表紙の写真はエエですわ。







あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 23:24| Comment(0) | TrackBack(1) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月07日

書評194 真保裕一「アマルフィ」

民主党に一票を入れた人に一言言わせていただきます。
民主党に一票を投じた人はマスコミに担ぎ上げられて、いわば「自民党をお仕置きしましょう」というプロパガンダに乗せられて、「一回くらい政権を彼らに握らせたほうが日本は良くなるに違いない」と思わされた人々である、と思っています。したがって、その大多数は決して「積極的に民主党を支援する」というスタンスではなく、「自民党よりはマシ」という程度で投票した人が多いのではないかと考えられます。まあ、あくまでも推測ですが。
そういう人は、いや、そういう人こそ、これから民主党が行う施策を十二分に検証していく必要があるだろうと思います。彼らがやろうとしている施策のなかに、まだマスコミがあまり触れていないものが多数あります。もし、これらの政策を実施しようとしたときに、マスコミ連中がだんまりを決め込んでいたなら、私は絶対に許しません。


内容(扶桑社HPより)
真保裕一が書き下ろす、
フジテレビ開局50周年記念映画の原作小説
少女が失踪。誘拐かテロの序章か?イタリアを舞台に壮大なスケールで描かれる、織田裕二主演の超大作映画の原作本。真保裕一ならではのエンターテイメントサスペンス小説。







曹源寺評価★★★★
最近の真保裕一はなんだか壊れてしまったんじゃないかというくらい、駄作が多くて嫌になっていました。良かったのは「ボーダーライン」くらいまでで、そのあとはあまりパッとしなかった印象が強いですね(「栄光なき凱旋」はまあ良かったですが)。
ところが、この「アマルフィ」はええわー。なんだか、久しぶりに彼らしい作品がキターッ!って感じです。映画は観ていませんが、アマルフィのきれいな景色が眼に浮かぶようだし、外交官・黒田はまあ織田裕二でOKでしょう。その他の登場人物も映画はだいぶ原作に近いキャスティングだと思います。
真保裕一を真保裕一たらしめている要素というのを少し考えてみました。たぶん、こういうことではないかと。
・主人公は極めてシニカルで、上司の言うことを聞かない。
・だけど好青年である。
・主人公は事件に巻き込まれるが、セオリーを無視して行動する。
・表面的に見える犯罪とは別の何かが同時に進行している。
・最後は主人公が見事に謎を解き明かし、事件を解決する。
こう考えると、「ホワイトアウト」はまさに上の条件をすべて満たしています。そして、あの「小役人3部作」と呼ばれる「連鎖」「取引」「震源」などもこの条件のうち2つか3つをカバーしていると言えるでしょう。本書もこの5つの条件をすべてカバーしているわけでして、彼の真骨頂といいますか、彼ならではの作品に仕上がっているというわけです。フジテレビが推しに押し捲っているようですが(テレビ見ていないので良く分かりませんが)イタリアの風光明媚な観光地を舞台にしているだけに、映画も観たくなりました。










あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 22:41| Comment(1) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月02日

書評179 黒川博行「煙霞」

先週は怒涛の一週間だったので、乗り切った今はちょっと腑抜け状態です。あんなに原稿を書きまくったのは本当に久しぶりでした。
おまけにRadioの仕事も入って定期刊行誌と新書の3本同時に仕事をすると、もうぐちゃぐちゃですわ。
Radioは生放送に15分だけお邪魔してきました。なんだかこう書くと売れっ子の作家みたいですね。全然そんなんじゃありませんが。。。
Radioの生放送は本当に緊張します。おかげでしどろもどろ極まりない、かなりひどい醜態を晒してしまいました。もう二度とやりたくないっす。

【文藝春秋HPより】
高校講師の熊谷は、学校を私物化する理事長から金を奪う計画に巻き込まれるが…。計画の首謀者は誰なのか、奪った金塊の行方は?
大阪の私立晴峰女子高校では、理事長の酒井が学校法人を私物化していた。美術講師の熊谷と音楽教諭の菜穂子は、同僚から、酒井を拉致して不正の証拠を突きつけ、理事長退任を迫る計画に誘われる。酒井と愛人を拘束し、交渉は成功したかに思えたが、その後酒井たちが失踪。じつは“教育・学校ブローカー”の箕輪に誘拐されていた。結局、熊谷と菜穂子も箕輪に捕まり、酒井から金塊を奪う計画を手伝わされるが、成功しかけたところで酒井の愛人が金塊を持ち逃げする。さらに、金塊を積んだはずの車が途中で入れ替わり、金塊の行方も分からない。はたして誰と誰がグルでこの計画を立てたのか、金塊の行方は――。
軽妙な大阪弁は変わらず快調。騙し騙され、コン・ゲームの要素が加わった痛快ミステリーです。(YB)







曹源寺評価★★★★
大阪を舞台に教師が主人公といえば、黒川博行氏の得意中の得意なジャンルということになりましょうか。軽妙な会話とスリリングな展開に、読者は惹き込まれること間違いなしな小説に仕上がっています。本書紹介にあるとおり、誰と誰がつながっていて、誰が裏切り者なのか、そして金塊のゆくえはどこなのか、最後までノンストップなストーリーに「こんなんで最後お話がまとまるんかいな」と残りのページ数を気にしながら読むような、そんなワクワク感があります。
黒川氏は近著「悪果」で直木賞候補になりましたが、ぜひまた頑張っていただきたいものです。









あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 23:10| Comment(0) | TrackBack(1) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月15日

書評177 海堂尊「イノセント・ゲリラの祝祭」

GW過ぎから仕事がパンパンで文字通りてんてこ舞いの日々です。ところで、てんてこ舞いって、どんな踊りですか?
そんなことはまあいいのですが、雑誌と新書の執筆・編集が同時並行で、そのうえにラジオの仕事が入ってきてどうしたらいいの?って感じです。ブログなんぞ更新している暇はない、と思いながらまたこうやって更新しています。なんだかんだいって楽しいんでしょうね。我が家ではもうあまりテレビを見ないようになりました。地デジになったらテレビ買わないでそのままなしでも良いかなあ、なんて思ったりしています。


内容(宝島社HPより)
田口・白鳥シリーズ最新刊!
厚生労働省をブッつぶせ!
医療事故を裁くのはいったい誰なのか?
東城大学医学部付属病院不定愁訴外来の責任者で、万年講師の田口公平は、いつものように高階病院長からの呼び出しを受けていた。高階病院長の“ささやかな”お願いは、厚生労働省主催の会議出席。依頼主は、厚生労働省役人にてロジカル・モンスター、白鳥圭輔。名指しで指名を受けた田口は嫌々ながら、東京に上京することを了承した。行き先は白鳥の本丸・医療事故調査委員会。さまざまな思惑が飛び交う会議に出席した田口は、グズグズの医療行政の現実を知ることに・・・・・・。







曹源寺評価★★★★
本書はミステリとは言い難いのですが、読むと引き込まれるテクニックはさすが海堂氏といったところでしょうか。医療事故調査委員会を舞台にした丁々発止のやりとりはものすごい臨場感で迫力を感じます。木っ端役人という単語がありますが、「ミスター厚労省」と呼ばれるガチガチの官僚と、その彼をやり込めるもう一人の論客が、非常に良い味を出しています。本書の元となっている事件は、恐らく本当にあったのではないかと思われますし、解剖至上主義者のような病理医や法医学者もたぶん実在するのだろうと思います。ガチガチの権威主義者である大学教授や、第三者委員会を開催することを免罪符としながら天下り先の確保と予算消化だけにまい進する官僚というのも、ステレオタイプではありますがたぶんいるんだろうなあ、と感じずにはいられない仕上がりです。医療現場がどれだけ無駄の固まりになっているか、とか、医療先進国といいながら解剖率2%とはどういうことだ、と憤らずにはいられない読後感ですが、医療の明日を考えるうえでは本書は欠かせない材料となる(もちろん、素人レベルの話ですが)のは間違いないでしょう。










あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif




posted by 曹源寺 at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月11日

書評176 北尾トロ「裁判長!これで執行猶予は甘くないすか」

忌野清志郎が天に召されました。
人は死んだときに評価されるものだ、ということを良く聞きますが、彼は死んでから評価された人かもしれません。名曲「雨上がりの夜空に」はもちろんのこと、「パパの歌」や「サラリーマン」はいまこの年になって改めて聴くと、中学生の頃に聴いた時よりもさらに感慨深いものがあります。個人的にはカバー曲が好きです。「イマジン」の日本語カバーは完全にジョン・レノンのそれではなく、彼の曲になっています。「サン・トワ・マミー」は越路吹雪さんのシャンソンではなく、真性のロックになって私達のハートを鷲づかみにしています。本当に惜しい人を亡くしました。
合掌。

内容(文藝春秋HPより)
一度傍聴したら、もうやめられない! 通いはじめて早四年、窃盗、詐欺から連続殺人まで。法廷はいつでもドラマに満ちている
裁判を傍聴するなんて、自分には一生縁がないと思ってはいませんか。
ところが、ひとたび本書を読むと、法廷がワイドショーや映画も顔負けの人生劇場に早がわり、つい傍聴してみたくなるはずです。窃盗、詐欺、強制わいせつ、殺人……。法廷で追い詰められた被告人たちはどんな言動をとるのか。その顔つきから、服装、話し方、しぐさ、思わず笑ってしまう弁明まで、独特のイラストとともに描く北尾さんの観察眼が冴えわたります。
好奇心から覗いてこそはじめてみえる人間の本性とは――。裁判員制度導入が決まったいまこそ、必読の傍聴記です。







曹源寺評価★★★★★
もうすぐ裁判員制度の開始ということで、裁判ネタの本を少しかじってみようかと思い読んでみたのが本書です。北尾氏には本書の前に「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」というのがありますが、本書はその続編といった位置づけでしょうか。被告がなぜこの事件を起こして起訴されたのか、裁判でどのようなやりとりがなされているのか、検察側はこうした事件にどんなスタンスで望んでいるのか、弁護側はこの救いようのない被告をどうやってかばうのか、といったことが事件ごとにつづられていくわけですが、これがとてもドラマチックで面白い。事実は小説より奇なりとは、本当に的を射た表現だということがわかります。
裁判傍聴マニアというのはかなりいらっしゃるようで、そうした方々との交流というのは自分では考えられませんが、阿蘇山大噴火氏や霞っ子クラブという常連さんとのお話も少し盛り込まれています。
北尾氏も本書で述べておられますが、その事件の真実を追い求めて傍聴を続けるというスタンスではなく、傍聴マニアの多くが裁判の経過を純粋に楽しんでいるというか、裁判の場でどんな発言があり、どんな発言を元に判決が構成されていくのか、といった部分に興味を示しておられる方が多いということらしいのです。ハマる人はハマるということでしょうか。ミステリ小説ファンは真実を追い求める性格の人が多いでしょう。たぶん、傍聴そのものを楽しむことができる人は自分とは違う人種なのだろうと思いました。












あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif



posted by 曹源寺 at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月18日

書評137 鏑木蓮「屈折光」

リーマン・ブラザーズの破綻には驚かされました。今年はデベロッパーの大型倒産が相次いでいて、マジ日本ヤバイな〜と思っていたところにアメリカで大型爆弾が炸裂したって感じでしょうか、おまけにAIGグループまで破綻寸前までいってたなんて、97年の日本の金融危機なんて比じゃないくらいの破綻っぷりですわ。
おまけに、ロシアの株式市場は午後に取引停止だそうですね。
金融恐慌の日も近いんでしょうか。シャレになりません。

日米同時株価下落

世界恐慌

中国とロシアから資金引き上げ

金正日失脚

中国が経済失政をごまかすため北朝鮮を攻め併合

ロシアが資源と権益を求め近隣諸国に攻め入る

NATOが軍事介入

米国も戦争に加担

世界大戦

うわっ、すげえシナリオ。。。


内容(講談社HPより)
乱歩賞作家による最先端医療ドラマ
異常プリオンが天才脳外科医を襲う――
父娘、師弟が抱えた壮絶なる葛藤と秘められた想い
獣医師・内海綾子の周囲に異変が連続する。創薬コーディネーターの恋人が変死し、発見現場近くの牧場からはBSEの疑いがある牛の白骨体が発見される。そして勘当された天才脳外科医の父親が入院する……。すべてを解く鍵は、父親から消えゆく記憶と意識だった。
『東京ダモイ』の第52回江戸川乱歩賞作家が、2年の歳月をかけて織り込んだ深遠なテーマ、壮絶なドラマ、驚きのミステリー。堂々たる骨太エンターテインメント、完成!







曹源寺評価★★★★★
乱歩賞作家は必ず毎年確認しているということは以前も記しましたが、やはり受賞後第1作目(つまり第2作目)は受賞作品以上に注目したいと思っています。なぜなら、その作家が本当に売れる作家なのかどうかという点において第2作目の出来が重要な意味を持っているのではないかと考えているからです。もう一度この作家の本を読みたいか、という問いかけを自分に投げてみて、「うん、もう一回読みたいね」と思ったらその作家の勝ちです。そうしたら、読み続けます。最近の乱歩賞作家では「天使のナイフ」の薬丸岳氏や「翳りゆく夏」の赤井三尋氏あたりは結構読めますね。
で、本書というか鏑木蓮氏です。結論から言いますと「×」です。正直言いまして退屈でした。ワクワク感ゼロ、冗長な部分が多すぎてなんでこんな平坦な文章なの?というくらい無駄な部分が多いです。サスペンスタッチなところは随所にあるのですが、無駄な文章がそれをスポイルさせてしまっていて次の展開が楽しくなくなってしまっています。主人公とその父親との葛藤といってもたいしたものではないし(すでに小説の中にはありふれている)、もっと主人公と被害者との関係のほうをしっかりと書いたほうがよかったのでは?と思いました。
読後感はまあ良いので、それだけが救いといったところでしょうか。次に彼の作品が出ても積極的に読むかどうか微妙なところです。









あなたの一票がブログ更新の励みになります。よろしくお願いいたします。

banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月09日

書評131 黒井勇人「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」

内容(新潮社HPより)
高校中退後、10年間ニートとして隠遁生活。パソコン以外の友達は1人だけ……。そんな1(いち=マ男)くんが母の死をきっかけに、一大決心し資格を取得。プログラマとして社員15人ほどの小さなIT企業に就職する。しかし、そこはデスマ(デスマーチ=倒れるまで帰れずに徹夜連続生活を強いられる状態)だらけの地獄のような職場、残業代って何? な、世にいう「ブラック会社」だった! 責任感のかけらもない上司、中学生レベル以下のどうしようもないイジメ、ありえない納期を平然と押し付ける取引先とそれを受け入れるリーダー。現代の蟹工船ともいえる過酷な職業環境で働くはめになったマ男の周りで巻き起こされる様々なトラブル、淡い恋、暴かれる過去……。ある日、マ男が2ちゃんねるのVIP板に立てたスレ「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」。一体、「ブラック会社」で何が起こったのだろうか! マ男の運命は?







曹源寺評価★★★★
タイトルと装丁に惹かれて手に取った方も多いのではないでしょうか。本書は別にミステリでも小説でもない(!?)と思いますが、純粋に読んで楽しいものということで押さえておいて良いかなあと思いまして読みましたので、一応紹介します。
お話は良くできていると思います。登場人物の書き分けもできているし、キャラクターがホンマかいなというくらい特徴的であるのは、ひとえに作者の表現力のなせる業でしょうか。主人公はともかく、職場の面々はありえなさそうでありえるかもというメンツ。少人数でひとつのプロジェクトを成し遂げようとした場合の人間関係、それも普通にやったら絶対納期に間に合わないような受注をこなそうとした場合のギリギリの職場、そしてギリギリの心理状態。こういったものが実にリアルに描かれていて、あー、自分はSEにならんで本当に良かったなあ、としみじみ感じる次第です。
これと同種の作品が「電車男」ですが、本書は電車男よりも良くできていると思います。周りの書き込みよりも本人の文章がうまく、彼は本当に高校中退か?と思わせるようなうまさです。もっと言えば、これは本当に実話なのか?というくらい良くできたお話です。フジテレビあたりがまたドラマにしたら結構いけるのではないかとさえ思いました。もちろん、主人公のマ男役は伊藤淳史で。
あ、あと本書を読んだ方は新潮社の本書紹介ページに行くことをお勧めします。そこには「後日談」というコーナーがありますので、最後の最後まで楽しめるかと思います。









よろしければポチッと頼みます。

banner2[1].gif

posted by 曹源寺 at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月06日

書評125 今野敏「リオ―警視庁強行犯係・樋口顕―」

この前の木曜日に発売した週刊文春の記事に、
2000人大アンケート「最強の刑事デカ」は誰か?
「非情のライセンス」「太陽にほえろ!」から「相棒」まで
というのがありまして、買うなり早々に読んだのですが、なんと第1位は


「銭形警部」


ですよ。
思いっきり脱力しました。まあ、確かに強いは強いですね。絶対に死なないし。人情味溢れる設定もいいですしね。文春読者世代もアニメで育った人々が主流になっているんだねえ、としみじみ思いましたが。。。

ちなみに、警察小説ものは「アンフェア」の雪平夏見が9位にはいりましたが、これもテレビドラマの影響ですしねえ。
文春さん、もう日曜日だから引用させていただきますね。
1 銭形警部
2 古畑任三郎
3 杉下右京
4 青島俊作
5 大門圭介
6 ジーパン
7 タカ
8 ユージ
9 雪平夏見
10 安浦吉之助

個人的には「うわさの刑事トミーとマツ」が欲しかったですね。あとGメン'75の草野刑事ですかね。あのマッチョマンと戦う倉田保昭が大好きでした。特に、「香港シリーズ」が始まると大興奮だったのを思い出します。刑事ドラマにあの頃の感動と興奮をよみがえらせてくれるような作品は出てきますかね。


内容(新潮社HPより)
地道な捜査、落としの人間力。「火曜日の連続殺人犯」を追いつめる刑事たち。これが警察小説だ!
「彼女が容疑者だとは、思えない」警視庁捜査一課強行犯第三係を率いる樋口警部補は、荻窪で起きた殺人事件を追っていた。デートクラブオーナーが殺害され、現場から逃げ去る美少女が目撃される。第二、第三の殺人が都内で起こり、そこにも彼女の姿が。捜査本部は、少女=リオが犯人であろうという説に傾く。しかし、樋口の刑事の直感は、“否”と告げた。名手が描く本格警察小説。







曹源寺評価★★★★
いま書店で本書のシリーズ3部作が平積みになっています。本書を皮切りに「朱夏」「ビート」と続く、警視庁捜査一課強行班の樋口顕が主人公のシリーズです。この主人公は警察小説史上、最も気弱といいますか、自信なさげといいますか、堂々としたところが実に少ない、お人よしな側面を強く打ち出した設定となっています。周囲の目を気にするタイプですので、普通に書くとイジイジオドオドした人物に見られてしまいそうですが、今野氏の見事な描写でとても頼もしい人物に仕上がっています。周囲の評価と自分の生来の弱気が生み出すギャップに悩む姿が見事に描写されていて、実に人間っぽく仕上がっています。
こうした警察小説はあまり例を見ないので、それがかえって本書の魅力を押し上げているのではないかと思います。
今野氏の特徴として挙げられるもののひとつに、あまりドンデン返しはない、といいますか、東野圭吾氏のように、ラストにもうひとつの仕掛けがあった、というようなよく言えば嫌らしさがない、悪く言えば平坦な作りこみというものがあると思うのですが、それでもこういう主人公を刑事に仕立て上げてしまうと、ラストはまた一味違うものが出来上がるなあという感じを受けました。何といいますか、爽やかな、後味スッキリみたいな感じといったらよいでしょうかね。このシリーズはぜひ、本書からお読みいただき、「朱夏」「ビート」へと続いていって欲しいと思います。



↑オイッamazon!画像なさすぎやねん!








よろしければポチッと頼みます。

banner2[1].gif


posted by 曹源寺 at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
最近の記事
カテゴリ
過去ログ
検索
 
最近のコメント
タグクラウド
<< 2017年06月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
リンク集