ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

カテゴリー:は行の作家

2017年02月28日

書評785 東野圭吾「人魚の眠る家」

こんにちは、曹源寺です。

最近流行の言葉に「フェイクニュース」というのがあります。誰が発したか?米国大統領トランプ氏ですね。
ちょっと前には「ヘイトスピーチ」なる単語がネットに溢れかえりました。これを発したのはたしかNHKの人だったと思います。ちょっとしたきっかけでものすごい勢いがつくのがネットの世界です。
で、そのフェイクニュースですが、これと一対になって出回ってきている単語が「ファクトチェック」です。フェイクなのかリアルなのかを「ファクトチェック」するという作業が必要であるとしていますが、マスゴミが報道するニュースのなかにしれっとフェイクが混ざっているというのがデフォルトになってきているという背景がそこにはあります。
本来ならば、ファクトチェックがなされて初めて「報道」されるのがスジでありますが、最近の報道のなかにはフェイクが混ざっているのが当たり前だからみな気をつけましょう!という雰囲気になってしまっています。
これは本来ならばマスゴミ自身が猛省しなければならない事案であると思うのです。
しかしながら、マスゴミはフェイクを訂正しないし、謝罪もしない。垂れ流しです。だから嫌われるのに、だから部数がダダ下がりなのに、これを直そうとしない。まったくおかしな話です。

たとえば、先日の
「米大統領がCNNなどの会見不許可」というニュースが昨日(2/27)に報道されました。しかしこれはホワイトハウスの記者クラブがネットメディアなどの新規参入をさせなかったのが原因とされています。つまり、従来の会場は古くて狭いからネットメディアなどの新興勢力まで収容できないので新しい場所に代えようとしたのに、旧来のメディアが既得権益を盾にして反発したというのが真実のようです。トランプ憎しでこんなことまでゆがめて報道する米国のメディアもゴミだということが良くわかるニュースです。

「フェイクニュース」に対する「ファクトチェック」がますます重要になりつつあるなあとしみじみ思う今日この頃です。
「新聞ファクトチェック」なるブログでも開設したらPV稼げそうですかね。

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内容(幻冬舎HPより)
答えてください。
娘を殺したのは私でしょうか。
東野圭吾作家デビュー30周年記念作品
『人魚の眠る家』
娘の小学校受験が終わったら離婚する。
そう約束した仮面夫婦の二人。
彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前。
娘がプールで溺れたー。
病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。
そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。
過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか。
愛する人を持つすべての人へ。感涙の東野ミステリ。
こんな物語を自分が書いていいのか?
今も悩み続けています。 東野圭吾


曹源寺評価★★★★
東野センセーの著作のなかに、たまにですがめちゃくちゃ重いテーマを内包させたお話があります。復讐の是非を問う「さまよう刃」とか、娘を殺された親の問いかけや司法の矛盾を投げかける「虚ろな十字架」など、いずれも正解のない問いを読者に投げてくる作品です。
本書もまた、娘の死をどう受け止めるべきなのかを問いかける非常にメッセージ性の強い内容のミステリです(これをミステリと言って良いのかという疑問はありますが)。
脊椎の損傷などにより自分の身体が思い通りに動かせなくなっている人のために、磁器や電気の刺激によって運動をサポートできる医療機器を製造するハリマテクス社を経営する播磨和昌とその妻の薫子。彼ら夫婦の間には長女の瑞穂と長男の生人がいた。ある日、瑞穂がポールで溺れてしまい、植物状態になってしまった。脳死判定を受け入れれば脳死と判断されるであろうレベルにあって、これを受け入れない夫婦。ハリマテクスの技術者である星野によって、脳からの指令がなくても手足などの筋肉組織を動かせるように機械サポートを行うことで、瑞穂は3年も生きながらえる。。。
意識があるのに身体を動かせない人と、意識がないのに身体を動かして健康(!?)を維持している人、どちらも同じ人間であるなら、どちらも「生きている」ことになるのではないかという問いかけが我々に発せられるのであります。
また、
法改正により国内でも脳死患者からの臓器移植が可能になっているにもかかわらず、多くの人がそれを待ちきれずにアメリカに行くという現実があること。
さらには、
いまだ脳死からの生還は実例がないにもかかわらず、日本人の多くは心臓死をもって死と捉えていることや、また、これを改めようとする動きもないこと。
ひとつの問いかけから発展してこんなさまざまな命題を投げかけられるので、読むのをやめてしばし考えるということを繰り返しました。
だから、東野センセーの本にしては珍しく

ページが進まない

のでした。
東野センセーの「重いテーマ」というのは大抵、「答えの出ないもの」であることと同義です。だからこそ考えさせられるし、他の人がテーマにできないものでもあります。
答えの出ないものをテーマにして、なおかつ小説としての落としどころを決めておかないといけない、という常人にはできなさそうなことをしれっとやりのけてしまうところが、東野センセーのすごいところでもあります。
本書のラストはなるほど、みんなが救われて本当に良かったなあと思える落としどころでありました。

おっと、眼から汗が

出掛かってしまいましたよ。号泣ではありませんが、グッとくるラストです。印象に残るなあこれ。





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2017年01月06日

書評771 深緑野分「戦場のコックたち」

あけましておめでとうございます、曹源寺です。

今年の正月はのんびりと親戚参りしただけでしたので、こりゃヤバイ!と思って約5kmのランニングをしましたら思いっきり筋肉痛になりましたorz
たった5kmで、、、しかも首回りまで痛い、、、
鍛えなおそうと決心した正月でした。

さて、最近は統計がいろいろとおかしいというニュースがあちこちで出回るようになりました。特に、統計の表示がおかしいという声は大事です。なぜかというと、見た目で騙されないようになってきているという国民のリテラシーが高まっているのがよく分かるからです。
しかし、一次ソースそのものが誤っていたとなると話は簡単ではありません。

沖縄県の県民所得、低く計算 計算方式変更で最下位維持…「基地問題が経済的足かせになっていることを示したいのでは」(1/5 産経新聞)
都道府県ごとの経済力を示す指標である沖縄県の1人当たり県民所得が、他県の例よりも所得が低くなる方式で計算されていることが4日、分かった。沖縄県は平成21年度の1人当たり県民所得が高知県を抜き、戦後初めて最下位を脱出した翌年度に計算方式を変更し、22年度以降も最下位を維持している。政府関係者は、基地問題が経済的な足かせになっていることを県内外にアピールする狙いがあると指摘する。
(以下、省略)

県民所得は内閣府のホームページから見ることが多かったので、てっきり内閣府が計算しているのかと思っていましたが、各都道府県が算出していたみたいですね。しかもその計算式は公開されておらず、果たして全国で統一された計算方式によって推計されているのか、もしかしたらかなりのズレが生じているのではないか、そんな疑念も湧いてしまいそうです。

「自分で分析したかったら一次ソースを見に行け」とさんざん教え込まれた自分としては、そもそも一次ソースが違っていたらどうしたらよいのかさっぱり分かりません。
最近は政府統計もアラが目立つようになりました。先日も書きましたが、厚生労働省と農林水産省の統計データは公表タイミングが遅すぎてタイムリーに市場を把握することができません。国土交通省と経済産業省は比較的早いのですが、経済産業省はものによっては補正が入りまくっていて使うのにものすごく苦労します。県民経済計算は恣意的な加工が可能となるような集計方式がまかり通っているならば、内閣府がデータだけ収集して統一したやり方で集中的に推計するべきでしょう。


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内容(東京創元社HPより)
1944年、合衆国軍のコック兵となった19歳のティム。彼と仲間たちが戦場で遭遇したささやかだが不可思議な謎とは――戦いと料理と〈日常の謎〉を連作形式で描く、著者渾身の初長編!


曹源寺評価★★★★
2015年の「このミス」2位、「文春ミステリ」3位、そして直木賞候補作にもなったのが本書です。
2段組み345ページの連作短編という名の長編(笑 で、しかも舞台は第2次大戦中の合衆国軍ですから、読むのはそれなりに大変です。
主人公のティモシー(ティム)・コールは南部出身の若者。祖母の料理好きが遺伝して、コック兵に志願します。ティムは周囲からキッドというあだ名をつけられます。そのティムの周囲で(特に戦場で)起こるさまざまな謎を相棒のメガネ君とともに解き明かしていきます。
時間的な舞台としては、1944年6月のノルマンディー上陸作戦から1945年4月のドイツ軍降伏までがこれに当たります。したがいまして、戦争も末期、フランス、オランダ、ベルギー、ドイツ、オーストリアあたりは国際法も関係ないほどドロドロの地上戦が行われた場所という凄惨な舞台であります。そのなかでは気楽なコック兵というわけにもいかず、必要に応じて最前線に送り込まれて補給部隊が来るのをまだかまだかと待ち続ける地獄の戦線に置かれます。
そんなときに呑気に謎解きなどやっている場合か!と思いきや、この謎を解かなければ先へは進めないような、場合によっては戦況がひっくり返ってしまうかのような謎もあったりします(大げさかな)。
まさに殺し合いの場面でさえも筆致が淡々としている一方で、かえってその方が戦場にリアルさを見せ付けてくれるようで読者を精神的に追い込んでいきます。これは生半可なミステリとして読んではいけないのだぞ、と。

つーか、これは戦争小説だよね

と心の中で念じながら読まないといけないでしょう。
仲間が次々と死に、あるいは精神的に病んで、前線復帰できないほどの傷を負い、いつの間にか古参兵となっていく主人公。残った仲間にもある嫌疑がかけられたりします。
ここに主人公の心情を書き連ねてあったら、詠むのが本当に大変だったと思いますが、主人公はかなり淡々としていて、あぁ、これはやはりミステリなんだな、と再認識させてくれます(読後ですが)。

読むのが大変だが、なぜか惹かれる小説

という意味では、京極夏彦センセー以来の何かを感じてしまった次第。





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2016年10月07日

書評749 本城雅人「ミッドナイト・ジャーナル」

こんにちは、曹源寺です。

先日書いた日弁連の件ですが、本日本当に採択されてしまったようです。すげえ記事なので全文引用させていただきます。
日弁連「死刑廃止宣言案」採択、組織として推進へ…会場では異論も噴出(10/7弁護士ドットコムニュース)

日本弁護士連合会(日弁連)は10月7日、福井市で人権擁護大会を開き、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」の案を、参加した弁護士の賛成多数で可決した。組織として初めて、死刑制度廃止の方針を明確に打ち出した。
票数は出席786人中、賛成546、反対96、棄権144だった。
宣言は、死刑判決を受け拘束されていた袴田巌さんが、2014年に約48年ぶりに釈放されたことをあげ、「死刑判決を下すか否かを人が判断する以上、えん罪による処刑を避けることができない」「えん罪により死刑となり、執行されてしまえば、二度と取り返しがつかない」と死刑廃止を訴えた。
具体的には、「日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止」を目指すべきであるとし、死刑の代替刑として、仮釈放がない終身刑制度や、仮釈放を認める場合であっても、開始時期を現在の10年から、20年〜25年程度に伸ばす「重無期刑制度」の導入などを提案した。
宣言が採択される前に、出席した弁護士からの意見表明の時間があり、犯罪被害者の支援に関わる弁護士を中心に、宣言に反対する意見が噴出した。
被害者支援に携わる東京都の男性弁護士は「(こうした宣言を出す日弁連から)私は脱退したい。しかし、強制加入団体だから脱退したら弁護士活動を続いていくことはできない。そのような団体がこうした決議をやることはおかしい」と語気を強め訴えた。
また、大会前日の10月6日に行われたシンポジウムでは、瀬戸内寂聴さんのビデオレターが公開され、その中で、「殺したがるばかどもと戦ってください」と表現していた。このことについて、「(犯人の死刑を望む)被害者遺族の前でこうした映像を流すことが信じられない」との声も上がった。
日弁連側は、「瀬戸内さん特有の思い切りの良いメッセージだと考え、そのまま採用することにした」としつつ、「配慮がなかったとしたらお詫び申し上げる」と述べた。


いろいろ突っ込みたいですね。

まず、一弁護士が個人的に死刑反対するだけならまだしも、法律を守る側にいる職業人として政治活動に堂々と口出しするその姿勢に唖然とします。
そんで、
>>票数は出席786人中、賛成546、反対96、棄権144だった。

明確に反対した人がわずか12%という事実にさらに唖然です。

賛成票を投じた弁護士の実名を公表して欲しいですね。その弁護士には被害者支援を絶対にさせてはいけません。

さらに、瀬戸内寂聴の「殺したがるばかども」発言も許されませんわこれ。まあ、90歳過ぎたBBAの言うこととあしらってしまうこともできますが、発言に影響力をお持ちの方ですからこれはダメですわ。そして、この発言をビデオレターとしてまんま垂れ流した日弁連はもっとダメですわ。被害者をばか呼ばわりしているのは日弁連であることと同義です。
もう日弁連は完全に終了ですありがとうございました。

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内容(講談社HPより)
「被害者女児死亡」――世紀の大誤報を打ち、飛ばされた3人の記者。その七年後、児童連続誘拐事件が発生。さいたま支局の関口豪太郎はかつての事件との関連性を疑い、東京本社の藤瀬祐里は豪太郎の応援に合流し、整理部員となった松本博史は二人を静観する。間違っているのかもしれない。無意味なのかもしれない。しかし豪太郎は諦めない。タネを撒き、ネタに育て、真実を獲得するため、今日も真夜中に動き出す。
特別な結果を出すのは、いつだって、本気の人間だ。


曹源寺評価★★★★
大手全国紙の社会部記者を主人公に据えた社会派ミステリというジャンルは、そういえば最近ご無沙汰していたなあと思いました。ここ数年はとんと話題になるような作品にお目にかかれず、なぜだろうと考えましたが特に答えが出るわけでもないですね。まあ、マスコミの社会的地位の低下や新聞離れ、出版不況などなどとかく逆風の多い業界ですから、しょうがないといえばしょうがないです。
だから、逆に本書が出たときのマスコミの身内びいきというか自画自賛みたいなべた褒めがあちこちから沸いて出てきたのはちょっと笑いました。「クライマーズ・ハイ」以来の重厚な作品!とか、作者は本書を書くために新聞社を辞めた!とか、すごすぎでしょう。

こうした手前味噌的な評価は脇に置いて

冷静に本書を見つめなおしてみましょう。
「まったく、おまえはジャーナルじゃねえな」が口癖の中央新聞の記者、関口豪太郎と、中堅記者の藤瀬祐里、整理部の松本博史の3人を中心にストーリーが展開されていきます。
3人は7年前の児童誘拐事件において、警察関係者の証言から「遺体で発見」との記事をリリースしたが、後に生存が確認され誤報となる。ただ、この事件では犯人が逮捕され死刑執行されたものの、実は複数犯による犯行だったのではないかとの見方が残されていた。そんな折に新たに連れ去り未遂事件が発生、目撃証言から乗用車の助手席にも人がいたとの情報が。新聞記者の活躍を描くミステリとして、かなり濃密な現場のシーンを描いてくれています。
特に圧巻なのは、警察の管理職への夜討ち朝駆けであるいわゆる「サツ回り」のシーンです。記者としての人間を売り込むことで情報を得る、信頼関係を築くことで書いても良い情報とそうでない情報を選り分ける。こうしたやりとりは昭和の時代に終わっているものだとばかり思っていましたが、そうではないみたいですね。泥臭い仕事と言ってしまえばそれまでですが、そこに真実があるなら突き進むのが真のジャーナリストであります。
本書は徹頭徹尾、新聞記者からの目線で描かれていますので、事件の真相に迫りつつもその目線は警察のそれとは違います。そのへんはある程度割り切らないといけません。しかし、登場人物の多さにもかかわらずそれなりにキャラクターを書き分けていることから読みやすいという点、事件へのアプローチが警察小説とは異なり新鮮である点、調査報道の大切さをしっかりと説いている点、新聞社の組織としての論理と記者の論理のぶつかり合い、などなど、これはなかなかに読ませる作品でありました。ディテールの細かさや臨場感といったところが

さすがに元記者なだけあってすごいです。

一方で、その細かな描写が仇となって、新聞記者は自分こそが正義だ!と思っている輩もたくさんいるというところまでリアルに描き過ぎているのが、読者的にはドン引きとなる一面もあるかもしれません。この主人公に共感できる人がどれだけいるのか分かりませんが、少なくとも自分は付き合いたくないですね笑





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2016年09月27日

書評746 誉田哲也「硝子の太陽Rouge」

こんにちは、曹源寺です。

25年もサラリーマンやっているといろいろと思うところはありますが、特に感じるのは「東京で働くことの意味」でしょうか。
いま東京一極集中が激しすぎて、通勤電車がハンパなく混んでいたり、地方都市の衰退が進んでいたり、と世の中が少しずつですが変化してきた結果、かなり歪な感じになってしまったようです。
自分の出身地は一応都心への通勤がギリで可能な場所ですが、人口流出が止まらず衰退傾向が強まっています。でも、地元産品は一応のブランドがあり、土地も安いので住むには良い街だと思っています。老後は地元に戻っても良いとさえ思っていますが、もしかしたら20年後くらいはもっと衰退した街になっているかもしれないと想像すると、ちょっと怖いですが。

その地元はいくつかの大きな製造業が撤退した影響を受けたこともありますが、都心までどうしても1時間以上はかかる立地という点もマイナスとなって、いま人口減少が続いています。地方活性化は政府の看板政策のひとつであるにもかかわらず、なかなか進んでいないどころか東京一極集中が加速している有様です。もういっそのこと、遷都でもしたら良いのではないかと思います。米国に倣って、政府機能を埼玉県の川越市あたりに移してはいかがでしょう。川越には「霞ヶ関駅」がありますのでちょうど良いと思います。

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内容(光文社HPより)
祖師谷で起きた一家惨殺事件。深い闇の中に、血の色の悪意が仄見えた。
捜査一課殺人班十一係姫川班。警部補に昇任した菊田が同じ班に入り、姫川を高く評価する林が統括主任として見守る。個性豊かな新班員たちとも、少しずつ打ち解けてきた。謎の多い凄惨な事件を前に、捜査は難航するが、闘志はみなぎっている。──そのはずだった。
日本で一番有名な女性刑事、姫川玲子。凶悪犯にも臆せず立ち向かう彼女は、やはり死に神なのか?


曹源寺評価★★★★★
光文社と中央公論新社でコラボ出版された硝子の太陽「N」と「R」。どちらを先に読んだほうが良いのか非常に悩むところですが、自分は「N」から読み始めました。結果的に良かったのかどうかは何とも言えません。
この「R」は姫川玲子シリーズですので、あのグロさ満点の「ストロベリーナイト」から続く

「グロ誉田」の真骨頂を行く描写が

所々にありますから注意が必要です。
「N」が沖縄の基地返還問題に絡めた殺人事件なら、本書は日米地位協定に絡めた猟奇殺人事件がテーマになっています。コラボ作品なだけに「N」とはあちこちで交錯しますが、ストーリー自体はそれほど複雑に絡んでいるわけではないです。新宿署の東警部補や小川巡査、「欠伸のリュウ」こと陣内陽一などは本書でも登場しますが、絡むのが姫川メインではなく「ガンテツ」こと勝俣警部補のほうというところもまた良い味付けになっています。東と勝俣の心理戦とかは大沢在昌センセーや佐々木譲センセーなど警察小説の大御所にまったく引けを取らない面白さである、と言っても良いと思います。
世田谷区の祖師谷で発生した一家連続殺人を追う姫川は、捜査途中で代々木のフリーライター殺人事件の捜査班に組み入れられる。この死んだフリーライターが「歌舞伎町セブン」の上岡慎介であり、祖師谷の事件発生現場で目撃されている人物であった。姫川はガンテツの仕込んだ罠によって代々木事件の本筋からは離れてしまうが、、、
「N」と「R」は事件が同時進行していくのですが、お互いが干渉することはあまり多くないです。ただ、どちらもシリーズものであり、強烈なキャラクターを持った登場人物が交差するわけですから、ワクワクしないわけがありません。本書は東警部補と勝俣警部補の駆け引きが秀逸です。しかし、それ以上に警察小説としての面白さが「R」にはあります。事件解決までのプロセスは秀逸です。特に後半、姫川が手繰り寄せた細い一本の糸からつながる過去の事件との関連、

昭島署の刑事達のアツい情熱にはグッとくるものがあります

また、犯人の正体もその確保も一筋縄ではいかないし、何より姫川玲子のメンタルが相当にヤバいラストですから、続きがどうしても気になります。
「N」も「R」もシリーズの続きを意識したラストで締めるなんて、誉田センセーったら本当に思わせぶりな方ですわ。





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2016年09月23日

書評745 誉田哲也「硝子の太陽Noir」

こんにちは、曹源寺です。

最近はヨーロッパ各国において移民問題(治安の悪化、失業率の増加、文化的衝突、など)が顕在化してきて、移民受け入れから真逆の動き(=移民拒絶)になりつつあります。
しかし、日本は逆にこれから移民を受け入れようとしているようで、本当に止めて欲しいです。
自分が移民受け入れ反対なのは、文化的衝突もさることながら、テロの危険増大が最大の理由です。人種差別とかではありません。いつも書いていますが、戦争よりもテロのほうがはるかに危険なのです。戦争にはルールがありますが、テロにルールはありません。テロはいつ発生するか分からないのです。日本をテロリストの温床にしてはいけないと思います。ただでさえ、スパイの温床なわけですから。

移民受け入れの背景には経済成長の鈍化と少子化がありますが、経済成長は人口が多少減少しても何とかなります。フランスやドイツが実際にそうですから。しかし、少子化は問題ですね。自分の職場には男女40名ほど在籍していますが、なんと、お子さんがいる家庭はこのうち8名だけです(!)非正規が7割ほどいるのでしょうがないといえばしょうがないのですが、アラフォー、アラフィフの未婚男性が7名、女性が6名もいます。結婚していなくても肩身の狭い思いをすることはありません。20年くらい前だと「お前、まだ結婚していないのか」と毎日のように責められました。それがパワハラとかセクハラではなくて当たり前の時代でした。今、そんなこと言おうものなら逆にパワハラだ!セクハラだ!訴えてやる!と言われること請け合いです。
それにしても、この非正規雇用の問題だけでなく、教育費の高騰、子育て環境の悪化、核家族の増加、東京一極集中、などなど、少子化につながる要因はかなり複雑に絡み合っているのでその解消は一筋縄ではいきそうにありません。どうしてこんな国になってしまったのでしょう。
やはり、「独身税」の導入と子育て環境の整備、最低賃金のアップあたりから手をつけていくしか方法がないのかもしれません。
少しずつでも前に進んでほしいものです。

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内容(中央公論新社HPより)
誰が、歌舞伎町セブンを売ったのか――? 特捜・姫川の訪問を受けた東警部補は、この国に仕掛けられた黒い罠を嗅ぎつける。〈ジウ〉サーガ×姫川玲子、二大人気シリーズが衝撃のコラボレーション!


曹源寺評価★★★★★
2016年5月に本書ともう一冊、「硝子の太陽Rouge」が同時発刊されました。本書は「ジウ」シリーズの系譜を継ぐもの、そしてもう一冊のほうが「姫川玲子」シリーズの系譜でありまして、同じような装丁になっています。本書の発行元が中央公論新社、「Rouge」のほうが光文社ですので、おなじような装丁で発刊されるというのはある意味奇蹟に近いですね。もちろん、読者としては大歓迎です。
ただ、この「ジウ」も「姫川玲子」も知らない御仁には本書の登場人物の半分も理解できないでしょうから、まずは「ストロベリーナイト」と「歌舞伎町セブン」の両方から読み直さないといけないでしょう。
この「N」の方は新宿署の東弘樹警部補と歌舞伎町セブンの「欠伸のリュウ」こと陣内陽一を中心に語られていきます。沖縄の基地移転問題と反対運動のなかに秘められた謎の取引や祖師谷一家殺害事件がうごめく中、セブンの一人であるフリーライター上岡が何者かにより殺害される。東警部補と陣内は共闘するのか。お互いが腹の探りあいをする緊張感溢れる間柄にしびれます。そしてセブン(一人欠けたけど)の必殺仕事人のような「仕事」っぷり。誉田センセーならではのグロ満載のシーン。どこまでもハードボイルドに突き進んでいく展開と、まだまだ続くぜジウシリーズ!と思わせるラスト。いくつかの謎を残していくあたりは

読者のことをよく考えているわ〜

と思います。
でも、こうした仕掛けをするからには、あまり間を空けないで欲しいものです。
5年くらい平気で待たせておいて、はい続編です!とばかりに出してくるセンセーもたまにいらっしゃいますので、お願いだからそういうのだけはご勘弁くださいまし。





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2016年07月05日

書評725 古野まほろ「新任巡査」

こんにちは、曹源寺です。

参院選真っ盛りですね。連日、8時になると選挙カーからやかましい連呼が鳴り響いてホントにウザイです。

でも公職選挙法で選挙カーでの連呼は禁じられていませんし、逆に選挙カーでの演説は禁止ですから、公職選挙法って何なのよという話になります。

先日の更新でも書きましたが、選挙公報とか本人のブログ、Facebookといったツールだけを眺めていては候補者の本質を測ることはできません。
自分は
・とにかくキーワードを入れて検索をかます(「候補者名 スペース 発言」とか「候補者 スペース 事件」とか)
・理念は無視する(障害者に優しい日本を、とか、立憲主義をうんたら、とか)
・政策の実現可能性を考える(実現に至るプロセスが明示されているか、とか)


ということをやっています。
わが東京選挙区はヤバイ人が多いので、候補者をきちんと見分けるには情報が不可欠なだけでなく、その情報を受け取った側もそれをきちんと分析することが求められます。大事な一票を無駄にしないよう、情報を取得・分析して理解するというプロセスをしっかりやっておきましょう。


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内容(新潮社HPより)
あなたは交番のことを、警察官というお仕事のことを、何も知らない――。
凡庸にして心優しい頼音(ライト)。ある能力を備えた男勝りの希(アキラ)。ふたりの新任巡査の配属先は駅の東と西にある交番だった。毎秒成長し続けなければ、警察官としてやっていけない――。元キャリアの著者にしか描きえない圧倒的ディテイル。深淵を知る者だからこそつける嘘。最前線をぶっちぎりでかけぬける、まったく新しい警察小説、誕生!


曹源寺評価★★★★
東大卒、国家公務員試験T種合格のキャリア警察官出身というとんでもないご経歴をお持ちのセンセーがこの古野センセーでいらっしゃいます。その古野センセーの著作は恥ずかしながら未読でありましたので、新刊を読むことにしました。
本書は653ページの大作です!普通なら上下巻にしてもおかしくはないボリュームです。タイトルのとおり、新入社員ならぬ新任警察官、しかも交番勤務からのノンキャリア巡査をリアリティたっぷりに書き上げておられます。
警察官ホヤホヤの新人を題材にした小説といえば長岡弘樹センセーの「教場」シリーズなどが有名ですが、本書はこのリアルっぷりが比類なき仕上がりになっています。交番勤務のイロハが本書にはぎっしりと詰まっていまして、職務質問のやり方とか巡回カードの書かせ方(!)とか、あるいは交番勤務における日常のノウハウとか、本当に細かなことまでびっしりと書かれていて、

これはまるでマニュアルではないか

とさえ思わせてくれるレベルです。
作りこみは、前半が教科書で後半が警察小説です。
後半のライトとアキラ二人による捜査はなかなかにいいコンビネーションを発揮していますので、やや固めの文体はやむなしとしても読み応えがあります。
最後もちょっとだけどんでんあり、お涙あり、で読後感すごく良いです。リアル警察官体験をしながら事件を解決に導くことができる小説なんて、本書のほかにあるでしょうか。職業小説であり青春小説であり、はたまた成長物語でもある、そんな作品でした。





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2016年05月31日

書評716 長谷川煕「崩壊 朝日新聞」

こんにちは、曹源寺です。

個人的な話になりますが、我が父母は数十年前、朝日新聞を購読しておりました。また、自分が小学生の時には「朝日小学生新聞」なるものを読まされておりました。「ジャンケンポン」という4コマ漫画が楽しみだった記憶があります。
おまけに、自分の育った街には米軍基地と海上自衛隊がありました。そんな環境で育てば、否が応にもリベラル思想にならざるを得ません。反動保守になったのは社会人になってからであります。
反動保守という人種がいますが、まさしく自分がそうです。ある日、突然180度変わるのです。なぜ変わるのかというと、自分の中にリベラルでは納得できない矛盾のようなものが蓄積されてきて、それがある日、保守の思想に触れてすべてに納得してしまうからです。「腑に落ちる」という言葉がありますが、まさにそれです。
まあ、父母も朝日読者でありながら中身は全然洗脳されていませんでしたので、それが良かったのかもしれませんが。
父「お前もようやく選挙権を持ったな」
俺「まあな」
父「公明党と共産党にだけは投票するなよ」
俺「ファ?」
父「問答無用な」
俺「(よく分からんけど)ラジャ」
みたいな会話があったのを思い出しましたわ。

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内容(WAC出版HPより)
(帯の文章)
慰安婦問題、なぜ開き直り続けたのか。
朝日新聞はこの時、崩壊した。
この本を書くために、私は「朝日」の記者を辞めました。
(著者)
長谷川煕(はせがわ・ひろし)
ジャーナリスト。1933年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学専攻卒。1961年に朝日新聞社入社。88年初めまで経済部など新聞の部門で取材、執筆し、次いで、創刊の週刊誌『AERA』に異動。93年に定年退社したが、その後もフリーの社外筆者などとして『AERA』で取材、執筆を2014年8月まで続ける。
1990年前後に、歴史的な転換をしつつあった東西ドイツなど中東欧諸国、旧ソ連内の各地、また北朝鮮に接する中国の延辺朝鮮族自治州などを取材した。
著書に『コメ国家黒書』『松岡利勝と「美しい日本」』『アメリカに問う大東亜戦争の責任』(以上、朝日新聞社)、『新幹線に乗れない』(築地書館)などがある。
※「ひろし」の本来の表記は「臣」+「己」+「灬」ですが、文字が使用できないので代替で「煕」を使用させて戴いております。


曹源寺評価★★★★★
朝日新聞といえば、最近は部数の落ち込みが最も激しく一部のネット民からは「捏造」「売国」のレッテルを貼られて蛇蝎のごとく忌み嫌われている新聞社であります。なにより決定的だったのは、従軍慰安婦問題で過去の報道が捏造であったことを認めた2014年8月の記事がリリースされたことで、植村隆のような元記者の主張が文字通り「崩壊」したにもかかわらず、依然としてその検証や訂正が積極的になされずに放置され、そればかりか「戦時中の人権侵害」とかいうわけの分からん問題にすり替えられていることでありましょう。
本書はこうした朝日新聞社の体質の根本に迫っていくノンフィクションであります。朝日新聞社に根強く残っている「マルクス主義」はまだしも、「感覚的に正しいと思ったら裏付けを取らない」とか「いち記者が書いた妄想的な記事を上司がスルーしまくって紙面に載る」とか、おいおい本当にお前ら新聞社なのか?と疑ってしまうレベルの悪しき体質が赤裸々に綴られています。
筆者は慶応大学から朝日新聞社に入社し、経済部やAERA編集部などを経て93年に定年、2014年に退職というご経歴です。つまり、朝日がこれまで捏造を続けてきた「靖国戦犯問題」や「従軍慰安婦問題」などが紙面を賑わせていた時代の真っ只中で社内にいた関係者でもあります。御年83歳、単行本を執筆される体力と筆力には頭が下がります。
筆者が本書で主張されていることの要点は、だいたいこんな感じです。

朝日新聞社はマルクス主義にまみれていて、それは今も昔も変わっていない
朝日新聞社は戦前から戦中にかけて、中国共産党やソ連を支援するために中国国民党との戦争継続をけしかけた
朝日新聞社は尾崎秀実のようなスパイを身内に抱えてソ連を支援していた
植村隆や松井やよりのような売国奴を生んだのもこうした社風の表れ

広岡知男や田中慎次郎、緒方竹虎といった歴代の経営陣についても触れていますが、筆者自身の回想もそれほど多くはなく、文献も断片的ですのであまり参考にはならないですね。むしろ、箱島信一とか渡辺誠毅とか一柳東一郎とかあるいは若宮啓文などもう少し現代に近い経営層の功罪について触れていただいたほうがよっぽどためになったのかもしれません。現在の朝日の社風がいかにして形成されたか、という点では欠かせない部分なのかもしれませんが、如何せん、古すぎです。
そう、本書の読後の一番大きな感想は

なんだか全部古いね

というものでした。書くのが遅すぎたのではないかと思うくらい古いですわ。90歳になる老人をつかまえてインタビューしようとしたり、故人のあら捜しをしたり、なんだかなー。本書の執筆のきっかけにしても、吉田清治の嘘に限らず慰安婦報道のおかしな点はいくつも語られてきましたし、慰安婦だけでなく南京事件の捏造に加担した本多勝一にしてもさまざまな媒体で嘘が暴かれてきた経緯があります。こうした他社報道に関して、朝日に籍を置いてきた人たちは何を思うのか。告発するならもっと早くやるべきではなかったか。冥土の土産にするだけなのであれば、それはあまりにも身勝手であるといわざるを得ません。
まあ、もちろん筆者に何らかの責任があるわけではありません。悪いのは植村隆であり、松井やよりであり、本多勝一であり、それ以上に歴代の経営陣が(作為の有無は別にしても)責任を負うべき話であります。一兵卒に責任を負わせるつもりはもとよりありません。

ところで、朝日新聞社の経営とか内実とかを糾弾した本はいくつも世に出回っていますが、元身内という人からの内部告発は少ないです。「朝日新聞 日本型組織の崩壊」(文春新書)は現役の記者が中心となって匿名で著していますが、内容は一般企業にはびこる大企業病のようなイメージで原因分析していますので、朝日特有の病巣に手を突っ込んでいるわけではありません。その他、
「『朝日新聞』問題」(集英社新書)
「虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造」(日新報道)
「朝日新聞と私の40年戦争」(PHP研究所)
「朝日新聞「大崩壊」の真相 なぜ「クオリティペーパー」は虚報に奔ったのか」(イースト・プレス)

などなど、分析本はたっくさん出ているのですが、これらは外部からの客観的な分析が中心です。

それにしてもすごいな。。。

ですから、本書は長年朝日新聞社に勤務したお人ならではの視点が盛り込まれていて、それはそれで貴重なものではないかと思うのです。
しかし、筆者の取材は読者をうならせるレベルであったかと問われると、必ずしもYes!とは言えないのではないかとも思うのです。社内にはびこるマルクス主義者をあぶりだした点は評価できますが、なぜ朝日は「正義を建前にして妄想記事、捏造記事を垂れ流しているのか」という、個人的な疑問については答えていないなあという印象です。それに、前述の「日本型組織の崩壊」では、朝日社内のイデオロギー病はそれほどでもなく、むしろマルキストなど少数派であると論じていましたので、果たしてどちらが本当なのでしょうか。





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2012年05月10日

書評383 誉田哲也「レイジ」

5月は花粉症が終わって暑くもなく寒くもない、最高の月かもしれないな〜なんて思っていましたが、今度は竜巻ですか。台風のほうがなんぼかマシなくらい、おっかない存在ですね。これは気をつけましょうと言ってみても、じゃあどうやって気をつけるんかいな?というくらい唐突で、破壊力もハンパないですから、アメリカみたいに地下室でも作って逃げ込むしかないのかもしれないですね。
でも地下室ってどうなんですかね?ガレキが上に残ってしまったら地上に出られないですよね。津波に備えて地下室を作ろうとしている自治体があるそうですが、もし船でも上に乗っかろうものなら2ヵ月くらい出られないんじゃないですかね。

内容(文藝春秋HPより)
剣道女子2人から、今度は音楽男子2人の青春小説だ!
孤高の礼二と世渡り上手な航(わたる)。2人が初めて組んだバンドは成功を収めるが、それ以降互いに意識しつつも歩み寄れず、やがて……
音楽の才能は普通だが世渡り上手なワタルと、才能に恵まれるも、孤独に苦しみ続ける礼二。2人は中学最後の文化祭でバンドを組み、大成功を収めるが、礼二の突然の脱退宣言によりバンドは空中分解する。その後2人はお互いを意識しつつも相容れないまま別々の道へ。紆余曲折を経て、礼二がようやく巡り合った理想のバンドがある事件に巻き込まれてしまい……。武士道シリーズで女子を描いた著者が、今度はロックする2人の男を時代の変遷とともに描いた音楽青春小説です。






曹源寺評価★★★★
誉田センセーはスカッとするくらい清冽な青春小説を描く一方で、ドロドロした猟奇的な殺人事件も描く方でいらっしゃいます(前者を「白誉田」後者を「黒誉田」というらしいですwww)。本書は白誉田に属する青春小説でありますが、ジャンルは音楽なのでとっつきにくい人も多いかもしれません。かく言う自分は小中学生時代の音楽こそ優秀(!?)でしたが、別に絶対音感があるわけではなく、楽器を演奏できるわけでもないので、専門的な用語の羅列にはちょっとついていけないところもあります。
しかし、全体のトーンは非常に何というか熱を帯びているというか、読んでいてだんだん何かが漲ってくるような感じを受けました。これぞ誉田青春小説!みたいな感じでしょうか。まあ、青春といっても最後の方はアラサーですから、

いい年こいたおっさん達がなにしてるん?

という感想もありそうです。
舞台が80年代から2000年代の設定で、ちょうど音楽業界がニューミュージック→ロック→イカ天ブーム→小室サウンド→ラップという変遷を経て、凋落への道を進んでいった時代でもありますので、こうした時代背景も的確に捉えつつ、登場人物の音楽性やポリシー、音楽への情熱みたいなものが混ざり合ってドラマが生まれているというのが非常に良く分かる展開になっています。このへんは本当にうまいな〜と思います。
軽く読めるし、音楽に造詣の深い人なら間違いなく嵌るし、音楽に詳しくなくてもドラマに引き込まれるしで、これ相当よくできてませんか?






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2012年02月21日

書評367 誉田哲也「ドルチェ」

例年、2月も3週目くらいになると思いっきり花粉症の症状がでているんですが、今年はまだそれほどでもないですね。だいたいいつも眼から攻撃されるので、けっこう敏感なんですが。
でも、少しずつ暖かくなってくるのが分かります。春はもうすぐそこまで〜 恋はいま終わった〜♪ってチューリップだっけか?あぁ、歌詞なんか書いたらJASRACから請求書が届いちゃうかしら?

内容(新潮社HPより)
まだ生きている誰かのために。それが、不器用な女刑事の決めたルール。
彼女が捜査一課に戻らぬ理由。それは人が殺されて始まる捜査より、誰かが死ぬ前の事件に係わりたいから。誰かが生きていることが喜びだから――。練馬署強行犯係・魚住久江。本部復帰を断り続け、所轄を渡って四十二歳。子なし、バツなし、いまどき肩身の狭い喫煙者……。タフだけれど生き方下手な女刑事が駆ける新シリーズ!






曹源寺評価★★★★★
読書ジャンルが偏っている自分は皆川博子さんという作家先生を寡聞にして知りませんでしたが、作家歴40年を超える大ベテランでいらっしゃいます。自分の不勉強を恥じるばかりです。

しかも御年81歳!

曹源寺評価★★★★
誉田氏の作品はなにげに高い評価だったりしますな。「ストロベリーナイト」もそうだし、「武士道シックスティーン」もそうだし。映像化しやすいのかもしれないですね。
本書は42歳の独身女刑事という設定の短編集です。結婚しそうになった同僚刑事も登場しつつ、仕事と人生観の狭間で揺れ動く女心を織り交ぜて、いわゆる所轄署の刑事の取り組みとか矜持とか活躍とか悩みとか、いろんなものが混ざっていて、それでいてストーリーもよくできていて、なかなかに興味深い作品であります。所轄のアラフォーの女性刑事という設定自体、乃南アサか柴田よしきくらいしか採用しないような設定ではないでしょうか?
誉田氏の警察小説といえば、「ストロベリーナイト」をはじめとした姫川玲子シリーズですが、あんなにドロドロしていません。本書はどちらかというと猟奇殺人もなければ緊迫したタイムリミットもないので、軽いテイストで読めるのがいいですね。まあ、軽すぎて物足りないという人はいると思いますが。
そして、主人公魚住が考える刑事像がいいんですよ。警視庁捜査一課にもいた経験がありながら、所轄にとどまる彼女は「誰かの死の謎を解き明かすことより、誰かが生きていてくれることに、喜びを感じるようになった」という彼女なりの刑事観によります。花形部署で神経をすり減らすよりも、別の形で世の中に貢献しようとするその矜持にちょっと惹かれました。
ただ、名前が魚住久江だから

ちょっと古めかしいわい

外見に対する描写もないので、

美人なのかブスなのか

分からないんです。心の中で映像化しようとしても、ピッタリはまる女優さんがいないんですね。誰が演じたら似合うでしょうか。42歳独身。うーん、難しいわ。








曹源寺評価★★★★★
読書ジャンルが偏っている自分は皆川博子さんという作家先生を寡聞にして知りませんでしたが、作家歴40年を超える大ベテランでいらっしゃいます。自分の不勉強を恥じるばかりです。

しかも御年81歳!

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2012年02月06日

書評364 ロン・ポール「他人の金で生きているアメリカ人に告ぐ」

またしても日経から
「米、「軽廃止」の対日要求撤回 TPP進展にらむ」
ようするに、TPPを締結するにあたって、日本が市場開放の障壁となっている軽自動車の枠をなくせ!と言ってきていたわけですが、米国はこれを取り下げたという報道です。
7日からはワシントンでTPP事前交渉が始まるらしいのですが、つまり「先に要求を取り下げてやったんだから、これとこれの条件は飲めよな!」と言ってくる可能性が大なわけです。
軽自動車が米国からの自動車輸入の障壁になっているなんて、いちゃもんもいいところですが、恐らく真意はこういうことだと思います。
「軽自動車という規格が米国製自動車の参入障壁になっているとは思わないけど、とりあえず一度要求してみようか。日本がNOといえば取り下げて、その代わり金融市場と農産物市場を狙おう。俺たちだって軽自動車が障壁だとは思っていないし、なあに、一度NOと言えば相手は借りを作った気分になるから、どんどん攻めるぞ」
なんだか陰謀論みたいですね。憶測もいい加減にしろって感じですかね。
しかしですね、かの名著「影響力の武器」にもあるとおり、これは「返報性の原理」の応用ですね。つまり「断られたら譲歩」というやつです、はい。
相手が無茶な要求を続けていても、全部断ってください。相手に少しでも情けをかけてはいけません。相手は自分の無茶を知っていて、それでも要求しているのですから。


内容(成甲書房HPより)
政府は国民のためにあるという神話は崩れ去った。政治権力・官僚機構とごく一部の受益企業群との結託が、国民に塗炭の苦しみを味わわせる。日本人はその歴史上最も顕著な実例を目の当たりにしている。震災復興にとっても大きな指針となる、リバータリアニズム政治思想の神髄。
「本書は、現在アメリカで一大旋風を巻き起こしているリバータリアニズム思想運動の旗手、ロン・ポール連邦下院議員の政治思想書であり、現実政治への宣言文 である。ここには『反・官僚支配、反・重税国家、反・金融統制、反・過剰福祉』という明確なメッセージがある。これらはいずれも、現在の日本にとっても重要な課題である。ロン・ポールの本書での主張は、そのまま日本への政策提言(ポリシー・メイキング)である」──副島隆彦






曹源寺評価★★★★
米大統領選挙に立候補中のロン・ポール氏の著作です。ロン・ポール氏はいわゆる泡沫候補扱いされていますので、日本ではあまり注目されることがないお方ですが、なにやら他の候補よりも年上にもかかわらず先鋭的な主張で若者からの人気が絶大であるという記事をどこかで読み、興味を持っていました。
氏の主張はきわめて明快であります。それは「小さな政府」によるコンパクトな政権運営です。世界の警察を自認する軍隊は「国益のない場所に駐留する必要なし」として縮小を唱え、「税金とは国家による収奪」であるとして「税金を限りなくゼロに近づける努力をすべき」と主張されます。
また、徹底的な規制廃止論者で「特定業界への過度な干渉は国民を不幸にする」として、自由貿易と公正な競争により健全な社会を生み出すべきと主張されています。
米国内ではこうした立場を「リバータリアニズム」と称しているようで、共和党のなかでもだいぶ毛色の違うというか、より原理的な主張になっているようです。簡単に言うと「ティーパーティーの過激なやつ」といった感じでしょうか。
しかし、さらっと読むと面白いのですが、言っていることは

かなり極論

なのでよーく読むとちょっと引いてしまいます。
特に日本はむかーしから、「お上」意識が根強く残っているためでしょうか、年貢を納めないヤツは人にあらずといった風土がありますので、税金=国家による泥棒行為という図式があまりピンとこないと思われます。また、特定業界による過度な規制なんてのは「陳情」が常態化している日本ではイコール票田を失うことになりますので、これもありえないでしょう。つまり、国家としての風土の違いを鑑みると日本ではおよそ現実的ではない主張、ということになってしまうわけです。
でもですね、よくよく考えてみると、こうした主張は

日本こそ再考すべき

ではないかとも思えるのです。日本は他国より所得税が高く消費税が低いですが、所得税減税という主張をする議員はあまりいません。小さな政府を掲げるのは知事や地方議員レベルにとどまっています。イランへの経済制裁を激しく非難する声は国会議員からは聞こえません。取りやすいところから取る税金、時代錯誤の公務員優遇、米国追従の外交防衛、、、いい加減に仕組み自体から見直したほうがいいのではないかと思える政策は山ほどありますが、日本には哀しいかな、ポール氏のような頑固親父がいません。誰かこんな政策を掲げる人が出てこないかなあと思いました。
それに、在日米軍の完全撤退などを主張されているにもかかわらず、日本の左翼勢力があまりポール氏を話題に取り上げないのはどういうことでしょうか?沖縄にでも呼んで講演してもらえばいいんじゃないの?共和党だからダメなの?良く分かりません。
それに本書の監修が副島隆彦というのがちょっと・・・しかもなにこのはじめにの文章・・・何という上から目線・・・さすがに引くわ・・・








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2012年01月05日

書評358 樋口有介「ピース」

あけおめ、ことよろです。
正月早々、震度4ですよ。初詣の最中だったので神社のガラスがピシピシと鳴ってちょっと怖かったわ。年末から1月にかけて関東地方は地震に注意だそうなので、気をつけましょう。
まあ、それは良いとして、新年は相変わらず両家の一同がそれぞれ集まりまして、6日間の休暇があっという間に終了します。年に一度だけでもこうやって顔を合わせるのはいいことですね。こうやって来年もまたみんな元気に集まることができればいいのだ、としみじみ思います。
こんなのもありました。
NHKブログ 『"絆志向"か 正月の同窓会が急増』
http://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/700/105425.html
みんな感じていることは同じですね。

内容(中央公論新社HPより)
連続バラバラ殺人事件に翻弄される警察。犯行現場に「平和」は戻るのか。いくつかの「断片」から浮かび上がる犯人。事件は「ピース」から始まった!?






曹源寺評価★★★★
初版が2009年2月で、文庫が2011年5月のやつですが、なんだか文庫でエライ売れているということなので読んでみましたよ。
舞台は秩父で、東京の歯科医と秩父に移住しはじめた元ピアニストが相次いでバラバラにされるという連続殺人事件が発生。警察の捜査にもかかわらず3件目が発生するが、地元の農家の独身青年ということで、無差別殺人の様相を呈するものの、そこには意外な接点があった――というのが事件の大筋です。そして、その秘密はタイトルの「ピース」にあったわけです。読み返して表紙をもう一度見ると、あぁ、なんということだ。つまりこういうことだったのか!とうなずかざるを得ないのです。うーん、なんという構図。

読み終えてから表紙を見て寒気を覚える

なんて、これまで多くの本を読んできましたが初めての経験です。
この被害者同士の接点が途中まではほとんどわかりませんし、読者をミスリードする仕掛けがありますので、ある意味(帯にも記載されている)「どんでん返し」があるにはありますが、このどんでん返しがすごいというのではないですね。これくらいのどんでんではもうだれも驚かない。それに、ラストの描写はかなり淡々としていて、犯人の行く末やその後の刑事のセリフなどはクライマックスとは思えないほど朴訥としていて(秩父訛りがそうさせているというのもありますが)、盛り上がって終わるオーケストラのようなラストではなく、妙な余韻を残すアカペラのようなラストとも言うべき作品に仕上がっています(うーん、自分で書いていて微妙な表現だなぁ)。
ミステリとしてはかなり秀逸な出来だと思います。
思いますが、回収し切れていない伏線がいくつか散見されるのがちょっと残念です。梢路はなぜ過去の事件を起こしたのか?とか、その同級生であるアル中みたいな女は何だったのか?とか、なぜバラバラ殺人でなくてはならなかったのか?とか、なぜ20年以上前の出来事が今になって殺人というかたちで決着しなければならなかったのか?とか。まぁ、細かいこと気にしなければ面白い作品です。








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2011年10月21日

書評345 誉田哲也「感染遊戯」

天高く馬肥ゆる秋。自分も肥えてしまいましたよ。健康診断で久々に体重計乗ったら、これヤバイ。マジでヤバイよヤバイ。ヤバイったらヤバイ。というレベルでしたわ。
ということで、夜のお酒を控え、夕飯も少なめという食生活に切り替えました。まだ2日ですが。
果たして効果が現れるのか?とりあえず2週間くらいやってみっか。

内容(光文社HPより)
『ストロベリーナイト』のガンテツ。
『シンメトリー』/「過ぎた正義」の倉田。
そして、捜査一課姫川班最若手だった葉山。
捜査一課殺人犯捜査係のガンテツこと勝俣健作が手がけた、製薬会社サラリーマンの殺人事件。
息子の起こした殺人事件によって刑事の職を追われる直前、倉田修二がかかわることになった、二人の男女を襲った路上殺傷事件。
姫川玲子班解体直前、殺人犯捜査第十係に所属していた葉山則之が担当した、世田谷の老人同士の小競り合い。
事件の規模も様相もさまざまだが、共通している点が、ひとつあった。
それは、被害者の個人情報を、犯人は何らかの手段で手に入れているらしきこと。
事件の背後には何があるのか!?






曹源寺評価★★★★★
「姫川玲子シリーズ」の最新作ということになりますが、肝心の姫川はチョイ役でしか登場せず、その代わりガンテツこと勝俣刑事が主役の、いわばスピンオフ作品であります。
勝俣だけではなく、葉山や倉田といった、別の作品でも登場する刑事も登場しますが、警視庁捜査一課ではない方もいて、なんだかよく分かりません。チーム解体後の話みたいですが、時系列的になんだかずれているようないないような。
しかも、読み進めると短編!?のようであり、実は短編ではなかったという形式。複数の事件があり、それらはすべて一本の線で結ばれていた!というのは結構好きなタイプです。
テーマはインターネットの闇(これホント好きだね〜)と官僚の腐敗。官僚の腐敗はいまさら感がなきにしもあらずと思ったら大間違いで、

もしかしたらこんな事件が本当に発生するんじゃないの?

というリアル感がまたいいですね。霞ヶ関にサリンを撒こうとしたオウム真理教はまったく擁護できませんが、「こいつら死ねばいいのに」と思うような腐敗まみれの事件ってありますよね。国民の血税をなんだと思っていやがるんだー!みたいな。誰も責任を取らない組織ってホント腐ってやがる、みたいな。
特にこれだけ経済格差が社会問題化されると、公務員の優遇状態が嫌が応にも目立つわけでして、加藤智大みたいな犯罪者がネットで洗脳状態にされて犯行に及ぶことが十分に想定できてしまいます。なんでこんな世の中になってしまったんでしょうね。日本ほど格差の少ない社会は北欧でもないんじゃないでしょうかと思っていましたが、実はもう違うのでは?と思い直すようになりました。こうなると、これまで職業を身分と勘違いしていたような官僚や、東電とかテレビ局のような護送船団方式(=競争のない業界)でぬくぬくと育ってきた企業などは、ウオール街のようにデモの標的にされる日も近いでしょうね。あ、もうフジテレビはデモされまくっているか。
それはさておき(多少ネタバレで)、ネットで「晒す」だけで殺人や傷害事件を発生させることが、果たして本当に可能かどうか、どこかの社会学や心理学の先生にでも実験していただきたいものであります。もし可能ということであれば、ネットによる個人の情報発信は洗脳の元になるから禁止!というような世の中になるかもしれませんが。








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2011年09月27日

書評340 原英史「官僚のレトリック」

毎年9月は15日くらいまで暑い日がありますが、下旬ともなるとやはり涼しくなりますね。毎年この時期にテニスの試合がありますが、上旬にシングルスをやるのはホント勘弁して欲しいわ。

それにしても、世界経済ヤバイねー。円とスイスフランとポンドくらいしか安全な通貨がないというのもスゴイけれど、ユーロより先にウォンが死にそうになっていたりしてもう、何がなんだかよく分かりません。

内容(新潮社HPより)
政治家を手玉に取る言葉と論理のマジックが、この国をどんどん歪めていく!
「脱官僚」を高らかに宣言して政権を獲った民主党が、いまや天下りを乱発し、官僚依存にひた走る。この逆転現象は、どこで仕組まれたのか? 介在した「レトリックの罠」とは何か? 元行革大臣補佐官が、霞が関の官僚たちが駆使する“言葉と論理のマジック”をいま初めて明らかにし、改革がいかに歪められてきたかを暴く!






曹源寺評価★★★★
「日本中枢の崩壊」を読んで、この国のかたちというか行政のあり方というものについて考えさせられましたので、同じく旧通産省出身の方の著書なぞを漁ってみました。この原英史というお方の経歴は、それはもう華々しい限りですが、現在も「政策工房」というシンクタンクを立ち上げて活躍されていらっしゃいます。
原氏が本書で記したのは、福田政権前後からの規制緩和や公務員改革制度における官僚の「修辞学」であります。曰く、「○○を実施する」と明記すれば、それは○○以外はやらなくて良いという意味であり、「△△等に適用する」と記載すれば、それは「△△以外のものにも適用できる」というロジックであります。「等」の一文字を入れるか入れないかで紛糾することもあるそうですから、そんな修辞学やってないでさっさと決めろや!みたいな場面も多いのではないでしょうかと勝手に推測。
改革派と呼ばれる方々の多くは結局、高橋洋一氏やこの原氏、そして古賀氏のように霞ヶ関を去ってゆくわけで、細かい見直しはあっても「改革」と呼べるほどの仕組み替えは実施されないまま現在に至っているということが、本書を読むと良く分かります。
多くの人が疑問に思っていることは、政治家がだらしなくて官僚がイニシアティブを握っているという現状にも納得していないが、それ以上に納得できないのは、霞ヶ関自体が巨大なシンクタンクとなっていて、既得権を維持しながら政治家を操っているという現状、ではないでしょうか。政権が交代したらバックヤードも全員退出するような米国のスタイルを踏襲しようとしたら、霞ヶ関以外の政策集団の必要性が高まってくると思われますが、如何せん、そこまで考えている政治家の何と少ないことかと。
古賀氏の件(昨日退職されたとニュースがありました)も、

「ヤツを要職に就けたりしたら大変なことになりますよ」

という(言外に込めた)メッセージに政治家が屈したということでありましょう。民主党では改革ができないという証明にもなりましたので、ここはみんなの党あたりが本気で政権を取りに行ったほうが少しは変わるのかなあという空気が醸成されそうな雰囲気ですね。
だいぶ話が逸れましたが、本書は読みやすいし、自民政権から民主政権に移行する際の裏側の動きなども知ることができてかなりためになる本であることは間違いないです。








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2011年08月24日

書評334 東野圭吾「プラチナデータ」

特別な紙を抄造していただいている、富士山の麓にある製紙工場に見学に行ったんですが、紙の業界というのはホントに昔から変わっていなくて、パルプを細かくして薬品を加えたらそれを平らに敷いて乾燥させる、という工程なんですね。どんなに設備が近代化されていても、やっていることは昔と同じです。自分が見に行ったのは古い設備ですので、乾燥工程とか外から丸見えなんです(だからむちゃくちゃ暑い!)が、最新鋭のマシンだと業界の人曰く
「船ですよ」
「??どういう意味ですのん?」
「いや、もう外から見たら船みたいにデカイんですよ。船体を外から見るような感じで。ですから中で今どうなっているとか全然分かりません」
「じゃあ、最新鋭のマシンって見ても意味ないんですか?」
「全然ないです」
ということでした。まあ、古いマシンのほうが機械だーっ!って感じでいいですね。
最近はテレビでも工場見学のクイズがやたらありますが、紙の製造工程はあまりクイズにならないですね。そりゃそうか。


内容(幻冬舎HPより)
男は優秀な科学者だった。連続殺人犯のDNAが、自分と一致するまでは――。信じられるのは、科学か、自分自身か? 確信は疑念に、追う者は追われる者に。すべての謎は、DNAが解決する。






曹源寺評価★★★★★
DNAの解析によって、年齢や性別はおろか、身長や容姿までが判別できるようになったら――という管理社会のシミュレーション小説みたいなミステリが、本作であります。あらすじは、科警研の中に設置された特殊解析研究所が新たに開発したDNAプロファイリングシステムによって、現場に残された遺留物からDNAを解析すれば犯人像が高精度で判明するようになり、捜査現場ではDNA偏重主義がまかり通るようになる。しかし、連続殺人事件の犯人が残したDNAは、既存のデータベースとマッチングさせても判明しない「NotFound」なデータ、NF13なるDNAであった。なぜNF13はマッチングしないのか?そして、このシステムを作り上げた兄妹が謎の死を遂げる。残された研究員の神楽龍平も指名手配され、神楽は逃亡を図る。謎をいっぱい残しながらも、テンポの良い仕上がりでラストまで一気に読ませてくれます。
しかしですね、

なんだか腑に落ちない

点がいっぱいあるんですよ。細かいところが気になって、結構良い読後感がスポイルされてしまいました。
結局、スズランとは何者だったのか?という点については、ほとんど解説のないままであったり、リュウが描いた「両手」の絵の意味と途中に挟み込まれた過去の記憶がなんとなくアンマッチ(なんでろくろを回す手が自分の首を絞めてくるの?)だったり、神楽龍平の精神状態もなんとなく中途半端だったりと、消化不良のネタがいっぱいあって、やっつけ仕事だとか手抜き作品だとか言われてもしょうがないのではないかと思いました。








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2011年07月25日

書評326 早瀬乱「エコーズ」

先週は近所の学校の前で小さなお子さんと一緒に歩いていた主婦と思しき女性が急に倒れて、救急車で運ばれていきました。安否は不明ですが、某大企業の系列企業で社長業をされている方のお宅でしたので、娘さんか、あるいはお嫁さんではないかと思われ。救急車で運ばれた時は心肺停止状態でしたのでちょっと心配です。

さらに、娘の学校の先生が急死ですよ。夏休み直前で。まだ40歳くらいみたいだし、バリバリの現役だし。
先の大震災では親類も知り合いも死人が出ませんでしたが、最近になって身近な「死」が急速に増えているような気がします。

上の主婦の現場にはヨメがばったり出くわしましたが、ヨメはなんだか動揺してしまい、「何にもできなかったorz」と自分を責める始末。「ほかにも人いたんでしょ?」と聞くと「数人来ていて、心臓マッサージもやってたし救急車も来るのを待っていた」「じゃああとはAEDくらいじゃね?」「AED使い方わかんなかったorz ウエーン・゚・(つд∩)・゚・」
うーん。自分が第一発見者ならともかく、そうでないならできることも限られると思うのだが、責任を感じる筋合いではないだろうにどうしてココまで感受性が強いのかねぇ。というか、もしかしたら自分のほうが冷血漢なのでは?と思ってしまうんだが。まあ、恐らく自分も現場に直面していたら冷静ではいられない自信があるわ。


内容(角川書店HPより)
あのころ夢見た未来はどこに行ったんだろう?
未来がまだ輝きを保っていたころ、別の生き物になることを願って進化の素 「ロータス」を口にした少年たち。忌まわしい記憶とともに封印された物語は新たな少年たちに引き継がれ、半世紀の時をこえて響きあう。






曹源寺評価★★★★★
乱歩賞作家の早瀬乱氏が522ページにのぼる大作を仕上げてきました。しかも2段組だから原稿用紙で2,000枚くらいいくんじゃないですか。読了するまでにまるまる2週間かかりましたよ。間に別の本を読みながらですけど。
絶滅する最後の動物が死ぬ間際に吐き出す透明なジェル『ロータス』を口にすると、新しい生物になれるというSF小説「ロータス・イーターズ」を読んだ少年が、仲間とともに本物のロータスを捜し求め、ある事件が発生する。昭和30年代と21世紀初頭、二つの時代を超えて「ロータス・イーターズ」を背景に少年たちが動き出す、というお話。
うーん、面白いんだが面白くないんだか、良く分からないです。読み終えても良く分からない。決して読みやすくはない文章だし、ハラハラドキドキの展開ではないし、冗長とも思える表現はいっぱいあるしで、読み物としての完成度は決して高くはないと思います。これほど長い作品を読み終えたにもかかわらず、

「あー終わったー」という感想でしかない

のも珍しいです。
しかも、ミステリなのかSFなのか、それとも青春小説なのか、判然としません。いや、SFではないな。やっぱりミステリかな。ラストもなんとなく謎を残していますので、よく言えば想像が広がります。悪く言えば消化不良、糞詰まり。
でも、冒頭の「ロータス・イーターズ」は面白いんです。なんだか本当に昭和30年代に実在したかのようなSF小説になっています。あぁ、そういえばレイ・ブラッドベリとかジェイムズ・P・ホーガンとかいたなあ。ちょっと懐古趣味的ではありますが、そんな気分にさせてくれます。本当に「ロータス」なるものがあったら面白いですし、もし自分が好奇心と時間を持て余す子供であったならロータスを探しに行くかもしれないなあ、なんて思ったりもします。
だから、SF好きなら「ロータス・イーターズ」だけでも読むと良いかもしれません。自分はそれほどSF好きではなかったですし、今でもそうです。でも、進化論には興味津々で「幼形成熟」(ネオテニー)とか「ネオ・ダーウィニズム」とかでてくるとワクワクしていまいます。人間はダーウィンの言うとおり、本当に「突然変異」と「自然淘汰」によって今のかたちに進化してきたのか?今でも疑問に思いますが、足の裏の皮が厚いのは「突然」生まれた個体がたまたま「生き残った」ために現在の人間がみな足の裏の皮が厚くなっている、というのは、ちょっと無理ないですか? 眼のような精密な器官も偶然発生して適応できなかった種が自然に淘汰されてできたという説に収斂してしまうと、かえって自然の偉大さに愕然としてしまうわけでして、つまり何が言いたいかというと、ダーウィンの説に従うと、この世はすべて偶然の産物ですよ、ということになってしまうのが気に入らない。ということになりましょうか。まあ、この話は長くなるのでこの辺で。








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2011年06月02日

書評312 東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」

「この震災という一大事に、倒閣だなんだと政局にしてしまっているのはけしからん」という論調がありますが、そもそもこのタイミングで倒閣運動になっているのは「この一大事に何の政策も打てずに国民を危機に陥れている内閣だから交代してくれ」と言っているわけでして、「復興のために力を合わせなければならない」という点においては一致しているわけであります。

つまり、これは反論になっていないということになります。

国旗掲揚、国歌斉唱で起立しない教師の言い分も「愛国心の強制はよくない」とか「思想の自由に反している」といった理由を口にしていますが、こんなのは愛国心だとか思想の自由といった以前の問題であります。つまり、礼儀や道徳の範疇であります。

つまり、これは論点のすり替えにほかなりません。

理詰めで考えればフツーに分かることですが、天下の大新聞や弁護士センセーがこうした詭弁を論じていることで多くの人たちが誘導されてしまっていることに違和感を禁じえません。頭の良い中学生や高校生は「大人ってバカだねー」とか思っているのではないかと心配します。


内容(小学館HPより)
執事とお嬢様刑事が、6つの事件を名推理!
ミステリ界に新たなヒーロー誕生! 主人公は、国立署の新米警部である宝生麗子ですが、彼女と事件の話をするうちに真犯人を特定するのは、なんと日本初!?の安楽椅子探偵、執事の影山です。
彼は、いくつもの企業を擁する世界的に有名な「宝生グループ」、宝生家のお嬢様麗子のお抱え運転手です。本当は、プロの探偵か野球選手になりたかったという影山は、謎を解明しない麗子に時に容赦ない暴言を吐きながら、事件の核心に迫っていきます。
本格ものの謎解きを満喫でき、ユーモアたっぷりのふたりの掛け合いが楽しい連作ミステリです。






曹源寺評価★★★★★
「2011年本屋大賞」だそうで。100万部突破だそうで。すごいすなあ。いまのトレンドはこういう軽いミステリが主流なんですかねえ。
正直、ライノベのレベルだなあ。さらっと読めるのは良いし、お嬢様麗子と執事影山のかけ合いは確かに斬新で面白いです。でもね、謎解きに終始しているから物語としては読めないし、登場人物を書き分けたところで(あるいは悪人を悪人っぽく描いたところで)、

謎解きが終わってしまえば何の意味もなくなってしまう

わけで、自分にはこういう本は合わないっす。
なんて言いながら、続編が出たら読んでしまいそうな自分がいてワロタwww








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2011年05月17日

書評308 樋口有介「刑事さん、さようなら」

ユーロヤバイと思っていたら、いつの間にか米国債もヤバかった。。。

ロイター「米債務は16日の国債発行で上限に=財務長官」
ガイトナー米財務長官は16日、議会指導部に宛てた書簡のなかで、米国の債務が16日の国債発行をもって上限に達することに伴い、特別措置として政府年金基金への資金拠出を差し止める方針を示した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21128620110516

これで徳政令でも出された日にゃ、日本が抱える米国債が紙くず→日本オワタ になってしまいまつがね。償還できないならアラスカとハワイをもらって油田開発と観光収入で賄うってか。
それにしても、ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、スペイン、それにアメリカと、信用不安の国がこれでもかと出てくるのは一体どういうわけよ。資本主義って制度として欠陥なのかねえ。


内容(中央公論新社HPより)
首を吊った警官、河原で殺された風俗ライター。二人をつなぐ“女A”を追い続ける警部補が行き着いたのは、寂れた歓楽街の焼き肉屋だった……。美しくも哀しき愛の物語






曹源寺評価★★★★
初動捜査の失敗で真犯人を見過ごし、これが警察の失点となるのを防ぐために工作し、年下の婦人警官と浮気して、捜査費をごまかして捻出した裏金を使って部下と本庁を抱き込む。これらの行動がごく普通に描かれていながら、本書に登場する刑事は善人のように思い込まされるという著者の筆力にやられました。捜査活動と同じように、刑事の日常的な行動として当たり前のように描かれているもんだから、この刑事が事件の核心に迫る動きに惑わされました。以下、ネタバレ
んなもんだから、最後の方でこの刑事が「さようなら、刑事さん」と言われるのが結構ショッキングだったんですが、読後しばらくしてから「あぁ、そういえばこの刑事は考えてみれば悪徳刑事だねぇ。いや、悪徳というほどではないにせよ、日本じゅうの刑事の姿なのかもしれないねえ」などと思ったりもします。
なぜ部下だった警察官が自殺などしたのかという冒頭の事件までもが、最後にひとつの太い線となってつながっていくわけですが、そこに

高知白バイ衝突死事故

を髣髴とさせる背景などが加わり、まるで東直己氏のような反権力的作品に仕上がっています。
異なる2つの場面を最後に融合させるという手法はありがちといえばありがちですが、これを唐突にやっておきながらきちんと整合性を取るというのはなかなかできることではないのかもしれません。その意味では、本書は技巧が冴えていると言っても良いかと思います。








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2011年05月11日

書評307 誉田哲也「歌舞伎町セブン」

そういえば、昔大学生だったころに広瀬隆の著書を結構読んだりしていましたが、今思えば広瀬氏の見解は正しかったなぁ。「ジキル博士のハイドを探せ」は福島県出身の法学部のヤツから借りたまんま返さずにどこかにやってしまったのを思い出した。。。すまぬ、すまぬ、、、

広瀬氏、年取ったなあ
http://www.videonews.com/interviews/001999/001771.php

佐野元春は「警告どおり計画どおり」という歌を歌っていましたが、あまり注目されていませんね。「ウィンズケール スリーマイルズ・アイランド チェルノブイリ すべては警告どおり」なんて歌詞だったと思いまつが、これの最後が「すべては計画どおり」に変わるのでけっこう怖い歌詞なんですが。

内容(中央公論新社HPより)
それは現実か、都市伝説か――。巨大な憎悪が降り注ぎ、崩壊に直面するこの街と愛しき住人たちを守るために彼らは、現れた。運命と絆が交錯するラスト! 誉田ワールドの集大成!! 






曹源寺評価★★★★★
新宿・歌舞伎町を舞台にしたアンダーグラウンドな小説です。20年前に活躍(暗躍)したとされる伝説の殺し屋(いや、始末屋というか、必殺仕事人)の存在があった。歌舞伎町セブンは本当に実在したのか?彼らの目的とは?なぜ今この名前が出てきたのか?謎を引っ張るテクニックはさすがで、途中まではかなり惹きこまれましたが、最後のほうはなんだかきれいに収まっていなくてちょっと拍子抜けです。
ゴールデン街で飲み屋を経営する陣内陽一、新宿署地域課で元区長を親に持つ警察官の小川幸彦、酒屋を経営する斉藤陽一とその孫である杏奈、フリーライターの上岡慎介など、さまざまな人たちが登場しますが、それぞれ良いキャラクターなんですよ。東警部補なんてとっても切れ味あるキャラクターなのに全然生かされていないし、爆破事故で整形した陣内こと「欠伸のリュウ」も、たとえば整形手術の跡が云々みたいな記述もまったくないし、新宿区長の三田静江なんてこれ無理無理だし〜で、誉田氏にしてはちょっと前半飛ばしすぎというか、
後半の着地点を見失ったのではないかと思う出来栄えです。
なんだか、多くの書評で「続編に期待」みたいな記述が目に付くのですが、これって続編にしますかね〜?確かに、新しいメンバーで「歌舞伎町セブン」が揃ってはいますが、なんだか違うような気がします。








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2011年02月22日

書評292 樋口明雄「ミッドナイト・ラン!」

先日の大雪で、我が家のモッコウバラがたわんでしまった。
110219_110251.jpg

仕方がないので、地面まで垂れ下がってしまった枝はすべて切り落としたら薪のような束が5つもできてしまった。。。土日はこれでつぶれてしもた。。。
おまけに、モッコウバラが絡みついていた雨どいも折れてしまったのだが、これは未修理。梯子でも買ってくるか。。。

内容(講談社BOOK倶楽部HPより)
「大藪春彦賞&日本冒険小説協会大賞」W受賞第1作!
くたばりぞこないに、怖いモノなし!
ネット心中の男女に仕掛けられた「罠」。誰が味方で、誰が敵か――ノンストップのジェットコースター・ノベル!!
講談社創業100周年記念出版
警察に追われ、ヤクザに撃ちまくられても、ひたすら突っ走る! 生きているという真の意味を問うために――。
きっかけは集団自殺だった。ネット心中を計画した5人の男女が、山中で実行間際、ヤクザに追われる少女を助けてしまう。だが山を下りると、無数のパトカーに包囲され――なぜか指名手配? どうせ、死ぬつもりだったんだ。今さら怖いモノなどあるものか。






曹源寺評価★★★★
「約束の地」で大藪春彦賞と日本冒険小説協会大賞をW受賞した樋口氏の新作です。といっても、氏の作品は初めてでした。ヒューマンドラマからドタバタ活劇まで幅広く書き分けていらっしゃるようで、そのレパートリーの広さに脱帽です。
本書はどちらかというとドタバタ系で、集団自殺のために集まった5人組のところに助けを求めてきた少女を救ったことからヤクザと警察に追われ、その謎を解明すると今度は反撃に移るというストーリーです。この5人の顔ぶれも、相手方のヤクザのキャラクターもかなりぶっ飛んでいます。ガンマニアの加藤というヤクザがいまして、このキャラクターは特筆ものでしょう。街角でマシンガンをぶっ放すけれど、ラジオのDJの熱心なファンで彼女の前ではしおらしいなんてヤクザはいませんて。。。
5人のほうはアル中のタクシー運転手、うつ病の女、ニートの男、元銀行員の男、元自衛官の男という顔ぶれです。アル中の描写は「テロリストのパラソル」には及びませんが、それなりに良く描けていると思います。ただねえ、元自衛官の脳腫瘍患者という自殺志願者はどうなのよ。こういう人は死ぬときは一人で死なないですかね。集団自殺には加わりそうもないようなキャラなので、ここんところの違和感が少し。それと、ニートのあんちゃん。素性が不明なままラストにきて、「あぁ、足速いのね」で終わっちゃったんですが。含みを持たせておいて着地点を失った典型です。
スリリングな展開で一気読みなのがポイント高いのですが、このへんの違和感がなければ★5つでも良かったような希ガス。









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2010年12月15日

書評280 東野圭吾「白銀ジャック」

法人税率を5%下げるそうですね。5%じゃ国際競争力もなにもあったもんじゃないし、税収不足をどうすんの、ってことも決めてないしで、またしても経団連に媚びるだけの愚策をやってくれましたよ。投資減税のほうがよっぽど日本のためになるのにねぇ。


内容(実業之日本社HPより)
ゲレンデの下に爆弾が埋まっている−−
「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。今、犯人との命を賭けたレースが始まる。圧倒的な疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス!






曹源寺評価★★★★
いきなり文庫で登場した東野作品の最新作ですが、なんだか文庫で読むと単行本よりあっさり感があるのはどういうことでしょう。作品自体が軽いのか、体裁のせいなのか・・・まあ、よく考えたら最近の東野作品はけっこう軽めでしたね。
本作品はバブル以降客足の鈍ったスキー場が舞台です。そういえば、あの80年代終わりのスキーブームは何だったんでしょうね。ユーミンの「ブリザード」を車内でかけながら関越自動車道を走った記憶や、同じくユーミンの「リフレインが叫んでる」をかけた途端に、女の子の一人が泣き出した(失恋体験がフラッシュバックしたらしい)とか、そんな思い出があります。――話がそれた。。。
えー、内容ですが、「スキー場の地面に爆弾を仕込んでおいたからカネ払え」という脅迫状が届いたスキー場が、警察にも届けず右往左往するというお話です。簡単すぎ〜〜。
駅の看板にでっかく「いろいろ推理するだろう。残念ながらすべてはずれている 東野圭吾」ってサイン入りで書いてあったけれど、いやいや分かりますよ。こいつかこいつだろうくらいは。でも、正確に当てるのは確かに難しいかもしれまへんね。








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