ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年06月06日

書評808 薬丸岳「ガーディアン」

こんにちは、曹源寺です。

お隣の国、韓国ではまたしても鶏インフルエンザが猛威を振るっているようです。
世界的に見ても、この20年くらいは動物の感染症が人に転移して新たな病原菌となる、あるいはなる危険性が高まっているといった事例が後を絶ちません。動物と人間の距離は縮まっているようには思えませんが、免疫学や獣医学のような分野の研究は引き続き高い需要が見込まれるのではないかと思います。

国会では加計学園の問題(何が問題なのか分かりませんが)が尾を引いていますが、少なくとも獣医学部の新設に関する疑義(なぜ加計学園なのか)は完全にでっちあげです。いまだに大手マスゴミが騒いでいるのが信じられません。
大手が報じていないことを列挙してみましょう。
・(菅官房長官がコメントしていますが)特区による誘致はそもそも民主党政権時代に決まっていること
・それを文科省が怠慢で何にもやっていなかったから「早くしろ」と自民党政権が急かしていたこと
・加計学園は15年も誘致活動を行ってきたこと
・愛媛新聞は長年の努力によって誘致に成功したことを成果として報道していること
・愛媛県の前知事も実績として胸を張っていること(前川喜平前事務次官を批判していること)
・メールを追及している民進党玉木雄一郎議員本人が日本獣医師会から100万円の献金を受けていること
・四国の高校生が獣医師になろうとしたら、どんなに近くても鳥取大学か山口大学、大阪府立大学を目指さなければならないこと

特に最後の件は、教育機会の平等をうたう民進党においては自民党以上に進めるべき案件であるはずだと思うのですが、なぜか四国の学生のことはどうでもいいですかそうですか。
地方の学生が実家を離れ、大学のある都市で一人暮らしをしようとすれば、下宿代、光熱費、食費、その他雑費等々で毎月いくらかかると思っているのか。まあ、医学系の場合はその投資に見合うリターンが期待できますけれども、それでも結構な費用です。
大学の無償化を法整備しようとしている野党は、言っていることとやっていることがだいぶ違うのではないかと思います。また、それを報じないマスゴミもふだんは「弱者に寄り添う」とか言いながら、こういうときは寄り添わないですね。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(講談社HPより)
匿名生徒による自警団「ガーディアン」が治安を守る中学校に赴任した秋葉は、問題が少なく安堵する。ガーディアンのメンバーは、問題のある生徒らに「制裁」を行っていた。相次ぐ長期欠席を怪しんだ秋葉が生徒の身を案じるが、同僚は激務に疲弊し事なかれ主義だ。秋葉が学校の秘密に気づくと、少年少女は一変し、天国から地獄に叩き落とされる。大人と子供の思惑が幾重にも交差し――薬丸岳史上最大級の衝撃があなたの胸を打つ!


曹源寺評価★★★★★
少年犯罪をテーマにすることの多い薬丸センセーが、実は初めて学校を舞台にして書き上げたのが本書であります。
そういえば、石持浅海センセーが同名の小説を出しておられますが、その内容はもっとホラーというか非現実的だったような気がします。
本書は都内の石原中学校に赴任した教師、秋葉悟郎を主人公として、学校内に組織されている謎の自警団「ガーディアン」と対峙するお話です。
秋葉は赴任して半年、平和で問題の少ない学校であることにかえって違和感を覚えていた。ある生徒が学校を休み、それが数日も続いていたことからその奇妙な違和感の正体に気がついた。長期で休んでいる生徒が18人もいるというのだ。そう、彼らはガーディアンによって制裁を加えられていたのであるが、秋葉はその存在に気付くのは自分が顧問を務める演劇部の部員が欠席となったからであった。
秋葉はガーディアンの正体を突き止めようとするが、そこには教師と生徒、それぞれに思惑と深謀があった。。。
教師が信用できないから自警団を結成した――とあれば、教師の取るべき態度は次の2通りになるのでしょうか。
「ならば信用されるようにがんばろう」

「ならばこっちも自警団を利用してやろう」
か。
こうした思いが交錯するなかで、学校全体を巻き込んで教師たちが苦悩と煩悶を打ち明けていきます。
でもなぜか、最後はちょっといい話でするっと終わっていきます。

ん、あれ、なんか予想していたのと違うなあ

という印象でした。なんというか、違和感みたいなものを覚えたんですが、これなんだろう。
おそらくですが、作者の本当に言いたいことと読者が読みたかったことがずれているのではないか。
(以下、ややネタバレ)薬丸センセー的には、ガーディアンによる統治によって起こるリスクは学校の平和と引き換えになるものではないだろう、というものなのかもしれませんが、この前半から中盤にかけてのストーリー展開では読者として「ガーディアンの自滅」か「夏目刑事による事件解決」なのではないかと思うのであります。
せっかく(ファンにはおなじみの)夏目刑事まで登場させておいて、ほんのチョイ役でしかなかったこの扱いに、ちょっと落胆してしまうのです。
それにしても、ラストの4行は何を意味するのだろうか?最後の最後にひっくり返したのか?いい話だと思ったら実は違っていたのか。なんとも言えない気持ちにさせられてしまいました。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif


posted by 曹源寺 at 14:49| Comment(0) | TrackBack(0) | や行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月02日

書評807 中山七里「翼がなくても」

こんにちは、曹源寺です。

東京都議会議員選挙が6月23日公示、7月2日投票で行われます。
今回の選挙の目玉はやはり、都民ファーストの会がどれだけ議席を獲得するのかという点にあるでしょう。ただ、小池都知事は豊洲問題や五輪費用負担問題などでだいぶミソをつけたので、大フィーバーという感じでもないところが面白いですね。
都民ファーストの会のホームページを参照すると、今回の選挙に立候補する予定の方々の情報が掲載されています。一覧では参照できなくて、お住まいの市区町村から検索するかたちですので見づらいのですが、どんな方が立候補されるのか事前に把握することができます。
新人の方でもすでにご自身のホームページを立ち上げていらっしゃる方もいますが、新人の方は政策を細かく見ていかないと方向性が見えてこないのが難点です。
一方、「元都議」という肩書きの方もいらっしゃいます。
元都議の場合は、所属していた政党の色からある程度のポリティカルカラーが分かりますので、これは必ずチェックしておきたいところですね。

正直、都議会議員選挙は自分も誰に投票したら良いのか非常に悩みます(「投票したいという人がいない」という極めて後ろ向きな理由ですが)。
できる限り情報を集めていかなければ後で後悔することが目に見えていますので、気をつけたいと思います。
その場の雰囲気に流されぬよう、リテラシーを大事にしたいですね。特に「政党ロンダリング」している候補者や「後で寝返る確率100%」のカメレオン候補者、それに「抽象的過ぎて何言っているのか全然分からない公約」をうたう候補者などには気をつけましょう。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(双葉社HPより)
陸上200m走でオリンピックを狙う沙良を悲劇が襲った。交通事故に巻きこまれ、左足を切断、しかも加害者は幼馴染みの泰輔だった。アスリート生命を絶たれた沙良は恨みを募らせる。そんな泰輔が殺害され、高額な保険金が支払われた。犯人は誰なのか? また、絶望の底から再起を図る沙良の運命は? どんでん返しの先に感涙のラストが待つ傑作長編ミステリー!


曹源寺評価★★★★★
どんでん返しの帝王と呼ばれるようになった中山センセーですが、本書もまたちょっとしたどんでんがありまして、それも「泣けるどんでん」でありまして、深く胸に突き刺さるお話に仕上がっています。
主人公の市ノ瀬沙良は陸上短距離200メートル走で実業団チームに所属しているが、ある日、隣人の相楽泰輔にクルマで撥ねられ、左足の膝から下を切断することになってしまう。泰輔は若くして父を亡くし無職の引きこもり。事故の謝罪も補償もなく、弁護士にすべてを任せて頬かむりの相楽家に対して怒りを募らせる市ノ瀬一家だったが、そんななかで泰輔が自宅で殺害されるという事件が発生する。
さあ、その殺人事件の捜査には中山センセーのシリーズでおなじみ、犬飼隼人刑事が登場します。おぉ、これは犬養シリーズだったのか!と思っていたら、相楽家が一任した弁護士がなんと御子柴礼司!こちらもシリーズでおなじみですね。そう、本書は犬養と御子柴が対面するという

ファンにはたまらないストーリーになっているのです。

泰輔を殺したのは誰なのかという謎に犬養刑事が挑む一方で、御子柴弁護士が何をたくらんでいるのか、そして沙良はつらい運命に立ち向かっていけるのか。ストーリーは三者一体となってスピーディーに進んでいきます。
この沙良のキャラクターがものすごくステキなんですよ。感情の変遷はとても人間的でありますが、生半可でない行動力と負けん気が、読む人に勇気を与えてくれます。
なんとなく結末は見えてきますので、ミステリとしての出来栄えやいつものようなどんでん返しはやや弱いかもしれませんが、それでも読む人を惹きつけるテンポの良さと、犬養vs御子柴の対決を心待ちにしていたファンには十分すぎる価値のあるストーリーではなかったかと思います。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月30日

書評806 日本推理作家協会編「警察アンソロジー 所轄」

こんにちは曹源寺です。

28日に米インディアナポリスで行われたF1レース(通称「インディ500」)において、佐藤琢磨選手が日本人として初めて優勝しました。
これがどれだけすごい快挙なのか、というコピペを探しているのですがなかなか見つからないので自作してみます。
テニスならウインブルドンで優勝するレベル
ゴルフならマスターズか全英で優勝するレベル
ボクシングなら重量級でKO勝ちでタイトル取るレベル
野球ならメジャーで最優秀選手に選ばれるレベル
陸上なら男子100mで金メダル取るレベル
自転車ならツール・ド・フランスで優勝するレベル

歴史的快挙であることがよく分かると思います。そういえば、先日は女子卓球で平野美宇選手がアジア選手権で優勝しましたね。卓球の場合、アジアナンバーワン=世界ナンバーワンでもありましょうから、事実上の世界一です。
世界を驚かす偉業を、死ぬまでにあと2つか3つくらい観ておきたいものですね。ゴルフの松山選手やテニスの錦織選手あたりに期待しましょう。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

内容(角川春樹事務所HPより)
東池袋署管内で発見された女性の白骨死体。娘が逮捕されたが……(「黄昏」)。警視庁から沖縄県警に移動した与座哲郎は、県人との対応に戸惑いもあり……(「ストレンジャー」)。佐方貞人検事は、米崎西署で逮捕した覚醒剤所持事件に疑問を持ち始め――(「恨みを刻む」)。西成署管内で、ネットに投稿されたビデオクリップのDJが病院に担ぎ込まれ……(「オレキバ」)。臨海署管内で強盗致傷事件が発生。昔の事件とリンクして――(「みぎわ」)。沖縄、大坂、東京など各所轄を舞台にした傑作警察小説アンソロジー。


曹源寺評価★★★★
警察小説の短編集として文庫化された作品がありましたので読んでみました。暇つぶしにちょうど良いボリュームであります。
黄昏・・・薬丸岳
ストレンジャー・・・渡辺裕之
恨みを刻む・・・柚月裕子
オレキバ・・・呉勝浩
みぎわ・・・今野敏
とまあ、錚々たるメンバーであります。このうち、ストレンジャーとオレキバ以外の作品はシリーズとしてキャラクター化されている主人公が登場します。薬丸センセーは「刑事のまなざし」などで登場した夏目信人刑事を、柚月センセーは「検事の本懐」などで登場した佐方貞人検事を登場させます。
今野センセーはおなじみ「安積班」シリーズのメンバーが登場、しかも安積の若い頃のエピソードも出てきますので、ファンにはたまらない作品でありましょう。
渡辺センセーは「オッドアイ」シリーズなどが有名ですが、短編は始めて読みました。沖縄県警シリーズと銘打って出していただきたいレベルです(でも高嶋哲夫センセーがいま沖縄県警シリーズやってんだよなぁ)。
呉センセーは長編より短編のほうが読みやすいかもしれないと、以前に書いた記憶があります。何でも詰め込もうとすると収拾つかなくなってしまうので、軸がぶれずにテンポ良く読ませるように仕上げればこのセンセーは良い作品に仕上げてくれるのだなあと改めて思いました。
本書のように、キャラクターの立っている警察小説の短編集というのは絶好の暇つぶしでありましょう。

軽く読めて、読後爽やか

というのが一番いいですね。





にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
応援よろしくお願いします。。
banner2[1].gif
posted by 曹源寺 at 16:50| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
最近の記事
カテゴリ
過去ログ
検索
 
最近のコメント
タグクラウド
<< 2017年06月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
リンク集