ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2007年12月11日

書評3 楡周平「陪審法廷」

評価:☆☆☆★★
内容(講談社BOOK倶楽部HPより)
あなたは、この「無償の愛」を裁けるか。
終身刑か。無罪か――決めるのは「明日のあなた」かもしれない。
来たる裁判員制度に警鐘を鳴らす、迫真の法廷サスペンス!

2004年、アメリカ・フロリダ州。養父にレイプされ続けた少女を救うため、殺人を犯した日本人少年。罪状は第一級殺人。繰り広げられる、検察と弁護人の「正義なきディベート」。減刑なしの終身刑か、完全無罪か?少年の未来を決めるのは、12人の「普通のアメリカ人」――主婦、トラックドライバー、教師――市民が市民を裁くとは、どういうことなのか?


読み終わった本がいっぱい溜まっているので、毎日書き足していこうと思います。

これはいわゆる「法廷もの」で、海外の小説では法廷のディベートシーンが長々と続くやつがありますが、日本の小説にしてこれだけ迫真の法廷シーンを展開できているのは珍しい?
楡氏の小説は読みやすいのでほとんど全部読破していますが、この作品はまあ中の上といったところでしょうか。でもほとんど一気読みでしたよ。
たぶん、楡氏は日本にも裁判員制度が導入されるから「米国の陪審員制度を少しでも理解しておけ」という気持ちで書いたのではないかと思われるフシが見られます。もっと言うと、「日本で裁判員制度を導入するのは反対」なのかもしれないなあと思うわけです。
日本の裁判員制度では、有罪か無罪かを判断するだけではなく、量刑も決めなければならないのに対して、米国ではあくまでも有罪か無罪かだけを判断するという違いがあるので(これ以上はネタバレになるので軽く触れるだけにしますが)、結末もこんな感じになるのかもしれない。
いずれにしても、裁判というものについて少しは考えさせてくれる本ですので、特に成人は読んで損はないと思います。




posted by 曹源寺 at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月10日

書評2 永瀬隼介「退職刑事」

評価:★★★★★
内容(文芸春秋書誌ファイルから)
元悪徳警官から退職後も未解決事件の捜査に執念を燃やす男まで、様々な事情を抱えて職を辞した刑事たちに訪れる“人生最後の事件”


永瀬氏の短篇集。2007年は警察小説の当たり年で、佐々木譲「警官の血」今野敏「果断−隠蔽捜査2」黒川博行「悪果」など面白い作品が目白押しだった。
でもね、これはイマイチ。なんかちょっと後味悪いんよね。ノンキャリアで所轄の巡査長とか巡査部長クラスで定年を迎える警察官は、ホントのところどうなんですかね。みんな警備会社あたりに顧問とかで迎えられることもなく、さびしい年金生活に突入するんですかね。
あとね、この人は短篇には向いていないのかもしれない。「サイレントボーダー」とか「デッドウオーター」みたいな、心の闇をグサッとえぐるようなやつを長篇で書いたほうが良い作品ができると思う。個人的にはすごく好きな作家の一人で、「頭の中で何かが弾けた」とか「熱い塊が喉の奥を通り過ぎた」とか、人間の狂気が湧き出てくるような描写が面白いんだわ。元々ノンフィクションライターでもあるわけで、犯罪者に直に接した永瀬氏ならではの表現が魅力だから、ぜひ、初心に帰ってほしいと思う。
でも、「Dojo」とかちょっと異色の作品も面白い。Dojoはドラマ化してくれないかなあ。これ、空手道場の話なんだけど、キャラクター作りに成功しているから、主人公を坂口憲二にして、脇を永井大とか速水もこみちとか柴崎コウとかで固めたら、絶対見るね。

posted by 曹源寺 at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | な行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月09日

書評1 石持浅海「Rのつく月には気をつけよう」

石持浅海「Rのつく月は気をつけよう」
評価:★★★★★
内容(「MARC」データベースより)
湯浅夏美と長江高明、熊井渚は大学時代からの呑み仲間。毎回誰かが連れてくるゲストは、定番の飲み会にアクセントをつける格好のネタ元だ。酔いもまわったところで盛り上がるのは恋愛話で-。小粋なミステリー連作短編集。


「月の扉」など本格ミステリを手がける石持氏が、恋愛ミステリを軽いタッチで仕上げたので結構驚いた。内容はいわゆる「安楽椅子探偵」モノやね。現場に行かないでその時の状況を見た人たちから話を聞いただけで推理を働かせて事件を解決してしまうという、アレだ。
言葉の端々をとらえてあーだこーだ言っては「言われてみれば確かにその通りだ」と思わしめるテクニックはさすがだ。こういうのを書ける人はホントに尊敬するわ。
これは短篇集なんだけど、最後の最後にどんでん返しがあって、「やられた〜」感が残るのが、まあこの人らしくて良いんだけど、でもね、前作の「心臓と左手−座間味君の推理」もそうなんだけど石持氏はグルメやねー。この本を読むと、チーズフォンデュとか豚の角煮とか無性に食いたくなるわ。



posted by 曹源寺 at 16:31| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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