ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年06月23日

書評813 月村了衛「追想の探偵」

こんにちは、曹源寺です。

AKB48の総選挙とかいう集金イベントで、20位の須藤ナントカが突如結婚宣言をして周囲をどん引きさせた件では、一部のタレントや評論家が「アイドルだって結婚しちゃいけないわけじゃない」という結婚の是非という問題にすり替えていますが、本筋は「金を集めておいてドロン」という行為の問題であります。マツコ・デラックスは「キャバ嬢がドンペリ30本空けさせておいて結婚しますと言うようなもの」という的確なツッコミをされていました。個人的には計画倒産と同じだと思っています。
政治では加計学園の報道で、「安倍首相の指示があったかどうか」とか「安倍首相の意向に忖度したのかどうか」といった問題になっていますが、加計学園に獣医学部の設置を決めたのが2016年1月で、それ以降の行政文書(という名の怪文書を含む)に「官邸の上のほうから〜」とか書かれていたとしても、それはもうすでに時系列的に辻褄があっていない、破綻している話であります。それをいつまでもいつまでも問題として報道しているテレビと新聞は国民を騙しにかかっているとしか思えないですわ(Fラン大学の乱立とか国際医療福祉大学の医学部設置の件とか、そっちのほうが闇がありそうですが報道ありませんねー棒)。
ほかにも、朝鮮学校への補助金支給にかかる問題では「生徒たちを差別するな」とか「学問の自由を守れ」とか言う意見がありますが、これも本筋ではありません。法律でいうところの「一条校」でないために出せないだけです。朝鮮学校はいわば「私塾」であり、学習塾やサッカー教室と同じ区別なんですが、そうした本質的なところを無視して「子どもたちの教育の機会を奪うな」などと言ってくるわけです。

このように、世の中には物事の本質をわざと矮小化させたり別の問題にすり替えたりしようとする輩が腐るほどいることが分かります。
特に政治問題になると、テレビ新聞だけでなく、ネットで細々と記事を配信している自称ジャーナリストたちが湧いて出てきます。あちこちで「○○問題」という言い方をするようになると、この○○がいかにも問題であるかのような印象にさせられるわけですね。世間ではこれを「印象操作」と言います。我々はこうした印象操作に引っかかることなく、冷静に物事を見つめていく必要があります。これが「リテラシー」だと思います。

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内容(双葉社HPより)
雑誌編集者・神部実花には、人知れぬ特技がある。それは、誰も行方を知らない人物を捜しだすこと。あらゆる手段を駆使して人々の記憶の扉を開き、真実をつかみ出す。愛する雑誌を守るため、上司の無理難題や個性的な面々に挫けることなく、「日常のハードボイルド」を生きる若き女性の活躍を描いた連作短編集。


曹源寺評価★★★★★
アクション系の多い月村センセーが探偵モノを出した!と思って読んだら、主人公は探偵ではなくて雑誌編集者でした。何だこれと思いながら読み始めましたが、あぁ、これは確かに探偵モノですわ。
主人公の神部実花は黎砦社という零細?出版社の若き編集長であります。不定期雑誌「特撮旬報」をほぼ一人で切り盛りしているという設定です。昔の特撮モノ(リアルでいえば円谷プロ作品などになりましょうか)の裏側とか内幕を特集する雑誌ということで、自分のような少年時代を特撮ヒーローモノで過ごした中高年には

マニアじゃなくてもグッとくるテーマ

の雑誌なわけです。当時の監督や技術者などを掘り起こしてインタビューする記事がマニアに好評ということで、読者にも「これは読みたいかも」と思わせるような興味深い内容が綴られています。「人探しの神部」という異名を持つ彼女は、独特の嗅覚で「あの人は今」になってしまった人物を掘り起こします。その裏側に秘められた過去のエピソードもいっしょに掘り起こしてくれるので、じんわりと暖かい、そして少し哀しい、そんな物語になっています。
連作短編6作品を収録していますが、最初の2作品はやや長めの作品で、実花の執念深い捜索が実を結ぶ感動的な作品に仕上がっています。いや、

たいした話ではないはずなんですが、それでもちょっと泣ける

という、後になってじわじわくる味わい深い作品と言えます。
実花の周辺を囲む脇役は個性派揃いですが、それほど活躍していないのがもったいないと思います。しかしこれは次回作に期待を込めて長期シリーズとして続けていただきたいと強く願うことにします。
そういえば、特撮モノの大ファンといえば、大倉崇裕センセーがインタビューなどで自称されているのを思い出しました。作品としても「BLOOD ARM」などで怪獣(!)を本当にテーマにしておられます。おそらく大倉センセーあたりは、本書を手にして「やられたっ」と思っていらっしゃるのではないかと考えるのは、「当時を偲ぶ」という行動と「特撮モノ」というジャンルがひどく相性がよかった、という点に加え、廃れたジャンルだからこそ人探し=探偵という定番のミステリジャンルがこれまたマッチしてしまったという点にあるのだと思います。
この相性のよさに着目された月村センセーは天才ではないかと思いました。





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2017年06月20日

書評812 緒川怜「誘拐捜査」

こんにちは、曹源寺です。

JX通信社という会社の代表の方がYahoo!ニュースに寄稿された(のかはわかりませんが)記事が、なかなかに考えさせられる内容だったので。

東京新聞読者の安倍政権支持率は「5%」、対する産経新聞読者では「86%」― 都内世論調査番外編(6/20)

報道系ベンチャーのJX通信社では、6月17・18日の両日に実施した東京都内での世論調査の中で、各新聞の読者ごとに安倍政権、小池百合子東京都知事の支持率をそれぞれ調査した。調査の概要や実施方法は、本調査の詳報記事(リンク先)の通りだ。
この結果、安倍政権の支持率は各新聞毎にはっきりと分かれる傾向が見えた。
各新聞読者層別の安倍政権支持率・不支持率

特徴的なのは産経新聞と東京新聞だ。産経新聞読者のなかでの政権支持率は86%に達した一方で、東京新聞読者ではわずか5%と極端な差が表れている。不支持率は産経新聞読者が6%なのに対して、東京新聞読者は77%と、そのまま支持率を裏返した結果となった。
朝日新聞、毎日新聞の読者も政権支持率はそれぞれ14%と9%にとどまり、かなり低い。
安倍首相が国会答弁で「熟読」を求めたことで話題になった読売新聞の読者層では、政権支持率は43%と、不支持率29%を上回っている。
また、唯一の経済紙である日本経済新聞では、支持率が41%なのに対して不支持率は38%と拮抗した。
全体の傾向として、各社の社説や右・左といった報道姿勢の「立ち位置」と、政権支持率の傾向とがかなり一致していると言える。
各新聞読者層別の小池百合子東京都知事支持率・不支持率
対照的なのが小池知事の支持動向だ。産経新聞を除く全ての社の読者層で、支持が不支持を上回った。継続的に公開してきた都内世論調査でも、各政党支持層から幅広く支持を得てきた傾向を指摘しているが、「新聞読者層」という切り口でも同様の傾向が見える。 (以上)

図表などはリンク先を参照いただくとして、安倍政権の支持率、数字としては以下の通りになります。
        支持する  どちらとも言えない  支持しない
産経新聞    86     8          5
読売新聞    43     28         29
日本経済新聞  41     21         38
朝日新聞    14     16         70
毎日新聞    9     31          59
東京新聞    5     18          77
その他・答えない 30    29         48

この調査結果、サンプル数が少ないので統計的な意味はあまりないのかもしれませんが、少なくとも購読する新聞の種類によって支持層がこれだけ違うということは、新聞媒体とは少なくとも「公正・中立」ではないだろうということだと思います。
卵が先か、鶏が先か、という議論になるのも嫌ですが、「イデオロギー的に右だから産経新聞」なのか「産経新聞を読んでいるからイデオロギーが右に傾いている」のかは分からないです。ただ、少なくとも「産経新聞を読み続けていると右の思想がより強化される傾向にある」という仮説は成り立つのかもしれません。
朝日新聞や東京新聞はその逆ということになります。

もうどっちに傾いてもいいんですが、新聞媒体は「公正・中立」の看板を下ろすべきでしょう。そして、公益に資する媒体ではないということも国民全員が周知する必要がありましょう。ましてや新聞以上に公正・中立であるべきテレビ=電波媒体は新聞の影響を受けるべきではないということも言えると思います。

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内容(光文社HPより)
八王子での少女誘拐事件が発生。犯人を名乗るメールが届くが、そこには十四年目の誘拐事件の「真相」の告白が!? 二十年前の姪の行方不明事件で心に傷を負う刑事・楢橋は、強引に捜査に加わが孤立、姪の妹で通信社記者の文の協力を得ながら事件解決に奔走する。過去の事件の情報は錯綜し、浮かび上がる容疑者に翻弄される捜査本部。さらに、誘拐犯の「告白」には社会に衝撃を与えるたくらみが仕掛けられていた。ちりばめられた謎解きの妙。過去と現在を幾重にも交錯させた巧みな構成。そして明らかになる犯人の巧緻な罠と驚愕の真相。楢橋は少女を救えるのか!?


曹源寺評価★★★★★
それほど好きな作家センセーではありませんが、新作が出ると一応はチェックしています。デビュー作の「霧のソレア」はそれなりに楽しかった印象があるというのが理由ですが、近年の作品はどれもあまり高い評価をつけることができないでいます。
なぜなのか。本書を読んでちょっと分かったような気がします。
本書のおさらいから書いておきましょう。
警視庁捜査一課の楢橋邦洋は、20年前に姪の桜子が行方不明になった事件で責任を大きく感じていた。そこに八王子で少女が誘拐されるという事件が発生。犯人からのメールには14年前に発生した少女殺害事件の真相を綴った内容が書かれており、逮捕・起訴したはずの死刑囚である矢部俊夫が冤罪である可能性が浮上した。犯人の狙いは何か。楢橋はもう一人の姪である通信社勤務の文(あや)と事件解決に挑む。
これだけ読むと、なんとなく普通の警察小説っぽいですね。あまり謎解きというほど難解ではありませんが、事件の展開を追う分にはすらすらと読みやすくグイグイいけます。
ですが、緒川センセーの書き味は独特です。何が独特かといいますと、

エピソードが詳しすぎぃ!

なんですわ。新たな登場人物が出てくるたびに、主人公とのエピソードが詳細に語られます。これが微に入り細を穿ってやたらと引き込まれるような書き込みをされるので、本筋のストーリーを忘れてしまいそうになるのであります。
それが事件解決の伏線になるなら良いのですが、そうでないエピソードも結構ありますので、読者にしてみれば「このエピソードいらねえだろー」と思ってしまうこともしばしばです。
この辺をさりげなく盛り込ませることができているのが東野圭吾センセーだったり大沢在昌センセーだったりするのですが、いちいち仰々しいエピソードは作品に深みをもたらすようで実は違うのではないかと思うのです。
そのエピソードの挟み込みも、まるで取ってつけたかのようなやり方だったり、あるいはエピソードのなかにさらに回想シーンがあったりしてもう訳分かりません、という感じだったりするんです。このへんがもう少し整理されたうえで、20年前の事件なのか、14年前の事件なのか、それとも現在進行形の事件なのか、分かりやすくしないと読者がついていけなくなると思います。そのうえで、現在進行形の未解決事件については警察小説っぽく「伏線を張っている」という描写になればいいのではないかと思います。
もうひとつだけ突っ込んでおくと、緒川センセーは「冤罪死刑」でも書かれていましたが、本書でも死刑とか冤罪といったテーマを盛り込んでおられます。冤罪の可能性が少しでも存在する死刑判決や、本人あるいは支援団体が再審請求しているような判決においては、すんなりと死刑執行されていないのが実情です。執行待ちが100人を超えている現状において、そんな難しい案件を優先的に執行するなどありえないという物理的な事情もありましょうが、いずれにしても、「死刑は冤罪となったときに取り返しがつかないから反対」という死刑反対意見については運用の実態を鑑みればあまり意味を持っていないのかもしれません。





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2017年06月16日

書評811 相場英雄「不発弾」

こんにちは、曹源寺です。

毎週火曜日の22時にテレビ東京系で放映している「ガイアの夜明け」で、6月13日に放送されたのが「再び、巨大“規制”に挑む!」と題したバター不足をテーマにした回でありました。巷では「神回」とまで言われるようになったこのバター問題ですが、テレ東サイドのやや恣意的な編集はさておき、問題の根っこについては非常に理解が進んだのではないかと思います。
<酪農業者側の問題>
JAに入らないと飼料の仕入れや融資ができなくなるのでやむを得ず入る
指定業者に生乳を送ることで安定した収入を得ることができる代わりに、冒険をしなくなる
どうせ他の業者の生乳と混ぜられるのだからと、品質向上に意欲が沸かなくなる
バター用の生乳は買い取り価格が飲料用より低いので、納入を嫌う
<JA、ホクレン、農水省側の問題>
バターは関税率360%という異常な高率で、酪農家保護の最たるものである
バターの輸入は独立行政法人農畜産業振興機構が仕切っており、輸入品は極めて高額になってしまっている
上記団体は農林水産省の天下り団体である
国内流通をがっしり抑えているがガチガチの固定構造になっており、それ以上に輸出に関しては及び腰である

実際にバターは不足気味でありますが、安定流通の名の下に自由度の低い操業が続いています。そこに風穴を開けようとしているのがMMJという群馬県の企業です。MMJは独自の取り組みによって、生産者側がブランド化したりニーズの高い地域に商品を送り込んだりすることをサポートしています。まだ売上高は100億円にも満たない規模ですが、着実に販路を広げています。

北海道の酪農業者がMMJと組んで新たな商品開発や流通開拓を行っている姿を特集してくれましたが、これに対してはホクレンなどの既存業者のみならず、一般の酪農家も批判の声をツイッターなどで上げているのを見ることができます。
曰く、「自分だけ買い取り価格の高いMMJに卸すのはずるい」「周りの協力があってこその酪農家なのに抜け駆けするな」「飼料だけ買えばいいってもんじゃない」等等。

しかし、消費者からみれば安定的に商品を供給してくれているホクレンなどの大手業者はうれしい存在であるものの、既得権益にまみれて新たな取り組みを否定する(どころか邪魔をする)のはいかがなものかと思ってしまいます。放映のなかにあったJAの「賦課金」問題はまったく意味が分かりません。
それに他の酪農家の発言はやっかみ以外の何者でもありません。どんなビジネスでも高リターンには高リスクが伴うものです。長年、ぬるま湯に浸かってしまっている人たちはこうしたことも忘れてしまうようです。

自分は保護貿易主義ではありませんし、ましてや新自由主義者でもありませんが、規制の壁を乗り越えてブルー・オーシャンに乗り出そうとしている人たちは応援したいなあと思います。何と言ってもヤマト運輸の小倉昌男氏(故人)が運輸省(当時)と大バトルを繰り広げて、現在のような宅配便の市場が出来上がったという前例がありますので、新たなマーケットの創造にはお役人とのバトルは避けて通れない道ではないかと思っています。
品不足が露呈して、システムとしての欠陥が浮き彫りになったのであれば、「国民への安定供給」のお題目はもはや通じません。規制あるところに成長なし。「ぬるま湯」を残しても熱湯と混ぜるべからず。バターがもっと安くなることを祈ります。
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内容(新潮社HPより)
日本大手の電機企業による巨額の粉飾決算。警視庁キャリア・小堀秀明は、事件の背後に、ある金融コンサルタントの存在を掴む。バブル直前に証券会社に入社し、激動の金融業界を生き延びた男が仕込んだ「不発弾」は、予想を超える規模でこの国を蝕んでいた――『震える牛』『ガラパゴス』の著者が日本経済界最大のタブーに挑む!


曹源寺評価★★★★
すっかり社会派ミステリの旗手にのし上がってきた相場センセーですが、もともと通信社の記者であり、経済関係のネタのほうが本職であります。あの池井戸潤センセーも銀行出身で半沢直樹シリーズなどが有名ですが、金融ネタや経済ネタというよりは社会問題ネタ、時事ネタのほうに行ってしまわれましたね。
相場センセーの得意分野に「警視庁捜査第二課モノ」というのがありまして、捜査一課と違って人がバンバン死ぬ世界ではないのでドラマ仕立てにしにくいという難点があるものの、本書のように経済ネタでも面白い本はあるんやねー、というお手本のような作品を出しておられます。
本書は上場の電機メーカー大手、三田電機による巨額の不正経理問題(粉飾決算問題とも言う)を立件したい警視庁捜査二課が、事件解明の為にある金融コンサルタントに目をつけ、これを追うというストーリーになっていますが、これと同時並行でこの金融コンサルタント、古賀遼なる人物にスポットを当て、彼の生い立ちからバブル期を駆け抜けていくサブストーリーが展開していきます。
じりじりと古賀の周囲を固めていく捜査二課のキャリア捜査官・小堀と、バブル崩壊後に暗躍した古賀らによる「不発弾」の正体がちらちらと見えてくるところが、金融サスペンスとしては出色の出来だと思います。
なんといってもすごいのは、実在の事件を臨場感たっぷりに描いているところでありましょう。某飲料メーカーによる巨額損失事件を含む「プリンストン債事件」をはじめ、いわゆる仕組み債による損失隠しが常態化した90年代末期ですが、金融の現場ではまさかこんなことが行われていたのかという仰天の構図を見事に浮かび上がらせています。
そして、バブル時代に実在した事件も数多く登場してきます。証券会社による「預け損失」「飛ばし」「損失補てん」といった業界特有の悪慣習にメスが入った1989年、大蔵省(当時)による「不動産総量規制」も行われた1990年、バブルはこの2つの規制から始まっています。そういえば、自分の周囲にもバブルに浮かれて金融機関に入社した人は結構いました。消息は知りませんが、聞いた話では現在も金融で働いている人は1割も残っていないようです。90年代は金融、2000年代は流通、そして2010年代は電機がいろいろと大変な時代を過ごされたように思います。これらの業界のなかには本書の指摘するように「飛ばし」や「M&A」などの手法によって損失を隠してきた企業が少なからずあって、実際に爆発してきたという経緯があります。代表的なものが本書の「ノアレ」であり、「ゼウス光学」であるということです(ゼウスはあまり描写されていませんが)。
おっと話が逸れました。
これらの「不発弾」がバブル崩壊から四半世紀を経過した今も、いくつかの企業の財務諸表のなかに埋まっているのかと思うと、

株式投資など恐くてできませんわ。

一応、備忘録として本書に登場する架空の企業を現実に置き換えておきます。
三田電機→東芝?
村田証券→野村證券
山屋証券→山一證券
国民証券→国際証券?
CBFS銀行→CSFP(クレディ・スイス・ファイナンシャル・プロダクツ)?
ヘルマン→クレスベール証券?
ノアレ→ヤクルト
ゼウス光学→オリンパス
ソラー電子→ソニー
日本逓信→日本郵便

ラストはちょっとばかり納得しにくい点がありますが、それでも日本の“裏”経済史を紐解くような迫真の展開には納得感の高い作品であると言って良いのだとおもいます。





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