ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年07月07日

書評817 呉勝浩「ライオン・ブルー」

こんにちは、曹源寺です。

Yahoo!ニュースが刺激的なタイトルをつけてニュースにした記事がありました。

メディアは主観的であれ−−オランダから世界をめざす、ジャーナリズムの新たなかたち(7/6Yahoo!ニュース)
オランダに、世界のメディア関係者が注目するネットメディアがある。2013年に創設された「デ・コレスポンデント」だ。広告を一切入れず、読者からの購読料のみで運営。人口1700万の小国オランダで、月額6ユーロ(約770円)の有料購読者数は5万人を超えた。なぜ、彼らはこれほどの支持を集めることができたのか。創設期からのメンバーで、デ・コレスポンデントの記事を初めて書籍化し、20カ国でベストセラーとなっている『隷属なき道』(文藝春秋)の著者、ルトガー・ブレグマン氏に聞いた。

以下はリンク先で読んでいただければと思いますが、この記事の主旨は、客観的な報道を捨てろと言っているわけではなくて、そこに問題があればきちんと調査報道するべきである、という極めて正しいことを言っているにすぎません。

近い将来問題になる可能性がある事象や、すでに起こっている小さな問題などをしっかりと記事にしているメディアは経済誌が先行しているように思いますがこれは自分だけでしょうか。ヒアリのように、記事化されることで全国に問題意識が波及することは良くありますし、それこそが報道の使命だと思いますが、そうした記事はおまけのようになってしまっているのが現代のメディアではないかと思います。

いつもこのブログで主張していることですが、別に会員制とか有料配信とかで記事を書く分には「主観的」であっても全く問題はないと思います。要するに、読みたい人がそれを買って読めば良いだけの話です。
しかし、テレビ=電波だけはダメです。電波に乗せるということは国民の財産を利用するということにほかなりません。国民の財産である以上は、一方的な垂れ流しをすることは特定の個人や団体に利する場合があるため、その取り扱いに十分な配慮がなされるべきであると考えます。

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内容(KADOKAWA HPより)
乱歩賞作家が放つ、衝撃の交番警察ミステリ!
関西某県の田舎町・獅子追の交番に異動した澤登耀司、30歳。過疎化が進む人口わずか4万人の町から、耀司の同期で交番勤務していた長原信介が姿を消した。県警本部が捜査に乗り出すも、長原の行方は見つからなかった。突然の失踪。長原は事件に巻き込まれたのか。耀司は先輩警官・晃光に振り回されながら長原失踪の真相を探っていく。やがて、町のゴミ屋敷の住人だった毛利宅が放火され、家主・淳一郎の遺体が見つかった。耀司は、長原が失踪直前に毛利淳一郎に会いに行っていたことを掴むが……。

曹源寺評価★★★★★
地方の過疎の町にある交番を舞台にしたミステリであります。交番のお巡りさんを主人公にした作品は数あれど、ここまで全体的に重苦しい作品は希少ではないかと思います。だいたい交番の巡査となれば地域課所属ですから、殺人事件とか謀略とかは無縁というのが前提で、町のちょっとしたトラブルとか人と人のふれあいとか人情とか、そういったものがテーマになることが多いわけですが、本作は田舎の闇みたいなものがテーマになっております。
冒頭もいきなり業火に焼き尽くされる住宅火災のシーンから始まり、さらに、一人の巡査が行方不明になり、小さな町のしがらみとか人間模様とかがいびつなかたちで揺れ動いていたり、町の有力者とか田舎やくざとかもいっぱい出てきたりして

過疎の町の悪いところを凝縮したような

ストーリー展開に、なんとも重苦しい気分になります。
田舎町で警察が力を持っている理由というのが本書を読むとよく分かったりもします。事件そのものをもみ消すことができる警察はやはり、人の口に戸は立てられない田舎とはいえ、味方にしておけば心強いわけです。地元の有力者とやくざと警察が組めば、おそらく最強の取り合わせになること請け合いでしょう。そんな田舎の町で発生した殺人事件など、あっという間にお宮入りですね(笑えない
ミステリというよりは犯罪小説であり、それ以上に暗黒小説のようでもあります。ラストもエグイです。読後感も重いです。
さわやかさゼロの警察小説として(読みたい人は)読んでほしいです。
ちなみに、ライオン・ブルーとは警察官の制服の色だそうです。そして、ブルー・ライオンはフランスの自転車自動車メーカー、プジョーのことであります。





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2017年07月04日

書評816 横関大「ピエロがいる街」

こんにちは、曹源寺です。

今回の東京都議会議員選挙では自民党が大敗、都民ファーストの会が大躍進、と言われています。確かにそうですね。自民党は国政の影響というより、都議会自民党がクソであったことのほうが影響としては大きかったと個人的には思うのですが、なにせ公示が迫ったころからフェイクニュースが混ざった与党攻撃が半端なかったわけで、マスゴミが勝手に疑惑と持ち上げてはネガティブキャンペーンを張りまくったことが拍車をかけたのではないかと思います。
その反自民の受け皿が都民ファーストだったというのが皮肉でもありますが。
稲田防衛相の発言→OUT
豊田真由子の録音→OUT
この2つはまあダメですね。批判されてもしょうがないレベルです。
しかし、
金子恵美議員の公用車→SAFE
下村文科相の献金→グレーだけど法的にはSAFE
ですね。特に金子議員の件は働くママをサポートしようなどと常日頃言っているマスゴミ自身が批判してどうすんのよ。反自民だけで突っ走るから二重基準に陥ってしまうのですが、その自覚がないままに批判している輩のなんと多いことか。まともに正論吐いているリベラル層は駒崎弘樹氏だけしかいないという有様ですわ。
こういう倒閣運動みたいなことをするから二重基準になってしまうわけで、この動きに乗っかってきた民進党は結局、議席数を伸ばすことができなかったんです。有権者が反自民の受け皿として民進党を選ばなかったのは、あちこちでブレにブレまくってきた二重基準のツケではなかろうかと思います。

最近では、文部科学省の天下り問題でさんざん批判されてきた前川前事務次官が、加計学園で話題になったら急に持ち上げるようになりました。同じくこの話題(問題とは言わない)で省内の文書がリークされたら「勇気ある告発」と持ち上げておいて、かつて尖閣諸島問題沖で発生した中国漁船衝突事件で映像をリークした人には国民の反応とは別にマスゴミの反応は酷いものでした。「安倍首相のお友達が恣意的に選ばれているのはおかしい」と言っているのに、そのお友達は民進党の江田五月前議員のほうがもっとお友達なのにそれは一切報道しなかったりします。やっていることは同じでも、自らの主義主張に相通じるかどうかでその反応を変えるから二重基準と言われるのに、最近はこうした記事が富に目立ちますね。

おそらく、都民ファーストの会に関する記事もこれから手のひらを返すかのように批判や醜聞がどんどん出てくると思います。

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内容(講談社HPより)
兜市役所の秘書課に勤務する比南子は困っていた。スローガンに「開かれた市政、会いに行ける市長」を掲げる宍戸市長は、時間さえ空いていればどんな来客でも応対する。兜市は製薬会社が工場を国外移転することが決まり、かつてない財政難に陥っていた。市議会では大荒れが予想される中、今日も市民は市長に会いにくる。
ところ代わって兜市の駅前。就職活動がうまくいかない立花稜がベンチに座って悩んでいると、顔に白粉を塗り、真っ赤な口紅を塗ったピエロに話しかけられた。「願いごとを一つ、言ってみろ」立ち去らないピエロに仕方なく就職したいと話すと、稜はピエロに雇われることになる。ピエロは毎晩困った市民を助けるために活動しており、稜はそれを手伝うが……。
兜市が抱える難題に次々と直面する市長とピエロ。ピエロの正体が判明したとき、物語は鮮やかに反転する!


曹源寺評価★★★★★
軽〜く読めてハッピーエンドな結末が多い横関センセーの作品は楽しいので、乱歩賞受賞以降すべて読了しています。「スマイルメイカー」のようにちょっとしたどんでん返しがあったりするのも良いですね。
さて、本書は静岡県兜市(もちろん架空です)を舞台にしたミステリっぽい作品です。主人公は大学4年生にして就職活動中の立花稜で、彼を語り部としてストーリーが展開していきます。
市長の宍戸は就任から2年が経過し、その間、地場の有力製薬会社工場が閉鎖されて職と人口が奪われてしまった。立て直しに奔走する市長だが、そこに後援会会長が殺されるという事件が発生する。
一方、立花稜は町中でピエロの格好をした中年男性に声をかけられ、ピエロの手伝いをすることになった。ピエロの活動は市民が陳情する内容を実現するための活動に見えるが、、、
読者は謎のピエロの登場と、殺人事件の発生によって一気にドキドキわくわくが募ります。さらに、ピエロの正体はいったい誰なんだろうと思いながらその整合性をストーリー展開に求めていくことになるわけですが、これは

なんというミスリード

でしょうか。「ピエロの正体が判明したとき、物語は鮮やかに反転する!」というキャッチは伊達じゃありません。正確にいうと、「市長の正体が判明したとき、」でもありますが、完全にやられてしまいました。このラスト、自分はまったく見破れませんでした。あぁ、またしてもやられた!読み直し必至のラストに、ちょっとほっこりするエピローグがくっついて、読後感がなんともさわやかなのがこの横関作品だなあと改めて感じた次第。





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2017年06月30日

書評815 永瀬隼介「凄腕」

こんにちは、曹源寺です。

東京都議会議員選挙で選挙活動に忙しい候補者のみなさま

お願いですから、夜の7時に対向車もすれ違うのに難儀する4メートル幅の狭い道路に選挙カーを乗り入れて「○山○彦です」「×野×美をよろしくお願いします」などと連呼するのはやめてください。
悪印象しか持たれないような行動であるという認識がないのでしょうか。この前時代的な悪弊、選挙活動とはこういうものであるという固定観念からいい加減に解き放たれないと、投票率は上がらないし、せっかく良い施策を打ち出していても逆効果です。

自分は先日、選挙カーとすれ違うために止まっていたら、前から来た自転車にぶつかりました。そのときに選挙カーからは「ありがとうございます」とか言われたので、怒鳴り返してやろうかと本当にぶちぎれそうになりました。

特に若い人たちはこうした古臭いやり方には染まりません。なぜなら、自分で情報を取りに行くからです。テレビしか観ないでマスゴミに洗脳されているジジババはともかく、リテラシーを持っている人たちは名前の連呼でどうにかなる層ではないと認識すべきでしょう。

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内容(文藝春秋HPより)
闇社会に迫れ! 本格警察エンタテインメント
新米刑事の高木は、闇社会の人間関係を知り尽くし圧倒的な実力で事件を解決する刑事・桜井に衝撃を受けるが――本格警察長編。


曹源寺評価★★★★★
永瀬センセーの警察小説は他のセンセーに比較してピリピリとした緊張感、特に「さあ、これから決闘が始まるでぇ」という西部劇にも似た雰囲気があるので好きですが、本書もまた安定の永瀬節が炸裂しておりました。
立川南署に刑事として配属された31歳の巡査部長、高木誠之助は配属半年の新米刑事。雑用だらけの日々に嫌気が差していたものの、管内で発生した半グレ殺人事件の捜査にきた警視庁組対本部の桜田警部補とコンビを組むことに。その桜田は敏腕ではあったが、警察の闇に飲み込まれた人物だった。。。
この桜井に心酔した高木は、桜井がリタイアしてから後継者を自認して新宿署に配置願いを出し、組対の刑事として独自のネットワークを築いていきます。
ここまでが前半です。
後半はこの新宿署管内で発生した殺人事件の捜査で幕を開けますが、捜査をしていくうちに明らかになってくる事実が

トンデモ本レベルのありえなさ

でちょっと衝撃的でありました・
あまりネタバレすぎてもいけないのですが、かいつまんで書き出しますと(以下ネタバレ注意)

犯人がとんでもない人物で長年身バレしなかったのがありえない
警察のエス(スパイ)として活動していた人物がありえない

というものであります。
まあ、ストーリーはそれなりに楽しめましたので、それほど変な作品ではないのですが、読後にじわじわと押し寄せてくる不思議な違和感に脱力間違いなしですわ。





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posted by 曹源寺 at 17:57| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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