ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年04月21日

書評797 京極夏彦「書楼弔堂 破暁」

こんにちは、曹源寺です。

麻生副総理兼財務大臣が米国で増税に触れた発言をしたということで読売新聞が記事にしています。

麻生氏「上げやすい景気状況に」消費増税に意欲(4/20YOMIURI ONLINE)
【ニューヨーク=有光裕】麻生副総理兼財務相は19日、ニューヨーク市内で講演し、2019年10月に予定される消費税率の10%への引き上げについて、「上げやすい景気状況になりつつあることは確かだ」と語った。
10%への引き上げは2度延期されており、「三度目の正直」での実現に意欲を示した。
麻生氏は「今までとは状況が全然違う。少しずつ消費が伸びており、今年の後半には、そうした姿が出てくると思う」と語った。
一方、麻生氏は環太平洋経済連携協定(TPP)について「米国なしで11か国でTPPをやろうという話は、5月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で出る」と述べた。米国はTPPからの離脱を通知しており、日本として米国を除く11か国での発効を目指す方針を示したものだ。


財務省は消費税率10%の実現に執念を燃やしていることが良くわかる記事です。
もういい加減、プライマリーバランスとか言って欲しくないですし、この情勢で増税しようなどと考えるのはおばかとしか言い様がないのですが、いま政府がやるべきことは、
・法人税率を引き下げたのだからその分をしっかり給与所得などに振り分けるよう企業の活動を促すこと
・東京の一極集中を避けて地方にも投資拡大を推進させること
・子育て環境を整備して雇用と人口増加を旗振りすること
ではなかろうかと思いますが、そうした施策がどうにも置き去りにされているようでなりません。

財務省は増税したあとに税収が増えていないことを知っていて、それでも増税をしようとする勢力です。それに乗っかっている麻生大臣もクソと言えますが、経済を知り尽くしているはずの経済学者もこれに乗っかろうとしているのはなおさら許せません。
ちょっと消費が伸びたくらいで増税とか言い出されたら、余計に消費が伸び悩むのではないかとも思ってしまいます。政府自民党の失言が多いと話題になっていますが、これもまた失言といわざるを得ないでしょう。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(集英社HPより)
扠、あなた様はどのようなご本をご所望ですか─。
立ち止まって眺めるに、慥かに奇妙な建物である。櫓と云うか何と云うか、為三も云っていたが、最近では見掛けなくなった街燈台に似ている。ただ、燈台よりもっと大きい。本屋はこれに違いあるまい。他にそれらしい建物は見当たらないし、そもそも三階建てなど然う然うあるものではない。しかし到底、本屋には見えない。それ以前に、店舗とは思えない。板戸はきっちりと閉じられており、軒には簾が下がっている。その簾には半紙が一枚貼られている。近寄れば一文字、弔――。と、墨痕鮮やかに記されていた。


曹源寺評価★★★★★
京極作品は「死ねばいいのに」以来、本当に久しぶりでした。センセーは1963年生まれですから自分と世代的にはあまり変わりません。なのに、なぜこのような文体が書けるのか。こんな文章、他の誰にもマネはできません。文壇界に衝撃的なデビューを飾ったのも分かるような気がしますね。紛れもなく天才です。
さて、本書は明治20年代の東京を舞台に、元旗本にして潰れた煙草製造業に従事していた高遠彬を語り部として、都内のはずれ(これがどこなのか)に棟を構える書店、弔堂(とむらいどう)にまつわる短編を集めた作品です。初版は2013年11月、文庫化が2016年12月です。
連作短編の形式でつごう6話が収録されています。
弔堂は当時の日本橋丸善にも引けを取らないほどの棚を持つ大型書店という設定ですが、一見しただけでは書店と分からない3階建ての塔のような外観から、ふらっと立ち寄るような書店ではありません。中も薄暗くて、目が慣れるまでは書庫のラインナップが分かりにくいですが、初めて棚を見た人は総じて驚くような圧倒的な品揃え。元僧侶の主人と美形の小僧さんがもてなしてくれます。
明治中期は新聞にようやく輪転機が入ってきたような時代ですから、まだ本は貴重品で大量生産されてはおりません。貴重であるがゆえに、貸本屋のほうが主流な時代に主は売ることを選んでいます。それはなぜなのか。
主人曰く、誰かに所有してもらうことが本の供養になるという。うーん、これだけでも深いなあ。本は読まれてこそその役割を全うするものであって、棚に飾られているだけでは死んでいるも同然だと喝破しているのです。
本書の底流にあるテーマは「本とは何か」というものでしょうか。本と“いんふぉめーしょん”の違いは何か、とか、人生を大きく変える本とは、とか、本を「供養」するとはどういうことなのか、とか、いろいろと考えさせてくれます。
それは、現代の粗製乱造される本への(あるいは版元への)警鐘にも聞こえ、また、本を粗末に扱うことへの戒めにも見えます。
つまり、現代を生きる我々にも

本に対してどのように向き合っていくべきなのか

を問いかけてくれているのだと思います。
続編が出ていますので、そちらも読んでみようと思います。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
最近の記事
カテゴリ
過去ログ
検索
 
最近のコメント
タグクラウド
<< 2017年04月 >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
リンク集