ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2020年07月03日

書評1080 今野敏「任侠シネマ」(2020/07/03)

こんにちは、曹源寺です。

2周にわたって共同通信社のことを書きましたが、ネタは尽きませんねぇ。またしてもこんな記事がありました。

震度1でも辺野古護岸崩壊の危険 軟弱地盤を独自調査の専門家(7/2共同通信)
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部の埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤を独自に調査している専門家チームは2日、震度1以上の地震が発生すれば護岸崩壊の危険があるとの解析結果をまとめ、河野太郎防衛相らに文書を送付した。同様の解析を行い、結果を公開するよう求める内容。
チームは、河野氏が「軟弱地盤」が最大で水面下約77メートルまであると明らかにした「B27」と呼ばれる地点の付近で造成する計画の「C1」護岸の安定性を中心に解析。護岸の重みで、震度1以上で完成後に、震度3以上で施工中にそれぞれ崩壊する危険があるとした。

(以上)

おいおいおい、またしてもすげえなこれ。
震度1で崩壊って、どんだけ弱いんよこれ。大きな工事用車両が入っただけで震度1くらいの振動は起きるんですが、本当かねこの記事は。
と思って別のソースを探したら、琉球新報が記事を出していました。

辺野古新基地護岸、震度1で崩壊恐れ 調査団が沖縄防衛局の設計条件で算出(7/3琉球新報)
米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設について独自に検証している沖縄辺野古調査団(代表・立石雅昭新潟大名誉教授)は2日、大浦湾に軟弱地盤が広がっていることから震度1以上の地震が発生すれば護岸が崩壊する危険性が高いという解析結果を発表した。これまでも護岸崩壊の可能性を指摘してきたが、今回は一部データを切り捨てた沖縄防衛局の設計条件に合わせて計算しても、地震発生時には護岸が崩壊する恐れがあることを指摘した。
調査団は「辺野古・大浦湾で工事を強行するのは無謀だ」と指摘している。米下院軍事委員会の即応力小委員会でも国防権限法案に関連して軟弱地盤を念頭に新基地建設続行に懸念が示されている。
調査団によると、防衛局は軟弱地盤の改良工事を検討する際、平常時の護岸の安定性のみを計算して「問題ない」と説明している。今回、調査団は地震を想定して護岸が安全かどうかを確かめる「安定性照査」を実施した。その結果、震度1でも一部護岸が壊れ、震度2以上では大浦湾側を取り囲む外周護岸の大部分が崩壊する危険性が明らかになった。
2010年から20年までに、辺野古に隣接する名護市豊原では震度1以上が60回、震度2以上が13回、震度3以上が3回観測されている。年間に震度1以上が6回、震度2以上が1回、震度3以上は3年に1度という頻度になる。調査団は「施工中あるいは完成時に同規模の地震を受ける確率は極めて高い」と説明した。
調査団は2日、防衛省と沖縄防衛局、同局が設置した技術検討会に調査結果を送付し、確認を求めた。立石代表は本紙の取材に「私たちの計算が違うというなら、自ら計算し安全性を証明すべきだ」と語った。

(以上)

通信社の記事よりも新聞社の記事のほうが深堀りされていますね。共同通信の記事だと「専門家チームって誰だよ」という話になりますが、逆に言うと専門家チームの素性を探られたくないからその辺を端折った可能性はありそうです。

で、その専門家チームは「沖縄辺野古調査団」というそうでして、代表が「立石雅昭新潟大学名誉教授」だということです。この二つの「」部分でググると、彼らが非常に香ばしい方々とのつながりがあることが分かります。
この記事の内容の是非を問うのは別にして(と言っても、素人目にはどう考えても震度1で崩壊はないでしょ、としか思わないですが)、問題は共同通信の記事が核心部分に触れていない、文字数の制限でもあるかのような隠しっぷり、にあるのではないかというところに集約されます。
何かを隠したがっている共同通信と、(ツッコミどころは満載ですが)きちんと事実を伝えようとしていることが理解できる地元の新聞。共同通信社はもういらないのではないかと思っちゃうのです。

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内容(中央公論新社HPより)
学校、出版社、病院、銭湯・・・・・・今度は問題だらけの映画館を救え!?ヤクザに厳しいご時世に、世のため人のため、今日も阿岐本組が奔走する!「任侠」シリーズ第五弾。

曹源寺評価★★★★★
任侠シリーズ最新作は映画館の立て直しです。
この任侠シリーズは、阿岐本組の代貸(関西で言うところの若頭)である日村誠司を中心に、組長の兄弟分からの要請を受け、いまにも潰れそうな企業を独特のやり方で立て直していくという一風変わったストーリーです。映画化もされていますが、本シリーズの何が面白いって、

任侠に生きる方々のほうが企業人よりも筋が通っている

のですよ。彼らの渡世術=生き方というのはカタギの我々が見習うべき点が多々あるということを教えてくれます。
阿岐本組はこれまでも出版社、学校、病院、銭湯を次々と再建してきました。今回は映画館です。北千住にある単館で、時代から取り残されている建物ですが、所有者の千住興業は本業の不動産業がしっかりしているため、すぐに倒産というわけではないのですが、この映画館を売却したい勢力とこれを守りたい勢力があり、日村たちはこの調整に大わらわであります。
元々侠客の方々のお仕事、つまりシノギはもめ事の調整です。間に入って仲裁する、どちら顔も立てつつ、自分らも「暴力装置」であることを隠さない。これ以上揉めるなら容赦しないというところを見せて、矛を収めてもらう。これがシノギであります。
ですから、企業再建とは言いつつも、彼らのやっていることは阿岐本組本来の仕事の延長であります。それでも楽しく読めるのは、時に阿岐本組長の言うセリフが経営者の胸に響いているからであり、任侠の哲学は経営のそれに近いということが理由だと思います。
一方、主人公の日村誠司は小さい頃に映画館に行った記憶さえありません。それくらい不幸な生い立ちですが、映画館の持つ不思議な魅力に感動を覚えます。本書はオンデマンド配信が当たり前になっている現代において、映画館とは何か、を日村を通じて問うておるのです。それも真剣に。そして読者もまた、映画館の持っているワクワク感や非日常感を思い出すのであります。
今回は組員のひとりである二之宮稔の活躍が大きいのですが、ほかにも志村真吉や三橋健一などの脇役も個性的であり、彼らを主人公に据えたスピンアウト作品もぜひ作っていただきたいレベルです。たった6人しかいない阿岐本組ですが、組長の顔の広さ、幅広い人脈は半端じゃありません。そして、組長に従う面々もまたさまざまな過去を抱えて生きています。
阿岐本組にしょっちゅう現れる甘糟刑事を主人公にした「マル暴甘糟」もそのひとつではありますが、ぜひお願いしたいですね。

#任侠シネマ
#任侠シリーズ
#今野敏
#高倉健

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2020年06月26日

書評1079 下村敦史「法の雨」(2020/6/26)

こんにちは、曹源寺です。

またしても共同通信社の話ですが、なんでしょうね、ここへきて今までタブー視されてきた電通とか共同通信社のような存在が叩かれ始めているというのが、なんとなく時代の変革を感じてしまいます。

共同通信が正職員を300人規模で削減へ! 赤字は8期連続の見通しに…(6/24PRESIDENT ONLINE)
共同通信が現在約1600人いる正職員を2028年度までに1300人台にする方針であることがわかった。水谷亨社長が職員向けのポータルサイトにメッセージを掲載し、表明した。300人規模で減らすことになるが、300人は全正職員のおよそ18%。昨年は毎日新聞が200人規模、産経新聞が180人規模の早期退職を募っており、新聞不況は加速している。新聞社への記事配信が主な収入源である共同通信にも影響が出ており、共同通信は採用の抑制で人員を減らしていく考えだ。
(中略)
正職員の総人員は「採用の抑制」で減らしていくとし、「(人員削減によって)配信能力を低下させるわけにはいかない。継続雇用職員にはより多くの管理職ポストを担ってもらう。本社は管理部門や編集の中間・加工部門などの人員効率化を優先する」と述べた。
(中略)
さて、前出とは別の、ある産経のデスクは共同通信の編集方針についても苦言を呈す。
共同通信の質の悪い原稿がきても、ルール上こちらが手を加えにくい。それなのに、変に『色』のついた原稿も多い。色はいらないから純粋に通信社としての業務に特化すべき。インフラ屋が毒水を流さないでほしい。とにかく5W1Hの原稿を
(以上)


だいぶはしょりましたので、全文読みたい方はリンク先へどうぞ。

通信社は情報インフラを司る企業であり、共同通信社は一般社団法人でもあるので、ますますその情報の質が問われる企業体である、というところが記事の出発点になっているのではないか、とも思える内容です。特に最後の文章。

2028年度までに300人を減らす、採用を抑制して減らす、と言っていますが、共同通信社の新卒採用はだいたい毎年30名ですので、採用を半分にして自然減で毎年55人くらい減ると達成できそうです。皮算用ですねー。

ネットの書き込みだけでなく、出版社の記事にも叩かれるようになってしまった共同通信社ですが、どちらもその主張は同じでして、記事の基本である5W1Hもろくすっぽ書いていない、質の悪い、エビデンスに乏しく思い込みの激しいフェイクニュースを垂れ流してんじゃねーよ、という内容です。
ごく一部の偏向した思想をお持ちの記者が暴走しているのか、それとも会社全体がそうなっているのか、それは分かりませんが、これらの記事を見て共同通信社の記者は何を思うのでしょうか。ちょっと気になりました。

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内容(徳間書店HPより)

無罪乱発
判事が下した判決が裁判官、検察官、弁護士、被害者、加害者 それぞれの正義を狂わせていく…
厳格な法の運用ゆえに「無罪病判事」と呼ばれた嘉瀬清一は、結審直後に法廷で倒れてしまう。
宣告されていたために有効とされた判決は、逆転無罪。
無罪判決は死も同然である検察界。
担当検事の大神護は打ちひしがれる。
有罪率99.7%の日本でなぜ今!
その後、この事件で無罪放免となった看護師が殺されたと知り、大神は嘉瀬のもとを訪れるが、嘉瀬は老人ホームにおり、会話もままならない状態となっていて……。
あの判決に何があったのか。
“法”は救いか縛りか。


曹源寺評価★★★★★
リーガルサスペンスは好きなジャンルのひとつではありますが、ひとつだけ鼻につくのが「主人公が絶対的に正義である」というステレオタイプな設定です。法廷ものというのはどっちが正しくてどっちが間違っているとか、正義か悪かだとか、そういう二元論に取って代わられてしまうケースが多いのです。
本書はリーガルサスペンスというほど法廷でのバトルが繰り広げられる内容では(これっぽっちも)ありませんが、そういう二元論では語れない、新たな何かを示してくれているように思います。
高等検察の検事である大神護は無罪を乱発する「無罪病判事」の異名を取る嘉瀬清一判事に、3度も逆転無罪の判決を言い渡され、出世の道が閉ざされてしまう。
看護師が入院中のヤクザの組長を殺してしまうという事件の裁判では、やはり高裁で逆転無罪が言い渡されるが、後日、無罪となった看護師は殺害されてしまう。。。
判事、検事、弁護士、それぞれの立場によって主張される意見や、認知症患者などに適用されている成年後見人制度の矛盾と誤謬、有罪率99.7%の検察庁の起訴の在り方、などなど、現代司法が抱える問題点を浮き彫りにしながら、殺人事件の真相に向かっていくストーリーは読みごたえ抜群です。

マジで一気読み不可避でした。

現実社会でも「無罪病判事」がいるんですよ確か。おかしな判決ばかり出す判事がいて「あぁまたか」と思わせる判決が確かにあります。彼を誰も止められないんですね。最高裁の判事であれば国民審査という名の審判があります(形骸化されているのは事実です)が、高裁判事は誰も審査できないんですね。しかも最高裁の判断というのはその事件に対して一から精査するのではなく、高裁の判断が憲法に違反していないかとか、過去の判例に照らし合わせて適切かどうか、といった点にフォーカスされてしまうので、その多くが「上告棄却」となり、「地裁差し戻し」な事案は極めて稀なわけです。ですから、高裁にいる無罪病判事のおかしな判決という点だけでも作品が一本書けてしまうのではないかと思います。しかし下村センセーはそれをしませんでした。冒頭は成年後見人制度という問題点だらけの制度について焦点を当てていくのですが、これもまた大きなテーマとして一本の作品を書けるのではないかと思うくらい衝撃的な話です。
そして二つの殺人事件もまた、興味深いものでありました。こんな面白いテーマのものをいくつも詰め込んでいて、面白くないはずがありません。下村センセーのクリーンヒットと呼べる作品だと思います。

#下村敦史
#法の雨
#リーガルミステリ
#直木賞候補

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2020年06月19日

書評1078 横関大「誘拐屋のエチケット」(2020/6/19)

こんにちは、曹源寺です。

自民党の河井克行・案里議員夫妻が揃って逮捕されるという珍しい事件が発生しました。内容的には「選挙期間中にウグイス嬢に規定以上の報酬を支払った」罪というショボい罪です。1万5,000円が上限になっているのは明らかに法律が古すぎて実態にそぐわないのですが、あまりその辺に触れている報道はありませんね。これは取っ掛かりでしかなくて、裏にあるのは1億5千万円とも言われる選挙資金の使途とばら撒きにあるのではないかと言われています。
まあ、いわゆる「自民党の金権政治」というやつでしょうから、こういうのはとっととぶっ叩いて浄化してほしいものです。トカゲのしっぽ切りで終わらないようにしていただければ、と。

ところで、先日書いた共同通信社の件は以外にも多方面から批判が殺到しているようでして、以下の記事に関しては「ついにヤフコメ民にまで信憑性に欠けると言われてしまうwww」と嘲笑の的になっているようであります。

トランプ氏、真珠湾持ち出し日本に不満(6/18共同通信)
【ワシントン共同】米紙ワシントン・ポストによると、ボルトン前大統領補佐官は著書で、政府高官らとの貿易関連会合で日本との同盟関係が話題に上った際、トランプ大統領が真珠湾攻撃を持ち出し、いら立ちをあらわにしたと指摘した。
(以上)

うーん、確かにこの文章を読むだけでは「何がどうなった」のかさっぱりわかりません。
共同通信発の記事はまず疑ってかかれ、というのがネット民の間に沁みついてしまったのかもしれないですね。

こういう、為にする記事というやつが一番たちが悪いですね。印象操作したいという気持ちがにじみ出てしまっています。

昔から、新聞記者という仕事にはフェイクニュースがつきものでありました。
たとえば、警察の番記者が夜討ち朝駆けして、担当刑事が「これはオフレコだけど」といった前置きで話をしてくれたものを、独自スクープとして記事にする、といった具合です。これだけならフェイクではありませんが、たまに、担当刑事が「いや、それは・・・」などと言葉を濁しているのを受けて、記者の方が「ムム、これははっきりとは肯定していないが、書くなということだろう。スクープだっ!」と勝手に思い込んで記事にして、あとから警察が否定に回るといった事例がいくつもありました。こうしたスクープ狙いの場合、記事が真実であっても捜査上世間に知れ渡ると後の捜査や公判に影響が出るから表には出さない、といった情報もあります。はっきり言って捜査妨害なわけですが、記者はお構いなしですね昔から。それだけでなく、警察が実は参考人として捜査していた人物がいて、その人を容疑者として記事にしてしまったとか、遺留品があったと思ったら実はそうでなかったのに遺留品が見つかった!みたいな記事を書いたりすることもあります。

さらには、「観測気球」として、軽いジャブのような記事を書き、主要関係者の反応を見る、なんて手口もあります。要するに、発表側と記者の間で行われる虚々実々の駆け引きというのが存在していて、そのなかにはフェイクニュースが混ざり込んでいる、というのが実態でありましょう。

いま、新聞にスクープを期待している人はほとんどいないんじゃないですかね。文春の方がよほど抜いてきますよ。
むしろ、新聞に求めているのは「公正な報道」であり、「報道しない自由によって書かれないことがない」状態ではないかと思います。尖閣諸島付近に60日以上も中国船が入り込んでいる事実を、産経新聞以外がどこも報じないというのはやはり異常だと思いますよ。

だから、虚々実々の駆け引きなんていらないですし、一次ソースを読みに行かなくても事実関係をはっきりと分かりやすく理解できる記事が読めるかどうか、だけだと思います。

そういえば、「観測気球」で思い出しましたが、東北地方に浮かんでいたあの気球は何なんでしょうかね。あれだけ報道されても持ち主が名乗り出ていないことを鑑みると、あれは日本のものじゃないという結論になりますかね。

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内容(講談社HPより)

「ルパンの娘」シリーズが大ヒット!
2020年大ブレイク必至、横関大!
大注目の最新刊!
SNS炎上、不倫スキャンダル、借金まみれ。
人生崖っぷちの人々を攫って匿って問題解決!それが、誘拐屋。
「誘拐されて、人生一発逆転しませんか?」
腕利きの誘拐屋・田村健一は、ある日、新人誘拐屋の根本翼とコンビを組むことになる。
あまりにもお節介な翼は、自らが誘拐した人物の人生相談に乗ってしまう。
淡々と仕事を全うしたい田村の抵抗もむなしく、いつの間にか二人は関係のないトラブルに巻き込まれていく。
だがすべての出来事は、実は田村の秘めた過去につながっており……。
「無口なベテラン」と「涙もろくてお人好しの新人」の誘拐屋。
犯罪から生まれた2人のコンビが奇跡を起こす。


曹源寺評価★★★★
横関センセーにはいつも驚かされてばかりいますが、本書もまた(いい意味で)びっくりさせてくれました。こんな結末、普通は思いつかないですわ。
そもそも、誘拐屋という職業(が本当にあるのか分かりませんが)の職人的人物を主人公に据えて、しかもその誘拐屋というのが「その人を救うために誘拐する」というのですから、ますます訳が分かりません。
読むと納得ですが、本書はノワールでもなんでもなく、横関センセーらしい「楽しい小説」であります。
田村健一、通称「タムケン」は誘拐を生業としている。「組織」から仕事を請け負い、人をさらって指定の場所まで届けるのだ。誘拐する人は事件を起こして身を潜めたい芸能人や会社社長だったり、あるいは金銭的に困窮し借金の返済が滞った人であるかもしれない。それでもタムケンは淡々と仕事をこなす。そんなある日、組織から相棒を紹介される。根本翼は涙もろくておせっかいでおよそ誘拐屋にふさわしい人材ではない。そんな二人がコンビを組むと、余計な仕事が増えてくるのだった。。。
7作の連作短編ですが、まあ、ほとんど長編のようなもんです。
なぜ相棒の根本翼が、誘拐屋などといういかがわしい商売に手を突っ込んでいるのか、彼は何者なのか。そして、タムケンの過去とは?
この辺がポイントになっていて、ひとつひとつの短編が最後に「なるほど」と思わせるような展開を見せてくれるのです。

すべての出来事には理由があった、という展開はとても好き

です。伏線回収テクとしても一流ですよね。個人的にはデビュー作から横関センセーを応援していますが、やはりラストが概ねハッピーエンドで、ちょっとしたどんでん返しがあって、読後感がさわやか、という3点セットを持っている作品群はもっと注目されても良いと思っています。

#誘拐屋のエチケット
#横関大
#ルパンの娘
#注目作家

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