ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2017年04月11日

書評795 深町秋生「探偵は女手ひとつ」

こんにちは、曹源寺です。

報道では「いわゆる共謀罪について〜」といった表現を使っているテレビ朝日などが、決して「組織的犯罪処罰法の改正」と正式に言わないんですが、もうこうしたレッテル貼りはやめませんかね。

統合リゾート法→カジノ法
平和安全法制→戦争法
組織的犯罪処罰法→共謀罪
日本食認定制度→すしポリス

これ全部どこかの政党かマスゴミが言い換えたんですよ。ほかにもレッテル貼って一般大衆を誤認させているのがありそうですので、今度まとめて調べてみようと思います。
特にこの組織的犯罪処罰法については、批准していない国が先進国では日本だけ、世界でも極めて小数になっているというのに、いろいろな理屈を捻じ曲げては反対している政党、団体、マスゴミが目に付きますね。
「表現の自由が侵害される」とか言いますが、ではスパイ防止法とかテロ対策法を批准している国は表現の自由がないのでしょうか?
否、まったくそんなことはないですね。欧州各国はほとんど批准していますので、これはまったく矛盾しています。もう屁理屈をこねても一般大衆は分かっていますので、いい加減にくだらない反対運動はやめて欲しいものです。

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内容(光文社HPより)
椎名留美は娘とふたり暮らし、山形市で探偵をしている――とはいうものの、仕事のほとんどは便利屋の範疇だ。パチンコ店の並び代行、農家の手伝い、買い物難民と化した高齢者のおつかい、デリヘルの女の子の送迎などなど。シーズンを迎え、連日さくらんぼ農家の手伝いをする留美に、元の上司である警察署長から、さくらんぼ窃盗犯を突き止めて欲しいという、久し振りの探偵らしい依頼が入ったのだが……。


曹源寺評価★★★★
深町センセーの最新作は連作短編の探偵モノでしたが、これがまたすごかったです。何がすごいって、舞台が山形市でちょっと仙台市内まで足を運ぶことがあっても基本は山形。元警察官にして夫とは死別している一児の母、椎名留美が主人公です。探偵事務所を開いているものの、依頼の大半は便利屋で、農作物の収穫の手伝いとかパチンコ屋の行列の代行とかデリヘルの送迎とか雪掻きとか、田舎ならではのさまざまな仕事に従事している。そんな留美が探偵らしい仕事をすると、いろいろと事件に巻き込まれていく。。。
地方の農村地帯を舞台にした探偵モノ、というジャンルは横溝正史のようなおどろおどろしいやつは別にして、あまりお見かけしたことがありませんでした。なんだか

コッテコテの山形弁が一周廻っていい感じ

に、ほんわかしています。
ストーリーは全然ほんわかではないのですが、留美の相棒役となっているのは地元の伝説の元ヤンだし、一番最初のお話は山形名物さくらんぼの窃盗事件ですwww
ちょっと悲惨な事件もありますが、全体を覆っているなんとも長閑で素朴な雰囲気は紛れもなく山形のそれでありました。
留美の武器はGPS発信器とスタンガンです。これもまたステキ。今度はこれで長編でも書いていただければ最高です。





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2017年04月07日

書評794 東野圭吾「危険なビーナス」

こんにちは、曹源寺です。

米国がシリアにミサイル攻撃を行ったということで、本格的に世界大戦が来そうな勢いです。米国は戦争が景気対策になっていますので、定期的にどこかを敵に回さないと経済が持たないのではないかと思っていますが、当たらずとも遠からずでしょう。
このミサイル攻撃は北朝鮮にもメッセージとして伝わっていることと思います。
「次はお前の番だ」と。
その意味でこの攻撃は一石二鳥なのでしょう。
ロシアは自分の隣接する国をコントロールできる状態にしておきたい、という願望があります。実際、そうしています。その取りこぼしがチェチェンなのかもしれません。
米国は自分の国にミサイルを向ける、あるいは射程範囲に入れることを絶対に許さない国です。おそらく、北朝鮮はミサイル開発を進めて米国を大陸間弾道ミサイルの射程に入れてしまったのではないか。だから米国がブチ切れた。
米国は怒り、金正男を傀儡にして中国の管理下に置こうとしたら、それを察知した北朝鮮が金正男を暗殺。やれるものならやってみろと言わんばかりの強硬姿勢に、いよいよ米国が動きだした、というのが真相ではなかろうかと。
自衛隊が南スーダンから撤退すると決めたのも、自民党が敵基地攻撃能力を保有しようと提言したのも、横田基地に無人偵察機グローバルホークが配備されたのも、麻生財務相が「日本の新聞が書いているより事態は深刻」と発言したのも、長嶺駐韓大使が帰任したのも、思い返せばすべては一本の線となって北朝鮮に向かっているということが分かりますね。

この手のニュースは非常に断片的ではありますが、つなげてみるとこうした結論になったりするわけです。穿ちすぎかもしれませんが、逆につなげてみようともしないマスゴミ、あるいは知っているくせにきちんと報道しないマスゴミには腹が立つのを通り越しています。
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内容(講談社HPより)
弟が失踪した。彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である弟の家族に近づく。兄である伯朗は楓に頼まれ協力するが、時が経てば経つほど、彼女に惹かれていく。


曹源寺評価★★★★
安定の東野圭吾センセーですが、今回はタイトルとその内容が微妙にずれているところ以外は面白かった作品の紹介です。
主人公の手嶋伯朗は動物病院に勤務する獣医である。母の禎子の再婚相手である矢神とは養子縁組をせず旧姓を名乗っている。矢神には一人息子の明雄がおり、米国から妻を連れて帰国してきた。しかし明雄はその後失踪。妻の楓が夫の失踪の原因を探るため、矢神家に接近する。縁を切ったはずの伯朗は楓に振り回されながらも矢神家にまつわるさまざまな確執を探り、過去の秘密に迫っていく。。。
この義弟の妻である楓が「危険なビーナス」ということでしょうか。うーん、

そんなに危険なのかなぁ

という感想がよぎっては消え、読み進めていくうちに違和感を覚えてしまったわけです。
危険なのは矢神家のほうだよなぁこれ、って感じなので、

絶対にタイトルがおかしい

と終始違和感でした。
ストーリーはなるほど、最近の東野作品にもありがちな「脳科学」とか「未知の医学的テーマ」、それに味付けする「数学的テーマ」が盛り込まれていますので、「ガリレオ」シリーズよろしく理系人間ならではの描写にとても惹かれてしまいます。実際、「後天性サヴァン症候群」は症例として認められているようですが、これを人工的に作り出そうとする動きはさすがになさそうです。
ラストもちょっとした驚きをもって迎えてくれますので、納得の一冊といえるでしょう。





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2017年04月04日

書評793 五十嵐貴久「逸脱捜査 キャリア警部道定聡」

こんにちは、曹源寺です。

駐韓国大使を帰任させるというニュースでようやく理解しましたが、おそらく北朝鮮周辺は相当緊迫しているのだと思います。
なぜかTVの報道では「邦人保護の観点から〜」という岸田外務大臣の発言をすっ飛ばしていますが、金正恩が党委員長に就任してからの断片的な報道をつなぎ合わせれば、政治的な駆け引きが水面下で行われてきていて、今はそれが少しずつ浮かび上がっているような状況ではないかと思います。
そろそろ来るべき災害とは別の趣旨で備蓄を始めたほうがよさそうです。

さて、この前の日曜日の毎日新聞に掲載されたコラムが個人的には痛いなあと思っているので取り上げてみます。長いですが、全文です。
時代の風 森友問題の本質=中島京子・作家(4/2毎日新聞朝刊)
イデオロギー教育の危険
話題になっている森友学園問題で、いちばん私が恐ろしいと思っているのは、安倍晋三首相の妻昭恵氏が100万円渡したかとか、10万円もらったかとかいうことでは、ない。9億円が1億円になった経緯を知りたいのはもちろんだが、恐ろしいと思っているのは、そこでもない。
究極に怖いと感じているのは、事件が発覚して最初のころに流れた、塚本幼稚園の動画だ。
子どもたちが「教育勅語」を唱和する姿は、まさに「洗脳」という言葉を思わせて背筋が凍った。臣民(天皇に支配される民)として、天皇の統治する国に緊急事態(戦争)があったら、自ら志願して死ねと教える戦時中の勅語を、無邪気な声がそらんじてみせるのは、異様だった。
さらに、衝撃だったのは、園児たちが運動会の宣誓で唱えた「日本を悪者として扱っている、中国、韓国が、心改め、歴史教科書でうそを教えないよう、お願いいたします」というフレーズだ。なんてことを子どもに言わせているのだろうか。この子どもたちは大きくなって、中国や韓国の人とどう接するのか。
事件に関連して名前の挙がった人たちは、みなこの塚本幼稚園の教育を知っていたし、賛同していたという。たとえば、昭恵氏は、塚本幼稚園での講演で、この幼稚園で培われた芯が、公立の小学校へ行って損なわれてしまう危険がある、だから「瑞穂の国記念小学院」が必要だという旨の発言をしていた。首相の妻が、日本の公教育を否定する発言をしているわけで、私は、100万円寄付するより深刻だと思っている。
従来積極的に日韓交流行事に参加し、「韓国はだいじな国」と発言してきた昭恵氏なのだから、ヘイトスピーチまがいの教育はだめだと、はっきり言うべきだった。そのほうがどれだけ首相の妻らしいふるまいだったか。
森友学園=塚本幼稚園を支えてきたのが、戦時中の思想に帰ろうとする政治運動であることは、いまやもう誰も否定しないだろう。団体名も出た。「日本会議」だ。現閣僚のほとんどが参加している政治団体だということだ。
もう一つ、戦時中よく使われた言葉を紹介したい。「暴支膺懲(ぼうしようちょう)」というもので、「暴れる支那を懲らしめる」という意味だ。日本が戦争を始める理由として使ったのがこの言葉だった。塚本幼稚園の園児宣誓と似ている。
私が恐ろしいのは、戦時中の思想に帰ろうとする政治運動に賛同している人たちが、日本の教育を変えようとしている事実、そのものだ。関与が取りざたされた政治家の誰一人として、「教育勅語」を否定しなかった。それどころか擁護発言が相次いだ。園児たちのヘイトスピーチを批判する発言も、なかった。籠池泰典氏がしつこいとかうそつきとかいう話は出たし、森友学園の経営や設置認可をめぐる強引さにも批判が集中したが、教育方針を批判した発言は、渦中の政治家からは出なかった。
政権の中枢にある政治家、官僚、民間企業(学校法人)が、ある偏ったイデオロギーに染まり、国民の共有財産の使い方を勝手に決めて、「彼ら」の信奉するイデオロギー教育を実践する施設を作ろうとしていた。そういう事件に私には見える。かつて、「教育勅語」を掲げ、「暴支膺懲」を叫び、戦争に突き進んだ過去を持つこの国で。
いま、「彼ら」の心はもう森友学園とは離れた。いまやもう、あの小学校設置の件は、籠池という変な男が引き起こした変な事件だということで、「彼ら」と切り離そうと必死だ。
一方、「彼ら」、国家主義的な思想を持つ人々の悲願「道徳の教科化」が成り、検定教科書にイデオロギーを盛り込むことができるようになった。さらに、先月末、政府は「『教育勅語』を教材として使用することを否定しない」と閣議決定した。「憲法に反しない形で」と但書(ただしがき)がつくが、戦後、違憲だから衆参両院で排除・失効されたのではないか。なぜ今、と驚愕(きょうがく)する。
私たちが「昭恵氏は私人か公人か」などというさまつなことにとらわれているうちに、気がつくと日本国中が森友学園みたいな学校だらけになっているのではないかと想像して、私は怖い。森友問題が重要なのは、その危険を私たちに教える事件だったからなのだ。

(以上)

中島京子センセーはけっこう反戦的なコラムをあちこちで書かれていますので、いまさら驚きはしませんが、上記のコラムを要約するとこんな感じになってしまうのです。
・森友学園問題で最も重視するべき問題は(認可とか財務ではなく)思想教育の点である
・塚本幼稚園では教育勅語を使って洗脳していておぞましく、異様だ
・戦時中の思想に帰ろうとする動きが教育界にあって、極めて危険である
・道徳の教育化によりイデオロギーを植えつけることができるようになっていて怖い

えーっと、どこから突っ込んで良いものやら。
なるほど、思想教育はダメなんですね。同じコトを補助金寄越せと騒いでいるかの国の教育機関にも言ってください。そして、すべての私立学校に「宗教を持ち込むな」と言ってほしいものです。仏教もキリスト教も新興宗教も全部NGですね。学校内の敷地に礼拝堂を設置するなどもってのほかですね。
日教組にも共産党のポスターを貼るなと徹底させないといけません。すべての教育機関から思想を排除しなければいけません。

でも、思想と道徳の境界線はどこにあるんでしょうか。教育勅語に書かれていることはほとんど道徳です。親を大切にしろとか、そういうやつです。それに、教育勅語の公布は明治23年です。戦前も戦前、日露戦争よりも前の話です。「戦時中の悪い思想」というレッテルを貼るのはいかがなものかと。

そもそも、この文章の中から滲み出てくるもののひとつに、「戦前の思想はすべてが悪」というレッテル貼りがなされているというのがあります。中島センセーの直木賞作品「小さいおうち」では戦前の日本の家庭をリアルに描写しています。それはごく普通の家庭であり、当時の人々の日常です。悪の思想に染まった国民が戦争に突き進んだといったような描写は一切ありません。なのに中島センセーはこのコラムで戦前の教育がまるで悪の権化であるかのように指摘するのです。

当たり前ですが、戦争に突き進んだのは思想教育のせいではなくて、軍部の暴走と外交の失敗のせいです。大多数の国民はこれっぽっちも悪くありません。ましてや、教育のせいでもないはずです。
戦前の教育に染まっていた我らがご先祖様は悪なのですかね?

そして最後に、中島センセーは「森友学園のような学校だらけになっているのではないかと想像して、私は怖い」とまで書いてしまっています。森友学園の卒業生がこの記事を見たら悲しむでしょうね。中島センセーは森友学園の教育を否定しました。これはイコール、森友学園で学んだ人たちの精神性をも否定したと同じことです。しかも200万部を超える新聞紙上で堂々と否定したのです。「森友学園の教育は間違っているから、そこで学んだお前という人間も間違っている」と言っているに等しいのです。

このコラムに賛同する人が結構いて、ツイッターでリプライしているのを目にしたのですが、自分としてはこの方が怖いです。反戦的に振る舞う人のほうが実は差別的で好戦的なのではないかと思ってしまいますわ。

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内容(KADOKAWA HPより)
現場経験はゼロ、相方は一匹狼な美人刑事
若きエリートが、5つの完全犯罪に挑む!
『リカ』『リターン』の俊英による痛快ミステリ
東大卒キャリアとして出世街道を歩んでいた道定聡警部は、部下の不祥事により突如、経験のない捜査現場の前線に配属された。美人だがガサツな山口ヒカルとコンビを組まされ、新宿OLの高層マンション飛び降り、新興宗教の教祖殺人など、解決不可能と思われた難解奇妙な事件の担当になる。常にやる気のないヒカルだが、時に天才的な直観を発揮して事態を集束に導いていき――。 “迷”コンビの活躍を描く、爽快な連作短編集。


曹源寺評価★★★★
本書は2013年12月に単行本化されていた「キャリア警部 道定聡の苦悩」が2016年9月に文庫になったものです。単行本のときは知りませんでした。
五十嵐センセーの軽いノリで読める探偵小説とか警察小説はどれも非常に読みやすいし、きちんとオチもつけてくれるし、キャラクター造型もしっかりしているので楽しく読めます。
本書では東大卒のキャリア警察官である道定警部と、警視庁捜査一課の美人刑事山口ヒカルの迷コンビが活躍します。道定は20代だが160センチ未満の抜け毛に悩むデブ、ヒカルは抜群のプロポーションで美人のくせに大食漢でエロDVD鑑賞が趣味というものすごい設定です。
あれ、なんだかデジャブを感じるんですが、、、、
つい先日読了した矢月秀作センセーの「サイドキック」はチビデブのおっさん刑事と彼を慕う美人刑事のコンビでした。なんだか

流行ってんのか?

というくらいにたような設定ですね笑
あちらは中年のおっさんですが、こちらはキャリアで若手なのにおっさんくさい童貞(!?)警部という設定。女性刑事もあちらは美人で優秀、こちらは美人だがとてつもない変人ですから、微妙に異なりますね。
設定はまあこんなもんでしょうか。警察小説は設定よりも内容重視でいきたいですね。本書は軽く読める連作短編ですが、いずれもちょっとした謎解きが用意されていますので、それなりに楽しめます。このへんの造りこみのうまさは五十嵐センセーならではといったところでしょうか。読んで損はない作品といえるでしょう。





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posted by 曹源寺 at 15:34| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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