ミステリ読みまくり日記 〜書評(ネタバレあり)

通勤時間に読む、日本のミステリとその他小説をとりあえず書き留める
 

2025年04月18日

書評1456 背筋「近畿地方のある場所について」(2025/4/18)

こんにちは、曹源寺です。
フジテレビをめぐる騒動で、大株主の米投資ファンド、ダルトン・インベストメンツがSBIホールディングスの北尾吉孝会長を取締役に推していることから、北尾氏が会見で発言したという記事が報道されています。
まずは、朝日新聞。
「フジがガタガタに」SBI北尾氏、堀江氏への言及も 会見詳報(2025/4/17朝日新聞)
NHK。
SBI北尾社長“フジテレビ側 投資ファンドと取締役候補協議を”(2025/4/17NHK)
日本経済新聞。
SBI北尾氏「フジは本業で稼ぐモデルへ」記者会見要旨(2025/4/17日経新聞)

まあ、大手紙や地上波はどこも横並びですね。
ではまずYoutubeに上がっている動画を観てみましょう。


からの、ネットでニュース配信をしているまとめサイト「ナリナリドットコム」さんの記事を見てみましょう。
SBI北尾吉孝会長、マスメディアの報道に「一般の視聴者はもう『Fed up with(ウンザリ)』」(2025/4/17ナリナリドットコム)
SBIホールディングスの北尾吉孝会長が4月17日に会見を行い、マスメディアの偏った報道や既得権益の主張通りの報道に対して「一般の視聴者はもう『Fed up with(ウンザリ)』なんです」と語った。
フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングスの大株主で、米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが、フジメディアHDの12人の取締役候補の1人として推薦したSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長が会見を行い、フジテレビの改革に向けた事業構想として、メディア、IT、金融の融合戦略について説明した。
北尾会長は会見の中で、トランプ米大統領の選挙や兵庫県知事の選挙で、SNSや動画サイトが新聞やテレビといったメディアよりも重視されており、「インターネットメディアは手軽に見聞きできる情報源として欠かせない、情報の量が多い、情報に役に立つ」とコメント。
信頼性についてはまだ新聞・テレビの後塵を拝する状況だが、今後AIなどのテクノロジーで向上が見込まれるとし、「もうね、Xはやっとるんです。イーロン(・マスク)はやってる。Grok利用して。ファクトチェックやって」と話し、一方で「マスメディアに対する信頼度は低下傾向」「何故かというと、偏った報道や既得権益の主張通りの報道、こういうものに対して一般の視聴者はもう『Fed up with(ウンザリ)』なんです」と語った。

(以上)

同じ記者会見の記事なのにこの違い笑
まあ、どちらが正しいとか間違っているということではなく、おそらくどちらも正しいのだと思いますが、フォーカスしているところが異なるとこれだけ内容が変わってくるという点に注目すべきでしょうか。
ただ、ネット民からすれば「相変わらずオールドメディアは自分たちが批判されているところを一切書かないね」と笑っています。だからオールドメディアって言われるんだよ、と諭しても彼らには馬耳東風なのかもしれませんが。
これが例えば1社でも、ナリナリさんのような記事を出していたら違う反応になっているかと思いますが、やっぱり横並びで「報道しない自由」を駆使しているんだなあと思ってしまうような作り込みなのが、オールドメディアと呼ばれてしまう一因であることは、もう理解してもよさそうだと思いますけど。。。

内容(KADOKAWA HPより)
情報をお持ちの方はご連絡ください
近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。
https://amzn.to/3EsYlQM

曹源寺評価★★★★
ごくたまにホラー系の小説を読みますが、本作はかなり話題になった本ですのでご存じの方も多いかもしれないですね。しかも8月には映画も上映されるらしいです。
オカルト系のMOOK(BOOK+MAGAZINEの造語ですね なつかしい)を編集している友人の小沢が失踪した。彼は近畿地方にある●●●●●という場所に行き、そこにまつわる怪談を取材していたというのだ。
過去の雑誌記事やお蔵入りしたインタビュー記事、ネットの書き込みなどが所々に挿入され、不可解な事件や事故が紹介される。
主人公が一貫してどうこうするというのではなく、読者に対して少しずつヒントを与えていくスタイルというか、薄皮を剥いていくと見えてくる真実みたいな感じでストーリーは展開していきます。
こういうの嫌いではありませんが、ラストはすべてを回収できているのかよくわからない感じです。おそらくは、根本となる逸話が軽くて深く突っ込んでいないからだと推測します。
途中に挟み込まれている小さなエピソードは、正直結構ハートにきますね。

自分が学生だったらトラウマで長期間引きずりそう

なくらい怖いお話だと思います。
ですので、納得するとかしないとかは別として、ストレートに楽しめる作品だと思って読めば良いのではないかと思います。
それにしても、、、雨穴さんとか背筋さんとか梨さんとか、ホラー系には変なネーミングの作家センセーが増えましたな。
え、作家のペンネームなんて昔から変なの多いってか。まあ、否定はしませんな。。。

#近畿地方のある場所について
#背筋
#ホラー
#映画化

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2025年04月15日

書評1455 中山七里「ヒポクラテスの困惑」(2025/4/15)

こんにちは、曹源寺です。

石破政権がもうもちゃくちゃというか、国民がやってほしいことを一切せず、やってほしくないことを一所懸命やっているということで、保守派も巻き添えを食らって自民党離れが加速しているようであります。

そんななかで、決定打とも言えるような記事が出ておりました。
安倍氏侮辱の渡部カンコロンゴ氏、自民都連擁立調整 党内から疑問の声「強烈な違和感」(2025/4/14産経新聞)
自民党東京都連(会長・井上信治元万博相)がNPO法人代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏(34)を夏の参院選の東京選挙区(改選数6)に擁立する方向で調整していることについて、党内の保守系議員から懐疑的な声が上がっている。渡部氏が報道番組などで自民党の政権運営に批判的な論客として活動する上、過去に安倍晋三元首相らを侮辱するような表現を用いたとされることが背景にある。
安倍政権は「バカに権力与えた」
「私たちの多くが今もなお、誇りに想い、敬意を抱く安倍元総理を公然と侮辱する人を公認候補にするほど、自民党は落ちぶれていませんし、保守の矜持を捨ててはいないはずです」
自民党の有村治子元女性活躍担当相は13日、X(旧ツイッター)で、渡部氏が過去に投稿したとみられるXの画像を示して、こう書き込んだ。
画像は渡部氏が平成26年2月に「『バカに権力を与えるとどうなるか』という見本が今の安倍政権」と投稿したとされるもの。渡部氏のアカウントは現在非公開とされている。
有村氏「民意軽んじた人」
有村氏は「どのような立場を取るにせよ、正統な選挙を経て選出された総理大臣を、小ばかにし、民意を軽んじ、捨てせりふを吐くような人が、意見の異なる相手にも敬意を払って粘り強く合意形成を図らねばならない国政の場で信頼され、活躍できるとは思えません」と渡部氏の資質を疑問視した。
山田宏参院議員も13日、Xで渡部氏の同じ投稿を挙げて「こんなにボロカスにけなしていた自民党から立候補する訳を、まずご本人に聞きたいものだ」と書き込み、「石破茂総理は、この方の発言にはどのような感想を持たれるのだろう。これこそ、私には『強烈な違和感』しかない」と強調した。
都連は令和元年の参院選に擁立した丸川珠代元五輪相が昨年10月の衆院選に出馬したため、候補を公募し、今月11日の選考委員会で井上氏に一任した。近く党本部に上申する。公認が決まれば東京選挙区では武見敬三元厚生労働相に加えて2人目の自民候補となる。
渡部氏は浜松市出身。難民申請者らと企業のマッチングを支援するNPO法人「WELgee(ウェルジー)」を設立し、代表理事を務めている。また、TBS系「サンデーモーニング」でコメンテーターとして活動している。

(以上)

一応、まだ正式決定ではないみたいですので、もしかしたら観測気球的に出された記事なのかもしれません。
しかし、本当だったらかなりヤバい話ではあります。あのサンデーモーニングに出演しているというだけでお里が知れますが、これまでの発言やSNS投稿などを見ると、共産党やれいわ新選組あたりから出馬された方が良いのではないかという印象しか持ちえません。
安倍政権にかなり批判的だったのに、なぜ自民党から出馬するのかという点については自身による説明が必要だと思います。また、推薦する自民党にも説明責任があると思います。マスコミは突っ込めよ。
自分としては、政治家に転身することは個人の自由ではあると思いますが、選挙の結果を批判したり個人のプライバシーに踏み込んで個人攻撃をを重ねたりする人は民意を馬鹿にしている人だと思いますので、絶対に投票はしないと決めております。

こんな記事も出ておりました。
【石破総理も乗り気?】あの菅野志桜里元議員が自民党から参院選出馬の仰天情報(2025/4/15現代ビジネス)

おいおい、菅野志桜里センセーはあのガソリーヌとして一世を風靡したお方ですがな。なんなんこれ。
もしこの二人が本当に自民党から出馬したら、本当に見限られるんじゃないですかね。保守派はもう分裂したほうが良いんじゃないですかね。やべえべ、やべえべ。
自民党は左翼に乗っ取られたってみんなに伝えなきゃ。

内容(祥伝社HPより)
感染爆発に付け込む悪意がセレブを喰い殺す。
2020年4月、コロナに感染したある富豪が急逝。
しかし男は“未承認のワクチン”を秘密裡に入手していた――。
光崎教授が暴く、男を死に至らしめた“悪”の正体とは!?
真実は死体に刻まれる――
傑作法医学ミステリー第6弾!
2020年4月。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、一人の女性が埼玉県警の古手川を訪ねる。彼女は、オンライン通販の創設者で現代の富豪、そして前日にコロナ感染症で急逝した萱場啓一郎の姪だという。大金を払って秘密裡に未承認ワクチンを接種していた啓一郎がコロナで死ぬはずはない、本当の死因を調べてほしいと頼まれた古手川は、浦和医大法医学教室に解剖を依頼。光崎教授が見出したのは、偽ワクチンによる毒殺の可能性だった――。
https://amzn.to/3Em2dmF

曹源寺評価★★★★
「ヒポクラテスの誓い」から始まる浦和医科大法医学教室シリーズは「〜悲嘆」に続き本作で第6弾となりました。
今回は新型コロナウイルスが世界的に流行し出した2020年を舞台にしています。
オンライン通販で急成長した企業の創業者がコロナ感染症で急死した。と思われたのだが、司法解剖の結果、ヒ素中毒による毒殺の疑いが出てきた。闇ルートで販売されていたコロナワクチンを入手し、それを自分で注射していたらしいのだ。そのワクチンは真っ赤な偽物で、ヒ素が混入されていたのだった。
まだワクチンなど開発できるタイミングではないはずだが、陰謀論とフェイクニュースを信じる人にはワクチンができていると囁けば大金を積んでも欲しがる人がいるというのも事実。だが、ルサンチマンとは恐ろしいもので、金持ちだけが得をするのが許せない人たちが浦和医大にデモを仕掛ける。やがて群衆は暴徒化して、、、
ミステリというよりは社会派小説の体をなしている作品ですね。中山作品に通底するのは、こうした昨今の風潮を題材にして「ちょっとあり得そうな」事件を仕立てるセンセーのテクニックであります。
本作では、あのコロナ蔓延時の野戦病院状態を想起させる描写を入れながら、いわゆる「上級国民さま」が優先される(かのような)社会的背景を分析し、「フェイクニュース」に踊らされて被害者をも一方的に責め立てる「歪んだ正義」が跋扈する世相を炙り出しているわけでして、それは決して小説の中の出来事だけではなく、リアルに起こっていることの写し絵となっているのであります。
そしてそれを光崎教授や渡瀬警部といった毒舌あふれる登場人物に語らせているので、読者としては留飲を下げる結果となっているのでありましょう。

中山作品に中毒性があるのは、かような背景に起因しているのだと推察します。

ただ、それが行き過ぎてしまうとミステリとしての面白みはスポイルされてしまい、謎解きなんかそっちのけになってしまうので、この辺は読者としてもきちんと把握して、いや、指摘しておくべきでありましょう。
あまりミステリファンを置いてきぼりにしないでおくれ、と。

#ヒポクラテスの困惑
#中山七里
#ミステリ
#浦和医科大法医学教室シリーズ

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2025年04月11日

書評1454 今野敏「昇華 機捜235」(2025/4/11)

こんにちは、曹源寺です。

いままでこのブログではあまり取り上げてこなかった「選択的夫婦別姓」制度に関する話ですが、現在の論調をまとめますとこんな感じでしょうか。
【賛成派】
・もう何十年と議論してきたのだからとっとと決着をつけろ
・女性の社会進出に合わせた時代の流れだ
・夫婦同姓は日本古来の伝統ではない

【否定派】
・現行制度の拡大で事足りるはずであり、制度を作る必然性はない
・夫婦同姓は日本古来の風習である
・選択的夫婦別姓は強制的親子別姓だ
・そんなことより経済対策を急げ

自分は否定派でして、社会の最小単位である「家族」という概念をぶち壊すことの意味を感じられないというのが最たる理由です。
また、上記論調のなかにはどうやらフェイクも混ざっているようです。
夫婦別姓は日本古来の伝統ではない、という点ですね。そもそも苗字がなかったのではないか、というのが根拠になっていますが、江戸時代には農村であっても苗字はあったというのが最近の研究結果であります。
苗字は明治に入ってからのものではないということですね。日本の姓の種類は10万を超えているそうでして、世界的にみてもかなり多いのですが、近代に入ってから一気に増えたからというのは無理があります(ちなみに自分の姓はせいぜい2,000世帯程度ですが江戸中期にすでにありました。今も先祖の墓が残っていますので間違いないです)。
なので、これは根拠としては使えないということになります。

もうひとつ、日本古来の云々ということであれば、逆に夫婦別姓の国である隣国の伝統に注目してみると良いでしょう。
お隣の国でなぜ夫婦別姓なのかと言えば、「女は家に入れない」のが理由だからです。すごく悪い言葉でいうと、子供を産むだけの飯炊き女というポジションだったから、ということです。
つまり、隣国との価値観の違いは明白なのであります。
この価値観に沿って日本も見習えというなら、断固としてお断りです。日本には日本の価値観があります。そして、それは決して女性を差別してきた歴史ではありません。

内容(光文社HPより)
警視庁機動捜査隊渋谷分駐所の名コンビ、高丸卓也と縞長省一。彼らの機捜車のコールサインは235だ。衆議院解散に伴う総選挙が決まった中、SNSに法務大臣・坂本の殺害予告が投稿された。高丸・縞長は機捜車231の大久保実乃里とともに特別捜査本部に呼ばれ、 坂本の選挙区・川越で彼の選挙事務所に潜入捜査に入る。次々に浮かびあがる容疑者たちを懸命に捜査する三人だったが、さらに新たな予告が――。読者を引き込んで離さない熟練の語り口が大人気のシリーズ第三弾登場。
https://amzn.to/4jacWzK

曹源寺評価★★★★★
警視庁機動捜査隊の高丸、縞長のコンビが活躍する「機捜235」シリーズの第3弾となります。すでにBSテレ東ではドラマ化もされており、高丸を平岡祐太、縞長を中村梅雀が演じています。
彼らの所属は「第二機動捜査隊渋谷分駐所」ということで、主に渋谷区や世田谷区、目黒区周辺の捜査を担当します。今回から所長の安永も登場します。
覆面パトカーで巡回し、事件の発生時には速やかに現着するという使命を帯びています。よく自動車警ら隊(自ら隊)と間違えられますが、自ら隊はパトカーで巡回する地域部または生活安全部所属の警察官で、機動捜査隊は刑事部所属という違いがあります。
さて今回は、衆議院解散に伴い総選挙に突入するタイミングで、現職の法務大臣の殺害予告がSNSに流れたという事件が発生。高丸と縞長も坂本議員の選挙区である川越に行くことに。
いつものように、高丸よりも年上で円熟味のある縞長に周囲が敬意を払うとか、かつて捜査一課で失敗したものの見当たり捜査で活躍したという経緯から重宝される縞長という、二人の関係性を示すエピソードに事欠かない背景が所々に出てきます。
しかし今回の主人公は前作「石礫」で登場した大久保実乃里巡査です。彼女の持つ不思議な力(といってもSFではなく)により事件解決への道筋が見えてくるという展開です。
展開としてはまあごく普通というか、今野作品にありがちな感じではあります。それ故に、

普通という感想しか持ちえない

のですが、それはまあ「普通に読める」ということでご容赦いただければと思います。

#昇華 機捜235
#今野敏
#警察小説
#警視庁機動捜査隊

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posted by 曹源寺 at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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