ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

カテゴリー:さ行の作家

2017年07月11日

書評818 佐々木譲「沈黙法廷」

こんにちは、曹源寺です。

加計学園の話題(問題とは言わない)で、地上波がすべて前ナントカさんの応援団になっているらしく、昨日の閉会中審査では7時間もかけて審査が行われたにもかかわらず、報道された内容が各局とも似たり寄ったりという異常な状態がネットで話題になっています。

議事録をしっかりと読み、加戸前愛媛県知事の話を聞き、時系列で事象を追っていけばこの話題は問題ではないことが理解できるはずなのに、事件化したくてしょうがない連中がいるということがよくわかります。

どんな連中かというと、それは「新聞社の政治部」連中です。

ほとんどの新聞社が、政治部をエリート集団と位置づけており、経済部や文化部などを見下している構図になっています(社会部はまた違う毛色ですね)。その政治部連中というのは「政治」ではなく「政局」を語るのが好きなんですね。だから選挙になると色めくし、与党の支持率が下がるとすぐに政局にしたがるわけです。かつての自民党では右派も左派もごちゃまぜで、古くは「角福戦争」だったり「金竹小(こんちくしょう)」だったりと派閥争いを中心に取材していけば面白かったし、国民の関心事でもあったのですが、今は派閥もあまり機能していないのでどうしても「安倍一強」になってしまうわけで、それを快く思っていない連中(記事にならないからつまらない連中)が政局を作り出したくていろいろと仕掛けているのではないかと勘繰ってしまうんですが。でもそのいろいろというのが、「○○大臣が失言したンゴー」とか「支持率が下がったンゴー」とか「国会前でデモガー」とかそういうのしかなくて、最近の報道に不信感を抱いているネット民からすると「また印象操作してるわねー」という感想しか持つことができなくなっています。

政治部は政局ばかり記事にしないで、政治の中身の記事を書いてくれないですかね。

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内容(新潮社HPより)
絞殺死体で発見されたひとり暮らしの初老男性。捜査線上に家事代行業の女性が浮上した。彼女の周辺では他にも複数の男性の不審死が報じられ、ワイドショーは「またも婚活殺人か?」と騒ぐ。公判で無実を訴える彼女は、しかし証言台で突如、黙秘に転じた。彼女は何を守ろうとしたのか。警察小説の雄が挑む新機軸の長編ミステリー。


曹源寺評価★★★★
久しぶりの佐々木譲センセーでしたが、四六判550ページを超える大作でありました。長い長い作品ではありますが、ストーリーは意外にシンプルです。
東京・赤羽で一人暮らしの男性が絞殺死体で発見される。赤羽署の伊室刑事はこの家に出入りしていた人物の洗い出しを行っていたが、そこに浮上したのがフリーの家事代行業、山本美紀であった。事情を聴こうと彼女に自宅に赴くと、そこには埼玉県警の刑事がいた。大宮でも一人暮らしの男性が不審死していたらしく、彼女に事情聴取を試みていたのだ。これは連続殺人なのか、それとも偶然か?功を焦った埼玉県警と警視庁は逮捕、起訴に持ち込もうとするのだが、、、
地方警察が連携できずに犯罪者を追及できないといった事例は現実にも多いそうですが、本書はその辺の難しい事情を見事に描写しています。
警視庁はこの殺人事件について直接的な証拠の確保ができず、状況証拠の積み重ねだけで公判に臨みます。一方で、マスコミは彼女の周辺を徹底リサーチして類似事案を探すとともに、彼女の人物像を固定化しようとします。こうなると、検察も無視できなくなるわけで、公判を維持しようとすれば被告人の自白か直接的な証拠の確保が必須になるのにそれができていない。
この難しい事件を、

前半は警察小説として、後半は法廷小説として

書き上げているところが、佐々木センセーのうまさでしょう。これだけ厚い本になってしまったのは、法廷シーンのリアリティ追求が半端ないレベルにあることはもちろんのこと、事件の謎とそれを解く鍵をしっかり描写しておく必要があったのだろうと思います。
法廷シーンからラストにかけてはある程度納得の展開ではありますが、正直、期待していたほどではなかったかもしれません。なんとなくもやっとしたところが残ります。最後の最後はおそらく、佐々木センセーがもっとも言いたかったことではないかと思いますが、「社会派の法廷サスペンス」を全面に押し出されないと読者としてはちょっと不満です。なんとなく消化不良な読後感なんですが、それは山本美紀あるいは中川綾子に対する疑惑(特に金銭的疑惑)に関する払拭が完全になされていないからなのかもしれませんが、そういうのはすっ飛ばしておいたほうが良いんですかそうですか。






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2017年05月23日

書評804 佐藤究「QJKJQ」

こんにちは、曹源寺です。

ここ20年くらいで大きく変化した世の中の風潮のなかに、嫌煙権があります。どこでもタバコが吸えた時代はとうの昔に終わっており、受動喫煙対策も本格化しつつありますので愛煙家にとっては窮屈極まりない時代になりました。
自分も新入社員の時代にはオフィスのデスクで吸えたものでしたが、いまは全館禁煙です。オフィス街ではタバコが吸える建物のほうが少なくなっているかもしれませんね。

さて、自民党内における受動喫煙対策の会合で大西英男衆議院議員が「(がん患者は)働かなければいいんだよ」と発言したことが騒動に発展しました。自民党議員の舌禍事件として取り沙汰されています。
大西議員は陳謝したものの「働かなくていいのではないかというのは、ごくごく少数の喫煙可能の店でのことについてだ。がん患者が働かなくてもいいという趣旨ではない」として発言は撤回しない考えです。

これ、舌禍事件ですかね?
発言の趣旨は「喫煙可能な店で肺がん患者が働く必要はない」であって、「小麦アレルギーの人がパン屋で働く必要はない」と言っているのと同じだと思うのですが。
「お酒を飲めない人がバーテンダーをやる必要はない」
「ヘルニア持ちの人が引っ越しの仕事をする必要はない」
「花粉症の人が林業をやる必要はない」
「泳げない人がライフセーバーの仕事をする必要はない」
これらは仕事をすることによってその人の体調を壊し、あるいは症状を悪化させ、場合によっては他人にも迷惑をかけることになる事例です。職業選択の自由とか言う以前に、やったらダメでしょうという話です。
大西議員は言葉足らずだったとは思います(ヤジとしても品がないです)が、これをもって議員辞職せよとか撤回するまで許さないとかいうのは言葉狩りでしかないのではと思います。

受動喫煙対策も、小規模事業者にとっては客が減る可能性が指摘されていますので、自民党としてもどこかで抜け道がないと支持層からそっぽを向かれそうですね。個人的には、タバコを吸えるお店の名称に必ず「シガーバー」とつけなければいけないとか、そういうルールでも定めてはどうかと思います。「シガーバー和民赤坂店」とか「シガーバー塚田農場渋谷店」とか「シガーバーすしざんまい築地店」とか。
嫌煙家は絶対に来なくなると思います。


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内容(講談社HPより)
市野亜李亜(いちのありあ)は十七歳の女子高生。猟奇殺人鬼の一家で育ち、彼女自身もスタッグナイフで人を刺し殺す。猟奇殺人の秘密を共有しながら一家はひっそりと暮らしていたが、ある日、亜李亜は部屋で惨殺された兄を発見する。その直後、母の姿も消える。亜李亜は残った父に疑いの目を向けるが、一家には更なる秘密があった。
「平成のドグラ・マグラ」
「ものすごい衝撃を受けた」
選考委員たちにそう言わしめた、第62回江戸川乱歩賞受賞作。


曹源寺評価★★★★
2016年の江戸川乱歩賞受賞作品です。
90年以降の乱歩賞受賞作品はすべて読了してきましたが、その歴代の受賞作のなかでも本書はある意味衝撃的でありました。
父、母、兄、そして自分の一家4人がすべて猟奇殺人鬼という設定。
ここからしてもう異端です。
地上3階地下1階の我が家には処刑部屋があり、各々殺したいときにその部屋に連れ込んで惨殺する。なんともおどろおどろしい設定です。あぁ、なんだかとっても乱歩的ですね。
こういう奇抜な設定で思い出すのは2000年の受賞作「脳男」でしょうか。ロボットも顔負けのmm単位で精密な動きを行うことができる主人公の「脳男」。ある評者は「この設定だけでもう勝ちだ」と絶賛していたのを思い出しました。
そんな一家にある日、兄が部屋で惨殺され、母も失踪するという事件が起こります。そこからはストーリーが二転三転し、この一家の秘密が明らかになっていきます。
リアリティには欠けますが、それは初期設定のせいだけではありません。真実が明らかになったと思ったら新たな真実が浮かび上がる。普通ならひっくり返さないところをひっくり返す。登場人物の言動や行動にも仕掛けがあったりして、最後まで気の抜けない展開でありました。

幻想と現実の境界線で揺れ動く主人公。

読者もまたその揺れ動く姿に幻惑されます。

この手の作風が好きな方にはたまらない作品になっているのではないかと思います。
佐藤センセーは1977年生まれ。「佐藤憲胤」の名でデビューしていましたが、乱歩賞受賞で改めて佐藤究(きわむ)としてデビューという経歴です。
本書はあの新潮社の中瀬ゆかり氏が「久しぶりに天才現る」と大絶賛しただけでなく、乱歩賞審査委員会の面々のうち有栖川有栖センセーが「平成のドグラ・マグラ」と評したほか、今野敏、池井戸潤、辻村深月の各センセーが褒めていました。
なるほど、こういう世界観でほかの作品も読んでみたいと思わせるような新人の登場かもしれません。次回作にも期待してみたいと思います。





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2017年03月28日

書評791 下村敦史「告白の余白」

こんにちは、曹源寺です。

1週間、更新を止めてしまいました。久しぶりにまとめて有給休暇をいただきまして、ちょいと花粉症のないところまで行ってきたので東京に帰ってきたら寒いわ喉は荒れるわで大変でした。
そんな花粉症のないところ=沖縄県ですが、観光目的では初めてでしたので楽しかったです。3月の沖縄はまだちょっとだけ肌寒いので長袖シャツ1枚、夜はその上に羽織るものが必要でした。でも、シュノーケリングもできたし、安かったのでまずまずの旅行でした。

しかし、自分のなかには沖縄のイメージとして「ちょっと前までアメリカだった沖縄」と「ドーベルマン刑事の沖縄コネクション編」というのがあります(知らない人はググってくださいまし)。小さい頃のトラウマみたいなもので、沖縄=地上戦のあった悲惨な土地、沖縄=アメリカに蹂躙されてきた土地、という変な刷り込みがなされていました。特にトーベルマン刑事は単行本11巻あたりがもう最初から最後までバイオレンスの塊みたいな作品でしたから、ひどく印象に残っています。
やはり沖縄に来たからにはそんな戦争の記録も見なければなるまい、ということで「ひめゆりの塔」に行ってきました。ひめゆりの塔は那覇空港から南東に向かってクルマでだいたい40分くらいかかる場所にあります。
記念館の展示はかなり詳細で、お亡くなりになった学徒と教員200余名の記録が詳細に展示されています。誰がいつ、どこでどんな死に方をした(!)まで記録されているので、おいおい個人情報保護法はどうしたwwwていうくらいすごいです。
映像記録もこれまたすごいです。海岸に広がる死体の山とかダダ流しなので小さな子どもにはトラウマレベルです。たぶんですが、米兵を嫌いになることはあっても好きになることは絶対にない、といえるレベルで刷り込みさせる映像です。
記念館の展示は比較的感情抜きで淡々と事実を述べているものが多かったのですが、映像はショッキングだと思います。
沖縄県民が屈折した感情を持ってもしょうがないのかもしれないなあ、と思いました。

沖縄戦における学徒動員はひめゆりだけではなく、ずゐせん学徒隊や白梅学徒隊などが組織されていましたし、沖縄戦の期間がおよそ6か月であったこと、米軍の動員数が述べ50万人であったことを鑑みれば、こうした学徒の方々による活躍がなければ沖縄陥落はもっと早かった可能性があります。当初、米軍は1か月くらいで陥落できると見込んでいたようですので、もし沖縄陥落が早かったならば沖縄が拠点となって本州への攻撃がさらに激化した可能性もあったでしょう。
我々本土人は、彼女たちに深く頭を垂れて感謝をしなければいけないし、彼女たちのような悲劇を二度と繰り返してはならないということを誓わなければならないと思いました。
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内容(幻冬舎HPより)
「京女の言うことは、言葉どおりに受け取ったほうが幸せえ?」 家を出た兄が実家の農地の生前贈与を求めて突然帰ってきた。しかし、「2月末までに清水京子という女性が来たら土地を譲渡してほしい」という遺書を記し自殺。兄はなぜ死んだのか。そして、女は何者なのか。期限の意味は。 死の真相を知るため、弟の英二は一人京都へ向かうがーーそこは老舗女将、京美人、狡猾な老職人など曲者渦巻く町。腹黒、嫌味、皮肉が飛び交う町が真実を覆い隠し謎は深まるばかり……。 会話すべてが伏線! 一人一人の“本音"を見過ごすことなく、あなたは真相に辿り着けるか。 大注目の乱歩賞作家が「言葉」に罠を仕掛けるノンストップミステリ。 次々と表裏、黒白、真偽が逆転。最後の1ページまで気が抜けない!


曹源寺評価★★★★★
本当に続々と出るなぁと感嘆の言葉しか出てこない下村センセーの著作ですが、今度は京都を舞台にしたミステリです。
4年間も放浪したあげく、ふらっと高知の実家に帰ってきた双子の兄、英一。農家の土地を生前贈与して欲しいと訴え、実現したらその翌日に自殺するという不可解な行動に、弟の英二がその謎を解き明かすため京都に行く。なぜ兄は自殺したのか。遺書に込められた兄の思いは何だったのか。
うーん、最初の導入からあまり面白くないなあ。ガマンして読み進めたら中盤辺りから面白くなってきましたが、ラストもなんだかよく分からなかった。
京都の人とのつきあいはよく「『ぶぶ漬けでも食べていきなはれ』と言われたらすぐにお暇しなければいけない」というよくわからん作法があります。言葉とその真意が真逆だったりすることがままある、ということの例えですが、

そんなん関東人にはわかりません。

「この前の戦」といったら応仁の乱だとか、同じ京都市内でも山科区は京都ではないとか、いつまでも日本の中心地であることのプライドが残っている街であるということは理解できなくはないですが、それって完全に内輪の話ですね。
そんな京都人のどうでもいい慣習の内輪話が延々と続き、でもじつはそれがミステリの伏線になっているというお話ですので、正直

そんなん知るか

という感想です。あとは、それ以上に

京都人怖えぇ

という感想でしょうか。真に受けると京都人と会話ができなくなりそうです。
一応、フォローしておきますと、京都の人たちが婉曲的に表現するのは「直接的な表現をすることで相手が傷つくのを避ける」という大義名分がありますので、嫌味なのではなくて優しさゆえということが真実です。
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2017年03月07日

書評787 真保裕一「脇坂副署長の長い一日」

こんにちは、曹源寺です。

ネットで話題になっていることとテレビで報道されていることのギャップが最近、富に激しくなってきたと思っているのは自分だけではないと思います。
WBCで韓国がイスラエルに負けたというニュースはテレビでガンガン放映されていますが、その韓国がTHAADを批准したことで中国から経済制裁を加えられていることはあまり報道されていません。
国会の動画も、福山哲郎や蓮舫(R4)の威勢のいい啖呵を流しても、維新の足立議員によるR4を糾弾する動画はニュースで報じられることは一切ありません。

民進党のR4二重国籍問題と山尾しおりのガソリン問題は今話題の森友学園よりも個人的関心度が高いんですが、どこの報道機関も報じてはくれません。森友学園は役人と学園の癒着の可能性はあるものの、政治家が関わったかどうかは不明であります。R4と山尾は政治家本人の問題ですので、真相をはっきりさせておかないといけない問題ではないかと思います。というか、これ、自民党だったら自殺まで追い込まれていてもおかしくない案件ですね。


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内容(集英社HPより)
アイドルが一日署長を務める当日、賀江出署は不測の事態に直面する。謎また謎、次々と連鎖する事件。捜査に奔走する副署長の脇坂が、最後に辿り着く真相とは? 予測不能! 分刻みの傑作ミステリー!


曹源寺評価★★★★
真保裕一センセーが警察小説なんて書いたことありましたっけ?と思って探したのですが、やはり見当たりませんでした。あったのは食品衛生監視員と公取委と気象庁地震研究所と、、、あぁ、これは小役人シリーズやん。あとは外交官くらいか。ということで、ついに真保センセーも警察小説に殴りこみです。
本書はタイトルの通り、副署長の脇坂を主人公とした警察小説です。文字通り、長い一日という分刻みの動きで事件と謎に迫っていきます。
この日の夜明け前から事件は始まり、息子の突然の失踪、地域課警察官の事故と失踪、アイドルタレントの一日署長就任、と朝方までに3つの大きな事案を抱え、ドタバタの一日となることが確定的となります。
これらの事件を調べるうちに、謎が謎を呼びもつれにもつれ、ついには、、、
ばらばらに動いていたものが最後、ひとつに収斂していき、張ってあった伏線もすべて回収するというお話は、以前もどこかで読んだような気がしますが、本書のレベルはかなり高次元です。それを、副署長という立場の人物を中心に据えて書き上げるというのもまた、高度な技だと思うのです。所轄の副署長というのは上に署長を置き、時には神輿として担ぎ上げなければならないという立場である一方、下にはたたき上げの課長や現場一筋の部下がわんさかいる職場で責任だけが重くのしかかる職位です。そこに県警内の派閥争いも加わってくるわけで、文字通りの「長い一日」がノンストップでやってきます。

まるで「24」のような慌しさです。

県警の管理官まで歴任しながら、不祥事の責任を取って所轄の副署長にスライドさせられた脇坂ですが、現場感覚を失わずに推理を働かせ、みずから行動して事件に迫っていくというちょっとかっこいい主人公であります。せっかく警察小説書き上げたのですから、シリーズ化してもらっても全然ウェルカムですね。





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2017年01月24日

書評776 柴田哲孝「クラッシュマン」

こんにちは、曹源寺です。

そういえば、文部科学省から早稲田大学の教授職に天下りした元高等教育局長の吉田大輔という人物がいましたが、先日来大きく報道されたのが影響し、辞職ということになりました。
個人的には霞ヶ関の官僚がその高い能力を生かして天下りすること自体には反対したくないのですが、そこに癒着の構造が見て取れる天下りは許したくないですね。
すでに天下り規制に関しては「官民人材交流センター」なる組織がこれをコントロールしているかたちになっているわけですが、この文部科学省の天下り問題の追及になぜかものすごい熱心な毎日変態新聞さんがいろいろと追っかけ記事を出しています。

<文科省>再就職紹介、利用ゼロ…独自ルートで天下り(1/22毎日新聞)
国家公務員の再就職を支援する政府の「官民人材交流センター」を利用した文部科学省の職員が、2008年のセンター発足以降、一人もいないことが関係者への取材で分かった。
文科省の天下りには人事課中心の「現職ルート」と人事課OBによる「OBルート」の2系統があったことが政府の再就職等監視委員会の調査で判明しており、センターを使わず省内で再就職をあっせんしていたとみられる。
(以下、省略)

文科省は天下り規制も顧みず自分たちで天下り先を作ってはそこにもぐりこんでいたわけです。とんでもない話です。では彼らはどこに行っていたのか。
もしかしたらですが、彼らは今回の早稲田大学のように全国の私立大学の教授や准教授、あるいは事務方のトップランク(つまり企業なら経営陣クラス)に天下っていたのではないかという疑惑になるわけです。

大学全入時代などとあおって、90年代からFラン大学が雨後の筍のように乱立してきました。地元の人しか知らないような大学って結構あるんですよね。そんな大学に入って君は一体何を学ぶつもりかね?という大学。アルファベットから英語を学ぶ大学。アジア各国からの留学生が8割を占める大学。少子化の時代になぜかこういった大学は減ってもいません。
医学部の設置には日本医師会という強力なロビー団体がありますから一定の歯止めがかかっていますが、それ以外の大学、特にFランが乱立してきた原因が天下りであったとなれば、文科省の罪はめちゃくちゃ大きいでしょう。
この問題はもっともっと多くの報道が望まれましょう。ただ、大学への天下りという点においてはマスゴミも同じムジナみたいなところがありますから、他紙がこの報道に乗っかってくることはあまりないのかもしれません。よくあるのは@大手新聞社の解説委員→A系列のテレビコメンテーター→Bいつの間にかFラン大学の特任教授みたいなパターンですね。これ一体何の癒着だろうと思うレベルです(AとBが逆の場合もありそうです)。

個人的には大学進学率はだいたい4割くらいにとどめておき、高等専門学校を充実させるかあるいはもう少し低いランクで職人(マイスター)を目指せるような専門教育の機関を設置して、就業に結びつけるべきではないかと思います。

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内容(双葉社HPより)
過剰防衛による殺人の裁判で「無罪」となり、警察庁警備局公安課特別捜査室サクラ≠ノ復帰した田臥を、新たな任務が待ち受けていた。東京駅発博多駅行きののぞみ167号≠フ車内ごみ箱でTNT爆弾が発見されたのだ。さらには、イスラム国の対日本専門のテロリストクラッシュマン≠ェ入国したという情報がICPOのリヨン事務総局からもたらされる。田臥は、部下の室井智、矢野アサルとともに深く静かに捜査を開始する。


曹源寺評価★★★★
2014年に刊行された「デッドエンド」の続編というわけではないですが、デッドエンドの登場人物が再びお出ましとなりました。
デッドエンドではIQ172の天才、笠原と警視庁公安部の田臥のチェイスに警察の暗部が入り乱れてノンストップなサスペンスを繰り広げていますが、本書でも田臥と笠原が邂逅します(笠原親子はチョイ役どまりなのがとても残念ですが)。
今回の主役は田臥で、相棒の室井と新たに加わったエジプシャンの矢野アサルがこれを補佐します。舞台は東京のみならず、2016年に外交首脳が訪れたサミットの舞台である伊勢志摩、それに米国大統領として初の公式訪問となった広島です。各国の首脳が実名で、しかもタイムリーなネタでありますので、あの国家的行事の裏でギリギリの緊張と血みどろの死闘が繰り広げられていたかと思うと(笑

臨場感のハンパなさは尋常ではありません

クラッシュマンと田臥の対決はラストのお楽しみですが、スナイパー同士の嗅覚とか引き寄せとかそういった野性のナントカをちょっとばかり期待していた部分はもうちょっと描写が欲しかったなあと思います。
本書では田臥の心情として対テロに関する日本の無防備さや、警護する側としての不条理さみたいなものがあちこちで吐露されています。彼のセリフからは警察手帳を碌に見もしない警備体制、ドローンへの対抗措置、空港警備の危うさ、国内に300人しかいないSAT、などテロ対策としてはまだまだ不十分な点が多いということがよく理解できます。一方で、公務に携わるものとしてはやや不謹慎な、パフォーマンスのためだけに国民の血税を使う政府への憤慨のほか、警察庁と外務省の連携不足に対する不満など、リアルに捉えればきりがないほどの現状への不安と嘆きが散りばめられています。まあ、対テロという面におきましては早いところ共謀罪改め「テロ等準備罪」の整備を進めて欲しいなあと思ってしまいます。
あと、本作ではかなりイカレたISの敵が登場しますのでかなりむかつく内容になっていますが、ISはイスラムのなかでも狂信者の集団であり、原理主義の究極のような行動様式ですから、普通のイスラムの方々とは切り離して対処すべきであることは論を待ちません。





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2016年12月30日

書評770 柴田哲孝「Mの暗号」

こんにちは、曹源寺です。

今年の更新はこれが最後です。
来年もよろしくお願いいたします。

今年一年を振り返れば、あっという間に過ぎてしまったのはいつものことですが、
       iイ彡 _=三三三f           ヽ
        !イ 彡彡´_ -_=={    二三三ニニニニヽ
       fイ 彡彡ィ 彡イ/    ィ_‐- 、   ̄ ̄ ヽ     し  ま
       f彡イ彡彡ィ/     f _ ̄ ヾユ  fヱ‐ォ     て  る
       f/ミヽ======<|-'いシ lr=〈fラ/ !フ    い  で
       イイレ、´彡f        ヽ 二 _rソ  弋_ { .リ    な  成
       fノ /) 彡!               ィ     ノ ̄l      .い   長
       トヾ__ら 'イf     u    /_ヽ,,テtt,仏  !     :
       |l|ヽ ー  '/          rfイf〃イ川トリ /      .:
       r!lト、{'ー‐    ヽ      ´    ヾミ、  /       :
      / \ゞ    ヽ   ヽ               ヽ /
      ./    \    \   ヽ          /
   /〈     \                 ノ
-‐ ´ ヽ ヽ       \\     \        人
成長しなかったなあ、という感想しかありません。

来年はもうちょっと進歩したいです。具体的なことはこれから考えるとして。

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内容(祥伝社HPより)
戦中戦後に消えた莫大な資産。
遺(のこ)された暗号。
闇に蠢(うごめ)くのは、GHQ、日銀、日本金銀運営会、亜細亜(アジア)産業、そしてフリーメイソン――
30兆円の金塊。
『下山事件 最後の証言』で読書界の度肝(どぎも)を抜いた著者が放つ興奮の痛快ミステリー!!
解読せよ。真実はそこにある――
東京大学で特任教授を務める歴史作家・浅野迦羅守(あさのがらむ)を訪ねてきた美女・小笠原伊万里(おがさわらいまり)。何者かに殺害された彼女の父が、祖父から預かっていた謎の地図と暗号文を解読してほしいと言う。彼女の祖父が戦後史の闇に君臨した亜細亜(アジア)産業とGHQ、そしてフリーメイソンに繋(つな)がる人物だったことが判明した時、戦時中“金属類回収令”によって集められ、消えた膨大な金塊の存在が浮上した! 迦羅守は数学の天才“ギャンブラー”と元CIAのエージェント南部正宗(なんぶまさむね)の協力を得て、その行方を追うが……。

曹源寺評価★★★★
柴田センセーのノンフィクションとフィクションの混じった小説としては、「GEQ」や「下山事件 暗殺者たちの夏」などがあります。いわゆる謀略もの系の作品がこれに当たります。何と言っても「下山事件 最後の証言」がノンフィクションとしては圧倒的なインパクトを持っていますので、これに倣った作品は読者からしてみれば

「あぁ、これはノンフィクションとして書くにはあまりにもヤバすぎるからこうやって小説仕立てにしたのだろう」

と推察してしまうレベルで認識されてしまっているわけです。
本書は戦後の詐欺事件の舞台としてあまりにも有名である「M資金」について、今もどこかで眠り続けている埋蔵金を探り当てていくというミステリであります。
主人公の浅野迦羅守が暗号を解読していくさまはなかなかにスリルある展開ですが、解読するとそこからは一直線ですので話の展開もまたストレートであります。ここに殺人事件と警察(武蔵野署の舟木警部)が加わり、事件を追う者、追われる者、捜査する者という構図ができあがっていきますので、単純なストーリーではないというのがGOODです。
さらに、下山事件とか亜細亜産業とかライカビルといったセンセーお得意のジャンルも散りばめられていますので、ファンにはたまらない作品でしょう。逆に言うと、亜細亜産業って何?というレベルの方にはお勧めできませんが(そういう方は「下山事件 最後の証言」を読んでいただくしかないでしょう)。
それにしても、こんだけ面白いのに最後の方はやや辻褄あわせのようになってしまったのは残念です。何かを置き去りにしているようにも思います(あぁ、小笠原伊万里とアレックス・マエダのつながりが言及されていないねえ!)。そして、それ以上に(ネタバレ)

敵がショボい

というのは果たしてどうなんでしょうか。あれだけ不気味な前フリをしておいて、ラストではどうにも自業自得な姿。。。まあ、敵との戦いが本筋ではないのでいいんですけどね。
そして最後の最後に続編があるように示唆しておく、、、これもまたありがちですが、このテーマでやりますか!?まあ、それぞれのキャラクターが際立っているので続編出たら絶対に読みますけどね。

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2016年12月13日

書評766 新野剛志「優しい街」

こんにちは、曹源寺です。

2016年の「今年の漢字」は「金」に決まりました。4年前も「金」でした。もしかしたら今後は4年ごとに金の字が選ばれるかもしれないですね笑
まあ、「今年の漢字」は個人による人気投票ですから、同じ年末恒例でも「流行語大賞」よりよほど公正です。流行語大賞は選考委員の俵万智氏が「日本死ね」についてツイッターで政治的思惑を明らかにしていました。つまり、流行した言葉ではなく、流行させたかった言葉として選んだと言っているわけです。
もうね、ネットの世界は10年前からいろいろな人の嘘を見破ってきました。現在はさらに加速度を増しています。世の中の欺瞞とか作為とか理不尽とかは誰かさんのちょっとした違和感から解明が進んで、あっという間に見破られる時代になっていると言って良いと思います。それが「炎上」までいくか、あるいはいかないか、その程度の差でしかないと思います。ほんのちょっとしたきっかけで炎上まで行き着くケースも増えてきましたので、今後は世界のあちこちでいろいろなことが暴かれていくのだろうと思います。


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内容(双葉社HPより)
探偵の私は、名古屋から上京していた実業家から、娘を捜してほしいとの依頼を受ける。娘、由はツイッターをやっていて、本来のアカウントとは別に、性的な表現が氾濫する裏のアカウント、「裏垢」もやっていた。私は協力者を得て、裏垢から由の足取りを追う。――現代に浮遊する少女や彼女らを取り巻く大人たちの姿を静かに激しく描いたミステリー。


曹源寺評価★★★★
新野センセーの久しぶりの探偵小説です。しかも本格的なハードボイルドに仕上がっています。なんだかこういう雰囲気の作品、久しぶりだなあ。単独で行動する探偵、舞台は渋谷、人が死ぬ、ヤクザもいて、主人公も大ピンチ。実にいいですね。表紙の装丁もいいですね。
主人公の市ノ瀬路美男−ロミオは、ホテルのコンシェルジュ経由で名古屋の政商、黒川から依頼を受ける。内容は家出娘を探し出し連れ戻すこと。ツイッターの裏アカウント――裏垢から追跡し、彼女を発見するが、親元に引き渡す直前に殺される。市ノ瀬は犯人を捜すが、、、
かっこいいのかどうかはよく分かりませんが、少なくともハードボイルド探偵にありがちなシニカルなセリフはばっちり決まっていますので、読んでいて楽しいですね。
本書はこうした古きよき探偵小説の体裁ではありますが、内容については最新のSNSを駆使した犯人捜しがストーリーの肝になっていますので、裏垢とかリプライとかアカウントとかツイッターやっていないと良く理解できない御仁には難解な小説になっています。
また、この裏垢がイコール別名というより別人格のような扱いにもなっていますので、○○という裏垢は実はAさんのもので、それをリプライしている△△という裏垢はBさんの裏垢、Bさんの本来のアカウントはXXだったとか、もう

誰が誰だかわからんわ

となってしまいそうでした。現実の人間像と裏垢のつぶやきが二重人格すぎて余計に分かりにくいです。ここらへんはしっかりと読みこなさないと絶対に混乱しますわ。
つまり、登場人物を抑えるだけではダメで、仮想空間のやりとりとリンクさせながら話を進めていかないと理解ができないようになっているわけです。
中高年はついていくのが大変ぜよ。





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2016年12月09日

書評765 下村敦史「失踪者」

こんにちは、曹源寺です。

先日はインターネットサービス大手のDeNAがキュレーションサイト「WELQ」において、剽窃や無断盗用のみならず、医療的観点から放置できないほど非科学的で無知でいい加減な捏造記事が垂れ流されていたとして、同サイトの閉鎖を決めました。
実際にはWELQだけでなく、iemoやFindTravelなど合わせて9サイトを閉鎖していますので、DeNAのキュレーションサイトがいかに杜撰で悪質であったのかがわかります。

ちょうどロイターが面白い記事を発信していました。
ローマ法王がメディアに強い警告、「偽りの情報拡散は罪」(2016/12/8ロイター)
[バチカン市 7日 ロイター] - ローマ法王フランシスコは、政治家の評判を落とすためにスキャンダルに焦点を合わせたり偽りの情報を発信することは「罪」だと述べ、メディアに対して強い警告を発した。
ベルギーのカトリック週刊紙テルティオとのインタビューに応じた。
法王は、誤った情報を拡散することは「メディアができうる最大の加害行為」であり、電波通信をそのような行為に利用することは罪といえると述べた。
法王は、「メディアは、明確、透明であるべきだ。たとえ真実であっても、常にスキャンダルなどを報じたがるといった、汚い物を病的に嗜好するような病に陥ってはならない」と語った。また、政敵を中傷する目的でメディアを利用することの危険に言及。「そのようなことをする権利は誰にもない。それは罪であり、傷つく行為だ」と述べた。
米国では、インターネット上の誤った情報によって、有権者がトランプ氏への投票になびいたのではないかとの議論が広がっている。


えー、なんだかトランプ次期大統領への批判記事になっていますが笑
ちょうど日本では上記の問題が起こっていただけに、タイムリーな記事と言えるでしょう。WELQ問題ではこの事業の仕掛け人とされる村田マリなる執行役員が記者会見に出てこなかったためにネット上で吊るし上げをくらっていますが、まあ自分で立ち上げて50億円でDeNAに売り飛ばして自分は碌に税金も払わずシンガポールに高飛びですから、そりゃ吊るされてもしょうがないですなぁ。

しかし、DeNAは会社として謝罪していますのでまだマシですわ。それにこのキュレーションサイトの事業はSEO対策などで支出が先行しているため大赤字のはずですから自業自得です。

ネットであろうと紙であろうと事実と異なる記事を大量に生産して、それを恥じない企業はほかにもたくさんありますから、ローマ法王に直接叱っていただきたいものです。
「偽りの情報拡散は罪」!ですよ。

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内容(講談社HPより)
ありえない、そんなはずはない。
10年前、あいつは死んだはずだった――
極寒の氷雪峰に置き去りにされ、“時”とともに氷漬けになったはずの友。
しかし、対面した遺体は明らかに歳をとっていた……
2016年、ペルーはブランカ山群。山岳カメラマンの真山道弘は単身シウラ・グランデ峰を登っていた。10年前、クレバスに置き去りにしてしまった親友・樋口友一を迎えにきたのだ。ずいぶん待たせて悪かったな――クレバスの底に降り立ち、樋口を見つけ出した真山だったが、遺体の顔を覆う氷雪を落として驚愕する。極寒のクレバスに閉じ込められた遺体は、歳を取ることなく凍りついてしまうはず。しかし、樋口の顔は明らかに10年前より老いていたのだ。なぜだ、ありえない。まさか、樋口はあの時生還していたのか?ならばなぜ連絡をよこさなかった?そしてなぜ同じ場所で命を落としている?樋口、お前は一体何をしていたんだ?
親友が過ごした、謎に包まれし“歳月”。
真相にたどり着いたとき、あなたはきっと胸を熱くする。
注目の乱歩賞作家が仕掛ける、哀しき罪と罰。
『生還者』につぐ感涙必至の山岳ミステリー!


曹源寺評価★★★★
下村センセーの山岳ミステリ「生還者」に次ぐ山岳モノ第2弾ということであります。生還者の次が失踪者ではなにやら続編のようなタイトル付けですが、二つの作品に関連性はありません。
主人公の真山道弘は南米のシウラ・グランデを攻略中に事故で親友の樋口友一を失った。10年後に迎えに行ったものの、そこにいたのは10年前より老いた友人の遺体だった。なぜ彼は死んだはずなのに年老いたのか?
冒頭から謎を突きつけるミステリですが、ストーリーのテンポが良くて山岳シロウトの自分でもぐいぐいと読み進められます。
謎が途中で明らかになっても、今度は別の謎が読者に突きつけられますので最後まで一気読みでした。このへんの作りこみが2014年の乱歩賞受賞者とは思えないレベルなんですよ。6作目とも思えません。
山岳ミステリといえば、古くは森村誠一、最近だと笹本稜平や樋口明雄、大倉崇裕の各センセーなどがこのジャンルに精力的に取り組んでおられます。しかし、自分はそれほど山岳モノが好きではありません。なぜだろうと自問自答していますが、あいにく答えが出ておりません。単なる食わず嫌いなのかもしれませんので、足を一歩踏み出してみようかとは思います。
でも、山岳小説を読みこなすためにはひとつ重要な要件がありました。それは、

専門用語をしっかりと理解しておく

ということです。アイスアックスとかアイススクリューって何?というレベルではストーリーを理解するのに大変ですわ。山の名前も知らなさ過ぎな自分は、読みながら山の名前をGoogleさんに教えてもらっています。あぁ、シウラ・グランデってこういう山なのね〜(棒 とか。
まあ、書くほうにしてみれば山岳モノというのは閉ざされた空間であり、命の危険と隣り合わせであるというミステリの舞台としてはこれ以上ないほどの好立地でありますから、あとはちょっとした工夫でストーリーを仕立てられそうな気がします(もっとも自分には知識がなくて書けませんが)。
しかし下村センセーはそこに男同士のアツい友情や死と隣り合わせの8,000メートル級の山々といった、謎解きとは別次元の物語性にも深い描写がありますので、なんだかとても安定感のある作家センセーになったなぁという感想です。





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2016年11月22日

書評760 雫井脩介「望み」

こんにちは、曹源寺です。

本日は朝方に福島沖を震源とするM7.4の大きな地震がありました。自分はキッチンに立ってお弁当づくりしていましたが、地震を報せるチャラーンという音で一気に緊張しました。あの音は本当に精神を不安にさせますね。よくできていると思います。
東北に大きな被害がないことを祈ります。でもまだ明日、明後日あたりまでは注意が必要ですね。3.11のときは3月9日に震度5弱→11日に本震だったわけですから、今日の地震が前震でないとは言い切れません。警戒を怠らないようにしましょう。

ツイッターでは地震の直後に自民党と公明党がみなさんの安否を気遣うツイートを出しましたが、民進党と共産党は無関心だったと話題になりました。民進党は政権を奪取したかったらこういうところを改めないとダメなのに、本当に学習しませんね。
クラスで学級委員に推薦される人は、普段から「こいつなら学級委員を任せても大丈夫だろう」と思わせる行動と言動があるからみんなから推されるのです。同じことは一般社会でもあります。企業で次の社長とか役員とかを選ぼうかという段階にきたら、過去の実績だけではなく発言や振る舞い、部下からの信頼、将来のビジョン、などなど多角的に審査されるのが普通です。ですから、民進党なら政権を任せても大丈夫だろう、日本をうまく舵取りしてくれるだろうと国民に思ってもらいたいならば、こうした細かな振る舞いの積み重ねが絶対に必要だと思うのですが、なぜかしない。できないのか、それともわざとやらないのか。あるいはそういう思考自体がないのか。いずれにしても現状は「あの政権交代は間違いだった」という感想と「いまはとてもじゃないが任せられない」という感想のいずれかしかないのでは、と思います。

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内容(KADOKAWA HPより)
東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登(かずと)と校正者の妻・貴代美(きよみ)。2人は、高1の息子・規士(ただし)と中3の娘・雅(みやび)と共に、家族4人平和に暮らしていた。規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが、2人は特別な注意を払っていなかった。そんな夏休みが明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、連絡すら途絶えてしまった。心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、2人は胸騒ぎを覚える。行方不明は3人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は2人。息子は犯人なのか、それとも……。 息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。相反する父と母の望みが交錯する――。心に深く突き刺さる衝撃の心理サスペンス。


曹源寺評価★★★★★
雫井脩介センセーの作品は大別すると「ちょっと切なくてやるせないサスペンス」と「エンターテインメントに徹したミステリ」の2つになるのかなあと思います(かなり強引)。前者は「クローズド・ノート」「つばさものがたり」など(この2冊はどっちもぼろぼろ泣いた)、後者は「犯人に告ぐ」シリーズや「殺気!」などでしょうか。
本書はどちらかというとものすごく深くて暗いテーマが潜んでいますので前者といえるのですが、ものすごい勢いで読み終えてしまったものですから、エンタメ的でもあるのかなあと思います。
上記あらすじのとおり、息子の友人が殺害されるニュースが飛び込んでくるが自分の息子は帰ってこない。行方不明が3人、逃走中の少年が2人。果たして自分の息子は逃走中=犯人なのか、それとも残る行方不明の1人=死亡?なのか。息子が犯人であることを祈る母親と、被害者であってほしい父親。それぞれの葛藤と苦悩、願望と畏怖、理性と感情が入り乱れておよそ正常な心理を保てない両親の描写がストーリーの主軸となっています。
自分は♂なので父親の心境に近いものがありますが、母親の心理も理解できなくはないです。しかもこの父親と母親の心理が正反対であったにもかかわらず、ちょっとしたことでその距離が一気に近づき、また共有されたりもします。何という巧みな心理描写。
タイトルの「望み」の意味するところがものすごく深くて、誰しもがこの望みについて考えさせられること請け合いです。

そんな深くて暗いテーマにもかかわらず、一気読みだった

のは、センセーの文章力にほかならないのですが、読後感もまた深くてあれこれ考えさせられてしまい、なんともやるせない気持ちになりました。この究極の選択=生きていれば犯罪者、死んでいれば二度と会えない、どちらにしても後味悪い結末が待ち受けているという「望み」つまり

「望みなき望み」に対して、自分だったらどう立ち向かっていけば良いのか。

考えたくもないテーマをぶつけられて多いに悩むことができる作品、それでも(いや、だからこそ)自分は今年の最高作品のひとつに数えたいと思います。





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2016年10月25日

書評754 佐藤弘幸「税金亡命」

こんにちは、曹源寺です。

昨日は駅のホームドアの実証実験がニュースになりました。
「どこでもドア」登場 扉数異なる列車に対応する新型ホームドア、京急が試験導入(10/24 ITmediaニュース)
京浜急行電鉄は10月24日、扉の数や位置が異なる列車にも対応するホームドア「どこでもドア」の実証実験を三浦海岸駅(京急久里浜線)で始めた。実験期間は約1年間を予定している。
どこでもドアは、2、3、4扉車に対応するホームドアとして三菱重工交通機器エンジニアリングが開発した。車両改修の必要なく、地上設備のみでホームドア開閉の連携が可能な「地上完結型連携システム」を採用している。実証実験では、三浦海岸駅1番線の1車両分にどこでもドアを設置し、安全性・耐久性を検証する。
ホームドアの設置では、高い工事費や車両規格の違いなどが課題となる。JR東日本は開口部の広い新型ホームドアを開発するなど、鉄道各社が解決に向け知恵を絞っている。


国土交通省によると、駅のホームで何らかの人身事故が発生した件数は233件(2012年、一都三県のみ)ですから、自動車による交通事故の死亡者数(2015年、161人、東京都のみ)とほぼ同じレベルで発生していることになります。ホームが混雑しているとかなり恐怖に感じる今日この頃です。酔っ払っているとなおさらです。ホームドアはあったほうが良いに決まっています。
各社の設備投資余力にもかかってくる案件ではありますが、必要なら値上げしたって良いのではと思います。京王帝都電鉄は設備増強のため一度値上げしましたが、その後、元に戻したりしました。神対応ですね。これと同じように元に戻す前提でホームドア設備向けの費用負担を乗客に求めても、おそらくみんな納得するのではないかと思います。それにしても京王帝都電鉄、すげえなぁ。

一方、朝のラッシュが激しすぎる東急、小田急は周辺開発をしすぎた結果、輸送能力が追いつかなくなってしまったのではないかと思います。朝の田園都市線は混雑が原因でダイヤどおりに動かなくなっているのは周知のとおりです。それに比べて京王の無理しない経営が素晴らしいですね。まあ、京王は多摩センターや聖蹟桜ヶ丘周辺が過疎ってきているのではないかと思いますので逆に心配ですが。

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内容(ダイヤモンド社HPより)

国税か、富裕層か、はたまた国税OB税理士か? 最後に笑うのは誰だ? 「日本―香港」で起きた巨額の脱税事件。国税最強部隊出身の著者が圧倒的な臨場感で描く! 知られざるタックスヘイブンの真実


曹源寺評価★★★★
元東京国税局職員の佐藤センセーが書き上げたリアル小説です。
日本に帰化した木戸勲はビル売却で多額の利益を得るが、国税OBを抱える税理士法人と組んで「節税」を目的に策略を練る。東京国税局の高松はこれを察知した部下とともに真相の解明に乗り出すが、、、
税金逃れのプチセレブと国税局との攻防をリアルに描いており、中盤からの当事者同士のやり取りは現場を見てきた佐藤センセーにしか書けないであろう修羅場の臨場感がものすごいです。

ここだけでも読んだ甲斐があるってもんです。

また、税務調査によっては法的根拠が異なる場合があって、質問を拒否することも違法になるというマメ知識をはじめ、「B勘」とか「情報トージツ」とか「コメ」とか、耳慣れない業界用語がバンバン出てくるので非常に勉強になります。


ただ、(以下ネタバレ注意)
このバッドエンドはなんなんでしょうね。木戸はまんまと逃げ切りに成功しました(香港で逮捕されそうな流れのラストですが)。木戸の味方であるはずの国税OB吉田の忠告を無視して香港に逃げるのですが、吉田がなぜこんなに行くなと忠告を繰り返したのか、よく分かりません。
今回のように、多額の特別損失を架空に計上→利益を圧縮→キャッシュは海外経由で日本に持ち込み→会社は清算結了、なら後でばれても証拠不十分で追い詰められないということになるのでしょうか。それともマイナンバーの運用でこのスキームは不可能なのでしょうか。この辺がリアルに知りたくなりますね。

佐藤センセーは「国税局資料調査課」というノンフィクションを上梓されていますが、小説はこれが初みたいです。国税vs脱法者の丁々発止のやり取りはさすがに元国税の貫禄十分ですので、人物の書き分けやキャラクター造型、表現力やストーリーのまとめ方などに磨きがかかればこのジャンルでのスペシャリストになれるかもしれないですね。





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2016年09月20日

書評744 真保裕一「遊園地に行こう!」

こんにちは、曹源寺です。

昨日はテレビ朝日系「ミュージックステーション」が特別番組だったらしく、「30周年記念特別番組 MUSIC STATION ウルトラFES 2016」と題して10時間ぶっ続けで放送されたようですね。
で、こんな企画があったようです。

「日本に影響を与えた曲ベスト100」

うーん、老若男女にアンケートを取ればサンプル数の違いで大きく順位が変わりそうなランキングですな。
そもそも音楽は最も世代間の違いが明確になるようなジャンルだと思います。ですから、よりサンプリングを重要視しないといけないと思いますが、まあこんなのはどうせお祭りですから順位に意味はないと思わないといけませんね。
ちなみに、ベスト10はこんなラインナップ。
10位:「A・RA・SHI」(1999) 嵐
9位:「負けないで」(1993) ZARD
8位:「恋するフォーチュンクッキー」(2013) AKB48
7位:「Let It Be」(1970) ザ・ビートルズ
6位:「川の流れのように」(1989) 美空ひばり
5位:「Let It Go〜ありのままで〜」(2014) エルサ(松たか子)
4位:「勝手にシンドバッド」(1978)サザンオールスターズ
3位:「Automatic」(1998) 宇多田ヒカル
2位:「上を向いて歩こう」(1961) 坂本九
1位:「世界に一つだけの花」(2003) SMAP


ハイハイ、SMAP、SMAPと。

どうせやるなら「日本の音楽シーンを変えたアーティスト30」とかの方が良かったのではないかと思います。楽曲じゃなくてミュージシャンとしての影響力ね。
たとえば、70年代のフォークソングを牽引したのは間違いなく吉田拓郎や伊勢正三ですね。また、フォークソングの時代をニューミュージックに染め上げたのは松任谷由実やナイアガラ・トライアングル(大瀧詠一、佐野元春、杉真理)、オフコースなどでしょう。80年代のロックシーンを牽引したのはサザンや忌野清志郎やBOOWYだし、ソウルを持ってきたのは久保田利伸、テクノはY.M.Oでしょう。90年代は小室哲哉と織田哲郎の楽曲が溢れ出して大変なことになりました。
時代を切り開いたのはアーティストその人であり、1つの楽曲ではないと思います。ですから、秋元康もある意味「時代を切り開いている」と思います。切り開きすぎて崩壊させてしまったように見えますが。

卓球界では「福原前」と「福原後」というのがあるそうですね。福原愛選手が登場してからの日本卓球界は世界ががらりと変わったのです。一人の天才少女が日本の卓球界を変え、世界に通用するレベルに押し上げたのは間違いないと思います。おそらくテニス界も「錦織後」の世代がやってくる(もうやってきている)のではないかと思います。
こう考えると、日本の音楽業界も「○○前」と「○○後」で新しい価値観や新しい市場が生み出されたシーンがいくつかあるのではないかと思いますが、そうした偉大なる先人たちを差し置いてSMAPの「世界にひとつだけの花」が日本に影響を与えた云々というのは、誠におこがましいことではないかと思ったりもします。

まあ、繰り返しますが、これは「祭り」ですからランキングに意味を求めてもムダですね。うーん、割り切っていてもなんだか納得いかないなぁ。

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内容(講談社HPより)

明日も仕事に行くための、勇気と熱狂ここにあります! 
感動を巻き起こせ!
大ヒット『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』
累計25万部突破「行こう!」シリーズ、待望の第3弾
奇跡の復活をとげた遊園地ファンタシア・パーク
夢を抱けない僕たちの前に、魔女が現れた――
真保裕一・作家生活25周年記念作品
読めば元気が出てくる痛快お仕事ミステリー


曹源寺評価★★★★
いつの間にか「行こう」シリーズになっていたのでちょっと笑ってしまいました。
この「行こう」シリーズは真保センセーにしてはヒューマンドラマなミステリに仕上がっていて、近年のヒリヒリと胸を抉るような展開、あるいはドロドロとした人間関係から生まれる後味悪い路線(これもある意味ヒューマンではありますが)からはやや脱却しつつあるように思えます。
某電鉄会社が遊園地を生まれ変わらせて成功した「ファンタシア・パーク」におけるさまざまな人間模様から生まれるドラマとミステリを、連作短編のようなかたちでまとめたのが本書です。顔に大きな傷を負ったがゆえに就職活動に失敗し、ファンタシアに着ぐるみの応募で入社したらなぜかフロントにまわされてとまどう北浦諒輔、着ぐるみダンサーとして着実にステップアップしながらも着ぐるみが故に自己のアイデンティティーを見失いそうになる新田遥奈、大手工作機械メーカーからテーマパークの設備メンテナンス子会社に転職してきたところに、なぜか配電盤が小火騒ぎを起こすことになり原因を追究する前沢篤史、それらを陰で支えるファンタシアの「魔女」と呼ばれる及川真千子と、彼女をインタビューさせよと執拗に絡んでくる雑誌ライター。ひとつひとつがドラマでありながら、一本の線で結びついて大きな事件がやってくる。
さらに、真保センセーならではの技巧あふれる最後の展開に、なんだかこみ上げるものを感じてしまいました。かつての名作「ホワイトアウト」を何となく髣髴とさせてくれたように思います。
なんだか、いいですね。

ヒューマンドラマとミステリの融合

のような展開。読後感もGOODです。





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2016年07月15日

書評728 下村敦史「難民調査官」

こんにちは、曹源寺です。

フランスではお祭りの見物客の列にトラックが突っ込むテロがありました。
トラック突入テロ、80人死亡=革命記念日、花火客に乱射も−仏ニース(7/15、時事通信)
【パリ時事】フランス南部のリゾート地・ニースで14日午後10時半(日本時間15日午前5時半)ごろ、フランス革命記念日を祝う花火を見物していた人の列にトラックが突っ込んだ。ほぼ同時にトラックを運転した容疑者は見物客に向かって銃を乱射した。カズヌーブ内相は15日、事件による死者が80人に上り、18人が重体だと述べた。負傷者も100人以上に達した。(以下、略)

ニースといえばフランス南部のリゾート地です。被害に遭われた方のご冥福をお祈り致します。

欧州は完全にテロリズムとの戦いが常態化しつつあります。テロというのは本当に卑劣なもので、一般人のなかに紛れ込んで無秩序を作り出そうというのですから、攻守にわたって一般人を巻き込んでいるといって間違いではないわけですよ。
例えて言うなら、日中戦争時の大陸における便衣兵のようなものです。便衣兵は軍服を着ないで戦争に参加していましたから、日本軍は油断した隙に殺されまくったわけです。
フランスが今回の事件で警備を強化するのは当たり前ですが、これをもってイスラム系移民などが住みづらい街になったとしても、それは移民社会のなかで自浄作用が働いていないならば致し方ないのではないかと思います。
つまり、移民社会のほうがテロリストと決別しなければいけないのです。

もし、ある国の日本人街に日本人テロリストが紛れ込んでその国の軍隊がやってきたら、日本人街の人たちはテロリストを炙り出して当局に突き出すでしょう。そうしないと日本人街が守れないとなれば、民族とか思想とか関係なしにそうするのではないかと勝手に思っています。

それができないイスラム系移民たちは、「内部でテロリストを飼っている」と指摘されても「いや、俺たちはテロリストとは一線を画している」と言い訳したところでその国の政府から守ってもらるわけはありません。誰が敵で誰が味方かわからない状況では、全員を一旦は敵とみなさなければこちらがやられてしまうからです。

日中戦争のことを引き合いに出しましたが、中国人は世界各国に「中華街」を形成しています。彼らは自分たちの秩序で自分たちのルールに従って行動していますが、一方でその国のルールとも折り合いをうまくつけています。だから残っているわけです。不可侵条約みたいなものですね。

移民に冷ややかな意見かもしれませんが、本日紹介する本もまた、移民、難民問題を考えるうえでよい勉強になる本だと思います。「日本も移民をもっと受け入れろ」的な意見を安易に受け入れて良いのかどうか、真剣に考えてみる良い機会になると思います。

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内容(光文社HPより)
29歳の如月玲奈は、東京入国管理局で働く “難民調査官”。補佐の高杉と共に、難民申請者が本当に母国で迫害される恐れがあるのか、調査するのが仕事だ。ある日、ムスタファというクルド人難民申請者が、合法的に来日しながらパスポートを処分し、なぜか密入国者を装っていたと発覚する。その頃、ネットカフェ難民の西嶋耕作は、自分の通報が原因で家族想いのムスタファとその妻子を引き裂いたことを悔いていた。善良そうに見える難民申請者は、一体何を隠しているのか? 現在最も注目される乱歩賞作家が難民問題に鋭く切り込んだ、怒涛のポリティカル・サスペンス小説。


曹源寺評価★★★★
いま最も新進気鋭のミステリ作家、というほどではありませんが、最近の乱歩賞出身作家のなかでは意気盛んなセンセーの一人でいらっしゃいます下村センセーの最新作です。
なかなかにタイムリーなネタですね。タイトルの通り、入国管理局(入管)に勤務する主人公が事件(というほどのものでもないですが)の謎に迫るミステリであります。
大柄で女っ気のしない主人公、如月玲奈と難民調査官補の高杉純は難民申請者を「インタビュー」して本物の「難民」か「偽装難民」かを見極める仕事をしている。ある日、クルド人の申請者にインタビューしたが、彼はいくつかの嘘をついていた。なぜ彼はばれたら一発アウトの段階で嘘をつくのか。一方、妻と息子と別れ半ばホームレスとなっている西嶋耕作は賃金の安い外国人労働者に取って代わられていた過去から、不法入国者、違法滞在者を通報することで溜飲を下げている日々であった。ある日、クルド人の親子をふとした意識の変化から庇うことになり、、、
とまあ、終始、難民問題に関連したテーマで一貫されています。血生臭いシーンも展開もありませんが、常になぜ?がつきまとう立派なミステリに仕上がっています。

難民調査官という仕事はあまり知られていませんね。入国管理局は法務省所管の出先機関であり、ホームページにはこんな風に書かれています。
『出入国管理行政を行うための機構として,法務省に入国管理局が設けられているほか,地方入国管理局(8局),同支局(7局),出張所(61か所)及び入国管理センター(2か所)が設けられています』
すげえ、こんなにあるんですね。

本書のストーリー自体は大したことありませんが、読みどころはいっぱいあります。日本における難民認定の壁といった問題をはじめ、外国人労働力の受け入れやいわゆる「多文化共生」の問題、課題を抱えている現状について、かなりリアリティを持った議論が主人公を通してなされています。ココがキモですね。
たとえば、「ドイツは難民認定者数が4万人もいるのに日本は121人。正式な難民認定者は立った6人。オカシイ、厳しすぎる」という議題があります。これに反論するには普通「いや、ドイツは欧州で地続きなわけだから島国の日本と比較するのは違うでしょ」というのが一般的です。しかし本書ではさらに「いや、難民認定者数だけならその通りだが、不認定者数を見なはれ。ドイツにおける不認定者数は16万人、日本は3,000人だからね」と冷静に分析しています。つまり、分母が違うので比較するのがおかしいという主張です。おまけに、ドイツは難民を受け入れすぎて1兆円以上の負担がのしかかっているのが現状です。
ほかにも、難民と民族差別、マイノリティと地域社会、難民とテロリストの境目、などなど、議論のネタは尽きません。なかなかに示唆に富んだ主人公の発言(=作者の論理、主張)があちこちに散りばめられていて、もしかしたら

下村センセーはネトウヨではないか

と思わせるようなくだりもあって小説でここまで保守思想を展開されるとは思いもしませんでした。
特に171ページから174ページあたり(某団体をパクッていますが)は秀逸です。
ところで、入管職員は国家公務員でありまして、公務員を主人公にした作品といえば真保裕一センセーの小役人シリーズ3部作(「連鎖」「取引」「震源」)が有名ですね。真保センセーも当時は大して売れなくて、その後の「ホワイトアウト」でブレイクされましたので、下村センセーも本書を足がかりにして次作で大ヒットでも飛ばしてくださいまし。いや、本作でもいいんですけどね。





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2016年07月08日

書評726 島田ゆか、八木佳奈「バムとケロのおいしい絵本」

こんにちは、曹源寺です。

英国のEU離脱問題の根本にあるものは移民問題である、との主張はマスゴミが書きたくても書けないタブーのような状態になっておりますが、今度は米国で警察官による黒人射殺問題がクローズアップされてきました。黒人サイドによる報復が始まっています。
人種差別問題だけでなく、そもそも移民国家な米国ではマイノリティとマジョリティの格差などが根底にあるわけで、こればかりは一朝一夕で解決できる話ではありません。勝手に作り上げたタブーも社会情勢の急激な変化には耐えられそうにありませんね。

先日は国連が「日本には1,700万人の移民受け入れが緊要」とか言い出したらしいですが、1,700万人てあーた、全人口の10%以上じゃないですか!移民が1割いたらもうその時点でマイノリティではないですね。完全に移民国家になっています、はい。

橋下徹前大阪市長がツイッターでつぶやいたのが「パスポート審査なしで中国人、韓国人、さらには東南アジアの人々が大量に日本にやってきて自分たちの生活習慣で生活をし、低賃金で仕事をする日本社会に耐えられるか」と、移民が大量にやってきた時の日本人の想像力のなさを疑問視しました。
まあ、もっとも橋下氏は府知事時代に「移民はどんどん受け入れよ」的な発言もしていましたので、どっちが本音か良くわかりませんが。。。

ただ、ひとつ言えることは、

「グローバル化こそが人類の進歩であり、日本も率先してグローバル化するべき」

とか

「国際社会の一員として移民を受け入れることこそが大事である」

といった論調が「正義ヅラ」しているのではないかと。
パスポートなしで国境を越えることができることが絶対的に正しいなんて、お花畑もいいところではないかと思うのですが。
こうした論調を崇め奉っている自称進歩人たち、特に還暦過ぎた辺りの人たちに多いのですが、まったくもって勘弁してください。

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内容(絵本ナビHPより)
(出版社より)
バムとケロは、食べるのも料理するのも大好き! だから、絵本にはたくさん料理シーンが登場します。作者の島田ゆかさん監修のもと、忠実に絵本のおやつや料理を再現したレシピは、本著のみ! レシピの他に、料理シーンにまつわる楽しいエピソードも満載! 付録として、バム、ケロ、おじぎちゃんの3種類のステンシルプレートや、クッキーやドーナツの実物大型紙付き。手軽に作れる料理も載っているから、ぜひ親子で料理にチャレンジしてみてください!


曹源寺評価★★★★★
絵本界のロングセラーは数あれど、大人たちのハートもグッと掴んだ本は少ないですね。本書はあの不朽の名作「バムとケロ」シリーズのなかで紹介されたおやつなどのレシピを紹介した本でありまして、2015年に刊行しています。
え、バムとケロを知らないって?それはいけません。
何度読んでも面白い絵本なんてそうそうあるものではありません。主人公のふたりが巻き起こす騒動が楽しいですが、本書の魅力はそれだけでなく、サイドストーリーが充実しすぎているという点にもあります。シリーズ5作品、すべてがつながっています。それだけでなく、「かばん売りのガラゴ」という作品シリーズもありまして、そちらにもバムとケロのおともだちが登場しますので必読です。
最初に発行された「バムとケロのにちようび」からもう20年以上が経つのですね。。。早いなあ。







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2016年06月07日

書評718 新野剛志「戦うハニー」

こんにちは、曹源寺です。

「不適切だが違法ではない」というのは流行語大賞ノミネート決定でしょうか。舛添都知事の件は一件落着とはいかせたくないですねぇ。
実際には「不適切でかつ違法である」と認定されてもおかしくないやつがありますね。調査が不十分すぎるので、ここはもう少し突っ込めば穴が開きそうです。違法である=政治資金規正法違反ということですから、これが認定されれば辞職は免れません。虚偽記載が疑われる事例を集めて裏取って追い込みましょう。

でもなぁ、次の都知事誰にするのかという、別の命題もあるんだよなぁ。R4とか嫌だしなぁ。宇都宮弁護士とかもっと嫌だしなぁ。橋下もダメだなぁ。都構想ってもうすでに都ですが何か。東国原も嫌だぁ。絶対スキャンダル狙い撃ちされるのが目に見えていますわね。まあ、タレントしか都知事になれないという都民の愚民化が一番悪いんだけど、ほかに選択肢はないもんですかね。。。

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内容(KADOKAWA HPより)
私立保育園「みつばち園」で、開園以来初の男性保育士として働き始めた星野親。女性ばかりの職場や、保護者からの偏見に戸惑いながらも、体当たりで子どもたちやその家族と向き合っていく。心温まる青春お仕事小説。


曹源寺評価★★★★★
新野剛志センセーの最新刊は保育所を舞台としたドタバタ系青春小説でありました。
主人公の星野親(ちかし)は有名大卒でサラリーマンを経験して、保育士に転じた変わり者です。女性ばかりの職場に戸惑い、偏見を受け、モンペアからの理不尽な要求に耐え、それでも真正面から保育という仕事に向き合っていく、若き青年であります。
物語はまあ、何と言うか、ドラマになりそうなありがち展開です。本書の全体から漂ってくるのは、新野センセーの名著「あぽやん」シリーズと同じ匂いなんですが、これってなんでしょうか。
ちょっと情けないけどひたむきな主人公、冷静で優秀な脇役、大御所の存在、仕事や人間関係を通じて分かってくる人生、

そして達観論と仕事の現実の挟み撃ち

などなど、まあいろいろと盛りだくさんです。
ただ、空港を舞台にした(それでもトラブルばっかりの)あぽやんと根本的に異なるのは、昨今の保育園事情があまりにもシビアすぎて笑うに笑えないレベルにあるということでしょうか。頭のおかしい保護者が本当に増えてしまいました。保護者だけではないですね、杉並区や目黒区の例にもありますが、子どもの声がうるさいとかいう当たり前の事実にクレームをつけるという老害も増えました。いっそのこと、暴走族が復活してくれて環七とか爆走しまくってほしいです。子どもの声くらいじゃ何とも思わないくらいの騒音社会になったほうが世の中少しはマシになるのではないかと思ってしまいます。
本作は連作短編の形式ですのでさらっと読めます。物語りも一気に加速していきますし読後感もまあまあさわやかです。





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2016年05月20日

書評713 柴田哲孝「砂丘の蛙」

こんにちは、曹源寺です。

葉山に住む伯父が亡くなったので会社休んで葬儀に行ってきました。葉山町、全然進歩してねえ。。。隣接する横須賀市は道路の開発がガンガン進みましたので、あちこちで新しい道に出会えたのですが、

葉山、、、田舎のままやなぁ。

でもそれが良いのかもしれないなあ。老後はこの辺に住んだら楽しいかなあ、なんて考えてしまいましたよ。

で、葬儀なんですが、いわゆる家族葬というやつでして、身内だけで坊さん呼んでお経上げてもらって、そのまま火葬場に行く、という極めてシンプルなスタイルでやりました。あっという間に骨になって泣いているヒマもありません。人は90分も焼けば骨だけになります。あとは骨壷に入れて解散です。こんな葬儀もあるんですね。
帰り道で
母「アタシの時もこんな簡単な葬儀がいいわね」
父「ワシは散骨がいいな」
俺「どこに撒くんや」
父「飛行機をチャーターして空から海に撒いてくれや」
俺「全然シンプルじゃねぇ〜〜つか、金かかり過ぎ〜〜」
兄「ボートでいいんじゃね」
父「」俺「」
母「テキトーでいいんじゃね」
父「」俺「」

結論が出るまでもう少し長生きしてくれや。

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内容(光文社HPより)
九年前に殺人事件を起こした崎津直也が刑期を終え、出所直後に神戸で殺害された。その後、津崎を逮捕した刑事・片倉康孝もまた何者かに刺されてしまう。崎津殺しと、同一犯の仕業なのか。収監中の崎津の手紙に書かれていた“砂丘の蛙“という謎の言葉。戸籍には載っていない“妹”の存在。片倉は再び事件の渦中へと引き込まれていく。捜査本部から外され、部下の柳井らと地道な捜査を続ける片倉は、崎津の死体が浮かんだ神戸、そして鳥取へと飛んだ。
片倉康孝と若きホープに成長した柳井淳が、不可解な事件を追う!『黄昏の光と影』に続く第二弾!!


曹源寺評価★★★★★
地味だけれどリアルでスピード感溢れる警察小説「黄昏の光と影」が続編として帰ってくるなんて思いもしませんでした。
警視庁石神井警察署の刑事、片倉康孝は所轄のベテラン刑事であります。その片倉がかつて逮捕した津崎が千葉刑務所から出所後に神戸で水死体となって発見されます。片倉はその一報を聞いた夜に自宅前で何者かに刺されてしまいます。なぜ津崎が殺されなければならなかったのか、片倉刑事もなぜ刺されたのか。地道な捜査で真相に迫る!というのが本書のストーリーであります。
片倉刑事は子どもなし、離婚歴ありという極めてテンプレートな刑事像です。警察小説の主人公の刑事は大抵、家庭環境に何らかの不和がありますね。もういい加減やめようよ、これ。ベテラン刑事につく相棒の若手は将来のホープという設定もありがちではありますが、まあいいか。
で、このベテランと若手のコンビが被害者の故郷に行き、手がかりらしきものをいろいろ掴んでくるのですが、中盤までは複雑な人間関係とつながらないピースの連続で分かりにくいです。
しかし、中盤から後半にかけては事件が一気に加速していきます。そう、まるで将棋の一手一手がじわじわと相手に詰めていく

『詰めろ』の展開です。

なんだかとても臨場感があります。テレビの「警視庁24時」を観ているかのような、そんなリアリティですわ。警察が外堀を埋めてから本丸に切り込んでいくというのは本当ですね。特に証拠に乏しい事件や過去の未解決事件は証拠が足りませんから、関係者の証言などで補強していくのでしょう。このじわじわと攻めていく展開がとてもグッときますわ。
そして、事件の真相が判明するラスト。驚愕の全貌。恐ろしいまでの洗脳。吐き気を催すほどの絶望。(以上、ラップ調で)。
ただの殺人事件ではなかったと分かった時の驚愕たるや、もうね、実在の事件をモチーフにしたとはいえ、ちょっとびびりましたよ。
(多少ネタバレですが)本書のモチーフとなった事件は、「鳥取連続不審死事件」(上田美由紀による毒殺?)や「尼崎連続変死事件」(角田美代子らによる背乗り?)などですが、本書の中で「逃げられるのに逃げなかった」被害者の心理が抉られていたらちびってたに違いありません。尼崎事件も詳細を読むと、逃げたけど捕まってしまった人たちがいますが、どうせ逃げるなら戸籍を捨てて見知らぬ土地で人生やり直すくらいのことをしなければアカンということが分かります。本当に奴らは執念深いです。奴隷になって死ぬまでこき使われるのか、新たな土地で新たな一歩を踏み出すのか、そんな二者択一を迫られるような目には遭いたくもありませんが、もしそうなったら自分は後者を選ぶかな、と思ったりもします。
しかしまあ、本書は真犯人のふてぶてしさが後味悪いですが、ストーリーの組み立てやラストの展開などは最近の柴田作品のなかでもかなり楽しく読ませていただいたほうではないかと思います。





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2012年04月20日

書評380 佐々木譲「地層捜査」

石原東京都知事の尖閣諸島買い上げ発言は、非常に興味深いですね。特に新聞各紙の反応が。

朝日新聞(2012/4/18)
尖閣買い上げ―石原発言は無責任だ
http://www.asahi.com/paper/editorial20120418.html
 
毎日新聞(2012/4/19)
石原氏の尖閣発言 都が出るのは筋違い
http://mainichi.jp/opinion/news/20120419k0000m070139000c.html

読売新聞(同上)
石原氏尖閣発言 領土保全に国も関与すべきだ
http://mainichi.jp/opinion/news/20120419k0000m070139000c.html

産経新聞(同上)
尖閣「購入」 石原構想で統治強化を 対中危機意識を共有したい
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/557351/

いや、確かに国がやるべき仕事かもしれないけど、新聞は批判する前に「国が責任を持って買い取れ」と主張したことがただの一度でもあるかね?国土保全、安全保障などの観点から離島の管理をどうするのか?という趣旨で、社説でも書いてみてほしいわ。
それに、地権者は「国が信頼できない」から都と契約すると言う話であって、都知事を責めるいわれはどこにもないですね。責めを負うべきは政府だと思いますが、そうした論調がどこにもないのが不気味です。まあ、読売と産経はまだいいか。朝日と毎日は相変わらず酷いなあ。


内容(文藝春秋HPより)
2010年、時効撤廃。刻まれた悲劇の古層に迫る
時効撤廃で再捜査となった東京・荒木町の殺人事件。封印を解かれた町の記憶、人の記憶が照らしだす事件の真相は? 新シリーズ開幕
1995年に東京・荒木町で起きた老女殺人。確たる手がかりもなく、未解決のままだったこの事件が、2010年の公訴時効撤廃を受けて、再捜査の対象となる。捜査一課の水戸部と、以前この事件を担当していた地域指導員加納は、当時の捜査本部が着目した土地トラブルを追いながら、かつては芸妓、後に置屋の女将として生きた老女とこの街の記憶に目を向けていく。そう、事件の「地層」を掘り起こすのだ――。2010年に『廃墟に乞う』で直木賞を受賞した警察小説の名手が放つ待望の新シリーズ、いよいよ開幕です。






曹源寺評価★★★★
公訴時効の撤廃という、警察官にとっては負担の大きな法改正がありました。これを受けて、再捜査のための特別チームを警視庁内に作って時効になりかけた事件を掘り起こす−
なるほど、時流に乗ったテーマですね。
場所が新宿区荒木町というのもいいですね。地下鉄丸の内線四谷三丁目駅から北東に数十歩あるけば、そこはもう昔の遊郭街です。自分もそれほど遠くない場所に勤務しているだけに、何度か足を運んだ事はありますが、歴史的な背景は知りませんでした。「昔、この辺はこういう街だったんだよー」といったブラタモリ風味な薀蓄は非常にためになります。四谷界隈というのは意外とDEEPな街でして、明治時代などはちょっとアングラな場所もあったそうですね(なんせ「谷」だったわけで)。
また、捜査を担当する若い刑事・水戸部裕と、引退した刑事で元相談員の加納良一(わあぉ、香納諒一とかけているのか?)が、異なる視点で捜査を掘り起こすという展開も興味深いです。
わずか6日間で捜査が完了してしまう違和感と、ラストの拍子抜け感が

少〜しだけ残念

ですが、聞き込みを中心とした地道な捜査から犯人像を絞り込んでいく展開は、警察小説ファンにはたまりませんね。現在進行形の事件と異なり、昔の事件を掘り起こすプロセスというのが、今までの警察小説にはなかった(もしかしたらあったのかもしれないですが)ということで、ちょっと新鮮な気分になれるかもしれません。
これ、新シリーズになるということですが、本当ならうれしいですね。「警官の血」シリーズは3部でおそらく完結でしょうし、北海道警シリーズはちょっと堅いイメージがあるので「制服捜査」シリーズくらいがちょうど良いと思っていました。次の作品にも期待しましょう。








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2012年04月17日

書評379 翔田寛「築地ファントムホテル」

さて、いよいよAmazonが日本市場で動き出しました。
アマゾン電子書籍、40社と配信合意 学研・PHPなど
電子書籍のプラットフォームを席巻させるのはどの企業になるのか、本当に見ものですね。コンテンツ配信で一日の長があるAmazonは本当に脅威だと思います。学研や主婦の友社、PHP研究所などが動き出したわけですが、大手版元はまだ動いていませんので、「虚空の冠」状態です。楡周平先生の予言どおりになったらすごいかもしれません。


内容(講談社HPより)
乱歩賞作家渾身のミステリー快作!
焼け落ちた巨大な館。そこには“魔人”がいた。
高さ約36メートルの望楼付き2階建て、間口約73メートルに全102の客室を擁する日本初の西洋式ホテル。明治初頭の東京にその偉容を現した築地ホテル館は、わずか数年後に灰燼と帰した。
明治5(1872)年の銀座大火でこの大建築が焼失するところから物語は始まる。クリミア戦争、インド大反乱、アロー号事件など、19世紀後半に世界を旅して歴史的報道写真を多数残したイギリス人写真家、フェリックス・ベアトが、焼け跡から発見された刺殺死体の謎を追う。
時代の狭間に現れた亡霊は、なぜ生まれ、どこへ消えたのか?






曹源寺評価★★★★
乱歩賞作家のなかではそれほど注目していたわけではないのですが、「参議怪死ス」でも歴史ミステリーを披露してくださった翔田寛センセー、今回も明治5年という維新真っ盛りの時代を背景として実際にあった事件をモチーフになかなかの作品をあげていただきました。
築地ホテル館というのが本当にあったんですね。知りませんでした。そして、わずか数年で焼失してしまったのも歴史上の事実です。ここに主人公を日本語の達者なイギリス人写真家を置き、助手に元旗本の子孫(つまり落ちぶれた侍ということですかね)の東次郎を据えるという見事なプロット。さらには、当時の時代背景としての廃仏毀釈、外国人の移動の自由制限、新政府の思惑と反勢力の動き、さらには維新のドサクサにまぎれてうごめく輩達。事件の裏側を探ると飛び出してくる様々な真相。なかなか読ませてくれました。
読みづらいとか理解できないとか、否定的なコメントも書評サイトにはいくつか散見されますが、自分にとっては全然そんなことありませんでした。

最後がちょっとくどいけど許す

って感じです。
本書のような歴史ミステリーがちょっと好きになりそうです(明治以降に限る)。








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2012年04月03日

書評376 佐々木譲「警官の条件」

今日は風がすごかったですね〜
昨年の秋、台風が関東を直撃しましたが、その時も交通がだいぶマヒしました。震災の時の衝撃ほどはありませんが、交通マヒもだいぶ慣れてしまった感じがありますね。こういうときは無理して帰宅しなくても、電車が動き出すまであわてずに時間をつぶしたほうが得策です。

内容(新潮社HPより)
『警官の血』の裏切りから9年。再会した二人を駆るのは憎悪か、誇りか――。
芸能人の薬物事件が注目される傍らで、裏社会の変化に対応できない警視庁。安城和也警部が率いるチームも、致命的な失策を招いてしまう。折しも復職した元刑事。彼こそは、かつて安城の内偵によって警察を追われた、加賀谷仁その人だった。交錯する不信、矜持、ラストシーンで迸る激情。『警官の血』の主題を極限まで追求した傑作!






曹源寺評価★★★★★
読書ジャンルが偏っている自分は皆川博子さんという作家先生を寡聞にして知りませんでしたが、作家歴40年を超える大ベテランでいらっしゃいます。自分の不勉強を恥じるばかりです。

しかも御年81歳!

曹源寺評価★★★★★
2008年に刊行された佐々木氏の「警官の血」は、戦後の駐在警官である祖父・安城清二と公安の潜入捜査官だった父・安城民雄、そして三代目として警視庁に入庁した安城和也をつなぐ壮大なドラマでした。
本書はその三代目と、その上司(というか元上司)の加賀谷仁の人間模様をこれまた壮大な展開で描いた続編であります。
なぜ元上司かというと、暴力団との癒着を苦々しく思う上層部の命令で、和也が上司の加賀谷を“売った”のであります。本書はその9年後、依願退職→薬物所持で逮捕→公判で無実を訴え→無罪、となった加賀谷と、若くして警部に昇進した和也が邂逅するストーリーとなっています。
潜入捜査によって部下(別の班ですが)を一人失ってしまう和也。薬物捜査で情報が錯綜して混乱する警視庁。見かねた警務部が加賀谷の復帰を要請。同じ課でも担当班が違えば情報は交換されない縦割りすぎる現場。
なんといいますか、単調なようで単調でない。何気ない捜査現場の描写でも佐々木氏の手にかかれば圧倒的にシリアスな場面に変身します。そして、セリフがカッコイイ。加賀谷の「戻る」という一言だったり、ラストの泣ける一言だったり。ちょっと加賀谷警部かっこよすぎです。逆に和也が平凡すぎるというか、お前主人公だろ?みたいな感じです。
安城家三代の系譜がなんだか日本の警察官の縮図のような、それぞれが警察官の矜持とプライドと誇りと信念を持っていた(和也の場合は本書の最後にその誇りと信念を加賀谷から受け取った、みたいな感じですが)、そんな熱いストーリーが共感を呼び起こしてくれます。
警察小説の

新たなる金字塔

と呼んでも過言ではない!と思ってしまうくらい、本書の出来栄えは良いと思います。異論は認めます。








曹源寺評価★★★★★
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2012年03月19日

書評373 佐々木譲「密売人」

だいぶ円安になってきましたね。本日の終値は83円台でした。これで輸出も回復して製造業の業績も復活して貿易赤字も解消して万々歳〜!
と思っているお花畑な方はそんなにいないと思いますが、やはり円安だとガソリン価格が一気にレギュラー150円突破〜なんてことも起きているわけでして、デフレ下での円安となると
重油などの値上がり→温室野菜の高騰→輸入品も値上げ→値上げの嵐→でも給与所得が伸びるのは来年→生活厳しい
ということで庶民生活は一時的に厳しくなるかもしれないですね。まあ、そのまま緩やかなインフレになってくれればいずれ給与所得もあがるとは思いますが。


内容(角川春樹事務所HPより)
10月も半ばを過ぎ肌寒くなってきた北海道で、ほぼ同時期に三つの死体が発見された。函館の病院にて為田俊平の転落死、釧路の漁港にて飯森周の水死、小樽の湖畔にて赤松淳一の焼死。それぞれの事件は個々に捜査が行われ、津久井卓巡査は小樽の事件を追っていた。一方、札幌大通署生活安全課所属の小島百合巡査は、登校途中の女子児童が連れ去られた一件に、不穏な胸騒ぎを感じていた。三か所で起こった殺人と小島の話から、次に自分のエス(協力者)が殺人の狙いになると直感した佐伯宏一警部補は、一人裏捜査を始めるのだが・・・・・・。






曹源寺評価★★★★★
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曹源寺評価★★★★
『うたう警官』(現在は改題して「笑う警官」)を第一作として、『警察庁から来た男』、『警官の紋章』、『巡査の休日』と続く北海道警シリーズの最新刊です。
タイトルからは、麻薬の密売人に関わるお話かと思いきや、そうではないんですね。警察の協力者(エス)が次々と殺され、あるいは狙われるという事件が発覚します。つまり、エスであることを誰かがバラしたという疑惑が持ち上がるわけです。これがタイトルの元ということですね。
この北海道警シリーズ、佐伯警部補、津久井卓巡査、小島百合巡査、などなどいつもの面々が登場します。シブい佐伯、まっすぐな津久井、勝ち気で行動力のある小島、いずれも良い造型のキャラクターではありますが、このシリーズは他の警察小説よりも地味目というか、地道な捜査が続くイメージですね。地道なだけにやや単調な印象もありますが、古〜いテレビドラマで言うと

「太陽にほえろ」ではなく「特捜最前線」

といった趣でしょうか。
ただ、本書は4つの事件が同時進行するところから始まって、その4つの事件がひとつの線でつながったときに展開が見えてくるという側面がありますので、最初は読みづらいかもしれませんが、50ページも進めばワクワクドキドキの展開が待ち受けています。
安定感のある警察小説として、佐々木譲氏の作品に対する評価は高いですね。本シリーズはものすごく好きというわけではありませんが、ほどほどに好きです。









曹源寺評価★★★★★
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2012年03月02日

書評369 新野剛志「中野トリップスター」

エルピーダメモリという会社が会社更生法の適用を受け事実上倒産したわけですが、DRAMの製造で世界第2位だか3位の会社でさえも資金繰りに行き詰まるご時勢ということになりましょうか。
パナソニックやNECも今期は大赤字の見込みですし、日本の製造業がいよいよ本当の岐路に立たされているという現実をしっかりと見据えなければならないでしょう。
グローバル化とは一体何なのだろうか?賃金や物価の低い国に製造部門がシフトしていくことがグローバル化の本質というわけでは決してないでしょうが、現実にはそうなっていますね。米国だってもはや家電メーカーがなくなってしまっているし、日本だっていずれは米国のようになるかもしれません。でも、日本人のものづくりに対するこだわりとかは世界のどの国にも真似のできない技でもありますので、やはり日本の製造業はなんとか生き残ってほしいですね。


内容(新潮社HPより)
身内にだけはちょっと甘い、武闘派極道の山根。組長から押しつけられた今度のシノギは、韓国スリ団相手の旅行代理店! 義理も人情も通じねえわがまま放題の顧客、やくざよりも自分勝手な堅気の部下たち。正直、すぐにでもこんな会社潰してえ。だが待てよ、人のために働くって、案外楽しいかも!? ポップでシリアスな、極上エンタメ!






曹源寺評価★★★★★
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しかも御年81歳!

曹源寺評価★★★★★
この人の作品には当たり外れの差が大きいですね。直木賞候補にもなった「あぽやん」は絶妙な舞台装置とキャラクターで読ませてくれました。「FLY」とかも面白かったです。でもその他の作品はどうもイマイチだなあ。
中途半端なヤクザとかバイオレンスとかを描くより、「あぽやん」で表現した日常のなかの非日常を描くようなお話のほうが好まれるのではないかと思いましたわ。
本書の主人公である迫島組組員の山根は、借金のカタに経営参画した旅行代理店「中野トリップスター」を利用して、韓国からのスリ団の「迎え屋」をやったりするというお話ですが、もう

この設定だけで腹が立ってきますね。

ヤクザのシノギも大変だなあ、なんて感想は微塵も持ち合わせないですね。
さらに中国マフィアやらカジノバーやら非合法な集団との交流がこの代理店に飛び交いつつ、オーナーがヤクザとは知らない社員とのニアミスとか、正規の旅行アテンドにこの山根が同行する話とか、さすがに旅行業界を知り尽くした作者ならではの物語が展開されるんですが、人の良い中途半端なヤクザという設定が我々を感情移入させようとしつこく迫ってくるんですよ。でも、組がシノギとしてやっていることがどうにも腹立つので、無理です。
そう、だからこういう中途半端なストーリーが自分にはあまり受け入れられないんですね。どうせなら、もっとヤクザらしい強烈な振る舞いを見せるとか、逆に主人公をべつの人にするとか、見せ方を変えても良かったのではないかと思います。
ただ、ストーリーの仕立てとしては、断章で別のストーリーが展開されていて、最初は何がなんだか分からないけれど最後にようやく見えてきた!みたいな作りこみがあって、これは評価できますね。最終章になる直前までつながりが分かりにくいので、見えてきたときの「アハ」感覚がいいです。








曹源寺評価★★★★★
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しかも御年81歳!

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