ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2018年03月13日

書評880 月村了衛「コルトM1847羽衣」

こんにちは、曹源寺です。

朝日新聞のスクープによって森友学園のやつが一気にヒートアップしてきましたね。さんざん捏造新聞と馬鹿にされ、麻生財務相からもお小言を頂戴していた朝日新聞がついに反撃に出たわけですが、朝日に情報を漏らしたのは大阪地検か近畿財務局か。いずれにしろ背任行為で犯罪ですね。
まあ、スクープと騒いでいる割には、その内容に進展がないというのも面白いですね。
結局のところ、やらかしたのは近畿財務局であり、認可した大阪府であるわけで、政府とか自民党とかが何らかの関与をしたエビデンスはみつかっていないのでありました。この辺の次の矢が飛び出してくるのかどうかが今後の焦点になるかもしれませんが、現在の見通しではなさそうですね。あるなら1年以上前に出ているはずですからね。
籠池という詐欺師が安倍昭恵夫人とか天皇陛下とかいろいろな人間を使って近畿財務局を騙しにかかったけど、近畿財務局は騙されたとか利用されたとかそういう記録が残るのを嫌がったから書き換えた、というのが専らの(判明している限りの)経緯でありましょう。
ですから、近畿財務局はやっちゃいけないことをやっちゃったのは事実ですから、いっそのことここで財務省を徹底的に叩きに行くのはありかと思います。ネットでは「財務省解体!」なんて熟語も出ているくらいですから、与野党がタッグを組んで財務省を叩くwww
面白そうですがたぶん野党は政局にしたいんだろうなぁ。
マスゴミも政局の方を選ぶんだろうなぁ。
歳入庁とか作って財務省から切り離したら面白いんだろうけどなぁ。

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内容(文藝春秋HPより)
女渡世・お炎、六連発銃を片手に佐渡金山に殴り込む!
羽衣の異名を持つ女渡世・お炎は、最新式六連発銃・コルトM1847片手に佐渡へと渡る。江戸の暗黒街を描く人気時代小説第二弾!


曹源寺評価★★★★
大藪春彦賞を受賞した「コルトM1851残月」に続く月村センセーの時代小説第2弾であります。「残月」はアウトローなクライム小説という内容でしたが、本作は女渡世人がコルトをぶっ放すアクション小説といった感じの仕上がりです。
主人公のお炎が単身乗り込んだのは佐渡島。江戸時代の佐渡といえば金山がありました。金山には江戸やその他の地方から無宿人と呼ばれる、今でいうところのホームレスが次々と送られ鉱山のなかで作業させられていた。お炎がやってきたのは元恋人の信三郎がそこにいるという情報が入ったからであった。しかし、その信三郎は金山のなかで変わり果てた姿になっていた。お炎は金山を舞台に大きな陰謀があることを見抜き、御用商人・四海屋の玄人衆とともに戦うことを決意した。
江戸時代に最新式のコルト、しかも44口径を操る女渡世人という設定はなんだか最高に胸躍るんですが、それも脇役に軽業師のおみんとか、四海屋の怪力男である与四松とか、時代劇には欠かせないプロットが揃っていて、そのうえに派手なアクションが満載という月村センセーならではの描きっぷりがたまりません。
しかし、前作が持つアウトローなイメージとはだいぶ違いまして、あちらのほうがどす黒い、テレビの時代劇でもお目にかかれないほどの真っ黒な作品だっただけに、ちょっと

本作はまっとう過ぎる感じがしなくはないです。

自分としては前作の持つ暗黒な感じが衝撃的だった印象が強すぎて、本書にもちょっと期待しすぎだったのかもしれません。
それでも、月村センセーならではの魅力がいっぱい詰まっているのは間違いないわけで、「土獏の花」でなんとなく「七人の侍」的なキャラクター設定が味付けとして成功していたように、本書もまた、玄人衆の活躍が花を添えています。ただ、その造型はもっと深くても良かったのかもしれませんが。それに、佐渡金山が幕府の富の源泉であったということが良く分かるエピソードが入っていたり、その金山での労働が極めて過酷であったということがリアルな描写で読者の心にグッと押し込んでくるところなどは、臨場感が半端じゃありません。
結局は主人公のお炎がカッコ良すぎて、ラストシーンなんかは泣けてくる始末です。エンタメとしては完成していますね。





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2018年03月09日

書評879 川瀬七緒「テーラー伊三郎」

こんにちは、曹源寺です。

例の森友のやつ(事件とは言わない)は国税庁長官の辞任と近畿財務局職員の自殺ということで様相が変わってきたように思いますが、打倒!安倍内閣という倒閣運動に勤しんできた朝日新聞としてはこのへんを落としどころにしたくはないのだろうから、まだまだ騒ぎ立て続ける可能性は高いのかなと思います。
しかし、財務省がここまでやられて黙っているかというと、そんなことはないんじゃないかと思っています。財務省には国税庁と公正取引委員会というふたつのリーサル・ウェポンがあります。本気を出せば景品表示法違反とか独占禁止法違反とか脱税認定とか追徴課税とかいろいろと打つ手がありそうですので、そろそろ反撃に出てほしいものです。血のバランスシート、命(タマ)の取り合い、仁義を切るという意味では非常に大事ですね。
正直、自分はどちらも嫌いですので、潰しあってくれると非常に助かります。

そもそも、財務省とはいえ一地方支局の土地取引に総理大臣が関与なんかするか?という根本的な疑問を置いてきぼりにして、朝日新聞社は自ら立証しないまま(エビデンス?ねーよそんなもんの精神で)疑惑だけをぶつけ続けてきました。これに野党がしつこく乗っかり続けてきたというのが現在までの構図です。野党が政府を攻撃すればするほど、傷を負うのは政治家ではなくて官僚であるという現状も果たしてどうかと思いますが、こうなったら政府+官庁 VS 野党+マスゴミで暗闘を繰り広げていただくのも一興かと。死人が出なきゃ分からないようなおどろおどろしい政治の世界。国民は冷めてきていますね。

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内容(KADOKAWA HPより)
老若男女よ、全力で着飾れ。退屈を吹き飛ばす、曲者だらけの痛快エンタメ!
「自分の人生は、自分以外のだれにもゆだねるな」
死にかけの商店街に突然飾られたコルセット“コール・バレネ”。
それは、少年の人生を変える、色鮮やかな“革命”の始まりだった。
福島の保守的な田舎町で、ポルノ漫画家の母と暮らす男子高生・海色(アクアマリン)。
17歳にして半ば人生を諦めていたが、ある日、古びた紳士服仕立て屋「テーラー伊三郎」のウィンドウに現われた美しいコルセットに心奪われる。
頑固な老店主・伊三郎がなぜ女性下着を――騒然となる町内を尻目に、伊三郎に知識を買われたアクアは、共に「テーラー伊三郎」の新装開店を目指す。
活動はやがて、スチームパンク女子高生や町に埋れていた職人らを巻き込んでいき……。
老若男女、強烈なキャラクターたちが活躍する骨太痛快エンタメ!


曹源寺評価★★★★
近年の乱歩賞出身として、横関大センセーや下村敦史センセーとともにご活躍中の川瀬七緒センセーであります(そういえば同時受賞者の玖村まゆみセンセーはとんと聞きませんなぁ)が、あのグロさ満載の「法医昆虫学捜査官」シリーズだけではなく、ちょっとミステリから離れてエンタメ的な作品にも意欲的に取り組まれていらっしゃるようです。
本書もエンタメ作品でありますが、舞台が福島の田舎町の商店街のテーラーという、なんとも微妙な路線を狙ってきました。そこにいるのは鈴村伊三郎という80過ぎのご老体であります。お、なんだか中山七里センセーの「秋山善吉工務店」みたいな頑固親父的ホームドラマ路線かな?と思いましたが、ホームドラマっぽくはないですね。どちらかというと青春ドラマです。
本書の主人公は津田海色という男子高校生。海色と書いて「アクアマリン」と読ませるキラキラネーム仕様。おまけに母親はポルノ漫画家で母子家庭。田舎の団地住み。これだけそろっていたらそりゃ卑屈な性格にもなるわなぁ、という設定です。
このアクアマリンが通学途中にある「テーラー伊三郎」に飾ってあったコルセットを偶然にも見かけたことで、彼の運命が回り始める。なぜ紳士服の仕立て屋にコルセットが飾られているのか。アクアマリンは伊三郎の真意を図りかねるが、やがて打ち解けた二人はこのテーラーを舞台に「革命」を起こすことを考え始める。
謎めいたものがあまりないのでミステリとして読むには厳しいですが、なぜか次の展開が待ち遠しくなってあっという間に一気読みでありました。
卑屈な部分を持っているアクアマリンが「革命」を通じて成長していく様が小気味良いからなのか、あるいは登場人物がそれぞれ一癖も二癖もあるような人物だらけで展開が読みにくいからなのか、さらにはどうみても悪人枠に収まるキャラクターとの対決が待ち遠しいからなのか。

答えはおそらく全部だろうと思いますが

楽しく読むことができたのは間違いありません。多少ご都合主義な部分があることは否定できませんが、そんなのは楽しさをスポイルさせるものではないですね。最後の落としどころも良かったのではないかと思います。
ファッション業界にはあまり知識がありませんでしたが、ついていけなくはないですね。川瀬センセーはファッションにも造詣が深いんだなあと素直に感心していましたが、実は「文化服装学院服装科・服飾専攻科デザイン専攻卒」という肩書でありました。虫よりもこちらのほうが本職だったというオチはなんじゃらほい。





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2018年03月06日

書評878 家原英生「(仮)ヴィラ・アーク設計主旨 VILLA ARC (tentative)」

こんにちは、曹源寺です。

バカ発見器としてすっかり定着したツイッターですが、最近はちょっとした発言でも「炎上」することが多くなりました。
「Toggeter」というツイッターのまとめサイトがありまして、そこでもたまに炎上した発言などがまとめられているのを見ることができます。
数日前にはどこかのジャーナリストさんが、とある化粧品会社やカレーチェーンなどは使わないという発言をしたことで炎上していました。あえて炎上させているという戦略なのかもしれませんが、自分の感想としては「バカ発見」としか思えないんですよ。
自分の思想信条の発露をするにしても、それが社会的に見て「単なる嫉妬」なのか「反社会的行為に対する反発」なのか、さらには「公正公平な目で見た意見表明」なのか「極端なイデオロギーの発現による差別的行為」なのかは読む側からすれば一発で分かるものであります。しかし、自分の中では「公正公平な目で見た意見表明」であったとしても読む側からすれば「極端なイデオロギーの発現による排外的・差別的行為」であることは往々にして見受けられるわけです。この送り手と受け取り手の間のギャップこそが炎上の直接的な原因であることは論を待たないでしょう。このギャップに気が付かない人たちがあちこちでツイッターを炎上させているのだろうと思います。
で、そういう人に限ってこれくらいの炎上には負けないような鋼鉄のメンタルを持っていたりするわけでして、次から次へとギャップありまくりの発言を繰り返しているのであります。だからいつまで経っても炎上発言がなくならないのです。
「○○はもう二度と使わない」という発言が炎上するのは、「だからお前らも○○は買うなよ」「○○の会社潰そうぜ」という言外のニュアンスを感じ取ることができるからで、○○のファンに対する気遣いなどこれっぽっちも受け止められないからであります。これを差別主義を言わずして何と言えば良いのでしょうか。少なくともジャーナリストが使いべき言葉ではないと思います。

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内容(書肆侃侃房HPより)
一級建築士が設計した館もの本格ミステリー
川津たちが招かれたのは、断崖に建つ「二本の筒が載った家」。彼らを迎えたのは不可解な表札「ヴィラ・アーク」。豪華な館訪問という楽しいはずの旅に、やがて暗雲が漂いはじめ、事件が起こる。消えた黒猫を捜すうちに一人、また一人と行方不明者が……。建物の設計に隠された秘密とは何か? 謎は深まる。やがて嵐がおさまり、真相にたどり着いたかに見えたとき、突然、爆発音が轟く。謎は建築家たちによって紐解かれ、最後に明かされる建物の「設計主旨」。館もの本格ミステリーは一転して社会派ミステリーへと姿を変える。


曹源寺評価★★★★★
本書は書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)という福岡の出版社が刊行したミステリですが、調べてみると第62回江戸川乱歩賞の最終選考に残った作品でありました。おそらく、著者が地元出身で本書の舞台も大分県というところから出版化したのではないかと推測できます。
タイトルからしてあまりミステリっぽくありませんが、歴としたミステリであります。なんだろうこの違和感は、と思っていましたが、「設計」という文字に違和感があったんですね。「設計」がタイトルに使用されているミステリってあまりないのではと思います。しかも「主旨」までついていますからなおさらですね。
そしてこれを書き上げたのも一級建築士のセンセーという、これまたミスマッチなお方であります。
ストーリーですが、八川設計事務所の八頭と川津らが社員旅行で大分県の海っぺりを訪ねるが、知り合いの父が保有するその館は奇妙な形をしていた。コンクリートの土台の上に鉄骨を組んだふたつの直方体が、まるで砲台のように突き出ているのだ。建物のなかでちょっとしたことからトラブルが発生し、黒猫が建物の中から消失する。黒猫を探すうちに、今度は人間も消えることに。。。
本書の冒頭には建物の設計図面(というか間取り図)があり、なんだか本格的な「館もの」の予感が漂います(綾辻かっ!)が、登場人物が設計士なだけに

ミステリというより設計談義な感じになってしまうのはご愛嬌

といったところでしょうか。
本書の前半3分の1はそういう意味ではかなり退屈です。渡辺篤の「たてもの探訪」(テレビ朝日系)が好きな方には楽しいのかもしれませんが。
ミステリになっていくのは中盤からで
(以下、ネタバレ)、
それも「館もの」としてのトリック的なものはあるにせよ、そこにはこの手のお話にありがちなオーナー(あるいは設計者)の悪意のようなものが微塵もないというのが本書の特徴でもあります。そして、本当のミステリは最後の最後にやってきます。そういう意味では、本書もまた「読後に初めてタイトルの意味を知る」のでありました。つまり、設計主旨こそが本書の謎であったわけです。
なるほど、このテーマだけを捉えてみれば本書が江戸川乱歩賞の最終選考に残ったのも不思議ではありません。おそらく審査員は唸ったと思います。
しかしながら、途中の展開はミステリとしてあまり完成していないように思えます。いくつかのツッコミどころがありまして、涼子が発したSOSサインをなぜ全員が聞き逃したのか(みんな起きていたんちゃうんか?)、とか、滝田は溶接用の防護服を着ていて爆発に巻き込まれたのになぜ遺書を残していたのか、とか、ちょこちょこあるんですね。個人的にはつじつまの合わないところって結構気になってしまう性質なので、読んでいるうちに興ざめしてしまうのです。登場人物の書き分けが微妙だったりとか、いてもいなくても問題ないキャラクターがなぜか最初からいたりとか、要するにストーリーとして読ませる部分での未熟さみたいなものを感じてしまうのがちょっと残念でありました。
この62回江戸川乱歩賞に輝いた佐藤究センセーの「QJKJQ」(おぁ、そういえば「Ank」が大藪春彦賞受賞おめでとうございます!)の巻末には最終選考の結果が選評として記録されていますが、興味深いのは本書の惜しい点として複数の審査員が「館のオーナーである滝田は不要」「滝田を先に死なせた方が良かった」と書いていることを挙げておきます。確かに、滝田がいると館の秘密を知っているなら彼に聞けよ、と思ってしまうわけです。滝田が不在とか、あるいは死亡とかになれば館の謎が封印されるわけですから、その方がミステリとして完成度が上がるのは間違いないところでしょう。なんだかもったいないですね。
しかし、それでも自分は本書のような作品は嫌いになれません。家原センセーには建築ミステリみたいなジャンルでいろいろ書いてほしいなあ。それこそ、災害パニック小説の大御所である高嶋哲夫センセーみたいに、建築物に関連したミステリばっかり書く人になるのも一興かと。





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posted by 曹源寺 at 17:43| Comment(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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